2009年5月3日日曜日

フィリッピンも原子力発電を決断

フィリッピンも原子力発電を決断
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2009年5月2日分 ー フィリッピンも原子力発電を決断ー

拡大しつつある新型インフルエンザに関して,WHOへとばっちりが返ってきた,18日間の初動の遅れ(注1),が問題になってきた。誰でも経験することだが,自分の速すぎる判断を如何にして上部を説得するか,仕事というのはこの繰り返しのような気がする。早すぎると皆に馬鹿にされる。今度の場合も,WHOの日本人スタッフが早く気付き,彼女の重大な役目は,如何にチャン事務局長を納得させるか,だったという。

オバマ政権は,再生可能エネルギーに一生懸命だが,スリーマイルの事故以来,30年間新しい原子力発電所を建設していない米国も,早晩,原子力発電を問題にする必要が出てこよう。今日のフィリッピンのレイエス・エネルギー長官の記事を見ていて,どうもフィリッピンは,言葉だけだが,オバマの一歩先を言っているな,と言う感じがする。55%が再生可能エネルギーの場合,45%は信頼できるベースロードの供給力が必要と。

タイやベトナムも,原子力については随分発言しており,具体的に2020年頃を目処に,原子力発電所の運転開始を視野に入れているが,どうも説明の仕方が余り旨くない。英語の問題もあるかも知れないが,タイやベトナムの政府の原子力プロパガンダは,もう一つ国民を納得させるには,迫力不足,と言う感じがする。

フィリッピンの場合は,事実既に建設の実績があることもあるが,再生可能エネルギー法の採択で,東南アジア諸国が,大丈夫か,と言う感じで眺めているときに,少しの恥ずかしげもなく,あの高い電気料金の批判の中で,再生可能エネルギーを打ち出す。オバマの機先を制した形だ。実際に動くかどうか,それは未知数だが,少なくとも言葉の上では,フィリッピンの人は饒舌だ。

レイエス・エネルギー長官の言っている重要な点は,2030年に50%前後の再生可能エネルギー投入を考えているが,それを実現させるためには二つの条件があると。それは,45%程度は原子力などの安定した合理的な生産価格の電源が必要であることと,蓄電機能の発展が必要だ,と言っている点だ。バッテリーのことを言っているが,米国のチュー長官のように,規模によっては揚水の果たす役割,と結びつける可能性もある。

いずれにしても,エネルギー長官が自ら,原子力発電の必要を公式に認めたことは,フィリッピンが原子力発電所の建設に踏み切ったと見てよいだろう。東南アジア最大の飲料企業サンミゲールのエネルギー分野への資本進出の野望もすさましい。国内に留まらず,インドネシアの石炭への資本進出も視野に入れた。なお,日本の企業連合が,欧州ウラン濃縮会社ウレンコ社への出資構想(注2)も,極めて野望的である。


(注1) http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20090503AT2M0104702052009.html
(注2) http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200905020090a.nwc


本文

●フィリッピンのレイエス長官が原子力開発決断か

Thank you, Mr. Chairman. It is an honor to speak before members of this body. My presence here today will highlight the Philippines’ position on nuclear energy from the perspective of a developing and non oil-producing country. Our country’s renewed interest in nuclear power, like the rest of the world, is primarily driven by concerns on energy security, volatility of fossil fuel prices and rising carbon dioxide emissions.

フィリッピンの原子力発電所の問題は,ここ数年,再び現実的な議論に移ってきているが,エネルギー長官が自らこのように順序立てて,原子力発電の必要性を語ったのは,初めてではないか。英語の使い方が旨いから,タイやベトナムの比べると現実味を帯びてくる。重要なポイントを拾い上げておこう。明確に,フィリッピンに於ける原子力発電所の位置づけを述べる,と最初に断っている。

なぜ今やフィリッピンのみならず世界的にも原子力が見直されてきているかと言う理由は,国家エネルギー確保,化石燃料価格の不安定,炭酸ガス排出量の増加,の3点としている。エネルギー源の多様化を目指すことから,最適電源組み合わせ(注5)が必要であると。化石燃料依存から脱却するため,再生可能エネルギー(注6)の開発を考え,今年,2009年初頭,そのための法案を成立させた。

我々の計算では,2030年までに再生可能エネルギー(注6)の占める割合を,35~55%とする計画であるが,そのためにはコストの問題と技術開発,特に電力貯留の技術(注8)を開発する必要がある。規模にもよるが,当然この中には,米国のチュー長官が言っているような揚水発電の活用も考えて行かねばならないだろう,と言うことになるか。

55%を再生可能エネルギー(注6)で賄うとしたとき,残りの45%は,最適電源組み合わせ(注5)の考え方から,信頼度の高いベース供給力(注7)が必要になろう。この中には当然,原子力発電が入ってくる。それは,持続的で低価格の電源(注9)という意味から重要である。フィリッピンの現状は,化石燃料の使用が多い上に,アジアで一番電気料金が高い,と言う事実がある。このような立場から,原子力発電を必要としている。

また,フィリッピンは義務は負っていないが,二酸化炭素に関する地球の問題にも貢献する必要がある。国連気候変動会議(注10)と京都議定書(注11)に参加している意味からも,価格の高い再生可能エネルギーだけに頼ることは困難で,原子力発電の導入は避けられない。過去に我々は原子力発電に挑戦した経験がある。バターン原子力発電所(注12)は政治的な問題から密閉(注13)してしまった。

IAEA調査団(注14)の勧告に従って原子力開発拡大組織(注15)を政府内に組織して,準備に当たっている。フィリッピンの原子力発電開発は,IAEAの定めた原子力開発の基盤整備(注16)条件に沿うべく,行動を開始している。原子力発電の分野でもっとも微妙な問題は,廃棄物最終処理問題(注18)である。国民に受け入れられるような解答を見つけるべく,努力する。

フィリッピン経済を進展させるために,エネルギー確保と電源の多様化のために,我々は,IAEAのすべての条件を満たすような,フィリッピン原子力発電開発計画(注19)を策定するので,協力を願いたい。

(注)A (1) 090502A Philippines, Manila Bulletin,(2) title: RP studying energy mix, including nuclear,(3) http://mb.com.ph/articles/204518/rp-studying-energy-mix-including-nuclear,(4) By ANGELO T. REYES,May 1, 2009, 10:00pm,(5) optimal energy supply mix,(6) renewable energy sources,(7) reliable base load capacity,(8) area of storage technologies,(9) sustainable and reasonably-priced electricity rates,(10) UN Framework Convention on Climate Change,(11) Kyoto Protocol,(12) Bataan Nuclear Power Plant,(13) mothballing,(14) IAEA Expert Mission,(15) Inter-Agency Core Group on Nuclear Energy,(16) Infrastructure Requirement in the Development of a Nuclear Power Program,(17) sequential and logical plan,(18) final disposition of nuclear wastes,(19) Nuclear Power Program for the Philippines,(20) 

参考資料

●090502A Philippines, Manila Bulletin
フィリッピンのレイエス長官が原子力開発決断か
RP studying energy mix, including nuclear
http://mb.com.ph/articles/204518/rp-studying-energy-mix-including-nuclear

過去の関連事項

●090404B Philippines, pia.gov
フィリッピン政府は再生可能エネルギーへの投資を推進
Gov't pushes investments in renewable energy projects
http://my.reset.jp/~adachihayao/index090404B.htm
●090304C Philippines, Manila Bulletin
フィリッピンのマカティ市長が原子力よりも地熱を開発せよ
Geothermal, not nuclear power, Binay advises
http://my.reset.jp/~adachihayao/index090304C.htm
●090227A Philippines, Manila Bulletin
フィリッピンのエネルギー省がエネルギー計画を見直しへ
DoE to review energy plan as slump dampens demand
http://my.reset.jp/~adachihayao/index090227A.htm 
●090128A Philippines, pinoypress
フィリッピンのバターン原子力,議会の動きに注意喚起
Scientists Caution Solons on Move to Reopen Bataan Nuclear Plant
http://my.reset.jp/~adachihayao/index090128A.htm 
●081218A Philippines, istockanalyst
フィリッピンの関連産業界,再生可能エネルギー法で,盛り上がる
Industry Players Upbeat Onrenewable Energy Projects
http://my.reset.jp/~adachihayao/index081218A.htm
●081217A Philippines, Manila Bulletin
フィリッピン,大統領,再生可能エネルギー法案に署名
President signs law promoting renewable energy
http://my.reset.jp/~adachihayao/index081217A.htm
●081127A Philippines, abs-cbnnews
再生可能エネルギーによるクリーン開発
Clean development through renewable energy?Edgardo Angara
http://my.reset.jp/~adachihayao/index081127A.htm 


●フィリッピンのサンミゲールがインドネシアの石炭へ資本参加

San Miguel Corporation is in talks to buy a stake worth about $500 million in Adaro Energy, Indonesia's largest coal producer by market value, the Philippine conglomerate's president said on Wednesday.

フィリッピンの東南アジア最大規模の飲料食品企業サンミゲールSMC(注5)が,その多様化経営を目指して,エネルギー関連企業の資本買収に走っていることは,このHPでも取り上げてきた。中でも,最近のマニラ配電MERALCO(12)の27%の株式取得による役員の送り込みは,フィリッピンのエネルギーを舞台に,SMC(注5)のエネルギーへの野望を露骨に表したものだ。

SMC(注5)のラモン・アン社長(注8)は,インドネシア最大規模の石炭企業アダロ(注6)の資本参加に動いていることを明らかにした。アン社長(注8)は,その規模について明らかにしていないが,一説によると5億ドル規模と言われており,現在,アダロ(注6)の株式17%を持っているゴールドマンサックス(注9),シティグループ(注10),ヘッジファンドのファラロン(注11)などとの交渉を視野に入れているようだ。

SMC(注5)はかって,東南アジア最大の鉱業企業PTブミ(注7)の資本獲得を目指して動いたことがある。ゴールドマンサックス(注9)は石炭企業アダロ(注6)の株式9.94%を有していて,SMC(注5)がマニラ配電(注12)の株式27%取得した際も,SMC(注5)のアドバイスに動いており,SMC(注5)の野望的な多様化経営への重要な相談役を演じてきている。

SMC(注5)は他に,通信ベンチャーの買収や,石油精製企業ペトロン(注13)のマジョリティを狙うなど,エネルギー分野の立場からも,その今後の動きに注目する必要がある。

(注)B (1) 090502B Philippines, Manila Bulletin,(2) title: SMC in talks to buy into Indon coal firm,(3) http://mb.com.ph/articles/204335/smc-talks-buy-indon-coal-firm,(4) April 30, 2009, 7:09pmMANILA, April 30 (Reuters) ?,(5) San Miguel Corporation,(6) Adaro Energy,(7) PT Bumi Resources,(8) San Miguel president Ramon Ang,(9) Goldman Sachs,(10) Citigroup,(11) Farallon,(12) Manila Electric Co,(13) Petron Corp,(14) 

参考資料

●090502B Philippines, Manila Bulletin
フィリッピンのサンミゲールがインドネシアの石炭へ資本参加
SMC in talks to buy into Indon coal firm
http://mb.com.ph/articles/204335/smc-talks-buy-indon-coal-firm


過去の関連事項

●090322B Philippines, Manila Bulletin
フィリッピンのマニラ配電が11名の役員名簿発表
Meralco bares new nominees to 11-man board of directors
http://my.reset.jp/~adachihayao/index090322B.htm
●090319A Philippines, Manila Bulletin
フィリッピンのマニラ配電の資本増強競争白熱
First Pacific-Lopez alliance to control Meralco board
http://my.reset.jp/~adachihayao/index090319A.htm 
●090219B Philippines, Manila Bulletin
フィリッピンの石炭で20ブロックを民間セクターへ
20 coal blocks offered to investors
http://my.reset.jp/~adachihayao/index090219B.htm
●090209A Philippines, Manila Bulletin
フィリッピン,フォーラムがセブ石炭プロジェクトで調査ボーリング
Forum Energy drills Cebu coal prospect
http://my.reset.jp/~adachihayao/index090209A.htm


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