2009年5月26日火曜日

フィリッピンは再生可能エネルギー倍増を期待

フィリッピンは再生可能エネルギー倍増を期待
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フィリッピンは何か不思議な国だ,と言う気がする。1970年代は,私はフィリッピンはアジアの先進国だ,と思っていた。当時のビルマからマニラに立ち寄ったときも,その輝きは東京と全然変わらないではないか,とさへ感じ,それは当然のことだと思っていた。だから原子力発電所も,東南アジアで最初に手を付けて殆ど完成したし,名実共に東南アジアの経済の主導国だった。

それから政治的混乱で経済そのものは落ちて行き,バンコクなどの都市文化に置いてけぼりを食ってきたが,1900年代終わりから徹底的に電力分野の改革,自由化に走り始めたときは,目を疑った。当時,カリフォルニアで電力自由化の末の混乱が起きたり,エンロンの暴挙が暴かれたり,電力改革に疑問が投げかけられる中,米国をも凌ぐ電力改革に手を付け,2001年には,包括電気事業改革法EPIRAを成立させた。

このEPIRAの実施細則IRRの策定に当たっては,当時のODA主要国であった日本政府に,その細則案のチェックを依頼してきたと聞いている。日本政府も面食らったことだろう,その中に,国家電力が所有する電源設備の私企業への売却,電力卸売市場の創設,更には個々の需要家の電源へのオープンアクセスまで,規定されていたのだから。タイもインドネシアも,日本でさへも,これには付いていけなかった。

それから自動車のガソリンの中にあるパーセントでココナツエタノールを強制的に混合させる法案を通過させて,東南アジアの面々を驚かせた。そうして,息継ぐ暇もなく,再生可能エネルギー法の作成に手を付け,オバマ氏がまだ選挙演説で,グリーンニューディール,と叫んでいる頃に,彼等はもう既にグリーン構想を確立して,オバマが大統領就任式でまだダンスしている頃,アロヨ大統領が今日の再生可能エネルギー法に署名していた。

今日のフィリッピンのレイエス・エネルギー長官の鼻息は荒い。10年後のマニラの電力需要は,現在の倍の9,000MWになる,その増分は再生可能エネルギー,地熱,水力,太陽光,波力,バイオマス,と聞いている方が恥ずかしいような盛りだくさんだ。でも,彼は税優遇措置は講ずるが,政府の現金を少しでも出す気持ちはない,すべて民間依存,それで十分に電源拡充は対応できると思っている。

フィリッピンの山の中を歩くと,日本人とフィリッピン人の違いがよく分かる。例えば,山道を造った,と日本人が言えば,斜面を削ってジグザグ,滑りやすい箇所には階段状にし,場合によっては水捌けまで講ずる。ところが,彼等が,山道がある,と言ったときは,山の斜面を真っ直ぐに下り,川の底には石に傷を付けて目印にして滑りにくくするだけ,それが彼等の道なのである。さて,再生可能と電力改革,どの様な行く末を描くだろうか。

電源資産売却問題の中で,私自身は当事者でないのでよく分からないが,IPPのプロジェクトの中には,ラモス大統領によるテークオアペイの政策で,生まれる電力をすべて国家電力NPCが契約価格で買い取る制度により,買収,建設を行ったものがある。ところが今日の記事を見ると,IPPAというものを設け,入札買い取りを実施する,それがEPIRAの基本精神だという。これは,日本企業も少なからず影響を受けるのではないか。2001年のEPIRAだから,IPP企業がそのEPIRAをその様に納得していた,としたら,かなり優秀だったと思う。


本文

●フィリッピンは再生可能エネルギーを新法で倍増へ

The Philippines intends to double its renewable energy (RE) capacity in 10 years after the government approved rules covering the implementation of the Renewable Energy Act (Republic Act 9513). 

フィリッピンの再生可能エネルギー(注5)は,アロヨ大統領が,2008年12月15日,再生可能エネルギー法(注6)に署名して以来,盛り上がりを見せているが,まさにオバマ大統領を凌ぐ先進性を,フィリッピン政府は誇示したいところだろう。この再生可能エネルギー(注5)政策が生きてくるかどうかは,これからの民間資金の動きによるが,来週月曜日,にも再生可能エネルギー法(注6)の実施細則IRR(注15)が公布される。

レイエス・エネルギー長官(注8)は,かかる時期に,その青写真を描いて見せた。この先10年で,首都マニラの電力需要は,現在の倍の9,000MWに達する,と言う想定である。今後の再生可能エネルギー(注5)開発は,地熱発電(注9)が4,531mWs,水力(注10)が13,097mWs,太陽光は1平方m当たり日5.1KWh(注11),と想定している。風力と波力は単位が分からない(注12,13)。

再生可能エネルギー(注5)の開発費は,KW当たり,1,000~2,000ドル,実施細則IRR(注15)の施行で,100億ドルの新規投資があるとしており,現在15のプロジェクトがあり,風力,水力,バイオマス,太陽光,大洋エネルギーなどが考えられている。また,関心を持って取り組んでいる企業は,PNOC再生可能(注16)の他,11企業(注17~26)に上っている。

(注)A (1) 090526A Philippines, Manila Bulletin,(2) title: Manila to double renewable energy capacity with new law,(3) http://www.gmanews.tv/story/162794/Manila-to-double-renewable-energy-capacity-with-new-law,(4) 05/25/2009 | 05:15 PM MANILA,,Philippines,(5) renewable energy (RE),(6) Renewable Energy Act (Republic Act 9513),(7) 9,000 megawatts (mWs) of power,(8) Department of Energy Secretary Angelo T. Reyes,(9) 4,531 mWs from geothermal energy,地熱発電,(10) 13,097 mWs from hydropower,(11) 5.1 kilowatt hours per square meter a day from solar,,(12) 76,600 mWs from wind,(13) 170,000 mWs from oceanic waves,(14) $1 million to $2 million per megawatt,(15) implementing rules and regulations (IRR),(16) PNOC-Renewables Corp.,(17) Lopez-led First Gen Corp.,(18) Aboitiz Power Corp.,(19) Trans-Asia Power,(20) Energy Development Corp.,(21) Suweco,(22) Constellation Corp.,(23) Oriental Energy,(24) Green Power Philippines,(25) Deep Ocean Philippines,(25) Norasian Corp.,(26) Philcarbon,(27). mWs と言うのは100万ワット秒らしい,(28) 

今日の参考資料

●090526A Philippines, Manila Bulletin
フィリッピンは再生可能エネルギーを新法で倍増へ
Manila to double renewable energy capacity with new law
http://www.gmanews.tv/story/162794/Manila-to-double-renewable-energy-capacity-with-new-law

最近の関連資料

●090512A Philippines, Manila Bulletin
フィリッピンで外国企業が再生可能エネルギー開発に意欲
Foreign investors keen on renewable energy
http://my.reset.jp/adachihayao/index090512A.htm
●090404B Philippines, pia.gov
フィリッピン政府は再生可能エネルギーへの投資を推進
Gov't pushes investments in renewable energy projects
http://my.reset.jp/adachihayao/index090404B.htm
●090301A Philippines, pia.gov.ph
フィリッピンの電力の10%は水力で賄うことが可能である
Hydropower can supply 10% of RP's electricity requirements, say 
http://my.reset.jp/adachihayao/index090301A.htm
●090301B Philippines, newsinfo.inquirer
アロヨ大統領が水力現場を視察してクリーエネルギーに関心表明
Arroyo favors clean energy sources 
http://my.reset.jp/adachihayao/index090301B.htm
●090220B Philippines, Manila Bulletin
フィリッピンの地熱発電所をアボイテスが引き取り
Aboitiz Power sets Tiwi, Makban plants takeover
http://my.reset.jp/adachihayao/index090220B.htm
●090114A Philippines, Manila Bulletin
米国企業シェブロンがフィリッピンの地熱政策を支援
US firm Chevron Geothermal commits to support gov’t energy efficiency plan 
http://my.reset.jp/adachihayao/index090114A.htm
●081218A Philippines, istockanalyst
フィリッピンの関連産業界,再生可能エネルギー法で,盛り上がる
Industry Players Upbeat Onrenewable Energy Projects
http://my.reset.jp/adachihayao/index081218A.htm
●081217A Philippines, Manila Bulletin
フィリッピン,大統領,再生可能エネルギー法案に署名
President signs law promoting renewable energy
http://my.reset.jp/adachihayao/index081217A.htm


●フィリッピンの再生可能エネルギー法実施細則が施行される

After roughly six months of flexing muscles and collaborating resources on its completion, the Department of Energy (DoE) finally hit the road for the signing today of the implementing rules and regulations (IRR) of the Renewable Energy Act of 2008.

フィリッピンでは,2008年12月15日,再生可能エネルギー法(注7)が成立して約6ヶ月,エネルギー省(注5)は,月曜日,2009年5月25日,予定を1ヶ月繰り上げて,実施細則IRR(注6)を公布した。この規則に含まれるエネルギー資源は,バイオマス,太陽光,風力,水力,地熱,大洋などの他,ハイブリッド・システム(注9)も含まれる。

また,再生可能エネルギー法(注7)による投資などへの優遇措置は,新規投資に対して,7年間の所得税免税措置ITH(注10),付加価値税VATの免除(注11),関連資機材輸入の関税免除(注12),7年間の所得税免税措置ITHの後7年間,35%の法人税を10%(注13),などであり,政府は投資の刺激策として,期待している。

ここで,ハイブリッドを含む(注9)というのは何を意味するか,重要である。単純に考えれば,変化する風力を補うためにディーゼル発電所を置いたと,このディーゼル発電所も優遇措置の中に含める,と考えることも出来るし,或いは,風力や太陽光に付属するバッテリーのことを言っているのだ,とも考えられる。揚水発電所は,再生可能エネルギーのハイブリッドの一環,と考えている可能性もある。

(注)B (1) 090526B Philippines, Manila Bulletin,(2) title: IRR of Renewable Energy Act of 2008 to be signed Monday,(3) http://www.mb.com.ph/node/201913,(4) By MYRNA M.VELASCO,May 24, 2009, 12:20pm,(5) Department of Energy (DoE),(6) implementing rules and regulations (IRR),(7) Renewable Energy Act of 2008,(8) renewable energy sources,(9) biomass, solar, wind, hydro, geothermal, ocean energy sources and even hybrid systems,(10) seven-year income tax holiday (ITH),(11) zero-rated value-added tax (VAT),(12) duty-free importation of RE machinery, equipment and materials for the first 10 years,(13) significantly-reduced corporate tax rate of 10% on net taxable income after seven years of ITH,(14) 

今日の参考資料

●090526B Philippines, Manila Bulletin
フィリッピンの再生可能エネルギー法実施細則が施行される
IRR of Renewable Energy Act of 2008 to be signed Monday
http://www.mb.com.ph/node/201913

最近の関連資料

●090512A Philippines, Manila Bulletin
フィリッピンで外国企業が再生可能エネルギー開発に意欲
Foreign investors keen on renewable energy
http://my.reset.jp/adachihayao/index090512A.htm
●090404B Philippines, pia.gov
フィリッピン政府は再生可能エネルギーへの投資を推進
Gov't pushes investments in renewable energy projects
http://my.reset.jp/adachihayao/index090404B.htm
●081218A Philippines, istockanalyst
フィリッピンの関連産業界,再生可能エネルギー法で,盛り上がる
Industry Players Upbeat Onrenewable Energy Projects
http://my.reset.jp/adachihayao/index081218A.htm
●081217A Philippines, Manila Bulletin
フィリッピン,大統領,再生可能エネルギー法案に署名
President signs law promoting renewable energy
http://my.reset.jp/adachihayao/index081217A.htm 


●フィリッピンの石炭火力のIPPA入札が間もなく動く可能性

Assets and Liabilities Management Corp. (PSALM) has moved to next month the auction of contracts to manage the output of the Sual and Pagbilao plants, saying it needed to iron out the details of the bid’s terms of reference (TOR). 

フィリッピンのPSALM(注5)にとって懸案となっている,東京電力など,TEAM(注18)所有の,1,000MWのスワル石炭火力(注8),700MWのパグビラオ石炭火力(注9)のIPPA(注10)入札を,来月,2009年6月にも実施の意向である。IPPA(注10)入札とは,私に理解では,電力の引き取り手がNAPOCOR(注11)になっていたのでは,オープンアクセス(注17)制度に入ることが出来ないから,引き取り手を入札する,と言うことか。

私もなかなか理解できなかったのだが,このIPPA(注10)と言うのは問題があって,それぞれのIPPプロジェクトは,NAPOCOR(注11)の引き取り契約があるから安心して買収,または新設したので,このようにEPIRA(注16)で,その引き取り契約を変更する,と言うのは大変なことではないか,と推測している。EPIRA(注16)だから,内外とも誰もクレームを付けられないが,当事者の間では,結構議論があるのではないか,と推測している。

NAPOCOR(注11)の設備または契約の70%の処理が終われば,需要家のオープンアクセス(注17)が始まり,政府は電気料金が下がると期待している。私は上がると思うが,とにかく,289MWのティウイと458.53MWのマクバン地熱(注15)の売却が終われば52%完了となり,それから問題の,95MWのサンロケ水力(注22),70MWのバクン水力(注21),140MWのカセクナン水力(注20)のIPPA(注10)入札となる。

(注)C (1) 090525C Philippines, Manila Bulletin,(2) title: Bidding for Pagbilao, Sual contracts moved,(3) http://www.bworldonline.com/BW052609/content.php?id=044,(4) THE POWER SECTOR,(5) Assets and Liabilities Management Corp. (PSALM),(6) terms of reference (TOR),(7) PSALM President Jose C. Ibazeta,(8) 1,000-megawatt (MW) Sual plant in Pangasinan,(9) 700-MW Pagbilao plant in Quezon,(10) Independent Power Producer Administrators (IPPA),(11) National Power Corp. or Napocor,(12) Japan-based entity,(13) privatization have so far reached $2.1 billion,(14) privatization level hitting over 52%,(15) 289-MW Tiwi and 458.53-MW Makban geothermal power plants,(16) Republic Act No. 9136 or the Electric Power Industry Reform Act (EPIRA) of 2001,(17) "open access" regime,(18) Team Energy,(19) build-operate-transfer agreement,(20) 140MW Casecnan hydro,(21) 70MW Bakun hydro,(22) 95MW San Roque hydropower plant,(23) 

今日の参考資料

●090525C Philippines, Manila Bulletin
フィリッピンの石炭火力のIPPA入札が間もなく動く可能性
Bidding for Pagbilao, Sual contracts moved
http://www.bworldonline.com/BW052609/content.php?id=044

最近の関連資料

●090515C Philippines, energy-business-review
フィリッピンのPSALMがパグビラオなど石炭火力売却を急ぐ
PSALM To Settle Bidding Matters On Pagbilao And Sual Coal-Fired Power Stations In Philippines
http://my.reset.jp/adachihayao/index090515C.htm
●090512B Philippines, scandasia
フィリッピンのアンガット水力売却でSNパワーが関心
Norway's SN Power eyes Philippine IPPs
http://my.reset.jp/adachihayao/index090512B.htm
●090412A Philippines, bworldonline
フィリッピンの発電資産売却は水力発電所が次の目標
Hydropower plants next on PSALM’s auction block
http://my.reset.jp/adachihayao/index090412A.htm
●090402A Philippines, Manila Bulletin
フィリッピンのNPCとPSALMが運転委託で合意書締結
Napocor signs O&M agreement with PSALM, defines future role
http://my.reset.jp/adachihayao/index090402A.htm
●090328C Philippines, Manila Bulletin
フィリッピンのPSALMはカラカ火力など売却に自信
PSALM hopeful on sale of Calaca, Limay power plants within the year
http://my.reset.jp/adachihayao/index090328C.htm
●090304B Philippines, Manila Bulletin
フィリッピンのNPCの売り上げは資産売却進行でが急落
NPC power sales dip as plants were sold
http://my.reset.jp/adachihayao/index090304B.htm



●海外関連連携ショップ
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楽天トラベル
http://hb.afl.rakuten.co.jp/hsc/09ec1bdf.dd6f0239.09ec1be0.045ab5f0/
旅行用品の大型ショップ旅の雑貨店
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安心電脳倶楽部
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