長い間HP更新できずゴメン,復旧しました。地図など,見て下さいね。http://my.reset.jp/~adachihayao/index.htm
今日の話題は,余り私の知らない分野であるが,タイトルが余りにも大袈裟で,これでインドの電力不足は解決する,とまで書いてあるので,まあ読んでみるか,と言う気になった。それは,インドのムンバイを中心としたグリーンビルディングへの挑戦であり,またインド北部,山岳州の Himachal Pradesh 州政府の再生可能エネルギーへの挑戦である。
インドの人類としての地球温暖化への挑戦は,石炭火力を如何に抑制して行くか,がもっとも大切と思うが,最近は日本政府,JICAなども,インドの電力分野の効率化に取り組んでいる。それがグリーンビルディングであり,小規模な再生可能エネルギーであるにしても,インドの人々の意識の高揚が,大きな力に結集されて行くことを願う。
グリーンビルディングは,インドでは現在,敷地面積にして2万平方フィートに過ぎないが,これを2012年までに10億平方フィートに拡大する,としている。インド・グリーン・ビルディング協会 Indian Green Building Council (IGBC) の構想である。建築構造そのものから,太陽光や雨水の利用を考えているらしいが,通常の建築に比べて,40~50%の電力使用量が節約されるとしている。ビルの電力需要は全体の20%だと言っている。
インド人に言われたくないと思って,日本はどうなっているのか,調べてみたが,大々的に実施している,という資料には行き当たらなかった。おそらく,電力会社などは大きな関心を持っているだろうし,研究も進んでいると思う。米国では,1994年7月に,全米グリーンビルディング協会(US Green Building Council) が設立され,建築業界は勿論,電力ガス会社,金融不動産,地方自治体,大学,環境保護団体,一般製造,メーカー等が参画し,業界の枠を超えた活動を展開しているという。
私は,バンコクやジャカルタなどの電力需要の歴史的な動きを見ていて,次のように考えている。経済成長が高いレベルになると,夕方のピークよりは昼間のピークが高くなる。これは,経済を成長させている企業の主要都市のビルディングがどんどん増えてきて,特に冷房需要が大きく増えてくる。だから,必ず朝9時に冷房のスイッチを入れ,大部分が夕方5時にスイッチを切るので,8時間ピークが究極の需要の形だと。
だから,例えばタイなどは,現在の状況を見てラオスの水力に15時間などの昼間負荷の運転を要請しているけれども,これは必ず8時間ピークに収斂してくる。だから例えば,ナムテン2水力は15時間で1,000MWであるが,近い将来,必ず2,000MWに増設する必要があると。このような観点からも,グリーンビルディングは,電力需要に大きな影響を与える。
今日は,このグリーンビルディングの他,Himachal Pradesh 州の再生可能エネルギー開発への努力と,明日から開催されるネパールとインドの水資源連絡会議が話題になっている。ネパールの水資源問題を解決するため,ダムの高さは,Pancheshwor が315m, Kosi High Dam が269mとなっているから,とんでもない大規模ダムと発電所の計画である。もっとも,ヒマラヤからの土砂流出や,下流の洪水防御を考えると,この規模のものが必要だが,その資金調達と建設期間を考えると,気が遠くなる。
本文
●インド,グリーンビルディング,ムンバイで大きな話題に
私の余り知らない分野であるが,馬鹿に派手な見いだしなので,取り上げてみた。電力不足が深刻なムンバイからの記事であるが,「もうこれで電力不足の心配はない!」,とか書かれているので,一体何事かと思ったわけである。グリーンビルディングGBを増やしていくことによって,電力問題を解決しようと言う趣旨で,インド・グリーン・ビルディング協会 Indian Green Building Council (IGBC) の活動を取り上げている。
彼等の考えるGBは,ビルの設計でエネルギーと環境に主導権を持たせる,Leadership in Energy and Environmental Design (LEED) を採用して,太陽光エネルギーと太陽光電池技術 photovoltaic techniques ,屋根屋上の工夫,雨水の利用,などを取り込みもので,IGBCの構想によると,現在全国でこのような趣旨で設計されたビルの敷地面積は,Hyderabad の Rajiv Gandhi 空港など,2万平方フィートにすぎないが,これを2012年までに,10億平方フィートにする,と言うのである。
IGBCの見積もりでは,現在,所謂ビルディングというものが全国で消費する電力は,消費全体の20%だとしている。設計の段階からGBを採用すると,従来型のビルに比べて40~50%の電力使用量が節約される,としている。現在の既設のビルディングをGBに改造すると,20~25%の節約は可能であるが,目標は設計段階からの挑戦だという。GBの建設費は,7%ほど高くなるが,これが将来的には安くなると期待している。
日本でもいろいろ聞いてはいるが,インド人に言われたくないと言う気持ちもあって,一体全体の動きはどうなっているのか,ちょっとだけ見てみた。こういう問題はおそらく電力会社内部では相当に研究されているものと思うが,私の見た限りでは,日本は極めて低調で,国土交通省や経済産業省の範囲で,目立った動きを掴むことは出来なかった。名古屋にはそれらしき協会が設立さっれているが,成果は余り語られていない。
ブログの中に解説されているものがあって,国土交通省の支援のもとに産官学共同で研究・開発されたが進んでおり,(財)建築環境・省エネ機構(IBEC)の動きや,建物の環境性能評価ツール建築物総合環境性能評価システム「CASBEE」の普及を図ってる,などの動きがあるが,日本の建物全体をどの様な工程で改造して行くか,というようなマクロな構想は見あたらない。
ブログによると,アメリカでは,建物に関わるエネルギー消費量が,全消費エネルギーの40%弱を占めると言われており,1994年7月に,全米グリーンビルディング協会(US Green Building Council)が設立され,建築業界は勿論,電力ガス会社,金融不動産,地方自治体,大学,環境保護団体,一般製造,メーカー等が参画し,業界の枠を超えた活動を展開しているという。」。
私は,バンコクやジャカルタなどの電力需要の歴史的な動きを見ていて,次のように考えている。経済成長が高いレベルになると,夕方のピークよりは昼間のピークが高くなる。これは,経済を成長させている企業の主要都市のビルディングがどんどん増えてきて,特に冷房需要が大きく増えてくる。だから,必ず朝9時に冷房のスイッチを入れ,大部分が夕方5時にスイッチを切るので,8時間ピークが究極の需要の形だと。
だから,例えばタイなどは,現在の状況を見てラオスの水力に15時間などの昼間負荷の運転を要請しているけれども,これは必ず8時間ピークに収斂してくる。だから例えば,ナムテン2水力は15時間で1,000MWであるが,近い将来,必ず2,000MWに増設する必要があると。このような観点からも,グリーンビルディングは,電力需要に大きな影響を与える。
参考にした関連情報http://www.jgbc.com/about.htmlhttp://www.actiblog.com/weeklyreform/26475
●インド,Himachal Pradesh,水力再生可能で,炭素無排出の州に
州都 Shimla,Himachal Pradesh 州は,山岳地帯で,従来から大規模な水力を建設して,比較的短い距離にあるデリーやハリアナに,電力を供給してきた。何を思ったか,急に,「炭酸ガスニュートラル」,の州を宣言して,活動を始めた。この州は本来,森林の価値が Rs 1.50 lakh crore と言うとんでもない大きな価値を持って人類に貢献していると認識しているが,更に地球温暖化抑制に貢献する,という政策である。
まず州政府が実施しようとしている政策は,太陽光エネルギーの活用で,各家庭やオフィスに,30,573 solar cookers, 185,757 solar domestic lights, 6,325 solar speed lights, 22,394 solar lanterns and 3,573 solar geysers を供給するという。これは,年間で,50 million KWhと18万個のガスシリンダー(よく分からない)の節減となると言う。
また,HIMURJA というのは,州政府の中で,再生可能エネルギー開発を担う部局である。この部局は,中央政府の支援で,2013年までに500KW2基の太陽光発電所を設備する。更に,5MWクラスの小水力発電所の建設はこの部局が担当することする。この州の水力のポテンシャルは,21,000MWであるが,現在までに6,500MWが開発されただけである。
HIMURJA としては,5MWレベルの開発のために,既に259の覚書,MOUを交わして,その総出力は829MWである。何とも蟻の歩みに似ているが,この州政府には,大規模水力開発への協力という重要な役目があり,今後とも世界の注目が集まる。
●インドとネパール,水資源全体の高官レベル協議を明日開始
発端は,ネパールの Prime Minister Prachanda がデリーを訪問して,10年間で10,000MW水力開発へのインドの支援を要請したことに始まり,また同じ頃に起こったガンジス川支流の Kosi 川の氾濫が,両国に大きな被害をもたらしたこと,また数日前には,カトマンズーで Prachanda の10,000MW提案を踏まえて,海外の投資家も入った電力サミットが開かれたこと,を頭の中に入れる必要がある。
結局,民間投資によるネパールの電力だけの開発,と言う視野では不十分だ,と言うことに皆が気づいたわけである。今回の会議は,インド側からIndian Water Resources Secretary Umesh N. Panjiyar が,またネパール側から,Nepalese Water Resources Secretary Shanker Prasad Koirala が会議を主導するために集まる。
議題は勿論水力開発だけにとどまらない。水資源全般,という立場で,水力発電,灌漑,洪水調節,その他水に関連するすべての事項を議題に載せるという。このような意味から,大規模の貯水池の建設が重要との認識から,二つの大きなプロジェクト,6,000MWの Pancheshwor Hydro Power Project と,3,200MWの Kosi High Dam Project が大きな課題になるとされている。
この二つの大規模プロジェクトの位置は,後で確認して地図に書き込む。しかし,資料によると,ダムの高さは,Pancheshwor が315m, Kosi High Dam が269mとなっているから,とんでもない大規模ダムと発電所の計画である。もっとも,ヒマラヤからの土砂流出や,下流の洪水防御を考えると,この規模のものが必要だが,その資金調達と建設期間を考えると,気が遠くなる。
参考にした関連資料http://www.unido.org/fileadmin/media/documents/pdf/Energy_Environment/rre_brazilforum_Govind_080520.pdf
Reference
Nepal
●080929A Nepal, ptinews
インドとネパール,水資源全体の高官レベル協議を明日開始
India, Nepal to discuss plans to harness water resources http://www.ptinews.com/pti%5Cptisite.nsf/0/721A199286E85609652574D200513B31?OpenDocument
I
ndia
●080929B India, Economic Times
HImachal Pradesh,水力再生可能で,炭素無排出の州に
Renewable Energy For Making Himachal Carbon Neutral State
http://himachal.us/2008/09/28/renewable-energy-for-making-himachal-carbon-neutral-state/6781/general/ravinder
●080929C India, Economic Times
グリーンビルディング,ムンバイで大きな話題に
Green footprint is widening in India
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Green_footprint_is_widening_in_India/articleshow/3532591.cms58.htm
2008年9月30日火曜日
2008年9月29日月曜日
インドネシアのバイオ燃料
「インドネシアのバイオ燃料」,産油国仲間から転落したインドネシアはかなりのショックで,国会でも,本当に原油生産は落ちて行くのか,と関連企業のトップが喚問されて,追求を受けている。バイオ燃料の使用義務化については,先日もフィリッピンが法制化したが,その時,ASEAN諸国の見方は冷静で,フィリッピンの成り行きを見てから決めよう,と言う姿勢であった。
ところが,不安に我慢しきれなくなったインドネシアは,Energy and Mineral Resources Minister Purnomo Yusgiantoro の省令として,2008年10月1日から発電燃料などへの一定量のバイオ燃料混入を義務化,試行し,2009年1月1日からバイオ5%混入と言う大量の義務化を伴う本格運用に入る。特に,cassava, sugarcane and sweet sorghum からとれる bioethanol は,現在,192,349キロリッターであるが,これを2010年には,大きく伸ばして,400万キロリッターとする目標の下に,今回の法制化がなされた。
現在の世界の総量の情報を当たってみると,2005年末の資料であるが,バイオエタノールが3,650万キロリッターと報告されている。今後の主流はバイオエタノールで,アメリカ,ブラジルの2カ国の生産量が突出,EU,中国,インド等で生産量は拡大している。生産されたバイオエタノールはガソリンとの直接混合で利用。アメリカの一部の州やブラジルでは,混合割合の義務化がなされている。
前にも紹介した鈴木篁氏の数字がある。マクロな数字として頭に入りやすい。「現在途上国の未開発潜在耕地は2,054MHA,今後農地として開発される1,059MHA,残りの995MHAの森林を輪作してバイオメタノール(バイオエタノールではなくてメタノール),これで石油換算年間58億トンを得る。」,としている。「2100年の総需要112億トンとして,原発水力60億トンを除いた52億トンがバイオメタノール」。
氏も,cassava, sugarcane and sweet sorghum からとれる bioethanol には否定的で,荒れ地に植生させる biomethanol,とわざわざ念を押している。私の主張は,バイオ燃料は主用燃料とはなり得ない,と言うことである。地球を面的に使ってエネルギーをかき集めて,将来の主用燃料に,と言う考え方は,地球を荒廃させる。石油燃料よりも,バイオ生産過程で節約以上の二酸化炭素を排出する,と言う研究結果もある。かけ声を掛け合って,原油価格を牽制する程度の役割しかないだろう。
インドの重電メーカーの話題がある,カトマンズから一点コルカタに飛んだインドの Ramesh は,NTPCとBHELの両公社で進もうとしていた5000MWプロジェクト関連で,他の私企業の51%参入をごり押しした。時折しも,一昨日の米国国会下院で,米印原子力協定が可決された。今回のコルカタの問題では,日本の東芝と組む Larsen & Toubro が含まれており,また,昨年,東芝は原子力で米ウェスチングハウスを買収している。インドの重電業界は風雲急である。
本文
●インドネシア,政府,バイオ燃料の推進に関して,義務づける法律
インドネシア政府が,Energy and Mineral Resources Minister Purnomo Yusgiantoro の省令として,バイオ燃料使用を義務づけることを法制化したとのニュースである。対象業種は,製造業,商業,石油卸売り,発電,などで,この2008年10月1日施行,2009年1月1日本格実施である。3ヶ月の暫定施行期間を経て本格実施に入ると,全業種に亘って石油燃料に5%のバイオ燃料を混入することを義務づけている。
現行では,castor and crude palm oil からとれる biodiesel が200万キロリッターであるが,これを2010年には500万に上げる目標である。また,cassava, sugarcane and sweet sorghum からとれる bioethanol は,現在,192,349キロリッターであるが,これを2010年には,大きく伸ばして,400万キロリッターとする目標の下に,今回の法制化がなされた。
現在の世界の総量の情報を当たってみると,2005年末の資料であるが,バイオディーゼル燃料が400万キロリッター,バイオエタノールが3,650万キロリッターと報告されている。バイオディーゼルのインドネシアの突出が分かるが,今後の主流はバイオエタノールで,アメリカ,ブラジルの2カ国の生産量が突出,EU,中国,インド等で生産量は拡大している。生産されたバイオエタノールはガソリンとの直接混合で利用。アメリカの一部の州やブラジルでは,混合割合の義務化。
バイオ燃料の地球の気候変動に与える影響については,近年,議論が多い。バイオ燃料生産に至る過程の二酸化ガス排出量が大きく,これを相殺するためには100年オーダーの日時が必要,とのサイエンス誌の二つの論文も話題になっている。何よりも,バイオ燃料を生産するために,地球上の森林が伐採されることへの拘りがある。
先日もこの欄で,フィリッピンがバイオ燃料の法制化を実施し,その成り行きに東南アジア諸国がなりをひそめて見守っている,と言う記事があった。そこにインドネシアが思い切った法制化に乗り出しただけに,驚きがある。米国の自動車業界の思惑など,外圧も推測されるが,一旦法制化されると,そのための土地の奪い合いなど競争によって地球が荒らされる,と言う懸念もある。
バイオ燃料の超長期の見通しについては,一度紹介しているが,鈴木篁氏の数字がある。マクロな数字として頭に入りやすい。「現在途上国の未開発潜在耕地は2,054MHA,今後農地として開発される1,059MHA,残りの995MHAの森林を輪作してバイオメタノール(バイオエタノールではなくてメタノール),これで石油換算年間58億トンを得る。」,としている。「2100年の総需要112億トンとして,原発水力60億トンを除いた52億トンがバイオメタノール」。
日本は,バイオ燃料の推進は非常に遅れている。それは日本が原子力に重点を置いているからである,と書かれた資料もある。私は,バイオ燃料はそこそこに考える,即ち,原油価格を抑える方策として声高に叫ぶのはよいが,バイオ燃料を将来の主役の一つと考えるのは行き過ぎで,このような地球分散型のエネルギーは,集約も大変だし,地球の荒廃に結びつく,と考える。インドネシアは,原油生産国から転落したショックで,このようなバイオ燃料の義務化を加速させたのだろう。もう少し冷静になるべきではないか。
関連情報サイト
http://wiredvision.jp/news/200802/2008021220.html
http://homepage2.nifty.com/w-hydroplus/info4v.html
http://homepage2.nifty.com/w-hydroplus/info7g.htm#Label15ttp://d.hatena.ne.jp/Farmers_Energy/20071003/1191160382
http://www.foejapan.org/news/pdf/16_tomari.pdf
●インド,3つの企業,NTPCとBHELの合弁に主導権
ラメッシュの動くところ,嵐が巻き起こる。少し動きが私には分かりがたいが,記事は次の通りである。カトマンズから帰国するとすぐ,Ramesh はコルカタに飛んだわけである。この地で活動の始まったNBPPLプロジェクト,即ち,NTPC-BHEL Power Projects (NBPPL) に手を突っ込んだ。これは,5,000MWの西ベンガル州の電源開発で,このNTPCとBHELが主導権を握って,EPCコントラクトを独占しようとしていた。
ここに割って入ったのが Ramesh で,他の有力のインフラ企業,ICICI Ventures, Larsen & Toubro and IL&FS の3社に合弁を組ませて,NBPPLプロジェクトの株式持ち分51%を取得させようというもので,この結果,NTPCとBHELの持ち分は,それぞれ25%弱に落ちるというわけである。難のためにそうするのか,Ramesh の発言を追う。
彼はこう言っている。「政府は,この私企業3社に,NBPPLの一部を分け持たせて,このプロジェクトの3段階に経験を踏ませることに決定した。」。結局私の理解は,このコルカタに発電機器生産の一大拠点を造成しようという試みで,それはNTPCやBHELなど政府系の公社だけで出来るものではない,と言っているのだろう。電源の遅れは,機器生産能力にある,とも言われている。これを突破口にしたい Ramesh の意図が読める。
昨年,2007年3月6日の日本経済新聞に,「東芝,インドに火力発電設備の合弁会社」,と題して,東芝がインドで石炭火力向け発電設備事業に参入することが報じられている。「合弁相手は民間の建設・重電エンジニアリング会社としてはインド最大手のラーセン・アンド・トウブロ(L&T)。」,とされているので,今回のラメッシュ作戦の中には,日本企業も参戦している可能性がある,期待する。
時折しも,一昨日27日,米国下院の本会議で,米印原子力協力協定を承認する法案を賛成298,反対117で可決した。後は上院本会議の可決を待つだけだが,インドの原子力開発に火がつくことになる。東芝は,インドや中国で原子力発電所の建設が増えることを見越して米ウェスチングハウスを買収するなど,インド関連事業にも積極的である,とされている。
Reference
India
●080928A India, Economic Times
3つの企業,NTPCとBHELの合弁に主導権
Three major firms eye 51% in NTPC-BHEL JV
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Three_major_firms_eye_51_in_NTPC-BHEL_JV/articleshow/3532426.cms
Indonesia
●080928B Indonesia, The Jakarta Post
政府,バイオ燃料の推進に関して,義務づける法律
Government mandates gradual phase-in of biofuel for industries
http://www.thejakartapost.com/news/2008/09/27/government-mandates-gradual-phasein-biofuel-industries.html
ところが,不安に我慢しきれなくなったインドネシアは,Energy and Mineral Resources Minister Purnomo Yusgiantoro の省令として,2008年10月1日から発電燃料などへの一定量のバイオ燃料混入を義務化,試行し,2009年1月1日からバイオ5%混入と言う大量の義務化を伴う本格運用に入る。特に,cassava, sugarcane and sweet sorghum からとれる bioethanol は,現在,192,349キロリッターであるが,これを2010年には,大きく伸ばして,400万キロリッターとする目標の下に,今回の法制化がなされた。
現在の世界の総量の情報を当たってみると,2005年末の資料であるが,バイオエタノールが3,650万キロリッターと報告されている。今後の主流はバイオエタノールで,アメリカ,ブラジルの2カ国の生産量が突出,EU,中国,インド等で生産量は拡大している。生産されたバイオエタノールはガソリンとの直接混合で利用。アメリカの一部の州やブラジルでは,混合割合の義務化がなされている。
前にも紹介した鈴木篁氏の数字がある。マクロな数字として頭に入りやすい。「現在途上国の未開発潜在耕地は2,054MHA,今後農地として開発される1,059MHA,残りの995MHAの森林を輪作してバイオメタノール(バイオエタノールではなくてメタノール),これで石油換算年間58億トンを得る。」,としている。「2100年の総需要112億トンとして,原発水力60億トンを除いた52億トンがバイオメタノール」。
氏も,cassava, sugarcane and sweet sorghum からとれる bioethanol には否定的で,荒れ地に植生させる biomethanol,とわざわざ念を押している。私の主張は,バイオ燃料は主用燃料とはなり得ない,と言うことである。地球を面的に使ってエネルギーをかき集めて,将来の主用燃料に,と言う考え方は,地球を荒廃させる。石油燃料よりも,バイオ生産過程で節約以上の二酸化炭素を排出する,と言う研究結果もある。かけ声を掛け合って,原油価格を牽制する程度の役割しかないだろう。
インドの重電メーカーの話題がある,カトマンズから一点コルカタに飛んだインドの Ramesh は,NTPCとBHELの両公社で進もうとしていた5000MWプロジェクト関連で,他の私企業の51%参入をごり押しした。時折しも,一昨日の米国国会下院で,米印原子力協定が可決された。今回のコルカタの問題では,日本の東芝と組む Larsen & Toubro が含まれており,また,昨年,東芝は原子力で米ウェスチングハウスを買収している。インドの重電業界は風雲急である。
本文
●インドネシア,政府,バイオ燃料の推進に関して,義務づける法律
インドネシア政府が,Energy and Mineral Resources Minister Purnomo Yusgiantoro の省令として,バイオ燃料使用を義務づけることを法制化したとのニュースである。対象業種は,製造業,商業,石油卸売り,発電,などで,この2008年10月1日施行,2009年1月1日本格実施である。3ヶ月の暫定施行期間を経て本格実施に入ると,全業種に亘って石油燃料に5%のバイオ燃料を混入することを義務づけている。
現行では,castor and crude palm oil からとれる biodiesel が200万キロリッターであるが,これを2010年には500万に上げる目標である。また,cassava, sugarcane and sweet sorghum からとれる bioethanol は,現在,192,349キロリッターであるが,これを2010年には,大きく伸ばして,400万キロリッターとする目標の下に,今回の法制化がなされた。
現在の世界の総量の情報を当たってみると,2005年末の資料であるが,バイオディーゼル燃料が400万キロリッター,バイオエタノールが3,650万キロリッターと報告されている。バイオディーゼルのインドネシアの突出が分かるが,今後の主流はバイオエタノールで,アメリカ,ブラジルの2カ国の生産量が突出,EU,中国,インド等で生産量は拡大している。生産されたバイオエタノールはガソリンとの直接混合で利用。アメリカの一部の州やブラジルでは,混合割合の義務化。
バイオ燃料の地球の気候変動に与える影響については,近年,議論が多い。バイオ燃料生産に至る過程の二酸化ガス排出量が大きく,これを相殺するためには100年オーダーの日時が必要,とのサイエンス誌の二つの論文も話題になっている。何よりも,バイオ燃料を生産するために,地球上の森林が伐採されることへの拘りがある。
先日もこの欄で,フィリッピンがバイオ燃料の法制化を実施し,その成り行きに東南アジア諸国がなりをひそめて見守っている,と言う記事があった。そこにインドネシアが思い切った法制化に乗り出しただけに,驚きがある。米国の自動車業界の思惑など,外圧も推測されるが,一旦法制化されると,そのための土地の奪い合いなど競争によって地球が荒らされる,と言う懸念もある。
バイオ燃料の超長期の見通しについては,一度紹介しているが,鈴木篁氏の数字がある。マクロな数字として頭に入りやすい。「現在途上国の未開発潜在耕地は2,054MHA,今後農地として開発される1,059MHA,残りの995MHAの森林を輪作してバイオメタノール(バイオエタノールではなくてメタノール),これで石油換算年間58億トンを得る。」,としている。「2100年の総需要112億トンとして,原発水力60億トンを除いた52億トンがバイオメタノール」。
日本は,バイオ燃料の推進は非常に遅れている。それは日本が原子力に重点を置いているからである,と書かれた資料もある。私は,バイオ燃料はそこそこに考える,即ち,原油価格を抑える方策として声高に叫ぶのはよいが,バイオ燃料を将来の主役の一つと考えるのは行き過ぎで,このような地球分散型のエネルギーは,集約も大変だし,地球の荒廃に結びつく,と考える。インドネシアは,原油生産国から転落したショックで,このようなバイオ燃料の義務化を加速させたのだろう。もう少し冷静になるべきではないか。
関連情報サイト
http://wiredvision.jp/news/200802/2008021220.html
http://homepage2.nifty.com/w-hydroplus/info4v.html
http://homepage2.nifty.com/w-hydroplus/info7g.htm#Label15ttp://d.hatena.ne.jp/Farmers_Energy/20071003/1191160382
http://www.foejapan.org/news/pdf/16_tomari.pdf
●インド,3つの企業,NTPCとBHELの合弁に主導権
ラメッシュの動くところ,嵐が巻き起こる。少し動きが私には分かりがたいが,記事は次の通りである。カトマンズから帰国するとすぐ,Ramesh はコルカタに飛んだわけである。この地で活動の始まったNBPPLプロジェクト,即ち,NTPC-BHEL Power Projects (NBPPL) に手を突っ込んだ。これは,5,000MWの西ベンガル州の電源開発で,このNTPCとBHELが主導権を握って,EPCコントラクトを独占しようとしていた。
ここに割って入ったのが Ramesh で,他の有力のインフラ企業,ICICI Ventures, Larsen & Toubro and IL&FS の3社に合弁を組ませて,NBPPLプロジェクトの株式持ち分51%を取得させようというもので,この結果,NTPCとBHELの持ち分は,それぞれ25%弱に落ちるというわけである。難のためにそうするのか,Ramesh の発言を追う。
彼はこう言っている。「政府は,この私企業3社に,NBPPLの一部を分け持たせて,このプロジェクトの3段階に経験を踏ませることに決定した。」。結局私の理解は,このコルカタに発電機器生産の一大拠点を造成しようという試みで,それはNTPCやBHELなど政府系の公社だけで出来るものではない,と言っているのだろう。電源の遅れは,機器生産能力にある,とも言われている。これを突破口にしたい Ramesh の意図が読める。
昨年,2007年3月6日の日本経済新聞に,「東芝,インドに火力発電設備の合弁会社」,と題して,東芝がインドで石炭火力向け発電設備事業に参入することが報じられている。「合弁相手は民間の建設・重電エンジニアリング会社としてはインド最大手のラーセン・アンド・トウブロ(L&T)。」,とされているので,今回のラメッシュ作戦の中には,日本企業も参戦している可能性がある,期待する。
時折しも,一昨日27日,米国下院の本会議で,米印原子力協力協定を承認する法案を賛成298,反対117で可決した。後は上院本会議の可決を待つだけだが,インドの原子力開発に火がつくことになる。東芝は,インドや中国で原子力発電所の建設が増えることを見越して米ウェスチングハウスを買収するなど,インド関連事業にも積極的である,とされている。
Reference
India
●080928A India, Economic Times
3つの企業,NTPCとBHELの合弁に主導権
Three major firms eye 51% in NTPC-BHEL JV
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Three_major_firms_eye_51_in_NTPC-BHEL_JV/articleshow/3532426.cms
Indonesia
●080928B Indonesia, The Jakarta Post
政府,バイオ燃料の推進に関して,義務づける法律
Government mandates gradual phase-in of biofuel for industries
http://www.thejakartapost.com/news/2008/09/27/government-mandates-gradual-phasein-biofuel-industries.html
2008年9月28日日曜日
サルウイーン河のダム開発
「サルウイーン河のダム開発」,私がサルウイーン河を最初に目の前にしたのは,2000年10月3日だ,と書いている。ミャンマーから入ってマンダレーで集結し,西のはて,中国との国境に近いコーカン特別自治区に入る途中で,道路の脇を流れる大河に接した。予感通り,水はどす黒く不気味な河であった。これが,全くダム開発が行われていない処女河川なのである。
タイが経済発展を遂げる1980年代後半には,サルウイーンの下流部は,日本の電源開発の庭で,発電と共にサルウイーンの水をバンコクに持ってくる計画が調査されていた。ミャンマーの軍事政権がますます孤立を深める過程の中で,力を付けてきた中国経済の元,中国企業がミャンマーのダム開発を手がけるようになり,日本勢は殆ど撤退した。今は,中国とタイの資本の元に,ダム計画が進められていると聞く。
タイの環境の専門家は,中国の現政権は,少しは海外で勝手に動き回る中国企業をコントロールしたらどうなのか,と問題提起している。この専門家の言い分は,サルウイーンの上流にある中国領内の怒江の問題で,上流と下流とが全く別個に開発計画を動かしているのはおかしい,と言っていて,まさに正論である。メコン河でもこの問題が,昨日の記事で扱われていた。
下流の計画には,Hutgyi ダムと Tasang ダムがあり,比較的規模の小さい Hutgyi ダムが先行しているが,Tasang ダムについては,タイの企業が40%の持ち分で走っていたのに,ミャンマー政府がこれを取り上げて,ミャンマー政府の持ち分を増やし,中国企業の持ち分を51%,マジョリティにして,中国企業に主導権を与えようとして問題になった。今日の記事の Wai Gyi ダムはこれより上流で,中国の主導であろう。
上流の中国,怒江の開発については,嘗てタイム誌が取り上げたことがある。サルイーン河上流,中国領内の怒川のダム開発の雰囲気について,住民の立場或いは環境団体の立場から,中国の地方政府の施策を批判的に書いたものであった。
新政権,湖錦濤の時代になって,温家宝が首相となったが,温家宝首相はダム開発に関して,国家的な目的は理解しながら,かなり消極的で,どんどん進む大規模開発に懸念を示していたようだ。下流についても,中国が主導権をとるつもりならば,何らかの国際的な開発組織を造って欲しいと思う。
本文
●サルイーン河のダム計画,生物多様性環境を破壊する
サルイーン河の開発の中で Wai Gyi ダムサイトが何処にあるのか,確認できないが,おそらく Shan state にある Ta Sang プロジェクトの更に上流にある中国との国境に近い,第3のダムサイトであろう。発電所出力は4,000MW以上で,貯水池の湛水面積は380平方kmで,琵琶湖の半分ぐらいに相当する大規模なダム計画である。
これに反対しているグループは,タイに本拠を置く Karen Environmental and Social Action Network (KESAN) で,40種以上の絶滅危機に瀕している動植物があって,ダム建設によって下流の流量が激減し,この生存が危ぶまれる,と言うものである。
主題以外に,中国とタイの資本が,この成果を持って行くもので,地元への便益還元がなされる可能性はない,との論拠である。中止せよと言うのか,便益を適正に分配せよと言うのか,いつもの通りその論点が確定しないところに問題あり。
●中国,チベットで新しい発電所が運転開始
小規模の水力発電所の運転開始のニュースである。場所がチベットなだけに話題を呼んでいる。40MW規模,Xoka Hydropower Station で,位置は,Gongbo'gyamda County in east Tibet's Nyingchi Prefecture となっている。2006年6月着工,7.23億元,約1.06億ドル相当,ダムの高さは20mで,貯水容量は86万トンの,調整池式水路型と言うところか。
●パキスタン,カシミールの Jagran 水力発電所建設へ
発電所は小さいが,地域が地域なだけに話題を呼ぶ。この Azad Jummu and Kashmir と言う地域は,パキスタンの首都から僅か50kmの西にあって,インドとの間で国境線で紛争地帯になっており,つい先日までは両国の戦場であった。しかし,水力の宝庫であって,既設 Mangla ダムや計画中の Neelum Jhelum Hydropower project 969MWの地点が散在する。
私たちが2000年ぐらいに地方電化で北西辺境州に入ったとき,この地域で活躍するドイツの GTZ (German Agency for Technical Cooperation) のスタッフが造った報告書をよく目にした。とんでもない山の中に居座って,中小規模の水力をまとめて行くねばり強い姿勢に敬意を表したものである。今日の場所は少しそれよりは東方であるが,やはりこれもGTZの成果のようだ。
この Jagran hydropower station は,Village Dilapi in District Neelum of AJK にあって,12.5MWのフランシス水車と16MWのペルトン水車からなっている。流域面積は317平方km。GTZは他に,Dhannan 1.6 MW,Battar 3.2 MW,Jhing 14.4 MW などを準備中である。彼等は偉い。
●フィリッピン,PSALM,NPCのローン返済,日本へ1.84億ドル
フィリッピンの電力改革は,元々は国家電力公社NPC National Power Corporation の負債に発したものである。今日の記事は,600MW Masinloc coal-fired power plant in Zambales の借款の返還に関するもので,相手はADBとJBICである。Masinloc が無事に売却されたことによる措置だと書いている。NPCの負債,2007年末の70億ドルは,2008年9月の時点で58億ドルまで減ったようだ。でもこれからだ。
Reference
Pakistan
●080927A Pakistan, pakobserver
パキスタン,カシミールの Jagran 水力発電所建設へ
Rs 5b Jagran hydropower station
http://pakobserver.net/200809/26/news/topstories09.asp
Philippines
●080927B Philippines, Manila Bulletin
PSALM,NPCのローン返済,日本へ1.84億ドル
PSALM to prepay $ 184-M yen loans
http://www.mb.com.ph/BSNS20080927136361.html
Myanmar
●080927C Myanmar, mizzima
サルイーン河のダム計画,植物環境を破壊する
Junta's hydropower projects to endanger biodiversity of Salween River http://www.mizzima.com/news/inside-burma/1105-juntas-hydropower-projects-to-endanger-biodiversity-of-salween-river.html
China
●080927D China, xinhuanetチベットで新しい発電所が運転開始
New hydropower station starts operation in Tibet
http://news.xinhuanet.com/english/2008-09/26/content_10118158.htm
タイが経済発展を遂げる1980年代後半には,サルウイーンの下流部は,日本の電源開発の庭で,発電と共にサルウイーンの水をバンコクに持ってくる計画が調査されていた。ミャンマーの軍事政権がますます孤立を深める過程の中で,力を付けてきた中国経済の元,中国企業がミャンマーのダム開発を手がけるようになり,日本勢は殆ど撤退した。今は,中国とタイの資本の元に,ダム計画が進められていると聞く。
タイの環境の専門家は,中国の現政権は,少しは海外で勝手に動き回る中国企業をコントロールしたらどうなのか,と問題提起している。この専門家の言い分は,サルウイーンの上流にある中国領内の怒江の問題で,上流と下流とが全く別個に開発計画を動かしているのはおかしい,と言っていて,まさに正論である。メコン河でもこの問題が,昨日の記事で扱われていた。
下流の計画には,Hutgyi ダムと Tasang ダムがあり,比較的規模の小さい Hutgyi ダムが先行しているが,Tasang ダムについては,タイの企業が40%の持ち分で走っていたのに,ミャンマー政府がこれを取り上げて,ミャンマー政府の持ち分を増やし,中国企業の持ち分を51%,マジョリティにして,中国企業に主導権を与えようとして問題になった。今日の記事の Wai Gyi ダムはこれより上流で,中国の主導であろう。
上流の中国,怒江の開発については,嘗てタイム誌が取り上げたことがある。サルイーン河上流,中国領内の怒川のダム開発の雰囲気について,住民の立場或いは環境団体の立場から,中国の地方政府の施策を批判的に書いたものであった。
新政権,湖錦濤の時代になって,温家宝が首相となったが,温家宝首相はダム開発に関して,国家的な目的は理解しながら,かなり消極的で,どんどん進む大規模開発に懸念を示していたようだ。下流についても,中国が主導権をとるつもりならば,何らかの国際的な開発組織を造って欲しいと思う。
本文
●サルイーン河のダム計画,生物多様性環境を破壊する
サルイーン河の開発の中で Wai Gyi ダムサイトが何処にあるのか,確認できないが,おそらく Shan state にある Ta Sang プロジェクトの更に上流にある中国との国境に近い,第3のダムサイトであろう。発電所出力は4,000MW以上で,貯水池の湛水面積は380平方kmで,琵琶湖の半分ぐらいに相当する大規模なダム計画である。
これに反対しているグループは,タイに本拠を置く Karen Environmental and Social Action Network (KESAN) で,40種以上の絶滅危機に瀕している動植物があって,ダム建設によって下流の流量が激減し,この生存が危ぶまれる,と言うものである。
主題以外に,中国とタイの資本が,この成果を持って行くもので,地元への便益還元がなされる可能性はない,との論拠である。中止せよと言うのか,便益を適正に分配せよと言うのか,いつもの通りその論点が確定しないところに問題あり。
●中国,チベットで新しい発電所が運転開始
小規模の水力発電所の運転開始のニュースである。場所がチベットなだけに話題を呼んでいる。40MW規模,Xoka Hydropower Station で,位置は,Gongbo'gyamda County in east Tibet's Nyingchi Prefecture となっている。2006年6月着工,7.23億元,約1.06億ドル相当,ダムの高さは20mで,貯水容量は86万トンの,調整池式水路型と言うところか。
●パキスタン,カシミールの Jagran 水力発電所建設へ
発電所は小さいが,地域が地域なだけに話題を呼ぶ。この Azad Jummu and Kashmir と言う地域は,パキスタンの首都から僅か50kmの西にあって,インドとの間で国境線で紛争地帯になっており,つい先日までは両国の戦場であった。しかし,水力の宝庫であって,既設 Mangla ダムや計画中の Neelum Jhelum Hydropower project 969MWの地点が散在する。
私たちが2000年ぐらいに地方電化で北西辺境州に入ったとき,この地域で活躍するドイツの GTZ (German Agency for Technical Cooperation) のスタッフが造った報告書をよく目にした。とんでもない山の中に居座って,中小規模の水力をまとめて行くねばり強い姿勢に敬意を表したものである。今日の場所は少しそれよりは東方であるが,やはりこれもGTZの成果のようだ。
この Jagran hydropower station は,Village Dilapi in District Neelum of AJK にあって,12.5MWのフランシス水車と16MWのペルトン水車からなっている。流域面積は317平方km。GTZは他に,Dhannan 1.6 MW,Battar 3.2 MW,Jhing 14.4 MW などを準備中である。彼等は偉い。
●フィリッピン,PSALM,NPCのローン返済,日本へ1.84億ドル
フィリッピンの電力改革は,元々は国家電力公社NPC National Power Corporation の負債に発したものである。今日の記事は,600MW Masinloc coal-fired power plant in Zambales の借款の返還に関するもので,相手はADBとJBICである。Masinloc が無事に売却されたことによる措置だと書いている。NPCの負債,2007年末の70億ドルは,2008年9月の時点で58億ドルまで減ったようだ。でもこれからだ。
Reference
Pakistan
●080927A Pakistan, pakobserver
パキスタン,カシミールの Jagran 水力発電所建設へ
Rs 5b Jagran hydropower station
http://pakobserver.net/200809/26/news/topstories09.asp
Philippines
●080927B Philippines, Manila Bulletin
PSALM,NPCのローン返済,日本へ1.84億ドル
PSALM to prepay $ 184-M yen loans
http://www.mb.com.ph/BSNS20080927136361.html
Myanmar
●080927C Myanmar, mizzima
サルイーン河のダム計画,植物環境を破壊する
Junta's hydropower projects to endanger biodiversity of Salween River http://www.mizzima.com/news/inside-burma/1105-juntas-hydropower-projects-to-endanger-biodiversity-of-salween-river.html
China
●080927D China, xinhuanetチベットで新しい発電所が運転開始
New hydropower station starts operation in Tibet
http://news.xinhuanet.com/english/2008-09/26/content_10118158.htm
2008年9月27日土曜日
メコン流域会議開催と中国
「メコン流域会議開催と中国」,今日のこのメモを書く直前に,友人の紹介で,2006年に執筆された東大の大西香世氏になる修士論文で,「メコン流域に於ける中国と下流国の国際流域の政治学」,と言う論文を見せて貰った。それは勿論,非常に学術的で,私には,まどろっこしい,と思わせるものがあるが,このように深くメコン河に突っ込んでいる研究者が居られるのか,と驚いた。
国際河川の最上流に地域の強国が存在すると,その強国は思うがままに上流の開発を行う,と言う学説があると言うことだ。氏は,中東や欧州などの歴史と比べて,どうして中国はメコン川下流国と,このように協調的なのであろうか。それは,この中国が下流の東南アジア諸国と,水資源以外で深い結びつきがあり,中国が,水資源と他の経済条件を同時に,下流国と折衝しているからだ,としている。
今日の記事の中でも,中国紙が,下流のメコン諸国から感謝されている,と言う記事を載せている。今回正式に調印された洪水時の水文資料の提供のことを言っているわけである。それは,洪水時期,6月15日から10月15日まで,流量資料をメコン河委員会事務局に提供する,と言うものである。大西氏の論文の中にも取り上げられているので,これは2006年には既に資料の提供が始まっていたのだろう。
しかし,私の実感は少し違う。私の実感は,中国の上流部でのダム開発に対して,下流国はよくここまで我慢しているな,と言うことである。確かに環境団体はいろいろ発言をしているが,政府,少なくともミャンマー,ラオス,タイの政府は,一言も不満を言っていないし,これらの政府によって管理されているメコン河委員会も,公式には中国政府に対して,何もアクションをとっていない。
1990年代初め,既に上流の漫湾ダムの建設が終わっていた頃,当時は上流は全く闇の中であった。今でこそ,我々は詳細なダム計画を知っているし,その進捗状況も分かっている。中国の代表が,メコン委員会の前に姿を現したのは,1991年のルワンプラバンの総会の時が初めてである。1998年頃,よく雲南省を訪ねた。下流国は大丈夫か,と幹部に聞いたら,「ASEAN会議で説明して,下流国はノーコメントだ,了承していると言うことだろう。」,と言っていた。
私は,上流のダム開発は,理論的には下流国に恩恵をもたらすと思っている。それは渇水量の補給であり,洪水の制御である。しかしいずれの場合も,両者が話し合って,ダム運用を適切に行った場合の話である。もし下流のことを全く考えずに運用すると,下流国にいろいろな影響が出てくる。もっとも,便益があるから下流国も,上流ダムにお金を出しなさい,とは中国は言わないと思うが。
本文
●メコン河委員会のトップは,中国の協力に満足している
中国側の報道である。9月25~27日までビエンチャンで MRC's Regional Multi-Stakeholder Consultation が開かれている。ここで,中国から Ministry of Water Resources of China の代表が参加して,メコン事務局長 Jeremy Bird, Chief Executive Officer of the MRC との間で,中国側から河川流量観測所のデーターが提供される,と言う協定が結ばれ,それに事務局長が感謝した,と言う記事である。
上流の Lancang River の2カ所 Yunjinghong and Man'an ,の流量データーを,洪水期,6月15日~10月15日まで,事務局に通知するというもの。この観測所は,漫湾ダムと景洪ダムの2カ所を意味するのだろう。事務局はこれをどう処理するのか,メコン河委員会のHPには,水位がかなり時間を追って出ているので,そこで情報は公開されるのだろう。
洪水に関しては一応の上下流連絡体制がとれたことになるが,渇水の問題については,両者とも,なかなか触れがたいようだ。実際には舟運や灌漑にも影響が出ているのだが,ダムの影響については,一旦出ると問題は大きくなる。基本的には下流に便益が出る,と考えるべきだ。今回の会議では,中国のコンサルタントが上流の問題をプレゼンテーションしたようだ。
Ph. D. Chen Guanfu, Senior Engineer of China Hydropower and Water Resources Planning and Design General Institute が説明を行ったが,上流ダムの下流への影響は小さい,と断じている。それは,Lancang river が河口の流域面積に対して僅か13.5%だから,と記事は説明している。しかしこれは不適切で,ラオスのビエンチャンでは,30平方kmの流域に対して,上流は20平方kmある。まだまだフランクに議論し合う雰囲気までには達していないようだ。
●メコン河のダム開発は悲劇的な危険をはらんでいる
このメコン河委員会の会議で,環境グループの Dr. Carl Middleton, coordinator of the International Rivers Mekong Programme が88ページに及ぶ報告書を提出して,ラオス政府に,ダム建設を一時中止するよう勧告している。長文の記事であるが,ただ一点,ダムの犠牲となる地元住民の問題を取り上げているようだ。
ダム建設を一時中止せよ,少なくとも,流域全体の総合計画が確定して,ラオス政府が環境保護立法を確立することが前提だ,と主張している。その一方で,ダム建設による便益は,地元住民も含めた関係者全体で分配されるべきだ,と言っている。ダム建設が駄目だ,と言っているのか,ダム建設をして便益を分けようと言っているのか,よく分からない。
●メコン河の水力開発の持続的発展はないのか
ジェームスボンド,どこかで切った名前だな。James Bond is Chief Operating Officer of the World Bank Group's Multilateral Investment Guarantee Agency,彼が昨日のメコンの会議で演説した内容を,5点にまとめてある。彼の前半のポイントはともかくとして,後半の部分に一つの論点がある。それは,メコン河が民間セクターによって開発が進んでいる,という点である。彼はここでMRCを持ち出している。
実は,15年前,メコン河の開発が民間資本に委ねられることが決定したときに,私もメコン委員会にいて,これに関して随分議論した。個別のプロジェクトを個々の民間に委ねる場合は,ラオス政府の法整備が欠かせないと,と主張していた。日本政府にもこの面での支援を要請した。技術基準については,JICAの支援が得られたが,開発そのものについては,結局,世界銀行がナムテン2で,そのコントロールを行うことになった。事実上のラオスのダム開発の法律そのものである。これが他のプロジェクトにも適用されるという保証はない。
●フィリッピン,化石燃料に頼ることを危ぶむ,水力資源はないのか
フィリッピンは,常に国産エネルギーの開発を最重点に置くべき,と言う議論が先行する。余りにも海外の化石燃料,特に石油に頼りすぎだ,と言うのである。これは実際どうしようもない話なのであるが,フィリッピンにはまだ包蔵水力が残されている,と主張している。未開発の水力は,大小併せて13,097MWと言われている。
水力開発の難点は,資本集中型で資金調達が困難なこと,開発に7年のような長い期間が必要なこと,社会的な受容性に問題のあること,それから特に小水力では,経済性に難点があること,などを挙げて,政府の税優遇制度など,公的なインセンティブが必要である,と論じている。
●中国建国50周年,雲南省の麗江など,観光客で賑わっている
写真が素晴らしく綺麗である。今や水力開発を最大のターゲットにしている雲南省であるが,建国50周年行事として,昆明,麗江,大理などを中心に,大々的な観光宣伝に乗り出している。ダムが出来,更に道路が整備されると,メコン上流,ランサン川周辺も,大きな観光スポットになるだろう。
●中東諸国が,カンボジアの食糧生産への投資を視野に入れている
全部読んでいないが,こういう動きがあるとは知らなかった。東南アジアが,水と土地という面から如何に恵まれているか,私たちはよく知っている。中東諸国が,近い将来の食糧問題から,東南アジアの土地に目を付けている,それに特のカンボジアだ,と言うわけである。将来の食糧増産の基礎として土地を買い,安い食糧を持ち帰る,と言うこと。
Reference
Philippines,
●080926A Philippines, bworldonline
化石燃料に頼ることを危ぶむ,水力資源はないのか
An alternative approach to energy self-sufficiency Hydro Energy
http://www.bworldonline.com/BW092608/content.php?id=056
Laos
●080926B Mekong, Bangkok Post
メコン河の水力開発の持続的発展はないのか
Sustainable development of Mekong hydropower
http://www.bangkokpost.com/260908_News/26Sep2008_news25.php
●080926C Mekong, peopleandplanet
メコン河のダム開発は悲劇的な危険をはらんでいる]
Study reveals tragic dangers of Mekong dam boom
http://www.peopleandplanet.net/doc.php?id=3385
●080926D Mekong, xinhuanet
メコン河委員会のトップは,中国の協力に満足している
MRC chief satisfied with cooperation with China
http://news.xinhuanet.com/english/2008-09/25/content_10110507.htm
China
●080926E China, gokunming.com
中国建国50周年,雲南省の麗江など,観光客で賑わっている
Around Northwest Yunnan: Lijiang, Tiger Leaping Gorge and Dali
http://gokunming.com/en/blog/item/711/around_northwest_yunnan_lijiang_tiger_leaping_gorge_and_dali
Cambodia
●080926F Cambodia, Asia Times
中東諸国が,カンボジアの食糧生産への投資を視野に入れているGulf states covet Asian farms
http://www.atimes.com/atimes/Southeast_Asia/JI26Ae01.html
国際河川の最上流に地域の強国が存在すると,その強国は思うがままに上流の開発を行う,と言う学説があると言うことだ。氏は,中東や欧州などの歴史と比べて,どうして中国はメコン川下流国と,このように協調的なのであろうか。それは,この中国が下流の東南アジア諸国と,水資源以外で深い結びつきがあり,中国が,水資源と他の経済条件を同時に,下流国と折衝しているからだ,としている。
今日の記事の中でも,中国紙が,下流のメコン諸国から感謝されている,と言う記事を載せている。今回正式に調印された洪水時の水文資料の提供のことを言っているわけである。それは,洪水時期,6月15日から10月15日まで,流量資料をメコン河委員会事務局に提供する,と言うものである。大西氏の論文の中にも取り上げられているので,これは2006年には既に資料の提供が始まっていたのだろう。
しかし,私の実感は少し違う。私の実感は,中国の上流部でのダム開発に対して,下流国はよくここまで我慢しているな,と言うことである。確かに環境団体はいろいろ発言をしているが,政府,少なくともミャンマー,ラオス,タイの政府は,一言も不満を言っていないし,これらの政府によって管理されているメコン河委員会も,公式には中国政府に対して,何もアクションをとっていない。
1990年代初め,既に上流の漫湾ダムの建設が終わっていた頃,当時は上流は全く闇の中であった。今でこそ,我々は詳細なダム計画を知っているし,その進捗状況も分かっている。中国の代表が,メコン委員会の前に姿を現したのは,1991年のルワンプラバンの総会の時が初めてである。1998年頃,よく雲南省を訪ねた。下流国は大丈夫か,と幹部に聞いたら,「ASEAN会議で説明して,下流国はノーコメントだ,了承していると言うことだろう。」,と言っていた。
私は,上流のダム開発は,理論的には下流国に恩恵をもたらすと思っている。それは渇水量の補給であり,洪水の制御である。しかしいずれの場合も,両者が話し合って,ダム運用を適切に行った場合の話である。もし下流のことを全く考えずに運用すると,下流国にいろいろな影響が出てくる。もっとも,便益があるから下流国も,上流ダムにお金を出しなさい,とは中国は言わないと思うが。
本文
●メコン河委員会のトップは,中国の協力に満足している
中国側の報道である。9月25~27日までビエンチャンで MRC's Regional Multi-Stakeholder Consultation が開かれている。ここで,中国から Ministry of Water Resources of China の代表が参加して,メコン事務局長 Jeremy Bird, Chief Executive Officer of the MRC との間で,中国側から河川流量観測所のデーターが提供される,と言う協定が結ばれ,それに事務局長が感謝した,と言う記事である。
上流の Lancang River の2カ所 Yunjinghong and Man'an ,の流量データーを,洪水期,6月15日~10月15日まで,事務局に通知するというもの。この観測所は,漫湾ダムと景洪ダムの2カ所を意味するのだろう。事務局はこれをどう処理するのか,メコン河委員会のHPには,水位がかなり時間を追って出ているので,そこで情報は公開されるのだろう。
洪水に関しては一応の上下流連絡体制がとれたことになるが,渇水の問題については,両者とも,なかなか触れがたいようだ。実際には舟運や灌漑にも影響が出ているのだが,ダムの影響については,一旦出ると問題は大きくなる。基本的には下流に便益が出る,と考えるべきだ。今回の会議では,中国のコンサルタントが上流の問題をプレゼンテーションしたようだ。
Ph. D. Chen Guanfu, Senior Engineer of China Hydropower and Water Resources Planning and Design General Institute が説明を行ったが,上流ダムの下流への影響は小さい,と断じている。それは,Lancang river が河口の流域面積に対して僅か13.5%だから,と記事は説明している。しかしこれは不適切で,ラオスのビエンチャンでは,30平方kmの流域に対して,上流は20平方kmある。まだまだフランクに議論し合う雰囲気までには達していないようだ。
●メコン河のダム開発は悲劇的な危険をはらんでいる
このメコン河委員会の会議で,環境グループの Dr. Carl Middleton, coordinator of the International Rivers Mekong Programme が88ページに及ぶ報告書を提出して,ラオス政府に,ダム建設を一時中止するよう勧告している。長文の記事であるが,ただ一点,ダムの犠牲となる地元住民の問題を取り上げているようだ。
ダム建設を一時中止せよ,少なくとも,流域全体の総合計画が確定して,ラオス政府が環境保護立法を確立することが前提だ,と主張している。その一方で,ダム建設による便益は,地元住民も含めた関係者全体で分配されるべきだ,と言っている。ダム建設が駄目だ,と言っているのか,ダム建設をして便益を分けようと言っているのか,よく分からない。
●メコン河の水力開発の持続的発展はないのか
ジェームスボンド,どこかで切った名前だな。James Bond is Chief Operating Officer of the World Bank Group's Multilateral Investment Guarantee Agency,彼が昨日のメコンの会議で演説した内容を,5点にまとめてある。彼の前半のポイントはともかくとして,後半の部分に一つの論点がある。それは,メコン河が民間セクターによって開発が進んでいる,という点である。彼はここでMRCを持ち出している。
実は,15年前,メコン河の開発が民間資本に委ねられることが決定したときに,私もメコン委員会にいて,これに関して随分議論した。個別のプロジェクトを個々の民間に委ねる場合は,ラオス政府の法整備が欠かせないと,と主張していた。日本政府にもこの面での支援を要請した。技術基準については,JICAの支援が得られたが,開発そのものについては,結局,世界銀行がナムテン2で,そのコントロールを行うことになった。事実上のラオスのダム開発の法律そのものである。これが他のプロジェクトにも適用されるという保証はない。
●フィリッピン,化石燃料に頼ることを危ぶむ,水力資源はないのか
フィリッピンは,常に国産エネルギーの開発を最重点に置くべき,と言う議論が先行する。余りにも海外の化石燃料,特に石油に頼りすぎだ,と言うのである。これは実際どうしようもない話なのであるが,フィリッピンにはまだ包蔵水力が残されている,と主張している。未開発の水力は,大小併せて13,097MWと言われている。
水力開発の難点は,資本集中型で資金調達が困難なこと,開発に7年のような長い期間が必要なこと,社会的な受容性に問題のあること,それから特に小水力では,経済性に難点があること,などを挙げて,政府の税優遇制度など,公的なインセンティブが必要である,と論じている。
●中国建国50周年,雲南省の麗江など,観光客で賑わっている
写真が素晴らしく綺麗である。今や水力開発を最大のターゲットにしている雲南省であるが,建国50周年行事として,昆明,麗江,大理などを中心に,大々的な観光宣伝に乗り出している。ダムが出来,更に道路が整備されると,メコン上流,ランサン川周辺も,大きな観光スポットになるだろう。
●中東諸国が,カンボジアの食糧生産への投資を視野に入れている
全部読んでいないが,こういう動きがあるとは知らなかった。東南アジアが,水と土地という面から如何に恵まれているか,私たちはよく知っている。中東諸国が,近い将来の食糧問題から,東南アジアの土地に目を付けている,それに特のカンボジアだ,と言うわけである。将来の食糧増産の基礎として土地を買い,安い食糧を持ち帰る,と言うこと。
Reference
Philippines,
●080926A Philippines, bworldonline
化石燃料に頼ることを危ぶむ,水力資源はないのか
An alternative approach to energy self-sufficiency Hydro Energy
http://www.bworldonline.com/BW092608/content.php?id=056
Laos
●080926B Mekong, Bangkok Post
メコン河の水力開発の持続的発展はないのか
Sustainable development of Mekong hydropower
http://www.bangkokpost.com/260908_News/26Sep2008_news25.php
●080926C Mekong, peopleandplanet
メコン河のダム開発は悲劇的な危険をはらんでいる]
Study reveals tragic dangers of Mekong dam boom
http://www.peopleandplanet.net/doc.php?id=3385
●080926D Mekong, xinhuanet
メコン河委員会のトップは,中国の協力に満足している
MRC chief satisfied with cooperation with China
http://news.xinhuanet.com/english/2008-09/25/content_10110507.htm
China
●080926E China, gokunming.com
中国建国50周年,雲南省の麗江など,観光客で賑わっている
Around Northwest Yunnan: Lijiang, Tiger Leaping Gorge and Dali
http://gokunming.com/en/blog/item/711/around_northwest_yunnan_lijiang_tiger_leaping_gorge_and_dali
Cambodia
●080926F Cambodia, Asia Times
中東諸国が,カンボジアの食糧生産への投資を視野に入れているGulf states covet Asian farms
http://www.atimes.com/atimes/Southeast_Asia/JI26Ae01.html
2008年9月26日金曜日
インド,2025年までに60,000MW水力
ネパールのカトマンズーに座り込んで,インドの電力を熱く語っているのは,我らが,「アジア開発3人男」,の一人,Minister of State for Power Jairam Ramesh である。因みに,今朝の朝刊によると,4人男の一人,タイの Samak 元首相は捕まってしまった,禁固2年の刑。
Ramesh が,60,000MWの水力,と言うから,何か聞いた数字だな,と思って過去の記録を見たら,この9月21日に,Planning Commission Deputy Chairman Montek Singh Ahluwalia が,2050年までに原子力600,000MW開発と言っていた。
Ramesh は非常に包括的に,また網羅的に語っている。このポイントは,現在水力火力の比率が,25:75であるのを,2025年には,40:60に持って行く,と語っていることである。困難であるが,非常に意欲的な構想である。これは私は,Ramesh が,人類最後の仕事に挑戦している宣言であると思う。
今の世界は,地球を守るためには,インドと中国の石炭火力を,如何に抑制するかにかかっている。ただ,インドの水力開発は,言うに易いが,実現には,国際的な協力が欠かせない。私は,専門家は,日本でCDMを論ずる時間があるなら,ヒマラヤに行くべきだと思う。
Ramesh の言う60000MWの内訳。50,000MWは国内資源であり,10,000MWはブータンからである。国内資源はその50%が水力資源豊富な北東の Arunachal Pradesh であり,残りは山岳州の Sikkim,Himachal Pradesh,Uttarakhand,Jammu and Kashmir である。ブータンからは現在1,400MWを輸入しているが,新規に1,100MWが具体化している。
Ramesh はカトマンズーでこれを語っているわけだが,彼の数字の中には,ネパールの話はまだ出てこない。国内,ブータンに続いて彼が言ったのは,先日自分でまとめてきたミャンマーの Chindwin basin の,1,200MW Tamanthi project である。そうして彼は最後に,これも,「アジア開発3人男」,の一人,世界の時の人,ネパール共和国初代首相,Prachanda の,10年間で10,000MW水力開発を持ち出す。
本文
●インド,2025年までに60,000MW水力開発へ
ネパールのカトマンズーにあって,インドの長期に亘る電力政策を語るのは,Minister of State for Power Jairam Ramesh である。既に,多くは発表されている内容であるが,幾つかは,注目すべき新しい点がある。それは,バングラデシュとの間で電力融通を行うことと,現在の,水力火力比率25:75を,火力を減らして,2025年までには,40:60にしたいという点である。これこそが,人類が願う石炭火力抑制である。
インドは,2025年までに60,000MWの水力開発を目指している。このうち50,000MWは国内資源であり,10,000MWはブータンからである。国内資源はその50%が水力資源豊富な北東の Arunachal Pradesh であり,残りは山岳州の Sikkim,Himachal Pradesh,Uttarakhand,Jammu and Kashmir である。ブータンからは現在1,400MWを輸入しているが,新規に1,100MWが具体化している。
また,先日 Ramesh がミャンマーを訪れて協定を結んできたミャンマーの Chindwin basin の,1,200MW Tamanthi project がある。また,the South Asian Association for Regional Cooperation (SAARC) の構想の中に入るものとして,アフガニスタンの送電連携,スリランカの海底送電連携と Trincomalee の500MW石炭火力も進んでいる。
ここまで話した Ramesh は,改めてネパールの Prachanda の提案を取り上げ,ネパールはこの10年で10,000MWの開発を提案している。インドはこれらも考慮して,水力の比率を40%まで上げたい,と演説した。更に,ネパールとインドの国境線180kmの各所の境界の道路整備も提案している。「アジア開発3人男」,の一人,Ramesh の構想は大きい。なお,もう一人,タイの Samak 元首相は,禁固刑の判決を受けている。
●インド,Riliance, 二つの大規模火力,年内に資金調達終了へ
タタと並んでインドの2大財閥,Anil Ambani 率いる Reliance Power,その会長の Reliance Power Chairman Anil Ambani が,この企業の電源開発に関する見通しを語った。なかなか進まない石炭火力大規模開発UMPPのうち,Tata Power のMudra は資金調達を完了しているが,Reliance の二つ,Sasan,Krishnapatnam はまだ資金調達が完了していない。年内の見通しという。Sasaan は2,000億ルピー,4.42 億ドル相当,krishnapatnam は1600億ルピー,3.54億ドル相当である。
その他に,原子力の民間開発参入を狙っていて,7,8年には実現したとしている。他に,280億ドルを準備して,28,200MWの石炭火力と水力を,これも8年以内に実現したい。また,100MWクラスの Grid Interactive Concentrating Solar Power Plant の開発も考えている。
●フィリッピン,Alson, Negros Occidental で40MW水力開発へ
フィリッピン企業 Alsons Consolidated Resources の関連会社 Alto Power Management Corp が,ネグロス島の中央部,Negros Occidental 県で,水力開発を提案。元はNPCが構想を持っていたが,火山 Mount Kanlaon の近くの Bago River の上流で,ダム式の構想を改めて流れ込み式の階段状開発,合計40MW,建設費38億ペソ,約57億円で建設すべく,pre-feasibility study に入った。KWh当たり4ペソ,Central Negros Electric Cooperative の現行の5ペソより安いだろう,と言っている。コンタクト先は,Alsons corporate information officer Premy Ann G. Beloy。
Reference
Philippines
●080925A Philippines,
Alson, Negros Occidental で40MW水力開発へ
Alsons eyes P3.8-B, 40-MW hydropower project http://www.inquirer.net/specialfeatures/power/view.php?db=1&article=20080925-162739
India
●080925B India, Economic Times
インド,2025年までに60,000MW水力開発へ
India aims at 60,000 MW more hydropower by 2025
http://www.thaindian.com/newsportal/south-asia/india-aims-at-60000-mw-more-hydropower-by-2025_10099367.html
●080925C India, Economic Times
Riliance, 二つの大規模火力,年内に資金調達終了へFinancial closure for 2 mega plants this year
Reliance Power
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Financial_closure_for_2_mega_plants_this_year_Reliance_Power/articleshow/3519317.cms
Ramesh が,60,000MWの水力,と言うから,何か聞いた数字だな,と思って過去の記録を見たら,この9月21日に,Planning Commission Deputy Chairman Montek Singh Ahluwalia が,2050年までに原子力600,000MW開発と言っていた。
Ramesh は非常に包括的に,また網羅的に語っている。このポイントは,現在水力火力の比率が,25:75であるのを,2025年には,40:60に持って行く,と語っていることである。困難であるが,非常に意欲的な構想である。これは私は,Ramesh が,人類最後の仕事に挑戦している宣言であると思う。
今の世界は,地球を守るためには,インドと中国の石炭火力を,如何に抑制するかにかかっている。ただ,インドの水力開発は,言うに易いが,実現には,国際的な協力が欠かせない。私は,専門家は,日本でCDMを論ずる時間があるなら,ヒマラヤに行くべきだと思う。
Ramesh の言う60000MWの内訳。50,000MWは国内資源であり,10,000MWはブータンからである。国内資源はその50%が水力資源豊富な北東の Arunachal Pradesh であり,残りは山岳州の Sikkim,Himachal Pradesh,Uttarakhand,Jammu and Kashmir である。ブータンからは現在1,400MWを輸入しているが,新規に1,100MWが具体化している。
Ramesh はカトマンズーでこれを語っているわけだが,彼の数字の中には,ネパールの話はまだ出てこない。国内,ブータンに続いて彼が言ったのは,先日自分でまとめてきたミャンマーの Chindwin basin の,1,200MW Tamanthi project である。そうして彼は最後に,これも,「アジア開発3人男」,の一人,世界の時の人,ネパール共和国初代首相,Prachanda の,10年間で10,000MW水力開発を持ち出す。
本文
●インド,2025年までに60,000MW水力開発へ
ネパールのカトマンズーにあって,インドの長期に亘る電力政策を語るのは,Minister of State for Power Jairam Ramesh である。既に,多くは発表されている内容であるが,幾つかは,注目すべき新しい点がある。それは,バングラデシュとの間で電力融通を行うことと,現在の,水力火力比率25:75を,火力を減らして,2025年までには,40:60にしたいという点である。これこそが,人類が願う石炭火力抑制である。
インドは,2025年までに60,000MWの水力開発を目指している。このうち50,000MWは国内資源であり,10,000MWはブータンからである。国内資源はその50%が水力資源豊富な北東の Arunachal Pradesh であり,残りは山岳州の Sikkim,Himachal Pradesh,Uttarakhand,Jammu and Kashmir である。ブータンからは現在1,400MWを輸入しているが,新規に1,100MWが具体化している。
また,先日 Ramesh がミャンマーを訪れて協定を結んできたミャンマーの Chindwin basin の,1,200MW Tamanthi project がある。また,the South Asian Association for Regional Cooperation (SAARC) の構想の中に入るものとして,アフガニスタンの送電連携,スリランカの海底送電連携と Trincomalee の500MW石炭火力も進んでいる。
ここまで話した Ramesh は,改めてネパールの Prachanda の提案を取り上げ,ネパールはこの10年で10,000MWの開発を提案している。インドはこれらも考慮して,水力の比率を40%まで上げたい,と演説した。更に,ネパールとインドの国境線180kmの各所の境界の道路整備も提案している。「アジア開発3人男」,の一人,Ramesh の構想は大きい。なお,もう一人,タイの Samak 元首相は,禁固刑の判決を受けている。
●インド,Riliance, 二つの大規模火力,年内に資金調達終了へ
タタと並んでインドの2大財閥,Anil Ambani 率いる Reliance Power,その会長の Reliance Power Chairman Anil Ambani が,この企業の電源開発に関する見通しを語った。なかなか進まない石炭火力大規模開発UMPPのうち,Tata Power のMudra は資金調達を完了しているが,Reliance の二つ,Sasan,Krishnapatnam はまだ資金調達が完了していない。年内の見通しという。Sasaan は2,000億ルピー,4.42 億ドル相当,krishnapatnam は1600億ルピー,3.54億ドル相当である。
その他に,原子力の民間開発参入を狙っていて,7,8年には実現したとしている。他に,280億ドルを準備して,28,200MWの石炭火力と水力を,これも8年以内に実現したい。また,100MWクラスの Grid Interactive Concentrating Solar Power Plant の開発も考えている。
●フィリッピン,Alson, Negros Occidental で40MW水力開発へ
フィリッピン企業 Alsons Consolidated Resources の関連会社 Alto Power Management Corp が,ネグロス島の中央部,Negros Occidental 県で,水力開発を提案。元はNPCが構想を持っていたが,火山 Mount Kanlaon の近くの Bago River の上流で,ダム式の構想を改めて流れ込み式の階段状開発,合計40MW,建設費38億ペソ,約57億円で建設すべく,pre-feasibility study に入った。KWh当たり4ペソ,Central Negros Electric Cooperative の現行の5ペソより安いだろう,と言っている。コンタクト先は,Alsons corporate information officer Premy Ann G. Beloy。
Reference
Philippines
●080925A Philippines,
Alson, Negros Occidental で40MW水力開発へ
Alsons eyes P3.8-B, 40-MW hydropower project http://www.inquirer.net/specialfeatures/power/view.php?db=1&article=20080925-162739
India
●080925B India, Economic Times
インド,2025年までに60,000MW水力開発へ
India aims at 60,000 MW more hydropower by 2025
http://www.thaindian.com/newsportal/south-asia/india-aims-at-60000-mw-more-hydropower-by-2025_10099367.html
●080925C India, Economic Times
Riliance, 二つの大規模火力,年内に資金調達終了へFinancial closure for 2 mega plants this year
Reliance Power
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Financial_closure_for_2_mega_plants_this_year_Reliance_Power/articleshow/3519317.cms
インドとネパールの電力サミット
すさまじいニュースの洪水である。ヒマラヤの辺境がエネルギー開発で,お祭り騒ぎである。私にとって面白かったのは,早くから目を付けた,「アジア開発3人男」,の二人,インドの Ramesh とネパールの Prachanda が直接ぶつかりあって,この旋風を巻き起こしていることである。
でも,今日の一連の記事で私の関心を引いたのは次の点である。インド企業は大挙してネパールの水力開発に押しかけているが,インドの銀行はその資金調達に極めて冷淡であること,とそれに対して中国企業が,政府系ファンドの全面的な協力を得て,それをバックにネパールに押し出そうとしている。そのことに,インド人が言いようのない苛立ちに襲われている。
中国企業,China National Machinery and Equipment Import and Export Corp., or CMEC と Sinohydro Corp が,中国の公的銀行 Bank of China and China Exim Bank の裏書きのあるクレジットをひらめかしながら,West Seti や Marsiangri の水力開発の乗り込んでくる。一方でインド企業は,自国の Punjab National Bank and Canara Bank などにアクセスするも,銀行は無関心で,中国の金融の方に目を向け見ざるを得ない,と言うのである。中国の手法はまさしく,アフリカの資源を狙った方法と同じである。
インドの Ramesh の電力サミット開会式での演説が,このような状態の中でのインドの割り切りを表現している。曰く,「資金調達は,取り立てて難しい仕事ではない。しかし,民間市場はこれを全額負担する気はない。どうしても官民の協力が欠かせない。そのためには,ネパール政府も一定の役割を果たす必要がある。はっきりしていることは,インドは発生する電力の買い取り手だ。遠隔操作のスイッチはネパール政府が握っている。ネパール政府が動けば我々も動く。しかし,ネパール政府が停まれば我々も停まる。私は,ネパールが再び元に時計を巻き戻すとことはない,と信じている。」。
それでも,インド人の苛立ちは隠しきれない。カトマンズーに駐在するインド政府高官は言っている「中国のネパールでの競争は,やや大袈裟に伝えられている。それは余りにこちらが神経質であり,中
国が余りにも巨大であるからだ。ネパールはインドの直接の隣人であるからこそ,我々インド人は,余計にいらいら神経質になっているのだ。'we get jittery'。」。
本文
●中国企業,ネパールの水力獲得のために資金活動
ネパールの新首相 Prachanda は,ニューデリー訪問の前に北京を訪れている。今日の記事は,ネパールの水力開発を真ん中に置いて,インドと中国がどの様な駆け引きを行っているか,誠に興味ある内容である。インドは,既に3つの企業をネパールに送り込んで水力開発の準備に余念がない。ネパール新政府も,中規模水力についての開発は,インド企業がマジョリティを取ることを許容して,積極的に支援する。
ところが,インドの銀行は,これらのネパール進出のインド企業に対する資金の支援には全く関心がないと言うのだ。そこで出てくるのが,豊富な資金の裏付けを持つ中国企業である。China National Machinery and Equipment Import and Export Corp., or CMEC は,750MW West Seti Hydro Project に,また,Sinohydro Corp は,50MW Marsiangri project に,それぞれ Bank of China and China Exim Bank の裏書きを持ったクレジットを手に,インド企業を尻目に乗り込んできている。アフリカで経験した中国の戦略である。
カマンズーに駐在するインド政府高官,その言葉が,インドの苛立ちを端的に表している。「中国のネパールでの競争は,やや大袈裟に伝えられている。それは余りにこちらが神経質であり,中国が余りにも巨大であるからだ。ネパールはインドの直接の隣人であるからこそ,我々インド人は,余計にいらいら神経質になっているのだ。'we get jittery'。
●インド,ネパールの水力開発のために,20 billion ドル準備
第3回インドネパール電力サミットが,この火曜日にカトマンズーで開会した。300以上のインド企業を中心とした参加者を引き連れたのは,我らが,「アジア開発3人男」,の一人,Indian Minister of State for Commerce and Power Jairam Ramesh である。ネパールの new Maoist Prime Minister Pushpa Kamal Dahal Prachanda が,この10年で10000MW開発を示唆して,その必要資金が20 billion ドルであることを頭の中に置いての,Ramesh の演説は興味深い。
「20 billion ドル,取り立てて難しい仕事ではない。しかし,民間市場はこれを全額負担する気はない。どうしても官民の協力が欠かせない。そのためには,ネパール政府も一定の役割を果たす必要がある。はっきりしていることは,インドは発生する電力の買い取り手だ。遠隔操作のスイッチはネパール政府が握っている。ネパール政府が動けば我々も動く。しかし,ネパール政府が停まれば我々も停まる。私は,ネパールが再び元に時計を巻き戻すとことはない,と信じている。」。
彼は当面の指標として,Australian Snowy Mountain Engineering Corporation がエンジニアリングを進め, Chinese EPC contractor が参入し,またインドの建設企業 IL&FS が建設し,インドの Power Trading Corporation of India が電気を引き取ることになっている,750MW West Seti project がこの6ヶ月ないに動き始めるかどうか,と考えている。
●インド企業3社に続いて,多くの企業がネパールへのライセンス獲得へ
何ともすごい勢いである。今まで凍てついていた氷を砕いたのは,インド企業 GMR Energy の300MW Upper Karnali project であるが,Nepal’s Department of Electricity Development に発電所建設のライセンスを申請しているのは,世界中から72企業に上り,そのうち60企業がインドからで,New Delhi, Mumbai, Karnataka and Hyderabad の各企業だという。この記事に挙げられたプロジェクト名だけ拾っておく。
500 MW Tila project,Karnali Gutu 144 MW,10,800 MW Karnali Chisapani Storage,Upper Arun, Lower Arun, Sapta Gandaki on the Narayani river,4 projects on the Dudhkoshi that range from 108 MW to 213 MW,Upper Arun, Tila, Karnali, Ande Pipal Arun, Chokan Lingam and Lunsun Pepuwa,Upper Trishuli 2A, Karnali 7A, Seti River Jal Vidyut Yojana, Karnali 4, Humla Karnali 1 and Mugu Karnali 1,3,300 MW Saptakoshi Storage。
●ラメッシュ,ネパールとの経済連携協定を締結へ奔走
カトマンズーを訪問中のインドの Minister of State for Commerce and Power Jairam Ramesh が明らかにした内容である。前回,Prime Minister Pushpakamal Dahal "Prachanda" がニューデリーを訪問したときに,ネパールインド経済連携協定 The Nepal-India Comprehensive Economic Partnership Agreement の推進について話し合われた。今回具体的に, Ramesh と Nepalese Commerce and Supplies Minister Rajendra Mahato が原則論を話し合い,10月中にも,再びインドで会議を持つ。3年を目処に締結したいと言っている。
その他
●インドとネパールので電力サミット,カトマンズで始まる
●インドネシア,プルタミナ,Cepu 油田に,来年以降500 million ドル投入
Reference
Nepal
●080924A Nepal, news.xinhuanet
インドとネパールので電力サミット,カトマンズで始まる
Indo-Nepal Power Summit 2008 begins in Kathmandu http://news.xinhuanet.com/english/2008-09/23/content_10096451.htm
●080924B Nepal, steelguru
インド企業3社に続いて,多くの企業がネパールへのライセンス獲得へ
Indian firms flood Nepal with hydropower proposals http://steelguru.com/news/index/2008/09/24/NjQxMDU%3D/Indian_firms_flood_Nepal_with_hydropower_proposals.html
●080924C Nepal, livemint
中国企業,ネパールの水力獲得のために活動Chinese cos play the credit card to win Nepal hydro projects
http://www.livemint.com/2008/09/24001233/Chinese-cos-play-the-credit-ca.html?h=B
India
●080924D India, ptinews
ラメッシュ,ネパールとの経済連携協定を締結へ奔走
India, Nepal working on comprehensive eco agreement: Ramesh
http://www.ptinews.com/pti%5Cptisite.nsf/0/0BFF2D1C37C27D88652574CD00536412?OpenDocument
●080924E India, Economic Times
インド,ネパールの水力開発のために,20 billion ドル準備
India ready to help Nepal raise $20 bn for hydropower sector
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/India_ready_to_help_Nepal_raise_20_bn_for_hydropower_sector/articleshow/3518454.cms
Indonesia
●080924F Indonesia, The Jakarta Post
プルタミナ,Cepu 油田に,来年以降500 million ドル投入Pertamina to invest $500m on Cepu project
http://www.thejakartapost.com/news/2008/09/23/pertamina-invest-500m-cepu-project.html
でも,今日の一連の記事で私の関心を引いたのは次の点である。インド企業は大挙してネパールの水力開発に押しかけているが,インドの銀行はその資金調達に極めて冷淡であること,とそれに対して中国企業が,政府系ファンドの全面的な協力を得て,それをバックにネパールに押し出そうとしている。そのことに,インド人が言いようのない苛立ちに襲われている。
中国企業,China National Machinery and Equipment Import and Export Corp., or CMEC と Sinohydro Corp が,中国の公的銀行 Bank of China and China Exim Bank の裏書きのあるクレジットをひらめかしながら,West Seti や Marsiangri の水力開発の乗り込んでくる。一方でインド企業は,自国の Punjab National Bank and Canara Bank などにアクセスするも,銀行は無関心で,中国の金融の方に目を向け見ざるを得ない,と言うのである。中国の手法はまさしく,アフリカの資源を狙った方法と同じである。
インドの Ramesh の電力サミット開会式での演説が,このような状態の中でのインドの割り切りを表現している。曰く,「資金調達は,取り立てて難しい仕事ではない。しかし,民間市場はこれを全額負担する気はない。どうしても官民の協力が欠かせない。そのためには,ネパール政府も一定の役割を果たす必要がある。はっきりしていることは,インドは発生する電力の買い取り手だ。遠隔操作のスイッチはネパール政府が握っている。ネパール政府が動けば我々も動く。しかし,ネパール政府が停まれば我々も停まる。私は,ネパールが再び元に時計を巻き戻すとことはない,と信じている。」。
それでも,インド人の苛立ちは隠しきれない。カトマンズーに駐在するインド政府高官は言っている「中国のネパールでの競争は,やや大袈裟に伝えられている。それは余りにこちらが神経質であり,中
国が余りにも巨大であるからだ。ネパールはインドの直接の隣人であるからこそ,我々インド人は,余計にいらいら神経質になっているのだ。'we get jittery'。」。
本文
●中国企業,ネパールの水力獲得のために資金活動
ネパールの新首相 Prachanda は,ニューデリー訪問の前に北京を訪れている。今日の記事は,ネパールの水力開発を真ん中に置いて,インドと中国がどの様な駆け引きを行っているか,誠に興味ある内容である。インドは,既に3つの企業をネパールに送り込んで水力開発の準備に余念がない。ネパール新政府も,中規模水力についての開発は,インド企業がマジョリティを取ることを許容して,積極的に支援する。
ところが,インドの銀行は,これらのネパール進出のインド企業に対する資金の支援には全く関心がないと言うのだ。そこで出てくるのが,豊富な資金の裏付けを持つ中国企業である。China National Machinery and Equipment Import and Export Corp., or CMEC は,750MW West Seti Hydro Project に,また,Sinohydro Corp は,50MW Marsiangri project に,それぞれ Bank of China and China Exim Bank の裏書きを持ったクレジットを手に,インド企業を尻目に乗り込んできている。アフリカで経験した中国の戦略である。
カマンズーに駐在するインド政府高官,その言葉が,インドの苛立ちを端的に表している。「中国のネパールでの競争は,やや大袈裟に伝えられている。それは余りにこちらが神経質であり,中国が余りにも巨大であるからだ。ネパールはインドの直接の隣人であるからこそ,我々インド人は,余計にいらいら神経質になっているのだ。'we get jittery'。
●インド,ネパールの水力開発のために,20 billion ドル準備
第3回インドネパール電力サミットが,この火曜日にカトマンズーで開会した。300以上のインド企業を中心とした参加者を引き連れたのは,我らが,「アジア開発3人男」,の一人,Indian Minister of State for Commerce and Power Jairam Ramesh である。ネパールの new Maoist Prime Minister Pushpa Kamal Dahal Prachanda が,この10年で10000MW開発を示唆して,その必要資金が20 billion ドルであることを頭の中に置いての,Ramesh の演説は興味深い。
「20 billion ドル,取り立てて難しい仕事ではない。しかし,民間市場はこれを全額負担する気はない。どうしても官民の協力が欠かせない。そのためには,ネパール政府も一定の役割を果たす必要がある。はっきりしていることは,インドは発生する電力の買い取り手だ。遠隔操作のスイッチはネパール政府が握っている。ネパール政府が動けば我々も動く。しかし,ネパール政府が停まれば我々も停まる。私は,ネパールが再び元に時計を巻き戻すとことはない,と信じている。」。
彼は当面の指標として,Australian Snowy Mountain Engineering Corporation がエンジニアリングを進め, Chinese EPC contractor が参入し,またインドの建設企業 IL&FS が建設し,インドの Power Trading Corporation of India が電気を引き取ることになっている,750MW West Seti project がこの6ヶ月ないに動き始めるかどうか,と考えている。
●インド企業3社に続いて,多くの企業がネパールへのライセンス獲得へ
何ともすごい勢いである。今まで凍てついていた氷を砕いたのは,インド企業 GMR Energy の300MW Upper Karnali project であるが,Nepal’s Department of Electricity Development に発電所建設のライセンスを申請しているのは,世界中から72企業に上り,そのうち60企業がインドからで,New Delhi, Mumbai, Karnataka and Hyderabad の各企業だという。この記事に挙げられたプロジェクト名だけ拾っておく。
500 MW Tila project,Karnali Gutu 144 MW,10,800 MW Karnali Chisapani Storage,Upper Arun, Lower Arun, Sapta Gandaki on the Narayani river,4 projects on the Dudhkoshi that range from 108 MW to 213 MW,Upper Arun, Tila, Karnali, Ande Pipal Arun, Chokan Lingam and Lunsun Pepuwa,Upper Trishuli 2A, Karnali 7A, Seti River Jal Vidyut Yojana, Karnali 4, Humla Karnali 1 and Mugu Karnali 1,3,300 MW Saptakoshi Storage。
●ラメッシュ,ネパールとの経済連携協定を締結へ奔走
カトマンズーを訪問中のインドの Minister of State for Commerce and Power Jairam Ramesh が明らかにした内容である。前回,Prime Minister Pushpakamal Dahal "Prachanda" がニューデリーを訪問したときに,ネパールインド経済連携協定 The Nepal-India Comprehensive Economic Partnership Agreement の推進について話し合われた。今回具体的に, Ramesh と Nepalese Commerce and Supplies Minister Rajendra Mahato が原則論を話し合い,10月中にも,再びインドで会議を持つ。3年を目処に締結したいと言っている。
その他
●インドとネパールので電力サミット,カトマンズで始まる
●インドネシア,プルタミナ,Cepu 油田に,来年以降500 million ドル投入
Reference
Nepal
●080924A Nepal, news.xinhuanet
インドとネパールので電力サミット,カトマンズで始まる
Indo-Nepal Power Summit 2008 begins in Kathmandu http://news.xinhuanet.com/english/2008-09/23/content_10096451.htm
●080924B Nepal, steelguru
インド企業3社に続いて,多くの企業がネパールへのライセンス獲得へ
Indian firms flood Nepal with hydropower proposals http://steelguru.com/news/index/2008/09/24/NjQxMDU%3D/Indian_firms_flood_Nepal_with_hydropower_proposals.html
●080924C Nepal, livemint
中国企業,ネパールの水力獲得のために活動Chinese cos play the credit card to win Nepal hydro projects
http://www.livemint.com/2008/09/24001233/Chinese-cos-play-the-credit-ca.html?h=B
India
●080924D India, ptinews
ラメッシュ,ネパールとの経済連携協定を締結へ奔走
India, Nepal working on comprehensive eco agreement: Ramesh
http://www.ptinews.com/pti%5Cptisite.nsf/0/0BFF2D1C37C27D88652574CD00536412?OpenDocument
●080924E India, Economic Times
インド,ネパールの水力開発のために,20 billion ドル準備
India ready to help Nepal raise $20 bn for hydropower sector
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/India_ready_to_help_Nepal_raise_20_bn_for_hydropower_sector/articleshow/3518454.cms
Indonesia
●080924F Indonesia, The Jakarta Post
プルタミナ,Cepu 油田に,来年以降500 million ドル投入Pertamina to invest $500m on Cepu project
http://www.thejakartapost.com/news/2008/09/23/pertamina-invest-500m-cepu-project.html
ベトナムの電力不足の原因
あれほどの快進撃を続けてきたベトナムのエネルギー問題,電力問題が,どうしてここに来て混沌としてきたのか?一つのヒントを与えるのが今日の記事だと思う。ベトナムは,2010~2015年の間に,30,000MWを開発する計画を持っており,そのうち26,000MWが石炭火力である。インドネシアと同じ考えで,原油ガスの高騰を考えれば,当然の計画であろう。
Vietnam National Oil and Gas Group (PetroVietnam) は,この計画の一環として,13の石炭プロジェクトを計画し,首相へ直接手紙を書いて提案した。この提案に対して,EVNが拒否の姿勢を明らかにした。理由は,資金難,技術的困難,石炭確保困難,の三つである。現在のベトナムの電力セクターが,如何に混乱していて,中途半端かがよく分かる経緯である。
Tran Viet Ngai, Chairman of the Vietnam Energy Association が,このEVNの態度を,‘wise move’な措置だと,皮肉を込めて語っている。EVNのエンジニアーは水力開発に異常な執着心を持っていて,火力開発に不熱心だ。外国資本に委ねればよいが,嘗ては東京電力など,火力開発に大いに貢献したものの,今では,ベトナムの投資手続きの面倒さと買電交渉の難しさから,完全に腰が引けている。
問題は,硬直化してきたEVNそのものの組織にある。しかし,もっと基本的な問題は,ベトナム経済の先行きである。インフレの恐れが政府を悩ましており,電力料金値上げを許さない。EVNはIPPから高く買って需要家に安く売らなければならない仕組みが,改善されない。もう一つは,水力が電力不足を解決してくれると信じていることだ。
水力はあくまでピーク供給力であって,ベースとなる電源の開発をおろそかにしては,システムは成り立たない。原子力のあるところは,原子力と水力または揚水の組み合わせが主要な電源の基本であり,原子力のないところは,当面,石炭火力の開発をおろそかにすべきではない。石炭火力と水力ピーク,水力のないところ,例えばインドネシアやフィリッピンは,揚水で対処することになる。再生可能エネルギーや国内エネルギー資源の開発などは,あくまで補完的なものである。
タイの原子力が動き始めた。米国コンサルタントが,約5億円で,20ヶ月,2020年を目指してのタイの原子力開発に関する20ヶ月の予定で feasibility study を実施する。タイも,ラオスの水力開発の1年延期や,カタールからのLNG輸入が,10 million トン予定のところ,1 million だけが契約されただけで,需給に難問を抱えている。
本文
●ベトナム,EVN,13発電プロジェクト開発を拒否,なぜ?
あれほど快進撃を遂げたベトナムの電力が,なぜここに来て問題を起こしているのか,なぜ電力危機回避の見通しが立たないのか,少し理解できるような今日の記事である。Tran Viet Ngai, Chairman of the Vietnam Energy Association が記者に語った内容が中心である。彼は,今回の大規模13石炭火力プロジェクト,13,000MWを,EVNが拒否したことについて,‘wise move’な措置だと,皮肉を込めて語っている。
ベトナムは,2010~2015年の間に30,000MWの新規電源開発を計画しており,そのうち26,000MWを石炭火力と考えている。Vietnam National Oil and Gas Group (PetroVietnam) は,直接首相に手紙を書き,13石炭プロジェクト,13,000MWの開発を提案したが,これをEVNが拒否したという。理由は,三つ,一つは莫大な予算確保の問題,二つは技術的困難,三つは石炭供給の見通し。
EVNのエンジニアー達は,水力は巧みだが,火力は全然駄目だという。外国資本は,手続きと買電交渉が困難で出てこない。今回の13プロジェクトは次の通り。
1,200 MW Duyen Hai 2 thermopower; Duyen Hai 3.1; Duyen Hai 3.2; Soc Trang 3.1; Soc Trang 3.2; Vinh Tan 3.1; Vinh Tan 3.2 (1,000 MW for each); Vung Ang 3.1; Vung Ang 3.2; Hai Phong 3.2; Hai PHong 3.3; Quang Trach (1,200 MW for each); and 600 MW Hai Phong 3.1.
●米国企業,タイの原子力発電所の調査参入,決定
EGATによる原子力投入,4,000MW,2020~2021年開発,の計画に沿って,米国のコンサルタント企業 Burns and Roe Corporation が,180 million バーツ(5.33 million ドル),20ヶ月,2010年5月完成で,feasibility study を引き受けた。内容は,project cost, location, safety standards, environmental management and technology, as well as operation and management training issues の5項目である。
これは,Chavalit Pichalai, the acting deputy director-general of the Nuclear Power Project Development Office が語ったものである。この原子力開発構想が実現した段階で,タイの電源構成は,原子力が12.58%,ガス火力が57.25%,輸入を主体とした水力が16%となる。依然としてガスの比率は高いが,現在の70%から見れば,相当に改善されている。石炭火力には触れていない。
ただ,ラオスからの水力輸入が遅れていて,power development plan (PDP) を改訂する必要に迫られている。ラオスの2013年に予定されていた1,653MWの Hongsa Lignite,2014年に予定されていた440MW Nam Ngum 3,140MW Nam Bak がそれぞれ1年遅れる。また問題はPTTの進めるカタールよりのLNG輸入の遅れである。2012年に輸入開始を予定しているが,10 million トンの予定が,1 million しか目処が立っていない。
●ネパール,水力で方針転換,インド企業へ主導権
Nepal Prime Minister Pushpa Kamal Dahal のニューデリー訪問が,今後10年間で10000MWの水力開発を提案させた。この提案は,ネパールの水力地点がアクセスへのインフラを必要とすることから,総額1.2 trillion ルピー,約16.5 billion ドル相当の予算を必要としている。これだけの資金を集めるためには,インドなど外国企業に,majority を与えなければ不可能と判断した。
Arjun Kumar Karki, managing director at Nepal Electricity Authority は,300~500MWの中規模の水力に限り,外国企業に51%以上の Majority を与えることを決断した。既にインド企業の,Satluj Jal Vidyut Nigam Ltd, Bhilwara Energy Ltd and GMR Infrastructure Ltd. が現場に入っており,最初の具体例として,42MWの Upper Modi project が,South Korea’s Korea Electric Power Corp に70%のシェアーが認められた。
●インド,Baglihar dam,水没移住が完了せず
パキスタンとインドの間で長く紛争の続いた,インダス河上流 Chenab river の450MW Baglihar hydropower project, 総工事費335 million ドル,は湛水開始を1ヶ月後に控えて,移住住民への補償がまだ終わっていない,と住民側から不満が噴出している。移住は,ダムサイトから60kmの範囲に及んで,15,000家族が,土地か現金か,の選択を迫られている。
Reference
Vietnam
●080923A Vietnam, english.vietnamnet
EVN,13発電プロジェクト開発を拒否,なぜ?
EVN refuses 13 power plant projects, why
http://english.vietnamnet.vn/biz/2008/09/804957/
Thailand
●080923B Thailand, Bangkok Post
米国企業,タイの原子力発電所の調査参入,決定
US firm to do study on nuclear plant
http://www.bangkokpost.com/230908_Business/23Sep2008_biz38.php
Nepal
●080923C Nepal, livemint
ネパール,水力で方針転換,インド企業へ主導権
Nepal turns to Indian power firms for funding
http://www.livemint.com/2008/09/23004142/Nepal-turns-to-Indian-power-fi.html
India
●080923D India, thaindian
インド,Baglihar dam,水没移住が完了せず
Baglihar dam displaced yet to be rehabilitated
http://www.thaindian.com/newsportal/india-news/baglihar-dam-displaced-yet-to-be-rehabilitated_10098377.html
Vietnam National Oil and Gas Group (PetroVietnam) は,この計画の一環として,13の石炭プロジェクトを計画し,首相へ直接手紙を書いて提案した。この提案に対して,EVNが拒否の姿勢を明らかにした。理由は,資金難,技術的困難,石炭確保困難,の三つである。現在のベトナムの電力セクターが,如何に混乱していて,中途半端かがよく分かる経緯である。
Tran Viet Ngai, Chairman of the Vietnam Energy Association が,このEVNの態度を,‘wise move’な措置だと,皮肉を込めて語っている。EVNのエンジニアーは水力開発に異常な執着心を持っていて,火力開発に不熱心だ。外国資本に委ねればよいが,嘗ては東京電力など,火力開発に大いに貢献したものの,今では,ベトナムの投資手続きの面倒さと買電交渉の難しさから,完全に腰が引けている。
問題は,硬直化してきたEVNそのものの組織にある。しかし,もっと基本的な問題は,ベトナム経済の先行きである。インフレの恐れが政府を悩ましており,電力料金値上げを許さない。EVNはIPPから高く買って需要家に安く売らなければならない仕組みが,改善されない。もう一つは,水力が電力不足を解決してくれると信じていることだ。
水力はあくまでピーク供給力であって,ベースとなる電源の開発をおろそかにしては,システムは成り立たない。原子力のあるところは,原子力と水力または揚水の組み合わせが主要な電源の基本であり,原子力のないところは,当面,石炭火力の開発をおろそかにすべきではない。石炭火力と水力ピーク,水力のないところ,例えばインドネシアやフィリッピンは,揚水で対処することになる。再生可能エネルギーや国内エネルギー資源の開発などは,あくまで補完的なものである。
タイの原子力が動き始めた。米国コンサルタントが,約5億円で,20ヶ月,2020年を目指してのタイの原子力開発に関する20ヶ月の予定で feasibility study を実施する。タイも,ラオスの水力開発の1年延期や,カタールからのLNG輸入が,10 million トン予定のところ,1 million だけが契約されただけで,需給に難問を抱えている。
本文
●ベトナム,EVN,13発電プロジェクト開発を拒否,なぜ?
あれほど快進撃を遂げたベトナムの電力が,なぜここに来て問題を起こしているのか,なぜ電力危機回避の見通しが立たないのか,少し理解できるような今日の記事である。Tran Viet Ngai, Chairman of the Vietnam Energy Association が記者に語った内容が中心である。彼は,今回の大規模13石炭火力プロジェクト,13,000MWを,EVNが拒否したことについて,‘wise move’な措置だと,皮肉を込めて語っている。
ベトナムは,2010~2015年の間に30,000MWの新規電源開発を計画しており,そのうち26,000MWを石炭火力と考えている。Vietnam National Oil and Gas Group (PetroVietnam) は,直接首相に手紙を書き,13石炭プロジェクト,13,000MWの開発を提案したが,これをEVNが拒否したという。理由は,三つ,一つは莫大な予算確保の問題,二つは技術的困難,三つは石炭供給の見通し。
EVNのエンジニアー達は,水力は巧みだが,火力は全然駄目だという。外国資本は,手続きと買電交渉が困難で出てこない。今回の13プロジェクトは次の通り。
1,200 MW Duyen Hai 2 thermopower; Duyen Hai 3.1; Duyen Hai 3.2; Soc Trang 3.1; Soc Trang 3.2; Vinh Tan 3.1; Vinh Tan 3.2 (1,000 MW for each); Vung Ang 3.1; Vung Ang 3.2; Hai Phong 3.2; Hai PHong 3.3; Quang Trach (1,200 MW for each); and 600 MW Hai Phong 3.1.
●米国企業,タイの原子力発電所の調査参入,決定
EGATによる原子力投入,4,000MW,2020~2021年開発,の計画に沿って,米国のコンサルタント企業 Burns and Roe Corporation が,180 million バーツ(5.33 million ドル),20ヶ月,2010年5月完成で,feasibility study を引き受けた。内容は,project cost, location, safety standards, environmental management and technology, as well as operation and management training issues の5項目である。
これは,Chavalit Pichalai, the acting deputy director-general of the Nuclear Power Project Development Office が語ったものである。この原子力開発構想が実現した段階で,タイの電源構成は,原子力が12.58%,ガス火力が57.25%,輸入を主体とした水力が16%となる。依然としてガスの比率は高いが,現在の70%から見れば,相当に改善されている。石炭火力には触れていない。
ただ,ラオスからの水力輸入が遅れていて,power development plan (PDP) を改訂する必要に迫られている。ラオスの2013年に予定されていた1,653MWの Hongsa Lignite,2014年に予定されていた440MW Nam Ngum 3,140MW Nam Bak がそれぞれ1年遅れる。また問題はPTTの進めるカタールよりのLNG輸入の遅れである。2012年に輸入開始を予定しているが,10 million トンの予定が,1 million しか目処が立っていない。
●ネパール,水力で方針転換,インド企業へ主導権
Nepal Prime Minister Pushpa Kamal Dahal のニューデリー訪問が,今後10年間で10000MWの水力開発を提案させた。この提案は,ネパールの水力地点がアクセスへのインフラを必要とすることから,総額1.2 trillion ルピー,約16.5 billion ドル相当の予算を必要としている。これだけの資金を集めるためには,インドなど外国企業に,majority を与えなければ不可能と判断した。
Arjun Kumar Karki, managing director at Nepal Electricity Authority は,300~500MWの中規模の水力に限り,外国企業に51%以上の Majority を与えることを決断した。既にインド企業の,Satluj Jal Vidyut Nigam Ltd, Bhilwara Energy Ltd and GMR Infrastructure Ltd. が現場に入っており,最初の具体例として,42MWの Upper Modi project が,South Korea’s Korea Electric Power Corp に70%のシェアーが認められた。
●インド,Baglihar dam,水没移住が完了せず
パキスタンとインドの間で長く紛争の続いた,インダス河上流 Chenab river の450MW Baglihar hydropower project, 総工事費335 million ドル,は湛水開始を1ヶ月後に控えて,移住住民への補償がまだ終わっていない,と住民側から不満が噴出している。移住は,ダムサイトから60kmの範囲に及んで,15,000家族が,土地か現金か,の選択を迫られている。
Reference
Vietnam
●080923A Vietnam, english.vietnamnet
EVN,13発電プロジェクト開発を拒否,なぜ?
EVN refuses 13 power plant projects, why
http://english.vietnamnet.vn/biz/2008/09/804957/
Thailand
●080923B Thailand, Bangkok Post
米国企業,タイの原子力発電所の調査参入,決定
US firm to do study on nuclear plant
http://www.bangkokpost.com/230908_Business/23Sep2008_biz38.php
Nepal
●080923C Nepal, livemint
ネパール,水力で方針転換,インド企業へ主導権
Nepal turns to Indian power firms for funding
http://www.livemint.com/2008/09/23004142/Nepal-turns-to-Indian-power-fi.html
India
●080923D India, thaindian
インド,Baglihar dam,水没移住が完了せず
Baglihar dam displaced yet to be rehabilitated
http://www.thaindian.com/newsportal/india-news/baglihar-dam-displaced-yet-to-be-rehabilitated_10098377.html
インドの南アジア送電連携構想
こういう話は,私の言う,「アジア開発3人男」,が出てきなければ成立しない。インドの minister of state for power and commerce Jairam Ramesh とネパールの Nepal premier Pushpa Kamal Dahal 'Prachanda' の二人が,今日は別々の記事の中で相呼応し,南アジアのエネルギー開発構想を盛り上げた。
Ramesh が最近,嫌がるインドの水力発電公社NHPCを連れ出して,ミャンマーの首都を2度に亘って訪問し,二つの水力プロジェクトの開発で協力を約束した。それが Chindwin river basin の 1,200MW Tamanthi project and the 600MW Shwzaye project である。Ramesh の眞の狙いは,ミャンマー沖の天然ガスにあるのだが,この Chindwin 開発は,今回の South Asia power grid 構想に強く関連づけられていた。
ブータンについては既に輸入の実績があり,2020年までに5,000MW輸入の約束が出来ている。ネパールについては,今回の Nepal premier Pushpa Kamal Dahal 'Prachanda' のデリー訪問で,彼自身が,向こう10年間での10,000MW開発を申し出ている。また既にインドの民間企業が動き出している。ミャンマーは,Chindwin で活動を開始した。
今日の記事では,スリランカをも巻き込むものである。スリランカでは,450 million ドルの海底送電線構想が動いており,更にNTPCによる500MW石炭火力開発が動いている。これで,インドを中核に,ブータン,ネパール,ミャンマー,スリランカの大きなネットワーク形成への構想が,Ramesh の中に生まれてきたわけである。バングラデシュはどうするのかな。今のところ,ガスパイプラインで対立関係にあるのか。
本文
●南アジアの送電線連携で,インドがイニシャティブ
こういう場合は,必ず,「アジア開発3人男」,の一人が出てこなければ,芝居は成り立たない。インドの minister of state for power and commerce Jairam Ramesh が,先頃から盛んにNHPCの尻を叩いてミャンマーに出かけていたが,今日の彼の構想をぶち挙げるために,殆どNHPCが諦め欠けていたミャンマーの Chindwin river basin の開発を繋いできたのだ。
彼は,インドが,第11次,第12次の五カ年計画で161GWの電源を確保しなければ8%の経済成長を続けられない,と言うことを前提に,南アジアの送電連携構想を打ち上げたわけである。それは,ミャンマー,ネパール,ブータン,更にはスリランカを包含する構想 South Asia power grid で,この構想はインドが主導しなければ成り立たない,と彼は声高に叫んでいる。
ネパールの包蔵は83,000MW,可能が45000MW,既開発は僅かに591MWの現状の中,既に GMR,state-owned Satluj Jal Vidyut Nigam, power trader PTC India Ltd などが活動を始めている。ブータンは,2020年までに5,000MW輸入の計画であり,既に,1,080MW Punatsangchhu-I, the 1,000MW Punatsangchhu-II and the 600MW Mengdechu が動いている。
ミャンマーは,包蔵水力39720MW,既開発は僅かに747MW。現在,NHPCが Chindwin river basin で 1,200MW Tamanthi project and the 600MW Shwzaye project を調査中である。スリランカは,450 million ドルの海底送電線プロジェクトと,500MWの石炭火力が動いている。
●ネパールの水力輸入に関し,強気の楽観論
二人とも,私が指名した,「アジア開発3人男」,(残念ながらタイのサマック首相は政治の場から姿を消した)の中の二人である。一人は,インドの minister of state for power and commerce Jairam Ramesh,もう一人はネパールの Nepal premier Pushpa Kamal Dahal 'Prachanda'。今日は,この二人が同時に私のHPを飾ってくれた。
Prachanda は強気である。インドの協力を得て,次の10年間で10,000MWの水力開発構想に固執している。これは Ramesh の South Asia power grid に呼応するものだ。ネパールの水力開発は,世界的にも環境に大きな影響を与えない,としている。水力開発と同時に,今回の Kosi 川の洪水をきっかけに,a joint Indo-Nepal water authority を組織する構想も浮上している。
現実に動いている両国共同のプロジェクトは,GMR group is setting up the 300 mw Upper Karnali project と the state-owned Sutlej Jal Vidyut Nigam is promoting the 402 mw Arun III project である。
●フィリッピン,天然ガスの価格に関し,透明性が求められている
天然ガスの価格,LNGも含めての話であろうが,この価格形成のメカニズムが不透明だという議論は続いていた。今回は,米国の Federal Energy Regulatory Commission (FERC) が,新たなルールを求めて,法の改正に乗り出したということである。フィリッピンがこの報道に鋭く反応したのは,最近のガス生産国として,価格メカニズムが不安定,と例を引かれたことに発している。
Reference
Sptember 22, 2008
Philippines
●080922A Philippines, Manila Bulletin
天然ガスの価格に関し,透明性が求められている
Transparency in gas price reporting urged http://www.mb.com.ph/BSNS20080922135861.html
India
●080922B India, economictimes
ネパールの水力輸入に関し,強気の楽観論
Bullish on power sharing
http://economictimes.indiatimes.com/Editorial/Bullish_on_power_sharing/articleshow/3510916.cms
●080922C India, telegraphindia
南アジアの送電線連携で,インドがイニシャティブ
Bid to create South Asia power grid http://www.telegraphindia.com/1080922/jsp/business/story_9868332.jsp
Ramesh が最近,嫌がるインドの水力発電公社NHPCを連れ出して,ミャンマーの首都を2度に亘って訪問し,二つの水力プロジェクトの開発で協力を約束した。それが Chindwin river basin の 1,200MW Tamanthi project and the 600MW Shwzaye project である。Ramesh の眞の狙いは,ミャンマー沖の天然ガスにあるのだが,この Chindwin 開発は,今回の South Asia power grid 構想に強く関連づけられていた。
ブータンについては既に輸入の実績があり,2020年までに5,000MW輸入の約束が出来ている。ネパールについては,今回の Nepal premier Pushpa Kamal Dahal 'Prachanda' のデリー訪問で,彼自身が,向こう10年間での10,000MW開発を申し出ている。また既にインドの民間企業が動き出している。ミャンマーは,Chindwin で活動を開始した。
今日の記事では,スリランカをも巻き込むものである。スリランカでは,450 million ドルの海底送電線構想が動いており,更にNTPCによる500MW石炭火力開発が動いている。これで,インドを中核に,ブータン,ネパール,ミャンマー,スリランカの大きなネットワーク形成への構想が,Ramesh の中に生まれてきたわけである。バングラデシュはどうするのかな。今のところ,ガスパイプラインで対立関係にあるのか。
本文
●南アジアの送電線連携で,インドがイニシャティブ
こういう場合は,必ず,「アジア開発3人男」,の一人が出てこなければ,芝居は成り立たない。インドの minister of state for power and commerce Jairam Ramesh が,先頃から盛んにNHPCの尻を叩いてミャンマーに出かけていたが,今日の彼の構想をぶち挙げるために,殆どNHPCが諦め欠けていたミャンマーの Chindwin river basin の開発を繋いできたのだ。
彼は,インドが,第11次,第12次の五カ年計画で161GWの電源を確保しなければ8%の経済成長を続けられない,と言うことを前提に,南アジアの送電連携構想を打ち上げたわけである。それは,ミャンマー,ネパール,ブータン,更にはスリランカを包含する構想 South Asia power grid で,この構想はインドが主導しなければ成り立たない,と彼は声高に叫んでいる。
ネパールの包蔵は83,000MW,可能が45000MW,既開発は僅かに591MWの現状の中,既に GMR,state-owned Satluj Jal Vidyut Nigam, power trader PTC India Ltd などが活動を始めている。ブータンは,2020年までに5,000MW輸入の計画であり,既に,1,080MW Punatsangchhu-I, the 1,000MW Punatsangchhu-II and the 600MW Mengdechu が動いている。
ミャンマーは,包蔵水力39720MW,既開発は僅かに747MW。現在,NHPCが Chindwin river basin で 1,200MW Tamanthi project and the 600MW Shwzaye project を調査中である。スリランカは,450 million ドルの海底送電線プロジェクトと,500MWの石炭火力が動いている。
●ネパールの水力輸入に関し,強気の楽観論
二人とも,私が指名した,「アジア開発3人男」,(残念ながらタイのサマック首相は政治の場から姿を消した)の中の二人である。一人は,インドの minister of state for power and commerce Jairam Ramesh,もう一人はネパールの Nepal premier Pushpa Kamal Dahal 'Prachanda'。今日は,この二人が同時に私のHPを飾ってくれた。
Prachanda は強気である。インドの協力を得て,次の10年間で10,000MWの水力開発構想に固執している。これは Ramesh の South Asia power grid に呼応するものだ。ネパールの水力開発は,世界的にも環境に大きな影響を与えない,としている。水力開発と同時に,今回の Kosi 川の洪水をきっかけに,a joint Indo-Nepal water authority を組織する構想も浮上している。
現実に動いている両国共同のプロジェクトは,GMR group is setting up the 300 mw Upper Karnali project と the state-owned Sutlej Jal Vidyut Nigam is promoting the 402 mw Arun III project である。
●フィリッピン,天然ガスの価格に関し,透明性が求められている
天然ガスの価格,LNGも含めての話であろうが,この価格形成のメカニズムが不透明だという議論は続いていた。今回は,米国の Federal Energy Regulatory Commission (FERC) が,新たなルールを求めて,法の改正に乗り出したということである。フィリッピンがこの報道に鋭く反応したのは,最近のガス生産国として,価格メカニズムが不安定,と例を引かれたことに発している。
Reference
Sptember 22, 2008
Philippines
●080922A Philippines, Manila Bulletin
天然ガスの価格に関し,透明性が求められている
Transparency in gas price reporting urged http://www.mb.com.ph/BSNS20080922135861.html
India
●080922B India, economictimes
ネパールの水力輸入に関し,強気の楽観論
Bullish on power sharing
http://economictimes.indiatimes.com/Editorial/Bullish_on_power_sharing/articleshow/3510916.cms
●080922C India, telegraphindia
南アジアの送電線連携で,インドがイニシャティブ
Bid to create South Asia power grid http://www.telegraphindia.com/1080922/jsp/business/story_9868332.jsp
カンボジア水力での開発調査
カンボジアは,1992年の和平実現以来,主としてプノンペンを中心に,日本を初め各国機関が協力して電力の復興に当たってきた。いずれは,全国展開が必要だと言われてきたが,治安と地雷の問題で,なかなか実現しなかった。今日の報道では,長らく待ったJICAが,遂に全国展開に踏み切って,電力に関する開発調査の報告書を完成したようだ。
今日の報道は,中国の Xinhua のニュースを通じて流れており,カンボジアの Ministry of Industry, Mine and Energy (MIME) の回りを,如何に多くの中国技術陣が取り囲んでいるかがよく分かる。このJICAの開発調査の間にも,カンボジア南西部,Cardamon 山地の中で,中国によって多くの水力地点が動き出そうとしている。
カンボジアは,1990年代に緊急手段として,多くのディーゼル発電機が据え付けられた。このディーゼル発電機のために,電力料金は高く設定せざるを得なかった。このために,カンボジアの電力料金は,日本やフィリッピンと共に,アジアの中でも高い料金となっている。これを解消すべく多くの人々が努力したが,大型の開発を行うだけの電力需要がないために,今日まで高い料金のままで来ている。
我々も,一時,カンボジア南西部,タイとの国境付近に,大規模石炭火力を造ってタイに送り,一部カンボジアで消費する案を考えた。日本の中国電力が調査に当たったが,後援が続かなかった。この石炭火力の案は,タイの企業に引き継がれて,生き残っていると聞いている。一方で,中国の海外進出気運と同時に,中国の技術陣が,南西部の水力開発を行うべく動いている。
いずれのプロジェクトも大規模で,近年に於ける実現は難しいが,カンボジア政府は,国民の期待を担って目標を掲げている。2020年までに,太陽光でも何でも良いから,全国全村落に電気を送る。2030年には,70%の家庭または需要家が,全国の送電網から電力を受けられるようにする。我々のよく知っているカンボジア政府の電力関係者の奮闘を祈る。
本文
●カンボジア,7つの水力開発のため,1.14 billion ドル必要
JICAの全国水力開発マスタープランの報告書が出来て,Ith Prang, Secretary of State for MIME がその内容を語った,と言う記事ですかね。カンボジアのMIMEの目標は,揺らいでいない。2020年までに全村落の電化を完成し,2030年までに個別の家庭への電力供給を,送電網の中に組み入れる,と言うものである。これをベースにして,JICAが開発調査を実施したのだろう。
報告書の内容が端的にまとめられている。なおこの記事は,中国の Xinhua のニュースソースから出ているので,Ith Prang 次官の回りは,今や中国のエンジニアーが取り囲んでいる状態が読んでとれる。報告書は,カンボジア南西部と北東部に於いて29の水力プロジェクトを抽出し,そのうち7プロジェクトを優先開発とし,そのための費用が,1.14 billion ドルと見積もっている。中国のダム開発グループとはどうなるか。
●インド,氷河が氷結,Himachal Pradesh 水力の出力危機
ニューデリーの気象の一般的な情報を見ると,9月から10月にかけて気温が,雨量が120mm台から10mm台に激減し,気温は,25度程度から18度ぐらいまで変わってくる。インダス川の上流の各河川,Chenab,Beas,Satluj の各支流の上流は,中国領に入ってチベットのヒマラヤを源流としている。Himachal Pradesh 州の河川の中流部には,多くの水力発電所があって,インド北部の重要な諸州,Punjab,Haryana, Uttar Pradesh,Delhi などに電力を供給している。
今日のニュースでは,これら重要な電源河川の上流の氷河湖が結氷を始めたようで,下流の水量が極端に落ちている。通常毎秒300トン程度の水が200トンに落ちて,これが原因で,インド北部諸州への電力供給が落ち,場所によっては供給不足が起こっているという。
記事に出てくる主な発電所は,1,500MW Nathpa Jhakri 水力,126MW Largi project in Mandi district 水力,120-MW Bhava project in Kinnaur district 水力,the 540-MW Chamera I and 300-MW Chamera II projects in Chamba district 水力などである。
ReferenceSeptember 18, 2008
India
●080918A India, sindhtoday氷
河が氷結,Himachal Pradesh 水力の出力危機
Himachal hydropower generation dips, supply to Delhi falls
http://www.sindhtoday.net/south-asia/21549.htm
Cambodia
●080918B Cambodia, insurancenewsnet
カンボジア,7つの水力開発のため,1.14 billion ドル必要
Cambodia needs 1.14 bln USD to develop 7 hydropower projects http://insurancenewsnet.com/article.asp?n=1&neID=20080916375.4_23930029057986ca
今日の報道は,中国の Xinhua のニュースを通じて流れており,カンボジアの Ministry of Industry, Mine and Energy (MIME) の回りを,如何に多くの中国技術陣が取り囲んでいるかがよく分かる。このJICAの開発調査の間にも,カンボジア南西部,Cardamon 山地の中で,中国によって多くの水力地点が動き出そうとしている。
カンボジアは,1990年代に緊急手段として,多くのディーゼル発電機が据え付けられた。このディーゼル発電機のために,電力料金は高く設定せざるを得なかった。このために,カンボジアの電力料金は,日本やフィリッピンと共に,アジアの中でも高い料金となっている。これを解消すべく多くの人々が努力したが,大型の開発を行うだけの電力需要がないために,今日まで高い料金のままで来ている。
我々も,一時,カンボジア南西部,タイとの国境付近に,大規模石炭火力を造ってタイに送り,一部カンボジアで消費する案を考えた。日本の中国電力が調査に当たったが,後援が続かなかった。この石炭火力の案は,タイの企業に引き継がれて,生き残っていると聞いている。一方で,中国の海外進出気運と同時に,中国の技術陣が,南西部の水力開発を行うべく動いている。
いずれのプロジェクトも大規模で,近年に於ける実現は難しいが,カンボジア政府は,国民の期待を担って目標を掲げている。2020年までに,太陽光でも何でも良いから,全国全村落に電気を送る。2030年には,70%の家庭または需要家が,全国の送電網から電力を受けられるようにする。我々のよく知っているカンボジア政府の電力関係者の奮闘を祈る。
本文
●カンボジア,7つの水力開発のため,1.14 billion ドル必要
JICAの全国水力開発マスタープランの報告書が出来て,Ith Prang, Secretary of State for MIME がその内容を語った,と言う記事ですかね。カンボジアのMIMEの目標は,揺らいでいない。2020年までに全村落の電化を完成し,2030年までに個別の家庭への電力供給を,送電網の中に組み入れる,と言うものである。これをベースにして,JICAが開発調査を実施したのだろう。
報告書の内容が端的にまとめられている。なおこの記事は,中国の Xinhua のニュースソースから出ているので,Ith Prang 次官の回りは,今や中国のエンジニアーが取り囲んでいる状態が読んでとれる。報告書は,カンボジア南西部と北東部に於いて29の水力プロジェクトを抽出し,そのうち7プロジェクトを優先開発とし,そのための費用が,1.14 billion ドルと見積もっている。中国のダム開発グループとはどうなるか。
●インド,氷河が氷結,Himachal Pradesh 水力の出力危機
ニューデリーの気象の一般的な情報を見ると,9月から10月にかけて気温が,雨量が120mm台から10mm台に激減し,気温は,25度程度から18度ぐらいまで変わってくる。インダス川の上流の各河川,Chenab,Beas,Satluj の各支流の上流は,中国領に入ってチベットのヒマラヤを源流としている。Himachal Pradesh 州の河川の中流部には,多くの水力発電所があって,インド北部の重要な諸州,Punjab,Haryana, Uttar Pradesh,Delhi などに電力を供給している。
今日のニュースでは,これら重要な電源河川の上流の氷河湖が結氷を始めたようで,下流の水量が極端に落ちている。通常毎秒300トン程度の水が200トンに落ちて,これが原因で,インド北部諸州への電力供給が落ち,場所によっては供給不足が起こっているという。
記事に出てくる主な発電所は,1,500MW Nathpa Jhakri 水力,126MW Largi project in Mandi district 水力,120-MW Bhava project in Kinnaur district 水力,the 540-MW Chamera I and 300-MW Chamera II projects in Chamba district 水力などである。
ReferenceSeptember 18, 2008
India
●080918A India, sindhtoday氷
河が氷結,Himachal Pradesh 水力の出力危機
Himachal hydropower generation dips, supply to Delhi falls
http://www.sindhtoday.net/south-asia/21549.htm
Cambodia
●080918B Cambodia, insurancenewsnet
カンボジア,7つの水力開発のため,1.14 billion ドル必要
Cambodia needs 1.14 bln USD to develop 7 hydropower projects http://insurancenewsnet.com/article.asp?n=1&neID=20080916375.4_23930029057986ca
パキスタンの民間火力開発
マリオットホテルの爆弾テロは衝撃である。新任の民間大統領で新たな出発が期待されているパキスタンは,また新しい騒乱の時代が訪れたのか。
電力供給は相変わらず厳しく,全国で供給制限が続いている。前大統領は,一生懸命大規模ダムの開発を主導して,国民の不満に対応しようとしていたが,何と言っても十数年後の供給力であるから,なかなか不満を吸収できなかった。今日の記事は,現実に戻って,民間開発による電源設備の進捗を,国民に説明している。
新しい内閣の Minister for Water and Power Raja Parvez Ashraf は,十数年のオーダーの大規模ダム開発の説明ではなく,2010年までの短期の見通しを国民に語りかけた。本来,民間資金による火力発電所は,パキスタンはアジアの中でも早いほうである。「アジアの隼」,の冒頭に出てくるのは,ブットー首相が出席した Hub 火力の着工式典である。
民間資本を扱う Board of Private Power and Infrastructure Board (PPIB) の構想が,詳しく報じられている。全体的には,来年2009年には新規2,380MW,2010年には1,100MWを系統に投入する。具体的には2009年,575MW,3つの石油火力と429MW,2つのガス火力,更に205MWを2010年に投入する,としている。中期的には,2016年までに12.4 billion ドルの投資により13,335MWを開発すべく,51のプロジェクトを審査中である。
パキスタンの概要に触れておく。少し古くてゴメン。パキスタンの国土面積は79.61万平方km,人口は約1億4,200万人GDP総額約930億ドル(2002年)。2002年末現在に於ける発電事業者の発電設備の総容量は,13,363MW(68.4%),IPPは6,183MW(31.6%)で合計設備容量は19,546MW(100%)である。
このうち水力が 6,460MW (33.1%),石油火力が4,015MW(20.5%),混焼を含むガス火力が7,570MW(38.8%),その他石炭及びディーゼルで火力がIPPの1,260MWを含めて,4,450MW (95.1%) である。また,全火力のうち国内産の天然ガスを燃料とするものは3,956MW(38.8%),その他1,039MW(4.1%)となっている。これに対して確認された最大電力は,2003年の12,929MWで,このときの可能出力は14,070MWとされている。
主たる発電所は,Tarbela 水力3,478MW,Koto Addu 石油火力1,621MW(KAPCO),Ghazi Barotha 水力1,450MW,Muzaffa Rgarh ガス/石油火力1,350MW,Hub Power 石油火力1,292MW(HUBCO),Bin Qasim ガス/石油火力1,260MW(KESC),Mangla 水力1,000MW,Warsak 水力240MW,Chashma 水力180MW,Chashma 原子力325MW,Karachi 原子力 137MW,などがある。
本文
●パキスタン,政府,この2年間で,発電能力を徐々に拡大へ
マリオットホテルの爆弾テロは衝撃である。新任の民間大統領で新たな出発が期待されているパキスタンは,また新しい騒乱の時代が訪れたのか。電力供給は相変わらず厳しく,全国で供給制限が続いている。前大統領は,一生懸命大規模ダムの開発を主導して,国民の不満に対応しようとしていたが,何と言っても十数年後の供給力であるから,なかなか不満を吸収できなかった。今日の記事は,現実に戻って,民間開発による電源設備の進捗を,国民に説明している。
パキスタンは,アジアの中でも比較的早くハブ火力などの電力の民間開発を進めてきた国である。しかし最近の報道では,民間の火力発電所が,燃料の高騰で供給を渋っているために,電力不足が起こっているとも言われている。Minister for Water and Power Raja Parvez Ashraf は,至近年に運転開始できる民間発電所の進捗を説明し,2010年には電力不足を解消したい,としている。
Board of Private Power and Infrastructure Board (PPIB) は,次の計画を推進している。全体的には,来年2009年には新規2,380MW,2010年には1,100MWを系統に投入する。具体的には2009年,575MW,3つの石油火力と429MW,2つのガス火力,更に205MWを2010年に投入する,としている。中期的には,2016年までに12.4 billion ドルの投資により13,335MWを開発すべく,51のプロジェクトを審査中である。
●インド,NTPC,Barth プロジェクトで,ロシアの重電メーカー提訴
彼の男,Minister of State for Power and Commerce Jairam Ramesh が怒ったようである。NTPCが進めている Bihar 州の Barh thermal power project,660MW3機の火力で,ロシアの重電メーカー Technopromexport (TPE) が工期を守ろうとせず,BHELに仕事を肩代わりさせる訴訟を行った。インドは,この激しい電源開発の中,機器メーカーの能力に悩ませられているようだ。上海重電を呼んできたり,また今日はロシアからも重電メーカーが入ってきていたことを知った。
●フィリッピン,地方政府,電化への基金供与で,制度単純化を要請
BAGUIO の地方政府が,中央の予算制度の複雑さとその時間のかかり方に,怒りを爆発させた。その人は,Juan Ngalob, Cordillera director of the National Economic Development Authority (NEDA) で,geothermal and hydropower resources を開発して地方電化を行うプロジェクトで,一向に Department of Energy (DoE) の手続きが終わらないのである。
この記事の中で,詳しくは書かれていないが,Binga and Ambuclao dams in Benguet と San Roque and Magat dams の例が引き合いに出されて,the Regional Development Council (RDC) in the Cordillera が,その二の舞をしてくれるな,と言っている。どうも,電源の便益の地元還元のことを言っているようで,これらの大プロジェクトでも,1%の便益汗顔の約束が守られていない,と言っている。その様な制度があったのか,或いは,プロジェクト個別の約束であったのか,調べてみる必要がある。
Reference
September 21, 2008
Pakistan
●080921A Pakistan, Daily Times
政府,この2年間で,発電能力を徐々に拡大へ
Govt plans gradual increase in power generation in next 2 years
http://www.dailytimes.com.pk/default.asp?page=2008%5C09%5C21%5Cstory_21-9-2008_pg5_3
Philippines
●080921B Philippines, Manila Bulletin
地方政府,電化への基金供与で,制度単純化を要請Simple fund-release rules sought http://www.mb.com.ph/PROV20080921135816.html
India
●080921C India, Economic Times
NTPC,Barth プロジェクトで,ロシアの機器導入を検討
NTPC to sue Russian supplier for delays on Barh project
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/NTPC_to_sue_Russian_supplier_for_delays_on_Barh_project/articleshow/3507340.cms
電力供給は相変わらず厳しく,全国で供給制限が続いている。前大統領は,一生懸命大規模ダムの開発を主導して,国民の不満に対応しようとしていたが,何と言っても十数年後の供給力であるから,なかなか不満を吸収できなかった。今日の記事は,現実に戻って,民間開発による電源設備の進捗を,国民に説明している。
新しい内閣の Minister for Water and Power Raja Parvez Ashraf は,十数年のオーダーの大規模ダム開発の説明ではなく,2010年までの短期の見通しを国民に語りかけた。本来,民間資金による火力発電所は,パキスタンはアジアの中でも早いほうである。「アジアの隼」,の冒頭に出てくるのは,ブットー首相が出席した Hub 火力の着工式典である。
民間資本を扱う Board of Private Power and Infrastructure Board (PPIB) の構想が,詳しく報じられている。全体的には,来年2009年には新規2,380MW,2010年には1,100MWを系統に投入する。具体的には2009年,575MW,3つの石油火力と429MW,2つのガス火力,更に205MWを2010年に投入する,としている。中期的には,2016年までに12.4 billion ドルの投資により13,335MWを開発すべく,51のプロジェクトを審査中である。
パキスタンの概要に触れておく。少し古くてゴメン。パキスタンの国土面積は79.61万平方km,人口は約1億4,200万人GDP総額約930億ドル(2002年)。2002年末現在に於ける発電事業者の発電設備の総容量は,13,363MW(68.4%),IPPは6,183MW(31.6%)で合計設備容量は19,546MW(100%)である。
このうち水力が 6,460MW (33.1%),石油火力が4,015MW(20.5%),混焼を含むガス火力が7,570MW(38.8%),その他石炭及びディーゼルで火力がIPPの1,260MWを含めて,4,450MW (95.1%) である。また,全火力のうち国内産の天然ガスを燃料とするものは3,956MW(38.8%),その他1,039MW(4.1%)となっている。これに対して確認された最大電力は,2003年の12,929MWで,このときの可能出力は14,070MWとされている。
主たる発電所は,Tarbela 水力3,478MW,Koto Addu 石油火力1,621MW(KAPCO),Ghazi Barotha 水力1,450MW,Muzaffa Rgarh ガス/石油火力1,350MW,Hub Power 石油火力1,292MW(HUBCO),Bin Qasim ガス/石油火力1,260MW(KESC),Mangla 水力1,000MW,Warsak 水力240MW,Chashma 水力180MW,Chashma 原子力325MW,Karachi 原子力 137MW,などがある。
本文
●パキスタン,政府,この2年間で,発電能力を徐々に拡大へ
マリオットホテルの爆弾テロは衝撃である。新任の民間大統領で新たな出発が期待されているパキスタンは,また新しい騒乱の時代が訪れたのか。電力供給は相変わらず厳しく,全国で供給制限が続いている。前大統領は,一生懸命大規模ダムの開発を主導して,国民の不満に対応しようとしていたが,何と言っても十数年後の供給力であるから,なかなか不満を吸収できなかった。今日の記事は,現実に戻って,民間開発による電源設備の進捗を,国民に説明している。
パキスタンは,アジアの中でも比較的早くハブ火力などの電力の民間開発を進めてきた国である。しかし最近の報道では,民間の火力発電所が,燃料の高騰で供給を渋っているために,電力不足が起こっているとも言われている。Minister for Water and Power Raja Parvez Ashraf は,至近年に運転開始できる民間発電所の進捗を説明し,2010年には電力不足を解消したい,としている。
Board of Private Power and Infrastructure Board (PPIB) は,次の計画を推進している。全体的には,来年2009年には新規2,380MW,2010年には1,100MWを系統に投入する。具体的には2009年,575MW,3つの石油火力と429MW,2つのガス火力,更に205MWを2010年に投入する,としている。中期的には,2016年までに12.4 billion ドルの投資により13,335MWを開発すべく,51のプロジェクトを審査中である。
●インド,NTPC,Barth プロジェクトで,ロシアの重電メーカー提訴
彼の男,Minister of State for Power and Commerce Jairam Ramesh が怒ったようである。NTPCが進めている Bihar 州の Barh thermal power project,660MW3機の火力で,ロシアの重電メーカー Technopromexport (TPE) が工期を守ろうとせず,BHELに仕事を肩代わりさせる訴訟を行った。インドは,この激しい電源開発の中,機器メーカーの能力に悩ませられているようだ。上海重電を呼んできたり,また今日はロシアからも重電メーカーが入ってきていたことを知った。
●フィリッピン,地方政府,電化への基金供与で,制度単純化を要請
BAGUIO の地方政府が,中央の予算制度の複雑さとその時間のかかり方に,怒りを爆発させた。その人は,Juan Ngalob, Cordillera director of the National Economic Development Authority (NEDA) で,geothermal and hydropower resources を開発して地方電化を行うプロジェクトで,一向に Department of Energy (DoE) の手続きが終わらないのである。
この記事の中で,詳しくは書かれていないが,Binga and Ambuclao dams in Benguet と San Roque and Magat dams の例が引き合いに出されて,the Regional Development Council (RDC) in the Cordillera が,その二の舞をしてくれるな,と言っている。どうも,電源の便益の地元還元のことを言っているようで,これらの大プロジェクトでも,1%の便益汗顔の約束が守られていない,と言っている。その様な制度があったのか,或いは,プロジェクト個別の約束であったのか,調べてみる必要がある。
Reference
September 21, 2008
Pakistan
●080921A Pakistan, Daily Times
政府,この2年間で,発電能力を徐々に拡大へ
Govt plans gradual increase in power generation in next 2 years
http://www.dailytimes.com.pk/default.asp?page=2008%5C09%5C21%5Cstory_21-9-2008_pg5_3
Philippines
●080921B Philippines, Manila Bulletin
地方政府,電化への基金供与で,制度単純化を要請Simple fund-release rules sought http://www.mb.com.ph/PROV20080921135816.html
India
●080921C India, Economic Times
NTPC,Barth プロジェクトで,ロシアの機器導入を検討
NTPC to sue Russian supplier for delays on Barh project
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/NTPC_to_sue_Russian_supplier_for_delays_on_Barh_project/articleshow/3507340.cms
インド,原子力600,000MW開発
インドの Planning Commission Deputy Chairman Montek Singh Ahluwalia が,会議を終えて,Integrated Energy Policy のドラフトについて,記者団に語った。Indo-US Civil Nuclear Agreement の米国による最終手続きが近づくにつれて,インドの原子力開発への盛り上がりが,連日,インドでニュースを賑わしている。来週,国連総会に出席する Prime Minister Manmohan Singh は,ブッシュ大統領と最後の打ち合わせに臨む。
今回の発表は,今までの計画を凌ぐ大きな構想である。2050年までに600,000MWは,今後40年間で年15,000MW,1,000MW機を15機づつ運転開始して行く,と言う。インドの数字の単位は複雑なので間違えないようにしなければならないが,lakh は10万だから,こういう数字になるのだろう。次の5年間で全電源で70,000MW開発だから,その殆どを原子力で開発する計算になる。如何に大きな構想かが分かる。
この構想の基礎になっているのは,勿論,Indo-US Civil Nuclear Agreement と,最近,この Agreement に同意を与えた Nuclear Suppliers' Group (NSG) の動きである。また,その条件としては,次の12年間で30,000~40,000MW分の燃料確保と thorium technology の適用ということになっている。thorium technology とインドの核燃料確保の関係については,鈴木篁氏のHPに詳しい。
インドは,核不拡散条約に入っていない故に,核燃料の確保に苦労している。400万KWある原子力発電所の稼働率が落ちて,電力不足に拍車をかけている。また一方で,中国も大きな原子力開発構想を持っているが,「中国国内のウラン資源は,現状でも需要量の半分程度しか供給能力がなく,今後、海外のウラン資源を求めて探鉱開発活動を強化する必要に迫られている。」,と書かれた論文を先日紹介した。
インドと中国の核燃料確保の競争が激化する,と考えれれる。両国とも石炭火力が70%を占める国だけに,今後,この両国が何処まで原子力で石炭火力発電を抑えて行くかは,人類全体の関心事である。拡大すればするほど,原子力発電の安全性に大いに関心が集まってくるが,この面でも日本の支援が必要になってくると思っている。
本文
●インド,国家計画委員会,2050年までに600,000MWの原子力開発
2050年までに600,000MWは,今後40年間で年15,000MW,1,000MW機を15機づつ運転開始して行く,と言う大規模な構想だ。インドの数字の単位は複雑なので間違えないようにしなければならないが,lakh は10万だから,こういう数字になるのだろう。次の5年間で全電源で70,000MW開発だから,その殆どを原子力で開発する計算になる。如何に大きな構想かが分かる。
この構想は,Planning Commission Deputy Chairman Montek Singh Ahluwalia が会議の後発表したもので,その基礎となるのは,次の12年間で30,000~40,000MW分の燃料確保と thorium technology の適用という条件である。この構想に沿って,Integrated Energy Policy が起草されつつあるという。thorium については鈴木篁氏のHPに詳しい。また,民間による原子力開発の方向も打ち出されている。
このインドの原子力への盛り上がりは,Indo-US Civil Nuclear Agreement に基礎を置いている。最近,この Agreement を支援するために,Nuclear Suppliers' Group (NSG) が,インドへの支援を合意したことも,大きな支えになっている。Prime Minister Manmohan Singh は,来週にも国連第63次総会出席のためにニューヨークを訪れ,ブッシュ大統領と会談する。米国議会の承認が,最後の関門である。インドの原子力開発も,気候変動への人類の戦いの重要な一環であろう。
●インド,世界銀行とADB,Himachal の水力開発に関心
Himachal Pradesh 州は,インド西北部の山岳州で,これまでもたびたびこのHPで議論した。インダス川の上流,Chenab や Stluji の大支流を擁して,22,000MWの未開発水力があるとされていて,ポスト京都に重要な役割を果たす。Salman Zahir, energy development manager of the bank に率いられた6人の世界銀行調査団が現地に入り,州政府 chief minister Prem Kumar Dhumal と会談した。
世界銀行は,この州のエネルギー開発に際しては,森林保護の問題と道路インフラの重要性に着目しており,この二つの面から具体的に,436kmに上る道路整備と12,000haの植林を支援するため,1365 crore Rs ,約3 million US$ のプロジェクトを考えている。これには,ADBも同じ発想で協力の構えである。
●フィリッピン,エネルギー省,2009年予算で,1 billion ペソ,要求
10億ペソ,約25億円相当,目標は country’s energy security の確保であり,国外資源への依存度の減少である。おなじみの Energy Secretary Angelo Reyes の話は,いつまで経っても抽象的で,有効さに欠ける。日本と同じ貧資源国であり,如何にして海外資源確保の安定を得るかが重要で,国内資源の開発は,焼け石に水,の感が強い。マランパヤに出ている天然ガスは,国内エネルギー消費の僅かに7%である。
いろいろな総合計画,Philippine Energy Contracting Rounds (PECR),Natural Gas Vehicle Program for Public Transport も実効性が薄い。全力を挙げて,当面輸入石炭の確保に努力し,石炭火力の新設に力を注ぐべきだ。きれいごとでは,至近年の電力危機は避けられないであろう。
●ネパール共和国最初の国家予算,236 billion ルピー
はじめての共和国予算,毛派主導の政策実行のためには,前年度増45%の予算が必要という。Finance Minister Dr. Baburam Bhattarai の説明によると,我々の関心事項としては,東西を繋ぐ電気鉄道計画調査約4億円相当,南北縦断ハイウエー調査が約3億円相当,と構想は大きいが調査費が少ない感じ。Prachanda がインドで約束した,10年で10,000MW水力開発は,首相直属の high-level power sector development board を組織化すると言う。
ReferenceSeptember 10, 2008
Philippines
●080920A Philippines, Manila Bulletin
エネルギー省,2009年予算で,1 billion ペソ,要求
Energy department seeks P1-B budget for 2009 programs http://www.mb.com.ph/BSNS20080920135698.html
Nepal
●080920B Nepal, kantipuronline
ネパール共和国最初の国家予算,236 billion ルピー
Rs 236b budget bold but sketchyhttp://www.kantipuronline.com/kolnews.php?&nid=161282
India
●080920C India, Economic Times
世界銀行とADB,Himachal の水力開発に関心
World Bank, ADB show renewed interest in Himachal projects
http://www.financialexpress.com/news/world-bank-adb-show-renewed-interest-in-himachal-projects/363608/2
●080920D India, economictimes
国家計画委員会,2050年までに600,000MWの原子力開発
India can take N-power generation to 6 lakh MW by 2050 Montek
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/India_can_take_N-power_generation_to_6_lakh_MW_by_2050_Montek/articleshow/3504297.cms
今回の発表は,今までの計画を凌ぐ大きな構想である。2050年までに600,000MWは,今後40年間で年15,000MW,1,000MW機を15機づつ運転開始して行く,と言う。インドの数字の単位は複雑なので間違えないようにしなければならないが,lakh は10万だから,こういう数字になるのだろう。次の5年間で全電源で70,000MW開発だから,その殆どを原子力で開発する計算になる。如何に大きな構想かが分かる。
この構想の基礎になっているのは,勿論,Indo-US Civil Nuclear Agreement と,最近,この Agreement に同意を与えた Nuclear Suppliers' Group (NSG) の動きである。また,その条件としては,次の12年間で30,000~40,000MW分の燃料確保と thorium technology の適用ということになっている。thorium technology とインドの核燃料確保の関係については,鈴木篁氏のHPに詳しい。
インドは,核不拡散条約に入っていない故に,核燃料の確保に苦労している。400万KWある原子力発電所の稼働率が落ちて,電力不足に拍車をかけている。また一方で,中国も大きな原子力開発構想を持っているが,「中国国内のウラン資源は,現状でも需要量の半分程度しか供給能力がなく,今後、海外のウラン資源を求めて探鉱開発活動を強化する必要に迫られている。」,と書かれた論文を先日紹介した。
インドと中国の核燃料確保の競争が激化する,と考えれれる。両国とも石炭火力が70%を占める国だけに,今後,この両国が何処まで原子力で石炭火力発電を抑えて行くかは,人類全体の関心事である。拡大すればするほど,原子力発電の安全性に大いに関心が集まってくるが,この面でも日本の支援が必要になってくると思っている。
本文
●インド,国家計画委員会,2050年までに600,000MWの原子力開発
2050年までに600,000MWは,今後40年間で年15,000MW,1,000MW機を15機づつ運転開始して行く,と言う大規模な構想だ。インドの数字の単位は複雑なので間違えないようにしなければならないが,lakh は10万だから,こういう数字になるのだろう。次の5年間で全電源で70,000MW開発だから,その殆どを原子力で開発する計算になる。如何に大きな構想かが分かる。
この構想は,Planning Commission Deputy Chairman Montek Singh Ahluwalia が会議の後発表したもので,その基礎となるのは,次の12年間で30,000~40,000MW分の燃料確保と thorium technology の適用という条件である。この構想に沿って,Integrated Energy Policy が起草されつつあるという。thorium については鈴木篁氏のHPに詳しい。また,民間による原子力開発の方向も打ち出されている。
このインドの原子力への盛り上がりは,Indo-US Civil Nuclear Agreement に基礎を置いている。最近,この Agreement を支援するために,Nuclear Suppliers' Group (NSG) が,インドへの支援を合意したことも,大きな支えになっている。Prime Minister Manmohan Singh は,来週にも国連第63次総会出席のためにニューヨークを訪れ,ブッシュ大統領と会談する。米国議会の承認が,最後の関門である。インドの原子力開発も,気候変動への人類の戦いの重要な一環であろう。
●インド,世界銀行とADB,Himachal の水力開発に関心
Himachal Pradesh 州は,インド西北部の山岳州で,これまでもたびたびこのHPで議論した。インダス川の上流,Chenab や Stluji の大支流を擁して,22,000MWの未開発水力があるとされていて,ポスト京都に重要な役割を果たす。Salman Zahir, energy development manager of the bank に率いられた6人の世界銀行調査団が現地に入り,州政府 chief minister Prem Kumar Dhumal と会談した。
世界銀行は,この州のエネルギー開発に際しては,森林保護の問題と道路インフラの重要性に着目しており,この二つの面から具体的に,436kmに上る道路整備と12,000haの植林を支援するため,1365 crore Rs ,約3 million US$ のプロジェクトを考えている。これには,ADBも同じ発想で協力の構えである。
●フィリッピン,エネルギー省,2009年予算で,1 billion ペソ,要求
10億ペソ,約25億円相当,目標は country’s energy security の確保であり,国外資源への依存度の減少である。おなじみの Energy Secretary Angelo Reyes の話は,いつまで経っても抽象的で,有効さに欠ける。日本と同じ貧資源国であり,如何にして海外資源確保の安定を得るかが重要で,国内資源の開発は,焼け石に水,の感が強い。マランパヤに出ている天然ガスは,国内エネルギー消費の僅かに7%である。
いろいろな総合計画,Philippine Energy Contracting Rounds (PECR),Natural Gas Vehicle Program for Public Transport も実効性が薄い。全力を挙げて,当面輸入石炭の確保に努力し,石炭火力の新設に力を注ぐべきだ。きれいごとでは,至近年の電力危機は避けられないであろう。
●ネパール共和国最初の国家予算,236 billion ルピー
はじめての共和国予算,毛派主導の政策実行のためには,前年度増45%の予算が必要という。Finance Minister Dr. Baburam Bhattarai の説明によると,我々の関心事項としては,東西を繋ぐ電気鉄道計画調査約4億円相当,南北縦断ハイウエー調査が約3億円相当,と構想は大きいが調査費が少ない感じ。Prachanda がインドで約束した,10年で10,000MW水力開発は,首相直属の high-level power sector development board を組織化すると言う。
ReferenceSeptember 10, 2008
Philippines
●080920A Philippines, Manila Bulletin
エネルギー省,2009年予算で,1 billion ペソ,要求
Energy department seeks P1-B budget for 2009 programs http://www.mb.com.ph/BSNS20080920135698.html
Nepal
●080920B Nepal, kantipuronline
ネパール共和国最初の国家予算,236 billion ルピー
Rs 236b budget bold but sketchyhttp://www.kantipuronline.com/kolnews.php?&nid=161282
India
●080920C India, Economic Times
世界銀行とADB,Himachal の水力開発に関心
World Bank, ADB show renewed interest in Himachal projects
http://www.financialexpress.com/news/world-bank-adb-show-renewed-interest-in-himachal-projects/363608/2
●080920D India, economictimes
国家計画委員会,2050年までに600,000MWの原子力開発
India can take N-power generation to 6 lakh MW by 2050 Montek
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/India_can_take_N-power_generation_to_6_lakh_MW_by_2050_Montek/articleshow/3504297.cms
ネパール奥地の水力開発の難関
ネパールの包蔵水力は,80,000MWと言われている。現在のインドの電力設備の57%に相当する。ポスト京都の大きな目玉は,インドと中国の原子力開発とインド北辺,ブータン,ネパールの水力開発である。これらの電力が,どの程度までインドの石炭火力開発を抑制できるか。人類にとっては,まさに最後の挑戦である。
Nepal Prime Minister Pushpa Kamal Dahal 'Prachanda' が,はじめてのインド訪問を終わって,木曜日に帰国した。彼は最後にインド高官に要請した。ネパールの水力10,000MWを10年内に,インドの民間企業によって開発して欲しい。ポテンシャルが,80,000MWあるとはいえ,年間1,000MWの開発を10年間続けることは,難しい作業である。
しかし,あの難しかったネパールの政治情勢や,インドとの外交関係を克服して,Prachanda がその気になっている。これは,世界を挙げて支援して良い意義の高いものだろう。日本政府も,既にインド北辺の水力開発への協力の姿勢を示している。インド北辺とネパールは,全く同じ線上にある。ネパールとインドの外交関係が悪い間も,日本は積極的に,あの治安の悪かったネパールを支えてきたのである。
ネパールの水力開発には,多くの壁がある。今日の記事に書かれているのは,送電線の建設とアクセスの開発である。送電線は,当面,両国の間に220KV4回線の送電線建設計画があるが動いていない。Kosi 川上流のダム建設には,長いアクセス道路の建設が必要である。今日の記事は言っている,インドでは,水力1KW開発に平均1,105ドル出来るが,ネパールでは実に2,652ドル必要だと。
このほかに,ダムを建設して,ある程度は貯水池が必要である。ヒマラヤからの土砂流入を,どの様に考えるか,難しい問題である。また,氷河湖の決壊が問題になっている。現実に,ブータンなどでは,これによる洪水被害が出ている。人類最後の挑戦であるネパールの水力は,多くの優秀なエンジニアーを必要としている。
本文
●ネパールの水力輸出の意図,送電線が問題か
ネパールの新首相 Nepal Prime Minister Pushpa Kamal Dahal 'Prachanda' が,インドを訪問して,向こう10年間で10,000MWの水力開発を,インドの民間セクターと協力して開発したい,と言い残して,この木曜日に帰国の途についた。インドの民間セクター,Satluj Jal Vidyut Nigam Ltd と GMR Infrastructure Ltd. は,既に開発のスタートラインに着いている。今日の記事は,この水力開発に横たわるインフラの困難を映し出している。
ネパールの電力の現有設備は617MWで,約100MWが不足しているものと考えられている。このうち大部分の569.87MWは水力発電である。包蔵水力は80,000MWと言われている。当面の電力不足を解決するためには,直ちに300MWを開発する必要に迫られている。
また,インドへの電力輸出については,10年間で10,000MWと言う大きな目標の前に,当面の開発目標,500~600MWをインドへ送る必要があるが,現在ある両国間の送電線は,132KVラインが二つあるだけで,100MWがせいぜいである。220KV送電線を少なくとも4回線必要としているが,2006年に始まった送電線計画は,ネパールの政治情勢から全く進んでいない。これが一つのネックである。
また,ネパールの水力地点はいずれも奥地で,アクセスが大変に難しい。インドの国内であれば,KW当たり50,000ルピー,1,105USドル相当,で建設できるものが,ネパールでは120,000ルピー,2,652USドルを要することも,一つの問題だ。このように,ネパールの水力開発の難しさを,この記事は論じているが,これらの問題は,開発当事者達は当然織り込み済みであり,送電線や道路建設は,開発企業の頭の中に入っている。
●インドネシアと中国の電力改革の現状
なぜかこの記事がナイジェリアから発信されている。非常に簡潔に,インドネシアと中国の電力事情についてまとめられている。インドネシアのついては,その電力危機は,問題は電気料金の安さにあり,投資家の魅力を引かない,とズバリ指摘している。中国については,2002年当時からの分割の状況を詳しく描写している。
●インド,KG流域の天然ガス包蔵,リライアンスに期待以上の成果
インド財閥 Reliance Industries (RIL) が,Krishna-Godavari basin,即ち he KG basin off the Andhra coast で,期待以上の規模の 原油や天然ガス,更には hydrocarbon のポテンシャルに,嬉しい悲鳴を上げている。当面,KG流域の中の8つのガス田を中心に,2.34 billion ドルの投資を行うことで,directorate general of hydrocarbons の承認を取っている。原油40,000 barrels of oil per day (bopd) と 240-350 mmscfd の天然ガス生産である。これらを含めて,リライアンスは,インドの原油ガス生産の50%を抑えることになる。
●フィリッピン,NEADと投資調整委員会ICC,エネルギー6プロジェクト承認
National Economic and Development Authority (NED A) の Investment Coordination Committee (ICC) が,6つのエネルギー関連プロジェクトを承認した。いずれも,ADBや国内銀行の融資によるものである。総額は17.4 billion ペソに達する。エネルギー効率の向上や,気候変動への対応を目的としたクリーンエネルギーの開発などである。6.13 billion ペソは,具体的な送電線建設の当てられている。また,4.52 billion ペソは,Upper Magat and Cagayan, Upper Pampanga and Jalaur River basin などの流域保全に当てられる。
Reference
September 19, 2008
Philippines,
●080919A Philippines, Manila Bulletin
NEADと投資調整委員会ICC,エネルギー6プロジェクト承認NEDA-ICC approves 6 energy projects http://my.reset.jp/~adachihayao/080919A.htmhttp://www.mb.com.ph/BSNS20080919135592.html
Nepal
●080919B Nepal, livemint
ネパールの水力輸出の意図,送電線が問題か
Inadequate transmission links may trip Nepal’s power trade goals
http://my.reset.jp/~adachihayao/080919B.htmhttp://www.livemint.com/2008/09/19002843/Inadequate-transmission-links.html
India
●080919C India, Economic Times
KG流域の天然ガス包蔵,リライアンスに期待以上の成果RIL strikes gas at 8 more spots in KG basin
http://my.reset.jp/~adachihayao/080919C.htmhttp://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/RIL_strikes_gas_at_8_more_spots_in_KG_basin/articleshow/3500839.cms
Indonesia
●080919D Indonesia, punchng
インドネシアと中国の電力改革の現状Power sector reforms in Indonesia and China http://my.reset.jp/~adachihayao/080919D.htmhttp://www.punchng.com/Articl.aspx?theartic=Art200809190141915
Nepal Prime Minister Pushpa Kamal Dahal 'Prachanda' が,はじめてのインド訪問を終わって,木曜日に帰国した。彼は最後にインド高官に要請した。ネパールの水力10,000MWを10年内に,インドの民間企業によって開発して欲しい。ポテンシャルが,80,000MWあるとはいえ,年間1,000MWの開発を10年間続けることは,難しい作業である。
しかし,あの難しかったネパールの政治情勢や,インドとの外交関係を克服して,Prachanda がその気になっている。これは,世界を挙げて支援して良い意義の高いものだろう。日本政府も,既にインド北辺の水力開発への協力の姿勢を示している。インド北辺とネパールは,全く同じ線上にある。ネパールとインドの外交関係が悪い間も,日本は積極的に,あの治安の悪かったネパールを支えてきたのである。
ネパールの水力開発には,多くの壁がある。今日の記事に書かれているのは,送電線の建設とアクセスの開発である。送電線は,当面,両国の間に220KV4回線の送電線建設計画があるが動いていない。Kosi 川上流のダム建設には,長いアクセス道路の建設が必要である。今日の記事は言っている,インドでは,水力1KW開発に平均1,105ドル出来るが,ネパールでは実に2,652ドル必要だと。
このほかに,ダムを建設して,ある程度は貯水池が必要である。ヒマラヤからの土砂流入を,どの様に考えるか,難しい問題である。また,氷河湖の決壊が問題になっている。現実に,ブータンなどでは,これによる洪水被害が出ている。人類最後の挑戦であるネパールの水力は,多くの優秀なエンジニアーを必要としている。
本文
●ネパールの水力輸出の意図,送電線が問題か
ネパールの新首相 Nepal Prime Minister Pushpa Kamal Dahal 'Prachanda' が,インドを訪問して,向こう10年間で10,000MWの水力開発を,インドの民間セクターと協力して開発したい,と言い残して,この木曜日に帰国の途についた。インドの民間セクター,Satluj Jal Vidyut Nigam Ltd と GMR Infrastructure Ltd. は,既に開発のスタートラインに着いている。今日の記事は,この水力開発に横たわるインフラの困難を映し出している。
ネパールの電力の現有設備は617MWで,約100MWが不足しているものと考えられている。このうち大部分の569.87MWは水力発電である。包蔵水力は80,000MWと言われている。当面の電力不足を解決するためには,直ちに300MWを開発する必要に迫られている。
また,インドへの電力輸出については,10年間で10,000MWと言う大きな目標の前に,当面の開発目標,500~600MWをインドへ送る必要があるが,現在ある両国間の送電線は,132KVラインが二つあるだけで,100MWがせいぜいである。220KV送電線を少なくとも4回線必要としているが,2006年に始まった送電線計画は,ネパールの政治情勢から全く進んでいない。これが一つのネックである。
また,ネパールの水力地点はいずれも奥地で,アクセスが大変に難しい。インドの国内であれば,KW当たり50,000ルピー,1,105USドル相当,で建設できるものが,ネパールでは120,000ルピー,2,652USドルを要することも,一つの問題だ。このように,ネパールの水力開発の難しさを,この記事は論じているが,これらの問題は,開発当事者達は当然織り込み済みであり,送電線や道路建設は,開発企業の頭の中に入っている。
●インドネシアと中国の電力改革の現状
なぜかこの記事がナイジェリアから発信されている。非常に簡潔に,インドネシアと中国の電力事情についてまとめられている。インドネシアのついては,その電力危機は,問題は電気料金の安さにあり,投資家の魅力を引かない,とズバリ指摘している。中国については,2002年当時からの分割の状況を詳しく描写している。
●インド,KG流域の天然ガス包蔵,リライアンスに期待以上の成果
インド財閥 Reliance Industries (RIL) が,Krishna-Godavari basin,即ち he KG basin off the Andhra coast で,期待以上の規模の 原油や天然ガス,更には hydrocarbon のポテンシャルに,嬉しい悲鳴を上げている。当面,KG流域の中の8つのガス田を中心に,2.34 billion ドルの投資を行うことで,directorate general of hydrocarbons の承認を取っている。原油40,000 barrels of oil per day (bopd) と 240-350 mmscfd の天然ガス生産である。これらを含めて,リライアンスは,インドの原油ガス生産の50%を抑えることになる。
●フィリッピン,NEADと投資調整委員会ICC,エネルギー6プロジェクト承認
National Economic and Development Authority (NED A) の Investment Coordination Committee (ICC) が,6つのエネルギー関連プロジェクトを承認した。いずれも,ADBや国内銀行の融資によるものである。総額は17.4 billion ペソに達する。エネルギー効率の向上や,気候変動への対応を目的としたクリーンエネルギーの開発などである。6.13 billion ペソは,具体的な送電線建設の当てられている。また,4.52 billion ペソは,Upper Magat and Cagayan, Upper Pampanga and Jalaur River basin などの流域保全に当てられる。
Reference
September 19, 2008
Philippines,
●080919A Philippines, Manila Bulletin
NEADと投資調整委員会ICC,エネルギー6プロジェクト承認NEDA-ICC approves 6 energy projects http://my.reset.jp/~adachihayao/080919A.htmhttp://www.mb.com.ph/BSNS20080919135592.html
Nepal
●080919B Nepal, livemint
ネパールの水力輸出の意図,送電線が問題か
Inadequate transmission links may trip Nepal’s power trade goals
http://my.reset.jp/~adachihayao/080919B.htmhttp://www.livemint.com/2008/09/19002843/Inadequate-transmission-links.html
India
●080919C India, Economic Times
KG流域の天然ガス包蔵,リライアンスに期待以上の成果RIL strikes gas at 8 more spots in KG basin
http://my.reset.jp/~adachihayao/080919C.htmhttp://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/RIL_strikes_gas_at_8_more_spots_in_KG_basin/articleshow/3500839.cms
Indonesia
●080919D Indonesia, punchng
インドネシアと中国の電力改革の現状Power sector reforms in Indonesia and China http://my.reset.jp/~adachihayao/080919D.htmhttp://www.punchng.com/Articl.aspx?theartic=Art200809190141915
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