2008年9月30日火曜日

インドの地球温暖化との戦い

長い間HP更新できずゴメン,復旧しました。地図など,見て下さいね。http://my.reset.jp/~adachihayao/index.htm

今日の話題は,余り私の知らない分野であるが,タイトルが余りにも大袈裟で,これでインドの電力不足は解決する,とまで書いてあるので,まあ読んでみるか,と言う気になった。それは,インドのムンバイを中心としたグリーンビルディングへの挑戦であり,またインド北部,山岳州の Himachal Pradesh 州政府の再生可能エネルギーへの挑戦である。

インドの人類としての地球温暖化への挑戦は,石炭火力を如何に抑制して行くか,がもっとも大切と思うが,最近は日本政府,JICAなども,インドの電力分野の効率化に取り組んでいる。それがグリーンビルディングであり,小規模な再生可能エネルギーであるにしても,インドの人々の意識の高揚が,大きな力に結集されて行くことを願う。

グリーンビルディングは,インドでは現在,敷地面積にして2万平方フィートに過ぎないが,これを2012年までに10億平方フィートに拡大する,としている。インド・グリーン・ビルディング協会 Indian Green Building Council (IGBC) の構想である。建築構造そのものから,太陽光や雨水の利用を考えているらしいが,通常の建築に比べて,40~50%の電力使用量が節約されるとしている。ビルの電力需要は全体の20%だと言っている。

インド人に言われたくないと思って,日本はどうなっているのか,調べてみたが,大々的に実施している,という資料には行き当たらなかった。おそらく,電力会社などは大きな関心を持っているだろうし,研究も進んでいると思う。米国では,1994年7月に,全米グリーンビルディング協会(US Green Building Council) が設立され,建築業界は勿論,電力ガス会社,金融不動産,地方自治体,大学,環境保護団体,一般製造,メーカー等が参画し,業界の枠を超えた活動を展開しているという。

私は,バンコクやジャカルタなどの電力需要の歴史的な動きを見ていて,次のように考えている。経済成長が高いレベルになると,夕方のピークよりは昼間のピークが高くなる。これは,経済を成長させている企業の主要都市のビルディングがどんどん増えてきて,特に冷房需要が大きく増えてくる。だから,必ず朝9時に冷房のスイッチを入れ,大部分が夕方5時にスイッチを切るので,8時間ピークが究極の需要の形だと。

だから,例えばタイなどは,現在の状況を見てラオスの水力に15時間などの昼間負荷の運転を要請しているけれども,これは必ず8時間ピークに収斂してくる。だから例えば,ナムテン2水力は15時間で1,000MWであるが,近い将来,必ず2,000MWに増設する必要があると。このような観点からも,グリーンビルディングは,電力需要に大きな影響を与える。

今日は,このグリーンビルディングの他,Himachal Pradesh 州の再生可能エネルギー開発への努力と,明日から開催されるネパールとインドの水資源連絡会議が話題になっている。ネパールの水資源問題を解決するため,ダムの高さは,Pancheshwor が315m, Kosi High Dam が269mとなっているから,とんでもない大規模ダムと発電所の計画である。もっとも,ヒマラヤからの土砂流出や,下流の洪水防御を考えると,この規模のものが必要だが,その資金調達と建設期間を考えると,気が遠くなる。

本文

●インド,グリーンビルディング,ムンバイで大きな話題に

私の余り知らない分野であるが,馬鹿に派手な見いだしなので,取り上げてみた。電力不足が深刻なムンバイからの記事であるが,「もうこれで電力不足の心配はない!」,とか書かれているので,一体何事かと思ったわけである。グリーンビルディングGBを増やしていくことによって,電力問題を解決しようと言う趣旨で,インド・グリーン・ビルディング協会 Indian Green Building Council (IGBC) の活動を取り上げている。

彼等の考えるGBは,ビルの設計でエネルギーと環境に主導権を持たせる,Leadership in Energy and Environmental Design (LEED) を採用して,太陽光エネルギーと太陽光電池技術 photovoltaic techniques ,屋根屋上の工夫,雨水の利用,などを取り込みもので,IGBCの構想によると,現在全国でこのような趣旨で設計されたビルの敷地面積は,Hyderabad の Rajiv Gandhi 空港など,2万平方フィートにすぎないが,これを2012年までに,10億平方フィートにする,と言うのである。
IGBCの見積もりでは,現在,所謂ビルディングというものが全国で消費する電力は,消費全体の20%だとしている。設計の段階からGBを採用すると,従来型のビルに比べて40~50%の電力使用量が節約される,としている。現在の既設のビルディングをGBに改造すると,20~25%の節約は可能であるが,目標は設計段階からの挑戦だという。GBの建設費は,7%ほど高くなるが,これが将来的には安くなると期待している。

日本でもいろいろ聞いてはいるが,インド人に言われたくないと言う気持ちもあって,一体全体の動きはどうなっているのか,ちょっとだけ見てみた。こういう問題はおそらく電力会社内部では相当に研究されているものと思うが,私の見た限りでは,日本は極めて低調で,国土交通省や経済産業省の範囲で,目立った動きを掴むことは出来なかった。名古屋にはそれらしき協会が設立さっれているが,成果は余り語られていない。

ブログの中に解説されているものがあって,国土交通省の支援のもとに産官学共同で研究・開発されたが進んでおり,(財)建築環境・省エネ機構(IBEC)の動きや,建物の環境性能評価ツール建築物総合環境性能評価システム「CASBEE」の普及を図ってる,などの動きがあるが,日本の建物全体をどの様な工程で改造して行くか,というようなマクロな構想は見あたらない。

ブログによると,アメリカでは,建物に関わるエネルギー消費量が,全消費エネルギーの40%弱を占めると言われており,1994年7月に,全米グリーンビルディング協会(US Green Building Council)が設立され,建築業界は勿論,電力ガス会社,金融不動産,地方自治体,大学,環境保護団体,一般製造,メーカー等が参画し,業界の枠を超えた活動を展開しているという。」。

私は,バンコクやジャカルタなどの電力需要の歴史的な動きを見ていて,次のように考えている。経済成長が高いレベルになると,夕方のピークよりは昼間のピークが高くなる。これは,経済を成長させている企業の主要都市のビルディングがどんどん増えてきて,特に冷房需要が大きく増えてくる。だから,必ず朝9時に冷房のスイッチを入れ,大部分が夕方5時にスイッチを切るので,8時間ピークが究極の需要の形だと。

だから,例えばタイなどは,現在の状況を見てラオスの水力に15時間などの昼間負荷の運転を要請しているけれども,これは必ず8時間ピークに収斂してくる。だから例えば,ナムテン2水力は15時間で1,000MWであるが,近い将来,必ず2,000MWに増設する必要があると。このような観点からも,グリーンビルディングは,電力需要に大きな影響を与える。

参考にした関連情報http://www.jgbc.com/about.htmlhttp://www.actiblog.com/weeklyreform/26475

●インド,Himachal Pradesh,水力再生可能で,炭素無排出の州に

州都 Shimla,Himachal Pradesh 州は,山岳地帯で,従来から大規模な水力を建設して,比較的短い距離にあるデリーやハリアナに,電力を供給してきた。何を思ったか,急に,「炭酸ガスニュートラル」,の州を宣言して,活動を始めた。この州は本来,森林の価値が Rs 1.50 lakh crore と言うとんでもない大きな価値を持って人類に貢献していると認識しているが,更に地球温暖化抑制に貢献する,という政策である。

まず州政府が実施しようとしている政策は,太陽光エネルギーの活用で,各家庭やオフィスに,30,573 solar cookers, 185,757 solar domestic lights, 6,325 solar speed lights, 22,394 solar lanterns and 3,573 solar geysers を供給するという。これは,年間で,50 million KWhと18万個のガスシリンダー(よく分からない)の節減となると言う。

また,HIMURJA というのは,州政府の中で,再生可能エネルギー開発を担う部局である。この部局は,中央政府の支援で,2013年までに500KW2基の太陽光発電所を設備する。更に,5MWクラスの小水力発電所の建設はこの部局が担当することする。この州の水力のポテンシャルは,21,000MWであるが,現在までに6,500MWが開発されただけである。

HIMURJA としては,5MWレベルの開発のために,既に259の覚書,MOUを交わして,その総出力は829MWである。何とも蟻の歩みに似ているが,この州政府には,大規模水力開発への協力という重要な役目があり,今後とも世界の注目が集まる。

●インドとネパール,水資源全体の高官レベル協議を明日開始
発端は,ネパールの Prime Minister Prachanda がデリーを訪問して,10年間で10,000MW水力開発へのインドの支援を要請したことに始まり,また同じ頃に起こったガンジス川支流の Kosi 川の氾濫が,両国に大きな被害をもたらしたこと,また数日前には,カトマンズーで Prachanda の10,000MW提案を踏まえて,海外の投資家も入った電力サミットが開かれたこと,を頭の中に入れる必要がある。

結局,民間投資によるネパールの電力だけの開発,と言う視野では不十分だ,と言うことに皆が気づいたわけである。今回の会議は,インド側からIndian Water Resources Secretary Umesh N. Panjiyar が,またネパール側から,Nepalese Water Resources Secretary Shanker Prasad Koirala が会議を主導するために集まる。

議題は勿論水力開発だけにとどまらない。水資源全般,という立場で,水力発電,灌漑,洪水調節,その他水に関連するすべての事項を議題に載せるという。このような意味から,大規模の貯水池の建設が重要との認識から,二つの大きなプロジェクト,6,000MWの Pancheshwor Hydro Power Project と,3,200MWの Kosi High Dam Project が大きな課題になるとされている。

この二つの大規模プロジェクトの位置は,後で確認して地図に書き込む。しかし,資料によると,ダムの高さは,Pancheshwor が315m, Kosi High Dam が269mとなっているから,とんでもない大規模ダムと発電所の計画である。もっとも,ヒマラヤからの土砂流出や,下流の洪水防御を考えると,この規模のものが必要だが,その資金調達と建設期間を考えると,気が遠くなる。

参考にした関連資料http://www.unido.org/fileadmin/media/documents/pdf/Energy_Environment/rre_brazilforum_Govind_080520.pdf

Reference

Nepal

●080929A Nepal, ptinews
インドとネパール,水資源全体の高官レベル協議を明日開始
India, Nepal to discuss plans to harness water resources http://www.ptinews.com/pti%5Cptisite.nsf/0/721A199286E85609652574D200513B31?OpenDocument
I
ndia

●080929B India, Economic Times
HImachal Pradesh,水力再生可能で,炭素無排出の州に
Renewable Energy For Making Himachal Carbon Neutral State
http://himachal.us/2008/09/28/renewable-energy-for-making-himachal-carbon-neutral-state/6781/general/ravinder
●080929C India, Economic Times
グリーンビルディング,ムンバイで大きな話題に
Green footprint is widening in India
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Green_footprint_is_widening_in_India/articleshow/3532591.cms58.htm

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