マリオットホテルの爆弾テロは衝撃である。新任の民間大統領で新たな出発が期待されているパキスタンは,また新しい騒乱の時代が訪れたのか。
電力供給は相変わらず厳しく,全国で供給制限が続いている。前大統領は,一生懸命大規模ダムの開発を主導して,国民の不満に対応しようとしていたが,何と言っても十数年後の供給力であるから,なかなか不満を吸収できなかった。今日の記事は,現実に戻って,民間開発による電源設備の進捗を,国民に説明している。
新しい内閣の Minister for Water and Power Raja Parvez Ashraf は,十数年のオーダーの大規模ダム開発の説明ではなく,2010年までの短期の見通しを国民に語りかけた。本来,民間資金による火力発電所は,パキスタンはアジアの中でも早いほうである。「アジアの隼」,の冒頭に出てくるのは,ブットー首相が出席した Hub 火力の着工式典である。
民間資本を扱う Board of Private Power and Infrastructure Board (PPIB) の構想が,詳しく報じられている。全体的には,来年2009年には新規2,380MW,2010年には1,100MWを系統に投入する。具体的には2009年,575MW,3つの石油火力と429MW,2つのガス火力,更に205MWを2010年に投入する,としている。中期的には,2016年までに12.4 billion ドルの投資により13,335MWを開発すべく,51のプロジェクトを審査中である。
パキスタンの概要に触れておく。少し古くてゴメン。パキスタンの国土面積は79.61万平方km,人口は約1億4,200万人GDP総額約930億ドル(2002年)。2002年末現在に於ける発電事業者の発電設備の総容量は,13,363MW(68.4%),IPPは6,183MW(31.6%)で合計設備容量は19,546MW(100%)である。
このうち水力が 6,460MW (33.1%),石油火力が4,015MW(20.5%),混焼を含むガス火力が7,570MW(38.8%),その他石炭及びディーゼルで火力がIPPの1,260MWを含めて,4,450MW (95.1%) である。また,全火力のうち国内産の天然ガスを燃料とするものは3,956MW(38.8%),その他1,039MW(4.1%)となっている。これに対して確認された最大電力は,2003年の12,929MWで,このときの可能出力は14,070MWとされている。
主たる発電所は,Tarbela 水力3,478MW,Koto Addu 石油火力1,621MW(KAPCO),Ghazi Barotha 水力1,450MW,Muzaffa Rgarh ガス/石油火力1,350MW,Hub Power 石油火力1,292MW(HUBCO),Bin Qasim ガス/石油火力1,260MW(KESC),Mangla 水力1,000MW,Warsak 水力240MW,Chashma 水力180MW,Chashma 原子力325MW,Karachi 原子力 137MW,などがある。
本文
●パキスタン,政府,この2年間で,発電能力を徐々に拡大へ
マリオットホテルの爆弾テロは衝撃である。新任の民間大統領で新たな出発が期待されているパキスタンは,また新しい騒乱の時代が訪れたのか。電力供給は相変わらず厳しく,全国で供給制限が続いている。前大統領は,一生懸命大規模ダムの開発を主導して,国民の不満に対応しようとしていたが,何と言っても十数年後の供給力であるから,なかなか不満を吸収できなかった。今日の記事は,現実に戻って,民間開発による電源設備の進捗を,国民に説明している。
パキスタンは,アジアの中でも比較的早くハブ火力などの電力の民間開発を進めてきた国である。しかし最近の報道では,民間の火力発電所が,燃料の高騰で供給を渋っているために,電力不足が起こっているとも言われている。Minister for Water and Power Raja Parvez Ashraf は,至近年に運転開始できる民間発電所の進捗を説明し,2010年には電力不足を解消したい,としている。
Board of Private Power and Infrastructure Board (PPIB) は,次の計画を推進している。全体的には,来年2009年には新規2,380MW,2010年には1,100MWを系統に投入する。具体的には2009年,575MW,3つの石油火力と429MW,2つのガス火力,更に205MWを2010年に投入する,としている。中期的には,2016年までに12.4 billion ドルの投資により13,335MWを開発すべく,51のプロジェクトを審査中である。
●インド,NTPC,Barth プロジェクトで,ロシアの重電メーカー提訴
彼の男,Minister of State for Power and Commerce Jairam Ramesh が怒ったようである。NTPCが進めている Bihar 州の Barh thermal power project,660MW3機の火力で,ロシアの重電メーカー Technopromexport (TPE) が工期を守ろうとせず,BHELに仕事を肩代わりさせる訴訟を行った。インドは,この激しい電源開発の中,機器メーカーの能力に悩ませられているようだ。上海重電を呼んできたり,また今日はロシアからも重電メーカーが入ってきていたことを知った。
●フィリッピン,地方政府,電化への基金供与で,制度単純化を要請
BAGUIO の地方政府が,中央の予算制度の複雑さとその時間のかかり方に,怒りを爆発させた。その人は,Juan Ngalob, Cordillera director of the National Economic Development Authority (NEDA) で,geothermal and hydropower resources を開発して地方電化を行うプロジェクトで,一向に Department of Energy (DoE) の手続きが終わらないのである。
この記事の中で,詳しくは書かれていないが,Binga and Ambuclao dams in Benguet と San Roque and Magat dams の例が引き合いに出されて,the Regional Development Council (RDC) in the Cordillera が,その二の舞をしてくれるな,と言っている。どうも,電源の便益の地元還元のことを言っているようで,これらの大プロジェクトでも,1%の便益汗顔の約束が守られていない,と言っている。その様な制度があったのか,或いは,プロジェクト個別の約束であったのか,調べてみる必要がある。
Reference
September 21, 2008
Pakistan
●080921A Pakistan, Daily Times
政府,この2年間で,発電能力を徐々に拡大へ
Govt plans gradual increase in power generation in next 2 years
http://www.dailytimes.com.pk/default.asp?page=2008%5C09%5C21%5Cstory_21-9-2008_pg5_3
Philippines
●080921B Philippines, Manila Bulletin
地方政府,電化への基金供与で,制度単純化を要請Simple fund-release rules sought http://www.mb.com.ph/PROV20080921135816.html
India
●080921C India, Economic Times
NTPC,Barth プロジェクトで,ロシアの機器導入を検討
NTPC to sue Russian supplier for delays on Barh project
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/NTPC_to_sue_Russian_supplier_for_delays_on_Barh_project/articleshow/3507340.cms
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