ネパールの包蔵水力は,80,000MWと言われている。現在のインドの電力設備の57%に相当する。ポスト京都の大きな目玉は,インドと中国の原子力開発とインド北辺,ブータン,ネパールの水力開発である。これらの電力が,どの程度までインドの石炭火力開発を抑制できるか。人類にとっては,まさに最後の挑戦である。
Nepal Prime Minister Pushpa Kamal Dahal 'Prachanda' が,はじめてのインド訪問を終わって,木曜日に帰国した。彼は最後にインド高官に要請した。ネパールの水力10,000MWを10年内に,インドの民間企業によって開発して欲しい。ポテンシャルが,80,000MWあるとはいえ,年間1,000MWの開発を10年間続けることは,難しい作業である。
しかし,あの難しかったネパールの政治情勢や,インドとの外交関係を克服して,Prachanda がその気になっている。これは,世界を挙げて支援して良い意義の高いものだろう。日本政府も,既にインド北辺の水力開発への協力の姿勢を示している。インド北辺とネパールは,全く同じ線上にある。ネパールとインドの外交関係が悪い間も,日本は積極的に,あの治安の悪かったネパールを支えてきたのである。
ネパールの水力開発には,多くの壁がある。今日の記事に書かれているのは,送電線の建設とアクセスの開発である。送電線は,当面,両国の間に220KV4回線の送電線建設計画があるが動いていない。Kosi 川上流のダム建設には,長いアクセス道路の建設が必要である。今日の記事は言っている,インドでは,水力1KW開発に平均1,105ドル出来るが,ネパールでは実に2,652ドル必要だと。
このほかに,ダムを建設して,ある程度は貯水池が必要である。ヒマラヤからの土砂流入を,どの様に考えるか,難しい問題である。また,氷河湖の決壊が問題になっている。現実に,ブータンなどでは,これによる洪水被害が出ている。人類最後の挑戦であるネパールの水力は,多くの優秀なエンジニアーを必要としている。
本文
●ネパールの水力輸出の意図,送電線が問題か
ネパールの新首相 Nepal Prime Minister Pushpa Kamal Dahal 'Prachanda' が,インドを訪問して,向こう10年間で10,000MWの水力開発を,インドの民間セクターと協力して開発したい,と言い残して,この木曜日に帰国の途についた。インドの民間セクター,Satluj Jal Vidyut Nigam Ltd と GMR Infrastructure Ltd. は,既に開発のスタートラインに着いている。今日の記事は,この水力開発に横たわるインフラの困難を映し出している。
ネパールの電力の現有設備は617MWで,約100MWが不足しているものと考えられている。このうち大部分の569.87MWは水力発電である。包蔵水力は80,000MWと言われている。当面の電力不足を解決するためには,直ちに300MWを開発する必要に迫られている。
また,インドへの電力輸出については,10年間で10,000MWと言う大きな目標の前に,当面の開発目標,500~600MWをインドへ送る必要があるが,現在ある両国間の送電線は,132KVラインが二つあるだけで,100MWがせいぜいである。220KV送電線を少なくとも4回線必要としているが,2006年に始まった送電線計画は,ネパールの政治情勢から全く進んでいない。これが一つのネックである。
また,ネパールの水力地点はいずれも奥地で,アクセスが大変に難しい。インドの国内であれば,KW当たり50,000ルピー,1,105USドル相当,で建設できるものが,ネパールでは120,000ルピー,2,652USドルを要することも,一つの問題だ。このように,ネパールの水力開発の難しさを,この記事は論じているが,これらの問題は,開発当事者達は当然織り込み済みであり,送電線や道路建設は,開発企業の頭の中に入っている。
●インドネシアと中国の電力改革の現状
なぜかこの記事がナイジェリアから発信されている。非常に簡潔に,インドネシアと中国の電力事情についてまとめられている。インドネシアのついては,その電力危機は,問題は電気料金の安さにあり,投資家の魅力を引かない,とズバリ指摘している。中国については,2002年当時からの分割の状況を詳しく描写している。
●インド,KG流域の天然ガス包蔵,リライアンスに期待以上の成果
インド財閥 Reliance Industries (RIL) が,Krishna-Godavari basin,即ち he KG basin off the Andhra coast で,期待以上の規模の 原油や天然ガス,更には hydrocarbon のポテンシャルに,嬉しい悲鳴を上げている。当面,KG流域の中の8つのガス田を中心に,2.34 billion ドルの投資を行うことで,directorate general of hydrocarbons の承認を取っている。原油40,000 barrels of oil per day (bopd) と 240-350 mmscfd の天然ガス生産である。これらを含めて,リライアンスは,インドの原油ガス生産の50%を抑えることになる。
●フィリッピン,NEADと投資調整委員会ICC,エネルギー6プロジェクト承認
National Economic and Development Authority (NED A) の Investment Coordination Committee (ICC) が,6つのエネルギー関連プロジェクトを承認した。いずれも,ADBや国内銀行の融資によるものである。総額は17.4 billion ペソに達する。エネルギー効率の向上や,気候変動への対応を目的としたクリーンエネルギーの開発などである。6.13 billion ペソは,具体的な送電線建設の当てられている。また,4.52 billion ペソは,Upper Magat and Cagayan, Upper Pampanga and Jalaur River basin などの流域保全に当てられる。
Reference
September 19, 2008
Philippines,
●080919A Philippines, Manila Bulletin
NEADと投資調整委員会ICC,エネルギー6プロジェクト承認NEDA-ICC approves 6 energy projects http://my.reset.jp/~adachihayao/080919A.htmhttp://www.mb.com.ph/BSNS20080919135592.html
Nepal
●080919B Nepal, livemint
ネパールの水力輸出の意図,送電線が問題か
Inadequate transmission links may trip Nepal’s power trade goals
http://my.reset.jp/~adachihayao/080919B.htmhttp://www.livemint.com/2008/09/19002843/Inadequate-transmission-links.html
India
●080919C India, Economic Times
KG流域の天然ガス包蔵,リライアンスに期待以上の成果RIL strikes gas at 8 more spots in KG basin
http://my.reset.jp/~adachihayao/080919C.htmhttp://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/RIL_strikes_gas_at_8_more_spots_in_KG_basin/articleshow/3500839.cms
Indonesia
●080919D Indonesia, punchng
インドネシアと中国の電力改革の現状Power sector reforms in Indonesia and China http://my.reset.jp/~adachihayao/080919D.htmhttp://www.punchng.com/Articl.aspx?theartic=Art200809190141915
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