インドの Planning Commission Deputy Chairman Montek Singh Ahluwalia が,会議を終えて,Integrated Energy Policy のドラフトについて,記者団に語った。Indo-US Civil Nuclear Agreement の米国による最終手続きが近づくにつれて,インドの原子力開発への盛り上がりが,連日,インドでニュースを賑わしている。来週,国連総会に出席する Prime Minister Manmohan Singh は,ブッシュ大統領と最後の打ち合わせに臨む。
今回の発表は,今までの計画を凌ぐ大きな構想である。2050年までに600,000MWは,今後40年間で年15,000MW,1,000MW機を15機づつ運転開始して行く,と言う。インドの数字の単位は複雑なので間違えないようにしなければならないが,lakh は10万だから,こういう数字になるのだろう。次の5年間で全電源で70,000MW開発だから,その殆どを原子力で開発する計算になる。如何に大きな構想かが分かる。
この構想の基礎になっているのは,勿論,Indo-US Civil Nuclear Agreement と,最近,この Agreement に同意を与えた Nuclear Suppliers' Group (NSG) の動きである。また,その条件としては,次の12年間で30,000~40,000MW分の燃料確保と thorium technology の適用ということになっている。thorium technology とインドの核燃料確保の関係については,鈴木篁氏のHPに詳しい。
インドは,核不拡散条約に入っていない故に,核燃料の確保に苦労している。400万KWある原子力発電所の稼働率が落ちて,電力不足に拍車をかけている。また一方で,中国も大きな原子力開発構想を持っているが,「中国国内のウラン資源は,現状でも需要量の半分程度しか供給能力がなく,今後、海外のウラン資源を求めて探鉱開発活動を強化する必要に迫られている。」,と書かれた論文を先日紹介した。
インドと中国の核燃料確保の競争が激化する,と考えれれる。両国とも石炭火力が70%を占める国だけに,今後,この両国が何処まで原子力で石炭火力発電を抑えて行くかは,人類全体の関心事である。拡大すればするほど,原子力発電の安全性に大いに関心が集まってくるが,この面でも日本の支援が必要になってくると思っている。
本文
●インド,国家計画委員会,2050年までに600,000MWの原子力開発
2050年までに600,000MWは,今後40年間で年15,000MW,1,000MW機を15機づつ運転開始して行く,と言う大規模な構想だ。インドの数字の単位は複雑なので間違えないようにしなければならないが,lakh は10万だから,こういう数字になるのだろう。次の5年間で全電源で70,000MW開発だから,その殆どを原子力で開発する計算になる。如何に大きな構想かが分かる。
この構想は,Planning Commission Deputy Chairman Montek Singh Ahluwalia が会議の後発表したもので,その基礎となるのは,次の12年間で30,000~40,000MW分の燃料確保と thorium technology の適用という条件である。この構想に沿って,Integrated Energy Policy が起草されつつあるという。thorium については鈴木篁氏のHPに詳しい。また,民間による原子力開発の方向も打ち出されている。
このインドの原子力への盛り上がりは,Indo-US Civil Nuclear Agreement に基礎を置いている。最近,この Agreement を支援するために,Nuclear Suppliers' Group (NSG) が,インドへの支援を合意したことも,大きな支えになっている。Prime Minister Manmohan Singh は,来週にも国連第63次総会出席のためにニューヨークを訪れ,ブッシュ大統領と会談する。米国議会の承認が,最後の関門である。インドの原子力開発も,気候変動への人類の戦いの重要な一環であろう。
●インド,世界銀行とADB,Himachal の水力開発に関心
Himachal Pradesh 州は,インド西北部の山岳州で,これまでもたびたびこのHPで議論した。インダス川の上流,Chenab や Stluji の大支流を擁して,22,000MWの未開発水力があるとされていて,ポスト京都に重要な役割を果たす。Salman Zahir, energy development manager of the bank に率いられた6人の世界銀行調査団が現地に入り,州政府 chief minister Prem Kumar Dhumal と会談した。
世界銀行は,この州のエネルギー開発に際しては,森林保護の問題と道路インフラの重要性に着目しており,この二つの面から具体的に,436kmに上る道路整備と12,000haの植林を支援するため,1365 crore Rs ,約3 million US$ のプロジェクトを考えている。これには,ADBも同じ発想で協力の構えである。
●フィリッピン,エネルギー省,2009年予算で,1 billion ペソ,要求
10億ペソ,約25億円相当,目標は country’s energy security の確保であり,国外資源への依存度の減少である。おなじみの Energy Secretary Angelo Reyes の話は,いつまで経っても抽象的で,有効さに欠ける。日本と同じ貧資源国であり,如何にして海外資源確保の安定を得るかが重要で,国内資源の開発は,焼け石に水,の感が強い。マランパヤに出ている天然ガスは,国内エネルギー消費の僅かに7%である。
いろいろな総合計画,Philippine Energy Contracting Rounds (PECR),Natural Gas Vehicle Program for Public Transport も実効性が薄い。全力を挙げて,当面輸入石炭の確保に努力し,石炭火力の新設に力を注ぐべきだ。きれいごとでは,至近年の電力危機は避けられないであろう。
●ネパール共和国最初の国家予算,236 billion ルピー
はじめての共和国予算,毛派主導の政策実行のためには,前年度増45%の予算が必要という。Finance Minister Dr. Baburam Bhattarai の説明によると,我々の関心事項としては,東西を繋ぐ電気鉄道計画調査約4億円相当,南北縦断ハイウエー調査が約3億円相当,と構想は大きいが調査費が少ない感じ。Prachanda がインドで約束した,10年で10,000MW水力開発は,首相直属の high-level power sector development board を組織化すると言う。
ReferenceSeptember 10, 2008
Philippines
●080920A Philippines, Manila Bulletin
エネルギー省,2009年予算で,1 billion ペソ,要求
Energy department seeks P1-B budget for 2009 programs http://www.mb.com.ph/BSNS20080920135698.html
Nepal
●080920B Nepal, kantipuronline
ネパール共和国最初の国家予算,236 billion ルピー
Rs 236b budget bold but sketchyhttp://www.kantipuronline.com/kolnews.php?&nid=161282
India
●080920C India, Economic Times
世界銀行とADB,Himachal の水力開発に関心
World Bank, ADB show renewed interest in Himachal projects
http://www.financialexpress.com/news/world-bank-adb-show-renewed-interest-in-himachal-projects/363608/2
●080920D India, economictimes
国家計画委員会,2050年までに600,000MWの原子力開発
India can take N-power generation to 6 lakh MW by 2050 Montek
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/India_can_take_N-power_generation_to_6_lakh_MW_by_2050_Montek/articleshow/3504297.cms
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