2008年9月26日金曜日

インドの南アジア送電連携構想

こういう話は,私の言う,「アジア開発3人男」,が出てきなければ成立しない。インドの minister of state for power and commerce Jairam Ramesh とネパールの Nepal premier Pushpa Kamal Dahal 'Prachanda' の二人が,今日は別々の記事の中で相呼応し,南アジアのエネルギー開発構想を盛り上げた。

Ramesh が最近,嫌がるインドの水力発電公社NHPCを連れ出して,ミャンマーの首都を2度に亘って訪問し,二つの水力プロジェクトの開発で協力を約束した。それが Chindwin river basin の 1,200MW Tamanthi project and the 600MW Shwzaye project である。Ramesh の眞の狙いは,ミャンマー沖の天然ガスにあるのだが,この Chindwin 開発は,今回の South Asia power grid 構想に強く関連づけられていた。

ブータンについては既に輸入の実績があり,2020年までに5,000MW輸入の約束が出来ている。ネパールについては,今回の Nepal premier Pushpa Kamal Dahal 'Prachanda' のデリー訪問で,彼自身が,向こう10年間での10,000MW開発を申し出ている。また既にインドの民間企業が動き出している。ミャンマーは,Chindwin で活動を開始した。

今日の記事では,スリランカをも巻き込むものである。スリランカでは,450 million ドルの海底送電線構想が動いており,更にNTPCによる500MW石炭火力開発が動いている。これで,インドを中核に,ブータン,ネパール,ミャンマー,スリランカの大きなネットワーク形成への構想が,Ramesh の中に生まれてきたわけである。バングラデシュはどうするのかな。今のところ,ガスパイプラインで対立関係にあるのか。

本文

●南アジアの送電線連携で,インドがイニシャティブ

こういう場合は,必ず,「アジア開発3人男」,の一人が出てこなければ,芝居は成り立たない。インドの minister of state for power and commerce Jairam Ramesh が,先頃から盛んにNHPCの尻を叩いてミャンマーに出かけていたが,今日の彼の構想をぶち挙げるために,殆どNHPCが諦め欠けていたミャンマーの Chindwin river basin の開発を繋いできたのだ。

彼は,インドが,第11次,第12次の五カ年計画で161GWの電源を確保しなければ8%の経済成長を続けられない,と言うことを前提に,南アジアの送電連携構想を打ち上げたわけである。それは,ミャンマー,ネパール,ブータン,更にはスリランカを包含する構想 South Asia power grid で,この構想はインドが主導しなければ成り立たない,と彼は声高に叫んでいる。

ネパールの包蔵は83,000MW,可能が45000MW,既開発は僅かに591MWの現状の中,既に GMR,state-owned Satluj Jal Vidyut Nigam, power trader PTC India Ltd などが活動を始めている。ブータンは,2020年までに5,000MW輸入の計画であり,既に,1,080MW Punatsangchhu-I, the 1,000MW Punatsangchhu-II and the 600MW Mengdechu が動いている。

ミャンマーは,包蔵水力39720MW,既開発は僅かに747MW。現在,NHPCが Chindwin river basin で 1,200MW Tamanthi project and the 600MW Shwzaye project を調査中である。スリランカは,450 million ドルの海底送電線プロジェクトと,500MWの石炭火力が動いている。

●ネパールの水力輸入に関し,強気の楽観論

二人とも,私が指名した,「アジア開発3人男」,(残念ながらタイのサマック首相は政治の場から姿を消した)の中の二人である。一人は,インドの minister of state for power and commerce Jairam Ramesh,もう一人はネパールの Nepal premier Pushpa Kamal Dahal 'Prachanda'。今日は,この二人が同時に私のHPを飾ってくれた。

Prachanda は強気である。インドの協力を得て,次の10年間で10,000MWの水力開発構想に固執している。これは Ramesh の South Asia power grid に呼応するものだ。ネパールの水力開発は,世界的にも環境に大きな影響を与えない,としている。水力開発と同時に,今回の Kosi 川の洪水をきっかけに,a joint Indo-Nepal water authority を組織する構想も浮上している。

現実に動いている両国共同のプロジェクトは,GMR group is setting up the 300 mw Upper Karnali project と the state-owned Sutlej Jal Vidyut Nigam is promoting the 402 mw Arun III project である。

●フィリッピン,天然ガスの価格に関し,透明性が求められている

天然ガスの価格,LNGも含めての話であろうが,この価格形成のメカニズムが不透明だという議論は続いていた。今回は,米国の Federal Energy Regulatory Commission (FERC) が,新たなルールを求めて,法の改正に乗り出したということである。フィリッピンがこの報道に鋭く反応したのは,最近のガス生産国として,価格メカニズムが不安定,と例を引かれたことに発している。

Reference
Sptember 22, 2008

Philippines

●080922A Philippines, Manila Bulletin
天然ガスの価格に関し,透明性が求められている
Transparency in gas price reporting urged http://www.mb.com.ph/BSNS20080922135861.html

India

●080922B India, economictimes
ネパールの水力輸入に関し,強気の楽観論
Bullish on power sharing
http://economictimes.indiatimes.com/Editorial/Bullish_on_power_sharing/articleshow/3510916.cms
●080922C India, telegraphindia
南アジアの送電線連携で,インドがイニシャティブ
Bid to create South Asia power grid http://www.telegraphindia.com/1080922/jsp/business/story_9868332.jsp

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