2009年3月31日火曜日

カンボジアが2016年には電力輸出と


HPは下記ドメインです。写真地図など見て下さい。
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm

カンボジアのイトプレイン次官が,強気の発言である。カンボジアの水力については,日本政府が殆ど大規模計画に手を付けられなかったのを受けて,中国企業が一気に西南部の水力開発に乗り出した。カンボジア政府は全面的に中国企業を支援することになった。強気になったカンボジア政府は,今日の記事にあるとおり,東北部のダム計画にも開発を促し,2016年には電力輸出国だ,と言っている。

あれほど手に着かなかったカンボジアの水力が,ここまで動くのは,まさに中国の力ではあるが,あのように大変だった地雷の問題はどうなったのであろうか。今日の中国企業のダムサイトを地図上で見てみたが,どうも地雷の可能性のないところを選んだ可能性もある。ポルポトはおそらく,トンレサップ沿いの西岸を逃げたに違いない,そこには中国企業は手を付けていない。

中国企業が,西部,カンポットより北になる地点にとりついている。カムチャイ(注7),キリロム第3(注15),スタンアタイ(注16),ラッセイチュルム(注17),スタンタタイ(注18)で,これらが完成すれば,カンボジアの設備は800MWになるという。しかし,これを見たイトプレイン次官は,北部及び東部のメコン河(注11),スレポック川(注12),セサン川(注13)でダムプロジェクトを準備中で,2020年には,2,000MWが完成すると。

東部については,これからの海外企業の投資を待つという。しかし考えてみれば,中国企業は闇雲に走っているわけではない,と言うことが分かる。我々は,治安上の問題で,なかなか西部への進出は出来なかったが,一旦進出すれば,比較的開発が容易な地域ではないか,と言う気がする。イトプレイン次官が言っている東部のメコン支流,スレポック,セサンは,大流域で,大変だと思う。中国も行かないスレポックか,ベトナムが近い。

今日は,昨日原稿で失敗したネパールを取り上げたかったのだが,カンボジアが前面に出てきてしまった。ネパールのプラチャンダー首相は,就任早々北京に飛び,返す刀でインドのシン首相と会談,スタッフに,10年で10,000MWのブループリントを描け,と命令して,今夜はノルウエーのオスロのホテルにある。そうして,ノルウエー企業は現地にあって,600MWのタマコシに挑戦している。

インド北辺の水力開発は,インドのエネルギー問題と言うばかりでなく,地球の気候変動との戦いであり,ネパールの水力はその重要な戦いの線上にある。インドの原子力とその北辺の水力開発が,重要な鍵だと思う。先日も,米国企業などと組んだ日本の原子力企業のインドへの進出の将来を見てきたばかりである。原子力企業ばかりに任せておかないで,水力企業も重要な足がかりを持つネパールの水力にも,銀行はを支援すべき。

今日のビジネスアイ(注)は,「原発開発で海外受注へ官民結束」,と題して,原子力国際協力センターを設立し,ベトナムばかりでなく,将来的にはタイやモンゴルなどにも支援を広げたい考え,と書いてあるが,もっと東芝や三菱重工業,日立製作所を巻き込んで,インドや中国も視野に入れて欲しい。水力の企業も負けずに,「インド北辺水力開発センター」,など創って欲しいものだ,「官民結束」で。

(注) http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200903310086a.nwc

本文

●カンボジアは2016年までには電力輸出可能に

CAMBODIA will start to export electricity in 2016 following the completion of a series of hydropower dams in the country's west and northeast, said a senior official at the Ministry of Industry, Mines and Energy last week. (冒頭原文引用)

カンボジアの水力については,日本政府が殆ど大規模計画に手を付けられなかったのを受けて,中国企業が一気に西南部の水力開発に乗り出した。2009年1月2日付本HP(注20)にあるとおり,カンボジア政府は全面的に中国企業を支援することになった。強気になったカンボジア政府は,今日の記事にあるとおり,東北部のダム開発にも開発を促し,2016年には電力輸出国だ,と言っている。

この記事についている写真は,カンボジアには似つかわしくなかった重機類が,カンポット県(注8)のカムチャイダム建設のために勢揃いしたところである。中国の支援によって,2012年には,完全にエネルギー自給を豪語する理由は,このプロジェクトにある。カンボジアの鉱工業エネルギー省MIME(注9)高官は,西部及び北東部の一連のダム開発によって,2016年には電力輸出をスタートさせる,と言っている。

MIME(注9)のイトプレイン次官(注10)は,2016年には,1,000MWを輸出できるようになり,更にそれ以降,ダム開発の進展に従って,その量は増えて行くだろう,2012年には,国内の需給体制が整う,としている。北部及び東部のメコン河(注11),スレポック川(注12),セサン川(注13)でダムプロジェクトを準備中で,2020年には,2000MWが完成すると。

現在前項の設備は,400MWであり,その4分の3がプノンペン(注14)で使われていると。2014年には,西部の諸ダムが完成し,設備は,800MWになると。カンボジア政府は,多くの投資企業を求めていると。これらのダムは,カムチャイ(注7),キリロム第3(注15),スタンアタイ(注16),ラッセイチュルム(注17),スタンタタイ(注18)で,中国企業と韓国企業が建設中であると。

MIME(注9)のジョナ次席(注19)は,開発の可能性に関する調査を終えているので,開発企業の投資を説得する必要があると。カンボジアは今は,近隣諸国から電気を買っているが,ベトナムから13の送電線で合計220MW,タイから8つの送電線で30MWを買電中と。2002年に,ベトナム, タイ,ラオス,中国,ミャンマーと,広域の電力融通で合意していると。

この合意に基づいて,昨年,2008年は,150MW~200MWの融通を受けたが,2009年は,需給のギャップを埋めるために,500MWを買う必要があると。エネルギー需要は,年率10~15%で伸びており,ベトナムとタイからの買電は,KWh当たり6セントである。ベトナム政府は,2015年には630億KWhの不足,2020年には2260億KWhの不足となり,カンボジアからの輸入が必要,と言っている。

(注)A (1) 090331A Cambodia, hnompenhpost,(2) title: Electricity exports expected by 2016, says govt official ,(3) 
http://www.phnompenhpost.com/index.php/2009033025079/Business/Electricity-exports-expected-by-2016-says-govt-official.html,(5) Written by Chun Sophal,MONDAY, 30 MARCH 2009,(6) Photo by: SebastiAn Strangio,(7) Kamchay dam,(8) Kampot province,(9) Ministry of Industry, Mines and Energy,(10) Ith Praing, secretary of state at the ministry,(11) Mekong,(12) Srae Pok River,(13) Sesan River,(14) Phnom Penh,(15) Kirirom 3,(16) Attai River,(17) Russey Chum,(18) Ta Tai River,(19) Victor Jona, deputy director general at the ministry's general energy department,(20) http://my.reset.jp/~adachihayao/index090102C.htm,(21) photo source: Kamchay dam http://cache.daylife.com/imageserve/00BzeFI1Su1W6/610x.jpg,(22)

●ネパールでSNパワーが600MWのタマコシ3ダム開発へ

An international hydropower company, SN Power, has started work to develop a 600-MW daily pondage type hydro project, Tamakoshi-III, in Dolakha district. The company has acquired a survey license from the Department of Electricity Development to study the project. The company has converted the idea of developing two hydro projects in the area into a larger single reservoir-type project. (冒頭原文引用)

昨日,2009年3月30日,ノルウエーのオスローに着いたネパールのダハール首相(注23)は,ノルウエー企業とネパールの水力開発,特にタマコシ川の開発について,関係企業と協議を行う予定だ。現在,タマコシ川は,カトマンズの東約100kmの流域だが,アッパータマコシは詳しい資料があるが,下流の207MWのタマコシ第2水力(注9)と275MWのタマコシ第3水力(注10)については,余り資料がない。

ノルウエー系,国際水力企業であるSNパワー(注5)は,ドラカ地区(注7)の,600MWの日調整池を持つタマコシ第3水力(注10)の調査を開始している。既に,当局,電力開発局(注8)からの調査の許可を得ている。SNパワー(注5)は,流込式(注24)の207MWタマコシ第2水力(注9)と貯水池式の275MWタマコシ第3水力(注10)を,一つの貯水池式水力に変更する案で,調査を進めている。

SNパワー(注5)のシャー副社長(注11)は,詳細調査と環境調査EIA(注12)の結果,一つにまとめた方がよい,と言っている。ダムの高さを,125mから95mに変更して,200世帯が水没するシンガティ(注13)を救うことになる。乾期には600MWで4時間発電,雨期には24時間運転を目指す。年間発電量は,24億KWhである。国内需要が目的だが,余剰が出れば輸出する。

詳細調査は,2009年10月に終了し,2012年末にも着工,2016年運転開始を目指している。事業費は13億ドル,約1,050億ルピー相当,である。資金調達は,IFC(注14),ADB(注16)が中心になって行う。関連送電線も建設する計画であるが,現在計画中の,クミティ-ダルケバール間送電線が完成すれば,それが使える。もし間に合わないと,225kmで約1億ドルを要する。

SNパワー(注5)は,ドラカ地区(注7),発電中の60MWのキムティ水力(注18)の主たる推進企業であり,他に,インド,スリランカ,ペルー,フィリッピンで,合計960MWの発電所を運転中であり,世界各国で,1,800MWが工事中,更に,2,000MWが開発中である。チリーで600MWのプロジェクトが工事中。ネパールでは,金融危機の他に,政治,法制度,安全事情,など問題がある。

シャー副社長(注11)によると,一旦着工すれば,1万人の訓練された労務者が必要なので,この10月から11月に訓練することを計画していると。クリカニ水力(注19)を除いて,ネパールはすべて流れ込み式なので,乾期になると電力不足が厳しく,今回の600MWの日調整池を持つタマコシ第3水力(注10)は,非常に貴重である。

(注)B (1) 090331B Nepal, myrepublica,(2) title: 600 MW daily-pondage hydro project in pipeline,(3) http://www.myrepublica.com/portal/index.php?action=news_details&news_id=3203,(4) THIRA L BHUSAL,KATHMANDU, March 30:,(5) SN Power,(6) Tamakoshi-III,(7) Dolakha district,(8) Department of Electricity Development, Nepal,(9) 207-MW Tamakoshi-II,(10) 275-MW reservoir-type Tamakoshi-III,(11) Sandip Shah, vice president and country director of SN Power Holding Singapore Pte. Ltd.,(12) environment impact assessment (EIA),(13) Singati Bazar,(14) International Finance Corporation,(15) World Bank group,(16) Asian Development Bank,(17) Khmiti-Dhalkewar transmission line,(18) 60 MW Khimti Hydropower Project,(19) Kulekhani,(20) thira@myrepublica.com,(21) photo source: dolakhatown.blogspot.com/2008/01/tamakoshi-hy,(22) http://my.reset.jp/~adachihayao/index090218C.htm,(23) Prime Minister Pushpa Kamal Dahal,(24) run-of-river,(25) 

●ネパールの10000MW水力で2兆ルピーが必要

The government-formed taskforce for the formulation of ten-year hydropower development plan has suggested to the government to arrange Rs 2 trillion to materialize the government’s plan to produce 10,000 MW of hydroelectricity in the next ten years. (冒頭原文引用)

ネパールの初代共和国首相プラチャンダー,ダハール首相,就任早々から,10年間で10,000MW水力開発を掲げ,北京に飛び,デリーに飛び,そうして今夜はノルウエーのオスロにある。黒四の時代の太田垣社長みたいなもの,とにかくお金集め,投資企業への呼びかけに必死,まさに,インドの北辺の水力開発,地球温暖化との戦い,人類最後の戦いでもある。

ネパール政府が組織した特別チーム,10年間で10,000MW開発の提案書を完成,総事業費2兆ルピー,約247億ドル相当,が必要,との報告書を提出した。1.5兆ルピー,約185億ドル相当が水力開発,残りの0.5兆ルピー,約62億ドルがそのためのインフラ,送電線,配電線,電化,輸出システムに必要,としている。10,781MWを2020年まで,の報告書を,パウンデル水資源相(注4)に提案した。

1.5兆ルピー,約185億ドル相当の水力開発事業では,29%をネパール電力庁NEA(注5)とネパール政府が準備する必要があると。また,ネパールの銀行や企業が24%,3,580億ルピー,約44億ドル相当,を準備する,また,47%の7,120億ルピー,約88億ドル相当,を外国企業の直接投資,としている。プロジェクトは50に上り,次のプロジェクトを含んでいる。

プロジェクトは,456MWのアッパータマコシ水力(注6),402MWのアルン第3水力(注7),300MWのアッパーカルナリ水力(注8),100MWのアッパータマコシA水力(注9),160MWのタモールメワ水力(注10),600MWのブディガンダキ水力(注11),380MWのタモール水力(注12),335MWのアッパーアルン水力(注13),などである。首相主宰の高級電力委員会(注14)の創設を提案している。

昨年,2008年12月3日,閣議決定で,この特別チームを編成し,水力専門家のパウデル氏をチーフ,水資源省の官僚,専門家をメンバーとして,調査作業に当たっていた。

(注)C (1) 090331C Nepal, myrepublica,(2) title: 10,000 MW will cost Rs 2 trillion: Govt taskforce ,(3) 
http://www.myrepublica.com/portal/index.php?action=news_details&news_id=3160,(4) THIRA L BHUSAL ,KATHMANDU, March 29,(4) Minister for Water Resources, Bishnu Poudel,(5) Nepal Electricity Authority,(6) 456 MW Upper Tamakoshi,(7) 402 MW Arun-III,(8) 300-MW Upper Karnali,(9) 100-MW Upper Tamakoshi-A,(10) 160-MW Tamor Mewa,(11) 600-MW Budhi Gandaki,(12) 380-MW Tamor reservoir,(13) 335-Upper Arun,(14) .High-Level Power Sector Committee,(15) senior hydropower expert Somnath Poudel as head,(16) Prime Minister Pushpa Kamal Dahal,(17) 

参考資料

●090331A Cambodia, hnompenhpost
カンボジアは2016年までには電力輸出可能に
Electricity exports expected by 2016, says govt official 
http://www.phnompenhpost.com/index.php/2009033025079/Business/Electricity-exports-expected-by-2016-says-govt-official.html

●090331B Nepal, myrepublica
ネパールでSNパワーが600MWのタマコシ3ダム開発へ
600 MW daily-pondage hydro project in pipeline
http://www.myrepublica.com/portal/index.php?action=news_details&news_id=3203 

●090331C Nepal, myrepublica
ネパールの10000MW水力で2兆ルピーが必要
10,000 MW will cost Rs 2 trillion: Govt taskforce 
http://www.myrepublica.com/portal/index.php?action=news_details&news_id=3160 



2009年3月29日日曜日

インドのヒマチャルでルーリ水力


HPは下記ドメインです。写真地図など見て下さい。
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm

今夜のNHKは,沸騰都市何処へ,と題して,世界の都市の1年前と現状を映像で比較していた。別に,1年前に今日の世界の経済危機を予想しながら番組を造っていたわけではなかろうが,それでも1年間の対照的な状況を表現していた。おそらく殆どの人が,1年前はどうだったか,と言われれば,あの時はこうしていたのに,と思い出すに違いない。経済市況や物価が,これほど1年で違うのかと。

ドバイの映像を見ながら,日本の企業が,中東が忙しくてどうにもならない,アジアの発電所など言わないで下さいよ,とまで言われていた。今日の映像でも,ドバイに人材も建機も資材も大移動をしてしまって,中断し始めたプロジェクトに,苦悩の深まる日本企業が描かれていた。ドバイへ,とかけ声をかけた企業のトップの心情にも,深く思い至るが,それでも忙しいときに目を大きく開いて,全体を見ていないと駄目,と言うことか。

今日も私の目は,インドの西北部,ヒマチャルプラデシュ州の地図の上に釘付けになっていた。日本に居座っている私の利用出来る資料は少ないが,それでも,地図の上を這いながら,資料を追っかけ回していると,いろいろな人が世界各地を歩いて写真などをウエブ上に公開していて,それをたどると,ヒマラヤの峡谷を見たような思いになる。

しかし,今日の,インダス河上流,スティルジ川のルーリ水力の記事を読んでいると,大胆な設計をするインドのエンジニアーは,まさしくヒマラヤと富士山の違いがあるような気がする。30kmの導水トンネルを掘って,落差を200mほど得て発電する。黒四は,10kmのトンネルで,ダムの高さ180mを加えて落差は400mに達している。黒四は,300MW,ルーリ水力は,775MWである。流域面積が10倍近くあるのだろう。

壮大な地図を見ながら,大胆な計画を進めるインドのエンジニアーが羨ましくなるが,それでも,インドにも地元住民のいろいろな不満が出てきており,特に,州政府と中央政府の交渉は厳しい。おそらく日本の住民意識よりも上で,それに対する見返りも,大きいのではないか。15%近くのフリーな電力を地元に置いて行く計画である。

今日のニュースの中で,米国の提唱する新温暖化会合がある。日米欧の主要8カ国(G8)に中国,インドなど温暖化ガスの排出量の多い新興国を加えた16カ国が参加,4月27日,28日8にワシントンで準備会合,という。京都議定書をほったらかしておいて,新しい会合を招集する米国も勝手だと思うが,米国,中国,インドが動かなければどうにもならないから仕方がないのか。主要経済国フォーラム(MEF),という。

本文

●インドのヒマチャルで775MWのルーリ水力着工へ

Battle hardened Satluj Jal Vidyut Nigam Ltd (SJVNL) has drawn up plans to execute the country’s first twin tunnel hydro-power project as designs layouts emerge and the public sector generating company readies to invite civil works contract bids for the 775 MW Luhri project.
To be executed upstream of the NTPC’s Kol Dam project on Satluj river, the Himachal government awarded the Luhri project to SJVNL in October 2008 for which a detailed project report was under preparation since December 2004. (冒頭原文引用)

インド,ヒマチャルプラデシュ,その州都シムラー(注4)の傍を流れる,インダスの重要な支流,サトルジ川(注9),ヒマラヤから流れ下るこの川のダム開発は,地球温暖化抑制のための人類最後の戦いの主戦場の一つである。多くのプロジェクトが顔を出すが,ここを舞台に活躍しているのが,SJVNL(注5)の水力開発企業で,ブータンやネパールにも出ている。2008年10月14日付本HP(注22)にも顔を出している。

SJVNL(注5)は,775MWの大規模ルーリ水力プロジェクト(注6)で,長大トンネルに於ける地質問題に苦慮した結果,直径9mのトンネルを,直径5mの2本のトンネルに設計変更し,対処することにし,入札を開始することとした。NTPC(注7)が担当するコルダム水力プロジェクト(注8)の直上流のルーリ水力プロジェクト(注6)は,2004年12月から設計にかかっているが,2008年10月に州政府より,SJVNL(注5)が請けた。

直上流の,1,500MWのナトパ-ジャクリ水力が,地質問題で難航した経験から,今回の隠忍自重の設計変更で,SJVNL(注5)はルーリ水力プロジェクト(注6)の20173年運転開始に自信を得ている。このプロジェクトは,全部で100kmに亘るトンネル工事があるが,特に導水路は,長さが38kmで直径が9mという困難な計画であった。これを29m間隔をとった直径5mの2本のトンネルに変更したわけである。

ルーリ水力プロジェクト(注6)の入札は,ダム,二つの導水路トンネル,発電所の3つの工区に分けて行われる。多くのコントラクターが関心表明EOI(注14)を提示している。流れ込み式水力で,取水位置は,州都シムラー(注4)から100kmの位置にあるニラット村(注15)で,発電所は,スンニ-サインジ間道路(注17)のマロラ村(注16)に位置する。

長大な導水路トンネルの掘削には8つの横坑が用意され,水圧管路は長さ173.5m,直径5m,4機のフランシスタービンに繋がっている。総落差は221mで,出力は,775MWである。事業費は2006年12月レベルで,480億ルピー,約9.5億ドル相当,で,電気料金に換算すると,KWh当たり,2.53ルピー,約5セント相当,である。

この事業のため,特別チームが編成され,ヒマチャル州政府が49%,中央政府が51%の資本を分担する。発電量の12%は無料で州に供与され,1%はこの地域開発に供される。SJVNL(注5)のプロジェクトでこの川で他に,2012年運転開始の,412MWのランプール水力(注19),このプロジェクトは上流の,1,500MWのナトパ-ジャクリ水力(注12)の放水口からの流水を使用する。

(注)A (1) 090329A India, himachal.us,(2) SJVNL to execute country’s first twin tunnel hydro project in Himachal,(3) 
http://himachal.us/2009/03/25/sjvnl-to-execute-country’s-first-twin-tunnel-hydro-project-in-himachal/12128/news/ravinder,(4) Posted by Ravinder Makhaik on Mar 25th, 2009 in Business, Environment, News. Follow comments via RSS 2.0. ,Shimla:,(5) Satluj Jal Vidyut Nigam Ltd (SJVNL),(6) 775 MW Luhri project,(7) NTPC,(8) Kol Dam project,(9) Satluj river,(10) Himachal government,(11) Avinash Kumar project head,(12) 1500 MW Natpha Jhakri project,(13) Nigam,(14) expression of interest (EOI),(15) Nirath village,(16) Marola village,(17) Sunni-Sainj road,(18) levellised tariff.,(19) 412 MW Rampur project,(20) photo source: Luhri project,www.adventure-india-tour.com/himalayas-trekki..,(21) map source: http://www.masterlyinactivity.com/spiti/map.gif,(22) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081024C.htm,(23) photo source: Kol dam,http://hpbilaspur.gov.in/photos/kol%20dam03.jpg,(24) 

●インドネシアの国有企業の中でPLNが最大の損失を出す

State power utility PLN is the biggest loser among state firms after more than doubling its losses to Rp 13.1 trillion (US$1.14 billion) from a year earlier. The biggest contributor to the increased losses was the company's huge foreign exchange loss amid a weakening rupiah, according to Said Didu, the secretary to the State Minister for State Enterprises. (冒頭原文引用)

インドネシアの国有電力企業PLN(注5),大赤字でも大威張りである,国鉄と一緒か。PLN(注5)の昨年当初よりの損失は,前年の倍の13.1兆ルピア,約11.4億ドル相当,であった。サイド国有企業省次官(注6)によると,大赤字の原因は主として,ルピア安による為替差損であると。2007年には6兆ルピアの損失を出しているが,今回の損失のうち,10兆ルピアが為替差損で,補助金制度に問題ありと。

ルピア部分の4分の一の減価があり,債務返済が大きな影響を与えた。サイド国有企業省次官(注6)は,それでもPLNの運営は立派だった,と言っている,PLNの運転益は1.5兆ルピアに達したと。ソフヤン副大臣(注8)も,問題は電気料金政策に発していると。PLNのモクタール総裁(注9)によると,平均売電単価は,KWh当たり650ルピア,約5.66セント相当,で,発電コストを下回っていると。

現在の発電コストは,KWh当たり1,022ルピア,約8.9セント相当だが,今年,2009年は原油が大幅に下がっており,黒字を出すことが可能だ,と。2009年,PLNは,1,360億KWhを発電する計画で,2008年の1,276億KWhの6.6%の伸びになる。このうち178%が原油ベースの発電量だが,前年の23%に比べると,相当に落ちている。2008年の石油は11百万リッターが,今年は7.9百万リッターになる。

この結果,燃料費は,昨年,2008年の111兆ルピアから,2009年は79兆ルピアとなる計画で,純利益は1.7兆ルピアとなる計画である。今年初めに発表した計画では,2008年の収入,79兆ルピアは,2009年には89兆ルピアとなり,運用益は,2008年の1.5兆ルピアから,10.1兆ルピアとなる計画である。国営企業の中では最大の損汁で,90%を占めている。

(注)B (1) 090329B Indonesia, The Jakarta Post,(2) PLN biggest SOE loss maker,(3) http://www.thejakartapost.com/news/2009/03/27/pln-biggest-soe-loss-maker.html,(4) The Jakarta Post , Jakarta | Fri, 03/27/2009 2:15 PM | Business,(5) PLN,(6) Said Didu, the secretary to the State Minister for State Enterprises,(7) debt-servicing costs,(8) State Minister for State Enterprises Sofyan Djalil,(9) PLN president director Fahmi Mochtar,(10) SOE,state of enterprises,(11) 


参考資料

●090329A India, himachal.us
インドのヒマチャルで775MWのルーリ水力着工へ
SJVNL to execute country’s first twin tunnel hydro project in Himachal
http://himachal.us/2009/03/25/sjvnl-to-execute-country’s-first-twin-tunnel-hydro-project-in-himachal/12128/news/ravinder

●090329B Indonesia, The Jakarta Post
インドネシアの国有企業の中でPLNが最大の損失を出す
PLN biggest SOE loss maker
http://www.thejakartapost.com/news/2009/03/27/pln-biggest-soe-loss-maker.html

2009年3月28日土曜日

知的送電網には情報安全対策が不可欠


HPは下記ドメインです。写真地図など見て下さい。
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm

ジャカルタ郊外のダム決壊事故,決壊したダムの写真は最初ウエッブで見られたのに,捜しても見えなくなった。高さ10mのアースダムで,まずダムの頂上を水が越流した,と見えたがどうであろうか。当然洪水吐は持っているはずだが,その洪水吐の容量を超すような集中豪雨があったと考えられる。僅か高さ10mのダムだが,ジャカルタ近郊であるだけに,結果は悲惨だ。小さいダムであればあるほど,おろそかになるのは残念。

「地球温暖化問題に関する懇談会」の中期目標検討委員会(座長・福井俊彦前日銀総裁)が,2020年の二酸化炭素(CO2)など温室効果ガス排出削減目標案と排出削減活動が経済に及ぼす影響を試算,提出した。ある目標値を掲げても,それによって経済成長を抑制する,特に,再生可能エネルギーなどの影響で電気料金が高くなり,産業活動を抑制する,米国と正反対の筋書きになる。

オバマ大統領が,なぜ,グリーンニューディールで経済を救う,と言っているのかと言えば,それは明らかに150兆円相当の政府予算を使うからで,地球温暖化対策そのものが,経済を救うわけではない。経済活動だけでは,地球温暖化対策は経済の足を引っ張る,財政出動がその鍵だとすれば,何も温暖化対策でなくてはならないことはないので,道路でもダムでもよいことになる。

そう言う意味で,懇談会の見方は正しいわけで,逆に,京都議定書を批准しながら,国内の議論ではそこで意見が一致しない,というのは,考えてみればブッシュ政権に近い状態で,もし今回の金融危機が起こらなければ,オバマ現政権は,150兆円を再生可能エネルギーに財政出動させる理由があったのだろうか,と疑問になってくる。オバマ氏は,経済危機の前からグリーンを言っていたから,話がおかしい。

オバマ大統領のグリーンな話から,いろいろそれを結びつける話が出てくるが,チュウ・エネルギー長官の,再生可能エネルギーには揚水が必要,と言う話も少し短絡的だが,知的送電網,スマートグリッドの話も,少し悪のりしてきた感じだ。でもそこに企業がある限り,揚水発電には水力発電協会が飛びつくし,知的送電網の話には,IT業界が飛びついてくる。

今日の,知的送電網,スマートグリッドの安全対策の話は,ちょっと難しい内容だな,と嫌がって躊躇っていたら,早速,インターネットウオッチが日本語で要約していたので,改めて筋書きを追うことは止めたが,セキュリティ,それは情報安全の問題なのである。スマートメーターがその出発点になるのだが,双方向の情報通信が送電網に係わることで,情報安全の企業が,俄然張り切って,米国議会の公聴会に臨んだわけである。

本文

●知的送電網は安全の基礎の上に築かれる必要がある

The United States is at a critical juncture in the development and deployment of technology that will enable a new generation of smart power grids. The economic stimulus package includes $4.5 billion for Smart Grid projects and industry is developing and deploying some of the technology. However, security standards for the new technology are only beginning to emerge from government and industry programs.

知的送電網(注5),スマートグリッド,については,これまでも度々取り上げてきたが,米国の資料の中でも,特にその情報上の安全について書かれたものはなかった。今日の記事はやや長文だが,米国が知的送電網をどの様に考えているか,その一端が推し量られる。記事は言う。知的送電網を実際に投入する前に,知的送電網に関する安全基準が強調されなければならない。

この本文については,既にインターネットウオッチ(注24)が,日本文で要約しているので,詳細についてはそちらを見て欲しい。ポイントは,知的送電網(注5)は,次世代電力インフラの目玉となっているが,IOアクティブ(注6)のパネル社長(注7)3月月16日の国家安全保障委員会への説明で,「知的送電網(注5)は,いくつもの世代に影響を与えるが,我々はその前に,この技術特有の脆弱性を修正しなければならない。」,と警告した。

知的送電網(注5)の要約は次の通り。「各家庭に設置された太陽光発電システムや地域の風力発電システム,電気自動車に蓄電された電力などを地域の需要に応じて融通し合うシステムを目指している。そのために双方向通信や分散コンピューティング技術を使った高度な電気メーター端末を各家庭に設置し,地域全体の大規模分散型インフラを構築することにしている。」,と。 

(注)A (1) 090328A USA,gcn.com,(2) Smart Grid will only be as good as security behind it,(3) http://gcn.com/Articles/2009/03/24/Smart-grid-security.aspx?Page=3,(4) By William Jackson,Mar 24, 2009,(5) Smart Grid,(6) IOActive,(7) IOActive President and Chief Executive Officer Joshua Pennell,(8) Energy Department,(9) “National Vision for Electricity’s Next 100 Years.”,(10) Katherine Hamilton, president of the GridWise Alliance,(11) Senate Energy and Natural Resources Committee,(12) hybrid vehicles,(13) renewable energy sources,(14) GridWise,(15) economic stimulus program,(16) Utility Communications Architecture International Users Group,(17) AMI Security Task Force,(18) AMI System Security Requirements,(19) National Institute of Standards and Technology (NIST),(20) Energy Independence and Security Act of 2007,(21) Security Development Lifecycle (SDL),(22) Microsoft Corp,(23) Trustworthy Computing Initiative,(24) http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/03/24/22875.html,(25) figure source: http://earth2tech.files.wordpress.com/2008/04/silver-demo.jpg,(26)

●インドのNTPCは電源の地元配分を更に増大させる計画

The country’s largest power producer, NTPC, may soon get to allocate an additional 15% output from its new projects to the home state where the plant is located, a power ministry official said on condition of anonymity. The company can, at present, allocate a maximum of 30% to home states. (冒頭原文引用)

インドの各州の電力に関する権限は大きい。今日の記事は,大規模石炭火力電源開発を続けるインドにあって,中央機関と州が,どの様に交渉しているのか,よく分かって興味深い。昨夜の日経テレビは,韓国の経済の実情を解説していたが,インドの景気回復が思ったより早く,オリッサなどのインド東部に投資している韓国企業が,潤い始めているという解説をしていた。

インドの電力省筋によると,インド最大の国家火力発電公社NTPC(注5)は,発電所の立地する州に対して配分する電力を,従来の最大30%~,15%上乗せすることにした模様だ。この動きは,民間企業の参入によって,州の電力公社が発電プロジェクトを失うケースが増えており,これに対応して,民間企業が地元配分を増やしていることによる影響を考慮したものだ。

NTPC(注5)は,地元配分を30%を上限としていたが,最近のリライアンス電力によるササン火力(注7)とタタ電力によりムンドラ火力(注8)が,地元配分をそれぞれ,37.5%及び47.5%としている。新しいNTPC(注5)の提案は,45%を上限とするとしている。NTPCの場合,ガジ公式(注9)と言われるものがあって,配分を決定してきた。

ガジ公式(注9)によると,地元州は10%の優先配分があり,15%は中央政府の管理下,また残りの75%は,その需要と最初の5年間の中央政府の配分計画に基づいて,地元も含む電気を必要としている州に配分することになっている。電力省筋によると,NTPC(注5)はこの配分の変更を申し出ており,地元州への配分を拡大することは,緊急の課題だ,と言っている。

NTPC(注5)は現在,30,000MW近い発電設備を持っており,2012年3月31日に終わる第11次五カ年計画の中では,22,000MWを開発する予定である。今回の変更は,新しいプロジェクトの土地取得,水利権,その他の権益交渉で,有利となる。NTPCのシャーマン総裁(注12)によると,石炭鉱山を有する州は高い配分を求めており,今回の改正で,土地などを含めた立地の準備の遅れなどへの対策になる,としている。

NTPC(注5)は,地元州配分を合計で,ピーク時に供給力が不足する場合は,40~45%を考えており,即ち,現在より15%の地元への配分の増を,新しいプロジェクトに対して,考慮しているわけである。

(注)B: (1) 090328B India, economictimes.indiatimes,(2) NTPC may get to allot more power to host states,(3) http://economictimes.indiatimes.com/News/News-By-Industry/Energy/NTPC-may-get-to-allot-more-power-to-host-states/articleshow/4311926.cms,(4) 25 Mar 2009, 0250 hrs IST, Subhash Narayan, ET Bureau,NEW DELHI:,(5) NTPC,(6) ultra mega power projects,(7) Reliance Power (Sasan),(8) Tata Power (Mundra),(9) Gadgil formula,(10) PSU,(11) Eleventh Plan ending March 31, 2012,(12) NTPC chairman & managing director RS Sharma,(13) 

●フィリッピンのPSALMはカラカ火力など売却に自信

The Power Sector Assets and Liabilities Management Corporation (PSALM) expects the Calaca and Limay power plants to be sold within the year. PSALM president Jose Ibazeta said yesterday that they would start selling Calaca before the first half of the year through a negotiated bidding, adding that they have received at least seven letters of interest for Calaca. (冒頭原文引用)

フィリッピンの発電資産売却で,カラカ石炭火力の落札企業がその権利を放棄,前渡金も没収された報道は,2009年1月29日付本HP(注13)に報告されている。世界の金融危機の中で,フィリッピンの電力改革に思わず障害が出たと言うことで,その先行きが心配されているところだが,2009年3月6日付本HP(注12)では,レイエス長官が,強気の見通しを述べている。パマイ発電所の入札は3月20日付本HP(注11)参照。

今日は,PSALM(注5)のイバゼタ総裁(注6)が,今後の見通しを述べている。フィリッピンの電力改革の仕上げはオープンアクセスだが,発電資産の売却が進まなければ,そこにたどり着けない。カラカ石炭火力(注7)について,年内に売却したい,としている。イバゼタ総裁(注6)は,年前半に入札を行うが,指名競争入札(注14)で,少なくとも7グループから,関心表明があった,としている。

カラカ石炭火力(注7)は,スエズ・エナージ(注9)が落札したが,その後,手続きを破棄している。理由は明らかにされていない。入札候補企業の中には,フィリッピン初めての企業もあり,関心は高いと。海外から,欧州,米国,タイ,中国などのグループであると。発電資産売却は現在57%が完了したところで,カラカ石炭火力(注7)とリマイ発電所(注8)が終われば,85~88%に達する。

電気事業法EPIRA(注10)に定められているように,資産売却が70%を越えた段階で,オープンアクセス,即ち需要家が自由に電力供給先を選べる状態になり,フィリッピンの電力改革の一つのマイルストーンと考えられている。

(注)C: (1) 090328C Philippines, Manila Bulletin,(2) PSALM hopeful on sale of Calaca, Limay power plants within the year,(3) http://www.mb.com.ph/articles/200229/psalm-hopeful-sale-calaca-limay-power-plants-within-year,(4) By JAMES A. LOYOLA,March 25, 2009, 6:34pm,IBAZETA,(5) Power Sector Assets and Liabilities Management Corporation (PSALM),(6) PSALM president Jose Ibazeta,(7) Calaca power palnt,(8) Limay power plant,(9) Suez Energy,(10) Electric Power Industry Reform Act (EPIRA),(11) http://my.reset.jp/~adachihayao/index090320A.htm,(12) http://my.reset.jp/~adachihayao/index090306B.htm,(13) http://my.reset.jp/~adachihayao/index090129A.htm,(14) negotiated bidding,(15) 



参考資料

●090328A USA,gcn.com
知的送電網は安全の基礎の上に築かれる必要がある
Smart Grid will only be as good as security behind it
http://gcn.com/Articles/2009/03/24/Smart-grid-security.aspx?Page=3

●090328B India, economictimes.indiatimes
インドのNTPCは水力の地元還元を更に増大させる計画
NTPC may get to allot more power to host states
http://economictimes.indiatimes.com/News/News-By-Industry/Energy/NTPC-may-get-to-allot-more-power-to-host-states/articleshow/4311926.cms

●090328C Philippines, Manila Bulletin
フィリッピンのPSALMはカラカ火力など売却に自信
PSALM hopeful on sale of Calaca, Limay power plants within the year
http://www.mb.com.ph/articles/200229/psalm-hopeful-sale-calaca-limay-power-plants-within-year

2009年3月27日金曜日

本流ダム開発で母なるメコンは失われつつある


HPは下記ドメインです。写真地図など見て下さい。
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm

今日の日本人の関心は,小沢民主党党首の進退にあるようだ。小沢さんの悪口をここで書いたら,一挙に読者が減ったことがあったが,彼も根強い支持者がいるのだな,と思った。いろいろ検察への反発もあるようで,単なる形式犯だ,と言うことを民主党の人たちも言っているが,確かに額の問題ではなかろうが,類似犯は沢山あっても,やはり目に余る,と言うことなのであろう。

今日は数々の材料から二つのテーマーを選んだが失敗した。一旦選んで読み始めると,すぐ時間が経ってしまうので,切り替えることが非常に難しい。フィリッピンの記事は,丸紅と三井住友が再生可能エネルギーに進出,と書いてあるので,いよいよかと思って飛びついたが,テーマーがゴミ発電などで,がっかりしてしまった。メコンの記事も,ネーション紙なので,と思ったが,データーがほとんどなく,感情論だけであった。

メコン河の年間漁獲高が,30億ドルと書いてある。少し大きすぎるのではないかと思うが,このような大水系の調査を行うことは,大変に難しいと思う。ダムエンジニアーは,河をすべてダムサイトの候補と考えてしまう,と書いてあるが,まさにその通りで,ドライブしていても,ここはダムサイトにいいなあ,とか言って友達の顰蹙を買う。特に,奈良の赤目四十八滝に行ったときは,日本国民が原油に飢えたらあそこだな,心で思った。

私は太平洋戦争を但馬の山の中で過ごしたので,戦争の怖さを殆ど知らない。ただ,近くの人が戦死して,何度か公葬があり,それが唯一の戦争経験とも言える。山間の村だから,敵爆撃機が,あっ灯が見えたと思って爆弾を落とすスイッチを押したときは,もう向こうの山陰に爆弾は消えてるだろう,など思ったことがあった。父親は,何の取り柄もない田舎だが,子孫の代で戦争が起こったら,ここに逃げるように確保しておく,と。

そう言うことが日本人に2度とあるかどうか,それは分からないが,私はやはり,毎日毎日,中東から原油を運んでこなければ生きてゆけない,と言うのは,危ない。インターネットなどもそうだけれども,安定した状態で初めて可能,と言うものは沢山ある。何かあったときには,やはり原始の世界に戻るシミュレーションはしておくべきだ。ダムを撤去したり,原子力を廃止したりするのは,止めた方がよい。災害のときはネットを使って,などと考えている人も沢山いるけれど,狼煙を上げる訓練もやった方がよいと思う。

本文

●フィリッピンで丸紅,三井住友が再生可能エネルギー開発へ

Japan’s three giant conglomerates ? Sumitomo, Mitsui and Marubeni ? are investing in the local renewable energy industry through a joint venture between their leasing firm and a local company. MG Leasing Corporation (MGL) of Japan and Solutions Using Renewable Energy, Inc. (SURE) formalized their partnership recently by organizing a 60-40 joint venture company, called SURE Eco Energy Philippines, Inc. (SURE Eco).

丸紅と三井住友銀行がフィリッピンの再生可能エネルギー開発へ乗り出す,と言うタイトルを見て飛びついたが,内容は殆どが養豚場とかゴミ発電で,少しがっかり。ゴミ発電というのは再生可能エネルギーなのですかね,疑問があるですね,二酸化炭素を出すし,手に負えないのではないか,それも小規模だし。昔,バンコクの養豚場でガス発電を見てガックリ来たことがあった,蝋燭みたいな火でラーメンを造っていた。

これが主目的で,丸紅,三井住友が乗り出したとすれば,少し方向が違うのではないかと思う。おそらく,東京のMGLというリース会社の発想だと思うが,地元の企業とも組んでいるので,今日書いてあるようなゴミ発電の発想から,是非とも脱却して,フィリッピンに於ける再生可能エネルギーの主役になるまで,脱皮していって欲しいと思う。フィリッピンの再生可能は,地熱と地方の中小規模水力,これが主役だと思う。

もっとも,風力,太陽光,と言う話もあるが,今のフィリッピンの電力の主たる問題は,アジアで一番高い電気料金だろう。そうなると,再生可能エネルギー法が成立したとはいえ,風力や太陽光を大量に投入することは無理だと思う。フィリッピンの主要な地元資金は,地熱発電に向かっている。小規模な資金は,地方の小水力に向かっている。それが再生可能エネルギーの大勢だと思う。

今日の記事のポイント。日本のリース企業,MGL(注9),この会社は1993年に創立していて,三井住友ファイナンス&リース株式会社が55%,丸紅株式会社が45%を出資している。このMGL(注9)と地元の再生可能エネルギー企業SURE(注10)が,60対40の資本分担で,エネルギー企業SUREEco(注11)を設立したというもの。MGLの関係で,丸紅と三井住友の名前が大きく出たのだろう。

(注) (1) 090327A Philippines, Manila Bulletin,(2) Sumitomo, Mitsui, Marubeni joint venture,(3) http://www.mb.com.ph/articles/200247/sumitomo-mitsui-marubeni-joint-venture,(4) Japanese firms invest in RE project here,(5) By JAMES A. LOYOLA,March 25, 2009, 7:31pm,(6) Sumitomo Mitsui Finance and Leasing Corporation (SMFLC),(7) Sumitomo Corporation,(8) Marubeni Corporation,(9) MG Leasing Corporation (MGL) of Japan,(10) Solutions Using Renewable Energy, Inc. (SURE),(11) SURE Eco Energy Philippines, Inc. (SURE Eco),(12) Mitsui Group,(13) Lawyer Clarence De Guia, SURE corporate secretary and spokesman,(14) San Miguel Corporation,(15) waste-to-power facility,(16) Monterey hog farm in Sumilao,(17) biomass-fired power plant,(18) Silangan Farms in Lipa City, Batangas,(19) Holiday Hills Stock and Breeding Farm Corporation in San Pedro, Laguna,(20) Santos Farms in Gen. Natividad, Nueva Ecija.,(21) MGL official Daisuke Ishihara,(22) Department of Environment and Natural Resources (DENR),(23) 

●本流ダム開発で母なるメコンは失われつつある

MILLIONS in the Southeast Asian region's trans-boundary river basins are facing the devastating affects from planned hydropower development. Sao Rawangsri, a 70-year-old Mekong River fisherman in Thailand's Chiang Khong District may have to give up his occupation. "I am a fisherman, as was my father and his father. There used to be a lot of fish in the Mekong River. That is how we made our living. But the dams far up the river have destroyed it," he says, pointing towards the barriers that have been built upstream in China. (冒頭原文引用)

タイの新聞ネーションが,2009年3月22日の,「世界水の日」,に因んで書いた記事で,メコン河上流ダムが,下流の漁業に大きな影響を与えている,という,メコン河など世界の国際河川の保全の難しさを強調した記事である。タイのチアンコン(注29)に住む漁業で生活している人の話,3代に亘って続けて来た漁業を,廃業の運命になってきたと。彼は,上流の中国のダムが原因だ,と言っている。

メコン下流域でも,この2年間に,メコン本流上に11のダムが提案され,そのうち,9つのがラオス領内で,二つがタイとの国境,またカンボジア領内に2つである。特にこの本流上のダムは,魚類の移動に大きな影響を与えるもので,対策の立てようがないと。特にメコンの漁業は沿岸で多くの人々を養っており,年間30億ドル相当の売上高と推定されている。これは,沿岸のみならず地域の都市区域でも影響を受けることになると。

この問題は,メコン河だけでなくて,イラワジ川のイルカ(注33),サルウイーン河(注35)なども,上流にダム計画があり,懸念されている。ダムエンジニアーは,これらの生成生物多様性(注32)には全く注意を払わず,すべての川筋にダムサイトを想定している。しかし,時代は変わりつつあり,50年前の技術を振りかざす時代は去り,これからは電力も,効率化と再生可能エネルギー技術を求めて行く時代だ。

このチアンコンの漁師は,ラオスのシパンドン(注37)まで河を見て歩いたが,意志決定を行う人の,注意を喚起している。特に,下流メコンで問題となっているドンサホンのダム(注38)については,大きな関心を持っている。

(注) (25) 090327B Mekong, nationmultimedia,(26) Upstream or downstream, we all have the same mother,(27) http://nationmultimedia.com/2009/03/26/opinion/opinion_30098849.php,(28) By PIANPORN DEETES,CARL MIDDLETON,Published on March 26, 2009,(29) Sao Rawangsri, a 70-year-old Mekong River fisherman in Thailand's Chiang Khong District,(30) World Water Day,(31) Transboundary Water: Sharing Water, Sharing Opportunities,(32) aquatic biodiversity,(33) Irrawaddy dolphin,(34) Mekong giant catfish,(35) Salween,(36) renewable energy technologies,(37) Siphandone area of southern Laos,(38) Don Sahong dam,(39) photo source: http://www.internationalrivers.org/files/Don%20Sahong%20Fact%20sheet%20Sept%202008%20ENGLISH.pdf,(40) 

参考資料

フィリッピン

●090327A Philippines, Manila Bulletin
フィリッピンで丸紅と三井住友が再生可能エネルギー開発へ
Sumitomo, Mitsui, Marubeni joint venture
http://www.mb.com.ph/articles/200247/sumitomo-mitsui-marubeni-joint-venture

メコン

●090327B Mekong, nationmultimedia
メコンの母は一つだから上流下流は協力の必要
Upstream or downstream, we all have the same mother
http://nationmultimedia.com/2009/03/26/opinion/opinion_30098849.php

2009年3月26日木曜日

ブータンで10水力10,000MW開発へ



HPは下記ドメインです。写真地図など見て下さい。
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm?lang=en

外務省のプレスリリース,2009年3月24日付,は,パキスタン支援国会合及びパキスタン・フレンズ閣僚会合が,2009年4月17日,東京で開催され,政治混乱の中でダムの資金集めに奔走しているザルダリ大統領も来日という。アフガニスタンを睨んでの米国の戦略の中で,日本も一役買って出ようと言う日本政府の意気込みであろう。ただ,パキスタンは今まさに黒四の時代,両サイドの思惑がどう噛み合うか,予断を許さない。

最近,2005年に,JBICは約38億円の給電設備拡充計画を支援しているが,今日のパキスタンの記事は,この送電変電配電に焦点を絞った計画委員会の決定を伝えている。6つのIPPプロジェクトを有効に活かすために,約17億円相当のプロジェクトなどがあり,東京の材料を揃えてきた,と言う感じであるが,問題は,ダム開発とガスパイプラインであろう。パキスタン・フレンズ閣僚会合が別に組まれているのもそのためか。

ADBがパキスタンの電力など44億ドルの指示を打ちだし,パキスタンはパキスタンで,54のダムを建設(注50)する,と言っているし,またザルダリ大統領は,インド抜きでも,数十億ドルのイランからのガスパイプラインを強行する姿勢を見せている。日本は支援国会議の主催国だが,前回のアフガン攻撃のときのパキスタン支援への腰の引け方を見ると,日本政府がパキスタンに対して,大規模インフラ支持に回れるかどうか,懸念する。

黒四の太田垣社長も,パキスタンのザルダリ大統領も,その時代に生きて,ダムの資金調達に奔走しなければならない立場は同じだが,昨日,バブルのお金がなければダムも出来ない,と書いたら,友人から,電気料金に見合ったプロジェクトが,どうして虚業のお金と言えるのか,と怒ってきた。私も少し口が滑ったが,彼は,電源開発は実需に基づくもので,決して虚業によってその必要性が形成されるものではない,と言っている。

CDMで排出権を買いに走るなどは,私はやはり虚業だと思うし,そこに市場を成立させようとルール造りに励む場合は,どうしても実質的な地球温暖化対策を忘れてしまうことになる。取引に邪魔になる原子力などはルールからはずそう,などという話になってしまう。今日のブータンの水力開発などは,まさに地球温暖化対策の最たるものだから,日本の資金なども,向かって行く大義名分があると思う。

ブータンの地点,4,000MWのサンコシュ貯水池水力(注30),1,800MWのクリガングリ水力(注31),1,670MWのチャムカルチュ水力(注32),1,200MWのプナチャンチュ第1水力(注33),1,000MWのプナチャンチュ第2水力(注34),900MWのワンチュ貯水池水力(注35),720MWのマンデチュ水力(注36),620MWのアモチュ貯水池水力(注37),486MWのコロンチュ水力(注38),180MWのブナカ貯水池(注39)。

(注) (50) http://my.reset.jp/~adachihayao/index090302A.htm

本文

●パキスタンの6つのIPPプロジェクトを国家委員会へ

An important energy sector project?interconnection of 6 Independent Power Projects (IPPs) with national grid?will be presented in the next Executive Committee of National Economic Council (ECNEC) meeting for approval, sources informed Daily Times.The ECNEC meeting delayed to March 30 from earlier March 26 due to reconciliation strategy adopted by PPP and PML-N particularly in Punjab, sources added. (冒頭引用)

パキスタンは,ザルダリ大統領とシャリフ元首相の間で,激しい政争が繰り広げられている。この中で,米国や日本の,アフガニスタンを睨んだ対パキスタン政策があり,複雑。今日の記事を調べていく中で,2005年8月10日に,JBICが,約38億円の給電設備拡充計画を支援していることを理解したが,おそらく今日の記事は,電源そのものよりも,送配電網の拡充を大きくクローズアップしている。

主要なインフラ・プロジェクトとその予算配分を決定する国家経済委員会の幹部委員会ECENEC(注6)の開催が遅れている。二つの政党の間の調整(注7,8)が遅れていて,2009年3月26日に開催がずれ込む見込みだ。これと関連して,国家計画委員会(注9)が,3月27日に会議を持ち,12のエネルギー関連プロジェクトと他のインフラ計画を,審議することになっている。

エネルギー関連プロジェクトの中で特に重要なのは,第3次6IPPプロジェクト連携送電網整備計画(注21)で,総額16.8億ルピー,約2100万ドル相当,で,この中には外貨部分が,6.4億ルピー,約800万ドル相当,含まれている。6つのIPPプロジェクトは,ここには名前が出ていないが,既に完成しているものも含めて,系統全体として,1,199MWの出力で,2010~2011年に完成する予定という。

これらの連携プロジェクトは,JBICの円借款の対象であったWAPDAの関連会社,国家送電給電公社NTDC(注10)が主体となって実施する。その他に,イスラマバード電力供給公社IESCO(注12)の第1次配電網強化(注11)に,26.1億ルピー,うち外貨1.4597億ルピー,があり,またその他,主として送配電網強化に関するプロジェクト(注14~16)がある。

中国が関係するリグナイトのプロジェクト(注17)を,タール石炭公社(注18)が実施するものや,43.5MWのジャグラン水力第2期工事(注19)も含まれている。このジャグラン水力は,アザドジャムカシミールAJKのニールム川(注20)に位置する。

(注) (1) 090326A Pakistan, dailytimes,(2) ECNEC to approve 6 IPPs worth Rs 1.68 billion,(3) http://www.dailytimes.com.pk/default.asp?page=2009\03\25\story_25-3-2009_pg5_13,(4) By Ijaz Kakakhel,ISLAMABAD:,(5) 6 Independent Power Projects (IPPs),(6) Executive Committee of National Economic Council (ECNEC),(7) PPP,パキスタン人民党,(8) PML-N,(9) Planning Commission,(10) NTDC (National Transmission and Dispatch Company),(11) Power distribution enhancement project Phase-I,(12) Islamabad Electricity Supply Company Ltd (IESCO),(13) Rehabilitation-Capacitor Installation,(14) Energy Loss Reduction (ELR) programme,(15) Power distribution enhancement project Phase-I of 6 discos companies,(16) electrification of villages and district Dera Bughti,(17) block-II of Thar liginate resources Sindh,(18) Thar coal mining company limited,(19) 43.5MW Jagran Hydropower Station Phase-2,(20) Neelum AJK,(21) Interconnection of 6 IPPs with National Grid (Phases-III),(22) 

ブータン

●ブータンで10の水力プロジェクトを2020までに開発

Bhutan and India have agreed to a final list of 10 hydropower projects with a total capacity of 11,576 MW to be constructed in Bhutan by 2020.
This was decided during the visit of the economic affairs minister Lyonpo Khandu Wangchuk to India recently. (冒頭原文引用)

ネパールが,10年間で10,000MW水力開発,を打ち出せば,今度はブータンが,2020年までに,11,576MW開発を打ちだしてきた。水力開発についてはブータンが先輩だけに,今日の発表には現実味がある。今日の記事の中の,プナチャンチュ水力には無念の思いがある。ブータンが今度は日本で何とか造って欲しい,と言うのに,日本の外務省に徹底的に反対された。それが今,インドの手で開発されようとしている。

インドの,国内の水力開発,パキスタンとの開発競争と水論争,ネパールの水力開発,と忙しいことこの上ないだろう。しかし,インド北辺水力,それもブータン,ネパール,場合によってはパキスタン西北部も含めて,ヒマラヤを中心とした水力エネルギー開発の,人類最後の戦いであるから,インドの石炭火力抑制の立場からも,是非とも,日本の人材や資金を動員して欲しいものだ。

最近,ブータンのワンチュック外務大臣がニューデリーを訪れ,インド政府との間で,10の水力プロジェクト,11,576MWを,インドとパキスタンの9協力によって,2020年までに開発する,と言う合意に達した,と報じられている。内容は詳細で,10のうち6プロジェクト,9,340MWは,二国間政府協力,インドからブータンへの40%無償,60%借款,で,残りの4プロジェクト,2,236MWは,両国公社間の合弁という。

地点名を挙げる。4,000MWのサンコシュ貯水池水力(注30),1,800MWのクリガングリ水力(注31),1,670MWのチャムカルチュ水力(注32),1,200MWのプナチャンチュ第1水力(注33),1,000MWのプナチャンチュ第2水力(注34),900MWのワンチュ貯水池水力(注35),720MWのマンデチュ水力(注36),620MWのアモチュ貯水池水力(注37),486MWのコロンチュ水力(注38),180MWのブナカ貯水池(注39)。

二国間政府協力で実施される1,200MWのプナチャンチュ第1水力(注33)は既に入札が終了しているが,これに続く地点は,720MWのマンデチュ水力(注36)とされている。この計画に付随して,ブータン側の水力開発に関する大規模な人材育成プログラムも,今回同時に合意されている。このプログラムには,ブータンから閣僚級の参加する委員会(注41)が設けられる。

今回の発表の中で,ワンチュック外務大臣は特に,4つの貯水池水力,約5,000MWが含まれていることを挙げ,流水の調整を含む有効なプロジェクトとして喧伝している。大部分のプロジェクトは,2012年,2013年には発進したいとしている。最初にスタートするプナチャンチュ第1は,ダムがL&T(注45)で124億Nu,発電所がHCC(注46)で70億Nu,トンネルがガンマ(注47)で40億Nuである。

(注) (25) 090326B Bhutan, Kuensel,(26) 10 hydropower projects finalised,(27) http://www.kuenselonline.com/modules.php?name=News&file=article&sid=12171,(28) 25 March, 2009 -By Tenzing Lamsang,(29) economic affairs minister Lyonpo Khandu Wangchuk,(30) Sunkosh reservoir - 4,000 mw (Inter-Govt),(31) Kuri Gangri - 1,800 mw (Inter-Govt),(32) Chamkarchu - 1,670 mw (Joint Venture),(33) Punatsangchu 1 - 1,200 mw (Inter-Govt) Tendered out,(34) Punatsangchu 2 - 1,000 mw (Inter-Govt),(35) Wangchu reservoir - 900 mw (Joint Venture),(36) Mangdechu - 720 mw (Inter-Govt),(37) Amochu reservoir - 620 mw (Inter-Govt),(38) Kholong Chu - 486 MW (Joint Venture),(39) Bunakha reservoir - 180 MW (Joint Venture),(40) WAPCOS,(41) empowered joint group (EPJ),(42) Finance secretary Lam Dori,(43) Director General of energy department Yeshey,(44) DHI CEO Karma Yonten,(45) Larsen and Turbo (L&T),(46) Hindustan construction company (HCC),(47) Gamma India,(48),(49) 

参考資料

パキスタン

●090326A Pakistan, dailytimes
パキスタンの6つのIPPプロジェクトを国家委員会へ
ECNEC to approve 6 IPPs worth Rs 1.68 billion
http://www.dailytimes.com.pk/default.asp?page=2009\03\25\story_25-3-2009_pg5_13

ブータン

●090326B Bhutan, Kuensel
ブータンで10の水力プロジェクトを2020までに開発
10 hydropower projects finalised
http://www.kuenselonline.com/modules.php?name=News&file=article&sid=12171


2009年3月25日水曜日

パキスタンとインドがインダス河で水論争


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http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm?lang=en

オバマ大統領が記者会見で,米経済に改善の兆し,と表明した。先日も,バッドバンク構想,官民協力による1兆ドル規模の不良債権買い取り構想で,日本の株式も反応していた。我々,実業にしか関心のないエンジニアーは,このようなバッドバンク構想とか,社会資本の増減に関係のないプロセスには,どうも信用をおきかねる。そう言う意味では,グリーン・ニューディールも危ないと思っている。

元々,バブル経済を構成したのは,このような虚業,と言うか実の社会資本を生まない貨幣経済で盛り上がったからだと思っているから,それをまたバッドバンクの虚業で持ち直しても,また同じようなバブルに陥るのではないか,と案ぜられる。ただ,我々が如何に,水力と原子力が地球を救う,と叫んでいても,それを造るための資本は,このような虚業の中からしか生まれてこないことに,無力感を感ずる。

経済産業省の,「資源大国ニッポンの実現」,構想が,日本列島近海のメタンハイドレートの資源にある,と勉強したのはつい先日であるが,今日のビジネスアイ(注)は,再びこれを取り上げ,政府の総合海洋政策本部が,昨日,2009年3月24日,商業化に向かって10年のロードマップを練り上げたことを報じている。企業としては,清水建設や三井造船が先行している,と報じている。

具体的な包蔵量については,現在の日本の天然ガス使用量の100年分,と言っているから,天然ガスに直すと60兆TCFぐらいはあると思われるから,ミャンマーと同じぐらいの天然ガス大国と言うことになる。ここでまた問題となるのは,生産価格であって,幾ら実業関係者が頑張っても,とにかく原油価格が上がってくれなければ,調査費も出ないと言うことになる。虚業の力を借りなければならないことになるのか。

インドとパキスタンのダム開発の紛争も,いつまで経ってもその先が見えない。両国とも,300MWから1,000MWを越す大規模なプロジェクトを推進しながら,すんなりと開発できない状態が続く。インダス河とガンジス河の大きな水争いの中で,そこにカシミールと言う複雑な国境問題が介在して,この国境を挟んでのプロジェクトなので,一層,問題を複雑にしている。

しかし,最近のインドとパキスタンが立派なことは,それを戦火に訴えず,世界銀行を介しての中立の専門家の招聘や,国際裁判所の調停に委ねようとしていることだ。それで果たして問題が解決するかどうか,分からないけれども,国際機関を使うと言うところが,大きな進歩だと思う。国の主権と国際機関と比べれば,例え小国でも,国の主権が優先すると思うが,両国の水争いは際限がない,残念だ。

(注) http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200903250019a.nwc

本文

●パキスタンはインドにキシャンガンガ水力で警告を発す

Pakistan has served notice on India over the controversial 330 MW Kishanganga hydropower project after all efforts to resolve the issue at the level of Permanent Commission of Indus Waters (PCIW) failed, saying it is now left with no option but to move the neutral expert.(冒頭原文引用)

昨年,2008年12月13日,ときあたかもムンバイ・テロ事件の直後で,インドとパキスタンが緊迫している中,中東諸国が,パキスタン実質支配のアザドカシミール,ニールム川の水力プロジェクトへの大規模融資,775百万ドル,を発表した。この状況は,2008年12月13日付本HP(注23)に詳しく述べられている。今日のインドの,330MWのキシャンガンガ水力(注5)は,その上流にある。

パキスタンは,330MW,インドのキシャンガンガ水力プロジェクト(注5)に対して,インダス条約(注7)の常設委員会PCIW(注6)での合意が失敗したとの認識で,外交的な手段,即ち警告を発した。これは,中立的な専門家を招く,との手段をまだ残している。パキスタンは,ニールム川(注12)の下流で,ニールム-ジェルム水力プロジェクト(注15)を推進中であり,このプロジェクトへの打撃が大きいという。

インドのバギリハール・ダム(注20)でも,世界銀行(注19)による中立的な専門化を招き,結論を出したが,結局,この結論にパキスタン側は満足せず,国際調停の場(注21)へ訴える準備をしている。

(注) (1) 090325A Pakistan, thenews,(2) Kishanganga project Pakistan serves notice on India,(3) http://www.thenews.com.pk/top_story_detail.asp?Id=21115,(4) Tuesday, March 24, 2009,By Khalid Mustafa,ISLAMABAD:,(5) 330 MW Kishanganga hydropower project,(6) Permanent Commission of Indus Waters (PCIW),(7) 1960 Indus Waters Treaty,(8) Ganga tributary,(9) Bandipur,(10) Baramullah district,(11) held Kashmir,(12) Neelum River,(13) Ganga River,(14) Wullar Lake,(15) Neelum-Jhelum Hydropower project,(16) Azad Kahsmir,(17) Syed Jamaat Ali Shah, leader of the Pakistan delegation,(18) Neelum Valley,(19) World Bank,(20) Baglihar dispute,(21) International Court of Justice,(22) world water day (March 22),(23) http://my.reset.jp/adachihayao/index081213B.htm,(24) photo source: www.nhpcindia.com/Projects/English/Scripts/Pr.,(25) map source: telespy.blogspot.com/2008_06_03_archive.html,(26) photo source: www.tribuneindia.com/1998/98oct22/j&k.htm,(27) 

●インドは2030年までに30%を再生可能エネルギーで

More than 35% of the India's electricity demands can be met from renewable energy by 2030 and 50% of the projected energy requirements can be met simply from smart and efficient generation, distribution and use of energy, says a report released by Greenpeace in capital on Tuesday. 

2030年までに,インドの電力の30%を再生可能エネルギーで賄うことが出来る,と書いてあるので,注目して取り上げたが,よく読んで見ると,グリーンピース(注32)の主張であった。中国の場合は,大規模水力を再生可能エネルギーと位置づけ,具体的なクリーンエネルギーへの方向を打ち出している。インドも,北辺の水力と,原子力の開発によって,何処まで石炭火力を抑制できるか,がポイントだろう。

(注) (28) 090325B India, Economic Times,(29) Green energy can fulfil 35% of country's power demand,(30) http://economictimes.indiatimes.com/News/News-By-Industry/Energy/Green-energy-can-fulfil-35-of-countrys-power-demand/articleshow/4311919.cms,(31) 25 Mar 2009, 0240 hrs IST, ET Bureau,NEW DELHI:,(32) Greenpeace,(33) Energy Revolution: A sustainable India Energy Outlook,(34) Sven Teske, Greenpeace International’s renewable energy expert,(35) 

参考資料

パキスタン

●090325A Pakistan, thenews
パキスタンはインドにキシャンガンガ水力で警告を発す
Kishanganga project Pakistan serves notice on India
http://www.thenews.com.pk/top_story_detail.asp?Id=21115

インド

●090325B India, Economic Times
インドは2030年までに30%を再生可能エネルギーで
Green energy can fulfil 35% of country's power demand
http://economictimes.indiatimes.com/News/News-By-Industry/Energy/Green-energy-can-fulfil-35-of-countrys-power-demand/articleshow/4311919.cms

2009年3月24日火曜日

インドと米国の協力は原子力から太陽光


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WBCの韓国戦で筆が止まってしまって遅くなりました。やはりポイントは,イチローを敬遠しなかった韓国の人の根性でしたね。サッカーよりは野球はだいぶ面白い,年代かな。延長戦で,PKOで決めようなんて話にはならないから。インドは5月に総選挙が迫っている。私は,現在のシン首相のファンだが,年齢もあるし,多数派ではないし,どうなるのか。米国企業は,インドに焦点を絞ってきたようだ。

太陽光発電に関する14企業が,インドを訪れているという,米国輸出入銀行のローン保証を背景に,技術と機材の売り込みだが,インドが本当に太陽光と取り組むかどうか,先が見えていない。米国から見れば,規模といい,また太陽エネルギーといい,インドが太陽光エネルギー企業にとっては最大のポテンシャルと映るのだろう。中国は既に,その価格から,太陽光に見切りを付けている,と見られている。

米国だっておそらくそうではないか。米国内では,風力への関心は高いが,太陽光はそれほどでもないから,海外への売り込みになる。中国もそう考えているようだ。当面は,価格の面で投入量は抑えられてくるだろう。米国企業のインドへの調査団も,あくまでインド側の電気料金構造が太陽光を受け入れることが前提,と言っている。電気料金を抑えられているインドが,そう喜んでこの調査団を迎えているとは思えない。

それに比べると,インドの原子力は,これから国際協力で大きく成長しようとしている。日本はインドに対する原子力の二国間関係を進めることは抵抗がある。被爆国としての国民感情から,日本政府は積極姿勢に出られない。その点から,事前に日本企業が海外の企業と協力関係を気づいていたことは,インドを視野に入れていたとはいえ,その先を見通した戦略に,大いに敬意を表する。

東芝とWE,日立とGE,三菱とフランスのアレバ,これらの組み合わせで,インド市場へ参入する努力が続けられており,いずれも突破口を築きつつある。インド企業との結びつきが焦点で,日立とGEは,昨日,協力合意の署名を行ったようだ。東芝は既に,WEと共に,地元企業のL&Tを巻き込んで動いている。韓国企業は専ら東南アジアを狙っているのか。

本文

●インドの企業と米国企業が太陽光発電で取引で協力

India may soon attract huge investments from American companies in the solar energy sector. Fourteen American companies are visiting India to explore business opportunities in solar energy sector in country, as part of the first official trade mission of the new administration of the US President Barack Obama. (冒頭原文引用注3)

再生可能エネルギーのうち,太陽光についてはどの様に考えているのか,各国で少し差が出てきているように思う。太陽光発電は明らかに風力発電よりは,電力量単位で高価である。中国は,明確に風力に集中する,と言っている。太陽光は機材を生産するがあくまで輸出用だ,と言っている。米国の新政権も,どちらかと言うと,風力に傾いている。日本は,基本的には原子力にしか興味がないが,風当たりが強く,太陽光も動かしている。

インドはどう考えているのであろうか。中国やロシアに比べれば,太陽光のポテンシャルは高い,と海外の企業は注目しているのだろうか。日本などのインドへの輸出圧力はそれほど高くない。今回の,米国企業の大挙してのインド入りは,中国と同じような考え,即ち,太陽光発電は輸出に重点,という観点であろうか。とにかく,米国の14の企業からなる太陽光商務使節団が,インドを訪問する。

この調査団は,オバマ大統領になってから初めての大型通商使節団として,米国大使館もこれ宣伝に努めている。記事。インドは間もなく,太陽光エネルギー分野で,米国企業群の大規模な投資意欲を刺激することになりそうだ。オバマ大統領就任後初めての公式大型ミッションで,太陽光エネルギー分野でのビジネスチャンスを調査するものだ。

米国大使館のダロアシオ公使(注6)は,米国とインドとの関係で重要なのはエネルギー,米国の関心は,エネルギー開発への,インドに於ける政策環境,規制環境の問題だ,と言っている。公使(注6)の言い方は,太陽光エネルギー分野に続いて,という幅広いニュアンスを感じさせる。今回の米国企業の中には,アストンフィールド(注8),AES(注9),応用材料(注10)などが参加している。

これらの米国企業は,既に国会議員は協力の可能性のある地元企業との対話を始めている。米国企業の意図は,太陽光エネルギーに関する技術移転,資機材輸出,サービス輸出,などが視野に入っている。ただ,未知の分野だけに慎重で,インドに於ける中央系統,独立系統,それぞれのケースの電気料金構造が明確になることを前提としている。これは誠に重要な点で,インドは難しい状況にあると言わねばならないだろう。

ダロアシオ公使(注6)は,この点に言及して,インドの再生可能エネルギー開発における,資産基準,料金構造に注目しており,インド政府によって政策環境が明確になれば,米国企業は直ちに投資に踏み切るだろう,と慎重な言い回しである。米国調査団は,2日間の予定で,グジャラート(注12)とラジャスタン(注11)を訪問する。この2州は,最近,再生可能エネルギーへの料金構造の改変を口にしている。

米国輸出入銀行(注13)のフェアレル理事(注14)は,この困難な時期に,インド関係者は,再生可能エネルギー開発に際して,米国輸出入銀行(注13)の15年間のローン保証を適用される,と言っている。既に,再生可能エネルギー分野で,65プロジェクト,13億ドルの実績がある。

(注) (1) 090324A India, Economic Times,(2) US cos in India to promote energy trade,(3) 
http://economictimes.indiatimes.com/News/News-By-Industry/Energy/US-cos-in-India-to-promote-energy-trade/articleshow/4306402.cms,(4) 23 Mar 2009, 1908 hrs IST, ET Bureau,NEW DELHI:,(5) US President Barack Obama,(6) minister-counselor for commercial affairs at the US Embassy Carmine D'Aloisio,(7) solar energy,(8) Astonfield Renewable Resources Ltd,(9) AES Solar Energy,(10)Applied Materials,(11) Rajasthan,(12) Gujarat,(13) US Export-Import (Ex-Im) Bank,(14) Diane G. Farrell, member of the bank's board of directors,(15) 

●インドの原子力セクターにGE-日立が参入へ

GE Hitachi Nuclear Energy, a joint venture of GE and Japan's Hitachi, on Monday said it has signed two separate agreements with the Nuclear Power Corporation of India and Bharat Heavy Electricals for designing and building multiple nuclear reactors. (冒頭原文引用注19)

この,GE-日立(注21)のインド参入は,日本でも大きく報じられており,日経(注28)では,改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)(注24)での協力,と報じており,また,2009年2月6日の時点で海外電力調査会(注29)は,ウエスティングハウスと東芝のインドへの参入を報じている。この二つのグループに加え,フランスのアレバと組む三菱重工の活躍も話題になっている。

日本とインドの関係,特に原子力開発についての関係は,両国政府間の話し合いは,日本側の国民感情からも難しく残念な話だが,しかし,日立,東芝,三菱重工の企業の立場から,米国やフランスの企業と提携しながら,大きな役割を果たしていることは,我々としても非常の心強い。東南アジアの問題もあるから,日本の原子力企業の世界の舞台での活躍を期待している。

記事。GEと日立の合弁企業,GE日立(注21)は,月曜,2009年3月23日,二つの合意書に調印,一つはインド原子力公社NPCIL(注22),ともう一つは重電メーカーBHEL(注23)で,複数の原子炉の設計及び建設の協力に関するものである。この事前合意書の内容は,改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)(注24)の建設に向かって計画準備を開始する内容である。

GEのインド子会社,ジャヤラマン社長(注26)は,インドに於ける原子力開発への大きな一歩を記した,と述べている。この,1,350MWユニットのABWR(注24)機は,唯一商業化された,第三世代の発電用原子炉設計である。

(注) (17) 090324B India, Economic Times,(18) GE-Hitachi to build nuclear reactors for NPCIL, BHEL,(19) 
http://economictimes.indiatimes.com/News/News-By-Industry/Energy/Power/GE-Hitachi-to-build-nuclear-reactors-for-NPCIL-BHEL/articleshow/4306041.cms,(20) 23 Mar 2009, 1751 hrs IST, PTI,New Delhi: ,(21) GE Hitachi Nuclear Energy,GHE,(22) Nuclear Power Corporation of India,NPCIL,(23) Bharat Heavy Electricals,BHEL,(24) Advanced Boiling Water Reactor (ABWR),(25) potential multiple-unit Advanced Boiling Water Reactor (ABWR) nuclear power station,(26) GE Energy India, Bangladesh and Sri Lanka CEO Kishore Jayaraman,(27) 1,350 MW ABWR technology,(28) http://www.nikkei.co.jp/kaigai/us/20090324D2M2400B24.html,(29) http://www.jepic.or.jp/news/pdf/090206-03.pdf,(30) http://www.gns.ne.jp/eng/g-ken/doukan/agr_405.htm,(31)

参考資料

インド

●090324A India, Economic Times
インドの企業と米国企業が太陽光発電で取引で協力
US cos in India to promote energy trade
http://economictimes.indiatimes.com/News/News-By-Industry/Energy/US-cos-in-India-to-promote-energy-trade/articleshow/4306402.cms
●090324B India, Economic Times
インドの原子力セクターにGE-日立が参入へ
GE-Hitachi to build nuclear reactors for NPCIL, BHEL
http://economictimes.indiatimes.com/News/News-By-Industry/Energy/Power/GE-Hitachi-to-build-nuclear-reactors-for-NPCIL-BHEL/articleshow/4306041.cms

2009年3月23日月曜日

ミャンマーは35のダムプロジェクトを推進中


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連夜の,「黒部の太陽」,で思い出すのは先輩の話である。あの当時,黒四は世界銀行の資金を借りていたから,イタリアなどから多くの技術者が来ていたという。昨夜のシーンの中にも,外国人の地質専門家が,この地点は放棄せよ,と言っている場面が出ていたが,技術的な支援もさることながら,世界銀行が監督する立場からも,多くの専門家が来ていた,インドネシアの1980年代,パキスタンの今の時点,という感じか。

先輩の話だが,昼間はその専門家達との現場調査や会議があるわけで,夜になると日本のエンジニアー達が集まって,今日,あの外人の専門家達が何を言ったのか,夜遅くまでその検討会が続いたという。勿論英語の問題もあってのことだろうが,私の知っている限り,黒四で働いた人たちは英語が上手だったが,それでもあの当時の電力会社だから,大変だっただろう。

私も,海外にコンサルタントや専門家で出るようになって,当時の東南アジアのエンジニアーの人々が,そこまで熱心にやっているだろうか,と考えながら仕事をしていたが,やはり日本人の特性というか,外国の人にはなかなか真似の出来ないことなのだろう,と思っていた。経済成長は,殆ど同じ過程を踏むので,東南アジアで働きながら,ああ我々もこれと同じだったなあ,と感ずることが多々あった。

19080年代,インドネシアの山の中をジープで走ると,素っ裸の子供達が,ジープを取り囲んで,何かをせがんでいる。私も小学校4年生の頃,学校の近くで素っ裸になって河で泳いだりしていたが,路上を進駐軍のジープが来た,というので素っ裸でとんで出て手を振っていた,全く同じ光景が時の流れの中で繰り返されている。今,パキスタンやミャンマーでは,黒四のようなプロジェクトが必要な時代なのだ。

今日はミャンマーの水力開発のニュースが,北京から流れている。昔は,大体,バンコクから流れてきたが,時代も変わったものだ。中国が入って以来,ミャンマーでは,6つのダムが完成,22のダムが現在工事中または推進中で,更に15のダムが計画中という。出力全部で,30,888MW。また,下記の注に並べたが,昨日に続いて,ジャパンフォーカスが,中国のサルウイーン河の計画を長文で紹介している。後で読む。

(注) (60) http://japanfocus.org/-Milton-Osborne/2448

本文

●ペルーの5つのダム開発をブラジルのエレクトロブラスが支援

Centrais Eletricas Brasileiras SA, Latin America’s largest utility, will help build five hydroelectric dams in Peru, costing 25 billion to 30 billion reais ($11.1 billion to $13.3 billion), as Latin American power demand outstrips supply. (冒頭原文引用)

ペルーのアマゾン河流域の水力開発を,ブラジルのエレクトロブラス(注5)が支援する,と言うニュースは,2008年9月24日付本HP(注19)でも既に伝えている。今回は,更に具体的に工事に当たる企業の名前などが出ている。プロジェクトの事業費は,250億~300億リエス,約111億~133億ドル相当,である。ウイーンに滞在中のブラジルのロバオ・エネルギー大臣は,全部で5,000MW,ブラジル,ペルーなどへ送電と。

ペルーの電力規制機関のダマート総裁(注10)によると,需要が年率6%で伸びており,今年は停電に襲われていると。またブラジル側は,この先10年間で50%増しの設備拡大を目指しており,150,000MWに達する計画という。また,コンストルトラ(注11)によると,エレクトロブラス(注5)と協力して,2,000MWのイナンバリ水力プロジェクト(注12)のFS調査を,20百万ドルで完成しているようだ。

他に,ペルー国内の水力開発に関心を示している企業は,デューク(注13),イスラエル(注14),GDFスエズ(注15)などである。

(注) (1) 090323A Peru, bloomberg,(2) Eletrobras to Help Build Five Hydropower Dams in Peru (Update1),(3) http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601086&sid=a49eFvtTFXh8&refer=news,(4) By Juan Pablo Spinetto and Jeb Blount,March 18 (Bloomberg) --,(5) Centrais Eletricas Brasileiras SA,(6) Eletrobras,(7) Amazon region,(8) Andean country,(9) Brazilian Energy Minister Edison Lobao,(10) Alfredo Dammert, head of Peru’s energy regulator,(11) Construtora OAS Ltda,(12) Inambari hydropower plant,(13) Duke Energy Corp,(14) Israel Corp.,(15) GDF Suez SA,(16) Jeb Blount in Rio de Janeiro at jblount@bloomberg.net,(17) Juan Pablo Spinetto in Vienna at jspinetto@bloomberg.net,(18) Last Updated: March 18, 2009 17:20 EDT,(19) http://my.reset.jp/~adachihayao/iindex3newsSA080924.htm,(20)

●パキスタンの電力不足量は2,500MWの不足

The country will face up to 2,500 MW power shortfall at least till March 31 owing to two reasons, substantial reduction in hydropower generation and highly increased demand with the start of the summer. (冒頭原文引用)

パキスタンは,今まさに,国内,国際とも,正念場にある。今日の朝日新聞の社説も,国際的な支援の体制に十分に答え得るかどうか,国内政治の場で,政権の行方が問われている。電力需給の逼迫は,ザルダリ大統領にとっては,諸刃の刃である。夏にかかってきての需要の増加と,水不足による水力発電所の出力減退で,2009年3月31日時点で,2,500MWの供給力不足である,と報じられている。

水力発電設備は,タルベラダム(注24),マングラダム(注25),ガジバロタ水力(注26)など,7,000MWの出力があるにもかかわらず,現在出せる出力は僅かに,1,000MWだという。日6~8時間の停電が今月一杯は続く見通しで,来月になるとカリフのシーズン(注27)となり,更に逼迫すると思われる。PEPCO(注28)によると,需要が,12,500MWに対して,供給力は,10,000MW,2,500MWの不足という。

チーマPEPCO総裁(注28)も,ダムの放流で水位の低下が起こっていると。電力需要の上昇で,WAPDA(注33)が,マングラダム(注25)からの放流,5,000CSD(注34)の放流をゼロとする提案に対して,IRSA(注29)も承認している。タルベラダム(注24)の水位は低水位,1,369フィートに達しており,マングラダム(注25)も低水位が1,040フィートに対し,現在は1,085フィートまで下がっている。

タルベラダム(注24)は,流入量をそのまま流す状態で,25,000CSD(注34)であり,マングラダム(注25)からは,5,000CSD(注34)である。タルベラダム(注24)の発電所の出力は大きく落ち込んでいる。チーマPEPCO総裁(注28)によれば,電力使用制限は,2009年12月まで続くという。3,500MWが年内には新規運転開始する。

(注) (20) 090323B Pakistan, thenews,(21) Country to face power shortage of 2,500 MW till 31st,(22) http://www.thenews.com.pk/print1.asp?id=168436,(23) Sunday, March 22, 2009,By By Dilshad Azeem,ISLAMABAD: ,(24) Tarbela dam,(25) Mangla dam,(26) Ghazi Brotha Hydropower project,(27) Kharif season,(28) Pakistan Electric Power Company (Pepco),(28) MD (EM&C) Tahir Basharat Cheema,(29) Indus River System Authority (Irsa),(30) Punjab,(31) Sindhis,(32) Kharif 2009 water distribution plan,(33) Water and Power Development Authority (Wapda),(34) CSD,cusecs daily: 毎秒立方フィートを一日続ける,という意味か,(35) 

●ミャンマーは新しい首都の近くで水力開発へ

Myanmar is implementing a new hydropower project, Nancho, near the new capital of Nay Pyi Taw as part of its bid to add more electricity to the country, sources with the Electric Power Department said on Saturday. The project, lying 25.6 kilometers east of Nay Pyi Taw, is targeted to complete by the year 2010, the sources said. (冒頭原文引用注38)

昔は,ミャンマーの水力開発の情報は,バンコクから出ていたが,最近は様変わり,今日もこの情報は北京からである。電力局(注41)の情報によると,ミャンマー政府は,新首都ネイピト(注40)の近くで,ナンチョ水力プロジェクト(注42)を開発する。ナンチョ水力プロジェクト(注42)は,ネイピト(注40)の東25.6kmにあり,2010年完成を目指している。20MW機2台で,40MW,年間発生電力量は,152百万KWhである。

ミャンマーの水力発電プロジェクトは,6プロジェクトが完成,22プロジェクトが推進中である。2008年までに完成した6つのプロジェクトは,出力併せて,442MWであり,それらは,ゾージ第2水力(注43),ザウントウ水力(注44),タパンセイク水力(注45),モネチャン水力(注46),パウンラン水力(注47),イエンウエ水力(注48)である。

現在推進中の22プロジェクトは,16,599MWであり,更に新たな15プロジェクトを計画中である。この15のプロジェクトは,出力がそれぞれ,48MW~2,800MWで,7つの地区と州にある。15のうち7つは北部のカチン州(注49)で,そのうち6つは,それぞれ,1,200MWを越えている。他のプロジェクトは,サガイン(注50),マンダレー(注51),マグエイ(注52),バゴ(注53)の各地区と,ラキン(注54)と北部シャン(注55)の各州。

計画中の15プロジェクトの出力は,13,847MWである。月別統計によると,2008年末の時点で,全設備出力は,1,684MWに達し,発生電力量は,2006~2007年の,61.64億KWhに対し,2007~2008年は,66.03億KWhであった。

(注) (36) 090323C Myanmar, news.xinhuanet,(37) Myanmar implements new hydropower project in new capital,(38) http://news.xinhuanet.com/english/2009-03/21/content_11048335.htm,(39) www.chinaview.cn 2009-03-21 19:54:52 Print,YANGON, March 21 (Xinhua) -- ,(40) Nay Pyi Taw,(41) Electric Power Department,(42) Nancho power plant,(43) Zawgyi-2 hydro,(44) Zaungtu hydro,(45) Thaphanseik hydro,(46) Monechaung hydro,(47) Paunglaung hydro,(48) Yenwe hydro,(49) Kachin state,(50) Sagaing division,(51) Mandalay division,(52) Magway division,(53) Bago division,(54) Rakhine state,(55) Shan state,(56) 

参考資料

ペルー

●090323A Peru, bloomberg
ペルーの5つのダム開発をブラジルのエレクトロブラスが支援
Eletrobras to Help Build Five Hydropower Dams in Peru (Update1)
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601086&sid=a49eFvtTFXh8&refer=news 

パキスタン

●090323B Pakistan, thenews
パキスタンの電力不足量は2,500MWの不足
Country to face power shortage of 2,500 MW till 31st
http://www.thenews.com.pk/print1.asp?id=168436

ミャンマー

●090323C Myanmar, news.xinhuanet
ミャンマーは新しい首都の近くで水力開発へ
Myanmar implements new hydropower project in new capital
http://news.xinhuanet.com/english/2009-03/21/content_11048335.htm

2009年3月22日日曜日

インドの水力は中国分水に懸念


HPは下記ドメインです。写真地図など見て下さい。
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm?lang=en

昨夜,2009年3月21日,は,「黒部の太陽」,を見ていて遅くまでテレビにへばりついていた。何度も見た光景と言うかストーリーだから,珍しいわけではないのだが,私の大学卒業を挟んだプロジェクトなので,当時の様子を思い出しながら見ていた。太田垣社長の面接で入社した我々だが,社長が名古屋駅に降り立つ場面で,坂下,という言葉が出てきて,まさに新入社員として送られた木曽川の場所で,思いあり。

特命指値,ということは,全く競争入札をやらずに金額は一方的に関西電力で決めてしまって,請けるかどうか,と言うのだから,大変な決め方である。途中の議論の中で,進まないのはお金のためか,と言う詰問で揉めていた場面,関電にとっても熊谷にとっても,本当の共通の敵は大自然なのだ,というところも,若い頃によく口にした。今の世の中では通用しない言葉だが,それも時代による。

あの当時の関西の停電は,まさに今,パキスタンやインドが戦っている姿で,日本から見れば,大きなダムを建設して3,000MWを発電するなんて無茶,と見えるが,今から飛び立とうとしているパキスタンやインドなどにとっては,まさに日本の黒四時代であろう。世界中のお金を集めてこなければならなかった太田垣社長と,今走り回っているパキスタンのザルダリ大統領には,共通点がある。

インドの東北地域,最北端のアルナチャル・プラデシュ州(注52)は,基本的には中国との間で国境未確定である。嘗ての中印戦争の舞台でもあり,その膨大な包蔵水力の開発を計画しているインドの高官達は,中国が攻め込んでくる夢に脅える。それも,夢の中に出てくるのは戦車軍団だが,目が覚めてよく考えてみると,それは水力開発のためのブルドーザーへ代わっている。

中国のコントラクターやディベロッパーが,インドのアルンチャルプラデシュに入ってくると,インドとして,国境未確定の不安と共に,中国領と勘違いしてしまう危険性もある。ただ今日の記事は,ブラマプトラ河の水が上流で中国領内に分水される恐れであり,国際河川の慣行から,先に使い始めた方が有利,と言う考え方もある。でも,今日の記事で分かったのは,インドは地元住民を十分に説得し切れていない,と言うことだ。

今日のニュースで,長文であったので取り上げなかったが,日本と中国の問題の記事を,ドメインだけ紹介しておく。日本の記事(注61)は,日本は無惨にも再生可能エネルギー開発が僅かに0.3%で,一生懸命プルトニュームをため込んでいる,というもの。中国の記事(注62)は,中国のメコン上流のダム開発について,その下流への影響を論じている。私も時間をとって読んでおこうと思っている。

(注) (61) http://japanfocus.org/-Gavan-McCormack/2602,(62) http://japanfocus.org/-B-McCartan/2865

本文

●米国のFERCが知的送電網の開発に政策提案

The Federal Energy Regulatory Commission (FERC) accelerated development of a smarter grid for the nation's electric transmission system with a proposed policy statement and action plan that would help set the "rules of the road" of a modern grid that would help bring long-term savings to consumers. (冒頭原文引用注3)

知的送電網,スマートグリッド(注6)については,このHPでも議論を続けてきた。しかし実際問題として,何処までを知的送電網というのか,また今回のオバマ政権が言っている知的送電網は,何処までを考えているのか,まだ明確にはなっていない。今日の記事は,米国電力規制委員会とでも言うべきFERC(注5)が,いよいよその政策策定に乗り出す,と言うものである。

FERC(注5)が,知的送電網の開発に関する政策に関する声明と行動計画の作成を急いでおり,それは知的送電網を開発する際の交通規則のようなもので,長期に亘って需要家の節約を意図したものである,ウエリンホフFERC総裁代理(注8)は,知的送電網の概念は,発電側の安全,信頼度,効率の確保を基本に,需要家に電気料金効率化の情報を提供し,更にそれは再生可能エネルギーとの総合調整を行う鍵である,としている。

ケリー委員(注10)は,エネルギー省(注12)の中に,知的送電網情報交換機関SGC(注5)に相当するものを置いて,知的送電網が如何に社会に便益をもたらすものかを説明し,その投資を促す役割を果たすべきだ,と言っている。ムーラー委員(注13)は,知的送電網の概念は,いろいろな要素を含んでいるが,要するに,出来るだけ少ない発電で効率的に需要を満たし,汚染を最小限に食い止めるものだ,と言っている。

スピツァー委員(注14)は,送電網に最先端技術を適用することによって,投資を促し,需要家のコストを減らし,環境を改善し,雇用を増やすのだ,と説明している。FERC(注5)は,政策案を示して広く国民の意見を聞きたいとしている。最後は,4項目に関して,最後の政策声明で,電力産業に対する標準を示したい,と考えている。4つの項目とは次の通り。

第1は,情報の安全確保(注15)だ。第2は,関係者,即ち,地域市場運用者,事業者,サービス業,需要家の間の相互通信。第3は,機関送電網の運営者が,先端技術の装置でその全容を常に把握すること。第4は,最新技術で,再生可能エネルギー源,需要,電力貯留,電力輸送の調整機能の確保,だという。FERCは,事業者は,最後はこの地的送電網の配置によるコストの回収を目指すだろう。

(注) (1) 090322A USA,uaelp.pennnet,(2) title: FERC accelerates smart grid development with proposed policy, action plan,(3) 
http://uaelp.pennnet.com/display_article/356811/22/ARTCL/none/none/1/FERC-accelerates-smart-grid-development-with-proposed-policy,-action-plan/,(4) Washington, D.C., March 20, 2009 --,(5) Federal Energy Regulatory Commission (FERC),(6) smarter grid,(7) rules of the road,(8) acting FERC chairman Jon Wellinghoff,(9) smarter bulk power system,(10) commissioner Suedeen Kelly,(11) Smart Grid Clearinghouse,(12) Department of Energy,(13) commissioner Philip Moeller,(14) commissioner Marc Spitzer,(15) Cyber security,(16) 

●フィリッピンのマニラ配電が11名の役員名簿発表

The 11-man Board of Directors of Manila Electric Co., the country’s’ largest power distributor by sales, will soon get a major face lift to reflect the partial divestment of the Lopez Group to Philippine Long Distance Telephone Co. (冒頭引用注18)

マニラ配電MERALCO(注20)の役員人事に注目が集まっている。役員定数は11人で,今回の人事は基本的に,ロペス財閥(注21)の資本の一部をフィリッピン長距離電話PLDT(注22)に分散することが基本になっている。また,株式買収に走ったサンミゲールSMC(注23)の役員への参入も注目されている。PLDT(注22)は,パンギリナン会長(注24),ナザレノ会長(注25),スピノサ取締(注26)の3人を送り込む。

この3人は,PLDT(注22)のロペスから取得した20%と年金基金の10.7%資本を代表するもので,これはロペスを代表していた3人,フランシスコ前社長(注28),モンソッド(注29),ビラタ元首相(注30)に代わるもの。ロペスの13.4%資本を代表するのは,ロペス会長(注31),イエスス社長(注32)である。SMC(注23)は,アン社長(注33),メンドーサ弁護士(注34),オルテス(注35),スリオ(注36)を送り込む。

最後の二人は,カルデロン現役員(注37),コンジュアンコSMC会長(注38)の後任になる。中立の3人は,パンギリアン前最高裁裁判長(注39),パニリリオ(注40),ロクサス(注41)である。この人事を決定する株主総会は,2009年5月26日に予定されている。

(注) (16) 090322B Philippines, Manila Bulletin,(17) Meralco bares new nominees to 11-man board of directors,(18) http://www.mb.com.ph/articles/199712/meralco-bares-new-nominees-11man-board-directors,(19) By DOW JONES,March 20, 2009, 8:19pm,(20) Manila Electric Co (Meralco),(21) Lopez Group,(22) Philippine Long Distance Telephone Co.(PLDT),(23) San Miguel Corp. (SMC),(24) PLDT Chairman Manuel Pangilinan,(25) PLDT President Napoleon Nazareno,(26) PLDT director Ray Espinosa,(27) Pilipino Telephone Corp,(28) Meralco President Jesus Francisco,(29) Christian Monsod,(30) former Prime Minister Cesar Virata,(31) Meralco Chairman Manuel Lopez,(32) President Jose de Jesus,(33) SMC President Ramon Ang,(34) lawyer Estelito Mendoza,(35) Alan Ortiz,(36) Mario Surio,(37) Aurora Calderon,(38) Eduardo Cojuangco, San Miguel’s chairman,(39) former Supreme Court Chief Justice Artemio Panganiban,(40) Vicente Panlilio,(41) Pedro Roxas,(42) 

●インドの計画委員会が上流中国に対抗の水力推進提案

The government is worried that the share of hydropower segment in India’s power generation basket has fallen from 40% to 25% in the past 20 years New Delhi: The Planning Commission has said India must set up more hydropower projects in the North East on rivers originating in China to counter Beijing’s plan to divert water from them. (冒頭原文引用注44)

インドが,北東地域の水力開発が進まず,中国の影に脅えながら,焦っている様が見えてくる。最近のインド政府は,この20年間で,水力のシェアーが40%から25%に落ちてきたことを心配している。国家計画委員会のキリット・エネルギー委員(注47)が語っている。インドは,東北地域の中国に源を発する河の水力開発を急ぐ必要があると,それは中国が分流する可能性があるから。

中国は,インドは開発しないのになぜ不満を言うのか,と言うだろう,今こそ広範な戦略を確立する必要があると。インドは,中国が計画している分流計画,ブラマプトラ河(注48)から新疆(注49)や甘粛省(注50)への,620億ドル,南水北送計画(注51)を持っている。キリット・エネルギー委員(注47)は,国際河川の慣行から見て,先に着工するものに優先権があると。電力省もこれを心配し,対策を練っている。

ライブミント(注42)はニューデリーの中国大使館にメール問い合わせを行ったが,回答がなかった。CEA(注53)によると,インド北東地域の包蔵水力は,58,000MWであり,北東地域7州のうちで,アルナチャルプラデシュ州(注52)だけで,50,328MWの包蔵である。そこで問題はインド側の環境である。シン首相(注55)の主宰する水力促進のパネルでも,環境審査期間を短縮する必要がある,と主張している。

特に,住民移住の問題が,プロジェクトの遅れに繋がっている。アルナチャルプラデシュ州(注52)の,3,000MWのディバン水力プロジェクト(注58)は,昨年,2008年1月,定礎式を行ったが,地元の反対で公聴会も開かれていない。エネルギー研究所のラマナタン氏(注57)は,国際河川という観点から,長期に亘る環境社会的影響を考えた上で,北東地域の水力の早急な行動が必要だ,と主張している。

インド政府は,水力発電のシェアーが落ちてきていることも,懸念している。全国の発電設備は,147,000MWであるが,水力は,約32,000MWである。現在は,水力は,32,326MWであるが,2012年には,新規に,16,501.17MWを開発する計画である。

(注) (42) 090322C India, livemint,(43) Plan panel for more hydropower projects to pre-empt China,(44) http://www.livemint.com/2009/03/20214053/Plan-panel-for-more-hydropower.html,(45) Utpal Bhaskar,New Delhi:,(46) Planning Commission,(47) Kirit Parikh, member, energy, at the Planning Commission,(48) Brahmaputra,(49) Xinjiang,新疆,(50) Gansu,甘粛,(51) South-North Water Diversion Scheme,(52) Arunachal Pradesh,(53) Central Electricity Authority (CEA),(54) Union power ministry,(55) Prime Minister Manmohan Singh,(56) NHPC Ltd,(57) K. Ramanathan, distinguished fellow at The Energy and Resources Institute,(58) Dibang hydropower project,(59) 


参考資料

電力一般

●090322A USA,uaelp.pennnet
米国のFERCが知的送電網の開発に政策提案
FERC accelerates smart grid development with proposed policy, action plan
http://uaelp.pennnet.com/display_article/356811/22/ARTCL/none/none/1/FERC-accelerates-smart-grid-development-with-proposed-policy,-action-plan/

フィリッピン

●090322B Philippines, Manila Bulletin
フィリッピンのマニラ配電が11名の役員名簿発表
Meralco bares new nominees to 11-man board of directors
http://www.mb.com.ph/articles/199712/meralco-bares-new-nominees-11man-board-directors

インド

●090322C India, livemint
インドの経買う委員会が上流中国に対抗の水力推進提案
Plan panel for more hydropower projects to pre-empt China
http://www.livemint.com/2009/03/20214053/Plan-panel-for-more-hydropower.html

2009年3月21日土曜日

電気自動車は汚れた電力を使うのか


HPは下記ドメインです。写真地図など見て下さい。
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm

電気自動車,プラグインカー,オバマ大統領がグリーンニューディールの目玉と考え,それが波及して,日本の自動車メーカーも次の目標として競争が激化している。電気自動車のもとのエネルギーを考えながら推進しているのか,と何度もこのHPで念を押してきたが,今日は初めて,米国のその疑問に対する記事を見つけてきた。ただ,大規模に実施しなければ効果がないし,大規模なら大規模で,電源の話が入ってこなければおかしい。

今日はまた,ビジネスアイが,この電気自動車を巡って二つの記事を出している。一つは,「エコカー減税,業界の期待,購入促す値引き10万円」(注60),もう一つは,「レンタカーもエコ新サービス」(注61)である。前者は,現在市販されているHVのほか,電気自動車,燃料電池車などは,重量税,取得税ともに100%免税される。また,後者は,「プリウス」,ホンダの「シビックハイブリッド」のレンタル料を,割引するというもの。

電気自動車の電源のことを考えていますか,と言う問題には三つあって,一つは利用者にとって燃費はどうなのか,と言う問題と,電源は量的に対応出来るか,という問題と,最後に,電気自動車の電源は本当にクリーンなのか,と言う問題である。燃費の問題は,米国の具体的な例を挙げて,KWh当たり8.5セントの電気を使うなら,ガソリン等価のリッター換算で,19.8セントと出している。夜間の電力は,2~3セントだと言っている。

まあ,利用者のランニングコストは安いというわけだ。でも日本の電気料金はその2倍ぐらいしているから,日本で試算するときには,もう少し高くなるだろう。電源は,米国の場合,今の普通車の4分の3が電気自動車になっても,需給上は問題ない,としている。また,米国の場合は,電源の半分が石炭火力なので,地域的にはこれが問題となり,大気汚染の立場から,更なる再生可能エネルギー拡大の方針が必要,と書いている。

私としては,二つの論点が足りないと見ている。一つは,ガソリン自動車の効率の問題で,最近勉強したところでは,自動車のガソリンの熱量に対する効率は10%ぐらいだそうだ。発電所と比べると,まるでガソリンをぼたぼたと道路に撒きながら走っているようなものだ。発電所は50%ぐらいの効率だから,自動車のバッテリーの効率が往復72%と言っているので,総合で37%ぐらいはある,この差が問題のポイントになる。

また,電気料金はKWh当たり8セント,と言う前提で電気自動車の話を進めているが,これは現状の米国の電気料金であって,オバマ大統領の電気自動車は,クリーンニューディールの一環であり,他の重要な太陽光と風力の話が入ってくると,電気料金はとんでもなく跳ね上がる。だから,自動車の利用者を安くなると言って説得しながら,また後ろで料金,または税金が上がってくることも計算の中に入れる必要がある。

勿論私は,ガソリン自動車を電気自動車の変えて行くことは,大賛成である。しかし,再生可能エネルギーと絡んでくる電気料金の問題と,この電気自動車が大量に採用された場合の,電力設備に与える質的影響を,議論の中に持ち込んでおくべきだ,と主張している。

(注) (60) http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200903210017a.nwc,(61) http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200903210044a.nwc,(62) 

本文

●クリーンカーと言われるが実際は汚れた電力を使っているのではないか

Q: If you have an electric or plug-in hybrid car, you’re paying for electricity rather than gasoline all or most of the time. How does that cost compare with a gasoline-powered car’s cost per mile? And since the electricity may be generated from some other polluting source, does it really work out to be better for the environment?

この記事は,ある読者がこのCSMONITOR(注1)に質問をぶっつけたもので,それに丁寧に答えている。すべて米国の例であるが,電気自動車を使うときに発電所はどうなるのか,という記述は,これが初めてかどうかは分からないが,少なくとも私の目に止まったのは初めて。自分が言い続けてきただけに関心あり。本気で電気自動車を考えるならば,ここまで議論する必要があるだろう。

まず質問だが,プラグイン・ハイブリッド・カーPHEV(注5)の場合は,ガソリン代に変わって電気料金を払うことになる。マイル当たりのコストは,ガソリンと電気とどちらが安いのか?また,電気は他の汚れた手段で発電されるが,本当に電気自動車は,環境によいといえるのかどうか?この質問はまさに我々が,考える必要がある,と言ってきた問題で,個人の財布の話と,地球環境の二つの問題を取り上げている。

これにこのネットが答えている。一言で言えば,例えそれが石炭火力発電としても,電気自動車は,ガソリン自動車よりはクリーンで,かつ個人には経済的であると。バッテリーとガソリンを比べれば,当然,電気が勝つ。2007年に,電力研究所EPRI(注9)が調査した結果では,ハイブリッド・カーPHEVは,ガソリンの1ガロンが75セントした計算だ。リッターで換算すると,19.8セントとなる。スタンドで30年も見たことがない数字だ。

この計算の前提は,電力価格が,KWh当たり8.5セント,ガソリン1ガロンで25マイル走行可能,即ち,1リッターで6.6マイル,10.6km,でガソリンの値段は,ガロン当たり3ドル,即ち,リッター当たり78.3セント,である。また,夜間に風力や水力の電気が捨てられている状況では,電気料金は,2~3セントとなり,更にPHEV(注5)が安くなる。電力の量は大丈夫か?

それについては,エネルギー省(注10)の実験所(注11)の調査では,普通車の4分の3が同時に動いても大丈夫。また,もし自動車の全部がPHEV(注5)に転換したとしたら,日65億バレル,全米の現在の使用量の52%の石油が節約できる。環境の面でも勿論,PHEV(注5)が有利だ。2007年のEPRI(注9)とNRDC(注12)の試算は,勿論,どの様なスピードでPHEV(注5)が普及するかにかかってくる。

2010~2050年の温暖化ガス排出量の削減は,34億~103億トンと計算している。米国の電力系統では半分が石炭だが,NRDC(注12)は,石炭火力を主体にPHEV(注5)に電力を供給した場合,地域的には煤煙と水銀の問題が発生するだろうと。風力や太陽光発電が増えれば,罪の意識は減るだろう。ハイブリッド・サイト(注13)では,もっと温暖化ガス排出の少ない電源を開発する必要がある,と主張している。


(注) (1) 090321A Power, features.csmonitor,(2) March 20, 2009 edition,(3) When ‘clean’ cars charge up on ‘dirty’ electricity,(4)
http://features.csmonitor.com/environment/2009/03/20/when-‘clean’-cars-charge-up-on-‘dirty’-electricity/,(5) plug-in hybrid electric vehicle (PHEV),(6) gasoline-powered car,(7) 1 litter = 0.264172 gallon,(8) 1km = 0.621371 miles,(9) Electric Power Research Institute (EPRI),(10) US Department of Energy,(11) Pacific Northwest National Laboratory,(12) Natural Resources Defense Council (NRDC),(13) HybridCars.com,(14)

●ミャンマーのヤンゴンでは水力を止めて燃料で発電している

Myanmar is using fuel as an alternative way to generate electricity for distribution to the former capital city of Yangon when water resources, which create hydropower, are reducing in the present summer. The reduction in water resources has led to the generation of only 300 megawatts (mw) of electricity, which include that from four gas-run power plants, to feed Yangon against the city's demand of over 500 mw for daily power consumption, (冒頭注17引用)

ミャンマーの旧首都ヤンゴン,4月になると水祭りで騒いだことが思い出される。最後のありったけの水を掛け合って遊ぶわけだが,その次の日から雨が降る,と言う計算になっている。今は水のない時期だ,水力発電所が多く,このような場合に毎年問題となる。水力発電が減って,燃料を使っての発電が増えている。4つのガスタービンも含めて,ヤンゴン(注19)への供給は,300MWだけになっている。

一般家庭需要家と45万の産業需要に,少なくとも一日5時間は供給出来るよう,ミャウンタカ工業団地(注21)の鉄鋼プラントなど,電力を多く必要とする工場は,暫定的に送電を止めている。経済活動に大きな影響が出ている。今年初めから,この状態が続いている。ヤンゴンの本来のピーク需要は,全国の60%,約530MWを必要としている。

停電のときに,工場は自家用のディーゼル発電機を動かすが,この電気は高価で,また騒音や排気ガスで,市内の環境を害している。

(注) (15) 090321B Myanmar, istockanalyst,(16) Myanmar uses alternative way to generate electricity in water-scare summer for supplying Yangon,(17) http://www.istockanalyst.com/article/viewiStockNews/articleid/3133960,(18) Thursday, March 19, 2009 11:03 PM,YANGON, Mar. 20, 2009 (Xinhua News Agency) --,(Source: iStockAnalyst ),(19) Yangon,(20) Biweekly Eleven,(21) Myaungtaka Industrial Zone,(22) 

●インドで4つの大規模発電プロジェクトが再び発進する

Project work at four large power plants has resumed with companies placing increased orders with their suppliers and vendors, raising them to pre-October levels, mainly as the companies see no point in suspending onsite work. (冒頭注35引用)

この世界金融危機の中,ひとときも休むことの出来ないインドの電力開発,2008年末に一時スローダウンしたものの,2009年に入って盛り返し始めた,と言う記事である。4つの大規模プロジェクト,それぞれの企業が動き始め,昨年,2008年10月のレベルまで進捗を伸ばしてきた。国家電網PGCIL(注37),ブッシャン(注38),トレント(注39),タタ電力(注40)の未着工のプロジェクトは,2009年1月末より動き始めている。

ブッシャン(注38)のジョハリ取締役(注42)は,オリッサ(注41)の未着工のプロジェクトで,機器メーカーと交渉中で,完成した300MWに更に増設する計画だ,と語っている。殆どの企業は,不況による流動でい悪化と需要の落ちを反射的に読んで,プロジェクトを棚上げしていた。資金調達が終了したプロジェクトも中断していたが,この2ヶ月間,電力セクターは悪くなっていないと。

電源に関しては,78,500MWの新規電源の目標があり,例え金融危機があったとしても,待てないと企業も判断しているようだ。電線企業によると,2008年10月から12月は落ちたが,この1月以降は復活,今,1,000トンの受注を抱えていると。落ちる直前までは,月3,000トンのの受注を持っていた。電力省によると,この五カ年計画分,12,000MWが完成,工事中のプロジェクトは,88,000MWに達する。

送電線も,敏感に電源の伸びを見込んで,回復の途上にある。ICSA(注43)のレディ会長(注47)は,この水曜日,総額約46億ルピーの4つの契約を行った,相手は,ビハール電力局BSEB(注44),マハラシュトラ州配電MSED(注45),MPPKVVC(注46)で,配電部門も大きな優先度をもていると。ラムサルップ(注48)も,西ベンガル州配電WBSERC(注49)から16億ルピーの契約を取っている。

KECインター(注50)は,マハラシュトラ(注51),マディアプラデシュ(注52),ビハール(注53),西ベンガル(注54)の電化プロジェクトで,100億ルピーの受注をしている。政府の大きな2つ電化計画,RGGVY(注55)とAPDRP(注56)は,工程に遅れが出ている。RGGVY(注55)の目標は,125,000村落の電化と2,300万人の貧困層と対象としている。今年度末が目標だが,まだ半分が完成したところだ。

(注) (23) 090321C India, Economic Times,(24) Work resumes at four large power plants,(35) http://economictimes.indiatimes.com/News/News-By-Industry/Energy/Work-resumes-at-four-large-power-plants/articleshow/4289853.cms, (36) 20 Mar 2009, 0257 hrs IST, MV Ramsurya & Pradeep Pandey, ET Bureau,MUMBAI:,(37) PowerGrid,(38) Bhushan Energy,(39) Torrent Power,(40) Tata Power,(41) Orissa,(42) Bhushan group director (finance) Nitin Johari,(43) ICSA,(44) Bihar State Electricity Board,(45) Maharashtra State Electricity Distribution,(46) MP Poorv Kshetra Vidyut Vitaran Co.,(47) ICSA chairman G Bala Reddy,(48) Ramsarup Industries,(49) West Bengal State Electricity Distribution Co,(50) KEC International,(51) Maharashtra,(52) Madhya Pradesh,(53) Bihar, (54) West Bengal,(55) Rajiv Gandhi Gramin Vidyutikaran Yojana (RGGVY),(56) Accelerated Power Development and Reforms Programme,(57) 

参考資料

環境一般

●090321A Power, features.csmonitor
クリーンカーと言われるが実際は汚れた電力を使っているのではないか
When ‘clean’ cars charge up on ‘dirty’ electricity
http://features.csmonitor.com/environment/2009/03/20/when-‘clean’-cars-charge-up-on-‘dirty’-electricity/

ミャンマー

●090321B Myanmar, istockanalyst
ミャンマーのヤンゴンでは水力を止めて燃料で発電している
Myanmar uses alternative way to generate electricity in water-scare summer for supplying Yangon
http://www.istockanalyst.com/article/viewiStockNews/articleid/3133960

インド

●090321C India, Economic Times
インドで4つの大規模発電プロジェクトが再び発進する
Work resumes at four large power plants
http://economictimes.indiatimes.com/News/News-By-Industry/Energy/Work-resumes-at-four-large-power-plants/articleshow/4289853.cms

2009年3月20日金曜日

インドを初めLNG価格下落の恩恵


HPは下記ドメインです。写真地図など見て下さい。
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm

NY原油価格が,一挙に上がって,バレル51.61ドルと報じている。「FRBの積極的な金融緩和が米景気回復につながるとの期待を誘い」,と書かれている。今日は,インドがLNG価格の下落で大いに恩恵にあずかっているという記事だが,これも原油の動きを見ながら,また動いてくることだろう。2002年時点の天然ガスの世界の埋蔵量は,155.8兆立方m,即ち,5,501兆立方フィート(tcf)だ。

LNGを少し勉強しておこうと思って捜していたら,JOGMECの坂本茂樹氏の書いた西豪州沖合天然ガス開発のプレゼン(注11)が出てきて,しばらく見入っていた。今我々は,LNGに関して,インドネシアだ,カタールだ,と騒いでいるが,この豪州沖の今後の期待の大きさに,少し驚いた。2008年4月16日の資料だから,比較的新しい調査結果である。まだ,5兆立方フィートなどの数字が見えるが,これから増えるのだろう。

天然ガスは,結局大陸棚をどれだけ持っているかが一つの鍵なのであろう,オーストラリア西岸は,比較的大陸棚が広く,これから大いに開発が進むようである。坂本茂樹氏のプレゼンの中にも,2020年を想定した日本のLNGの主要な供給先は,このオーストラリアであるかのごとき,太い矢印の線が描かれている。取引の相手としては,日本にとって有利,と読めるのだろうか。

本文

●フィリッピンのパナイ水力の引き渡しは3月25日

The Power Sector Assets and Liabilities Management Corporation (PSALM) is scheduled to turn over this March 25 the 146-megawatt Panay and 22-MW Bohol power plants, according to government sources. For the power facility to be finally handed to winning bidder SPC Power Corporation, the latter needs to settle the required upfront payment which is equivalent to 40 percent of its $5.858 million purchase offer.

フィリッピンの電力改革のポイントは,国家電力公社NPC(注14)が独占していた発電施設を,売却により分散する,NPCの全発電資産の70%を売却し終わった時点で,フリーアクセスなど,自由化の仕上げを行う,と言う計画である。昨年,2008年内にで予定の資産売却を終了する予定であったが,今日の記事のパナイ島の発電設備,カラカ石炭火力など,懸案が残っている。

PSALM(注5)は,146MWのパナイ発電所(注6)及び,22MWのボホール発電所(注7)の引き渡しを,2009年3月25日に行うことを予定している。この入札は,2008年11月に行われ,韓国電力KEPCO(注11)を主体としたSPCパワー(注8)が,他の企業,アボイテス(注9),トランスアジア(注10)を抑えて落札したが,着手金,5.858百万ドルの40%の支払いが前提となる。

他に行われた入札よりは価格が安いが,これは,セブ-ネグロス-パナイ系統(注12)の競争の度合いが低いためである。このディーゼル発電所の委譲については,地域の裁判所から,仮差し止め命令TRO(注13)が出ており,幾つか解決しなければならない問題が残っている。PSALM(注5)は,予定された義務を果たすべくNPC(注14)の資産売却を終わるべく,精力的に進めている。

発電資産売却は,2008年内に終了すべきところ,600MWのカラカ石炭火力(注15)で,落札者が委譲を断り暗礁に乗り上げている。再交渉よりも,再入札の方針で,政府は処理に当たっている。

(注) (1) 090320A Philippines, Manila Bulletin,(2) Panay-Bohol plants’ turnover set March 25,(3) http://www.mb.com.ph/node/199588,(4) March 19, 2009, 12:00am,(5) Power Sector Assets and Liabilities Management Corporation (PSALM),(6) 146-megawatt Panay power plant,(7) 22-MW Bohol power plant,(8) SPC Power (formerly Salcon Power),(9) Aboitiz,(10) Trans-Asia,(11) Korea Electric Power Corporation (KEPCO),(12) Cebu-Negros-Panay grid,(13) temporary restraining order (TRO),(14) National Power Corporation,(15) 600-MW Calaca power plant,(16) Panay diesel photo source: www.panoramio.com/photo/9001982,(17) 

●インドなどはLNG価格の低下で莫大な節約に

NEW DELHI: It’s not just a lower oil import bill that energy guzzlers like India and China are cheering about. Global prices of natural gas, which is increasingly replacing liquid fuel, have fallen by more than 50% over the last six months, leading to huge foreign exchange savings on imports. 

これはLNG(注6)に限ったことではないと思うが,最近,特にLNG(注6)の価格の問題と量のだぶつきが目立ってきた。昨日は,インドネシアから日本のLNGタンカーが,日本を目指すないで欧州に向かったとか。LNGは,アジアでは日本を初め,韓国,台湾の燃料であったものだが,インドと中国の発展で,様相が変わってきている。

原油価格ばかりでなく,LNG(注6)の価格が下落に向かったことで,エネルギー大量消費のインドと中国は,大いにその恩恵にあずかっている。この6ヶ月で50%も下落し,外貨の節約に貢献している。インドは最近,LNGの契約を行ったが,価格は,2008年8月に百万Btu(注7)当たり,19.55ドルしていたものが,今の時点のスポットマーケットで,4.80ドルである。一つのタンカーが,3,100万Btuを運搬する。

専門家によると,2009年から2010年でインドは,LNG輸入に関して750百万ドルの節約となる計算だ。ペトロネットのダヘジ基地(注8)のお陰で,インドは,2009~2010年で,11百万トンのLNGを輸入する。2008~2009年の実績は9百万トンであった。電力と肥料工場は,燃料の不足に悩んでいたが,現在は価格も量も好ましい状態だ.。国内のガスだけでは,半分も満たせなかった。



(注) (17) 090320B India, Economic Times,(18) 50% cheaper LNG may save $750 mn in FY10,(4) http://economictimes.indiatimes.com/News/News-By-Industry/Energy/50-cheaper-LNG-may-save-750-mn-in-FY10/articleshow/4284641.cms,(5) 19 Mar 2009, 0259 hrs IST, Soma Banerjee, ET Bureau,NEW DELHI:,(6) liquefied natural gas (LNG),(7) million British thermal units (mBtu),(8) Petronet’s Dahej terminal,(9) Reliance Industries,(10) metric standard cubic metre per day (mmscmd),(11) http://oilgas-info.jogmec.go.jp/report_pdf.pl?pdf=2008_04_sakamoto_australia.pdf&id=1954,(12)

参考資料

フィリッピン

●090320A Philippines, Manila Bulletin
フィリッピンのパナイ水力の引き渡しは3月25日
Panay-Bohol plants’ turnover set March 25
http://www.mb.com.ph/node/199588

インド

●090320B India, Economic Times
インドなどはLNG価格の低下で莫大な節約に
50% cheaper LNG may save $750 mn in FY10
http://economictimes.indiatimes.com/News/News-By-Industry/Energy/50-cheaper-LNG-may-save-750-mn-in-FY10/articleshow/4284641.cms

2009年3月19日木曜日

インドネシアの日本LNGタンカーを欧州へ


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東芝の社長交代をどう読むか,まさに半導体から原子力まで,広く扱っている東芝だけに,東芝だけの問題に留まらず,重電の世界に,再びビジネスチャンスを見出そうという意図があるとすれば,その行く先を大いに注視する必要がある。新社長は,米原子力大手のウエスチングハウス社買収の立役者だという。最先端石炭火力や原子力への将来の可能性をどう見ているのか,聞きたくなってくる。

インドネシアのLNGだが,先日も,給電畑の友人から,流れ込み式水力の次に燃やすのはLNGだ,と聞かされて,そんな馬鹿な,とやりとりしたばかりだが,彼等に言わせたら,LNGタンカーが日本の港に入ってきて,タンクが一杯になっているときほど,危機感迫ることはない,という。港にLNGタンカーをじっと待たせておくことは不可能だと分かるから,気持ちは分かるが,主客転倒のような気がする。

ところが今日のインドネシアの記事は,それを如実に物語る話で,今,インドネシアのアルン基地やボンタン基地から出向した12隻のLNGタンカーで,その行く先で問題が発生しているという。12隻のうち6隻は,関西電力と中部電力に向かうべき船だという。日本,台湾,各国の需要の落ち込みで,これらのタンカーは,欧州などへ向かうという,勿論,インドネシアとの協議が必要だが。

日本などとしては,契約料を減らしてくれなど,口が裂けても言えないのだろう。今のアルンとボンタンは,1980年ぐらいに始まったLNG生産だが,2010年,2011年に契約が切れて,契約料が大幅に減らされる。2012年に稼働を始める中部スラウエシのドンギンとセネロの基地は,三菱商事が51%の資本を有しているが,年200万トンか300万トンのLNG量だという。インドネシアは,要らないなら国内のLPG市場へ,と言っている。

本文

●フィリッピンのマニラ配電の資本増強競争白熱

First Pacific Company and the Lopez group expects to retain five seats in Manila Electric Company as against the four seats of the San Miguel Corporation and Ongpin group. During a press briefing, First Pacific managing director Manuel Pangilinan said the FPC group will nominate Pangilinan, Philippine Long Distance Telephone Company director Ray Espinosa and PLDT president Napoleon Nazareno to the Meralco board.

電力公社NPCが電源資産売却に追い込まれ,国家送電公社が中国電網に運用委託を行う現実の前に,マニラ配電MERALCO(注7)は,フィリッピンに残された唯一の電力大企業である。この会社の資本を巡って,激しい争いが展開されている。基本は,今まで牛耳ってきたロペス財閥に対抗して,サンミゲールが突如,株の買い占めに走ったわけで,その裏には,政府の意向もあるという。登場人物多彩で理解困難である。

ファースト・パシフィックFPC(注5)とロペスグループ(注6)は,マニラ配電MERALCO(注7)の役員席を,サンミゲールSMC(注8)とオングピングループ(注9)の4席に対抗して,5席を占めることを視野に,策動している。FPC(注5)のパンギリナン常務(10)は記者会見で,FPC(注5)側は,パンギリナン常務(10)自身と,PLDT(注11)のエスピノッサ(注12)とナザレノ社長(注13)を,MERALCO(注7)へ送り込む,と。

パンギリナン常務(10)によると,ロペス側は,MERALCO(注7)の資本のうち,ロペスグループが13.4%,PLDT)注11)がその子会社PTC(注14)を通じて20%,PLDT(注11)の年金機関MPIC(注15)が10.17%を取得する予定と言う。FPC(注5)自身も3%程度の資本を持つものと予想されているから,46.5%がロペスグループによって保有されると,専門家は見ている。

これに対してSMC(注8)側は,自身が27%獲得と信じられており,それに政府側のオングピングループ(注9)の11%と併せて,38%と見られている。昨日のフィリッピン証券市場(注18))の情報では,政府のGSIS(注19)が,役員として,SMC(注8)のアン社長(注20)の他,メンドーサ秘書役(注21),スリオ氏(注22)と,前NTCオルテス総裁(注23)を送り込むと見られている。

パンギリナン常務(10)は,今両サイドで調整中と言っており,PLDT(注11)のエスピノッサ(注12)は,その電話線がMERALCO(注7)の電柱に乗っているので,これを確保するため,と言っている。PLDT(注11)の年金機関MPIC(注15)は,その退職基金であるBTF(注24)を通じて10.17%を入手すべく交渉中という。

MPIC(注15)更に,BTF(注24)を通じて買い増しを考えており,大きな資本持ち分となる可能性がある。BTF(注24)は,103億ペソを注ぎ込んでおり,またMPIC(注15)の最終期限,2009年3月12日には,その投入額は,189億ペソに達する。

(注) (1) 090319A Philippines, Manila Bulletin,(2) First Pacific-Lopez alliance to control Meralco board,(3) http://www.mb.com.ph/node/199465,(4) By JAMES A. LOYOLA,March 18, 2009, 12:00am,(5) First Pacific Company FPC,(6) Lopez group,(7) Manila Electric Company Meralco, (8) San Miguel Corporation SMC,(9) Ongpin group,(10) First Pacific managing director Manuel Pangilinan,(11) Philippine Long Distance Telephone Company PLDT,(12) PLDT director Ray Espinosa,(13) PLDT president Napoleon Nazareno,(14) Pilipino Telephone Corporation,(15) Metro Pacific Investments Corporation MPIC,(16) Lopez-FPC alliance,(17) Global 5000 controlled by businessman Roberto Ongpin,(18) Philippine Stock Exchange,(19) Government Service Insurance System GSIS,(20) SMC president Ramon Ang,,(21) SMC corporate secretary Estelito Mendoza,(22) Mario Surio,(23) former National Transmission Corporation president Allan Ortiz,(24) Beneficial Trust Fund (BTF),(25) 

●インドネシアのLNGから日本などが他の市場を模索

Japan, South Korea, and Taiwan plan to divert 12 liquefied natural gas (LNG) cargoes from RI to other markets. The decision was taken because the economic downturn has reduced demands in these biggest Asian importing countries, head of LNG business at state oil and gas company PT Pertamina Hari Karulianto told reporters Friday (冒頭引用注27)

先日も書いたが,電力需要が上がってきたとき,最初に発電するものは何か,と聞いたら,流れ込み式水力の次はLNG火力だ,と言われて,何,と聞き返したことがあったが,インドネシアから買ってきたLNGが貯蔵タンクから溢れるとか,港に着いたタンカーの中のLNGが陸揚げできないときは,大変なんだそうだ。私は,主客転倒の話だとは思うが,今日の記事も,需要低下で落ちる関電のLNG需要をどうするか,と言う問題だ。

日本,韓国,台湾は,インドネシアから向かっている12のLNGタンカーを,他の市場に向かって船首を帰させるという。プルタミナ(注30)のカルリアント(注31)によると,これらの大需要国の需要が落ちているからと言う。それでも契約を変えたくない需要国は,再販売すべく,この船は,まだ結論は出ていないが,他のアジア諸国か欧州を目指していると。一つのLNGタンカーは,300万百万BtuMMBTU(注32)を載せている。

この別の市場にめけさせている最大の国は日本で,6隻のタンカーが再販売の対象になっているという。日本は,最大のLNG消費国で,2008年にはLNG輸入は,年6,930万トン,2007年は6,680万トンであった。インドネシアは,日本に対してLNGを輸出し始めたのは,1978年のアルン基地(注34)で,その後,1981年にボンタン基地(注35)から輸出が始まった。契約はそれぞれ,2010年,2011年までとなっている。

しかし,ボンタン基地(注35)については,10年間延長の契約が出来ていて,最初の5年間は300万トン,次の5年間は200万トン,となっている。インドネシア側は,余剰はLPGに変えて国内で使用できるとの考え。また,中部スラウエシのドンギ及びセノロLNG基地の開発については,2012年から年200万トンの輸出が可能としている。関電(注41)と中電(注42)は,ここからそれぞれ100万トンを購入する予定である。

この中部スラウエシのLNGプロジェクトは,MEDOCO(注45)が資本20%,プルタミナが29%,日本の三菱が51%を持っている。BPミガス(注44)は,LNG生産の増加を目標としており,2009年のガス生産は全国で,日75億立方フィートを目指している。2008年は,74.6億立方フィートであった。

(注) (25) 090318B Indonesia, The Jakarta Post,(26) RI’s LNG diverted to other markets,(27) http://www.thejakartapost.com/news/2009/03/14/ri’s-lng-diverted-other-markets.html,(28) The Jakarta Post , JAKARTA | Sat, 03/14/2009 1:04 PM | Business,(29) liquefied natural gas (LNG),(30) PT Pertamina,(31) PT Pertamina Hari Karulianto,(32) MMBTU (million British thermal units),(33) Facts Global Energy,(34) Arun in Aceh Province,(35) Bontang in East Kalimantan,(36) liquefied petroleum gas (LPG),(37) kerosene-to-LPG conversion program,(38) Pertamina’s deputy director for marketing and trading Hanung Budya,(39) Lukman Mahfoedz, president director of PT Medco E&P Indonesia,(40) Donggi and Senoro gas blocks in Central Sulawesi,,(41) Kansai Electric Power Co. Inc,(42) Chubu Electric Power Co. Inc,(43) Mitsubishi Corp,(44) BPMigas,(45) Medco E&P,(46) 

参考資料

フィリッピン

●090319A Philippines, Manila Bulletin
フィリッピンのマニラ配電の資本増強競争白熱
First Pacific-Lopez alliance to control Meralco board
http://www.mb.com.ph/node/199465

インドネシア

●090318B Indonesia, The Jakarta Post
インドネシアのLNGから日本などが他の市場を模索
RI’s LNG diverted to other markets
http://www.thejakartapost.com/news/2009/03/14/ri’s-lng-diverted-other-markets.html

インドネシアの第2次石炭火力


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http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm

今日は更新が遅れた。運転免許の更新で高齢者講習を受けてきたが,パソコンで鍛えた眼が心配で,午前中はコンピューターを見る作業を中止した。実技試験もあるが,私の前に座っていた人は,40年間も近鉄バスの運転をしていたとか,東京大阪間のトラックをを運転していたとか,まさに猛者の揃った講習会で,実技試験もあるが,誰も問題なく,試験官より上手なぐらいだ,車時代に若い時を過ごした人ばかり。

しかし,いろいろな試験をやっては,30代の人はこの辺ですが,あなたはこの辺にいるのですよ,とか変な数字を示して老いを自覚させようとする。大体,世の中,元気な老人を,あなたは老人ですよと自覚させようとする制度ばかり考えて,老いに追い込んで行くというのは,全くよくないですね。老人の事故が多い,とか統計を示しているが,老人が増えて母数が増えているのだから,当然事故の数も増えるはずだ。今日は頭に来た。

いよいよインドネシアの本格的な民間開発による電源開発がスタートを切る。第1次石炭火力,10,000MW計画,クラッシュプログラムは,すべて政府のプロジェクトで,資金の大半を中国の借款に頼っている。最近は,この中国の借款にいろいろ条件が付いてきて,インドネシア政府は慌てている。2010年に全部運転開始する計画だが,危なくなってきた。その後,中国との交渉はどうなったのだろうか。

間もなくインドネシアは選挙の季節に入り,5月には一般選挙で,来年には大統領選挙が行われる。ユドヨノ大統領は少数派だが,非常に評判がよくて再選の可能性が強いと言われている。問題はカラ副大統領で,ゴルカル党,スハルトの系統を引くこの政党は危ないと書いてあった。カラ副大統領が大統領選挙に出て,ユドヨノ大統領と別れると,電源開発戦線にも,異常が起こる可能性がある。

今日の,2,000MW,ジャワ島中部,北岸のプマラン石炭火力は,後は財務大臣の承認待ちで,この5月か6月には,PLNによる入札が行われるという。内外で30程度の企業が動いていると書いてあるが,環境規制はどうなっているか,それによって日本企業の動きが変わってくるだろう。インドネシアももう安ければよいと言うわけには行かないのではないか。20億ドル,というから,何らかのクリーン化対策を考えての上だろう。

本文

●フィリッピンのERCがビサヤスの送電線改良450百万ペソを承認

電力の需給が逼迫しているフィリッピンのビサヤス系統,この問題と,全国送電網の運用を中国電網に委託した状態に於ける増強問題,この二つの問題が絡んで来る今日の記事である。電力規制委員会ERC(注5)は,サマール島東部(注7)の供給信頼度改善を目的として,60KV送電線,ルソンの南端サン・タリタからサマール東南端キナプンダン間に,449.941百万ペソを投入することを承認した。

今夏送電公社TRANSCO(注8)によると,サマール島中部のライト変電所(注9)の過負荷を防ぎ,地域の需給を強化する,2010年の完成を目指している。2007年に申請したもので,新しいフィリッピン送電公社NGCP(注10)が運用委託を受ける前からのの計画であった。ERC(注5)は,この投資をすぐに回収するのでなく,2011年からスタートする第3次規制期間(注11)に行うとした。

これは,送電線資産と見るのではなく,接続資産と見なすということである。TRANSCO(注8)によると,ライト-タフト-ボロンガン-キナプンダンの69KV送電網’注12)をループ化して,島東部に電力を供給する,と言うことである。これは,ライト変電所(注9)の混雑を防ぐこと防ぎ,6.4MW相当の損失を軽減することに繋がる。kyパシタ・バンク(注14)の必要がなくなると言うことだ。

(注) (1) 090317A Philippines, Manila Bulletin,(2) ERC approves P450-million transmission line project for Visayas,(3) http://www.mb.com.ph/node/199204,(4) By MYRNA M. VELASCO,March 17, 2009, 12:00am,(5) Energy Regulatory Commission (ERC),(6) Sta. Rita-Quinapundan 69 kilovolt (kV) transmission project,(7) Eastern Samar,(8) National Transmission Corporation (TransCo),(9) Wright substation,(10) National Grid Corporation of the Philippines,(11) 3rd Regulatory Period,(12) Wright-Taft-Borongan-Quinapundan 69 kV line,(13) Sta. Rita substation,(14) capacitor bank,(41) photo source: http://farm1.static.flickr.com/35/71386065_1c7cdeee3b.jpg?v=0,

●インドネシア政府がプマラン石炭火力の入札開示へ

インドネシアの電源開発,第1次10,000MW開発計画,クラッシュプログラムが,中国との資金交渉で難航している最中,既にインドネシア政府は,第2次電源開発計画に着手しようとしている。第2次計画は,石炭火力主体でなく再生可能エネルギーを取り入れることと,民間資金が主力になる。その最初のスタートは,中部ジャワの大規模な石炭火力である。このプロジェクトは,政府のインフラ計画の中にも入っていると言うことだ。

インドネシア政府は,中部ジャワ,プマラン(注19)に建設予定の,2,000MWの石炭火力の入札準備に取りかかった。BAPPENAS(注21)のバスタリ局長(注20)によると,このプマラン(注19)石炭火力は,民間協力計画PPP(注22)の下の8つのインフラ計画,総額44億ドルの中の,20億ドルに相当する。入札には,30の内外の企業が参加する見込みで,2009年5月または6月に予定されている。

入札を執り行うのは,PLN(注23)の中部支社が扱う。最近政府は,3兆ドルのインフラ基金(注25)を,ADB(注26)と世界銀行(注27)の借り入れも入れて,準備したが,この基金を使ってプマラン(注19)石炭火力の10%資本参入を行う,所謂IPP(注30)プロジェクトである。第2次電源開発計画は,2012年に着工して,2014年に運転を開始する予定になっている。

なお,8つのインフラプロジェクトは,プマラン(注19)石炭火力の他は,殆ど高速道路網(注34~39)で,その他に,バンドン水浄化プロジェクト(注40),54.4百万ドル,が含まれている。バンドンの下流には,サグリン,チラタなどの水力ダムがあり,水質悪化に悩まされており,その支援と考えられるが,額が余りにも少ないのではないか。

(注) (15) 090317B Indonesia, The Jakarta Post,(16) Govt to soon open bid for Pemalang power plant,(17) http://www.thejakartapost.com/news/2009/03/17/govt-soon-open-bid-pemalang-power-plant.html,(18) Benget Besalicto Tnb. , THE JAKARTA POST , JAKARTA | Tue, 03/17/2009 10:52 AM | Business,(19) 2,000-megawatt (MW) coal-fired power plant in Pemalang, Central Java,(20) Bastari Panji Indra, director of public and private cooperation,(21) National Development Planning Agency (Bappenas),(22) public private partnership (PPP) scheme,(23) state-owned electricity company PT PLN,(24) Central Java,(25) Infrastructure Fund,(26) Asian Development Bank, (27) World Bank,(28) Bambang Praptono, PLN’s director of strategy and planning,(29) second 10,000 MW electricity program,(30) independent power producer (IPP),(31) Java-Bali system,(32) Bambang Susantono, deputy in charge of infrastructure at the Coordinating Ministry for the Economy,(33) Pemalang power plant (worth $2 billion),(34) 15.8-kilometer Medan Binjai toll road ($118.81 million),(35) 60-kilometer Medan-Kualanamu-Tebing Tinggi toll road ($477.37 million),(36) 58.5-kilometer Cileunyi-Sumedang-Dawuan toll road ($394.5 million),(37) Tanah Ampo Cruise Ship Port in Karangasem, Bali ($23.5 million),(38) 185-kilometer Palaci-Bangkuang toll road in East Kalimantan ($821,million),(39) 22-kilometer Manggarai Cengkareng airport toll road ($740 million),(40) Bandung Clean Water Project ($54.4 million),(41) 

参考資料

フィリッピン

●090317A Philippines, Manila Bulletin
フィリッピンのERCがビサヤスの送電線改良450百万ペソを承認
ERC approves P450-million transmission line project for Visayas
http://www.mb.com.ph/node/199204

インドネシア

●090317B Indonesia, The Jakarta Post
インドネシア政府がプマラン石炭火力の入札開示へ
Govt to soon open bid for Pemalang power plant
http://www.thejakartapost.com/news/2009/03/17/govt-soon-open-bid-pemalang-power-plant.html

2009年3月17日火曜日

インドの天然ガスにシーチェンジ


HPは下記ドメインです。写真地図など見て下さい。
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm

シーチェンジ(注14)と言うのは,シェイクスピアのテンペストの中で使われたのが最初という。大転換,を意味する言葉で,今でも各所で使われているらしいが,さすがに使ったのはインドであって,天然ガスの大転換を,大きく謳い挙げている。インド東部のKG流域で,リライアンスが2002年に発見した天然ガス田で,輸入に頼ろうとしたナフタやLNGに変わって,インドのエネルギーを大きく変える,と言っている。

2002年に発見されたこの天然ガス田は,約10兆立方フィートと言っているから,ミャンマーの60兆などを聞いていると,そんなに大きい気はしないが,インドには石炭しかないと思っていた人たちには朗報であり,これからの探査によって,何処まで拡大するか分からない。エクソンモビルなど,今インドネシアやフィリッピンを荒らしまくっているが,インドのこれから周辺海域での,探査入札を狙っている。

私のHPで,どの様なキーワードでアクセスが来たか,というのが分かるようになっているが,ここ2,3日,「資源大国実現プラン」,でアクセスしてくる人が結構多い。これはおそらく,経済産業省が,明日,2009年3月18日の経済財政諮問会議に提出する成長戦略原案の中に,「資源大国実現プラン」の項目が入っているからであろう。誰だって,一体これは何だ,と思うはずだ。

経済産業省のHPで,「資源大国実現プラン」,で検索しても何も出てこない。経済産業省は一体どの資源を言っているのであろうか。東シナ海で中国が天然ガスを掘り当てたが,周辺にはそれ相当の天然ガスがあることは分かっているだろうが,深海で探り当てるには,今のインドネシアや中東のLNGが,10倍ぐらいにならないと,手を付ける企業がないだろう,それが日本の考え方だ。

「資源大国実現プラン」と言うのは一体なんだろう,と考えて捜していたら,随分古い通産省の資料が出てきた。日本は元々,資源大国だった,と言うのである。使わなくなった携帯電話やパソコンのことかと思ったら,そうでもないらしい。経済産業省には,「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画(案)」と言うものがあって,次世代エネルギーについて論じられているそうだ。

経済産業省のプランには,必ず,次世代,と言う言葉がついてくるので,今はどうにもならないものを研究するときに,この言葉を冠するらしい。そう言う意味では,どうにもならない国内資源,と言うことになるらしいが,企業は手を出しかねるから,今から国のお金である程度調査をやっておこう,と言うことか。私は寧ろ,列島を囲む大陸棚を全部鉱区に分けて入札し,企業が入ってこないところを国がやる,ことがよいと思うが。

インドネシアは勿論のこと,タイ,インド,カンボジア,ベトナム,フィリッピン,すべて,出るかどうか分からないが,とにかく周辺海域をすべて鉱区に分けて探査権の出方を窺っている。日本にはそう言うものはないのだろうか。もう,何処でも天然ガスはある,と言うことに疑いを持つ人はいないと思うが,ただ,掘りやすいか掘りにくいか,の違いだけだから,鉱区に分けて,一度,多国籍も含めた企業の出方を見てみたらどうか。

経済産業省の「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画(案)」に書かれているのは,「燃える氷」,メタンハイドレートだと言う。経済産業省の計画では,2018年に商業化,だと言うが,遠い話ですね,まさしく次世代だ。2009年2月14日のJCAST(注43)によると,日本は,約447平方kmと世界第6位の排他的経済水域(EEZ)と大陸棚の広さを誇っている。「資源大国実現プラン」の根拠は,メタンハイドレートですかね。シーチェンジですね。

(注) (43) http://www.j-cast.com/2009/02/14035836.html,(44)

本文

●フィリッピンのミンダナオ北東部で10億ペソの水力開発

フィリッピンの再生可能エネルギー法が成立してから,各地で小水力の提案が続く。まるでフィリッピンの島々を渡り歩いているような気分にさせられる。今日のミンダナオの北東部の湖,マイニット湖(注7)は,この湖を取り巻く村々が,一つづつ,電化の対象になっており,写真を見ても分かるとおり,景色の素晴らしいところだ。誰か資金を出してくれる人があれば,のんびり発電所を造ってくるのも人生かな。

フィリッピンの北東部ミンダナオ,カラガ地域(注6)とも言うらしいが,その中の一つの県,アスガン・デル・ノルテ県(注5)を対象にしている。ここには写真にあるような綺麗な湖,マイニット湖(注7)があって,それを取り巻くように,ジャボンガ(注8),サンチャゴ(注9),キッチャラオ(注10)の町が電化の対象らしい。出力規模も企業の名前も書いてないが,10億ペソと言うから2,000KWぐらいの規模を言っているのか。

(注) (1) 090316A Philippines, Manila Bulletin,(2) P 1 billion hydropower plant set to rise in Agusan del Norte,(3) http://www.mb.com.ph/node/199087,(4) By MIKE U. CRISMUNDO,March 16, 2009, 12:00am,Butuan City ?,(5) Agusan del Norte,(6) Northeastern Mindanao (Caraga region),(7) Laka Mainit,(8) Jabonga,(9) Santiago,(10) Kitcharao,(11) Governor Erlpe Amante,(12) palay,(13) photo source: http://www.nasipitsite.com/AGUSAN%20DEL%20NORTE/%20lake%20mainit%20031.jpg,(14) SEA CHANGE,(15) 

●インドの天然ガス生産が2倍となって新しい時代へ

インドのKG流域ガスについては,昨日,2009年3月15日付本HP(注29)で扱ったばかりで,リライアンス(注18)は,KG流域ガス田の生産を,2009年3月31日から始める,と発表している。KGーD6ガス田からである。最初の生産量は,日5~15百万立方mで,その後順次上げて行く,と報じたばかりである。今日の記事は,これをインドのエネルギーの革命的事件として,大きく扱っている。

今回のリライアンス(注18)の天然ガス販売開始で,インドのガス供給は,従来の2倍になると言う。リライアンス(注18)は88億ドルをかけたらしいが,ガス不足の発電への寄与,少ない温暖化ガス,高価な輸入燃料の節約,という3点から見て画期的という。このベンガル湾のD6ガス田(注19)を,世紀の大転換,シーチェンジ(注30)と呼ぶ。(この言葉はシェイクスピアのテンペストで使われた言葉らしい。)。

今回のガスの価格は,従来の政府価格の2倍に相当し,BG(注20)のガスと同じぐらいである。ここで問題となるのは,燃料もさることながら,電力などの市場メカニズムの不足である,それが投資意欲と関係してくる。APECのトロナー氏(注21)は,政府は暗黙のうちに,市場価格へシフトして行く現状を認めているようだ,と見ている。電力への影響は4,000MW,全体の3%程度で,その他,LPGや肥料プラントへの影響も大きい。

自動車のCNGへの転換にも一役買うことになる。2010年までには,日80百万立方mに持って行く。今のところリライアンスは,価格について政府とにらみ合っているが,百万Btu当たり,4.2ドルと見られている。政府はリライアンスの制限を課しており,日40百万立方mを限度とし,この先5年だけの暫定価格としている。専門家は,もっと市場原理を働かすよう提案している。トロナー氏(注21)は大きな変化が起こる,と予測している。

政府は,この20年間で随分自由化してきたが,少なくとも,燃料と電力,肥料については,その価格面で自由化できているとは言い難い。政府も,電力の価格が自由化していない限り,この分野での自由化は困難だ,と見ている。政府系のONGC(注23)は,井戸も古くなってきているが,最近ではリライアンスやグジャラート公社GSPC(注30)などの,沖合ガス田の探査が,優位に立ってきている。

2002年にリライアンスが発見した天然ガスのポテンシャルは,10~11兆立方フィートであるが,多国籍企業,エクソンモバイル(注23),シェブロン(注24),BP(注25)などが,探査権の獲得に血眼になっている。ONGCが陸上で長期間にわたって投資を続けている一方,リライアンスやカイルン(注27)が,ラジャスタン砂漠(注28)で,この30年間,大規模な発見を続けている。

(注) (14) 090316B India, Economic Times,(15) India gas field to double supply, open new energy era,(16) http://economictimes.indiatimes.com/News/News-By-Industry/Energy/India-gas-field-to-double-supply-open-new-energy-era/articleshow/4270647.cms,(17) 16 Mar 2009, 1206 hrs IST, REUTERS,NEW DELHI:,(18) Reliance Industry,(19) D-6 field in the Bay of Bengal,(20) BG-operated Panna/Mukta and Tapti fields,(21) Al Troner, head of Asia Pacific Energy Consulting.,(22) million British thermal units,(23) state exploration firm Oil and Natural Gas Corp,ONGC,(23) Exxon Mobil,(24) Chevron,(25) BP,(26) once-overlooked nation,(27) Cairn Energy,(28) Rajasthan desert,(29) http://my.reset.jp/~adachihayao/index090315D.htm,(30) sea change,(31) Gujarat State Petroleum Corp,(32) 

●ブータンのタラ水力発電所を国内企業が傘下に

ブータンも変わってきたことに驚く。直接大臣に,発電所民営化の将来を訪ねたことがあったが,とても考えられない,と答えていた。ブータンの自然や資源を資本主義の蹂躙には任せられない,と言う意味だが,今日の記事では,龍緑電力DGPC(注36)を,これから大きく育てよう,と言うわけだ。読み方によっては,インドへの売電の成果が出てきて,内部留保が出てきたと言うことか。

2009年4月から,地元電力企業,龍緑電力DGPC(注36)が,大規模な,タラ水力発電公社THPA(注37)を傘下に置き,DGPC(注36)の総設備出力が,1,480MWに達するという。この結果,龍緑電力DGPC(注36)の資産額は,150億Nuから,一気に,650億Nuになる。(ブータン貨幣の換算表は一般の貨幣換算にはない。)。この決定は,2008年の閣議で決められていた。

DGPC(注36)は,その他に,バソチュ(注38),チュカ(注39),クリチュ(注40)各発電所も支配下に置いている。龍緑電力DGPC(注36)のリンジン総裁(注41)は,この目的は,今後とも新規の水力資源の開発を行うためだ,と言っている。今回の合併で,現在の年間収入40億Nuは,一挙に,110億Nuに跳ね上がるという。タラのカザンチ社長(注42)は,2009年6月までに解決する,と言っている。

(注) (32) 090316C Bhutan, kuenselonline,(33) Druk Green Power to take over Tala,(34) http://www.kuenselonline.com/modules.php?name=News&file=article&sid=12116,(35) 16 March, 2009 - ,By Passang Norbu passa@kuensel.com.bt,(36) Druk Green Power Corporation (DGPC),(37) Tala hydroelectric project authority (THPA),(38) Basochhu,(39) Chukha, (40) Kurichhu hydropower corporation,(41) DGPC managing director, Chhewang Rinzin,(42) THPA managing director R N Khazanchi,(43) 

参考資料

フィリッピン

●090316A Philippines, Manila Bulletin
フィリッピンのミンダナオ北東部で10億ペソの水力開発
P 1 billion hydropower plant set to rise in Agusan del Norte
http://www.mb.com.ph/node/199087

インド

●090316B India, Economic Times
インドの天然ガス生産が2倍となって新しい時代へ
India gas field to double supply, open new energy era
http://economictimes.indiatimes.com/News/News-By-Industry/Energy/India-gas-field-to-double-supply-open-new-energy-era/articleshow/4270647.cms

ブータン

●090316C Bhutan, kuenselonline
ブータンのタラ水力発電所を国内企業が傘下に
Druk Green Power to take over Tala
http://www.kuenselonline.com/modules.php?name=News&file=article&sid=12116


2009年3月16日月曜日

米国エネルギー長官は石炭を捨てない


HPは下記ドメインです。写真地図など見て下さい。
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm

知的送電網について,朝日新聞が1ページを割いて漫画を入れながらわかりやすく解説している。給電司令所から一斉に操作して,各ビルや家庭の空調機の温度を2度上げるとか,東京電力は余り関心がないが,関西電力は取り組んで行く方向だとか,それでも,スマートグリッドの朝日新聞の訳語は,「賢明な送電線」,全然スマートじゃないですね,経済産業省の,「次世代送電網」,は,今はやらない,と言う意味かな。

今日の記事の中に,パキスタンのADB,44億ドル支援が出ているが,それを書くときは,パキスタンの政治情勢が大変,と書いたが,先ほどの速報を見ると,ザルダリ大統領が,シマドリ最高裁長官の復職をを認めて,デリーに集まりかけていた反政府派のデモ隊は,解散の方向に向かったという。これから,米国のアフガニスタン戦略を支援するため,日本もパキスタン支援に向かう,パキスタンにとっては,大切なときだ。

6,000円台を目前にした日経平均が,どんどん上がってきている。今日のビジネスアイ(注62)は,「素材復調,上げ潮本番か」,と書いている。素材とは科学や非鉄金属らしいが,中国の需要回復をめざとく見つけた市場が反応しているようだ。それに,車の在庫が減ってきているという,減産が早くも表に現れてきたとか。電機,車の減産幅の縮小など,の手を打ってきていることが微妙に表現されている,OPECも減産見送り。

さて,なぜ米国のチュウ・エネルギー長官が石炭を捨てないと言ったのか。彼の言葉を借りれば,米国,中国,インドは世界の中の石炭包蔵国だ,中国もインドも,石炭に背を向ける気配はない,だったら米国もそうだ,と言っている。それはその様な言い方があるのかな,ブッシュ政権と代わらない。チュウ・エネルギー長官は,エネルギー政策について,あらゆる手段を捨てない,と言っている。

多様な面から指摘した項目は,いわばエネルギー全般だ。挙げてみると,改良型企業平均燃費節約CAFE(注53,61),省エネ,電気自動車(注54),海外資源からの脱却,バイオ燃料,原子力,沖合ボーリング,天然ガス拡大,石炭クリーン化技術,水力,風力,燃料回収技術(注56),太陽熱及び太陽電池,ビル効率化,である。殆どを網羅しているが,チュウ・エネルギー長官(注52)のコメントを拾ってみる。

石炭について,インドも中国も背を向けていない,米国も石炭に背を向けることはない,と,まず石炭を続けることを確言している。太陽光利用について,太陽熱が効率的だが,太陽電池(注57)は,そのうち安くなるだろうと。天然ガス,水力,原子力はクリーンなので勿論続けると。燃料回収技術(注56)については,可能性があると,これはアルゴア氏(注58)とは意見が異なる,と言っている。

(注) (62) http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200903160024a.nwc,(63)

本文

●タイでダム反対国際デーで多くのデモンストレーション

Villagers affected by dam construction called on the government to stop building more dams on domestic and international rivers on the International Day of Action Against Dams yesterday.The largest of the protests was in Ubon Ratchathani where over 500 villagers rallied at Pak Moon dam to voice their grievances concerning the construction of the 7 billion baht project.(冒頭原文引用)

タイは政治が揺れる中,一時の平穏を保っている,と思っていたところが,今度はその間隙を縫って,昔,大いに荒れたダム反対の勢いが増してきたようだ。ときあたかも,「国際ダム反対デー」(注5)に当たって,各地で住民が反対でもを行っている。その範囲は,昔のパクムーンダム(注7)を間や思い出し,それに国内で進む灌漑ダムから,果てはメコン河(注9)やサルウイーン河(注10)の広い範囲に及んだ反対である。

もっとも大きなデモは,住民500人が参加した西のウドン・ラチャタニ(注6)で,700億バーツをかけたパクムーンダム(注7)に対する不満である。EGAT(注8)は,以前の訴訟の結果で,全期間を通じて,ゲート全開を強いられている。彼等は同時に,メコン河(注8)とサルウイーン河(注9)で進むダム計画を放棄するよう求めていると同時,補償も要求している,どちらかにして欲しいところだ。

パクムーンダム(注7)ダムに対する政府の結論は,毎年,5月~8月の期間にゲートを全開する案だが,住民にしてみると,EGAT(注8)がその約束を確実には守っていない,と言っている。反対の指導者ソンパン氏(注12)は,今年も圧力をかけ続ける,と言っている。活動家のハルナロン氏(注13)は,政府はもう国内でダムを造ることは出来ないだろう,と言っている。

ハルナロン氏(注13)は,国家経済社会顧問会議(注14)の一員であるが,政府のダム建設を監視する必要がある,と言っているが,政府は灌漑を主目的とする二つのダム,タイ中部のナコンラッチャシマのフアイ・サモン・ダム(注15)と南部,チュンポン県のタ・サエ・ダム(注16)を進めている。王室灌漑局(注17)が進めているこの二つのダムは,環境上重要な地域に計画されている。

フアイ・サモン・ダム(注15)は,世界遺産のカオ・ヤイ国立公園(注18)の中に位置するし,タ・サエ・ダム(注16)は,クロム・ルアン・チュンポンン野生保護区(注19)に影響を与える,とハルナロン氏(注13)は,主張している。このタ・サエ・ダム(注16)は,プラチュアキリカン県のバン・サパン地区の産業用水,年間3,000万トンの水を供給する目的である。

(注) (1) 090315A Thailand, Bangkok Post,(2) Dam projects draw flak,(3) http://www.bangkokpost.com/news/local/13377/dam-projects-draw-flak,(4) By: APINYA WIPATAYOTIN Published: 15/03/2009 at 12:00 AM,Newspaper section: News,(5) International Day of Action Against Dams,(6) Ubon Ratchathani,(7) Pak Moon dam,(8) Electricity Generating Authority of Thailand (Egat),(9) Mekong River,(10) Salween River,(11) Moon river, (12) Sompan Kuendee, a leading Pak Moon protester,(13) Activist Harnarong Yaowaloes,(14) Mr Harnarong, also a member of the National Economic and Social Advisory Board,(15) Huay Samong dam in Nakhon Ratchasima,(16) Tha Sae dam in Chumphon province,(17) Irrigation Department,(18) World Heritage site of Khao Yai National Park,(19) Krom Luang Chumphon wildlife sanctuary,(20) Prachuap Khiri Khan's Bang Saphan district,(21) 


●パキスタンにADBが44億ドル支援でエネルギーにも

The Asian Development Bank (ADB) and the Government of Pakistan have designed a major new strategic partnership aimed at promoting inclusive and sustainable economic growth through structural reforms and investment in the energy and infrastructure sectors.(原文引用)

今日の新聞を見ると,パキスタンの政治は大変である。シャリフ元首相が政権から離れて以来,ザルダリ大統領は追い込まれている。それは,ムシャラフ大統領の時代の強権政治を,国民に思い起こさせるに十分な状況だ。また,アフガンへの米国の戦略で,重要性が一段と増し,日本もパキスタン支援の情勢にある。政治の混乱を,ダム開発などで何とか国民の目を政権に向かせようと言う,大統領の努力が分かる。

ADB(注24)の理事会は,2009年3月5日,44億ドルに上る,パキスタンに対する,国家パートナーシップ戦略CPS(注25),2009~2013年を承認した。これは,パキスタン政府の目標である,構造改革,投資促進,制度効率改善,を支援する。ルネADB現地主任(注26)は,貧困削減と経済成長の阻害要因との戦い,を取り上げている。また,エネルギー,運輸交通,都市インフラの3点を具体的に上げている。

うち続く停電が,パキスタンの経済成長を妨げている点を重視して,エネルギー供給を重視しているが,送電変電網の拡張,配電企業の強化,再生可能エネルギーを利用した電源の整備,が上げられている。具体的な目標は,停電を2012年までに更に30%軽減し,系統へ繋がった需要家を,2008年の60%から,2013年には70%に上げることである。

交通運輸の面では,国家通商回廊(注27)として,ペシャワール(注28)とカラチ(注29)の間の道路改良が主眼で,2006年に72時間かかっていた交通を,2017年までに36時間に短縮する計画がある。都市問題では,飲料水供給と下水の整備である。パキスタンは,1966年にADBに加盟してから,198億ドルの借款を受け,2008年時点で140億ドルを支出している。2008年には18.7億ドルの支出があり,新規借款が12億ドル。

(注) (20) 090315B Pakistan, regionaltimes,(21) ADB to lend Pakistan US$4.4 bn for sustainable economic growth,(22) http://regionaltimes.com/14mar2009/moneynews/adb.htm,(23) ISLAMABAD:,(24) Asian Development Bank (ADB),(25) Country Partnership Strategy (CPS) 2009-2013,(26) Rune Stroem, Country Director of ADB’s Pakistan Resident Mission,(27) National Trade Corridor,(28) Peshawar,(29) Karachi,(30) http://www.pakwatan.com/business_detail.php?id=5297,(31)

●インドのリライアンスがKG流域ガスの生産を開始へ

Reliance Industries is likely to begin gas production from its Krishna Godavari basin gas field around March 31, a source said. "The production from KG-D6 fields will begin on March 31, give or take a day or two," the source said. Initial output is likely to be between 5 and 15 million standard cubic meters per day and will rise at the rate of 10 mmscmd per month to reach the critical 40 mmscmd in July. (冒頭原文引用)

インドのKG流域ガスについては,2009年2月4日付本HP(注46)で,リライアンスRILは,クリシュナゴドバリKG流域のガス販売について,12以上の発電所や肥料工場との交渉を始めている。RILは来週にも,政府と相談の上,購買者のリストを完成させる予定である。パンディ石油省次官は,「我々はRILとガス購買者のショートリスト作りで会議を呼びかけている。発電と肥料の企業が,その対象となるであろう。」,と語っている。

今日の記事。リライアンス(注35)は,KG流域ガス田(注36)の生産を,2009年3月31日から始める,と発表している。KGーD6ガス田からである。最初の生産量は,日5~15百万立方mで,その後順次上げて行き,7月には,40mmscmdに達する,としている。現在の井戸の数は8個だが,18個に増やして行く予定である。1,395kmのカキナダ(注39)からグジャラートのバルチ(注40)のパイプラインは,殆ど完成している。

ガス販売は,2009年4月半ばから始まるが,最初は肥料工場で,窮地にあるダボール発電所(注45)は,現在,ラタナギリ(注44)の手に移っているが,肥料工場と同じ価格で,このガスを入する予定である。

(注) (31) 090315D India, Economic Times,(32) RIL may start gas production from KG basin by March end,(33) http://economictimes.indiatimes.com/News/News-By-Industry/Energy/RIL-may-start-gas-production-from-KG-basin-by-March-end/articleshow/4260188.cms,(34) 13 Mar 2009, 1514 hrs IST, PTI,MUMBAI:,(35) Reliance Industries,(36) Krishna Godavari basin gas field,(37) KG-D6 fields,(38) million standard cubic meters per day,(38) mmscmd per month,(39) Kakinada,(40) Baruch in Gujarat,(41) GAIL India,(42) Andhra Pradesh,(43) GSPL network.,(44) Ratnagiri Gas and Power Pvt Ltd,(45) Dabhol power plant in Maharashtra,(46) http://my.reset.jp/~adachihayao/index090204B.htm,(47) 

●チュー・エネルギー長官がエネルギー多様化への提案

While testifying before the Senate Committee on the Budget, Energy Secretary Steven Chu said that the solution to America’s energy woes must combine many different approaches, based both on renewable and fossil fuels. Chu said that all of the following should be part of the solution of ensuring sustainable energy independence: (冒頭原文引用)

オバマ政権の,クリーンニューディル政策では,米国を統治できないだろう,と見られている。今後,オバマ政権がどの様な形でこの政策を修正して行くか,即ち,石炭企業やガス企業,原子力企業との妥協がどのようになされていくか,関心を持ってみている。ただ,オバマ大統領は,再生可能エネルギーを叫ぶときに,必ずエネルギー自給を言っているので,ここが逃げ道になるのか。

今日の記事。チュウ・エネルギー長官(注52)が,上院の予算委員会(注51)に備えて,エネルギー政策に関する考え方を述べている。エネルギー長官としての総括的な発言は,これが最初ではないか。チュウ・エネルギー長官(注52)はまず,米国のエネルギー政策は,一点主義では駄目だ,と断っている。当然のことだけれども,再生可能エネルギー一本,に近い表現をしていたオバマ政権として,一つの抜け道を造った。

多様な面から指摘した項目は,いわばエネルギー全般だ。挙げてみると,改良型企業平均燃費節約CAFE(注53,61),省エネ,電気自動車(注54),海外資源からの脱却,バイオ燃料,原子力,沖合ボーリング,天然ガス拡大,石炭クリーン化技術,水力,風力,燃料回収技術(注56),太陽熱及び太陽電池,ビル効率化,である。殆どを網羅しているが,チュウ・エネルギー長官(注52)のコメントを拾ってみる。

石炭について,インドも中国も背を向けていない,米国も石炭に背を向けることはない,と,まず石炭を続けることを確言している。太陽光利用について,太陽熱が効率的だが,太陽電池(注57)は,そのうち安くなるだろうと。天然ガス,水力,原子力はクリーンなので勿論続けると。燃料回収技術(注56)については,可能性があると,これはアルゴア氏(注58)とは意見が異なる,と言っている。

(注) (47) 090315E USA, talkradionews,(48) Energy secretary calls for diversity in energy approach,(49) http://talkradionews.com/2009/03/energy-secretary-calls-for-diversity-in-energy-approach/,(50) University of New Mexico/Talk Radio News Service,By Michael Ruhl, University of New Mexico ? Talk Radio News Service,(51) Senate Committee on the Budget,(52) Energy Secretary Steven Chu,(53) Improved CAFE Standards,(54) Plug-In Hybrid Cars,(55) Clean coal technology,(56) Post-Combustion technologies,(57) photovoltaic,(58) Al Gore,(59) President Obama’s FY2010 Budget,(60) Department of Energy,(61) Corporate Average Fuel Economy (CAFE) program,(62) 

参考資料

タイ

●090315A Thailand, Bangkok Post
タイでダム反対国際デーで多くのデモンストレーション
Dam projects draw flak
http://www.bangkokpost.com/news/local/13377/dam-projects-draw-flak

パキスタン

090315B Pakistan, regionaltimes
パキスタンにADBが44億ドル支援でエネルギーにも
ADB to lend Pakistan US$4.4 bn for sustainable economic growth
http://regionaltimes.com/14mar2009/moneynews/adb.htm

インド

●090315D India, Economic Times
インドのリライアンスがKG流域ガスの生産を開始へ
RIL may start gas production from KG basin by March end
http://economictimes.indiatimes.com/News/News-By-Industry/Energy/RIL-may-start-gas-production-from-KG-basin-by-March-end/articleshow/4260188.cms

米国

●090315E USA, talkradionews
チュー・エネルギー長官がエネルギー多様化への提案
Energy secretary calls for diversity in energy approach
http://talkradionews.com/2009/03/energy-secretary-calls-for-diversity-in-energy-approach/