HPは下記ドメインです。写真地図など見て下さい。
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
ジャカルタ郊外のダム決壊事故,決壊したダムの写真は最初ウエッブで見られたのに,捜しても見えなくなった。高さ10mのアースダムで,まずダムの頂上を水が越流した,と見えたがどうであろうか。当然洪水吐は持っているはずだが,その洪水吐の容量を超すような集中豪雨があったと考えられる。僅か高さ10mのダムだが,ジャカルタ近郊であるだけに,結果は悲惨だ。小さいダムであればあるほど,おろそかになるのは残念。
「地球温暖化問題に関する懇談会」の中期目標検討委員会(座長・福井俊彦前日銀総裁)が,2020年の二酸化炭素(CO2)など温室効果ガス排出削減目標案と排出削減活動が経済に及ぼす影響を試算,提出した。ある目標値を掲げても,それによって経済成長を抑制する,特に,再生可能エネルギーなどの影響で電気料金が高くなり,産業活動を抑制する,米国と正反対の筋書きになる。
オバマ大統領が,なぜ,グリーンニューディールで経済を救う,と言っているのかと言えば,それは明らかに150兆円相当の政府予算を使うからで,地球温暖化対策そのものが,経済を救うわけではない。経済活動だけでは,地球温暖化対策は経済の足を引っ張る,財政出動がその鍵だとすれば,何も温暖化対策でなくてはならないことはないので,道路でもダムでもよいことになる。
そう言う意味で,懇談会の見方は正しいわけで,逆に,京都議定書を批准しながら,国内の議論ではそこで意見が一致しない,というのは,考えてみればブッシュ政権に近い状態で,もし今回の金融危機が起こらなければ,オバマ現政権は,150兆円を再生可能エネルギーに財政出動させる理由があったのだろうか,と疑問になってくる。オバマ氏は,経済危機の前からグリーンを言っていたから,話がおかしい。
オバマ大統領のグリーンな話から,いろいろそれを結びつける話が出てくるが,チュウ・エネルギー長官の,再生可能エネルギーには揚水が必要,と言う話も少し短絡的だが,知的送電網,スマートグリッドの話も,少し悪のりしてきた感じだ。でもそこに企業がある限り,揚水発電には水力発電協会が飛びつくし,知的送電網の話には,IT業界が飛びついてくる。
今日の,知的送電網,スマートグリッドの安全対策の話は,ちょっと難しい内容だな,と嫌がって躊躇っていたら,早速,インターネットウオッチが日本語で要約していたので,改めて筋書きを追うことは止めたが,セキュリティ,それは情報安全の問題なのである。スマートメーターがその出発点になるのだが,双方向の情報通信が送電網に係わることで,情報安全の企業が,俄然張り切って,米国議会の公聴会に臨んだわけである。
本文
●知的送電網は安全の基礎の上に築かれる必要がある
The United States is at a critical juncture in the development and deployment of technology that will enable a new generation of smart power grids. The economic stimulus package includes $4.5 billion for Smart Grid projects and industry is developing and deploying some of the technology. However, security standards for the new technology are only beginning to emerge from government and industry programs.
知的送電網(注5),スマートグリッド,については,これまでも度々取り上げてきたが,米国の資料の中でも,特にその情報上の安全について書かれたものはなかった。今日の記事はやや長文だが,米国が知的送電網をどの様に考えているか,その一端が推し量られる。記事は言う。知的送電網を実際に投入する前に,知的送電網に関する安全基準が強調されなければならない。
この本文については,既にインターネットウオッチ(注24)が,日本文で要約しているので,詳細についてはそちらを見て欲しい。ポイントは,知的送電網(注5)は,次世代電力インフラの目玉となっているが,IOアクティブ(注6)のパネル社長(注7)3月月16日の国家安全保障委員会への説明で,「知的送電網(注5)は,いくつもの世代に影響を与えるが,我々はその前に,この技術特有の脆弱性を修正しなければならない。」,と警告した。
知的送電網(注5)の要約は次の通り。「各家庭に設置された太陽光発電システムや地域の風力発電システム,電気自動車に蓄電された電力などを地域の需要に応じて融通し合うシステムを目指している。そのために双方向通信や分散コンピューティング技術を使った高度な電気メーター端末を各家庭に設置し,地域全体の大規模分散型インフラを構築することにしている。」,と。
(注)A (1) 090328A USA,gcn.com,(2) Smart Grid will only be as good as security behind it,(3) http://gcn.com/Articles/2009/03/24/Smart-grid-security.aspx?Page=3,(4) By William Jackson,Mar 24, 2009,(5) Smart Grid,(6) IOActive,(7) IOActive President and Chief Executive Officer Joshua Pennell,(8) Energy Department,(9) “National Vision for Electricity’s Next 100 Years.”,(10) Katherine Hamilton, president of the GridWise Alliance,(11) Senate Energy and Natural Resources Committee,(12) hybrid vehicles,(13) renewable energy sources,(14) GridWise,(15) economic stimulus program,(16) Utility Communications Architecture International Users Group,(17) AMI Security Task Force,(18) AMI System Security Requirements,(19) National Institute of Standards and Technology (NIST),(20) Energy Independence and Security Act of 2007,(21) Security Development Lifecycle (SDL),(22) Microsoft Corp,(23) Trustworthy Computing Initiative,(24) http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/03/24/22875.html,(25) figure source: http://earth2tech.files.wordpress.com/2008/04/silver-demo.jpg,(26)
●インドのNTPCは電源の地元配分を更に増大させる計画
The country’s largest power producer, NTPC, may soon get to allocate an additional 15% output from its new projects to the home state where the plant is located, a power ministry official said on condition of anonymity. The company can, at present, allocate a maximum of 30% to home states. (冒頭原文引用)
インドの各州の電力に関する権限は大きい。今日の記事は,大規模石炭火力電源開発を続けるインドにあって,中央機関と州が,どの様に交渉しているのか,よく分かって興味深い。昨夜の日経テレビは,韓国の経済の実情を解説していたが,インドの景気回復が思ったより早く,オリッサなどのインド東部に投資している韓国企業が,潤い始めているという解説をしていた。
インドの電力省筋によると,インド最大の国家火力発電公社NTPC(注5)は,発電所の立地する州に対して配分する電力を,従来の最大30%~,15%上乗せすることにした模様だ。この動きは,民間企業の参入によって,州の電力公社が発電プロジェクトを失うケースが増えており,これに対応して,民間企業が地元配分を増やしていることによる影響を考慮したものだ。
NTPC(注5)は,地元配分を30%を上限としていたが,最近のリライアンス電力によるササン火力(注7)とタタ電力によりムンドラ火力(注8)が,地元配分をそれぞれ,37.5%及び47.5%としている。新しいNTPC(注5)の提案は,45%を上限とするとしている。NTPCの場合,ガジ公式(注9)と言われるものがあって,配分を決定してきた。
ガジ公式(注9)によると,地元州は10%の優先配分があり,15%は中央政府の管理下,また残りの75%は,その需要と最初の5年間の中央政府の配分計画に基づいて,地元も含む電気を必要としている州に配分することになっている。電力省筋によると,NTPC(注5)はこの配分の変更を申し出ており,地元州への配分を拡大することは,緊急の課題だ,と言っている。
NTPC(注5)は現在,30,000MW近い発電設備を持っており,2012年3月31日に終わる第11次五カ年計画の中では,22,000MWを開発する予定である。今回の変更は,新しいプロジェクトの土地取得,水利権,その他の権益交渉で,有利となる。NTPCのシャーマン総裁(注12)によると,石炭鉱山を有する州は高い配分を求めており,今回の改正で,土地などを含めた立地の準備の遅れなどへの対策になる,としている。
NTPC(注5)は,地元州配分を合計で,ピーク時に供給力が不足する場合は,40~45%を考えており,即ち,現在より15%の地元への配分の増を,新しいプロジェクトに対して,考慮しているわけである。
(注)B: (1) 090328B India, economictimes.indiatimes,(2) NTPC may get to allot more power to host states,(3) http://economictimes.indiatimes.com/News/News-By-Industry/Energy/NTPC-may-get-to-allot-more-power-to-host-states/articleshow/4311926.cms,(4) 25 Mar 2009, 0250 hrs IST, Subhash Narayan, ET Bureau,NEW DELHI:,(5) NTPC,(6) ultra mega power projects,(7) Reliance Power (Sasan),(8) Tata Power (Mundra),(9) Gadgil formula,(10) PSU,(11) Eleventh Plan ending March 31, 2012,(12) NTPC chairman & managing director RS Sharma,(13)
●フィリッピンのPSALMはカラカ火力など売却に自信
The Power Sector Assets and Liabilities Management Corporation (PSALM) expects the Calaca and Limay power plants to be sold within the year. PSALM president Jose Ibazeta said yesterday that they would start selling Calaca before the first half of the year through a negotiated bidding, adding that they have received at least seven letters of interest for Calaca. (冒頭原文引用)
フィリッピンの発電資産売却で,カラカ石炭火力の落札企業がその権利を放棄,前渡金も没収された報道は,2009年1月29日付本HP(注13)に報告されている。世界の金融危機の中で,フィリッピンの電力改革に思わず障害が出たと言うことで,その先行きが心配されているところだが,2009年3月6日付本HP(注12)では,レイエス長官が,強気の見通しを述べている。パマイ発電所の入札は3月20日付本HP(注11)参照。
今日は,PSALM(注5)のイバゼタ総裁(注6)が,今後の見通しを述べている。フィリッピンの電力改革の仕上げはオープンアクセスだが,発電資産の売却が進まなければ,そこにたどり着けない。カラカ石炭火力(注7)について,年内に売却したい,としている。イバゼタ総裁(注6)は,年前半に入札を行うが,指名競争入札(注14)で,少なくとも7グループから,関心表明があった,としている。
カラカ石炭火力(注7)は,スエズ・エナージ(注9)が落札したが,その後,手続きを破棄している。理由は明らかにされていない。入札候補企業の中には,フィリッピン初めての企業もあり,関心は高いと。海外から,欧州,米国,タイ,中国などのグループであると。発電資産売却は現在57%が完了したところで,カラカ石炭火力(注7)とリマイ発電所(注8)が終われば,85~88%に達する。
電気事業法EPIRA(注10)に定められているように,資産売却が70%を越えた段階で,オープンアクセス,即ち需要家が自由に電力供給先を選べる状態になり,フィリッピンの電力改革の一つのマイルストーンと考えられている。
(注)C: (1) 090328C Philippines, Manila Bulletin,(2) PSALM hopeful on sale of Calaca, Limay power plants within the year,(3) http://www.mb.com.ph/articles/200229/psalm-hopeful-sale-calaca-limay-power-plants-within-year,(4) By JAMES A. LOYOLA,March 25, 2009, 6:34pm,IBAZETA,(5) Power Sector Assets and Liabilities Management Corporation (PSALM),(6) PSALM president Jose Ibazeta,(7) Calaca power palnt,(8) Limay power plant,(9) Suez Energy,(10) Electric Power Industry Reform Act (EPIRA),(11) http://my.reset.jp/~adachihayao/index090320A.htm,(12) http://my.reset.jp/~adachihayao/index090306B.htm,(13) http://my.reset.jp/~adachihayao/index090129A.htm,(14) negotiated bidding,(15)
参考資料
●090328A USA,gcn.com
知的送電網は安全の基礎の上に築かれる必要がある
Smart Grid will only be as good as security behind it
http://gcn.com/Articles/2009/03/24/Smart-grid-security.aspx?Page=3
●090328B India, economictimes.indiatimes
インドのNTPCは水力の地元還元を更に増大させる計画
NTPC may get to allot more power to host states
http://economictimes.indiatimes.com/News/News-By-Industry/Energy/NTPC-may-get-to-allot-more-power-to-host-states/articleshow/4311926.cms
●090328C Philippines, Manila Bulletin
フィリッピンのPSALMはカラカ火力など売却に自信
PSALM hopeful on sale of Calaca, Limay power plants within the year
http://www.mb.com.ph/articles/200229/psalm-hopeful-sale-calaca-limay-power-plants-within-year
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