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http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
今朝の朝刊は,スリランカ政府軍が,少数派タミル人の反政府武装勢力タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)を追いつめ,100人の兵士を殺害した,と報じている。政府軍制圧の最終局面に来たわけであるが,一般市民を盾にしての最後の抵抗,の状況で微妙な段階にある。調停に努めた日本政府も,こうなれば手出しも出来ない状況であるが,軍事拠点制圧で,果たして問題は解決するのであろうか。
私の友人達の多くも,スリランカの電力開発に協力を続けてきたが,日本政府が,この内戦の渦中にあるスリランカによくODAを注ぎ込んでいるなあ,と感心して見ていた。勇気ある行動というか,スリランカと日本の間には,そこに何かをさせる感情があるのであろうか。戦後賠償を最初に放棄してくれた国,と言う人もあるが,本当にそれだけなのかどうか,私も自信がない。太平洋戦争では,英艦隊を追いつめた場所でもある。
最初から思っていたが,日本,台湾,フィリッピン,カンボジアには,エネルギー上の共通点がある。いずれも石炭などの安いエネルギー資源に恵まれず,時間の差はあるが,石油火力を主体に経済を回してきたあげく,いずれの国も電気料金が極めて高い。今日の報道では,スリランカの平均電気料金は11.4セントである,カンボジアなどに比べれば安いが,タイ,ベトナム,中国,インドなど,石炭国に比べて異常に高い。
これは,我々がカンボジアで見てきた現実だが,当面の小さな需要を満たすためには,ディーゼル発電しかないわけで,これをちょびちょびと建設して行うものだから,いつまで経っても電気料金が高止まりして,経済発展を阻害する。輸入による石炭火力を造ろうとしても,最低でも300MWぐらいの固まった需要がなければ,コストが見合わない。
私の友人達も,殆ど残されていない水力資源の開発に手を貸してきて,日本の力で,150MW,アッパーコトマレ水力を完成間近なところまで持っていって,大いに感謝されているとはいえ,これが最後の水力ではないか,と言われている。300MW級輸入による石炭火力を造らなければ,スリランカの将来はない,と言い続けて来たのは我々であるが,専門家による推進も,大気汚染への反対論で,最後まで押し込めなかった。
時代は移り,Jパワーなどが,石炭火力はもう中国の時代だ,と割り切り始めた頃に,中国の技術と資金が各国の石炭火力開発に向かい,中国の場合は,住民に大気汚染の反対など言わせないから,スリランカの300MW石炭火力も,2010年には完成と報じられている。これが動けば,水力の渇水時にも,安価な電力が供給できて,スリランカも救われるだろう。
スリランカの石炭火力には,インドもNTPCなどが現地に入って,第2の石炭火力建設の準備に入っている。中国側とその立地条件でちょっとした紛争があったようだが,最近は報道がないところを見ると,インドのプロジェクトも走っているのだろう。また,当然,スリランカの周辺でも,天然ガス探査が動いている。天然ガス無機説で,当然,地球上何処でもガスは出るから,スリランカの経済が軌道に乗れば,ガスによる発電も期待できる。
本文
●スリランカで渇水が続きCEBは電力カットを実施へ
Half-an-hour power cuts will be imposed from end of this month on an area-by-area basis as hydropower generation has been hit by a prolonged drought, Ceylon Electricity Board Chairman E.A.S.K. Edirisinghe said. He said the CEB was trying its best to avoid the Western province when power cuts are imposed as it could have an adverse impact on the economy.(冒頭引用注3)
内戦,電力不足,電源開発の遅れ,など問題を包含するスリランカのセイロン電力庁CEB(注6)は,もっと別の大きな問題を包含していることが,報道されている。CEB(注6)のエディリシンゲ会長は,今月末,2009年3月末から,水力の出力が落ちてくるため,30分の輪番停電に入る,と説明している。西部の経済圏では出来るだけ停電を避けるよう努力する,としている。ダムの水位が25%下がり,火力に頼らざるを得ないと。
全国系統の電力需要は,1,750MWで,それのうち,850MWを水力の頼ってきたが,現在では20%まで落ちている。火力の発電コストは,KWh当たり22ルピー,約19.3セント相当,であるが,電気料金は13ルピー,約11.4セント,で,火力発電の比重が増えると持たなくなってくる,堤dんせざるを得ないと。水利局WB(注7)は,渇水の進行で,いつ放流を止めなければならないか,予断を許さない,と言っている。
(注) (1) 090307A Srilanka, sundaytimes,(2) Drought pushes CEB to impose power cuts,(3) http://www.sundaytimes.lk/090308/News/sundaytimesnews_04.html,(4) By Nadia Fazlulhaq,(5) Ceylon Electricity Board Chairman E.A.S.K. Edirisinghe,(6) CEB,(7) Water Board,(8) Water Supply and Drainage Board General Manager Lal Premanath,(9)
●スリランカのCEBの人員削減を含めた改革問題浮上
The CEB has an estimated 15,000 employees, and is allegedly overstaffed. Hence, the government is forced to inject colossal amount of money as remuneration. The surplus is largely due to political appointments and according to qualified Engineers, these employees do not make any positive or productive contribution to the day-to-day operation of the CEB. (冒頭引用注11)
長文で,スリランカの電力問題全般を論じた記事だが,主要な問題だけを取り上げてみる。スリランカの電力を取り仕切るセイロン電力庁CEB(注12)は,約2,000MWの規模で15,000人という膨大な人員を抱えて,その給与支払いにその財政が危機に陥っている。このように従業員が増えてきたのは,政治的な理由からだという。
既存の従業員は,何も出来ない従業員が一杯増えて,邪魔になる,とまで極言している。それは,選挙に勝った政治家が,彼を支援してくれた人々をCEB(注12)に入れるからだという。まるで人を雇うための工場みたいな状態になっているという。労働大臣になったスネビラットン(注14)は,2年間に,選挙区の支援者達を,2000人もCEB(注12)に雇わせたという。
また,最近出た報告書で,電源の開発で,最小原価発電プロジェクト(注17)の原則が無視されている,としている。スリランカの水力は殆ど開発されていて,150MWのアッパーコトマレ水力(注18)が残っているだけだ。現在工事中で間もなく完成して,大きな貢献が期待されている。もう一つは,300MWのノラチョロイ石炭火力(注20)であるが,これはまだ少なくとも2,3年の時間がかかる。アッパーコトマレ水力(注18)は日本の支援。
ただ,300MWのノラチョロイ石炭火力(注20)については,大気汚染の問題がつきまとう。現在,全国系統で必要な電力は.2,500MWとされており,10年から15年先は,もっと増えて行く。水力は既に枯渇の状態で,火力発電所に依存する以外に,スリランカとしては方法がない,と専門家は言っている。電気料金の問題がある。世界でも高い電気料金で有名で,これ以上吸収できず,今後の大きな問題である。
(注) (9) 090307B Srilanka, nation.lk,(10) Additional teeth or dentures to CEB,(11) http://www.nation.lk/2009/03/08/newsfe3.htm,(12) Ceylon Electricity Board CEB,(13) Janatha Vimukthi Peramuna (JVP) trade union leader Ranjan Jayalal,(14) Minister Seneviratne,(15) Ratnapura,(16) Public Utility Commission of Sri Lanka (PUCLS),(17) Least Cost Power projects,(18) Upper Kotmale Power project,(19) Coal Power project under construction in Norachcholai,(20) Norachcholai Power Plant (NPP),(21) Upper Kotomale hydro photo source: towards-a-utopia.blogspot.com/2007/10/upper-k,(22) (35) http://my.reset.jp/~adachihayao/index090126A.htm,(36)
●中国がチベットの環境保護へ20億ドルを投入へ
China plans to spend 15bn yuan (£1.5bn) on environmental protection in Tibet, including measures to halt the encroachment of deserts on the roof of the world, the state media reported today. Although the new money is presented as green spending, Tibetan exile groups fear much of it will be used to fund ecologically and culturally damaging development projects, including the damming of rivers and measures to force nomads off high-altitude pasture lands. (冒頭引用注22)
中国,チベットの北京政府の開発計画については,ヤルンザンボ川(注26)の水力を中心に,既に,2009年3月5日付け本HP(注33)で見てきたところである。同じような記事であるが,この中国政府の開発政策を,ロイターが英国発で記事にしたものだ。中国政府は,砂漠化の進むチベットの環境保護に,150億元,15億ポンド相当,約22億ドル相当を投入することを明らかにしている。
中国政府はこれを環境保護政策と称しているが,チベット亡命グループは,自然河川に被害をもたらし,遊牧民の生活を脅かすものとして,批判している。地球で最も高いところに位置するチベット高原(注24)は,土砂浸食,永久凍土の熔解,氷河の縮小,草原の後退,生物多様性の悪化などのが顕著で,これは人原活動の影響と,地球規模の気候変動の影響を受けているものと考えられている。
1961年以来,各10年で摂氏0.32度の気温上昇が報じられ,世界で最も早く温暖化の影響を受けている。中国本土からの移民,特に漢族(注25)の急激な流入が目につく。中国政府は,ブラマプトラ河の上流ヤルンザンボ川(注26),サルウイーン河の上流ヌジアン(注28),メコン河の上流ランサン川(注29),長江の上流金沙江(注30)に,大規模なダム群の建設を計画している。150億元の中には,このダムも入っていると思われる。
環境の専門家は,この開発の方向は間違っている,と批判している。チベット問題国際キャンペーンのサウンダー(注32)は,環境政策とはほど遠く,チベットの伝統的な地区に,中国の近代的な鉱業を持ち込もうとするもので,この影響の被害は,これから実際に証明されて行くだろう,と批判している。
(注) (13) 090307C China, guardian,(21) China announces green funding for Tibet,(22) http://www.guardian.co.uk/environment/2009/mar/06/tibet-china-environment-protection,(23) Jonathan Watts, Asia environment,correspondent,guardian.co.uk, Friday 6 March 2009 16.24 GMT,(24) Tibetan plateau,(25) Han ethnic majority,(26) Yarlung Zangbo,(27) Brahmaputra, (28) Nujiang (Salween),(29) Lancang (Mekong),(30) Jinsha, a major tributary of the Yangtze,(31) Qiangba Puncog, the chairman of Tibetan regional government,(32) Kate Saunders, of the International Campaign for Tibet,(33) http://my.reset.jp/~adachihayao/index090305B.htm,(34) Photo source: http://www.travelxz.com/admin/epic_jingqu/file/2008-7-29_8-57-1_72499520.jpg,(35)
参考資料
スリランカ
●090307A Srilanka, sundaytimes
スリランカで渇水が続きCEBは電力カットを実施へ
Drought pushes CEB to impose power cuts
http://www.sundaytimes.lk/090308/News/sundaytimesnews_04.html
●090307B Srilanka, nation.lk
スリランカのCEBの甚作源を含めた改革問題浮上
Additional teeth or dentures to CEB
http://www.nation.lk/2009/03/08/newsfe3.htm
中国
●090307C China, guardian
中国がチベットの環境保護へ20億ドルを投入へ
China announces green funding for Tibet
http://www.guardian.co.uk/environment/2009/mar/06/tibet-china-environment-protection
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