2009年3月19日木曜日

インドネシアの日本LNGタンカーを欧州へ


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http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm

東芝の社長交代をどう読むか,まさに半導体から原子力まで,広く扱っている東芝だけに,東芝だけの問題に留まらず,重電の世界に,再びビジネスチャンスを見出そうという意図があるとすれば,その行く先を大いに注視する必要がある。新社長は,米原子力大手のウエスチングハウス社買収の立役者だという。最先端石炭火力や原子力への将来の可能性をどう見ているのか,聞きたくなってくる。

インドネシアのLNGだが,先日も,給電畑の友人から,流れ込み式水力の次に燃やすのはLNGだ,と聞かされて,そんな馬鹿な,とやりとりしたばかりだが,彼等に言わせたら,LNGタンカーが日本の港に入ってきて,タンクが一杯になっているときほど,危機感迫ることはない,という。港にLNGタンカーをじっと待たせておくことは不可能だと分かるから,気持ちは分かるが,主客転倒のような気がする。

ところが今日のインドネシアの記事は,それを如実に物語る話で,今,インドネシアのアルン基地やボンタン基地から出向した12隻のLNGタンカーで,その行く先で問題が発生しているという。12隻のうち6隻は,関西電力と中部電力に向かうべき船だという。日本,台湾,各国の需要の落ち込みで,これらのタンカーは,欧州などへ向かうという,勿論,インドネシアとの協議が必要だが。

日本などとしては,契約料を減らしてくれなど,口が裂けても言えないのだろう。今のアルンとボンタンは,1980年ぐらいに始まったLNG生産だが,2010年,2011年に契約が切れて,契約料が大幅に減らされる。2012年に稼働を始める中部スラウエシのドンギンとセネロの基地は,三菱商事が51%の資本を有しているが,年200万トンか300万トンのLNG量だという。インドネシアは,要らないなら国内のLPG市場へ,と言っている。

本文

●フィリッピンのマニラ配電の資本増強競争白熱

First Pacific Company and the Lopez group expects to retain five seats in Manila Electric Company as against the four seats of the San Miguel Corporation and Ongpin group. During a press briefing, First Pacific managing director Manuel Pangilinan said the FPC group will nominate Pangilinan, Philippine Long Distance Telephone Company director Ray Espinosa and PLDT president Napoleon Nazareno to the Meralco board.

電力公社NPCが電源資産売却に追い込まれ,国家送電公社が中国電網に運用委託を行う現実の前に,マニラ配電MERALCO(注7)は,フィリッピンに残された唯一の電力大企業である。この会社の資本を巡って,激しい争いが展開されている。基本は,今まで牛耳ってきたロペス財閥に対抗して,サンミゲールが突如,株の買い占めに走ったわけで,その裏には,政府の意向もあるという。登場人物多彩で理解困難である。

ファースト・パシフィックFPC(注5)とロペスグループ(注6)は,マニラ配電MERALCO(注7)の役員席を,サンミゲールSMC(注8)とオングピングループ(注9)の4席に対抗して,5席を占めることを視野に,策動している。FPC(注5)のパンギリナン常務(10)は記者会見で,FPC(注5)側は,パンギリナン常務(10)自身と,PLDT(注11)のエスピノッサ(注12)とナザレノ社長(注13)を,MERALCO(注7)へ送り込む,と。

パンギリナン常務(10)によると,ロペス側は,MERALCO(注7)の資本のうち,ロペスグループが13.4%,PLDT)注11)がその子会社PTC(注14)を通じて20%,PLDT(注11)の年金機関MPIC(注15)が10.17%を取得する予定と言う。FPC(注5)自身も3%程度の資本を持つものと予想されているから,46.5%がロペスグループによって保有されると,専門家は見ている。

これに対してSMC(注8)側は,自身が27%獲得と信じられており,それに政府側のオングピングループ(注9)の11%と併せて,38%と見られている。昨日のフィリッピン証券市場(注18))の情報では,政府のGSIS(注19)が,役員として,SMC(注8)のアン社長(注20)の他,メンドーサ秘書役(注21),スリオ氏(注22)と,前NTCオルテス総裁(注23)を送り込むと見られている。

パンギリナン常務(10)は,今両サイドで調整中と言っており,PLDT(注11)のエスピノッサ(注12)は,その電話線がMERALCO(注7)の電柱に乗っているので,これを確保するため,と言っている。PLDT(注11)の年金機関MPIC(注15)は,その退職基金であるBTF(注24)を通じて10.17%を入手すべく交渉中という。

MPIC(注15)更に,BTF(注24)を通じて買い増しを考えており,大きな資本持ち分となる可能性がある。BTF(注24)は,103億ペソを注ぎ込んでおり,またMPIC(注15)の最終期限,2009年3月12日には,その投入額は,189億ペソに達する。

(注) (1) 090319A Philippines, Manila Bulletin,(2) First Pacific-Lopez alliance to control Meralco board,(3) http://www.mb.com.ph/node/199465,(4) By JAMES A. LOYOLA,March 18, 2009, 12:00am,(5) First Pacific Company FPC,(6) Lopez group,(7) Manila Electric Company Meralco, (8) San Miguel Corporation SMC,(9) Ongpin group,(10) First Pacific managing director Manuel Pangilinan,(11) Philippine Long Distance Telephone Company PLDT,(12) PLDT director Ray Espinosa,(13) PLDT president Napoleon Nazareno,(14) Pilipino Telephone Corporation,(15) Metro Pacific Investments Corporation MPIC,(16) Lopez-FPC alliance,(17) Global 5000 controlled by businessman Roberto Ongpin,(18) Philippine Stock Exchange,(19) Government Service Insurance System GSIS,(20) SMC president Ramon Ang,,(21) SMC corporate secretary Estelito Mendoza,(22) Mario Surio,(23) former National Transmission Corporation president Allan Ortiz,(24) Beneficial Trust Fund (BTF),(25) 

●インドネシアのLNGから日本などが他の市場を模索

Japan, South Korea, and Taiwan plan to divert 12 liquefied natural gas (LNG) cargoes from RI to other markets. The decision was taken because the economic downturn has reduced demands in these biggest Asian importing countries, head of LNG business at state oil and gas company PT Pertamina Hari Karulianto told reporters Friday (冒頭引用注27)

先日も書いたが,電力需要が上がってきたとき,最初に発電するものは何か,と聞いたら,流れ込み式水力の次はLNG火力だ,と言われて,何,と聞き返したことがあったが,インドネシアから買ってきたLNGが貯蔵タンクから溢れるとか,港に着いたタンカーの中のLNGが陸揚げできないときは,大変なんだそうだ。私は,主客転倒の話だとは思うが,今日の記事も,需要低下で落ちる関電のLNG需要をどうするか,と言う問題だ。

日本,韓国,台湾は,インドネシアから向かっている12のLNGタンカーを,他の市場に向かって船首を帰させるという。プルタミナ(注30)のカルリアント(注31)によると,これらの大需要国の需要が落ちているからと言う。それでも契約を変えたくない需要国は,再販売すべく,この船は,まだ結論は出ていないが,他のアジア諸国か欧州を目指していると。一つのLNGタンカーは,300万百万BtuMMBTU(注32)を載せている。

この別の市場にめけさせている最大の国は日本で,6隻のタンカーが再販売の対象になっているという。日本は,最大のLNG消費国で,2008年にはLNG輸入は,年6,930万トン,2007年は6,680万トンであった。インドネシアは,日本に対してLNGを輸出し始めたのは,1978年のアルン基地(注34)で,その後,1981年にボンタン基地(注35)から輸出が始まった。契約はそれぞれ,2010年,2011年までとなっている。

しかし,ボンタン基地(注35)については,10年間延長の契約が出来ていて,最初の5年間は300万トン,次の5年間は200万トン,となっている。インドネシア側は,余剰はLPGに変えて国内で使用できるとの考え。また,中部スラウエシのドンギ及びセノロLNG基地の開発については,2012年から年200万トンの輸出が可能としている。関電(注41)と中電(注42)は,ここからそれぞれ100万トンを購入する予定である。

この中部スラウエシのLNGプロジェクトは,MEDOCO(注45)が資本20%,プルタミナが29%,日本の三菱が51%を持っている。BPミガス(注44)は,LNG生産の増加を目標としており,2009年のガス生産は全国で,日75億立方フィートを目指している。2008年は,74.6億立方フィートであった。

(注) (25) 090318B Indonesia, The Jakarta Post,(26) RI’s LNG diverted to other markets,(27) http://www.thejakartapost.com/news/2009/03/14/ri’s-lng-diverted-other-markets.html,(28) The Jakarta Post , JAKARTA | Sat, 03/14/2009 1:04 PM | Business,(29) liquefied natural gas (LNG),(30) PT Pertamina,(31) PT Pertamina Hari Karulianto,(32) MMBTU (million British thermal units),(33) Facts Global Energy,(34) Arun in Aceh Province,(35) Bontang in East Kalimantan,(36) liquefied petroleum gas (LPG),(37) kerosene-to-LPG conversion program,(38) Pertamina’s deputy director for marketing and trading Hanung Budya,(39) Lukman Mahfoedz, president director of PT Medco E&P Indonesia,(40) Donggi and Senoro gas blocks in Central Sulawesi,,(41) Kansai Electric Power Co. Inc,(42) Chubu Electric Power Co. Inc,(43) Mitsubishi Corp,(44) BPMigas,(45) Medco E&P,(46) 

参考資料

フィリッピン

●090319A Philippines, Manila Bulletin
フィリッピンのマニラ配電の資本増強競争白熱
First Pacific-Lopez alliance to control Meralco board
http://www.mb.com.ph/node/199465

インドネシア

●090318B Indonesia, The Jakarta Post
インドネシアのLNGから日本などが他の市場を模索
RI’s LNG diverted to other markets
http://www.thejakartapost.com/news/2009/03/14/ri’s-lng-diverted-other-markets.html

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