2009年6月25日木曜日

インドの原子力ボスがトリウム炉発言

インドの原子力ボスがトリウム炉発言
HPは下記ドメインです。YouTube動画,写真地図など見て下さい。
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
旅行用品の大型ショップ旅の雑貨店
http://hb.afl.rakuten.co.jp/hsc/09ee30fe.7cd4d7ec.09ee30ff.03ee8b2a/

証券会社が東京でインドセミナーを開き,2,000人の聴衆が集まって熱気に包まれたという(注1)。しかし,インド経済のアキレス腱は電力不足である。この2009年度内に,14,000MWの運転開始が可能,としているが,一方で気になるのは,インド気象局が頼みのモンスーンに対して下方修正(注2),6月~9月の南西モンスーンの降雨は,平年の93%予想で,今日話題のヒマラヤの水力もさることながら,農業への影響も懸念される。

今日の記事で,インドの原子力のボス,インド原子力委員会委員長兼原子力局長アニル・カコッドカール氏がコルカタで演説,何を言っているのか最初はさっぱり分からなかったが,結局,先端技術の国産化のために科学者よ頑張れ,と言っているようだ。いろいろな先端技術の中でも,アニル氏が問題にしているのは,トリウム原子炉の問題である。トリウムと聞くと,私はいつも鈴木篁氏(注3)を思い出す。

鈴木篁氏のトリウムとインドがどう結びつくのか,よく分かっていなかったが,鈴木篁氏(注3)のHPや2005年の資料(注4)を読んで,理解できたことは,一つは,制裁によってウラン核燃料不足に悩んだインドは,トリウムの埋蔵量が,オーストラリアに続いて第2位で,トリウム原子炉を導入すれば,インドは燃料の心配がなくなる,と言うことだ。

更に読み解き進めると,ウランに比べてトリウムの核廃棄物が極端に少なく,濃縮ウランの生産が少なくて,核爆弾への転用が難しい,と言うことらしい。世界の原子炉がなぜ最初にトリウムに取り組まなかったかと言えば,原子爆弾を大量に造らなければならない世界情勢があったという。今ここで,ウランを基礎にした核廃棄物処理サイクルをトリウムに変更することは,大変なコストがかかるようだ。

トリウムの埋蔵量はウランと比べると極端に多い。結局,鈴木篁氏(注3)の中に出てくる,軽水炉ー高速増殖炉の発展過程を,軽水炉ートリウム炉の流れに変えることは大変なようで,ウランの埋蔵量がだんだん少なくなってきて,値段が上がり始める50年後頃には,トリウム転換の可能性があるという。インドの原子力委員長は,インドの科学者に,この流れを君たちが変えろ,と叫んでいる。

戦争中の話だが,優秀な戦闘機を数多く持つことが,戦争で圧倒的な有利な立場を得ることに繋がった。1980年代は,半導体の時代で,半導体を小型化大容量低価格に出来る国が経済の主導権を握った。今は,おそらく原子力技術の廃棄物処理,燃料確保も含めた原子力発電サイクルを握ることが一つのポイントになってくる。インドはそれを目指しているようだ。今日の東芝の記事も考えさせられる。

ただ,私は,戦闘機ー半導体ー原子力,と続く流れの中で,また別の流れもあるような気がする。私が電気の専門で学校を出ていたら,おそらくバッテリーに集中,を主張するかも知れない。おそらく10年後,2020年には,80%以上の車が音もなくバッテリーで走っているだろう,そうして更に20年後,2040年には,バッテリーを積んだ飛行機が空を静かに飛んでいるはずだ,孫達によく見ておけと言っておこう。

(注1) http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200906240099a.nwc
(注2) http://www.nikkei.co.jp/kaigai/asia/20090625D2M2403A25.html
(注3) http://homepage2.nifty.com/w-hydroplus/info4n.htm
(注4) http://wiredvision.jp/archives/200507/2005071201.html
(注5) http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200906250018a.nwc

本文

●インドはシェナブ川に関しパキスタンへの補償は行わない

New Dehli has refused to extend compensation both in shape of water or in monetary form to Islamabad for the blockade of Chenab river by India in August, 2008 that inflicted huge monetary loss to agrarian economy of Pakistan.

インダス河の左岸大支流,パキスタンの中央部の農業主体,パンジャブ州の南部でインダス本流に合流するチェナブ川(注5)である。国境未確定とされるジャムカシミールとパキスタンの境界で,これより上流はインドの実効支配下にあり,山岳地帯である。まさに要衝を占めるこのチェナブ川(注5)上流に,インドは,900MWのバギリハールダム(注7)を,2008年8月に完成させた。

世界銀行の技術者が調停に入り,ダムそのものの設計は互いに合意したものの,問題は,ダムの湛水期間中の問題で,インド側はパキスタンに入る前の地点で,最低流量毎秒50,000トンで合意したのに,2008年8月の流量は,20000トン近くまで減少し,パキスタンの穀物倉庫とも言われるパンジャブ州の農業に大打撃を与えた,インドは,水量または金額で補償せよ,とパキスタンは主張する。

インドは,バギリハールダム(注7)のために水量が落ちたのではない,それは水文事情によるもので,補償する必要はない,と言うのである。どうも,この最低流量補償,という協定は,チグリス川のトルコとシリアの間も紛争になっており,彼等の協定の方法は,私たちの常識に合致しないものである。自然流量が少なければ最低流量を守ることは不可能で,最低流量または最大自然流入量のいずれか小さいもの,となぜ決めないのか。

(注)A (1) 090625A India, thenews,(2) title: India says no to compensation for blocking Chenab in Aug ・8 ,(3) http://www.thenews.com.pk/daily_detail.asp?id=184612,(4) Wednesday, June 24, 2009,ISLAMABAD,(5) Chenab river,(6) Permanent Commission of Indus Waters (PCIW),(7) Baglihar hydropower project,(8) Pakistan Commission of Indus Water Commissioner Syed Jamaat Ali Shah,(9) Indus Waters Treaty,(10) Ministry of Water and Power, Zarar Aslam,(11) modus operandi,(12) River Indus,(13) Advisor to the Punjab Irrigation Department advisor M H Siddiqui,(14) Laddakh Area,(15)

今日の参考資料

●090625A India, Economic Times
インドはシェナブ川に関しパキスタンへの補償は行わない
India says no to compensation for blocking Chenab in Aug ・8
http://my.reset.jp/adachihayao/index090625A.htm
http://www.thenews.com.pk/daily_detail.asp?id=184612

最近の関連資料

●090608A Pakistan, sindhtoday
パキスタンのモスレム代表がインドの水問題で原爆戦争になりかねない
Indo-Pak water dispute could trigger a nuclear war Nizami
http://my.reset.jp/adachihayao/index090608A.htm
http://my.reset.jp/adachihayao/index090608A.htm
●090518C Pakistan, pakobserver
パキスタンとインドはインダス河の水を常設委員会で話し合う
Pakistan, India talks at PCIW level by end of current month
http://my.reset.jp/adachihayao/index090518C.htm
●090510C Pakistan, nation.com
パキスタンはインドのインダス上流開発で世界銀行に訴え
Pakistan to take up water issue with WB
http://my.reset.jp/adachihayao/index090510C.htm
●081205A Pakistan, dailytimes
パキスタン,シェナブ川で,水量補償要求へ
Pakistan for Chenab water compensation
http://my.reset.jp/adachihayao/index081205A.htm
●081123A Pakistan, pakobserver
インダスの水問題,シェナブ川の実情を反映せよ
Reflecting Chenab water issue
http://my.reset.jp/adachihayao/index081123A.htm


●インドは原子力開発に関して経済性を考えて国産技術開発を

India should look at generating cheaper power and private companies need to collaborate with the department of atomic energy to manufacture
equipment for this segment so that costs come down. This was the view of Atomic Energy Commission chairman and department of atomic energy secretary Anil Kakodkar.

インドの原子力の最高権威,インド原子力委員会委員長兼原子力局長アニル・カコッドカール氏(注5)が,コルカタで演説を行った。最初は何を言っているのかさっぱり分からなかったが,結局彼は,インドの科学者達に奮起を促している。インドにも十分な資源や蓄積があるではないか,この方面でインドの科学者が奮起しなければ,また再び,原爆実験で受けたような国際制裁を受ける可能性がある,備えが必要だと。

彼は多くの先端技術に触れている(注10)。その中でも,トリウムの問題(注8)と灰分を多く含むインドの石炭(注9)に言及,これこそ国内資源を主体としたインドのエネルギー独立に欠かせない,と言っているのである。石炭の問題は,クリーンコールの技術だろうが,トリウムの問題(注8)については,鈴木篁氏(注13)が,熱心に取り上げていたことを思い出す。2005年に書かれた資料(注12)にも簡単に解説されている。

私の即興的な理解では,まずトリウム(注8)は,ウランに比べてインドに豊富に賦存する,オーストラリアに次いで世界第2位である。核燃料に困窮してきたインドとしては,独自設計のトリウム原子炉の安全性テストを行なうと既に発表し準備している。世界の原子力から見て,トリウムの埋蔵はウランに比べて遙かに多い。またトリウムに切り替えることができれば,発生する放射性廃棄物の量は約半分になると言う。

参考資料(注12)によれば,世界の核廃棄物処理の流れはウランを対象としており,この流れをトリウムに変えることは,大変だという。ウランが主燃料に選ばれたのは,米国を初め,原爆の材料としても価値が高かった,とも言われている。軽水炉ー高速増殖炉の発展過程のどこかで,トリウム炉が分岐発展する可能性を秘めているという。ただ,ウランの枯渇などを含めて,トリウムには今後50年の日時が必要とも。インドは真剣だ。

(注)B (1) 090625B India, Economic Times,(2) title: 'India should look at generating cheaper power',(3) http://economictimes.indiatimes.com/News/News-By-Industry/Energy/Power/India-should-look-at-generating-cheaper-power/articleshow/4663893.cms,(4) 16 Jun 2009, 2138 hrs IST, ET Bureau,KOLKATA,(5) Atomic Energy Commission chairman and department of atomic energy secretary Anil Kakodkar,(6) fourth Raja Ramanna Memorial Lecture,(7) Variable Energy Cyclotron Centre,(8) thorium,トリューム,(9) high-ash Indian coal,(10) Nano technology, solar technology, hydrogen as energy carrier, RF microwave, superconductivity, bio technology and plasma technology,(11) heavy water reactor, fast breeder reactor and thorium related research,(12) http://wiredvision.jp/archives/200507/2005071201.html,(13) http://homepage2.nifty.com/w-hydroplus/info4n.htm,(14)

今日の参考資料

●090625B India, Economic Times
インドは原子力開発に関して経済性を考えて国産技術開発を
'India should look at generating cheaper power'
http://my.reset.jp/adachihayao/index090625B.htm
http://economictimes.indiatimes.com/News/News-By-Industry/Energy/Power/India-should-look-at-generating-cheaper-power/articleshow/4663893.cms

最近の関連資料

●090324B India, Economic Times
インドの原子力セクターにGE-日立が参入へ
GE-Hitachi to build nuclear reactors for NPCIL, BHEL
http://my.reset.jp/adachihayao/index090324B.htm
●090213C India, Economic Times
インド,NTPCが原子力開発へ参入へ
NTPC may enter into N-power biz
http://my.reset.jp/adachihayao/index090213C.htm
●090205A India, Economic Times
インド,仏のアレバと,原子力協力で覚書署名
India to sign MoU with AREVA for nuclear reactors on Feb 4
http://my.reset.jp/adachihayao/index090205A.htm
●081216D India, Economic Times
インド,フランスのアレバがウラニューム供給,300トン
Areva inks pact with NPCIL to supply 300 tonnes of uranium
http://my.reset.jp/adachihayao/index081216D.htm
●081207C India, Economic Times
インド,原子力開発を,民間資本へ解放へ
India may open nuclear sector for private players soon
http://my.reset.jp/adachihayao/index081207C.htm
●081119G India, Economic Times
重電メーカーBHEL,原子力開発で,仏のアレバと技術提携
BHEL, Areva T&D to form JV for manufacturing nuclear reactors
http://my.reset.jp/adachihayao/index081119G.htm


●インドのヒマチャルでカルチャムワントー水力の現場に環境攪乱

Communist Party of India (Marxists) has sought action against Jaiprakash Associates hydropower company executing the mega 1000 MW Karcham Wangtoo project in Kinnaur for having illegally extracted a herb from around the project site, leaving the mountainside exposed to soil erosion and landslides.

インダス河の東方の支流,サトルジュ川(注14),インドの西端,パンジャブの平野を流れて,パキスタンのラホールの南で国境を越えて,更にパキスタンの平野部を潤しながら,インダス本流に合流する。おそらく殆どの水は,インドとパキスタンの主要な平野部の農業のために使われてしまうのだろう。上流に遡って,ヒマチャルプラデシュの山岳地帯の直下流に,大規模なバクラダムがある。

このバクラダムの上流は,まさにヒマラヤの山岳地帯で,サトルジュ川(注14)が蛇行して大電源地帯となっており,多くの大規模水力プロジェクトが連なっている。上流は,チベット平原を水源としている。1,000MWのカルチャム・ワントー水力(注7)は流れ込み式で,48mの高さのダムを有するが,水路の長さは17kmで落差は300mに達している。建設工事はたけなわで,何か従業員が問題を起こしているようだ。

(注)C (1) 090625C India, himachal,(2) title: CPI(M) seeks action against power company for environment damage in Himachal,(3) http://himachal.us/2009/06/11/cpim-seeks-action-against-power-company-for-environment-damage-in-himachal/13526/news/ravinder,(4) Posted by Ravinder Makhaik on Jun 11th, 2009 in News,Shimla,(5) Communist Party of India (Marxists),(6) Jaiprakash Associates hydropower company,(7) 1000 MW Karcham Wangtoo project,(8) Kinnaur,(9) Tikender Panwar, CPI(M) member secretariat,(10) Wangtoo,(11) Roonag,(12) Khasachi (local name) herb,(13) quintals,(14) Satluj basin,(15)

今日の参考資料

●090625C India, himachal
インドのヒマチャルでカルチャムワントー水力の現場に環境攪乱
CPI(M) seeks action against power company for environment damage in Himachal
http://my.reset.jp/adachihayao/index090625C.htm
http://himachal.us/2009/06/11/cpim-seeks-action-against-power-company-for-environment-damage-in-himachal/13526/news/ravinder

最近の関連資料

●090130A India, thaindian
インド,ヒマチャルプラデシュ,ADBローン支払いへ
ADB to release first tranche of loan to Himachal soon
http://my.reset.jp/adachihayao/index090130A.htm
●090120B India, newspostonline
インドのヒマチャルプラデシュ,13水力を認可
Himachal Pradesh approves 13 hydropower projects
http://my.reset.jp/adachihayao/index090120B.htm
●090115C India, thaindian.com
ヒマチャル,深林保護で,ジャイピー水力の送電線変更
Jaypee Hydropower told to move power line in Himachal to save forest
http://my.reset.jp/adachihayao/index090115C.htm
●081219C India, sindhtoday
ヒマッチャルプラデッシュ,水力開発で,小規模会社重視
Himachal allots hydro projects to smaller players
http://my.reset.jp/adachihayao/index081219C.htm
●081219C India, sindhtoday
ヒマッチャルプラデッシュ,水力開発で,小規模会社重視
Himachal allots hydro projects to smaller players
http://my.reset.jp/adachihayao/index081219C.htm
●081119F India, siliconindia
ヒマチャルプラデシュ,水力は流れ込み式のみ,環境考慮
Himachal Pradesh favours agency to develop Himalayan states
http://my.reset.jp/adachihayao/index081119F.htm


●海外関連連携ショップ
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