2009年9月13日日曜日

インドの海外石炭は原料炭不足が始まり

インドの海外石炭は原料炭不足が始まり
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm

明日は秋晴れの中,泉南で測量作業あり,更新が遅れるかも。さて,今日のインドの石炭の記事は,今まで余り知らなかったことが書かれていて,非常に関心があった。私も,急に世界の石炭の世界が動いている,という情勢は読みとっていたが,何処に原因があるのか,単なる中国のせいではなかろう,なぜ石炭埋蔵量の多い中国やインドが世界の石炭を買いに走るのか,よく分からなかった。

今日の記事を読んで,完全に分かったわけではないけれど,私の知らなかった石炭の一面を知ることにはなった。皆さん,原文を読んで貰えばよいが,私なりに理解したところを書いてみる。昨年,2008年7月に,世界の経済は一つのピークを迎えた。それ以降,2008年末までは石炭の世界はそれほど変わった訳ではなかった。しかし,2009年を迎えると,世界の石炭が急激に動き出した。

2008年まで,勿論現在でも,世界の石炭は,70カ国に分布しているのにもかかわらず,4大石炭企業に支配されてきた。その4つとは,XSTRATA,リオティント,三菱の入ったBMA,それに,アングロサクソンである。この世界の一端に,我が三菱商事が重要な一角を占めていることを知った。三菱が資源メジャーBMPと共に資本折半で設立されたBMAで,オーストラリアの重要な炭坑を抑えており,原料炭が主体のようである。

この4つの企業が抑えている世界の石炭生産国は,オーストラリア,南アフリカ,米国,インドネシア,カナダ,アフリカで,石炭価格も長期契約によって支えられて安定し,世界の発電企業の40%,鉄鋼の66%を支配している。特に輸入に完全に依存している日本,韓国,台湾は従順であり,国内炭で賄ってきた中国も,2008年までは静かであった。勿論インドも,決して強い交渉を行うことはなかった。

2009年になってから中国の態度が変わったのは,原料炭が極端に不足,遂に国内価格がトン300ドルに達したときである。このころ,世界は,金融危機で原料炭の価格が下がり始めており,中国はここぞとばかり海外の原料炭に飛びついた。一方このとき,インドの原料炭も瀕死の状態に陥っていた。インドは毎年5億トンの石炭を生産しているが,低質で,鉄鋼企業は2,000万トンの海外炭を買って,国内炭と混合して使ってきた。

このインドの海外原料炭はスポット市場で買ってきたが,この3年間ほどは鉄鋼のブームでスポット価格が上がり続けてきて,最早,スポット市場という方法には耐えられなくなっていた。2012年にはインドの原料炭需要が,4,500万トンに達すると言われ,インドも4大石炭企業に頼るか,独自の炭坑を海外に求めるか,の選択に迫られてきた。これがインドが海外に走った背景だ。

インドの発電企業も同じような状態だ,と書かれているが,ここが分からない点ではあるが,地球温暖化の問題があるとは言え,とにかくインドの企業は,燃料がなくなることに脅えていると見られている。大規模石炭火力計画UMPPを進める発電企業は,新設発電所への石炭供給の目処が立たなくなってきて,海外石炭を輸入できるかどうかが,まさに発電企業の死活問題,という脅えに襲われていると思われる。

海外の炭坑を買うと言っても,オーストラリア,米国,南アフリカの炭坑は高価である。安価な炭坑の選択となれば,インドネシア,モザンビーク,フィリッピン,カザフスタン,ジンバブエになってくる。そこで現れたのが強力な中国の出現である。いずれにしても,これらの国での炭坑開発は大変で,実際の生産開始まで,辛抱強く待たねばならない。今までとは全く異なるビジネスである。世界には,この怯えから動いている国がある。

クエートがカンボジアの水田を買っている,と言う話は,私も読んでいたが,今日の記事でも取り上げている。更に,中国がアフリカへ進出しているのは,アフリカの農地を確保するためだという,中国は将来の10億の民の食糧問題を真剣に心配している。インドは今干ばつに見舞われているが,再び食糧と燃料で世界の難民にはなりたくない,と記事は結んでいる。世界市場でなんでも手に入る,と考える日本人は正しいのだろうか。


今日の日本語エネルギー関連資料

EUが温暖化対策で途上国に2020年時点で最大年2兆円支援
http://www.nikkei.co.jp/kaigai/eu/20090910D2M0904M10.html
中国が三峡ダム建設で127万人の移住を完全に終了
http://sankei.jp.msn.com/world/china/090913/chn0909130857001-n1.htm
中国が日本の大陸棚拡張に反対,沖ノ鳥島は「岩」と!
http://sankei.jp.msn.com/world/china/090913/chn0909130056000-n1.htm
スペイン企業がベネズエラ沖で大規模な天然ガス田を発見,7兆立方フィート
http://www.worldtimes.co.jp/news/world/kiji/090913-005639.html

旅行用品の大型ショップ旅の雑貨店
http://hb.afl.rakuten.co.jp/hsc/09ee30fe.7cd4d7ec.09ee30ff.03ee8b2a/



本文

●インドでの石炭への盛り上がりは温暖化の中でどうなっているか

Bought a coal mine lately? For most of corporate India it seems to be the only relevant question these days. At a time when carbon dioxide in human breath is about the only politically acceptable emission, investing in a “dirty” fuel like coal is suddenly the smart thing to do. But what has created this rush to own coal? And why is the market applauding those who do? The answer lies in two simple words: fear and loathing.

2009年に入ってから急に世界の石炭が騒がしくなってきた。何とか国内の石炭で凌いできた中国とインドが,海外石炭へ目を向け始めたのが原因なのか。なぜインドは自国の石炭で賄えないのか。いろいろと疑問があるが,この記事は今まで私の知らなかった世界の一面を伝えてくれている。究極は,原子力と水力,と言っても,人類は今しばらく,石炭なしには動かない。

地球温暖化の問題があるとは言え,とにかくインドの企業は,燃料がなくなることに脅えている。企業は鉄鋼と電力に分けられるが,この世界は旨く棲み分けている,鉄鋼は原料炭(注6),電力は発電炭(注7)である。世界の70カ国で石炭は埋蔵されているが,実は4つの大企業によって支配されている。それは,XSTRATA(注8),リオティント(注9),三菱の入ったBMA(注10),それに,アングロサクソン(注11)である。

この4つの企業が抑えている石炭は,オーストラリア,南アフリカ,米国,インドネシア,カナダ,アフリカで,石炭価格も長期契約によって支えられ,世界の発電企業の40%,鉄鋼の66%を支配している。多くの企業は大人しくこの大石炭企業に従い,特に輸入に完全に依存している日本,韓国,台湾は従順である。国内炭で賄ってきた中国も,2008年までは静かであった。インドは勿論決して強い交渉は行わなかった。

2009年になってから中国の態度が変わった。それは,原料炭が不足し遂に価格がトン300ドルに達したときである。世界金融危機で原料炭の価格が下がり,中国はここぞとばかり海外の原料炭に飛びついた。インドの原料炭はまさに瀕死の状態に陥った。インドは毎年5億トンの石炭を生産しているが,いずれも低質である。鉄鋼企業は,2000万トンの海外炭を買って,国内炭と混合して使ってきた。

このインドの海外原料炭はスポット市場で買ってきたが,この3年間ほどは鉄鋼のブームでスポット価格が上がり続けてきて,最早,スポット市場という方法には耐えられなくなっていた。2012年には原料炭需要が,4,500万トンに達すると言われ,インドも4大石炭企業に頼るか,独自の炭坑を海外に求めるか,の選択に迫られてきた。これがインドが海外に走った背景だ。インドの発電企業も同じような状態だ。

インドの発電企業は,政府の進める大規模石炭火力計画UMPP(注12)の推進などで,新設発電所への石炭供給の目処が立たなくなってきて,海外石炭を輸入できるかどうかが,まさに発電企業の死活問題となってきた。もし一括契約が出来なければ,自分自身で海外に炭坑を持つより他に方法がなくなってきたのである。金融危機で需要が冷え込み,海外の炭坑も苦しんでいる中,インド企業のもチャンス到来,という分けである。

海外の炭坑を買うと言っても,オーストラリア,米国,南アフリカの炭坑は高価である。安価な炭坑の選択となれば,インドネシア,モザンビーク,フィリッピン,カザフスタン,ジンバブエになってくる。粉砕炭が原料炭に替わる一つの方法であるが,そこで現れたのが強力な中国の出現である。これらの国での炭坑開発は大変で,実際の生産開始まで,辛抱強く待たねばならない。今までとは全く異なるビジネスである。

インドがインドネシアの炭坑を買いに走っているのは,全く,クウエートがカンボジアの水田を買いに走っているのと同じであるし,また中国が首位かののうちを買いに走っているのと同じなのだ。インドは,再び食糧難から,また燃料難から,世界の難民になることを臨まないだけである。

(注)E (1) 090913E India, Economic Times,(2) title: Investment in coal suddenly becomes hot favourite,(3) http://economictimes.indiatimes.com/Features/The-Sunday-ET/Markets/Investment-in-coal-suddenly-becomes-hot-favourite/articleshow/5004684.cms,(4) 13 Sep 2009, 0318 hrs IST, Nidhi Nath Srinivas, ET Bureau,(5) oathing,呪い,(6) coking coal,(7) steam or thermal coal,(8) Xstrata,(9) Rio Tinto,(10) BHP Billiton Mitsubishi Alliance (BMA),(11) Anglo American,(12) ultra mega power plants (UMPP),(13) Indonesia, Mozambique, Philippines, Kazakhstan and Zimbabwe,(14) Australia, USA and South Africa,(15) euphemistically,遠回しに,(16) Kuwait buy rice paddies in Cambodia,(17) China buy farms in Africa,(18) photo source: http://www.riotinto.com/media/photolibrary_18501.asp?rhslink=1,(19) map source: http://www.erdene.com/assets/imgs/projects/Map_WorldCoalMarket.gif,(20)

今日の参考資料

●090913E India, Economic Times
インドでの石炭への盛り上がりは温暖化の中でどうなっているか
Investment in coal suddenly becomes hot favourite
http://my.reset.jp/adachihayao/index090913E.htm
http://economictimes.indiatimes.com/Features/The-Sunday-ET/Markets/Investment-in-coal-suddenly-becomes-hot-favourite/articleshow/5004684.cms

最近の関連資料

●090910K India, bloomberg
インドのNTPCがインドネシア炭坑開発でコンサルタントを指名
NTPC Hires Macquarie for Indonesia Coal Mine Purchase
http://my.reset.jp/adachihayao/index090910K.htm
●090910L India, tradingmarkets
インドに対してインドネシアが石炭年1600万トン供給合意
INDIA TO IMPORT MORE COAL FROM INDONESIA
http://my.reset.jp/adachihayao/index090910L.htm
○090908F India, bloomberg
インドへの石炭輸出で南アフリカのインドへの輸出量がトップに
South African Coal Exports May Rise on Sales to India
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601116&sid=a41Fv0JydVWE
●090723E India, indopia
インドの電力不足の中で石炭不足から発電出来ない火力も
Loss in power generation due to drying up of coal stocks
http://www.indopia.in/India-usa-uk-news/latest-news/624723/MadhyaPradesh/4/20/4
●0907903B India, business-standard
インドは雨量少なく水力の出力落ちでガスと石炭火力がフル稼働
Government looks at coal, gas to beat power shortfalls
http://my.reset.jp/adachihayao/index0907903B.htm
●090708B India, Economic Times
インド政府は25の民間企業への石炭供給協定を取り消す
Govt revokes coal supplies to 25 pvt power cos
http://my.reset.jp/adachihayao/index090708B.htm


●インドは南アフリカの石炭の最大の購入国へ130万トン

India was the single biggest buyer of South African coal in August, lifting 1.3 million tonnes from Richards Bay Coal Terminal, 22% of total August 5.5 million tonnes exports.

大規模石炭火力開発を進めながら石炭供給力不足に悩むインドは,南アフリカの石炭(注5)を買いに走っている。インドの山から西海岸まで運ぶよりは,船でインド洋を横切って南アフリカから運ぶ方が経済的なのか。この8月,2009年8月,南アフリカのリチャード石炭港(注6)から船出した,550万トンの石炭のうち,22%の最大輸入国はインドで,130万トンであった。

年間で考えると,この1年間,インドへの南アフリカの石炭輸出は,月別で22~34%を占め,全部で,1,100万トンに達している。南アフリカの今年の石炭輸出総量は,5,800万トンと見込まれており,昨年,2008年の,6,180万トンから落ち込んでいる。

(注)F (1) 090913F India, steelguru,(2) title: India buys 1.3 million tonnes of SA thermal coal in August,(3) ttp://steelguru.com/news/index/2009/09/12/MTExNDY2/India_buys_1.3_million_tonnes_of_SA_thermal_coal_in_August.html,(4) Saturday, 12 Sep 2009,(5) South African coal,(6) Richards Bay Coal Terminal,(7) map source: http://www.mbendi.com/indy/ming/coal/af/sa/p0005.htm,(8) photo source: http://www.arm.co.za/,(9)

今日の参考資料

●090913F India, steelguru
インドは南アフリカの石炭の最大の購入国へ130万トン
India buys 1.3 million tonnes of SA thermal coal in August
http://my.reset.jp/adachihayao/index090913F.htm
http://steelguru.com/news/index/2009/09/12/MTExNDY2/India_buys_1.3_million_tonnes_of_SA_thermal_coal_in_August.html

過去の関連資料

●090910K India, bloomberg
インドのNTPCがインドネシア炭坑開発でコンサルタントを指名
NTPC Hires Macquarie for Indonesia Coal Mine Purchase
http://my.reset.jp/adachihayao/index090910K.htm
●090910L India, tradingmarkets
インドに対してインドネシアが石炭年1600万トン供給合意
INDIA TO IMPORT MORE COAL FROM INDONESIA
http://my.reset.jp/adachihayao/index090910L.htm
○090908F India, bloomberg
インドへの石炭輸出で南アフリカのインドへの輸出量がトップに
South African Coal Exports May Rise on Sales to India
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601116&sid=a41Fv0JydVWE


その他の今日の世界エネルギー関連資料

○090913A Vietnam, saigon-gpdaily
ベトナム首相がソンラ県訪問でソンラ水力など視察
PM urges Son La to develop hydropower
http://www.saigon-gpdaily.com.vn/National/2009/9/74147/
○090913B Pakistan, dailymailnews
パキスタンのタール石炭火力で遂にシンディ州政府が同意
Thar coal energy accord
http://dailymailnews.com/0909/13/Editorial_Column/DMEditorial.php
○090913C Philippines, thepeninsulaqatar
フィリッピンのNPCの料金値上げは10センタボで10月より
Philippines to raise power tariff in October
http://www.thepeninsulaqatar.com/Display_news.asp?section=World_News&subsection=Philippines+%26+South+Asia&month=September2009&file=World_News2009091315241.xml
○090913D India, thehindubusinessline
インドの電力取引PTCは今や46.5%市場を獲得
Power Trading Corporation Buy
http://www.thehindubusinessline.com/iw/2009/09/13/stories/2009091350451100.htm
○090913G China, english.cctv
中国の三峡ダムは長江開発のシンボルの世界の注目
Three Gorges performane
http://english.cctv.com/program/newshour/20090912/103168.shtml

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