ベトナムの紅河デルタの石炭は2000億トン
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
ベトナムの紅河デルタの面積は,10,000平方kmだが,そのうちの3,500平方kmの面積の深さ1,200mの中に,約2,000億トンの石炭が埋もれている。大まかに言って世界の石炭可採埋蔵量は1兆トン,第4位の中国が約11%の約1,100億トン,石炭輸出でよく出てくるオーストラリアと南アフリカでそれぞれ約900億トン,インドネシアは600億トン,であるから,ベトナムの紅河デルタのポテンシャルは驚くべきものだ。
メコン河の流域面積は約80万平方km,それに対してベトナムのハノイに流れ込む紅河は,168,700平方kmである。しかしこの二つの大河の大きな違いは,メコン河がチベットの砂漠を源流としているのに対して,紅河は雲南省の深い森林を源流としている。大昔はどうなっていたのか分からないが,メコンデルタには石炭がなくて,紅河には無限の石炭が埋蔵している,宜なるかな,である。
最近,ベトナムが石炭で悩んでいることは,このサイトでも取り上げてきた。海外石炭に調査団を送るが,何処に行っても,中国とタイの調査団が先着していて有利に話を進めている。いずれも価格が高く,ベトナムは手を出せない,と言っている。良質で大きな石炭埋蔵量を持つベトナムが何を悩んでいるのだろうか。ベトナムの炭坑の分布を見ると,海岸寄りの山に張り付いた形で,デルタを避けて,偏っている。
ベトナムの現在の技術では,紅河デルタの石炭に手をつけることは難しく,生産は伸びない。ベトナムの石炭生産量は年間4,500~4,700万トンで,需要は,2,500~2,600万トンだから,2,000万トンは輸出に回せるが,2012年には,輸出を500万トンまで縮小する必要があるとしている。石炭需要が2015年になると,9,400万トンに跳ね上がる。石炭火力発電所だけで,6,700万トンを必要とする。
ところが,生産は,6,000万トンまでしか上がらない。更に,2020年になると,発電が1億5,000万トンで,全体では,1億8400万トンを必要としているのに,国内生産は,7,000万トンである。現状の炭坑開発では,どうしても将来の需要とのギャップが大きいが,海外の石炭は,ベトナムとしては高価で手が出ない。ベトナムの残された手だては,紅河デルタの石炭しかない,というわけである。
紅河デルタの石炭採掘がどれほど難しいか,素人でも分かる。ベトナムの建設省は,担当のベトコミンをアドバイスしているが,それは,水田には手をつけるな,分散開発をするな,デルタの基礎地盤に大きな影響を与えるな,気候変動問題との関連に留意せよ,などなど。一体,水田を潰さず,基礎地盤に影響を与えずに,どうして石炭を掘れと言うのか。そこで,丸紅と豪企業の石炭ガス化のアイディアが出てくるわけである。
丸紅のサイトを見ても,余り詳しいことは書いてない,契約が終了して,現在方法論を議論しているところだ,としている。豪企業にはノウハウがあるようであるが,オーストラリアの砂漠でガス化するのと,アジアの人口稠密な地域の一つである北ベトナムで,地下石炭ガス化に挑むのは,並大抵の苦労ではなかろう。40億ドル規模のプロジェクトと言うが,しかし,ガス化しか,石炭生産の方法はないだろう。
インドの話は飛ぶが,インド原子力公社NPCILと,GE-日立原子力エネルギーが,原子炉の供給について,2009年1月から協議を始めている,との米国からの情報である。NPCILの選択は,改良型沸騰水型原子炉ABWR,6基で,全部の出力は,9,000MWとなる大型の商談である。現在話し合われているのは,インド及び米国内の規制について,これをクリアするための協議が行われているという。
今日の主なテーマー
●090917B Vietnam, english.vietnamnet
ベトナム紅河デルタの石炭開発は包蔵も大きいがリスクもある
Exploring 210-billion-tonne coal basin: big potential, high risk
http://my.reset.jp/adachihayao/index090917B.htm
http://english.vietnamnet.vn/reports/2009/09/868786/
●090917E India, industrialinfo
インドの電力公社がGE日立に6原子力発電所9000MWを協議
India's NPCIL in Talks with GE-Hitachi Nuclear on Six Nuclear Reactors of 9,000 Megawatts
http://my.reset.jp/adachihayao/index090917E.htm
http://www.industrialinfo.com/showAbstract.jsp?newsitemID=150274
●090917G Indonesia, The Jakarta Post
インドネシア政府は民間企業にも電力供給を容認
Govt to allow private firms to export electricity
http://my.reset.jp/adachihayao/index090917G.htm
http://www.thejakartapost.com/news/2009/09/16/govt-allow-private-firms-export-electricity.html
その他の世界のエネルギー関連ニュース
○090917A Vietnam, nasdaq
ベトナムは北部のマオコエ石炭火力に中国輸銀ローン
Vietnam To Get China Eximbank's Loans For Shipyard, Pwr Projs
http://www.nasdaq.com/aspx/stock-market-news-story.aspx?storyid=200909160032dowjonesdjonline000006&title=vietnam-to-get-china-eximbanks-loans-for-shipyardpwr-projs
○090917C Pakistan, indiatoday.intoday
パキスタンのガスパイプラインから中国はインドを除く策
China may replace India in IPI pipeline project
http://indiatoday.intoday.in/site/Story/61956/LATEST%20NEWS/China+may+replace+India+in+IPI+pipeline+project.html
○090917D Laos, bernama
ラオスに対するマレーシア企業の投資はナムテン1水力など膨大
Vast Potential For Malaysian Investors In Laos
http://www.bernama.com/bernama/v5/newsbusiness.php?id=440817
○090917F India, industrialinfo
インドの電力セクターの資金不足は1020億ドル
Indian Power Sector Faces $102 Billion Shortage of Funds
http://www.industrialinfo.com/showAbstract.jsp?newsitemID=150196
○090917H Pakistan, thenews
パキスタンの競争入札が行われていない2,070億ルピー分は進めないと
Rs 207 billion project not awarded water ministry
http://www.thenews.com.pk/daily_detail.asp?id=198965
今日の日本語エネルギー関連ニュース
ベネズエラ大統領が中国と油田開発を行うと,3年間で約1.5兆円投資
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90003011&sid=aziLlg84_SD4&refer=jp_asia
豪ゴーゴンLNGで,投資比率最終決定,米エクソンモービル,シェブロン,シェル
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2009091700536
水素エネルギー社会の実現へ,産官学が総力で挑む福岡水素戦略リポート
http://eco.nikkeibp.co.jp/article/report/20090916/102200/
原発行政,社民党福島氏の見直し発言に,直嶋経産相「ノー」
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090917k0000e010019000c.htmlhttp://mainichi.jp/select/seiji/news/20090917k0000e010019000c.html
旅行用品の大型ショップ旅の雑貨店
http://hb.afl.rakuten.co.jp/hsc/09ee30fe.7cd4d7ec.09ee30ff.03ee8b2a/
本文
●ベトナム紅河デルタの石炭開発は包蔵も大きいがリスクもある
According to Vinacomin, Vietnam’s need for coal by 2010 will be 25-26 million tonnes. With a total output of 45-47 million tonnes, Vietnam will be able to export 20 million tonnes next year. However, the country will have to reduce coal exports to 5 million tonnes in 2012. This is the reason for Vinacomin’s request to open the Red River Delta coal basin.
メコン河の流域面積は約80万平方km,それに対してベトナムのハノイに流れ込む紅河は,168,700平方kmである。しかしこの二つの大河の大きな違いは,メコン河がチベットの砂漠を源流としているにに対して,紅河は雲南省の深い森林を源流としている。大昔はどうなっていたのか分からないが,メコンデルタには石炭がなくて,紅河には無限の石炭が埋蔵している,宜なるかな,である。
最近のベトナムが,石炭に悩んでいることは分かっていて,海外の石炭を買いに走ったベトナムが,彼方此方で中国に買い占められた跡で,海外調査団が殆ど成果を上げていない。2010年時点で見ると,ベトナムの石炭生産量は年間4,500~4,700万トンで,需要は,2500~2600万トンだから,2,000万トンは輸出に回せるが,2012年には,輸出を500万トンまで縮小する必要がある。
この石炭需要が2015年になると,9,400万トンに跳ね上がる。石炭火力発電所だけで,6700万トンを必要とするが,生産は,6000万トンまでしか上がらない。更に,2020年になると,発電が1億5000万トンで,全体では,1億8400万トンを必要としているのに,国内生産は,7000万トンである。現状の炭坑開発では,どうしても将来の需要とのギャップが大きいが,海外の石炭は,ベトナムとしては高価で手が出ない。
紅河デルタの地下には,実に2,100億トンの石炭が埋蔵していることが分かっている。可採埋蔵量で,中国が,約1,000億トン,インドが980億トン,オーストラリアと南アフリカがそれぞれ900億トン,インドネシアは600億トンだから,この紅河デルタの石炭埋蔵がいかに大きいかが分かる。しかし問題は,問題はどうしてこれを掘るか,という問題である。
このデルタの面積は約10,000平方kmだが,そのうち,ナムディン県(注8),フンイエン県(注9),タイビン県(注10)の3県,約3,500平方kmに石炭埋蔵の可能性が高く,その殆どは水田や住宅地の地下である。ビンミン炭坑(注19),コアイチャウ1炭坑,コアイチャウ2炭坑(注18)など,400mから1,200mの深さまで掘る必要があり,調査費用だけで,約3億8000万ドル,開発には45億ドルを要する大事業だ。
外国企業の協力が必要であり,オーストラリアのリンク・エナージ(注14)と日本の丸紅(注15)が,この紅河デルタの石炭ガス化事業について,ビナコミン(注6)と契約を結んでいるが,丸紅のサイトを見ると,現在方法論の段階である。一方で,ベトナム企業(注16)が,中国企業CMC(注17)と契約して一般採掘方法で手をつけようと契約している状態である。
この紅河デルタの石炭採掘については,ベトナム国内でも議論が盛んで,環境,住民の生活などに大きな影響を与えるとして,ベトナムの科学者達(注21)が警告を発している。ベトナムの建設省は,注意点として,工区を分割するな,水田への影響を最小限にせよ,基礎地盤に大きな影響を与えるな,更には気候変動問題との関連に注意を,と難しい注文を出している。
(注)B (1) 090917B Vietnam, english.vietnamnet,(2) title: Exploring 210-billion-tonne coal basin: big potential, high risk,(3) http://english.vietnamnet.vn/reports/2009/09/868786/,(4) 09:04' 16/09/2009 (GMT+7),VietNamNet Bridge,(5) Red River Delta coal basin,(6) Vietnam Coal and Mineral Group’s (Vinacomin),(7) Ministry of Industry and Trade,(8) Nam Dinh province,(9) Hung Yen province,(10) Thai Binh province,(11) Binh Minh,(12) Khoai Chau 1,(13) Khoai Chau 2,(14) Linc Energy,(15) Marubeni Corporation,(16) Red River Energy Company,(17) China’s Machinery Import Export Corporation (CMC),(18) Khoai Chau coal mine,(19) Binh Minh coal mine,(20) Ministry of Construction (MoC),(21) Union of Vietnam Scientific and Technological Associations,(22) delta map source: http://hanoi-studio-kuleuven.blogspot.com/,(23) mine map source: http://map.infomine.com/map.asp?open_section=PROP,WORL&cmd=MAP&location_id=,(24)
今日の参考資料
●090917B Vietnam, english.vietnamnet
ベトナム紅河デルタの石炭開発は包蔵も大きいがリスクもある
Exploring 210-billion-tonne coal basin: big potential, high risk
http://my.reset.jp/adachihayao/index090917B.htm
http://english.vietnamnet.vn/reports/2009/09/868786/
最近の関連資料
●090823B Vietnam, english.vietnamnet
ベトナムの電力の石炭不足と輸出増強策は明らかな矛盾である
Apparent paradox: Vietnam running short of coal, but pushing exports
http://my.reset.jp/adachihayao/index090823B.htm
●090803E Vietnam, english.vovnews
ベトナムの2009年の石炭生産は4300万トンに達する
Coal sector targets 43 million tonnes this year
http://my.reset.jp/adachihayao/index090803E.htm
●インドの電力公社がGE日立に6原子力発電所9000MWを協議
Nuclear Power Corporation of India Limited (NPCIL) (Mumbai), a state-owned atomic energy enterprise, is holding talks with GE-Hitachi Nuclear Energy (GEH) (Wilmington, North Carolina) to purchase six advanced boiling-water reactors (ABWRs) for the former's nuclear power projects in the country.
米印原子力協定に発したインドの原子力開発であるが,先日も,フランスのアレバからのウラン燃料供給で,やっと既設原子力の稼働率が60%台に乗せる可能性が出てきた,と報じられた。2009年7月のクリントン国務長官のインド訪問の後,どの様な進展があるのか,注目されていたところであるが,インドの原子力公社NPCIL(注5)の動きが米国から伝わってきた。
NPCIL(注5)と,GE-日立原子力エネルギー(注6)が,原子炉の供給について,209年1月から協議を始めている,との情報である。NPCIL(注5)の選択は,改良型沸騰水型原子炉ABWR(注7)6基で,全部の出力は,9,000MWとなる大型の商談である。現在話し合われているのは,インド及び米国内の規制について,これをクリアするための協議が行われているという。
(注)E (1) 090917E India, industrialinfo,(2) title: India's NPCIL in Talks with GE-Hitachi Nuclear on Six Nuclear Reactors of 9,000 Megawatts,(3) http://www.industrialinfo.com/showAbstract.jsp?newsitemID=150274,(4) BANGALORE, INDIA--September 16, 2009--Researched by Industrial Info Resources (Sugar Land, Texas),(5) Nuclear Power Corporation of India Limited (NPCIL),(6) GE-Hitachi Nuclear Energy (GEH) (Wilmington, North Carolina),(7) advanced boiling-water reactors (ABWRs),(8) photo source: http://www.coloradocollege.edu/dept/PC/RepresentativePhy/Pages/Photoshop/Problem%20Pictures/Nuclear%20Plant.jpg,(9) map source: http://www.brynmawr.edu/geology/206/bose_files/image010.jpg,(10)
今日の参考資料
●090917E India, industrialinfo
インドの電力公社がGE日立に6原子力発電所9000MWを協議
India's NPCIL in Talks with GE-Hitachi Nuclear on Six Nuclear Reactors of 9,000 Megawatts
http://my.reset.jp/adachihayao/index090917E.htm
http://www.industrialinfo.com/showAbstract.jsp?newsitemID=150274
最近の関連資料
●090912E India, online.wsj
インドの原子力発電量の伸びで2009年度目標は190億KWh
India Nuclear Power This FY Pwr Generation Target 19,000M Units
http://my.reset.jp/adachihayao/index090912E.htm
●090715A India, bloomberg
インドの原子力問題についてクリントン長官が挑む
Clinton Seeks to Resolve India Nuclear Arms Dispute
http://my.reset.jp/adachihayao/index090715A.htm
●090715C India,steelguru
インド政府は原子力発電への民間参入を認める方向を視野に
Open up nuclear sector in India for private players
http://my.reset.jp/adachihayao/index090715C.htm
●090625B India, Economic Times
インドは原子力開発に関して経済性を考えて国産技術開発を
'India should look at generating cheaper power'
http://my.reset.jp/adachihayao/index090625B.htm
●インドネシア政府は民間企業にも海外への電力供給を容認
Albeit under strict regulations, the govern-ment will now allow private firms investing in electricity generation and distribution to export power. The move is part of government efforts to attract private companies to participate in the power industry, something that did not happen under the monopoly state utility PT Perusahaan Listrik Negara (PLN).
インドネシアから海外へ電力輸出を行うことに限って,インドネシア国会が,民間企業にも,発電と配電の事業の認可を与える,と言うことらしい。d湖が問題になるのか,というと,インドネシア領の西カリマンタン(注7)とマレーシアのサラワク(注8)の間の問題のようだ。この地域は余り関心を払ったことはないが,人口密度が薄いとはいえ,確かに電力輸出の余地はある。スマトラとシンガポールの間もそうなのだろう。
(注)G (1) 090917G Indonesia, The Jakarta Post,(2) title: Govt to allow private firms to export electricity,(3) http://www.thejakartapost.com/news/2009/09/16/govt-allow-private-firms-export-electricity.html,(4) Alfian , The Jakarta Post , Jakarta | Wed, 09/16/2009 2:19 PM | Business,(5) PT Perusahaan Listrik Negara (PLN),(6) J. Purwono, director general for electricity and energy utilization at the ministry,(7) West Kalimantan,(8) Sarawak Energy Bhd (SEB),(9) map source: http://www.aseanenergy.org/energy_sector/electricity/apg/asean_power_grid.htm,(10)
今日の参考資料
●090917G Indonesia, The Jakarta Post
インドネシア政府は民間企業にも電力供給を容認
Govt to allow private firms to export electricity
http://my.reset.jp/adachihayao/index090917G.htm
http://www.thejakartapost.com/news/2009/09/16/govt-allow-private-firms-export-electricity.html
最近の関連資料
●090909H Indonesia, tehrantimes
インドネシアのPLNは発電所建設で更に20億ドルの資金が不足
Indonesia’s PLN still seeking $2b in loans for power plants
http://my.reset.jp/adachihayao/index090909H.htm
●090909I Indonesia, india-server
インドネシアの電源開発にインド企業にも機会をとプルノモ
Indian Firms To Be A Part Of Indonesian Power Expansion Programme
http://my.reset.jp/adachihayao/index090909I.htm
●090822A Indonesia, energy-business-review
インドネシアのPLNは第2次10,000MW開発プログラムを発進
PT PLN Plans Second 10,000MW Power Program In Indonesia
http://my.reset.jp/adachihayao/index090822A.htm
●090822B Indonesia, asiasentinel
インドネシアでは人口の3分の一が電気がなく大統領に期待
Starved for Power in Indonesia
http://my.reset.jp/adachihayao/index090822B.htm
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