HPは下記ドメインです。写真地図など見て下さい。
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
インドの経済誌は,今回のリライアンス,KG流域の深海井,KG-D6ブロック(注7)の天然ガス生産開始に興奮している。世界的にはそれほど大規模ではないのだが,石炭以外は化石燃料に恵まれなかったインドが,7年間をかけて開発を行い,8兆ドルもの大金をかけた夢のプロジェクトだけに,インドのこれからのエネルギー環境を変革するもの,と囃し立てている。
インドは農業国である。緑の革命からその生産を伸ばし,今でも政策的に優遇されている農業セクターは,天然ガス不足に泣く電力を後回しにして,このガスはまず肥料産業に回される。2010年,ピークの日量80百万立方mの生産に達すれば,電力が不足としているガスの半分を,この井戸から賄うことになる。今日のところ,リライアンスから景気のよい声が聞こえていない。
リライアンスは,正式発表はちょっと待ってくれ,と言っているが,何かあったのか,と思ったら,小さい記事で,インド西部沿岸のジャムナガール,そこにリライアンスの石油精製プラントがあるが,これが小火を起こしたようで,それのかまけて発表が遅れているのではないか。火災は30分間だけで負傷者もなく,製品の供給は通常通り行われているという。
生産量を要約する。最初の1ヶ月の生産量は,10mmscmdであるが,15mmscdmdが肥料工場に配分される。2009年末には生産は,80mmscmdに達する。次に待っているのは電力で,2009~2011年のインドのガス需要の10%,更に続いて11%程度を供給する,としている。このKG流域のガス埋蔵は,約6兆立方フィートと言われているが,今後も投資が続けられるので,まだ確認埋蔵量は伸びて行くだろう。
ブータンの,1,200MWのプナチャンチュ第1水力プロジェクトは,インドとブータンの二国間関係によって開発されることになり,インドのコントラクターがダム関係を,約250億円相当で請け負った,L&T社である。我々も2度も現地に足を運び,Jパワーのサムライ達が2年間に亘って調査を行ったプロジェクトだけに,思い入れがある。今日のHPには,古い写真を引っ張り出してきて,貼り付けておいた。
本文
●フィリッピンのNPCとPSALMが運転委託で合意書締結
The National Power Corporation (Napocor) and the Power Sector Assets and Liabilities Management Corporation (PSALM) recently signed an Operations and Management Agreement (OMA). The agreement paves the way for the future role of Napocor after all of the power generation facilities under its ownership in the main grids have been privatized. (冒頭原文引用)
フィリッピンの電力自由化過程,国家電力公社NAPOCOR(注5)とPSALM(注6)は,運転運用合意書OMA(注7)に署名した。NAPOCOR(注5)によると,この合意書OMA(注7)は,電気事業改革法EPIRA(注8)に基づいて,PSALM(注6)とNAPOCOR(注5)の関係を確立したものだ,と。NAPOCOR(注5)の従業員には,従来通りの待遇が用意されていると。電源資産売却後のNAPOCOR(注5)の行き方を示している。
この記事全体は,どうも,発電資産を売却後も,その売却された発電所の運転と運営を,NAPOCOR(注5)が請け負う,と言うことらしい。即ち,発電所売却で,資本関係や設備の改造,増設は,買い取り先が行うが,運転の実際は,NAPOCOR(注5)の人員を,資本企業が運転委託する形で,従業員の仕事は保証されている,と理解してよいのだろう。
(注)A (1) 090402A Philippines, Manila Bulletin,(2) title: Napocor signs O&M agreement with PSALM, defines future role,(3) http://www.mb.com.ph/articles/200779/napocor-signs-om-agreement-with-psalm-defines-future-role,(4) By JAMES A. LOYOLA,March 30, 2009, 3:41pm,(5) National Power Corporation (Napocor),(6) Power Sector Assets and Liabilities Management Corporation (PSALM) ,(7) Operations and Management Agreement (OMA),(8) Electric Power Industry Reform Act (EPIRA).,(9) Omnibus Electricity Reform Bill,(10) Sec. 49 of EPIRA and Rule 21, Sec. 1 of IRR; Section 55 (a) and (e), Rule 21, Section 11(a) of the EPIRA IRR, Section 47 (j) and Section 5(q), Rule 21 of the EPIRA IRR,(10) Department of Finance,(11) Department of Energy,(12) An Oversight Committee,(3)
●ブータンのプナチャンチュ水力のダム工事はインドのL&T社へ
ブータンとインドが協力して,2020年までにブータンの水力を11,576MW開発する,との両国の合意は,2009年3が26日付本HP(注12)で報じたとおりである。内容は詳細で,10のうち6プロジェクト,9,340MWは,二国間政府協力,インドからブータンへの40%無償,60%借款,で,残りの4プロジェクト,2,236MWは,両国公社間の合弁という。この1,200MWのプナチャンチュ第1水力(注6)は,この二国間政府協力の一つ。
L&T社(注5)は,ムンバイ籍の,インドの主導的なコントラクターの一つで,今回,1,200MWのプナチャンチュ第1水力(注6)の工事の一部を,124.5億ルピー,約2.45億ドル相当,で請け負った,と発表した。インドとブータンの両国は,首都ティンプー(注8)から東80kmの地点,プナチャンチュ川沿いに,プナチャンチュウ開発庁PHPA(注7)を置いている。
L&T社(注5)が請け負った部分は,仮排水路トンネル,ダム本体,取水口,排砂設備とそれに関連する機器類である。L&T社(注5)の建設部(注9)によると,工期は66ヶ月である。L&T社(注5)にとっては,完成した1,020MWのタラ水力(注10)に次ぐ,ブータンに於ける二つ目の仕事である。エンジニアリングは,WAPCOS(注11)が担当する。他に,導水路と発電所の仕事があるはずだ。
(注)B (1) 090402B Bhutan,rttnews,(2) title: L&T Secures Rs.1,245 Cr. Hydropower Project From Bhutan,(3) http://www.rttnews.com/ArticleView.aspx?Id=900492&SMap=1,(4) 4/1/2009 4:02 AM ET ,(RTTNews), - by RTT Staff Writer,(5) Larsen & Toubro Ltd., or L&T,(6) 1,200MW Punatsangchhu-I Hydroelectric Project,(7) Punatsangchhu-I Hydroelectric Project Authority or PHPA,(8) Punatsangchhu River,(8) Thimpu,(9) L&T's Construction Division,(10) 1,020 MW Tala Hydroelectric Project,(11) WAPCOS Ltd.,(12) http://my.reset.jp/~adachihayao/index090326B.htm,(13)
●インドのリライアンスがKG流域ガスの生産開始
Reliance Industries is believed to have started natural gas production on Wednesday from its deep-sea Krishna-Godavari basin fields, a move that has the potential to transform India's energy landscape. The company, however, did not officially make any announcement today, with a spokesperson saying Reliance will make a formal statement in this regard tomorrow morning. (冒頭原文引用)
インドの天然ガスにとっては歴史的な日である。記事は簡単であるが,リライアンスからの正式発表はまだなされていない。KG流域ガスについては,2009年3月30日付本HP(注11)で詳しく取り扱っている。2009年末には生産は,80mmscmdに達する。次に待っているのは電力で,2,3日内に契約が成立,KGD6ガス(注6)は,2009~2011年のインドのガス需要の10%,更に続いて11%程度を供給する,としている。
この水曜日,2009年4月1日,リライアンス(注5)は,KG流域ガス田(注6)の深海井から生産を開始したが,これはインドのエネルギーの展望に大きな変革をもたらすものである。このガス供給開始は,燃料不足に悩む火力発電所ばかりでなく,農業生産と密接に関係する肥料産業への貢献,また,政府にも分配やロイヤリティから,井戸の耐用年数間,280億ドルの歳入をもたらすことになる。
リライアンス(注5)は,この深海井,KG-D6ブロック(注7)の開発に7年間を要したわけで,シバール次官(注8)は,深海からの生産という意味で世界的な事業である,と語っている。2010年のピーク達成時には,この8兆8350億ドルを費やしたプロジェクトは,インドの天然ガスの生産を倍増することになる。肥料産業へは十分な供給を果たし,電力には,不足量36mmcmdの半分を供給する。
(注)C (1) 090402C India, Economic Times,(2) title: RIL's KG-D6 block gas project goes on steam,(3) http://economictimes.indiatimes.com/News/News-By-Industry/Energy/RILs-KG-D6-block-gas-project-goes-on-steam/articleshow/4346393.cms,(4) 1 Apr 2009, 2157 hrs IST, PTI,NEW DELHI:,(5) Reliance Industries,(6) Krishna-Godavari basin fields,(7) KG-D6 block,(8) Director-General of Directorate General of Hydrocarbons V K Sibal,(9) photo 1 source: philip9876.wordpress.com/2008/09/22/,(10) photo 2 source: www.lngworldwide.com/enlarge.asp?id=101,(11) http://my.reset.jp/~adachihayao/index090330.htm,(12)
参考資料
●090402A Philippines, Manila Bulletin
フィリッピンのNPCとPSALMが運転委託で合意書締結
Napocor signs O&M agreement with PSALM, defines future role
http://www.mb.com.ph/articles/200779/napocor-signs-om-agreement-with-psalm-defines-future-role
●090402B Bhutan,rttnews
ブータンのプナチャンチュ水力はインドのL&T社へ
L&T Secures Rs.1,245 Cr. Hydropower Project From Bhutan
http://www.rttnews.com/ArticleView.aspx?Id=900492&SMap=1
●090402C India, Economic Times
インドのリライアンスがKG流域ガスの生産開始
RIL's KG-D6 block gas project goes on steam
http://economictimes.indiatimes.com/News/News-By-Industry/Energy/RILs-KG-D6-block-gas-project-goes-on-steam/articleshow/4346393.cms
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