中国の姜楡報道官の記者会見とスリランカ
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http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
「エコポイント」が今日のキーワードか。それにしても経済産業省のエコポイントに関する記者会見は,格好が悪かった。傑作なのは,エコポイント制度を補正予算で採用する,と言うニュースが流れた途端,買い控えが起こって,商品の売れ行きが急に悪くなった,という(注)。そこで慌てて記者会見を行い,「エコポイント」は何に使えるか,全く目処が立っていないけれど,とにかく5月15日からポイントを発効する,という付け焼き刃。
民主主義国家というのはこういうものだろうか,サプライズ効果が殆ど期待できない。しかし,もう少し頭を柔らかくして検討すれば,よい方法があると思う。一括した補正予算の中の一項目で,例えば数千億円を予算で取り,何に使うかまだ分からない,と言う形にして,政府内部でシステムを作り上げてから,補正予算成立と共に,エコポイントを打ち出すとか。買い控えは当然読み切らなければならないことだろう。まあ,大したことないか。
世界の美人政治家の格付けで,日本の市会議員が一番になった,と言うニュースが流れていたが,その時,高い順位につけたのが,中国の姜楡報道官である,ジアンユと発音するが,楡の文字は少し違う。その姜楡報道官が,このときしかない,というタイミングで,スリランカ支援を,またこれも記者とのやらせかも知れないが,質問に答えた,まさにスリランカ正規軍が,LTTEに対して24時間の最後通告をしたときである。
まだ決着が着いたとの報道はないが,スリランカの石炭火力建設で微妙な関係にあったインドは,嫌な顔をしている。姜楡報道官は,同時に,ネパールのプラチャンダー首相にも触れており,まさに中国の裏庭への強い調子の発言,スリランカ,ネパールとも中国の友好国,と発言し,インド企業が苦労しながら入っているネパールの水力開発に,全面的な支援を行うという。
ソマリアの海賊問題にも触れているが,このインド洋も,考えてみればインドの海であり,インドはこの海域を通じてトルコのLNGを輸入しようとしている。がっちりと回りを押さえ込んでくる中国の外交力は,さすがである。特にネパールの問題で微妙なのは,マオイストの軍隊を武装解除せずに正規軍に編入出来るのかどうか,ネパールのもっとも微妙な問題を,毛派首相プラチャンダーの決断支持を,姜楡報道官は断言している。
なお,タイの記事で,タイが見ている燃料価格が出ているので,再掲しておく。政府のエネルギー部門(注17)によると,輸入石炭価格は,2008年のトン82.10ドルに対して,現在は70ドルであり,天然ガスは,百万Btu当たり,2008年が250バーツ,約7.03ドル相当,であったものが,現在は,235バーツ,約6.61ドル相当,となっている。
(注) http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200904230022a.nwc
本文
●タイの発電企業GLOWが石炭火力など510億バーツ投資へ
Belgium-based Suez Tractebel S.A. will spend 51 billion baht through its Thai subsidiary, Glow Energy Plc (GLOW), aiming to increasing power production capacity by 67% by 2011. Once its power plants are complete, the company's total capacity would rise to 3,275 megawatts, from 1,966 MW this year, said Glow's Suthiwong Kongsiri, Glow's executive vice-president and chief financial officer.
今朝の新聞の片隅に目をやっていると日本の所得収支が貿易収支を抜いた,と書いてあった。この所得収支というのは,海外でのIPPを進める商社や電力企業が,ある程度の貢献をしているのだろう。今日は久しぶりの政治混乱の続くタイからの報道である。その対象は,ベルギー企業のSUEZ(注5)のタイの子会社であるGLOW(注6)である。GLOW(注6)は,2011年までに発電能力を67%増大させる計画である。
GLOW(注6)のスティオン副社長(注7)によると,現在計画中の発電所が完成すれば,現在の発電能力,1,966MWが,3,275MWに増大する,としている。このSUEZ(注5)グループのタイの企業は,地域の中でもこの3年間でもっとも大きな飛躍を約束されていると。最大のプロジェクトはラヨン(注9)の,660MWのGHCO-ONE(注8)の石炭火力,総事業費261億バーツである。
GLOW(注6)は,2011年11月運転開始のIPP(注10)許認可を獲得している。他の計画は,165億バーツ,328MWのガス火力,70億バーツ,115MWの石炭火力で,いずれもラヨン(注9)に位置し,2011年に運転に入る計画である。また残りの15億バーツは,2001年よりタイのEGAT(注15)に買電しているラオスのファイホー水力発電所(注14)の資本獲得に当てられる。
スティオン副社長(注7)によると,2005年にタイ証券市場(注16)に上場して以来,拡大を続けてきたが,次の3年間は特別に急拡大となる計画で,今年から方針が激変する,と言っている。またGLOW(注6)は,東北タイで,風力発電の可能性調査を実施しており,2010年半ばに決断したいとしている。調査が順調にいけば,規模は60MWで,MW当たり2億ドルの予定である。
GLOW(注6)は,2009年の売り上げは,2008年の337億バーツを僅かに下回る可能性があると。しかし,天然ガスと石炭価格の低下で,純利益は大きく上昇すると。政府のエネルギー部門(注17)によると,輸入石炭価格は,2008年のトン82.10ドルに対して,現在は70ドルであり,天然ガスは,百万Btu当たり,2008年が250バーツ,約7.03ドル相当,であったものが,現在は,235バーツ,約6.61ドル相当,となっている。
従って2008年には,純益は,その前年,2007年の37.8億バーツから12%下げている。トリス格付け(注19)では,EGAT(注15)からの長期電力販売契約で,確実なキャッシュフローにより,保証債(注20)も格付けAとなっている。株式市場では,昨日,1バーツ上がって一株21.90バーツ,取引高67.6百万バーツで終わっている。
(注)A (1) 090423A Thailand, Bangkok Post,(2) title: Glow committed to B51bn expansion,(3) http://www.bangkokpost.com/business/economics/15497/glow-committed-to-b51bn-expansion,(4) By: YUTHANA PRAIWAN,Published: 23/04/2009 at 12:00 AM,Newspaper section: Business,(5) Suez Tractebel S.A,(6) Glow Energy Plc (GLOW),(7) Glow's Suthiwong Kongsiri, Glow's executive vice-president and chief financial officer,(8) Gheco-One,(9) Rayong,(10) independent power producer (IPP),(11) 660-megawatt coal-fired power plant,(12) 328-MW gas-fired plant,(13) 115-MW coal-fired plant,(14) Houy Ho hydropower plant,(15) Electricity Generating Authority of Thailand (Egat),(16) Stock Exchange of Thailand,(17) Department of Energy Business,(18) million British Thermal Units,(19) Tris Rating,(20) guaranteed debentures,(21)
参考資料
●090423A Thailand, Bangkok Post
タイの発電企業GLOWが石炭火力など510億バーツ投資へ
Glow committed to B51bn expansion
http://www.bangkokpost.com/business/economics/15497/glow-committed-to-b51bn-expansion
最近の関連事項
●090219A Thailand, Bangkok Post
タイのラチャブリ電力が2009年の拡張計画で128百万ドル
Thai Ratchaburi to spend $128 mln on 2009 expansion
http://my.reset.jp/~adachihayao/index090219A.htm
●090213A Thailand, Bangkok Post
タイの経済の落ち込みで,EGATは電源投資を減額へ
Slowing demand means savings for Egat
http://my.reset.jp/~adachihayao/index090213A.htm
●090201A Thailand, the nation
タイのEGAT,マモーの石炭生産で,許認可取得,890億バーツ
Egat gets go-ahead for further Mae Moh mining
http://my.reset.jp/~adachihayao/index090201A.htm
●スリランカなどについて中国ジアンユ報道局長が支援すると
美人の誉れ高い中国のジアンユ報道官が,記者団を前に突然,スリランカ,ネパール,ソマリアなど,近隣の問題国に対する強力な支援の姿勢を打ち上げた。特にスリランカは,LTTEの命運が今日明日の迫っており,また,ネパールについては,毛派という関係もある,またソマリアの海賊問題については,海軍艦艇を最初の急行させたのは,中国海軍である。なお,この会見には,インドが若干微妙な反応を示している。
ジアンユ報道官(注9)は,強い調子で,スリランカ政府が現在行っている努力,反政府ゲリラLTTE(注5)の駆逐とその首領プラバカラン(注6)の逮捕に関し,スリランカ政府を強力に支援する,と述べた。また同時に,2009年5月2日にも2度目の北京訪問に飛び立つ,ネパールのプラチャンダー首相(注7)の決断,彼の毛派軍隊を,ネパール正規軍に編入することの決定を支持する,とした。
ジアンユ報道官(注9)は,スリランカ,ネパールとも,中国にとっては友好国であり,スリランカとネパール両国の国家主権を尊重し,治安と平和安定を望む,とまさにインドの裏庭にある両国への強い支援の姿勢を繰り返した。スリランカ政府が,24時間を最終期限として,LTTE(注5)の首領プラバカラン(注6)への投降を促す最後通告に併せて,記者団の質問に答えたものである。
また,ネパールに対しては,中国のネパール支援を50%増し,23百万ドルとする約束で,友好度が最高潮に達した時点で,この発言がなされている。この中には,インドは国境を接するこのヒマラヤの国への水力開発投資も視野の中に入ったものである。また,ソマリア(注10)の海賊問題に対しても,国際社会に強いメッセージを発している。
(注)B (1) 090423B Srilanka, dailymirror,(2) title: Fight against LTTE China backs Lanka,(3) http://www.dailymirror.lk/DM_BLOG/Sections/frmNewsDetailView.aspx?ARTID=46867,(4) BEIJING:,(5) Liberation Tigers of Tamil Eelam (LTTE),(6) V. Prabhakaran,(7) Nepal's Prime Minister Pushpa Kamal Dahal Prachanda,(8) Maoist forces,(9) Jiang Yu, spokeswoman for the Chinese foreign ministry,(10) Somalia,(11)
参考資料
●090423B Srilanka, dailymirror
スリランカなどについて中国ジアンユ報道局長が支援すると
Fight against LTTE China backs Lanka
http://www.dailymirror.lk/DM_BLOG/Sections/frmNewsDetailView.aspx?ARTID=46867
過去の関連事項
●090420C Nepal, thaindian
ネパールの首相の訪中で中国が支援の豪雨
China rains aid ahead of Nepal PM’s visit
http://my.reset.jp/~adachihayao/index090420C.htm
●090401B Nepal, uk.reuters
ネパールの水力開発でダハール首相がインドが鍵を握っている
India key to Nepali hydropower ambition, PM says
http://my.reset.jp/~adachihayao/index090401B.htm
●090331C Nepal, myrepublica
ネパールの10000MW水力で2兆ルピーが必要
10,000 MW will cost Rs 2 trillion: Govt taskforce
http://my.reset.jp/~adachihayao/index090331C.htm
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