ラオスのメコン本流コーン滝開発と漁業
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http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
深夜テレビを見ていたら,1933年,私の生まれる前々年,即ち76年前に,1929年の世界不況を受けて,同じくロンドンで列国が集まって金融会議を行い,決裂,その6年後に,1939年に世界は第2次大戦に突入していったという。昨日,2009年4月2日までのロンドンで開催されたG20も,外は,米国など経済運営への抗議で,失業者によるデモが渦巻いていたという。
米国と欧州の対立はあるとしても,最大の焦点は中国の湖錦濤主席の出方だったのであろう。基軸通貨の議論は収まったとしても,中国のポジションの取り方には,大いに関心のあるところだが,結局,中国の主張は,今まで慎重だったIMFへの400億ドルの拠出表明で,世界の行く先はある程度見えた,と言うことか。要するに中国は,既存組織の中での新たな役割を主張して行く,安全な方向,と言うことに,私は感じた。
「官民協同型PPP」,と言うのがキーワードになり,米国では債権買い取りで官民の協力を打ちだしたが,債権は結局残るわけで,その後どうするかが問題だ,と日銀総裁候補だった武藤さんがテレビで言っていた,私もそう思う,右から左に動かしただけだから。でも右から左へ動かす間に波及効果が起これば,という話だろう。太陽光などは基本的に経済の足を引っ張るわけだから,そこに税金が入れば,何か波及効果が,の期待なのだ。
昨日は,経済産業省のアジアでのインフラ整備を支援するファンド創設などの政策案が明らかになった(注)。官民協働型(PPP)と呼ばれるやり方でアジアのインフラ整備が不可欠と判断した,としている。1997年,アジア金融危機直前の構造審議会のような感じもするが,2,000億円では全然足りないのではないか,発電所一つ出来ないわけだから,官民と言うからには,もう少し枠組みを大きく考えてはどうか。
メコン河の,ラオスとカンボジアの国境にある滝,コーンフォール。最初のフランスのメコン踏査隊が行きどまったところだが,魚類はそこを上っていくらしい。マレーシア企業が,ドンサホン計画と称して,流れ込み式,240MW~360MWの水力発電所を考えている。調査報告書は既にラオス政府に上がっているらしい。よくできた報告書だが,魚類への影響が問題,と言っている。
今日の記事にも出てくるが,プロジェクトの近くの村民は,漁業がどうなるのか心配しているが,それでも彼等は政府の決定には逆らわない,と言っている。政府がよいかどうか,自分達のことも含めて判断してくれる,と言っている。ラオスの人々の穏和な性格。ラオスの環境庁も,報告書を見ながら検討しているが,漁業の話には手を焼いているようだ。不特定多数への補償,と言うのは,プロジェクトがもっとも苦手としているところ。
流水の問題は比較的分かりやすく,連続の方程式一本で解けるが,その流水の中を流れたり動いたりする流砂と魚類は曲者だ。それはプロジェクト近傍だけでは解決できないから,話が何処まで広がるか分からない。これはNGOも主張していることだが,水系一貫の調査が必要。だから日本では,例えば黒部川は関電,熊野川は電発,と分けて開発を行ってきた,メコン河はそうは行かないところに難しさがある。
(注) http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200904030015a.nwc
本文
●ラオス南部の村人達は密かにダムか魚かどちらが大事と
On the banks of a remote section of the Mekong River in southern Laos, an area known as Siphandone, villagers quietly debate the question, which is more important to Laos: fisheries or building dams? The debate has been going on ever since a proposal by the Lao government to construct a hydropower dam on this section of the Mekong mainstream, which could have serious impacts on fish stocks that have fed local families for centuries. (冒頭原文引用)
メコン河(注5)の離村,ラオス南部のシャンドン村(注6)で知られる地区では,村人達が,密かに,魚とダムとどちらが大切なのか,議論している。この村人の議論は,ラオス政府がここにメコン本流の初めてのダムを建設する提案をしてからで,何世紀にも亘って続けられてきた村人達の漁業に,深刻な影響が出る可能性があるからだ。各国で,このチベットに発する4,880kmの本流にダムを造るべきか,議論が巻き起こっている。
問題になっている地点は,カンボジアに流れ込む,所謂ラオス人がホー(注8)と呼んでいる,網目状の複雑な流れの中で,チャンパサック県のシオアドン(注7)に位置するコーンの滝(注7)の位置である。この地点は,4月から5月の乾期,水位がもっとも低下する時期に魚類が唯一通過できる深い川底で,ホーサホン(注9)と呼ばれている箇所だ。
カンパオ(注11)と呼ばれているダムサイト近くのドンサダム村(注10)の人々は,決してダムに反対しているわけではない,と言いながら,漁業への影響をもっとも心配している人々だ。このホーサホン(注9)に依存している人々は,約2,000人だ,と地方の役所は見ている。村人は,伝統的に政府の決定には反対しない,と言いながら,政府が漁業に対する影響調査を慎重に行うことを願っている。漁業なしでは生きていけない人々だ。
村人の一人は,昨年,このホーサホン(注9)で捕った魚類は約2トンで,3万キップを得た,と話している。この10年間で人口が伸びたことと,商業用漁獲の伸びで,個人の漁獲高は落ちていると。ラオス政府は,2006年3月に,マレーシア企業,メガファースト(注12)と,ドンサホン水力プロジェクト(注13)の調査を委託することで合意している。2008年2月にはBOT方式(注14)で開発することで,署名している。
メガファースト(注12)がマレーシア証券市場に報告した内容によると,ドンサホン水力プロジェクト(注13)は,カンボジア国境から2km,流れ込み式(注15)の開発方式で,出力は,240~360MWで,電力は,ラオスのみでなく近隣諸国に売電する,としている。意志決定の過程では,チャンパサック県(注7)の上層部は係わったが,公聴会もビエンチャンで行われただけで,シハンドン(注6)の住民には,特に相談はなかったと。
今年,2009年初めの状況は,ラオス政府は,ドンサホン水力プロジェクト(注13)を推進する構えである。技術陣からは,魚類への影響は,チャンパサック県(注7)のみならず,上流のサバナケット県(注16))にも及ぶだろう,と意見が出ている。下流部最初の本流開発で,カンボジアからも,国際的にも,関心が高まっている。カンボジアのNGOも,イラワジイルカ(注17)の生息地で,反対,また,世界漁業センター(注18)も反対している。
ラオス政府の水資源環境庁のボラチット女史(注19)によると,調査報告書は受け取っているが,まだ承認していない状況であると。しかし,流れ込み式なので,大きな影響はなかろう,との意見である。報告書では,14世帯,80人が移住する必要があると。ボラチット女史(注19)は,報告書は調査をよくやっているが,魚類の移動調査については不十分,と言っている。出来るだけ影響が少ない方向で検討して貰うと。
ラオスの鉱工業エネルギー省のカムチャン次席(注20)は,金融危機のため,進捗していないと。ドンサホン水力プロジェクト(注13)の電力の買い手であるタイは,まだ買電に同意していない,銀行も融資を渋っていると。ラオスは地域のバッテリーを辞任しているが,近隣諸国も電源に力を入れているので,必ずしも順調ではない。ラオス政府は,タイ,中国,マレーシアの企業に,本流開発の調査を認めている。
(注A) (1) 090403A Laos, australia.to,(2) title: Quietly, Worried Villagers Debate Dam Impact,(3) http://www.australia.to/index.php?option=com_content&view=article&id=7978:development-laos-quietly-worried-villagers-debate-dam-impact&catid=88:in-depth,(4) Written by E Souk - Newsmekong,VIENTIANE, Apr 2 (IPS) -,(5) Mekong River,(6) Siphandone,(7) Khone Falls, Siphandone in Champasak province,(8) ‘hoo' in Lao,(9) Hoo Sahong,(10) Done Sadam,(11) Khampao,(12) Mega First Corp. Berhad,(13) Don Sahong project,(14) build-own-operate basis,(15) run-of-river project,(16) Savannakhet province,(17) Irrawaddy dolphins,(18) World Fish Centre,(19) Lao Water Resource and Environment Authority, Bounkham Vorachit,(20) deputy director of the energy department of the Lao Ministry of Mines and Energy, Khamchan Phalayok,(21) (*This story was written for the Imaging Our Mekong Programme coordinated by IPS Asia-Pacific.),(22) photo and map source: http://www.internationalrivers.org/files/Don%20Sahong%20Fact%20sheet%20Sept%202008%20ENGLISH.pdf,(23)
●中国甘粛省の240MWのビングリン水力がCDM認証
World largest hydropower CDM project launched in Gansu Bingling Hydropower Clean Development Mechanism (CDM) project, the world's largest hydropower CDM project, has been launched in Northwest China's Gansu province.Bingling Hydropower station has a total installed capacity of 240 megawatts and will reduce greenhouse gas emissions by 760,000 tons per year. (冒頭原文引用)
中国のビンリン水力発電プロジェクト(注8),単機48MWのチューブラータービン5機,合計出力240MW,であるが,世界最大規模の水力発電所CDMらしい,中国北西部の甘粛省(注6)の黄河(注11)上にある。温暖化ガス排出抑制量は,年76万トンである。甘粛省電力投資公司(注10)にとって初めての水力CDM。
2005年6月に着工し,2008年5月に,イタリーの電力大手ENEL(注13)と,CDM買取契約(注12)を交わしている。2009年2月に,国連のCDM委員会UNECC(注14)で承認された。11mぐらいの低落差で,貯水池がない。
(注B) (1) 090403B China, istockanalyst,(2) title: World largest hydropower CDM project launched in Gansu,(3) http://www.istockanalyst.com/article/viewiStockNews/articleid/3165702,(4) Wednesday, April 01, 2009 9:56 AM,Apr. 1, 2009 (Xinhua News Agency) --BEIJING, April 1 (Xinhua) ? (Source: iStockAnalyst ),(5) Clean Development Mechanism (CDM),(6) 甘粛省,Gansu province,(7) Bingling Hydropower Clean Development Mechanism (CDM) project,(8) Bingling Hydropower station,(9) greenhouse gas emissions,(10) Gansu Power Investment Bingling Hydropower Development Co., Ltd,(11) Yellow River,(12) Certified Emission Reduction Purchase Agreement,(13) Enel,(14) Executive Council of CDM projects of the UN,(15) map source: http://cdm.unfccc.int/UserManagement/FileStorage/NOX4QP572TSAIEG0J9ZYL8C6RD1BWH,(16) photo soyrce: pro.corbis.com/images/42-18048125.jpg?size=67.,(17)
参考資料
●090403A Laos, australia.to
ラオス南部の村人達は密かにダムか魚かどちらが大事と
Quietly, Worried Villagers Debate Dam Impact
http://www.australia.to/index.php?option=com_content&view=article&id=7978:development-laos-quietly-worried-villagers-debate-dam-impact&catid=88:in-depth
●090403B China, istockanalyst
中国甘粛省の240MWのビングリン水力がCDM認証
World largest hydropower CDM project launched in Gansu
http://www.istockanalyst.com/article/viewiStockNews/articleid/3165702
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