2009年4月17日金曜日

インドの水力は技術者不足で遅れ

インドの水力は技術者不足で遅れ
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http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm

今日,2009年4月17日,東京で,パキスタン支援国会議が行われ,速報が出されているが,各国併せて40億ドル,日本は10億ドル,と報道されている。しかし実は,ザルダリ大統領は,ドバイで開かれた専門家レベル会議で既に,300億ドルの要請を出しており,表向き,日本政府の手前,40億ドルで手打ちが出来ても,デフォルトの危険など,300億レベルの話にならなければ決着がついたとは言えないようだ。

ザルダリ大統領は,新聞記者を通じて,日本とパキスタンの継続的で定期的な協議の場を提案しており,日本としては10億ドルで手を打った,とは言えない状況だろう。アフガニスタンへの軍事支援が出来ない場合のことを考えると,パキスタンに対する日本の負担は,まだこれからの話し合い,と言う感じ。皆さんが,アフガニスタンのためのパキスタン,と言っているが,反発も出ている。

昨夜のNHKで緒方理事長と国谷さんが対談していたが,緒方さんも,アフガニスタンのためではないですよ,と言っていた。緒方さんが随分お元気そうなので驚いたが,ただ,「私たちはパキスタンには入れませんからね,どこかに現地など,よいNGOがいませんかね。」,は少し問題発言ではないか。自分たちが入れないのに,パキスタンを支援するために主導権を持って東京で会議を開く?ちょっとこれは納得できないですね。

息子達のために億の保険に入って,ビルマ軍に周囲を十重二十重と守って貰って,その中でダム基礎のボーリングをしたり,カンボジアのポルポト残党を追うカンボジア大隊の背後から,地雷を飛び飛び,ダムサイトまで行ったり,また東電の場合はテロ荒れ狂うバグダッドに入って電力調査など,それぞれ日本のエンジニアー達は侍の末裔だ,どこかNGOがいないか,のトップの発言は,JICA軟弱と言われかねない。

今日のインドのニュースは,思うように水力開発が進まないのは,技術者の不足だ,と言っている。要するに,詳細報告書が出来てから,プロジェクトが完成するまでに8年間を要する,今日,詳細報告書が出たとしても,もう,2012~2017年の第12次五カ年計画内に納めることは不可能,政府も,30,000MWの水力開発を,25,000MWに落としてもまだ危ないという。

詳細設計報告書の審査と環境省の審査に3,4年というのを改めればよいのだが,官僚主義コチコチのインドは,そうも行かないのだろう。要するに,開発本体はいても,現地調査を含めた報告書を造るコンサルタントが不足しているというのだ。それが本当なら,ちょっと出かけていって手伝って,序でに旨くいけば,資本参加もする,というような挑戦はどうですか,インドの山奥はすごく面白いと思いますよ,人類最後の挑戦に参戦しては。


本文

●ネパールの水力開発でインド企業が再び苦況に

Two Indian companies that broke the ice in Nepal’s highly politicised hydropower sector last year by bagging contracts to develop two separate projects that together would generate over 700 MW are in hot water again following opposition by local groups.

ネパールの毛派の政権獲得で,一挙にネパールの水力開発に火がつき,ダハール首相の,10年間で10,000MW開発の号令と共に,先陣を切ってネパールに入ったのは,待ちかまえていたインド企業である。一時は,外国企業に任せてよいのか,とのネパール国会の議論もあったりしてもたついていたが,今度は,地元の急ごしらえの環境団体と衝突している。

昨年,2008年に政治外交の氷を割って,ネパールに入ったインド企業は,二つのプロジェクト,7000MWの開発で契約を結んだが,ここに来て,地域のグループの反対に出くわした。インドのGMR(注5)は,300MWのアッパー・カルナリ水力プロジェクト(注6)について,ネパール新政権より,進めの指示を受け取ったが,最初は法律的な問題で,今度は地域のグループの反対に遭遇している。

また,インドのSJVN(注8)は,402MWのアルン第3水力プロジェクト(注9)を獲得したが,現地住民の反対に遭っている。アルン渓谷原住民フォーラムAVAIPRF(注10)は,最近組織された反対グループだが,首都カトマンズに押しかけて,移住後の住民の生活について何も聞かされていない,と気勢を上げている。またこのフォーラムは,チベット国境付近の北部サンクバサフバ地区(注11)の貴重種の保護の問題も指摘している。

このフォーラムは,関係閣僚への直訴まで行っている。もしマオイストの内閣が受け付けてくれなければ,プロジェクトの反対行動に出る,と脅かしている。ネパールはヒマラヤからの豊富な水で,43,000MWの包蔵水力を持ちながら,資金不足と政治的混乱から,僅か1%しか開発できていない。国内の電力事情は最悪で,毎日18時間が停電している。

地元企業は大規模プロジェクトを開発するには資金不足で,一方で外国企業は地元民の反対に遭遇するという厳しい状況だ。ネパールでもっとも古くより準備が行われているのは,オーストラリア企業(注13)による,750MWのウエスト・セティ水力プロジェクト(注12)である。

(注)A (1) 090416A Nepal, sindhtoday,(2) Indian hydropower investors face fresh trouble in Nepal,(3) http://www.sindhtoday.net/south-asia/87630.htm,(4) Apr 16th, 2009 | By Sindh Today | Category: India, UnCat,Kathmandu, April 16 (IANS),(5) GMR Group,(6) 300 MW Upper Karnali project,(7) Bangalore,(8) Satluj Jal Vidyut Nigam,(9) 402 MW Arun III project,(10) Arun Valley Adivasi Indigeous People’s Rights Forum,(11) northern Sankhuwasabha district,(12) West Seti,(13) Australian West Seti Hydro Ltd,(14) 

参考資料

●090416A Nepal, sindhtoday
ネパールの水力開発でインド企業が再び苦況に
Indian hydropower investors face fresh trouble in Nepal
http://www.sindhtoday.net/south-asia/87630.htm

関連事項

●090401B Nepal, uk.reuters
ネパールの水力開発でダハール首相がインドが鍵を握っている
India key to Nepali hydropower ambition, PM says
http://my.reset.jp/~adachihayao/index090401B.htm
●090331C Nepal, myrepublica
ネパールの10000MW水力で2兆ルピーが必要
10,000 MW will cost Rs 2 trillion: Govt taskforce 
http://my.reset.jp/~adachihayao/index090331C.htm
●090220C Nepal, thaindian.com
ネパールのアッパーカルナリの工事がGMRで再開
GMR trouble in Nepal resolved Menon
http://my.reset.jp/~adachihayao/index090220C.htm
http://www.thaindian.com/newsportal/world-news/gmr-trouble-in-nepal-resolved-menon_100156723.html
●090126D Nepal, nepalmonitor
ネパールの水力開発には外国資本が必須
FDI in Nepal’s Hydropower Sector: A Focus on the Product
http://my.reset.jp/~adachihayao/index090126D.htm


●インドの五カ年計画の遅れは水力プロジェクトで顕著である

That the power capacity addition in the Eleventh Plan (2007-2012) is going to be below the targeted 78,700 Mw is fairly well-known. It is now evident that there will be a slippage in the capacity addition in the Twelfth Plan (2012-17) also due to the delays in hydropower projects. The government had initially set a target of adding 30,000 Mw of hydropower capacity in the Twelfth Plan period but later lowered the target as only 25,000 Mw capacity was found to be feasible for the Plan.

水力プロジェクトが,現地との話し合いで遅れる,と言うのは良くある話だが,人手が足りなくで詳細設計が出来ない,そのために遅れる,というのは何ともすさまじい話である。日本からも出て行ってあげてはどうですかね。第11次五カ年計画(注5),2007~2012年,の電源開発目標,78,700MW達成に遅れが出ている,というのはよく聞かされるが,第12次五カ年計画(注6),2012~2017年の水力開発にも遅れが出ているという。

政府は,当初,第12次五カ年計画(注6),2012~2017年の水力開発目標を,30,000MWとしていたが,25,000MWの可能性が高いと修正してきた。具体的には,プロジェクトの5分の1が,詳細設計報告書DPR(注7)の提出が遅れる見込みである。DPR(注7)とは,開発企業が,プロジェクトの技術的資金的な詳細を内容とする報告書である。

水力開発官庁のトップにあるCEA(注8)は,5,000MW分のDPR(注7)がまだ作成中の段階で,これらのプロジェクトが第12次五カ年計画(注6)内に完成することは不可能,と言っている。代表的な大規模水力は,インドでは運転開始までに10年は要する。これは最初の予備報告書PFR(注9)は現地調査も入れて2年間が必要である。

これに続いてDPR(注7)のCEA(注8)への提出となるが,CEA(注8)の技術的財政的な面からの承認が降りると,環境面の承認のために環境森林省MOEF(注10)に回される。この承認には,2~2.5年を要する。最後に実際の工事だが,更に5年を要する。DPR(注7)の提出から8年を要する。例え今日提出されても,第12次五カ年計画(注6),2012~2017年に完成することは不可能であると。

DPR(注7)の作成がなぜ遅れるのか。最初の想定は,25,000MW分のDPR(注7)が,2009年3月までに提出されるとの想定であった。特に,8,000MW分について,出てきたのは2,400MW分で,既に,5,600MW分が後ろにずれ込んでいる。急ぐ余り現地調査が不十分など,受け入れられないものがあり,また決定的に,プロジェクトの数に比べて,コンサルタントが不足していると。

(注)B (1) 090416B India, business-standard,(2) Slow pace of hydropower projects set to hit govt plans,(3) http://www.business-standard.com/india/news/slow-pacehydropower-projects-set-to-hit-govt-plans/355404/,(4) Sudheer Pal Singh / New Delhi April 17, 2009, 0:58 IST,(5) Eleventh Plan (2007-2012),(6) Twelfth Plan (2012-17),(7) Detailed Project Reports (DPRs),(8) Central Electricity Authority (CEA),(9) preliminary feasibility report (PFR),(10) Ministry of Environment and Forest (MoEF),(11) 

参考資料

●090416B India, business-standard
インドの五カ年計画の遅れは水力プロジェクトで顕著である
Slow pace of hydropower projects set to hit govt plans
http://www.business-standard.com/india/news/slow-pacehydropower-projects-set-to-hit-govt-plans/355404/

関連事項

●090409A India, thaindian
インドのヒマチャル州がオランダ企業と960MW水力開発へ
Himachal signs power project agreement with Brakel
http://my.reset.jp/~adachihayao/index090409A.htm
●090328B India, economictimes.indiatimes
インドのNTPCは水力の地元還元を更に増大させる計画
NTPC may get to allot more power to host states
http://my.reset.jp/~adachihayao/index090328B.htm
●090322C India, livemint
インドの経買う委員会が上流中国に対抗の水力推進提案
Plan panel for more hydropower projects to pre-empt China
http://my.reset.jp/~adachihayao/index090322C.htm
●090210B India, thenews
インド,インダス上流のカシミール,3ダム着工へ
India constructing three dams in held Kashmir
http://my.reset.jp/~adachihayao/index090210B.htm
●090203B India, Economic Times
インド,アルンチャルプラデシュ,SJVNLが水力開発
SJVNL to be given projects in Aurnachal Pradesh ? Jiaram Ramesh
http://my.reset.jp/~adachihayao/index090203B.htm
●090130A India, thaindian
インド,ヒマチャルプラデシュ,ADBローン支払いへ
ADB to release first tranche of loan to Himachal soon
http://my.reset.jp/~adachihayao/index090130A.htm
●090120B India, newspostonline
インドのヒマチャルプラデシュ,13水力を認可
Himachal Pradesh approves 13 hydropower projects
http://my.reset.jp/~adachihayao/index090120B.htm

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