2009年4月4日土曜日

ミャンマーのアラカン州で水力着工

ミャンマーのアラカン州で水力着工
HPは下記ドメインです。写真地図など見て下さい。
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm

「中国は革命から60年かけて核戦略を整備し,米国ロシアに伍し,改革開放と同時に軍の近代化に着手,ミサイルや宇宙兵器を整備し,さらに過去20年連続の国防費拡大によって嘗ての大英帝国に近づけるほどの海軍力を増大,今後十数年かけて空母を建造し,いずれ西太平洋を米軍とシェアするほとの軍事覇権を確立するであろう。」,と言うのは,中国への辛口の論評でなる宮崎正弘氏の言葉である。

このような書き方をすると,米国と中国の将来の関係,というものが何か現実味を帯びてくる。日本は油を断たれて戦争に突入したが,インドネシアの原油に手を伸ばしたのは,戦争を始めてからであった。航空母艦は油がなくては動かない。今我々は,電気自動車は電気で動くから原子力発電所があればよい,と言っているが,中国の航空母艦はバッテリーでは動かないだろう,今から造るなら,原子力空母だろうか。

ミャンマーのアラカン沿岸に,大規模な港を造り,2,000kmのパイプラインを,昆明,重慶と敷設してくる中国は,ミャンマーの将来をどの様に考えているのだろうか。我々日本人は,いずれミャンマーも民主化するに違いないから,それからミャンマー支援を行う,今はミャンマーは仮の姿だ,と思っているけれど,中国はミャンマーをどう捉えているのか。民主化すれば,中国に送るパイプラインは何処まで保証されるのか。

まさか中国が武力でミャンマーの民主化を抑えることは出来ないだろう。中国政府首脳は,あの中南海の中で,ミャンマーのことをどう言っているのだろうか。ただ,中国もミャンマーを通過して輸送されるエネルギー資源なくして成り立たないように,ミャンマー自体も民主化したとしても,天然ガスを売らないとやっていかない。ただ問題は変革の過程だ,大混乱が予想されるし,パイプラインなど,ひとたまりもないだろう。

今日の記事にあるアラカン州のサイディン水力プロジェクトの位置は,確実には分からないが,アラカン州では有名な滝のあるところで,1950年代から開発に挑戦してきたが,今まで出来なかった。地元の話では,中国の支援で開発が進められているという。中国は域内の主要なダムを抑えて,パイプラインの通過地点にするつもりだろう。地元民は,2010年の選挙を控えた軍事政権のパフォーマンス,と見ている。70MWである。

本文

●ミャンマーのアラカンでサイディン水力着工

Construction on the Sai Din hydropower plant in northern Arakan State started in March 2009 with the aim of developing power to distribute in Arakan, said an engineer from the Buthidaung municipal office. "The project has already started with the help of the Chinese government, and it is a five-year project set to complete in 2014," he said. (冒頭原文引用)

ミャンマーの西部,アラカン州の水力開発については,2009年1月15日付本HP(注12)に,「ミャンマーのアラカン山脈に600MW発電可能」,と題して解説している。このときは,軍事政権幹部が現地をヘリコプターで視察し,水力地点を確認している。今まで忘れてこられたこの地域は,中国のガス開発,バングラデシュの水力への関心,更にはインドのラメシュ副大臣がインドへのルートを求めて訪問,動きが激しい。

ブティダウン地区事務所(注7)の話によると,ミャンマー北西部のアラカン州(注6)にて,サイディン水力プロジェクト(注5)が,いよいよ着工の運びとなり,今年,2009年3月着工,アラカン地方の電力供給を目的に開発されると。中国政府の支援で,5年かけて,2014年に完成の予定である。サイディン水力プロジェクト(注5)は,ブティダウン(注4)の南東30マイルの位置にあり,アラカン最大のサイディン滝(注8)を利用する。

出力規模は,70MWである。このサイディン滝(注8)地点は,過去に,ウヌー政府(注9)時代に開発が意図されたが成功しなかった。1952年に,地点調査に当たっていた外国人エンジニアーが,ビルマ共産党(注10)のグループによって殺害される事件があり,作業は中止された。SLORC(注11)が政権を取った1988年の時点で,政府は開発を発表したが,3年後に注視された。

2009年,今年になって,アラカン州(注6)の住民から,一日2時間程度の電力供給で不満が溜まっており,軍事政権は,サイディン水力プロジェクト(注5)の再開を決定した。現地のエンジニアーの話では,多くの資機材の運搬が行われており,今回の着工は間違いない,と見ている。軍事政権は,今年,2009年1月,アラカン州で,このサイディン水力プロジェクト(注5)と鉄道建設を行う,と発表している。

アラカン州の人々は,2010年に行われる選挙に於いて,軍事政権への支援を得るためのプロジェクトだ,と噂している。私は,中国のガスパイプライン敷設の治安問題に,密接に関係していると思う。

(注A) (1) 090404A Myanmar, narinjara,(2) title: Sai Din Hydropower Project Resumes,(3) http://www.narinjara.com/details.asp?id=2119,(4) 4/3/2009,Buthidaung:,(5) Sai Din hydropower plant,(6) Arakan State,(7) Buthidaung municipal office,(8) Sai Din Waterfall,(9) U Nu government,(10) Burma Communist Party,(11) SLORC,(12) http://my.reset.jp/~adachihayao/index090115A.htm,(13)

●フィリッピン政府は再生可能エネルギーへの投資を推進

フィリッピンは,アジア諸国に先駆けて,2008年01月10日,国会で再生可能エネルギー法を承認し,地球温暖化対策と輸入燃料の削減を目的に,地熱,水力を中心にして,大いに内外にその意気込みを示している。その状況は,2008年11月27日付本HP(注23)でも見てきた通りである。高い電気料金への一層の負担がかかるが,フィリッピンの再生可能エネルギーの重点は,輸入燃料削減に比重がかかっているように感あり。

今日の記事。アロヨ政権(注5)は,海外からの輸入燃料を削減し,雇用増大を目標にして,再生可能エネルギーRE(注6)への一層の投資拡大を強力に推し進める方針である。レモンド報道官(注7)は,再生可能エネルギー源の探査開発に,特に,地熱,風力,太陽光,水力,バイオマスに力点を置き,更に代替燃料,バイオディーゼル(注8),バイオエタノール(注9),LPG(注10),CNG(注11),の増大を図っている。

フィリッピンの地熱発電の出力は,1,958MWで世界第2位である。これは,2008年7月に契約を完了した,ビリランなど(注12)の3つのプロジェクトで,更に勢いを増している。太陽光発電PV(注13)の面でも,カガヤン・デ・オロ(注14)で,1MWの規模で開発,アジア最大である。全国では,42,531のユニットが稼働している。水力も,3,298MWが稼働中,ミニ水力も,13.5MWが稼働中である。(後省略)

(注B) (1) 090404B Philippines, pia.gov,(2) title: Gov't pushes investments in renewable energy projects,(3) http://www.pia.gov.ph/?m=12&r=&y=&mo=&fi=p090403.htm&no=99,(4) Manila (3 April) --,(5) Arroyo administration,(6) renewable energy (RE),(7) Press Secretary Cerge M. Remonde,(8) bio-diesel,(9) bio-ethanol,(10) auto-LPG,(11) compressed natural gas (CNG),(12) Biliran, Leyte; Amacan, Compostela Valley and Mabini, Batangas,(13) solar photovoltaic (PV) power plant,(14) Cagayan de Oro,(15) Department of Energy,(16) Chemrez Inc, Senbel Fine Chemicals, Romtron Phils Inc., Pure Essence International Inc., Freyvonne Milling Services, Golden Asian Oil International Inc., Mt. Holly Coco Industrial Company Limited, Rasza Agro Produce Corp., Bio-energy Corp., Tantuco Enterprises and Lipi Tech.. Inc,(16) Leyte Agri Corp.,(17) San Carlos Bioenergy Project,(18) 120 outlets of Seaoil Philippines, 107 of Shell Philippines, 14 of Petron, 22 Chevron and 10 Flying V,(19) Batangas, Laguna to Manila routes,(20) Tabangao, Batangas,(21) Binan, Laguna,(22) .barangay,(23) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081127A.htm,(24) 

参考資料

●090404A Myanmar, narinjara
ミャンマーのアラカンでサイディン水力着工
Sai Din Hydropower Project Resumes
http://www.narinjara.com/details.asp?id=2119 

●090404B Philippines, pia.gov
フィリッピン政府は再生可能エネルギーへの投資を推進
Gov't pushes investments in renewable energy projects
http://www.pia.gov.ph/?m=12&r=&y=&mo=&fi=p090403.htm&no=99


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