2009年4月15日水曜日

フィリッピンでノルウエーがアンガット水力を買収視野に

フィリッピンでノルウエーがアンガット水力を買収視野に
HPは下記ドメインです。写真地図など見て下さい。
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm

タイの経済が円滑に行かなければ,私はこのHPを運用する目的も意欲もない,メコンの中心であり,インドシナ半島の中心,そうして今や雲南省と結ぶ大メコン圏の核になる経済である。赤シャツのデモ隊が解散しないなら,今日から,このコンピュータもろとも,このHPを擲つつもりでいたが,瀬戸際で退いてくれた。ジャカルタから転勤してきて,車列に割り込むとき,軽く頭を下げるタイ人に吹き出したが,その様なタイ人に帰れと願う。

世の中,原子力と水力の組み合わせによる,舞台の大回転が起こっている。今日のインドの記事は,改めて,私の叫ぶ人類最後の戦いに挑む,インド北辺の水力への盛り上がりを描き出している。また,三菱重工が,原子力への欧米市場への参入に意欲を燃やしている(注)。昨日は横浜で,日本原子力産業協会の年次大会が行われて,三菱重工業の佃和夫会長が,「日本企業の務め」,と見得を切っている。

資産売却にうつつを抜かすフィリッピンだが,いよいよ売却の矛先は,マニラの北東40kmにある,248MWのアンガットダムに迫ってきた。来月にも入札が行われる,と言うことで,ノルウエー企業の張り切りぶりが伝えられている。発電所を買う金があれば,新しい発電所を造れ,と私は言いたいのだが,昨年に売り出されたアンボクラオに比べれば,アンガットは,相当上等なのではないか。

問題はダムの位置であって,マニラに近接してマニラ市民の飲料水の水源となっている。ダムはすべて発電側のNPCによって所有され運転されているが,水道の運用も重要で,水質問題も含めて,このダムを買う企業は,大きな責任を背負わされることになる。電力はNPCが引き取るのか,この段階に至っては,そうも行かないのではないか。

私はどちらでもよいと思うが,買う方やお金を用意する方にとって見れば,電気を引き取るのかどうか,大いに問題だろう。昨日も見てきたとおり,既にIPP水力の一部は,電力の引き取り手を,NPCからIPPAに変更する手続きが進んでいる。最終的にフィリッピン政府が狙うのは,プール市場,WESMでの取引か,オープンアクセス,自ら小売り需要家と交渉する,と言う難しいことになる。

サハリン1のLNGについて,ロシアが日本へ,LNG設備の支援を要請してくるとの記事もある,5,000億円相当とも言われている。経営権はロシアが話さない。イラクの原油生産が復活の兆しで,日400万バレルまで,近い将来回復しそうだ,と言う情報の中で,中国の石油企業が顔を出しているとか。中国は軍隊を出さなかったので,原油舞台を出すのか。イランが人工衛星打ち上げを言い出している,どちらを向いて飛ばすのか。

(注) http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200904150015a.nwc

本文

●インドの論調として地球温暖化からダム開発再び

It may be due to global warming or a change in the earth’s hydrological cycle, but dams and hydropower are making a comeback. Several new power project tenders, floated by the state and the central governments in the recent past, are increasingly focusing on large and mid-sized hydel power projects as they are cost-effective in the long-run and not dependent on costly fuel. 

急にエコノミックタイムスが,インドの水力開発の盛り上がりについて書いてきた。それはおそらく,地球温暖化や地球上の水循環問題の故であろうが,ダム開発や水力開発の機運が盛り上がってきた。長期的視野での経済性や燃料の調達が必要ないところから,大規模,中規模の水力プロジェクトが,州政府単位で,また中央政府単位で,新しいプロジェクトが提案されてきている。

最近になって,18~20の中規模の水力プロジェクトが入札に付され,8ヶ月内にはその結論が出る。その中には,108MWのラタ・タオバン水力雨中5),1,400MWのティパイムキ水力(注6),444MWのビシュヌガード・ピパルコティ水力(注7),1,000MWのパカル・ドウル水力(注8),775MWのルーリ水力(注9),ディアバン多目的水力(注10)などが含まれている。総選挙の後ではもっと出てくるだろう。

更に,近隣諸国,ブータン,ネパール,スリランカなどでも大規模な水力開発が進んでいる。国家水力開発公社NHPC(注11)は,第11次五カ年計画(注12)の中で,12水力プロジェクト,5,322MWの開発を計画している。更に,NHPC(注11)は,6,851MW相当のプロジェクト群の政府承認を手続き中である。また,9つ以上の,7255MWの水力について,詳細設計準備のための調査中である。

市場研究者のスリバスタバ氏(注13)は,水力開発に従事する企業には,膨大な機会が期待される,と言っている。専門家は,地球温暖化の影響が,水力も含めた再生可能エネルギーの開発を煽っていると。国内建設企業は,不況にもかかわらず,受注で一杯の状態だ。この先3~4年間で,5,000億~6,000億ルピーに達している。燃料が不要と言うことが,もう一つ別の要素だ。火力の燃料費は高くなってきている。

PWCのラオ氏(注14)は,水力発電は,エネルギー確保という観点と経済性の面から有利に立っている,と評価している。経済性は稼働率の高さからも来ており,水力が90%ぐらいを出すのに,火力は35%,ガス火力は50%ぐらいである。2007年3月の,全国設備は,132,329MWに対して,26%が水力であり,第11次五カ年計画では,18%,92,557MWが水力で考えられている。

国内の主要な建設企業,L&T(注15),ジャイプラカッシュ(注16),パテル(注17),ヒンドウスタン(注18),ガモン(注19)などは積極的に水力の入札に打って出ている。パテルのパテル社長(注20)は,水力は,地質問題,契約問題,住民移住,土地の手当て,などで遅れることが多かったが,最近は政府は,資金調達を助けるために,積極的に促進の手を打っている,と評している。

研究者のナイール氏(注21)は,水力は土木部分が70%を占め,火力などの25~30%に比べて高く,それが建設業者の関心を高めている,と言っている。CEA(注22)の調査によると,インド全国の包蔵水力は,148,701MWで,このうち,2008年11月時点で,36,648MWが開発されただけであると言っている。

(注)A (1) 090414A India, Economic Times,(2) title: Cos queue up to power hydel projects,(3) http://economictimes.indiatimes.com/News/News-By-Industry/Energy/Cos-queue-up-to-power-hydel-projects-/articleshow/4402331.cms,(4) 15 Apr 2009, 0145 hrs IST, Rajesh Unnikrishnan & Pradeep Pandey, ET Bureau,MUMBAI:,(5) 108MW Lata Taovan Hydroelectric project,(6) 1,400MW Tipaimukh Hydro Electric project,(7) 444MW Vishnugad Pipalkoti Hydro Electric project,(8) 1,000MW Pakal Dul Hydro Electric project,(9) 775MW Luhri Hydroelectric project,(10) Diabang Multipurpose Hydroelectric project,(11) National Hydroelectric Power Corporation (NHPC),(12) Eleventh Plan,(13) Amit Srivastava, a research analyst with Karvy Stock Broking,(14) PricewaterhouseCoopers executive director and utilities leader Kameswara Rao,(15) Larsen & Toubro,(16) Jaiprakash Associates,(17) Patel Engineering,(18) Hindustan Construction,(19) Gammon Indi,(20) Rupen Patel, managing director of Patel Engineering,(21) Crisil head research Sudhir K Nair,(22) Central Electric Authority,(23) 

参考資料

●090414A India, Economic Times
インドの論調として地球温暖化からダム開発再び
Cos queue up to power hydel projects 
http://economictimes.indiatimes.com/News/News-By-Industry/Energy/Cos-queue-up-to-power-hydel-projects-/articleshow/4402331.cms

関連事項

●090409A India, thaindian
インドのヒマチャル州がオランダ企業と960MW水力開発へ
Himachal signs power project agreement with Brakel
http://my.reset.jp/~adachihayao/index090409A.htm
●090328B India, economictimes.indiatimes
インドのNTPCは水力の地元還元を更に増大させる計画
NTPC may get to allot more power to host states
http://my.reset.jp/~adachihayao/index090328B.htm
●090322C India, livemint
インドの計画委員会が上流中国に対抗の水力推進提案
Plan panel for more hydropower projects to pre-empt China
http://my.reset.jp/~adachihayao/index090322C.htm
●090210B India, thenews
インド,インダス上流のカシミール,3ダム着工へ
India constructing three dams in held Kashmir
http://my.reset.jp/~adachihayao/index090210B.htm


●フィリッピンのアンガットダムをSNパワーが狙っている

Norwegian power firm SN Power Invest has showed continued optimism about the country's power sector as it plans to bid for independent power producer (IPP) contracts, particularly the Angat hydro power plant. According to SN Power country representative Rodolfo Azanza, SN Aboitiz Power Inc., the joint venture between Aboitiz Power Corp. and SN Power, will participate in the bidding for the 246-megawatt Angat hydro power plant in San Lorenzo, Bulacan.

フィリッピンの発電資産売却,アンガットダムが残っていたか。それにしても最近のノルウエー企業SNパワーの動きは活発である。先日も,ネパールのダハール首相がオスロを訪問し,ネパールのタマコシ川の開発に参入する気配を伝えたばかりである(注5)。ノルウエー企業SNパワー投資(注6)は,フィリッピンのIPPを有望と見ており,特に,246MWのアンガット水力発電所(注7)に注目している。

SNパワーの現地代理アザンザ氏(注8)は,アボイテス(注9)とSNパワーの合弁であるSNアボイテス(注16)が,ブラカン県サンロレンツオの246MWのアンガット水力発電所の入札に参加する,と述べた。その他にも,昨日問題になったIPPA,即ちIPPの代理人の入札にも関心を持っている,と言っている。アンガットの入札は,この先2,3ヶ月内にも実施される予定である。

アンガット水力発電所(注7)は,1967年7月の2つの付属機器の運転開始に続き,2つの主機が運転開始している。また,1968年8月に更に2機が 運転開始した。PSALM(注12)は,来月,2009年5月に,カセクナン多目的水力(注13),340MWのサンロケ水力(注14),70MWのアボイテスのバクン水力(注15),IPP管理者の入札に付す予定である。

アザンザ氏(注8)によると,SNパワーは,新規IPP水力の開発も考えているが,当面は政府資産の買い取りに専念すると。特にクリーンな水力には関心があると。SNパワーは,アジアと南米で,14の水力を保有しており,更に今のところ,9つの発電所を視野に入れていると。現在はフィリッピンの水力に注目しているが,将来は風力など,再生可能エネルギーも視野に入っている。チリーには,47MWの風力発電所を持っている。

(注)B (1) 090414B Philippines, Manila Bulletin,(2) title: SN Power eyes Angat hyro power plant,(3) http://www.abs-cbnnews.com/business/04/14/09/sn-power-eyes-angat-hyro-power-plant,(4) abs-cbnNEWS.com | 04/14/2009 6:30 PM,,as of 04/14/2009 8:32 PM,(5) http://my.reset.jp/~adachihayao/index090331B.htm,(6) SN Power Invest,(7) Angat hydro power plant,(8) SN Power country representative Rodolfo Azanza,(16) SN Aboitiz Power Inc,(9) Aboitiz Power Corp,(10) 246-megawatt Angat hydro power plant in San Lorenzo, Bulacan,(11) IPP power contracts administration,(12) Power Sector Assets and Liabilities Management Corp. (PSALM),(13) Casecnan multi-purpose hydro plant of the National Irrigation Administration in Nueva Ecija,(14) 340-MW San Roque multi-purpose hydro facility in Pangasinan,(15) 70-MW Bakun plant of Aboitiz Equity Ventures in Ilocos Sur,(17) 

参考資料

●090414B Philippines, Manila Bulletin
フィリッピンのアンガットダムをSNパワーが狙っている
SN Power eyes Angat hyro power plant
http://www.abs-cbnnews.com/business/04/14/09/sn-power-eyes-angat-hyro-power-plant

関連事項

●090412A Philippines, bworldonline
フィリッピンの発電資産売却は水力発電所が次の目標
Hydropower plants next on PSALM’s auction block
http://my.reset.jp/~adachihayao/index090412A.htm
●090402A Philippines, Manila Bulletin
フィリッピンのNPCとPSALMが運転委託で合意書締結
Napocor signs O&M agreement with PSALM, defines future role
http://my.reset.jp/~adachihayao/index090402A.htm
●090328C Philippines, Manila Bulletin
フィリッピンのPSALMはカラカ火力など売却に自信
PSALM hopeful on sale of Calaca, Limay power plants within the year
http://my.reset.jp/~adachihayao/index090328C.htm

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