2009年1月3日土曜日

カンボジアは中国企業に補償の義務

HPは下記ドメインです。写真地図など見て下さい。
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm

イスラエルのガザ攻撃でブッシュ大統領が一方的にハマスを批判,スリランカ政府軍がゲリラ本拠地を完全攻略へ,ロシアがウクライナへのガス供給停止,インド北東部アッサム州の最大都市グワハティで連続テロ,新年から世界は不穏である。経済成長のための開発は,まず平和であることが第一条件であり,何事にも変えて,世界の政治的安定を,政治家は目指して欲しいと願う。

カンボジアは,フンセン首相の下で,ひとときの安定と平和を謳歌している。いつも,フンセン首相は何歳なのか,と考えてしまう。フンセンは元々ポルポトに属していた軍人なのだが,ポルポトのカンボジアから逃亡を図り,ベトナムに駆け込んでベトナム軍部を動かし,ベトナム軍と共にカンボジア侵攻に加わった経緯があるが,中国企業でなくとも,フンセンが倒れたらカンボジアはどうなるのか,心配している人は多い。

プロジェクトに国家的な投資をする場合,その国の,または政府の保証を求めるのは一般的である,日本のJBICでも必ず政府保証を要求してきた。しかし,今日の記事のように,政治的混乱によってコントラクターが損失を受けた場合は,カンボジア政府が責任を持ってその財務的な補償を行う,という国会決議を要求されたのは,まあ,今回が初めてではなかろうか。

コントラクターと企業主の間の契約では,戦争条項のようなものがあって,不可抗力,フォースメジャーとして,両者の財務的補填は免れる条項がある。今度のカンボジアの国会決議は,いわば,フンセン政権が倒れて内戦になった場合,その中国企業の財務的損害を,カンボジア政府が補償する,というようなもので,補償できる政府が存在するかどうかさへ怪しい,国家とはそう言うものなのか。

昨日の記事で,スイセン鉱工業エネルギー大臣(注15)が,電気料金が高いのは,2012年まで解決できない,2012年には新しい水力が発電開始するので,そうすれば電気料金も安くなる,と国民を説得している。スイセン鉱工業エネルギー大臣(注15)としては,全く中国の企業にすべての自分の身を預けた感じなのであろう。中国企業が国会決議を要求し,その圧力に耐えかねて,スイセンさんが国会に上げたのだろう。

野党議員の言葉がなかなか刺激的である。このような決議をさせられても,結局は中国に電力の根幹を握られて,いつまで経っても電気料金が下がる分けはない,と言う言葉は,真実を突いている。中国企業の目的は何なのか,私はカンボジア沖の天然ガスだと思うので,水力は寧ろ,無償に近い感覚で行くべきではないのか。私にとっては,カンボジアは遠くなりにけり。

本文

●フィリッピン,NPC,アグス第6水力の修復,19億ペソ

国有電力公社NPC(注1)は,ミンダナオの,200MW,アグス第6水力発電所(注2)の第1号機,2号機の修復のため,19.01億ペソの投入を決定した。この改良工事は,2008年12月に入札に付されたが,結果はまだ発表されていない。入札図書に書かれているが,工事費用はNPC(注1)予算から調達されることになっている。

この修復または改造工事は,電気機械の設計,供給,据え付け,試験及び運転開始が要請されている。対象になる電気機械は,水車,発電機,ガバナー系統,主弁,変圧器,冷却装置,配電コントロール,を含む。NPC(注1)関係者によると,この改造工事は,来るべき電力不足に備えるものであると。

一連のアグス発電所群は,NPC(注1)発電資産売却の最初のパッケージとして準備されていたが,後で計画が改訂されて,2011年以降,電気事業改革法(注3)施行後10年後に変更されている。この一連のアグス系は,全部で727MWで,200MWアグス第6の他,アグス第1が80MW,アグス第2が180MW,アグス第4が158MW,アグス第5が55MW,アグス第7が54MW,となっている。

アグス第1は既に改良工事が発注されて,オーストラリア企業ボストアルピン(注4)が,現在工事中である。ミンダナオの北東部は,2009年から経済成長に伴って,電力増強が期待されている地域である。この策2,3年を見通すと,既設発電所だけでは供給困難と見られており,エネルギー省は,新たな投資企業の出現を期待している。

(注) (1) State-run National Power Corporation (NPC),(2) Agus 6 hydropower plant,(3) Electric Power Industry Reform Act,(4) Austrian firm Voest Alpina Schienen,(5)

●ラオス,ベトナム企業が,ナメット川で水力開発へ

水曜日,2008年12月31日,ベトナム企業のEVNインターナショナル(注5)とバックハ(注6)は,ラオス側と,フアパン県(注7)のナメット川(注8)の三つの水力発電所の開発について,協定を結んだ。三つのプロジェクトは,ナメン(注9)第1水力,ナメン第2水力,ナメン第3水力で,全部の出力は420MWである。

EVNインターナショナル(注5)によると,実際の実施の合意の前に,中佐確認のための若干の時間が必要である,と言っている。なお,以前にペトロベトナム(注10)は,1,400MW,ルワンプラワン水力への投資を決定している。

(注) (5) EVN International Joint Stock Company,(6) Bac Ha Joint-stock Investment Company,(7) Huaphan Province,(8) Namet River,(9) Namen,(10) PetroVietnam,(11)

●カンボジアの国会,中国企業の水力開発へ,資金承認

複雑なカンボジアの事情を物語る記事である。中国企業が,カンボジアの水力開発に一気に参入してきたことは,このHPでも以前に扱っている。今週,と言うことは,2008年12月29日の週,カンボジア国会は,新たに水力開発に参入した中国企業に対して,何らかの政治的不安定が生じた場合は,中国企業が受けた損害を,政府が補填する,と言うもの,政府保証の更に一歩,屈辱的な文章である。

中国国家機械公司(注11)とミッチェル公司(注12)は,2008年6月に,プルサット(注13)とコーコン(注14)で,水力発電所に10億ドルを投資する協定を結んでいる。スイセン鉱工業エネルギー大臣(注15)は,今回の国会決議によって,中国企業は,乾期に直ちに工事に入ることになる,と語っている。また,大臣は,何らかの政治的要因で損失が生じた場合は,カンボジア政府の責任だ,と付け加えている。

この二つの水力プロジェクトの合計出力は,584MWで,電力はEDC(注16)が買い取ることになっている。カンボジアには未だ国家送電網がなく,ベトナムやタイからも高い電気を買電している。これは外国投資を阻害している一因だ,と。なお,野党議員は,湖の国会審議の結果は,中国企業に長きに亘って伝Ryくをコントロールされ,相変わらず電気料金は高いままだろう,と批判している。

(注) (11) China National Machinery Corp,(12) Michel Corp,(13) Pursat province,(14) Koh Kong province,(15) Minister of Industry, Mines and Energy Suy Sem,(16) Electricite du Cambodge,(17)

参考資料

フィリッピン

●090102A Philippines, Manila Bulletin
フィリッピン,NPC,アグス第6水力の修復,19億ペソ
NPC sets P1.9-billion rehab work for Agus 6
http://www.mb.com.ph/BSNS20090103144737.html

ラオス

●090102B Laos, thanhniennews
ラオス,ベトナム企業が,ナメット川で水力開発へ
Vietnam to build three hydropower plants in Laos
http://www.thanhniennews.com/business/?catid=2&newsid=45089

カンボジア

●090102C Cambodia, phnompenhpost
カンボジアの国会,中国企業の水力開発へ,資金関連法承認
Funding law approved for hydropower dams
http://www.phnompenhpost.com/index.php/2009010223441/National-news/Funding-law-approved-for-hydropower-dams.html

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