2009年1月25日日曜日

中国雲南のダムが景気刺激策で動く



HPは下記ドメインです。写真地図など見て下さい。
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm



私はインドのシン首相が好きである。人格者で国民からも尊敬されていると思う。もう76歳だが,今のインドを支えて行くためにはまだ元気でいて貰わねばならない。24日に,ニューデリーの病院で心臓のバイパス手術を受けた,との記事。インドは,ガスや核燃料など,エネルギー外交が正念場を迎えている。医師団は,「手術は成功し,容体も安定している」,と述べている。元気でいて欲しい。



中国は今,莫大な景気刺激策を発表して地方の開発を進めることになっている。私もかって雲南省に行って驚いたのは,雲南省が中央と余り相談しないで,どんどんプロジェクトを進めていることである。中国人の特質で,儲かるとなれば,中央がどう言おうと地方が進めてしまう。数年前にも,発電所がどんどん出来てしまって,石炭供給の目処も立たず,動けない発電所が沢山出てきた。



雲南省が進めているダムプロジェクトで,私たちは一緒になって協力しようとしている,日本から北京に入って中央政府に挨拶に行くと,あのダムは中央は認めていない,と言っている。雲南省に行って,中央は駄目だと行っているよ,と言うと,日本側から中央政府を説得してくれ,と言う。全くおかしな立場に立たされるが,かくのごとく,地方は中央の命令通りには動かないのである。



今日の中国科学学術院(注11)の蒋高明教授(注12)の話も面白い。中央の科学アカデミーから派遣された環境専門の先生が,現地を見ると,金融刺激策が発表されると同時に,雲南省が勝手にダム計画を進めている。記事に出てくる虎跳峡(注19)は,温家宝首相が自ら現地を訪れて,環境上よろしくない,と中止を命じた。



蒋高明教授(注12)が現地を訪れて驚いたのは,ダムサイトを少し上流にずらして,地質調査を行い,もう道路などの準備工事を行っているという,10万人の水没を伴うが,あれより上流に行くと,余り人も行かないところで,中央からは目立たない。私も,測水所を見に上流に行ったことがあるが,4人の老婆が道ばたで麻雀をやっている,のどかな村だった。諸葛亮孔明が渡河して攻め込んだところがあった。



「単なるビジネスを行うための費用」(注16)と言う教授の話も面白い。考えてみれば我々も,1980年代は環境は単なる邪魔になるお荷物だった。調査に入っても環境やさんはほったらかしておいて,技術に打ち込んだものだ。環境専門家がコストをはじいても,誰もそのコストを工事費に反映させようとしない。日本の水力屋で,真剣に環境コストをインドネシアのプロジェクトで見たのは,私が日本の水力屋で最初のエンジニアーだろう。



本文



●パキスタン,国会で水力開発について,糾弾



全土に亘って厳しい電力制限が続くパキスタン,担当大臣であるアシュラフ水資源電力大臣(注1)が国会に呼び出されて,厳しく糾弾されている。いるもの苦しい答弁で,代わり映えがしないが,2010年には良くなります,の繰り返しである。今回は,カラバーダム(注2)の進捗について,1953年から2004年8月にかけて,既に123億ルピーが消費され,2005年に見直しを行った費用が2.2百万ルピーであることが報告された。



質問に答えてアシュラフ水資源電力大臣(注1)は,今年,2009年末までにはいろいろなプロジェクトが完成し,新たに3,500MWの新規電源が運転を開始する,と答えている。現在不足の電力は,1,700MWであるが,これを克服するために政府は,新規の火力,水力,借り上げ発電所,石炭火力計画など,国によるもの及び民間セクターによるものなど,努力を進めている。



2010年について,パキスタンは現在,6000MWの能力があるが,2010年時点の需要は,11,000MWになるだろう。しかし,国全体で2010年末には発電能力は,25,473MWとなり,必要量を超えるはずである。また,代替エネルギー開発にも努力しており,来月,2009年2月には,パキスタン初めての風力発電が運転開始する。



ディアマー-バシャダム(注3)の進捗について,出力,4,500MW,2018年の完成を目指している,この2009年度内には着工の予定である。またUAE(注4)が13のガスタービン,合計出力320MWの供与を申し出ている。また,各河川で18の水力プロジェクト,合計出力18,848MWが,政府で着工準備中であり,民間企業によって20の水力プロジェクト,合計出力4,809MWが提案されている。



また,カラチのうち続く停電問題について,移動発電機(注5)を準備して,問題を6ヶ月以内に解決したい,としている。アシュラフ水資源電力大臣(注1)は,国会に呼ばれて誠に苦しい答弁に終始しているが,これで国会は納得しているのであろうか。



(注) (1) Water and Power Minister Raja Pervaiz Ashraf,(2) Kalabagh Dam,(3) Diamer-Basha Dam,(4) United Arab Emirates,(5) mobile power generators,(6) 



●インドネシア,PLN,設立以来,初めて黒字に



インドネシアの国有電力公社PLN(注6)が,高々と設立以来の黒字経営を謳い挙げた,もっとも補助金の元ではあるが。この水曜日,2009年1月21日,PLN(注6)は,今年,2009年の純利益(注7)が,1.7兆ルピア,約151.3百万ドル相当,で,公社設立以来初めての純利益(注7)を掲げることになった,と発表した。政府との年度計画討議の会議を終わって,モクタール総裁(注8)が発表した。



2008年,PLN(注6)は,売り上げ収入が,83.8兆ルピアで,営業利益(注9)を,3.57兆ルピアと計上した。この数字は,年初の目標であった79兆ルピアの売り上げと,5,360億ルピアの営業利益(注9)を超えるものである。5.6兆ルピアの純損失(注10)にもかかわらず,年初見込みの6兆ルピアの純損失(注10)を下回った。補助金制度のもとでの,長い歴史であった。



現在PLN(注6)は,平均単価KWh当たり650ルピア,約5.72セント相当,でで販売しているが,この値は平均生産単価KWh当たり1,300ルピア,約11.45セント相当,より低い。しかし今年,2009年は,売り上げ7%増を目指し,純利益(注7)を記録する予定だ。モクタール総裁(注8)は,今年は画期的な年で,原油価格の低迷と石油燃料節約で,生産単価を,1,011ルピアに下げる,と言っている。



2009年のPLN(注6)の計画では,2008年の発電実績,127,600GWhを超えて,136,000GWhとなる。この17.8%が石油燃料であるが,これは2008年の実績,23%より少なくなっている。石油燃料を石炭とガスに切り替え,2008年に石油使用量11百万キロリッターを,7.9百万キロリッターに改善する。これによって,補助金の88兆ルピアを,46兆ルピアに削減する予定である。



PLN(注6)は,政府主導の,10,000MW発電所建設を進めている。これらの30の発電所を2010年までに完成するために,17.33兆ルピア,約15.5億ドル相当,と,送電線建設費用8.58兆ルピアが必要である。モクタール総裁(注8)によると,ジャワ島以外の銀行も資金調達に支援をしてくれており,その額は,4兆ルピアに達する,としている。



(注) (6) PT PLN,(7) net profits,(8) PLN president director Fahmi Mochtar,(9) operating profits,(10) net loss,(11) 




●中国の雲南,蒋高明教授が視察,環境が足らないと



中国雲南省,地元の新聞の報道である。世界金融危機に際して,中国政府が発した景気刺激策が,雲南省のダムプロジェクトを推進の方向へ向けている。中国科学学術院(注11)の蒋高明教授(注12)が,最近,雲南省の幾つかの水力プロジェクトを視察し,北京の景気刺激策が,雲南省(注13)と四川省(注14)のダム建設をの速度を早めている,と見ている。



ダムプロジェクトには義務である環境影響評価EIA(注15)が,企業や地方政府によって,真剣に行われているとは思えない,と各地を回った蒋高明教授(注12)はコメントしている。EIA(注15)は,ダム調査の流れの中で,まさに主流からはずれお飾りとなり,ビジネスを行うための一部の費用,という感じである。企業や地方政府にとって,EIA(注15)がプロジェクトそのものを支配するとは思っていない。



この蒋高明教授(注12)の言葉,単なるビジネスを行うための費用(注16),と言う言葉から想起させられるのは,雲南企業(注17)が地方の省令を無視して出し続けた粉塵が,ヤンゴンザイ湖(注18)にヒ素の公害をもたらした事件である。また,蒋高明教授(注12)は,一旦中止が命令された虎跳峡(注19)のダムが,上流に移されて名前を変えて,ロンパンダム(注20)として復活している点である。



この新しいダム計画は,金沙江(注21)に沿って,10万人の移住が必要で,もう既に,ボーリングはおろか,インフラの一部の建設も始まっている。



(注) (11) Chinese Academy of Sciences' Institute of Botany,(12) Professor Jiang Gaoming (蒋高明),(13) Yunnan,(14) Sichuan,(15) environmental impact assessments (EIAs),(16) cost of doing business,(17) Yunnan Chengjiang Jinye Industrial and Trade Co,(18) Yangzonghai Lake,(19) Tiger Leaping Gorge,(20) Longpan Dam Project,(21) Jinsha River,(22) 



参考資料



パキスタン



●090125A Pakistan, 

パキスタン,国会で水力開発について,糾弾

Planning, inspections of Kalabagh Dam cost Rs 1.23 billion

http://www.dailytimes.com.pk/default.asp?page=2009%5C01%5C24%5Cstory_24-1-2009_pg7_19



インドネシア




●090125B Indonesia, The Jakarta Post

インドネシア,PLN,設立以来,初めて黒字に

PLN state power utility targets first-ever net profit this year

http://www.thejakartapost.com/news/2009/01/22/pln-state-power-utility-targets-firstever-net-profit-year.html



中国



●090125C China, gokunming.

中国の雲南,蒋高明教授が視察,環境が足らないと

Yunnan news roundup

http://gokunming.com/en/blog/item/783/yunnan_news_roundup

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