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再生可能エネルギー開発,遅れているのは,ベトナムと日本,と言っていいのかも知れない。どちらも極めて実際的な考え方に共通点があるような気がする。欧州やフィリッピン,それにオバマ大統領候補を見ていると,如何にも理想主義的で,ちょっと言い換えれば偽善的なところがある。三者とも,決して本心では,再生可能エネルギーが地球を救う,と信じている分けではなさそうに思う。
ただ,今は再生可能エネルギー開発を主張することが先進的,と誤解されやすい世の中にある。先日も中国の記事を読んでいて,中国は太陽光発電を大々的に開発することは放棄した,太陽光発電の研究は続け,それを武器に,関連機器類の輸出振興に力を注ぐという。日本もそう言う点は似ている。日本で太陽光発電をするよりは,技術と機器の海外への売り込みに努力している。
事実,JICAで働いているときも,海外に行って,日本は太陽光発電の機器は優れているのに,どうして日本では太陽光発電をやらないのか,と言われたことがある。日本にとって,再生可能エネルギーとは,まさにおつきあいの印象が強い。太陽光発電は,現在大体,KWh当たり45円,と言われているようだが,こんなに高いものを一生懸命開発されたのでは,経済が参ってしまうだろう。そこそこにおつきあい,と言うことか。
風力はどうだろうか,中国は風力は行けると見ているようで,かなり大々的に開発を試みている。KWh当たり25円程度,と言っているから,日本の電気料金であれば,2倍までは行かないから,太陽光に比べれば,少々入ってきても,経済的には持つかも知れない。しかし,太陽光の静に比べて余りにも動で,危ないような気がする。台風でも来たらそばに寄れないのではないか。動と言うことは維持管理が大変だ,と言うことだ。
バイオマスは,主要電源となることは出来ない,と見ている。だから,ベトナムや日本のように,非常に実務的な民族にとっては,再生可能エネルギー開発は,もっとも苦手とするところだろう。プラグマティズム,実用主義,実際主義,とでも言うのだろうか,日本も昔は水力発電が好きだったし,ベトナム人は水力が今でも大好きで,そのため渇水期には電力不足で泣いている。
プラグマティズムの民族が次に挑戦するのは原子力発電所だ。日本も原子力にはこだわっているし,原子力があるから再生可能エネルギーには余り関心を示さないのだと思う。ベトナムも,東南アジアの中では,原子力開発で先頭を走っている。今日のベトナムの記事は,我々も再生可能エネルギーの促進の法律を持たなくてよいのだろうか,と心配し始めているのである,国際社会から取り残されないかと。
実用主義の日本人は,これからのエネルギーについて,原子力発電所を頼りにしている。これ以上の新設が出来るのかどうか,大きな問題だが,世界は今,再生可能エネルギーのために知的送電網を,と言っているが,私は将来,原子力発電所を北海道とか沖縄にも造らなければならないから,中国のように,100万ボルト直流基幹送電線を,日本列島の背骨に,大動脈のように造る日が来る,と言う気がする,知的送電網で。
本文
●ベトナム,代替エネルギー開発は可能か
ベトナムの再生可能エネルギー開発については,書かれたものが少ない。彼等は水力開発に一生懸命である。私も,再生可能エネルギーでこの長文を見るのは面倒くさいが,フィリッピンの積極姿勢と絡んで,総括的な記事なので,一応追っかけてみる。ベトナム政府は,代替エネルギーとしての再生可能エネルギー開発を奨励はしているが,投資事業としては殆ど立ち上がっていない。
国全体は今や電力不足で,それは生産にまで影響してきている。2006年末に,ベトナム南部のカントー(注1)で,籾殻(注2)によるバイオマス発電を,ホーチミンのエネルギー保全センターECRDC(注3)が,外国企業の協力で,投資計画を策定し,ECRDC(注3)は大いに興奮したが,投資企業を見出すことが出来ず,挫折した。
同じ頃に,多くの投資企業がベトナムの風力発電に関心を示し,特に南部のビンディン(注4),ニントワン(注5),ビントワン(注6)の各省に注目した。しかし,ただ一つだけが着工したが,それはビンディン(注4)のプオンマイ半島(注7)である。プオンマイ第3(注8)の着工は,政府や科学者達を大いに奮い立たせた。
最近の電力不足もあって,政府は,再生可能エネルギーの開発を強く奨励している。しかし,投資企業は,火力や水力プロジェクトに集中して,再生可能エネルギー開発には,遠くに位置をとったままである。ベトナムでは,今まで再生可能エネルギーの総合的な調査は行われていないが,科学者達,例えばは,持続的エネルギーセンターののグエントワン(注9)はベトナムの再生可能エネルギーのポテンシャルは高い,と主張している。
亜赤道帯にあるベトナムは,太陽光に恵まれており,その太陽輻射は,冬季で,日平方m当たり3~4.5KWh,夏季で,日平方m当たり4.5~6.5KWhに達する。日射時間は,年間1,800~2,700時間である。専門家は,太陽光発電は,過疎地の独立系統に適合している,と言っているが,熱心なのは,ベトナム科学研究所(注10),エネルギー研究所(注11),ハノイ工科大学(注12)の,2,3に限られる。
注目すべきは,ベトナム婦人連盟(注13)と協力した太陽光発電会社(注14)の活動で,メコンデルタ(注15)を中心に,600を超えるシステムを開発しようとしている動きである。太陽光とは別に,科学者達は,ベトナムの風力のポテンシャルは大きいと主張している。東南アジア風力アトラス(注16)によると,ベトナムでは,ラオス国境山岳地帯,ダナン(注17)南部海岸,ホーチミン(注18)北部,などに注目している。
ベトナム内陸部の30%は,高度65mで風速7mで十分なポテンシャルを持っている,とし,更に8.6%は,風速毎秒7mを超え,良好と報告されている。エネルギー研究所(注11)は,9つの島で高さ10mで風速は,4.1~7.1mである,としている。バイオマスは,またベトナムで未開発の領域である。毎年,5,000万トンのバイオマスが生産され,その30~40%が,エネルギーとして使われている。しかし,商業使用には注目はない。
エネルギーセクターの第5次マスタープランによると,2010年までに,バイオマスから250~400MWの電力を得るべし,としている。このうち,籾殻(注2)から70~150MW,砂糖黍(注19)から150~200MW,ゴミなどから30~50MW,である。しかし砂糖黍(注19)について,42の工場があり,150MWが期待されるが,実際に発電と結びついているのは,3カ所だけである。
今のところ,籾殻(注2)は発電には使われていない。エネルギー研究所(注11)によると,籾殻(注2)は年間250万トンが使用可能であリ,70~150MWに匹敵する。廃棄物は各所に分散していて,使用困難である。籾殻(注2)は,10万カ所の脱穀場があり,50カ所がメコンデルタ(注15)にあり,時間当たり5トンを処理し,500KWに相当して,採算可能である。
水力発電は,再生可能エネルギーの中で唯一大々的な調査が行われている。包蔵水力は,年間300TWh(注20)で,このうち,80TWhが開発可能で,今までにその4分の1が開発された。例外を除いて,その殆どは,1,000MW以下の中小規模である。近年,中部山岳地帯が開発の中心をなしている。計画によると,2010年までに,既設合計5,000MW,2020年までに,13,000~15,000MWとすることになっている。
長く再生可能エネルギー開発を研究してきたベトナム風力会社のドウオンマンタオ会長(注21)は,石炭や水力にも限界があり,この先,再生可能エネルギーが電力不足を解決する一つの手段になる,と語っている。この会社は,プオンマイ第3(注8)風力プロジェクトの一員であり,ビンディン(注4),ニントワン(注5),ビントワン(注6)の各省でも,風力プロジェクトを計画している。
2000~2004年に,電力使用量は,年間22.4TWhから39.7TWhに増大している。1996~2004年に,電力需要世帯は,新たに3,000万増えている。これを追っかけるため,政府は,中国から融通されたり,国有企業,EVN(注22)や国家石油(注23)に開発を要請している。最近EVN(注22)が資金不足から13の火力プロジェクトに反対して以来,産業通商省(注24)は,資金調達で海外企業などに呼びかけている。
また政府は,国内の石炭火力のため,2012年より石炭の輸出を制限する。一定の電源開発は続けられているが,専門家は十分でないと見ている。一部の地方では,独立系の再生可能エネルギーで経済的な電力供給を受けているところがある。1,100地区の75万世帯はこれに当たるが,300万人が,短期的,中期的に見ても,中央系統から取り残されるだろう。VEA(注25)のガイ会長(注26)は,投資のチャンスと言っている。
再生可能ネルぎー開発の障害は,特定の政策の不足である。政府は,1999年に,再生可能エネルギー計画(注27)をスタートさせた。この10年計画を5年ごとに2期に分け,地方電化を対象とした再生可能エネルギー開発を促進してきた。しかし,企業や専門家は,政府の政策は不十分だと考えている。例えば,プオンマイ第3(注8)風力プロジェクトは,2007年9月に着工したが,完成は目処が立っていない。
VEA(注25)の担当者は,政府の再生可能エネルギーを推進するための政策が必要だと言っている。ベトナム科学技術院(注28)の科学者,ホアト(注29)は,政府はプロジェクト推進のための具体的な動きをしていない,これでは再生可能エネルギーがベトナムで十分な機能を発揮することが出来ない,と批判している。持続的エネルギーセンターののグエントワン(注9)は,再生可能エネルギー法(注30)の必要を主張している。
グエントワン(注9)は,中国は再生可能エネルギー法(注30)のもと,再生可能エネルギーが増大しているし,ドイツやスペインは非常に対赤井開発を行っている,それは彼等が再生可能エネルギー法(注30)を成立させているからである,と。ベトナムでは,再生可能エネルギー開発の技術がなく,資機材の輸入も高価についている,と。しかし,最近,明るさも見えてきた。
産業通商省MOIT(注25)のフオン・エネルギー局長(注31)は,2015年を目標とした再生可能エネルギー開発のための戦略とマスタープランを,まもなく首相に上申する予定だ,と語っている。また,2009年には,再生可能エネルギー推進のための法令を成立させる予定である,と語っている。
(注) (1) Can Tho,(2) rice-husks,(3) Ho Chi Minh City-based Energy Conservation Research and Development Centre,(4) Binh Dinh,(5) Ninh Thuan,(6) Binh Thuan,(7) Phuong Mai peninsula,(8) Phuong Mai 3,(9) Nguyen Thuong, a scientist from the Centre for Sustainable Energy Development in Vietnam,(10) Ho Chi Minh City-based Solar Laboratory of the Vietnam Science Institute,(11) Hanoi-based Institute of Energy,(12) Hanoi University of Technology’s Renewable Energy Centre,(13) Vietnamese Women’s Union,(14) Solar Electric Light Company,(15) Mekong Delta,(16) Wind Energy Resource Atlas of South East Asia, published in 2001,(17) Danang,(18) Ho Chi Minh City,(19) bagasse,(20) TWh, a thousand billion watt-hour,(21) Duong Manh Thao, chairman and general director of Vietnam Wind Power Joint Stock Company,(22) Electricity of Vietnam (EVN),(23) Vietnam National Oil and Gas Group,(24) Ministry of Industry and Trade,(25) Vietnam Energy Association,(26) Tran Viet Ngai, chairman of the Vietnam Energy Association,(27) Renewable Energy Action Plan,(28) Vietnamese Academy Science and Technology,(29) Duong Huy Hoat, scientist at Vietnamese Academy Science and Technology,(30) Law on Renewable Energy,(31) Energy Department general director Ta Van Huong,(32)
●ネパール,火力発電所案は棚上げに
電力不足に耐えられなくなったネパール政府は,2008年12月26日付け本HP(注32)にあるように,200MWの火力発電所を建設することん未決定したが,決断も早かったが,放棄の決断も早い。閣議決定によると,火力発電所の建設は,ネパール電力庁NEA(注33)かいずれかの民間企業でも良い,と言うことで,建設を決定した企業には,96億ルピーの無償資金が振り向けられる,と言うことになっていた。
今日の記事,ダハール首相(注34)が,金曜日,2009年1月16日,7つの連立与党首脳会議の直後,水資源大臣(注35)に指示して,200MW火力計画の棚上げを,急遽指示した。水資源省(注36)の担当官によると,与党のCPN-UML(注37)の反対によるもの,とされている。与党から,ダハール首相(注34)に対して,棚上げするよう,文書が届いているという。
2008年12月24日に,200MW火力プロジェクトの閣議決定を行ったところだが,ダハール首相(注34)は与党との協議で,火力計画が高価に過ぎる,との認識で一致したようだ。水力発電所の4倍のコストがかかる,と認識されている。ダハール首相(注34)は,GEA(注38)との会議の席上,火力計画を優先はしないが,電力不足対策としての代替案の検討は続ける,と語っている。
200MW火力発電所は,ネパール電力庁NEA(注33)などに資金提供の上,開発する計画であったが,年間,360億ルピーの経費が必要で,これは国家予算にとって大きすぎる,との判断である。
(注) (32) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081226A.htm,(33) Nepal Electricity Authority,(34) Prime Minister Pushpa Kamal Dahal,(35) Minister for Water Resources,(36) Ministry of Water Resources,(37) CPN-UML,(38) Grills Entrepreneurs' Association,(39)
参考資料
ベトナム
●090118A Vietnam, english.vietnamnet.vn
ベトナム,代替エネルギー開発は可能か
Alternative power not energised
http://english.vietnamnet.vn/biz/2009/01/824434/
ネパール
●090118B Nepal, kantipuronline
ネパール,火力発電所案は棚上げに
Thermal plant plan shelved
http://www.kantipuronline.com/kolnews.php?page=kolnews.php&nid=175801
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