HPは下記ドメインです。
アフリカ,中東,南米,再生可能エネルギーの最前線もあり。
http://my.reset.jp/~adachihayao/index.htm
今日の東京株式市場の焦点は,日銀の利下げのようだ。今日は市場は大分下げているが,今正午前で,日銀の会議はまだ終わっていない。結果は午後に記者会見を開いて発表とのこと,円高情勢も少し変わってきたし,どう判断するか,まだ分からないみたいである。昨日の麻生首相の経済対策も,いろいろ話題に上っているが,金融への財政の介入は量的に限界がある,と言う人が多い。500兆円に対する20兆円だ,と言うように理解して良いのか。
世界は荒れている。インドではアッサムで複数の爆弾テロで60人近くの犠牲者が出ている。ブータンの直南でインド北辺水力開発を支える重要な地域である。また騒乱のバンコクでは,反タイ政府団体の中に手榴弾が投げ込まれ犠牲者が出る事態。遠くアフリカのコンゴ南部で,反乱軍との交戦,惨状の首都キンシャサを見たり中央アフリカからコンゴ川対岸の当時平和なザイールを見ているだけに,私も気にしている。
さて今日の記事は,フィリッピンの電力巨人,マニラ配電MERALCO(注1)の先行きについて,現在マカオで第17回電力産業会議(注4)が開かれており,これに出席したロペス会長(注5)に対して,質問が行われて,かなり重要な発言も出ているので,取り上げてみたい。フィリッピンの電力改革が進むにつれて,送電公社が分離され,その運営が中国企業に委譲する手続きが進み,電力公社の発電設備が70%売り込まれる現状で,相対的にマニラ配電MERALCO(注1)の規模が大きくなって,国会などでも,その経営が,随分話題になっている。
フィリッピンの人口は7,000万人であり,ルソンが約4,000万人であるが,その50%の約2000万人を,マニラ配電MERALCO(注1)はその需要家としている。全土の24%にあたる分けだが,電力需要から見れば,ピークで,大体ルソンが7,000MW,その70%がマニラ配電MERALCO(注1)の需要になる。フィリッピンは,東南アジアでも飛び抜けて電気料金が高く,常にマニラ配電MERALCO(注1)の料金に注目が集まる。
今回の世界の金融危機で,マカオにあるロペス会長(注5)は,その財務状況について,2008年は前年と変わらないが,需要の落ちなど,2009年には影響が出てくるだろう,と言っている。2003年以来,電気料金の値上げが認められていないことも影響している,と述べている。
実は今回のロペス会長(注5)の話の中で,我々が注目しているのは,サンミゲール社(注6)の資本参加である。数年前から,この東南アジアで幅をきかす食品企業サンミゲール社(注6)の電力分野での動きには注目が集まっていた。数年前に送電公社の運営委譲の話が出たときに,真っ先に動いたのはサンミゲール社(注6)で,余り関係のなかったその動きに驚いたものである。
今日の記事にも書いているように,サンミゲール社(注6)のマニラ配電MERALCO(注1)株式取得については,この月曜日に,国家年金基金が有している株式を一部200万株,300億ペソ相当で買い取り,サンミゲール社(注6)の株式持ち分が27%になることで,合意が成立している。これは,サンミゲール社(注6)にとっても,昨年に宣言したように,現在の食品市場から更に鉱業,電力,インフラ,公益事業,不動産部門,などへの進出政策の一環である。今後のサンミゲール社(注6)の動きに注目したい。
(注) (1) Meralco, Manila Electric Power Company,(2) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081028A.htm,(3) the Energy Regurqatory Comission,(4) the 17th Conference of the Electric Power Supply Industry in Macau,(5) chairman and chief executive Manolo Lopez,(6) San Miguel, Southeast Asia’s biggest food and drinks company,(7)
本文
●フィリッピン,マニラ配電,世界金融危機に際して,今年収益変わらずと期待
マニラ配電MERALCO(注1)は何度もこのHPに登場しているが,最近では過去の電気代未徴収分39億ペソの追加徴収を一旦は容認したERC(注3)が,消費家連合の声に負けて,徴収延期を命じた(注2)などで話題となった。電力公社などが電力改革で解体して行く中,フィリッピンに唯一残った大電力企業体として,常に国会などからも,高い電気料金の元凶として,たびたび議論の俎上に載っている。
このマニラ配電MERALCO(注1)は,マニラ首都圏を中心にして,約9,337平方kmの地域の約2,000万人に電力を配電しているが,これはルソン全域の4,040万人の約半分の相当し,フィリッピン全土の24%に当たる。マニラ配電MERALCO(注1)自体は発電所を持っていないが,ルソン系統全体の設備は,12,092MW,可能出力は,10,456MW。ピーク需要はおおよそ7,000MWで,その70%がマニラ配電MERALCO(注1)管内に相当する。
さて今日の記事であるが,現在マカオで第17回電力産業会議(注4)が開かれており,これに出席したロペス会長(注5)を取り巻いたフィリッピンの記者団が,マニラ配電MERALCO(注1)の経営状態について,ロペス会長(注5)にインタビューを行ったものをまとめたもののようである。基本的には,今回の世界金融危機の影響を受けて,2008年の業績は純益見通し40.4億ペソでフラットであるが,2009年には落ち込むだろう,と言う趣旨である。2003年以来,電気料金の値上げが認められていないことも影響している,と述べている。
ここでロペス会長(注5)は,マニラ配電MERALCO(注1)への投資の多様化を図る意味で,サンミゲール社(注6)がマニラ配電MERALCO(注1)の株式を取得する情報に触れている。ロペス会長(注5)はこのことについて,「それがいつ起こるのか,誰もまだ分からない。しかし実現すれば,キャッシュフロー改善で経営は良くなるだろう。他の誰であろうと,投資への参加は歓迎する。」,と述べている。
サンミゲール社(注6)のマニラ配電MERALCO(注1)株式取得については,この月曜日に,国家年金基金が有している株式を一部200万株,300億ペソ相当で買い取り,サンミゲール社(注6)の株式持ち分が27%になることで,合意が成立している。これは,サンミゲール社(注6)にとっても,昨年に宣言したように,現在の食品市場から更に鉱業,電力,インフラ,公益事業,不動産部門,などへの進出政策の一環である。
今回のこのサンミゲール社(注6)のマニラ配電MERALCO(注1)株式取得が,電力側から見てどの様な意味を持つのか,考えてみる必要があるが,いずれにしてもその資金力を活かしたサンミゲール社(注6)の電力分野での積極的な動きが伝わってくる。一時,送電公社の運営権の入札でも派手に動き回った。我々としては,このサンミゲール社(注6)の資金が,適切な電源開発へ貢献することを望むものである。
(注) (1) Meralco, Manila Electric Power Company,(2) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081028A.htm,(3) the Energy Regurqatory Comission,(4) the 17th Conference of the Electric Power Supply Industry in Macau,(5) chairman and chief executive Manolo Lopez,(6) San Miguel, Southeast Asia’s biggest food and drinks company,(7)
●インド石油企業インドカイン,ラジャスタンの油田に18億ドル投資
ラジャスタン州(注7)の油田開発について調べてみると,インドニュース社(注8)が,2008年6月30日に,「ケアーンインディア,油田開発等に2000億円超を投資へ」,と題して,かなり詳しく解説している。記事によると,日生産量の見込みは15万~17.5万バレルで,埋蔵量は3億バレル程度と推定されている。
今日の記事を追ってみる。インドカイン(注9)は,ラジャスタン州(注7)油田群に18億ドル投資を決めた。最初の原油は2009年の後期になる模様。インドカインのラフールディル社長(注10)が語ったもので,投資対象の油田は,ラジャスタンのバルメル地区(注11)の3油田,マンガラ,バギアム,アイシュワリア(注12)である。580kmのパイプラインはグジャラート沿岸(注13)の石油精製設備まで敷設するという。パイプラインの敷設については,ラジャスタン州(注7)政府の使用権ROU(注14)が遅れているが,まもなくだろう,と楽観している。
インドニュース社(注8)が伝えているところでは,「産出を開始すれば,その後10年間インドの石油産出量の20%をケアーンは担うこととなる。わずか13年前にインドで事業を開始した会社としては目覚しい進展」,とラフールディル社長(注10)が語った,としている。
(注) (7) Rajasthan,(8) http://indonews.jp/2008/06/2000.html,(9) Cairn India,(10) Cairn India CEO Rahul Dhir,(11) Barmer district of Rajasthan,(12) Mangala, Bhagyam and Aishwariya fields,(13) Gujarat coast,(14) right of user (ROU) for laying the pipeline,(15)
Reference
Philippines
●081030A Philippines, Manila Bulletin
マニラ電力,世界金融危機に際して,今年収益変わらずと期待
Meralco expects flat profit growth amid global crisis
http://www.mb.com.ph/BSNS20081030139414.html
India
●081030B India, Economic Times
インド石油企業インドカイン,ラジャスタンの油田に18億ドル投資
Cairn India ties up $1.8 bn for Rajasthan oilfields
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Cairn_India_ties_up_18_bn_for_Rajasthan_oilfields/articleshow/3652512.cms
2008年10月31日金曜日
2008年10月30日木曜日
カンボジアなどへの中国の進出
HPは下記ドメインです。
アフリカ,中東,南米,再生可能エネルギーの最前線もあり。
http://my.reset.jp/~adachihayao/index.htm
今日の新聞記事で,製鉄企業の業績悪化が報じられている。今年,2008年7月に,鉄スクラップの値段がトン7万円であったものが,今1万5千円だと言っている,製鉄企業は,これに応じて製品の値引きを考えているが,幾ら引いても鉄を買ってくれるところがなくなった,と言っている。2008年の初めから7月まで,原油といい鉄といい,余りにも異常で,プロジェクトに関わる我々を悩ました。
今日も株式市場と為替市場は復活の流れに乗っている。欧州を中心に,一通りの資金注入の準備が整ったと言うことか,と安心している人が多い。原油は,一気に62ドル台から一日で67ドルまで上がってきた。OPECの減産が効いてきたのか。出血が止まって,改めて将来を見据えている経済の専門家が多いことだろう。中国の経済は輸出が40%と言う。中期の課題は,中国が内需にどの様に転換して行くかであろう,と専門家は言っている。
さて今日の記事だが,一本に絞ったが,なかなか読み応えのある長文であった。今年,2008年の初め,カンボジアのフンセン首相が,日本政府ももう少しカンボジアの援助に力を入れてはどうか,と言ったときは,日本の援助関係者は思わず自分の耳を疑ったであろう。特に日本の外交官は,カンボジアの和平と復興を直接主導したのは日本政府だ,と言う自負があったので,あの時のフンセンと今のフンセンは同じ人か,と眼をこすったに違いない。
今日の長文の記事は,米国の目から見た中国の東南アジア,特にカンボジア,ラオス,ベトナムへの対応である。これを書いたカイン記者(注1)は,プノンペン駐在である。あくまでも米国の視点であって,この中国の進出に日本がどう思っておるのか,などには触れていない。日本の記者が,この観点からの日本の見方を作文してみる必要があろう。誰かそういうことを言っていないか,と調べると,政府関係ではなかなか見つからないが,サンケイビジネスアイ(注12)が触れている。
少し言葉を借りるが,中国の低金利融資は機動的で,日本のODAの魅力は薄れる一方だ。日本の新たな戦略は,麻生太郎外務相(当時)が中国にインドシナ半島のメコン川流域に対する政策を日中で協議する対話を打診し,2008年4月には北京で,「日中メコン政策対話」,を開催,日中共同支援をめざしている。日本政府は,中国が日本をこの地域から排除する意志はないと見ている,と報じている。
しかし問題は,「中国の低金利融資は機動的」,と言う部分で,これはどう見ても日本のODAがもっとも不得意とするところで,だから民間はどうか,と言っても,民間によるインフラ建設は,そう大規模には動かない。寸断されたJBICが,これからどの様に動くのか,我々にとっては甚だ不透明である。インドシナ三国が欲しいのは,ダムと石炭火力だから,日本が捨ててしまったものばかり,致し方ないか。
2008年1月に書かれたCRS(注2)報告書では,東南アジア,特に低発展国,例えばカンボジアへの支援で中国が飛び抜けていて,2007年には689百万ドルであり,2008年には,二つのダムなど10億ドルを約束している。これに対し米国はNGO中心の55百万ドルである。1990年代には西側と日本が中心であった援助も,今ではフンセン首相は,人権にうるさい国連機関や,フンセン一族の森林不法伐採を糾弾するNGO(注3)などを追い出すところまで来ている。現在,10億ドルの予算不足を起こしているフンセン政権は,1008年10月24日の北京に於けるASEM(注4)で温家宝首相に泣きつき,280百万ドルの借款を獲得している。
(注)(1) a Phnom Penh-based contributor to the Far Eastern Economic Review and Integrated Regional Information Networks (IRIN),(2) the Congressional Research Service (CRS),(3) NGO Global Witness,(4) the Asia-Europe summit,(5) Laos Prime Minister Choummaly Sayasone,(6) "no-strings-attached",(7) the line on Beijing's "one China" policy,(8) the multilateral Consultative Group,(9) the Stanley Foundation,(10) Secretary of State Condoleezza Rice,(11) China's "charm offensive" in Southeast Asia,(12) http://www.business-i.jp/news/china-page/news/200805140005a.nwc,(13)
本文
●中国,資源を求めて,援助を武器にカンボジアなど,進出
今年,2008年の初め,カンボジアのフンセン首相が,日本政府ももう少しカンボジアの援助に力を入れてはどうか,と言ったときは,日本の援助関係者は思わず自分の耳を疑ったであろう。特に日本の外交官は,カンボジアの和平を直接主導したのは日本政府だ,と言う自負があったので,あの時のフンセンと今のフンセンは同じ人か,と眼をこすったに違いない。今日の長文の記事は,米国の目から見た中国の東南アジア,特にカンボジア,ラオス,ベトナムへの対応である。これを書いたカイン記者(注1)は,プノンペン駐在である。
経済発展のための原材料を求めて,中国は開発援助を通じて,ベトナム戦争以来忘れられていた三国,カンボジア,ラオス,ベトナムに急接近している。米国も,9.11事件より,この地域での活動を積極化しているが,それはあくまで対テロ対策で,中国の成長目標とは異なる。しかし,これらのカンボジア,ラオス,ベトナムは,この中国と米国の競争には,余り気分は良くない。
2008年1月に書かれたCRS(注2)報告書では,東南アジア,特に低発展国,例えばカンボジアへの支援で中国が飛び抜けていて,2007年には689百万ドルであり,2008年には,二つのダムなど10億ドルを約束している。これに対し米国はNGO中心の55百万ドルである。1990年代には西側と日本が中心であった援助も,今ではフンセン首相は,人権にうるさい国連機関や,フンセン一族の森林不法伐採を糾弾するNGO(注3)などを追い出すところまで来ている。現在,10億ドルの予算不足を起こしているフンセン政権は,1008年10月24日の北京に於けるASEM(注4)で温家宝首相に泣きつき,280百万ドルの借款を獲得している。
ラオスも同じような状態で,中国からの178百万ドルに上る交通インフラ支援と2006年の45百万ドルの経済支援に比べて,米国は全く不毛の2005年~2007年,僅かに4.5百万ドルである。中国は,ラオス現首相(注5)のベトナムとの関係維持の方針にもかかわらず,ラオス軍隊の近代化や留学支援に援助の手を差し伸べている。中国政府の狙い目は,次世代への布石である。
ミャンマーに対して中国は,CRS(注2)報告書は,1988年に現軍事政権が権力を握って以来,総額50億ドルに上る借款,投資などを行っているが,2007年の避難民対策12百万ドルのみである。中国政府は,ミャンマーの軍事政権の将来に楽観的な見通しを持っていて,その根底には,ガスパイプラインのインドとの対立の問題がある。
何よりも問題なのは,この中国の,一見,紐付きでない(注6)接近で,実はその被援助国の外交政策に紐を付けていると言うことである。それには台湾の問題があって,一つの中国(注7)を認めさせると言うことである。ベトナムが2006年にハノイでのAPECに台湾を招待したときは,2億ドルの対ベトナム支援を棚上げした,その後復活はしたが。
かってこれらの東南アジア諸国が,こぞって日本,インド,オーストラリアに接近していたとき,やはり歴史的な意味で競争はあった。現在の中国と米国の競争は,ゼロサムゲームの中に閉じこめられてはいない。実際は,カンボジア,ベトナム,ラオスのリーダー達は,明らかに,中国米国どちらかに偏ることを望んでいないのである。
2007年に行われたカンボジアの援助国会議(注8)で,中国が出席して91.5百万ドルの約束を行ったが,これは画期的である。これは,中国が多国間協議の前に姿を現したことを意味するが,カンボジア以外ではまだ実現していない。スタンレー基金(注9)は,今後のASEAN諸国との会議には,必ず米国外交官の参加を促している,ライス国務長官(注10)は,時々このことをさぼってきた。中国の「魅力を見せながらの攻撃(注11)に対して米国は,協調的で信頼できる姿勢で臨む必要がある。
以上が,今日の記事の要約であるが,一貫して,インドシナ三国へのプレゼンスが落ちてきた米国が,次の政権でどの様に対応すべきか,プノンペンから米国本土へ訴えたものである。「魅力を見せながらの中国の攻撃」,に米国は,「協調的で信頼される姿勢」。を保て,と言っている。我々も日本の支援で,これらの貧困国には,技術協力に重心を置いた姿勢がよい,と判断しているわけだが,フンセンの言葉に報いるには,一体どうすればよいのか,日本のカンボジア援助関係者の,ここが正念場であろう。
(注)(1) a Phnom Penh-based contributor to the Far Eastern Economic Review and Integrated Regional Information Networks (IRIN),(2) the Congressional Research Service (CRS),(3) NGO Global Witness,(4) the Asia-Europe summit,(5) Laos Prime Minister Choummaly Sayasone,(6) "no-strings-attached",(7) the line on Beijing's "one China" policy,(8) the multilateral Consultative Group,(9) the Stanley Foundation,(10) Secretary of State Condoleezza Rice,(11) China's "charm offensive" in Southeast Asia,(12)
reference
China
●081029A Cambodia, worldpoliticsreview
中国,資源を求めて,援助を武器にカンボジアなど,進出
Chinese Aid Wins Hearts, Twists Arms in Southeast Asia
http://www.worldpoliticsreview.com/article.aspx?id=2822
アフリカ,中東,南米,再生可能エネルギーの最前線もあり。
http://my.reset.jp/~adachihayao/index.htm
今日の新聞記事で,製鉄企業の業績悪化が報じられている。今年,2008年7月に,鉄スクラップの値段がトン7万円であったものが,今1万5千円だと言っている,製鉄企業は,これに応じて製品の値引きを考えているが,幾ら引いても鉄を買ってくれるところがなくなった,と言っている。2008年の初めから7月まで,原油といい鉄といい,余りにも異常で,プロジェクトに関わる我々を悩ました。
今日も株式市場と為替市場は復活の流れに乗っている。欧州を中心に,一通りの資金注入の準備が整ったと言うことか,と安心している人が多い。原油は,一気に62ドル台から一日で67ドルまで上がってきた。OPECの減産が効いてきたのか。出血が止まって,改めて将来を見据えている経済の専門家が多いことだろう。中国の経済は輸出が40%と言う。中期の課題は,中国が内需にどの様に転換して行くかであろう,と専門家は言っている。
さて今日の記事だが,一本に絞ったが,なかなか読み応えのある長文であった。今年,2008年の初め,カンボジアのフンセン首相が,日本政府ももう少しカンボジアの援助に力を入れてはどうか,と言ったときは,日本の援助関係者は思わず自分の耳を疑ったであろう。特に日本の外交官は,カンボジアの和平と復興を直接主導したのは日本政府だ,と言う自負があったので,あの時のフンセンと今のフンセンは同じ人か,と眼をこすったに違いない。
今日の長文の記事は,米国の目から見た中国の東南アジア,特にカンボジア,ラオス,ベトナムへの対応である。これを書いたカイン記者(注1)は,プノンペン駐在である。あくまでも米国の視点であって,この中国の進出に日本がどう思っておるのか,などには触れていない。日本の記者が,この観点からの日本の見方を作文してみる必要があろう。誰かそういうことを言っていないか,と調べると,政府関係ではなかなか見つからないが,サンケイビジネスアイ(注12)が触れている。
少し言葉を借りるが,中国の低金利融資は機動的で,日本のODAの魅力は薄れる一方だ。日本の新たな戦略は,麻生太郎外務相(当時)が中国にインドシナ半島のメコン川流域に対する政策を日中で協議する対話を打診し,2008年4月には北京で,「日中メコン政策対話」,を開催,日中共同支援をめざしている。日本政府は,中国が日本をこの地域から排除する意志はないと見ている,と報じている。
しかし問題は,「中国の低金利融資は機動的」,と言う部分で,これはどう見ても日本のODAがもっとも不得意とするところで,だから民間はどうか,と言っても,民間によるインフラ建設は,そう大規模には動かない。寸断されたJBICが,これからどの様に動くのか,我々にとっては甚だ不透明である。インドシナ三国が欲しいのは,ダムと石炭火力だから,日本が捨ててしまったものばかり,致し方ないか。
2008年1月に書かれたCRS(注2)報告書では,東南アジア,特に低発展国,例えばカンボジアへの支援で中国が飛び抜けていて,2007年には689百万ドルであり,2008年には,二つのダムなど10億ドルを約束している。これに対し米国はNGO中心の55百万ドルである。1990年代には西側と日本が中心であった援助も,今ではフンセン首相は,人権にうるさい国連機関や,フンセン一族の森林不法伐採を糾弾するNGO(注3)などを追い出すところまで来ている。現在,10億ドルの予算不足を起こしているフンセン政権は,1008年10月24日の北京に於けるASEM(注4)で温家宝首相に泣きつき,280百万ドルの借款を獲得している。
(注)(1) a Phnom Penh-based contributor to the Far Eastern Economic Review and Integrated Regional Information Networks (IRIN),(2) the Congressional Research Service (CRS),(3) NGO Global Witness,(4) the Asia-Europe summit,(5) Laos Prime Minister Choummaly Sayasone,(6) "no-strings-attached",(7) the line on Beijing's "one China" policy,(8) the multilateral Consultative Group,(9) the Stanley Foundation,(10) Secretary of State Condoleezza Rice,(11) China's "charm offensive" in Southeast Asia,(12) http://www.business-i.jp/news/china-page/news/200805140005a.nwc,(13)
本文
●中国,資源を求めて,援助を武器にカンボジアなど,進出
今年,2008年の初め,カンボジアのフンセン首相が,日本政府ももう少しカンボジアの援助に力を入れてはどうか,と言ったときは,日本の援助関係者は思わず自分の耳を疑ったであろう。特に日本の外交官は,カンボジアの和平を直接主導したのは日本政府だ,と言う自負があったので,あの時のフンセンと今のフンセンは同じ人か,と眼をこすったに違いない。今日の長文の記事は,米国の目から見た中国の東南アジア,特にカンボジア,ラオス,ベトナムへの対応である。これを書いたカイン記者(注1)は,プノンペン駐在である。
経済発展のための原材料を求めて,中国は開発援助を通じて,ベトナム戦争以来忘れられていた三国,カンボジア,ラオス,ベトナムに急接近している。米国も,9.11事件より,この地域での活動を積極化しているが,それはあくまで対テロ対策で,中国の成長目標とは異なる。しかし,これらのカンボジア,ラオス,ベトナムは,この中国と米国の競争には,余り気分は良くない。
2008年1月に書かれたCRS(注2)報告書では,東南アジア,特に低発展国,例えばカンボジアへの支援で中国が飛び抜けていて,2007年には689百万ドルであり,2008年には,二つのダムなど10億ドルを約束している。これに対し米国はNGO中心の55百万ドルである。1990年代には西側と日本が中心であった援助も,今ではフンセン首相は,人権にうるさい国連機関や,フンセン一族の森林不法伐採を糾弾するNGO(注3)などを追い出すところまで来ている。現在,10億ドルの予算不足を起こしているフンセン政権は,1008年10月24日の北京に於けるASEM(注4)で温家宝首相に泣きつき,280百万ドルの借款を獲得している。
ラオスも同じような状態で,中国からの178百万ドルに上る交通インフラ支援と2006年の45百万ドルの経済支援に比べて,米国は全く不毛の2005年~2007年,僅かに4.5百万ドルである。中国は,ラオス現首相(注5)のベトナムとの関係維持の方針にもかかわらず,ラオス軍隊の近代化や留学支援に援助の手を差し伸べている。中国政府の狙い目は,次世代への布石である。
ミャンマーに対して中国は,CRS(注2)報告書は,1988年に現軍事政権が権力を握って以来,総額50億ドルに上る借款,投資などを行っているが,2007年の避難民対策12百万ドルのみである。中国政府は,ミャンマーの軍事政権の将来に楽観的な見通しを持っていて,その根底には,ガスパイプラインのインドとの対立の問題がある。
何よりも問題なのは,この中国の,一見,紐付きでない(注6)接近で,実はその被援助国の外交政策に紐を付けていると言うことである。それには台湾の問題があって,一つの中国(注7)を認めさせると言うことである。ベトナムが2006年にハノイでのAPECに台湾を招待したときは,2億ドルの対ベトナム支援を棚上げした,その後復活はしたが。
かってこれらの東南アジア諸国が,こぞって日本,インド,オーストラリアに接近していたとき,やはり歴史的な意味で競争はあった。現在の中国と米国の競争は,ゼロサムゲームの中に閉じこめられてはいない。実際は,カンボジア,ベトナム,ラオスのリーダー達は,明らかに,中国米国どちらかに偏ることを望んでいないのである。
2007年に行われたカンボジアの援助国会議(注8)で,中国が出席して91.5百万ドルの約束を行ったが,これは画期的である。これは,中国が多国間協議の前に姿を現したことを意味するが,カンボジア以外ではまだ実現していない。スタンレー基金(注9)は,今後のASEAN諸国との会議には,必ず米国外交官の参加を促している,ライス国務長官(注10)は,時々このことをさぼってきた。中国の「魅力を見せながらの攻撃(注11)に対して米国は,協調的で信頼できる姿勢で臨む必要がある。
以上が,今日の記事の要約であるが,一貫して,インドシナ三国へのプレゼンスが落ちてきた米国が,次の政権でどの様に対応すべきか,プノンペンから米国本土へ訴えたものである。「魅力を見せながらの中国の攻撃」,に米国は,「協調的で信頼される姿勢」。を保て,と言っている。我々も日本の支援で,これらの貧困国には,技術協力に重心を置いた姿勢がよい,と判断しているわけだが,フンセンの言葉に報いるには,一体どうすればよいのか,日本のカンボジア援助関係者の,ここが正念場であろう。
(注)(1) a Phnom Penh-based contributor to the Far Eastern Economic Review and Integrated Regional Information Networks (IRIN),(2) the Congressional Research Service (CRS),(3) NGO Global Witness,(4) the Asia-Europe summit,(5) Laos Prime Minister Choummaly Sayasone,(6) "no-strings-attached",(7) the line on Beijing's "one China" policy,(8) the multilateral Consultative Group,(9) the Stanley Foundation,(10) Secretary of State Condoleezza Rice,(11) China's "charm offensive" in Southeast Asia,(12)
reference
China
●081029A Cambodia, worldpoliticsreview
中国,資源を求めて,援助を武器にカンボジアなど,進出
Chinese Aid Wins Hearts, Twists Arms in Southeast Asia
http://www.worldpoliticsreview.com/article.aspx?id=2822
2008年10月29日水曜日
中国の水力開発規模は世界一
HPは下記ドメインです。
アフリカ,中東,南米,再生可能エネルギーの最前線もあり。
http://my.reset.jp/~adachihayao/index.htm
今日は,中国の北京レビューというサイトが,中国の水力開発を讃える長い長い記事を,二つも入れてきて,まず目を通すだけでも大変なのに,その上に,広西荘自治区,紅水河(注10)の龍灘水力発電所(注11)の位置が不確かで,それを一生懸命探していて,とんでもない時間を潰してしまった。夕方大阪で友人と約束があるのに,焦っている。二日間の測量作業で,足が痛い。
午前中8,000円台に戻ってきた東京株式市場は,午後になって再び売られ,8,000円を割り込んで,2時過ぎ現在で7,856円ぐらいだ。円安が進んでも,企業業績の悪化を懸念した,と言っている。対ドル円は97円ぐらい,原油は62.73ドル,と言うところか。モルジブ選挙で野党のナシード党首が大統領に当選。パキスタン南西部でマグニチュード6.4,80人死亡,と言っている。パキスタンも,テロと地震だけでも大変なのに,アルカイダを狙った米国の無人爆撃機が飛んでくる,と言うから,あの平和だったペシャワールも大変だろう,と思いを致す。
さて,今日の北京レビューによる,中国の水力開発を讃える記事だが,とにかく,水力開発の関しては,量も質も中国が世界一だ,と言われてみれば,反論する余地はない,私もそうだと思う。我がJパワーも,もうダムと石炭火力は中国に任せておけ,と方針決定したような感じで,彼我共に認める中国の水力開発である。中国は,大規模水力を完全なクリーンエネルギー,再生可能エネルギーの範疇に入れてしまっている。再生可能エネルギー開発方針も,言うなれば,大規模水力開発なのである。この辺で日本の経済産業省は迷っている。
重要な数字だけ拾う。長江の三峡水力発電所(注2)である。700,000MWユニット36台を設備している。これに続く発電所は,雲南省のシルオドウ水力発電所(注3)で,出力12,600MW,2015年完成予定である。現在の中国の水力設備は,145,000MWで世界一である。そのピークは2012年から2016年に来るだろう。これからの水力は,長江,黄河(注6),それに南西部の諸河川,ジンシャ,ヨロン,ダドウ(注7)などの,上流部,中流部で開発される。
中国の包蔵水力は690,000MWであるが,技術的に開発可能とされているのは540,000MWである。技術的な開発実績も成果を上げている。ダムの高さは200m以上に達し,水車発電機のユニット規模は700MWで世界記録である。現在,四川省と雲南省の境界付近で計画中のウドングデ水力(注8)はユニット800MWであり,バイヘタン水力(注9)はユニット1,000MWである。
龍灘水力発電所(注11)の工事費は243億元,約35.6億ドル相当,で,2001年7月1日に工事を開始し,ダム工事は2003年11月に本格開始した。第1号機の運転開始は,2007年5月であった。電力の50%は,電力不足に悩む広東(注16)に送られる。広東(注16)は石炭火力の公害に悩まされ,毎年60億ドル近い被害が出ている,と推定されている。
龍灘水力発電所(注11)の貯水池の規模は,貯水容量が273億トン,洪水調節容量が70億トン,洪水量毎秒8,500トンカットでき,50年に一回の洪水に対処できる。下流のヤンタンダム(注17)と併せて,毎秒10000トンのカットを行う。その他,500トンの舟運が可能で,鉱業ポテンシャルの大きいこの紅水河(注10)流域を,「黄金の水路(注18)」に変える,と謳っている。
中国は,2015年までに,現在の水力が系統に占める割合20%を,2015年までに28%に上げる,と言っている。今日の記事を見ていると,留まるところを知らない中国のダム開発であるが,私はまさしく時間との戦いだと思っている。既に,温家宝首相はダム開発に対して相当に後ろ向きと聞く。雲南省のダム開発に釘を刺した事実もある。住民達が立ち上がり始めると,収拾つかなくなるのは,我々が経験したとおりである。中国もミャンマーも,まさしくダム開発は時間との戦いだ。
(注) (1) the China Electricity Council,(2) The Three Gorges Hydropower Station on the Yangtze River,(3) the Xiluodu Hydropower Station in Yunnan Province,(4) Chen Lei, Minister of Water Resources,(5) the International High-Level Forum on Water Resources and Hydropower,(6) Yellow river,(7) Jinsha, Yalong and Dadu rivers,(8) the Wudongde Hydropower Station,(9) the Baihetan Hydropower Station,(10)
本文
●中国の水力発電,全系統の28%を占める
もう大ダムと石炭火力は,中国に任した,と割り切ったのは我がJパワーであるが,まさしく今日の記事は,中国が高々と謳い上げた大ダム建設世界一の実績と技術を誇り,大規模ダムは,クリーンエネルギーとして,立派な役割を果たしていくのだ,と世界に宣言したような北京レビューの報道である。すべてに於いて,中国の水力開発讃歌なので,その当たりは省略して,文中の重要な数字を拾ってみたい。長文である。
中国は,水力発電による全発電設備へのシェアーを28%まで延ばす計画である。この記事は,2008年8月7日に中国電力委員会(注1)によって刊行された報告書の内容に基づいている。今年,2008年下期の電力不足は,15,000MWと見積もられている。この事態に貢献するのは,長江の三峡水力発電所(注2)である。700,000MWユニット36台を設備している。これに続く発電所は,雲南省のシルオドウ水力発電所(注3)で,出力12,600MW,2015年完成予定である。
チェンレイ水資源大臣(注4)が最近北京で開かれた国際水力会議(注5)で説明したところによると,現在の中国の水力設備は,145,000MWで世界一である。そのピークは2012年から2016年に来るだろう。これからの水力は,長江,黄河(注6),それに南西部の諸河川,ジンシャ,ヨロン,ダドウ(注7)などの,上流部,中流部で開発される。
これから開発される1,000MWのダムは,110地点以上の上る。現在までに20地点が完成し,残りは198,670MWの総出力で,2010年から2015年の間に殆どが完成する予定である。長江上流では,10地点の大規模0開発が行われる。水力の建設費は,平均KW当たり8,000元,約1,170ドル相当,と石炭火力の2倍であるが,燃料などを含めた全体では,経済性は高い。
中国の包蔵水力は690,000MWであるが,技術的に開発可能とされているのは540,000MWである。技術的な開発実績も成果を上げている。ダムの高さは200m以上に達し,水車発電機のユニット規模は700MWで世界記録である。現在,四川省と雲南省の境界付近で計画中のウドングデ水力(注8)はユニット800MWであり,バイヘタン水力(注9)はユニット1,000MWである。
この記事は,技術的な成果を讃えながら,環境問題への対策も論じている。特に,ダムによる河川流況の変化の生態への影響や,また百満員を越す移住を成功させた三峡水力発電所(注2)について,その成果を誇っている。中国の水力開発は,まさしくこれからが正念場で,石炭火力抑制のために水力を,と言う政府の考え方の中でも,温家宝首相などは,かなり慎重,との噂も流れている。
(注) (1) the China Electricity Council,(2) The Three Gorges Hydropower Station on the Yangtze River,(3) the Xiluodu Hydropower Station in Yunnan Province,(4) Chen Lei, Minister of Water Resources,(5) the International High-Level Forum on Water Resources and Hydropower,(6) Yellow river,(7) Jinsha, Yalong and Dadu rivers,(8) the Wudongde Hydropower Station,(9) the Baihetan Hydropower Station,(10)
(注) (10) Hongshuihe,(11) The Longtan Hydropower Station,(12) http://my.reset.jp/~adachihayao/08102801LongtanLocation.jpg,(13) the Pearl River,(14) Tian'e County, Guangxi Zhuang Autonomous Region,(15) Longtan Hydropower Development Co. Ltd. (LHDC),(16) Guangdong,(17) the Yantan Dam in the lower reaches of the Hongshuihe River,(18) "golden waterway",(19)
●中国南部,紅水河の水力発電開発
同じ北京レビューが,同じ日付で,長江の三峡水力発電所(注2)と並べて,紅水河(注10)の龍灘水力発電所(注11)を記事にしている。これまでも実は,龍灘水力発電所(注11)の位置がよく分からず苦労した。今日もどうもよく分からないので,調べに調べて,時間を食ってしまった。やっと自分で納得出来るダムサイトを見つけた(注12)。広西自治区の北西ぎりぎり,緯度的には昆明の東になるので驚いた。
これも長文の記事なので,大事な数字だけ拾っておく。紅水河(注10)が太平洋に出る直前の河はパール河(注13)となっている。紅水河(注10)の全延長は638km,高さで762m落ちている。位置は,広西荘自治区のティアン地区(注14)で,高さ216.5mのRCCダムである。出力は6,300MW,中国第3位である。龍灘水力開発公司LHDC(注15)によって建設され,2008年11月末にも,第6号機が運転開始する。最終第7号機は2008年12月末完成である。
龍灘水力発電所(注11)の工事費は243億元,約35.6億ドル相当,で,2001年7月1日に工事を開始し,ダム工事は2003年11月に本格開始した。第1号機の運転開始は,2007年5月であった。電力の50%は,電力不足に悩む広東(注16)に送られる。広東(注16)は石炭火力の公害に悩まされ,毎年60億ドル近い被害が出ている,と推定されている。
龍灘水力発電所(注11)の貯水池の規模は,貯水容量が273億トン,洪水調節容量が70億トン,洪水量毎秒8,500トンカットでき,50年に一回の洪水に対処できる。下流のヤンタンダム(注17)と併せて,毎秒10000トンのカットを行う。その他,500トンの舟運が可能で,鉱業ポテンシャルの大きいこの紅水河(注10)流域を,「黄金の水路(注18)」に変える,と謳っている。
(注) (10) Hongshuihe,(11) The Longtan Hydropower Station,(12) http://my.reset.jp/~adachihayao/08102801LongtanLocation.jpg,(13) the Pearl River,(14) Tian'e County, Guangxi Zhuang Autonomous Region,(15) Longtan Hydropower Development Co. Ltd. (LHDC),(16) Guangdong,(17) the Yantan Dam in the lower reaches of the Hongshuihe River,(18) "golden waterway",(19)
●フィリッピン,ERC,世論に負け,マニラ配電の値上げを延期
マニラ配電MERALCOが,従来徴収できなかった,為替や燃料費調整分の電気料金を,規制委員会ERC(注19)が許可した,と言う記事が,先日の2008年10月10日のマニラブリテンに出ていて,MERALCOはその徴収準備に専念しているところであった。その総額は39億ペソに上り,KWh当たりにすれば0.3ペソ以上であった。
今日のマニラブリテンの記事,ERC(注19)は突然にその値上げの延期を決定した。消費者の反対の声に押されたわけで,直接の相手は,改革消費者連盟NASECORE(注20)である。ERCのジュアン局長(注21)が発表した。この決定は,正規の手続きに基づいたものだ,と苦しい言い訳をしている。
結局,配電経費の上乗せなどで,値上げ幅が,KWh当たり,0.2055~0.4571ペソになることが分かり,反対の声に火を付けた。マニラ配電内部は,その新しい指示への対応に追われているが,いずれにしても,再生可能エネルギーの積極的導入など,電気料金を押し上げる要素は多く,改革により電気料金引き下げを約束しているアロヨ大統領に,ますますプレッシャーがかかる。
(注) (19) the Energy Regulatory Commission (ERC),(20) National Association of Electricity Consumers for Reforms (NASECORE),(21) ERC executive director Francis Juan,(22)
●インド,電力大臣,NTPCの財務的自由な立場を強化
インドの電力開発,特に2012年までの第11次五カ年計画で70,000MW開発の目標を持つインドで,民間資金の導入を謳いながらも,政府系公社,中でも火力発電公社NTPCの果たす役割は,大きく期待されており,水力のNHPCも含めて,公社系の活躍がなければ実現は困難である。政府公社系には,入札参加もさることながら,資金調達でも一定の制約があったようである。
今日の記事では,電力大臣が,NTPCの制約を取り外すために,新たな案を閣議の了解を取るべく,調整を行っている,と言う内容である。NTPCの海外資産を求める5つの合弁の設定に,2600億ルピーを必要としている。現在の制度では,投資額を各案件の30%を上限としているが,これを50%に引き上げようというものである。今回のケースは,総額5,263.9億ルピーの案件である。
Reference
Philippines
●081028A Philippines, Manila Bulletin
ERC,世論の負け,マニラ配電の値上げを延期
ERC bows to public pressure, defers implementation of Meralco rate hike
http://www.mb.com.ph/BSNS20081028139214.html
India
●081028B India, Economic Times
電力大臣,NTPCの財務的自由な立場を強化
Power ministry seeks more financial freedom for NTPC
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power_ministry_seeks_more_financial_freedom_for_NTPC/articleshow/3647589.cms
China
●081028C China, bjreview
中国南部,ホンスイ河の水力発電開発
Harnessing the Hongshuihe
http://www.bjreview.com.cn/business/txt/2008-10/27/content_159182_3.htm
●081028D China, bjreview.com
中国の水力発電,全系統の28%を占める
China is on track to rely on hydropower for 28 percent of its electricity generation http://www.bjreview.com.cn/business/txt/2008-10/27/content_159183.htm
アフリカ,中東,南米,再生可能エネルギーの最前線もあり。
http://my.reset.jp/~adachihayao/index.htm
今日は,中国の北京レビューというサイトが,中国の水力開発を讃える長い長い記事を,二つも入れてきて,まず目を通すだけでも大変なのに,その上に,広西荘自治区,紅水河(注10)の龍灘水力発電所(注11)の位置が不確かで,それを一生懸命探していて,とんでもない時間を潰してしまった。夕方大阪で友人と約束があるのに,焦っている。二日間の測量作業で,足が痛い。
午前中8,000円台に戻ってきた東京株式市場は,午後になって再び売られ,8,000円を割り込んで,2時過ぎ現在で7,856円ぐらいだ。円安が進んでも,企業業績の悪化を懸念した,と言っている。対ドル円は97円ぐらい,原油は62.73ドル,と言うところか。モルジブ選挙で野党のナシード党首が大統領に当選。パキスタン南西部でマグニチュード6.4,80人死亡,と言っている。パキスタンも,テロと地震だけでも大変なのに,アルカイダを狙った米国の無人爆撃機が飛んでくる,と言うから,あの平和だったペシャワールも大変だろう,と思いを致す。
さて,今日の北京レビューによる,中国の水力開発を讃える記事だが,とにかく,水力開発の関しては,量も質も中国が世界一だ,と言われてみれば,反論する余地はない,私もそうだと思う。我がJパワーも,もうダムと石炭火力は中国に任せておけ,と方針決定したような感じで,彼我共に認める中国の水力開発である。中国は,大規模水力を完全なクリーンエネルギー,再生可能エネルギーの範疇に入れてしまっている。再生可能エネルギー開発方針も,言うなれば,大規模水力開発なのである。この辺で日本の経済産業省は迷っている。
重要な数字だけ拾う。長江の三峡水力発電所(注2)である。700,000MWユニット36台を設備している。これに続く発電所は,雲南省のシルオドウ水力発電所(注3)で,出力12,600MW,2015年完成予定である。現在の中国の水力設備は,145,000MWで世界一である。そのピークは2012年から2016年に来るだろう。これからの水力は,長江,黄河(注6),それに南西部の諸河川,ジンシャ,ヨロン,ダドウ(注7)などの,上流部,中流部で開発される。
中国の包蔵水力は690,000MWであるが,技術的に開発可能とされているのは540,000MWである。技術的な開発実績も成果を上げている。ダムの高さは200m以上に達し,水車発電機のユニット規模は700MWで世界記録である。現在,四川省と雲南省の境界付近で計画中のウドングデ水力(注8)はユニット800MWであり,バイヘタン水力(注9)はユニット1,000MWである。
龍灘水力発電所(注11)の工事費は243億元,約35.6億ドル相当,で,2001年7月1日に工事を開始し,ダム工事は2003年11月に本格開始した。第1号機の運転開始は,2007年5月であった。電力の50%は,電力不足に悩む広東(注16)に送られる。広東(注16)は石炭火力の公害に悩まされ,毎年60億ドル近い被害が出ている,と推定されている。
龍灘水力発電所(注11)の貯水池の規模は,貯水容量が273億トン,洪水調節容量が70億トン,洪水量毎秒8,500トンカットでき,50年に一回の洪水に対処できる。下流のヤンタンダム(注17)と併せて,毎秒10000トンのカットを行う。その他,500トンの舟運が可能で,鉱業ポテンシャルの大きいこの紅水河(注10)流域を,「黄金の水路(注18)」に変える,と謳っている。
中国は,2015年までに,現在の水力が系統に占める割合20%を,2015年までに28%に上げる,と言っている。今日の記事を見ていると,留まるところを知らない中国のダム開発であるが,私はまさしく時間との戦いだと思っている。既に,温家宝首相はダム開発に対して相当に後ろ向きと聞く。雲南省のダム開発に釘を刺した事実もある。住民達が立ち上がり始めると,収拾つかなくなるのは,我々が経験したとおりである。中国もミャンマーも,まさしくダム開発は時間との戦いだ。
(注) (1) the China Electricity Council,(2) The Three Gorges Hydropower Station on the Yangtze River,(3) the Xiluodu Hydropower Station in Yunnan Province,(4) Chen Lei, Minister of Water Resources,(5) the International High-Level Forum on Water Resources and Hydropower,(6) Yellow river,(7) Jinsha, Yalong and Dadu rivers,(8) the Wudongde Hydropower Station,(9) the Baihetan Hydropower Station,(10)
本文
●中国の水力発電,全系統の28%を占める
もう大ダムと石炭火力は,中国に任した,と割り切ったのは我がJパワーであるが,まさしく今日の記事は,中国が高々と謳い上げた大ダム建設世界一の実績と技術を誇り,大規模ダムは,クリーンエネルギーとして,立派な役割を果たしていくのだ,と世界に宣言したような北京レビューの報道である。すべてに於いて,中国の水力開発讃歌なので,その当たりは省略して,文中の重要な数字を拾ってみたい。長文である。
中国は,水力発電による全発電設備へのシェアーを28%まで延ばす計画である。この記事は,2008年8月7日に中国電力委員会(注1)によって刊行された報告書の内容に基づいている。今年,2008年下期の電力不足は,15,000MWと見積もられている。この事態に貢献するのは,長江の三峡水力発電所(注2)である。700,000MWユニット36台を設備している。これに続く発電所は,雲南省のシルオドウ水力発電所(注3)で,出力12,600MW,2015年完成予定である。
チェンレイ水資源大臣(注4)が最近北京で開かれた国際水力会議(注5)で説明したところによると,現在の中国の水力設備は,145,000MWで世界一である。そのピークは2012年から2016年に来るだろう。これからの水力は,長江,黄河(注6),それに南西部の諸河川,ジンシャ,ヨロン,ダドウ(注7)などの,上流部,中流部で開発される。
これから開発される1,000MWのダムは,110地点以上の上る。現在までに20地点が完成し,残りは198,670MWの総出力で,2010年から2015年の間に殆どが完成する予定である。長江上流では,10地点の大規模0開発が行われる。水力の建設費は,平均KW当たり8,000元,約1,170ドル相当,と石炭火力の2倍であるが,燃料などを含めた全体では,経済性は高い。
中国の包蔵水力は690,000MWであるが,技術的に開発可能とされているのは540,000MWである。技術的な開発実績も成果を上げている。ダムの高さは200m以上に達し,水車発電機のユニット規模は700MWで世界記録である。現在,四川省と雲南省の境界付近で計画中のウドングデ水力(注8)はユニット800MWであり,バイヘタン水力(注9)はユニット1,000MWである。
この記事は,技術的な成果を讃えながら,環境問題への対策も論じている。特に,ダムによる河川流況の変化の生態への影響や,また百満員を越す移住を成功させた三峡水力発電所(注2)について,その成果を誇っている。中国の水力開発は,まさしくこれからが正念場で,石炭火力抑制のために水力を,と言う政府の考え方の中でも,温家宝首相などは,かなり慎重,との噂も流れている。
(注) (1) the China Electricity Council,(2) The Three Gorges Hydropower Station on the Yangtze River,(3) the Xiluodu Hydropower Station in Yunnan Province,(4) Chen Lei, Minister of Water Resources,(5) the International High-Level Forum on Water Resources and Hydropower,(6) Yellow river,(7) Jinsha, Yalong and Dadu rivers,(8) the Wudongde Hydropower Station,(9) the Baihetan Hydropower Station,(10)
(注) (10) Hongshuihe,(11) The Longtan Hydropower Station,(12) http://my.reset.jp/~adachihayao/08102801LongtanLocation.jpg,(13) the Pearl River,(14) Tian'e County, Guangxi Zhuang Autonomous Region,(15) Longtan Hydropower Development Co. Ltd. (LHDC),(16) Guangdong,(17) the Yantan Dam in the lower reaches of the Hongshuihe River,(18) "golden waterway",(19)
●中国南部,紅水河の水力発電開発
同じ北京レビューが,同じ日付で,長江の三峡水力発電所(注2)と並べて,紅水河(注10)の龍灘水力発電所(注11)を記事にしている。これまでも実は,龍灘水力発電所(注11)の位置がよく分からず苦労した。今日もどうもよく分からないので,調べに調べて,時間を食ってしまった。やっと自分で納得出来るダムサイトを見つけた(注12)。広西自治区の北西ぎりぎり,緯度的には昆明の東になるので驚いた。
これも長文の記事なので,大事な数字だけ拾っておく。紅水河(注10)が太平洋に出る直前の河はパール河(注13)となっている。紅水河(注10)の全延長は638km,高さで762m落ちている。位置は,広西荘自治区のティアン地区(注14)で,高さ216.5mのRCCダムである。出力は6,300MW,中国第3位である。龍灘水力開発公司LHDC(注15)によって建設され,2008年11月末にも,第6号機が運転開始する。最終第7号機は2008年12月末完成である。
龍灘水力発電所(注11)の工事費は243億元,約35.6億ドル相当,で,2001年7月1日に工事を開始し,ダム工事は2003年11月に本格開始した。第1号機の運転開始は,2007年5月であった。電力の50%は,電力不足に悩む広東(注16)に送られる。広東(注16)は石炭火力の公害に悩まされ,毎年60億ドル近い被害が出ている,と推定されている。
龍灘水力発電所(注11)の貯水池の規模は,貯水容量が273億トン,洪水調節容量が70億トン,洪水量毎秒8,500トンカットでき,50年に一回の洪水に対処できる。下流のヤンタンダム(注17)と併せて,毎秒10000トンのカットを行う。その他,500トンの舟運が可能で,鉱業ポテンシャルの大きいこの紅水河(注10)流域を,「黄金の水路(注18)」に変える,と謳っている。
(注) (10) Hongshuihe,(11) The Longtan Hydropower Station,(12) http://my.reset.jp/~adachihayao/08102801LongtanLocation.jpg,(13) the Pearl River,(14) Tian'e County, Guangxi Zhuang Autonomous Region,(15) Longtan Hydropower Development Co. Ltd. (LHDC),(16) Guangdong,(17) the Yantan Dam in the lower reaches of the Hongshuihe River,(18) "golden waterway",(19)
●フィリッピン,ERC,世論に負け,マニラ配電の値上げを延期
マニラ配電MERALCOが,従来徴収できなかった,為替や燃料費調整分の電気料金を,規制委員会ERC(注19)が許可した,と言う記事が,先日の2008年10月10日のマニラブリテンに出ていて,MERALCOはその徴収準備に専念しているところであった。その総額は39億ペソに上り,KWh当たりにすれば0.3ペソ以上であった。
今日のマニラブリテンの記事,ERC(注19)は突然にその値上げの延期を決定した。消費者の反対の声に押されたわけで,直接の相手は,改革消費者連盟NASECORE(注20)である。ERCのジュアン局長(注21)が発表した。この決定は,正規の手続きに基づいたものだ,と苦しい言い訳をしている。
結局,配電経費の上乗せなどで,値上げ幅が,KWh当たり,0.2055~0.4571ペソになることが分かり,反対の声に火を付けた。マニラ配電内部は,その新しい指示への対応に追われているが,いずれにしても,再生可能エネルギーの積極的導入など,電気料金を押し上げる要素は多く,改革により電気料金引き下げを約束しているアロヨ大統領に,ますますプレッシャーがかかる。
(注) (19) the Energy Regulatory Commission (ERC),(20) National Association of Electricity Consumers for Reforms (NASECORE),(21) ERC executive director Francis Juan,(22)
●インド,電力大臣,NTPCの財務的自由な立場を強化
インドの電力開発,特に2012年までの第11次五カ年計画で70,000MW開発の目標を持つインドで,民間資金の導入を謳いながらも,政府系公社,中でも火力発電公社NTPCの果たす役割は,大きく期待されており,水力のNHPCも含めて,公社系の活躍がなければ実現は困難である。政府公社系には,入札参加もさることながら,資金調達でも一定の制約があったようである。
今日の記事では,電力大臣が,NTPCの制約を取り外すために,新たな案を閣議の了解を取るべく,調整を行っている,と言う内容である。NTPCの海外資産を求める5つの合弁の設定に,2600億ルピーを必要としている。現在の制度では,投資額を各案件の30%を上限としているが,これを50%に引き上げようというものである。今回のケースは,総額5,263.9億ルピーの案件である。
Reference
Philippines
●081028A Philippines, Manila Bulletin
ERC,世論の負け,マニラ配電の値上げを延期
ERC bows to public pressure, defers implementation of Meralco rate hike
http://www.mb.com.ph/BSNS20081028139214.html
India
●081028B India, Economic Times
電力大臣,NTPCの財務的自由な立場を強化
Power ministry seeks more financial freedom for NTPC
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power_ministry_seeks_more_financial_freedom_for_NTPC/articleshow/3647589.cms
China
●081028C China, bjreview
中国南部,ホンスイ河の水力発電開発
Harnessing the Hongshuihe
http://www.bjreview.com.cn/business/txt/2008-10/27/content_159182_3.htm
●081028D China, bjreview.com
中国の水力発電,全系統の28%を占める
China is on track to rely on hydropower for 28 percent of its electricity generation http://www.bjreview.com.cn/business/txt/2008-10/27/content_159183.htm
2008年10月28日火曜日
インドネシアの電気料金
HPは下記ドメインです。
アフリカ,中東,南米,再生可能エネルギーの最前線もあり。
http://my.reset.jp/~adachihayao/index.htm
今日の泉南での測量作業は,大体同じような年齢層で,気分良く作業が出来た。最近なぜか,測量作業をやる人が増えてきたような気がする。練習場でも席が空くのをしばらく待つことがしばしば,また,朝早いスタートがとれないことがある。値段が極端に下がったことが原因なのであろうか。測量が比較的安い趣味に変わってきた,と言うのは面白い。平日でも若い人が多いのは,不況か。
今日の東京株式市場は,午前10時頃に7,000円を切ったようだが,その後,上げに転じたようだ。前場の終わりに売りに走った人が結構いたのではないか。株というのは,売れば上がる,買えば下がる,それはなぜなのであろうか。原油は,OPEC減産をものともせず今日も下がった。テキサス産軽質油の終値が一時バレル61.30ドル,1年5ヶ月ぶり安値らしい。
スーダンで中国人作業員が9人拉致され5人が死亡,2人不明のニュースが流れている。中国の人たちはすごい,海外進出に,危険の文字は存在しないのか。昨日,2008年10月26日のパキスタン,コハラ水力でも,パキスタンで中国人技術者が誘拐された事件を忘れたように,勇敢に危険地帯の水力開発に関心を示している。国内の炭坑よりは安全,と言う分けか。
さて,今日のジャカルタポストは,PLNのファーミ総裁(注4)が,PLNは2010年に基本電気料金を30%引き上げることを計画中である,と語っている。この計画は,2012年までに,PLNが独立採算をとるためである。即ち,政府の補助金を頼りにせず,PLN自身による資金調達,内部留保か借り入れで対応することを意味する。
ファーミ総裁(注4)は更に,「現在の基本電気料金はKWh当たり7セント相当であるが,30%の値上げによって,同じ地域の他の国の電気料金と比べると,合理的な値である。例えば,マレーシアは10セント,フィリッピンは15セント,シンガポールは20セントである。インドネシアの国民の経済力は,2010年には,この料金に耐え得るものになっているであろう。」。
逆にファーミ総裁(注4)は,2010年までは電気料金は上げない,と言ったと言うことか。日本の消費税と同じ言い方だ。必要だが今は上げません,来年は大統領選挙だから,と言いたいところなのだろう。しかし,良く7セントまで上げてきたなあ,と言う感想を持つ。4セント当時,電気料金値上げで暴動が起こりそうになり,スハルト政権が倒れたことがあった。
(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081026.htm,(2) State owned power company PT Perusahaan Listrik Negara (PLN),(3) http://my.reset.jp/~adachihayao/index3news0808.htm,080817C,(4) PLN president director Fahmi Mochtar,(5)
本文
●インドネシア,PLN,2010年に電気料金30%上げへ
昨日,2008年10月26日分(注1)の,PLN3億ドル起債申請の記事でも述べたように,インドネシアの国家電力公社(注2)の運営については,強く抑制された電気料金の元,政府が大きな補助金を供与していることで,これまでもいろいろ議論が出てきている。2008年8月17日の報道(注3)では,選挙を控えた大統領は,議会に対して,2009年の燃料補助金は,今年の180兆ルピア,約194億ドル相当,を43.76%カットして101兆ルピア,約108億ドル相当,に減らす意向を表明した。
今日の記事。PLNのファーミ総裁(注4)は次のように述べた。「PLNは2010年に基本電気料金を30%引き上げることを計画中である。この計画は,2012年までに,PLNが独立採算をとるためである。即ち,政府の補助金を頼りにせず,PLN自身による資金調達,内部留保か借り入れで対応することを意味する。」
ファーミ総裁(注4)は更に,「現在の基本電気料金はKWh当たり7セント相当であるが,30%の値上げによって,同じ地域の他の国の電気料金と比べると,合理的な値である。例えば,マレーシアは10セント,フィリッピンは15セント,シンガポールは20セントである。インドネシアの国民の経済力は,2010年には,この料金に耐え得るものになっているであろう。」。
逆にファーミ総裁(注4)は,2010年までは電気料金は上げない,と言ったと言うことか。日本の消費税と同じ言い方だ。必要だが今は上げません,来年は大統領選挙だから,と言いたいところなのだろう。しかし,良く7セントまで上げてきたなあ,と言う感想を持つ。4セント当時,電気料金値上げで暴動が起こりそうになり,スハルト政権が倒れたことがあった。
(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081026.htm,(2) State owned power company PT Perusahaan Listrik Negara (PLN),(3) http://my.reset.jp/~adachihayao/index3news0808.htm,080817C,(4) PLN president director Fahmi Mochtar,(5)
●インドネシア,世界の金融危機,エネルギーセクターも,国内銀行頼り
今インドネシアは,エネルギーセクターと電力セクターに,多くの資金を必要としている。電力セクターでは,2009年までに10,000MWの石炭火力を開発するクラッシュプログラム(注5)を推進中であり,更に第2次のクラッシュプログラム(注5)を計画中である。原油分野では,生産の落ちを懸念する議会などの意向で,探査活動の拡充を求められており,更に,天然ガス分野では,新たなLNG基地の建設が進められている。
今日のジャカルタポストの記事は,この多額の資金を必要とする分野が,世界の金融危機で資金調達が困難になったときの,国内金融機関の役割を宣伝する内容か。国際金融市場の流動性の悪化は,インドネシアの電力エネルギー分野の資金について,国内や国際融資機関を頼みのせざるを得なくなるだろう,と言う観測である。
BAPENAS(注6)のデオ国際金融局長(注7)は,事実インドネシアが世界の金融市場からの資金調達が困難になってきており,また利率も高騰している,と言っている。一般に,エネルギー鉱業分野の企業は,市場が国際的であるために,特に米ドル基本の資金調達を目指す傾向にある。
中央銀行の貨幣システム安定部署のウインボ氏(注8)は,エネルギープロジェクトは本来,国内銀行での資金調達を求める潜在性がある,と語っている。ウインボ氏(注8)は,国内銀行は今のところ健全であり,国内銀行にとっても,リスクが少ないという意味で,エネルギープロジェクトは魅力的である。
インドネシア銀行(注9)の2008年8月時点のデーターによれば,不良債権(注10)の平均率は,原油ガス石炭セクターで,僅かに0.84%,電力に至っては0.03%である。その他,いろいろ書いてあるが,どうも退屈なので省略する。しかし,昨日も3億ドル債券発行のニュース(注11)にもあるよう,インドネシアのエネルギーセクターに,資金調達に何らかの異常が起こっている可能性もあるのか。
(注) (5) Crash Program,(6) the National Development Planning Board (Bapenas),(7) Dewo Broto Joko Putranto,Director for multilateral financing,(8) Wimboh Santoso, head of the central bank's monetary system stability bureau.,(9) Bank Indonesia (BI),(10) bad loans, technically known as non-performing loans (NPL) ,(11) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081026.htm,(12)
Reference
Vietnam
●081027A Vietnam, vietnamnews
最近のベトナムの水力は,民間資金が流れ込む
Private money for Phu Yen hydro
http://vietnamnews.vnagency.com.vn/showarticle.php?num=04ECO271008
India
●081027B India, Economic Times
リモートセンシング,ティースタ水力,矛盾を暴く
Remote sensing finds over-reporting of facts in Teesta project
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Remote_sensing_finds_over-reporting_of_facts_in_Teesta_project/articleshow/3645907.cms
Indonesia
●081027C Indonesia, The Jakarta Post
PLN,2010年に電気料金30%上げへ
PLN to hike rates by 30 percent in 2010
http://www.thejakartapost.com/news/2008/10/27/pln-hike-rates-30-percent-2010.html
●081027D Indonesia, The Jakarta Post
世界の金融危機,エネルギーセクターも,国内銀行頼り
Energy sector can rely on local banks, agency funds
http://www.thejakartapost.com/news/2008/10/27/energy-sector-can-rely-local-banks-agency-funds.html
アフリカ,中東,南米,再生可能エネルギーの最前線もあり。
http://my.reset.jp/~adachihayao/index.htm
今日の泉南での測量作業は,大体同じような年齢層で,気分良く作業が出来た。最近なぜか,測量作業をやる人が増えてきたような気がする。練習場でも席が空くのをしばらく待つことがしばしば,また,朝早いスタートがとれないことがある。値段が極端に下がったことが原因なのであろうか。測量が比較的安い趣味に変わってきた,と言うのは面白い。平日でも若い人が多いのは,不況か。
今日の東京株式市場は,午前10時頃に7,000円を切ったようだが,その後,上げに転じたようだ。前場の終わりに売りに走った人が結構いたのではないか。株というのは,売れば上がる,買えば下がる,それはなぜなのであろうか。原油は,OPEC減産をものともせず今日も下がった。テキサス産軽質油の終値が一時バレル61.30ドル,1年5ヶ月ぶり安値らしい。
スーダンで中国人作業員が9人拉致され5人が死亡,2人不明のニュースが流れている。中国の人たちはすごい,海外進出に,危険の文字は存在しないのか。昨日,2008年10月26日のパキスタン,コハラ水力でも,パキスタンで中国人技術者が誘拐された事件を忘れたように,勇敢に危険地帯の水力開発に関心を示している。国内の炭坑よりは安全,と言う分けか。
さて,今日のジャカルタポストは,PLNのファーミ総裁(注4)が,PLNは2010年に基本電気料金を30%引き上げることを計画中である,と語っている。この計画は,2012年までに,PLNが独立採算をとるためである。即ち,政府の補助金を頼りにせず,PLN自身による資金調達,内部留保か借り入れで対応することを意味する。
ファーミ総裁(注4)は更に,「現在の基本電気料金はKWh当たり7セント相当であるが,30%の値上げによって,同じ地域の他の国の電気料金と比べると,合理的な値である。例えば,マレーシアは10セント,フィリッピンは15セント,シンガポールは20セントである。インドネシアの国民の経済力は,2010年には,この料金に耐え得るものになっているであろう。」。
逆にファーミ総裁(注4)は,2010年までは電気料金は上げない,と言ったと言うことか。日本の消費税と同じ言い方だ。必要だが今は上げません,来年は大統領選挙だから,と言いたいところなのだろう。しかし,良く7セントまで上げてきたなあ,と言う感想を持つ。4セント当時,電気料金値上げで暴動が起こりそうになり,スハルト政権が倒れたことがあった。
(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081026.htm,(2) State owned power company PT Perusahaan Listrik Negara (PLN),(3) http://my.reset.jp/~adachihayao/index3news0808.htm,080817C,(4) PLN president director Fahmi Mochtar,(5)
本文
●インドネシア,PLN,2010年に電気料金30%上げへ
昨日,2008年10月26日分(注1)の,PLN3億ドル起債申請の記事でも述べたように,インドネシアの国家電力公社(注2)の運営については,強く抑制された電気料金の元,政府が大きな補助金を供与していることで,これまでもいろいろ議論が出てきている。2008年8月17日の報道(注3)では,選挙を控えた大統領は,議会に対して,2009年の燃料補助金は,今年の180兆ルピア,約194億ドル相当,を43.76%カットして101兆ルピア,約108億ドル相当,に減らす意向を表明した。
今日の記事。PLNのファーミ総裁(注4)は次のように述べた。「PLNは2010年に基本電気料金を30%引き上げることを計画中である。この計画は,2012年までに,PLNが独立採算をとるためである。即ち,政府の補助金を頼りにせず,PLN自身による資金調達,内部留保か借り入れで対応することを意味する。」
ファーミ総裁(注4)は更に,「現在の基本電気料金はKWh当たり7セント相当であるが,30%の値上げによって,同じ地域の他の国の電気料金と比べると,合理的な値である。例えば,マレーシアは10セント,フィリッピンは15セント,シンガポールは20セントである。インドネシアの国民の経済力は,2010年には,この料金に耐え得るものになっているであろう。」。
逆にファーミ総裁(注4)は,2010年までは電気料金は上げない,と言ったと言うことか。日本の消費税と同じ言い方だ。必要だが今は上げません,来年は大統領選挙だから,と言いたいところなのだろう。しかし,良く7セントまで上げてきたなあ,と言う感想を持つ。4セント当時,電気料金値上げで暴動が起こりそうになり,スハルト政権が倒れたことがあった。
(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081026.htm,(2) State owned power company PT Perusahaan Listrik Negara (PLN),(3) http://my.reset.jp/~adachihayao/index3news0808.htm,080817C,(4) PLN president director Fahmi Mochtar,(5)
●インドネシア,世界の金融危機,エネルギーセクターも,国内銀行頼り
今インドネシアは,エネルギーセクターと電力セクターに,多くの資金を必要としている。電力セクターでは,2009年までに10,000MWの石炭火力を開発するクラッシュプログラム(注5)を推進中であり,更に第2次のクラッシュプログラム(注5)を計画中である。原油分野では,生産の落ちを懸念する議会などの意向で,探査活動の拡充を求められており,更に,天然ガス分野では,新たなLNG基地の建設が進められている。
今日のジャカルタポストの記事は,この多額の資金を必要とする分野が,世界の金融危機で資金調達が困難になったときの,国内金融機関の役割を宣伝する内容か。国際金融市場の流動性の悪化は,インドネシアの電力エネルギー分野の資金について,国内や国際融資機関を頼みのせざるを得なくなるだろう,と言う観測である。
BAPENAS(注6)のデオ国際金融局長(注7)は,事実インドネシアが世界の金融市場からの資金調達が困難になってきており,また利率も高騰している,と言っている。一般に,エネルギー鉱業分野の企業は,市場が国際的であるために,特に米ドル基本の資金調達を目指す傾向にある。
中央銀行の貨幣システム安定部署のウインボ氏(注8)は,エネルギープロジェクトは本来,国内銀行での資金調達を求める潜在性がある,と語っている。ウインボ氏(注8)は,国内銀行は今のところ健全であり,国内銀行にとっても,リスクが少ないという意味で,エネルギープロジェクトは魅力的である。
インドネシア銀行(注9)の2008年8月時点のデーターによれば,不良債権(注10)の平均率は,原油ガス石炭セクターで,僅かに0.84%,電力に至っては0.03%である。その他,いろいろ書いてあるが,どうも退屈なので省略する。しかし,昨日も3億ドル債券発行のニュース(注11)にもあるよう,インドネシアのエネルギーセクターに,資金調達に何らかの異常が起こっている可能性もあるのか。
(注) (5) Crash Program,(6) the National Development Planning Board (Bapenas),(7) Dewo Broto Joko Putranto,Director for multilateral financing,(8) Wimboh Santoso, head of the central bank's monetary system stability bureau.,(9) Bank Indonesia (BI),(10) bad loans, technically known as non-performing loans (NPL) ,(11) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081026.htm,(12)
Reference
Vietnam
●081027A Vietnam, vietnamnews
最近のベトナムの水力は,民間資金が流れ込む
Private money for Phu Yen hydro
http://vietnamnews.vnagency.com.vn/showarticle.php?num=04ECO271008
India
●081027B India, Economic Times
リモートセンシング,ティースタ水力,矛盾を暴く
Remote sensing finds over-reporting of facts in Teesta project
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Remote_sensing_finds_over-reporting_of_facts_in_Teesta_project/articleshow/3645907.cms
Indonesia
●081027C Indonesia, The Jakarta Post
PLN,2010年に電気料金30%上げへ
PLN to hike rates by 30 percent in 2010
http://www.thejakartapost.com/news/2008/10/27/pln-hike-rates-30-percent-2010.html
●081027D Indonesia, The Jakarta Post
世界の金融危機,エネルギーセクターも,国内銀行頼り
Energy sector can rely on local banks, agency funds
http://www.thejakartapost.com/news/2008/10/27/energy-sector-can-rely-local-banks-agency-funds.html
2008年10月27日月曜日
中国企業がアザドカシミールにダム投資
HPは下記ドメインです。
アフリカ,中東,南米,再生可能エネルギーの最前線もあり。
http://my.reset.jp/~adachihayao/index.htm
「中国企業がアザドカシミールにダム投資」,今日の,中国道沿い,吉川での測量作業は好天に恵まれたが,若い友達が飛ばしてくるので癪に障って気分が悪かった。やはり測量は同年代同志で実施するのがより快適だ。長袖でも朝と夕方は結構涼しく,風邪を引きそうなぐらいの感じである。時々携帯で株をチェックしていたが,486円下がって日経平均は,26年ぶり,7,163円まで落ち込んだ,対ドル円は92.65円,原油はバレル約64ドルで,OPECの150万バレル減産にも,反応はなかった。解散は遠のく,とのニュースが流れている。
先日,2008年10月17日,パキスタンのザルダり大統領(注7)は4日間,北京に滞在し,湖錦濤主席との会談の他,中国側の調整で,ザルダり大統領(注7)が中国の経済界と会見した内容を,18日のHPで詳しく報じた(注5)。この経済界との懇談で,中国側は,水力分野について17億ドル相当の投資を行う,と約束した。今日は10月27日である。あの北京での大会議から僅か10日後,早くも中国側の調査団が,イスラマバードを訪れ,具体的な調整に入ったようである。
イスラマバードの会議には,パキスタンのアシュラフ水資源電力大臣(注7)が出席し,中国側の中国国際水電公司CWE(注8)の6人と会議を持った。結局,中国側が第一に関心を示したのは,インダス上流,ジェルム川(注11)の,アザドジャムカシミール(注12)に位置する,1100MW,コハラ水力プロジェクト(注10)であった。
これは地図(注13)を見て貰えば分かるが,誠に複雑な地域で,国境が,パキスタン,インド,中国との三国の間で,確定していない。このアザドジャムカシミール(注12)は,パキスタンの実効支配地域で,まるで造ったように細長く,パキスタンと中国を連絡している。この地域を流れるジェルム川(注11)沿いに北に行くと,インドのコントロールを受けることなく,中国の領域に達することが出来る。
「インドの敵は中国でパキスタンの敵はインド。敵の敵は味方。 歴史的に裏切った事がない。」,と言われているように,中国とパキスタンは,比較的平和な時代を送ってきたが,パキスタンと中国が領土的に接しているのは,この国境不確定のアザドジャムカシミール(注12)であり,ここの中心部のコハラ水力プロジェクト(注10)に,中国が楔を打ち込んでくる意味は,結構大きいのではないか。
コハラ水力プロジェクト(注10)の概要(WAPDAのHP(注14)より)。位置は,アザドジャムカシミール(注12)のムザファラバード(15)地区で,ダムサイトは,ジェルム川(11)のドメル(注16)の直上流,発電所はコハラ橋(注17)の上流7km。,出力,1,100MW,落差320m,年間発電量4,800GWh,平均流量毎秒400トン,ダムはRCCタイプ,高さは160m,工事費は17億ドルである。
(注) (5) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081018.htm,(6) President Asif Ali Zardari,(7) Federal Minister for Water and Power, Raja Pervez Ashraf,(8) China International Water and Electric Corporation (CWE),(9) the Vice President of CWE, Wang Shaofeng,(10) 1100 MW Kohala Hydropower project,(11) Jhelum River,(12) Azad Jammu & Kashmir,(13) http://my.reset.jp/~adachihayao/08102601 Kohala hydro location.jpg, (14) http://www.wapda.gov.pk/vision2025/htmls_vision2025/kohala.html,(15) Muzaffarabad District,(16) Domel,(17) Kohala Bridge
本文
●インドネシア,PLN,政府当局に,3億ドル相当の起債を申請
インドネシアの国家電力公社の運営については,強く抑制された電気料金の元,政府が大きな補助金を供与していることで,これまでもいろいろ議論が出てきている。2008年8月17日の報道(注1)では,選挙を控えた大統領は,議会に対して,2009年の燃料補助金は,今年の180兆ルピア,約194億ドル相当,を43.76%カットして101兆ルピア,約108億ドル相当,に減らす意向を表明したが,その前提条件は,今現在やや下降傾向にある原油国際価格が100ドルになると想定した上での提案である,とメモしている。その後今日まで,原油価格は大きく100ドルを割ってきたが,その影響はどの様なものであろうか。
今日の記事によると,PLNは,政府の監督機関バペパム(注2)に対して来週にも,3兆ルピー,約3億ドル相当の起債を申請する意向である,と報じられている。PLNのセティオ取締役(注3)によると,監査報告書は今週の火曜日に完成するので,その後,直ちに申請することになろう,と話している。セティオ取締役(注3)は,この世界的な金融危機にも関わらず,年金基金(注4)も含めた従来の投資機関は,PLNへの信頼を失っていない,と自信を持っている。
今回の起債は,5年から7年の期限付きで,利子率については,固定とするか浮動とするかまだ決定していない。この資金は,PLNの拡張とプロジェクト実施に使用される,としている。セティオ取締役(注3)によると,年金基金(注4)は,PLNが負債返却を怠ったことがないことや,政府の保証がついていることから,自信を持っている,と述べている。
(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index3news0808.htm,080817C,(2) the Capital Market and Financial Institution Supervisory Agency (Bapepam),(3) PLN Finance Director Setio Dewo Anggoro,(4) Dana Pensiun (Pension Fund),(5)
●パキスタン,中国企業,1,100MW,コハラ水力建設を申し出
2008年10月17日まで,パキスタンのザルダり大統領(注7)は4日間,北京に滞在し,湖錦濤主席との会談の他,中国側の調整で,ザルダり大統領(注7)が中国の経済界と会見した内容を,18日のHPで詳しく報じた(注5)。この経済界との懇談で,中国側は,水力分野について17億ドル相当の投資を行う,と約束したが,今日の記事では早くも,中国の調査団が,イスラマバードを訪れたようである。
パキスタンのアシュラフ水資源電力大臣(注7)は,この中国からの調査団を前にして,パキスタン政府は,電力セクターへの投資環境の改善を行うことを約束している。中国側の代表は,中国国際水電公司CWE(注8)の6人で構成されている。パキスタン側からは,水資源電力省とWAPDAの代表が,会議に出席した。
アシュラフ水資源電力大臣(注7)はこの会議で,中国側に最大限の賛辞を交えて挨拶をしている,パキスタンは常に中国の技術を尊敬し,中国の技術者達と一緒に仕事できることは,非常に快適であると。中国のワンシャオフェンCWE会長(注9)は,中国の水力発電への豊富な経験を説明し,1100MW,コハラ水力プロジェクト(注10)に関心を示し,BOT方式での契約を提案している。
中国側の説明によると,中国国際水電公司CWE(注8)は,世界の60カ国で600のプロジェクトを完成していること,またパキスタンでも,灌漑,火力発電,河川コントロール,高速道路などの分野で,17のプロジェクトを完成し,また2つ水力プロジェクトを完成している。
アシュラフ水資源電力大臣(注7)は,コハラ水力プロジェクト(注10)への中国側の関心を評価して,このプロジェクトは既に詳細設計の段階まで進んでいて,入札図書がまもなく完成することを,中国側に告げた。大臣(注7)は美辞麗句を連ねて中国側を歓迎しているが,匿名発注と言うことは全然言わず,あくまで国際入札を意図しているかに見える発言は,老獪である。
(注) (5) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081018.htm,(6) President Asif Ali Zardari,(7) Federal Minister for Water and Power, Raja Pervez Ashraf,(8) China International Water and Electric Corporation (CWE),(9) the Vice President of CWE, Wang Shaofeng,(10) 1100 MW Kohala Hydropower project,(11)
Reference
Pakistan
●081026A Pakistan, tehrantimes
中国企業,1,100MW,コハラ水力建設を申し出
China offers to construct 1100 MW Kohala Hydropower
http://www.tehrantimes.com/index_View.asp?code=180826
Indonesia
●081026B Indonesia, The Jakarta Post
PLN,政府当局に,3億ドル相当の起債を申請
PLN to list bond issuance plan at Bapepamhttp://www.thejakartapost.com/news/2008/10/26/pln-list-bond-issuance-plan-bapepam.html
アフリカ,中東,南米,再生可能エネルギーの最前線もあり。
http://my.reset.jp/~adachihayao/index.htm
「中国企業がアザドカシミールにダム投資」,今日の,中国道沿い,吉川での測量作業は好天に恵まれたが,若い友達が飛ばしてくるので癪に障って気分が悪かった。やはり測量は同年代同志で実施するのがより快適だ。長袖でも朝と夕方は結構涼しく,風邪を引きそうなぐらいの感じである。時々携帯で株をチェックしていたが,486円下がって日経平均は,26年ぶり,7,163円まで落ち込んだ,対ドル円は92.65円,原油はバレル約64ドルで,OPECの150万バレル減産にも,反応はなかった。解散は遠のく,とのニュースが流れている。
先日,2008年10月17日,パキスタンのザルダり大統領(注7)は4日間,北京に滞在し,湖錦濤主席との会談の他,中国側の調整で,ザルダり大統領(注7)が中国の経済界と会見した内容を,18日のHPで詳しく報じた(注5)。この経済界との懇談で,中国側は,水力分野について17億ドル相当の投資を行う,と約束した。今日は10月27日である。あの北京での大会議から僅か10日後,早くも中国側の調査団が,イスラマバードを訪れ,具体的な調整に入ったようである。
イスラマバードの会議には,パキスタンのアシュラフ水資源電力大臣(注7)が出席し,中国側の中国国際水電公司CWE(注8)の6人と会議を持った。結局,中国側が第一に関心を示したのは,インダス上流,ジェルム川(注11)の,アザドジャムカシミール(注12)に位置する,1100MW,コハラ水力プロジェクト(注10)であった。
これは地図(注13)を見て貰えば分かるが,誠に複雑な地域で,国境が,パキスタン,インド,中国との三国の間で,確定していない。このアザドジャムカシミール(注12)は,パキスタンの実効支配地域で,まるで造ったように細長く,パキスタンと中国を連絡している。この地域を流れるジェルム川(注11)沿いに北に行くと,インドのコントロールを受けることなく,中国の領域に達することが出来る。
「インドの敵は中国でパキスタンの敵はインド。敵の敵は味方。 歴史的に裏切った事がない。」,と言われているように,中国とパキスタンは,比較的平和な時代を送ってきたが,パキスタンと中国が領土的に接しているのは,この国境不確定のアザドジャムカシミール(注12)であり,ここの中心部のコハラ水力プロジェクト(注10)に,中国が楔を打ち込んでくる意味は,結構大きいのではないか。
コハラ水力プロジェクト(注10)の概要(WAPDAのHP(注14)より)。位置は,アザドジャムカシミール(注12)のムザファラバード(15)地区で,ダムサイトは,ジェルム川(11)のドメル(注16)の直上流,発電所はコハラ橋(注17)の上流7km。,出力,1,100MW,落差320m,年間発電量4,800GWh,平均流量毎秒400トン,ダムはRCCタイプ,高さは160m,工事費は17億ドルである。
(注) (5) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081018.htm,(6) President Asif Ali Zardari,(7) Federal Minister for Water and Power, Raja Pervez Ashraf,(8) China International Water and Electric Corporation (CWE),(9) the Vice President of CWE, Wang Shaofeng,(10) 1100 MW Kohala Hydropower project,(11) Jhelum River,(12) Azad Jammu & Kashmir,(13) http://my.reset.jp/~adachihayao/08102601 Kohala hydro location.jpg, (14) http://www.wapda.gov.pk/vision2025/htmls_vision2025/kohala.html,(15) Muzaffarabad District,(16) Domel,(17) Kohala Bridge
本文
●インドネシア,PLN,政府当局に,3億ドル相当の起債を申請
インドネシアの国家電力公社の運営については,強く抑制された電気料金の元,政府が大きな補助金を供与していることで,これまでもいろいろ議論が出てきている。2008年8月17日の報道(注1)では,選挙を控えた大統領は,議会に対して,2009年の燃料補助金は,今年の180兆ルピア,約194億ドル相当,を43.76%カットして101兆ルピア,約108億ドル相当,に減らす意向を表明したが,その前提条件は,今現在やや下降傾向にある原油国際価格が100ドルになると想定した上での提案である,とメモしている。その後今日まで,原油価格は大きく100ドルを割ってきたが,その影響はどの様なものであろうか。
今日の記事によると,PLNは,政府の監督機関バペパム(注2)に対して来週にも,3兆ルピー,約3億ドル相当の起債を申請する意向である,と報じられている。PLNのセティオ取締役(注3)によると,監査報告書は今週の火曜日に完成するので,その後,直ちに申請することになろう,と話している。セティオ取締役(注3)は,この世界的な金融危機にも関わらず,年金基金(注4)も含めた従来の投資機関は,PLNへの信頼を失っていない,と自信を持っている。
今回の起債は,5年から7年の期限付きで,利子率については,固定とするか浮動とするかまだ決定していない。この資金は,PLNの拡張とプロジェクト実施に使用される,としている。セティオ取締役(注3)によると,年金基金(注4)は,PLNが負債返却を怠ったことがないことや,政府の保証がついていることから,自信を持っている,と述べている。
(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index3news0808.htm,080817C,(2) the Capital Market and Financial Institution Supervisory Agency (Bapepam),(3) PLN Finance Director Setio Dewo Anggoro,(4) Dana Pensiun (Pension Fund),(5)
●パキスタン,中国企業,1,100MW,コハラ水力建設を申し出
2008年10月17日まで,パキスタンのザルダり大統領(注7)は4日間,北京に滞在し,湖錦濤主席との会談の他,中国側の調整で,ザルダり大統領(注7)が中国の経済界と会見した内容を,18日のHPで詳しく報じた(注5)。この経済界との懇談で,中国側は,水力分野について17億ドル相当の投資を行う,と約束したが,今日の記事では早くも,中国の調査団が,イスラマバードを訪れたようである。
パキスタンのアシュラフ水資源電力大臣(注7)は,この中国からの調査団を前にして,パキスタン政府は,電力セクターへの投資環境の改善を行うことを約束している。中国側の代表は,中国国際水電公司CWE(注8)の6人で構成されている。パキスタン側からは,水資源電力省とWAPDAの代表が,会議に出席した。
アシュラフ水資源電力大臣(注7)はこの会議で,中国側に最大限の賛辞を交えて挨拶をしている,パキスタンは常に中国の技術を尊敬し,中国の技術者達と一緒に仕事できることは,非常に快適であると。中国のワンシャオフェンCWE会長(注9)は,中国の水力発電への豊富な経験を説明し,1100MW,コハラ水力プロジェクト(注10)に関心を示し,BOT方式での契約を提案している。
中国側の説明によると,中国国際水電公司CWE(注8)は,世界の60カ国で600のプロジェクトを完成していること,またパキスタンでも,灌漑,火力発電,河川コントロール,高速道路などの分野で,17のプロジェクトを完成し,また2つ水力プロジェクトを完成している。
アシュラフ水資源電力大臣(注7)は,コハラ水力プロジェクト(注10)への中国側の関心を評価して,このプロジェクトは既に詳細設計の段階まで進んでいて,入札図書がまもなく完成することを,中国側に告げた。大臣(注7)は美辞麗句を連ねて中国側を歓迎しているが,匿名発注と言うことは全然言わず,あくまで国際入札を意図しているかに見える発言は,老獪である。
(注) (5) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081018.htm,(6) President Asif Ali Zardari,(7) Federal Minister for Water and Power, Raja Pervez Ashraf,(8) China International Water and Electric Corporation (CWE),(9) the Vice President of CWE, Wang Shaofeng,(10) 1100 MW Kohala Hydropower project,(11)
Reference
Pakistan
●081026A Pakistan, tehrantimes
中国企業,1,100MW,コハラ水力建設を申し出
China offers to construct 1100 MW Kohala Hydropower
http://www.tehrantimes.com/index_View.asp?code=180826
Indonesia
●081026B Indonesia, The Jakarta Post
PLN,政府当局に,3億ドル相当の起債を申請
PLN to list bond issuance plan at Bapepamhttp://www.thejakartapost.com/news/2008/10/26/pln-list-bond-issuance-plan-bapepam.html
2008年10月26日日曜日
中国広西とベトナムを結ぶ線
HPは下記ドメインです。
アフリカ,中東,南米,再生可能エネルギーの最前線もあり。
http://my.reset.jp/~adachihayao/index.htm
北京でのASEM会議で一定の役割を果たして記者会見に臨んだ麻生首相,親,即ち米国のいない会議で中国,欧州諸国と渡り合って,自信満々の独り立ちして,今日から電車で塾に一人で通う私の孫のような感じであった。中国人記者の英語の質問の時には,わざわざ同時通訳のイヤフォーンをはずして見せた。英語訳への配慮を見せる日本語答弁も,今までの首相会見にはなかったものだ。
小沢さんが,病気なのか,或いは何か鬱なのか,さえない表情で,麻生さんが今,日本へ帰国して成田で解散をやったら,何か自民党が勝ちそうな感じがしないわけでもない。おそらく内閣は必死になって小沢さんの病状を探っていると思われるが,どうなのだろう,政界には敵の病状を探って解散のタイミングを決めるなどと言う奇手があるのだろうか。今度小沢さんが入院したら,退院するまで解散を伸ばす,と言ったら,麻生さんの株はぐーんと上がるだろうな。
その昔,「太平洋の嵐」,という太平洋戦争のシミュレーションゲームがあって随分凝ったことがあった。占領したスマトラから石油や錫を日本に送らないと,飛行機も造れないし,軍艦が動かなかった。タンカーで台湾沖を運ぶのだが,アメリカの潜水艦に撃沈されてどうにもならない。そこで開発するのが,ハノイ,南寧を結ぶ陸路一気通貫作戦である。改めてこの辺りの地図を眺めてみた。
ベトナムと中国は,元々仲が良くなかったので,中国の南進はメコン川沿いに目が行ってしまう。かって広西荘族自治区(注7)を訪ねた海外電力調査会の古市理事が中国沿岸から東シナ海を見ながら,ベトナムと中国は近い,と叫んだことがあった。改めて地図を見てみると,ハノイ,昆明,南寧を結ぶと綺麗な二等辺三角形が出来て,ハノイ-昆明は540km,ハノイ-南寧は300kmである。
今回,温家宝首相の発想で,2008年10月22日~25日まで南寧開かれた第5次中国ASEAN博覧会(注2)は,中国が第2の南進ルートを喧伝するために構想されたものであることは明かである。海外電力調査会時代の資料を紐解くと,広西荘族自治区(注7)は水力資源が豊富で,開発可能包蔵水力は16,090MWと全国第六位になっている。また,北部湾には豊富な海洋石油,天然ガス資源も確認されている。
今回の会議で,中国の研究者ヘズオジュン氏(注3)は,特に電力について述べている。即ち,電源開発で中国ASEANが協力することは,中国とASEANの遭遇している電力需給の逼迫を和らげるばかりでなく,中国ASEANに大きな投資効果をもたらすものだ。
中国の統計(注4)によるとASEAN諸国では,この2,3年間で1000億KWhの電力増が予想され,そのための必要投資は,2,000億ドルに上る。このときのASEANとは,その入り口としてのベトナムの重要性を言っているのであろう。港の問題にも触れているのは,明らかに海南島の開発も巻き込んだトンキン湾の,中国とベトナムの協力によるASEANとの接点を求めている。今後の動きに大いに注目しよう。
(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index3news0803.htm,(2) 5th China-ASEAN (Association of Southeast Asian Nations) Expo,(3) He Zuojun, deputy chief ofthe Finance Research Center with the Guangxi University,(4) the China Electricity Power Industry Association,(5) Chen Runqiu, president of the Guangxi Water Resources and Electric Power Group,(6) China-ASEAN Free Trade Zone,(7) south China's Guangxi Zhuang Autonomous Region,(8) Nannin,(9)
本文
●ASEAN会議,中国が提案,中国からの送電網は,金融危機に強い
中国とASEAN諸国を繋ぐ送電網の発想は,メコン河流域の沿ったルートで検討されてきた。今年,2008年3月30日に,メコン沿岸諸国によって拡大会議が開かれ,中国の経済的南進の政策をバンコクポストが報じ,それについて本欄でも議論している(注1,080330C)。このときは,タイのサマック氏が首相の座に着き,元気に中国の南進との連携を目指した。今や彼は首相の座を追われた。
さて今日の記事は,温家宝首相の提案で開かれた第5次中国ASEAN博覧会(注2)の席上で,中国側から語られた,中国ASEANの連携構想で,時あたかも世界の金融危機の中にあって,これへの対策上も,中国ASEANの連携インフラの重要性を説いたものである。大学の専門家ヘズオジュン氏(注3)は,特に運輸,通信,電力の分野の連携が,金融危機に対処するに効果的,と言う意見を述べている。
ヘズオジュン氏(注3)は,特に電力について述べている。即ち,電源開発で中国ASEANが協力することは,中国とASEANの遭遇している電力需給の逼迫を和らげるばかりでなく,中国ASEANに大きな投資効果をもたらすものだ。中国の統計(注4)によるとASEAN諸国では,この2,3年間で1000億KWhの電力増が予想され,そのための必要投資は,2,000億ドルに上る。
また,広西荘族自治区の水資源電力集団のチェンルンキウ総裁(注5)は,この電源問題に関連して,それぞれの国地域で開発された水力電源を,互いに融通し合うという大きな効用を説いている。その他,港湾建設による中国ASEANの自由貿易圏(注6)も有効と提案された。この第5次中国ASEAN博覧会(注2)は,2008年10月22~25日まで,広西荘族自治区(注7)のナンニン(注8)で開かれたものである。
私は,この中国の中国ASEAN電力連携構想について,この簡単な記事からはよく分からないが,雲南省の昆明からメコン川沿いの中国南西部の南進計画の他に,東シナ海沿岸を通る中国南部とベトナムを結ぶ線の重要性を協調したものと持っている。中国とベトナムの関係から,この南部沿岸ルートは,忘れられがちであるが,現今,重要性を増してきたと言えるのではにか。
(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index3news0803.htm,(2) 5th China-ASEAN (Association of Southeast Asian Nations) Expo,(3) He Zuojun, deputy chief ofthe Finance Research Center with the Guangxi University,(4) the China Electricity Power Industry Association,(5) Chen Runqiu, president of the Guangxi Water Resources and Electric Power Group,(6) China-ASEAN Free Trade Zone,(7) south China's Guangxi Zhuang Autonomous Region,(8) Nannin,(9)
●世界銀行,パキスタンのエネルギー分野支援を検討
現在,パキスタンのエネルギー調査団がワシントンを訪れて,世界銀行とIMFに,エネルギー分野の支援を要請しているニュースは,本HPでも解説した(注9)。パキスタンのザルダリ大統領(注10)が北京を訪れて,米印原子力協定に対抗する支援を中国の湖錦濤主席に要請しながら,一方で計画委員会総裁であるファルキ氏(注11)を団長とするエネルギー使節団をワシントンに送っている状況である。
今日の記事は,パキスタン側の要請を大体そのまま,世界銀行もIMFも支援することで合意した模様である。重要な点は次の通り。ガス火力ガドウ(注12)の1,100MWを1600MWへ増設,タール石炭基地(注13),タルベラ発電所の第4次増設(注14)960MW,スキキナリ発電所(注15)840MW,ムンダ多目的ダム(注16)700MW,クラムタンギ多目的(注17),84MWと灌漑,などである。
前回(注1)も書いたが,パキスタンは何か難しい問題が起こると,必ず世界銀行にもたれかかってくる。それはタルベラ問題以降のパキスタンの性行であるが,世界銀行にとっては,可愛い相手,と言う感じでもあるのだろう。ただ私は,今回はパキスタンの外交的な自己防衛が端的に表れているような気がする。それは,中国に余り持たれすぎて,欧米諸国から見放される危険を,世界銀行かパキスタン側か分からないが,誰か両サイドの賢者が,この一連の動きを主導したのだろう。
(注) (9) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081023A.htm,(10) Pakistan’s President Zardari,(11) Salman Faruqui, Deputy Chairman, Planning Commission,(12) the gas-based Guddu power station,(13) Pakistan's coal resources and associated power generation facilities at Thar,(14) Fourth Extension of Tarbela Power Plant,(15) Suki Kinari,(16) Munda multi-purpose,(17) Kurram Tangi,
●フィリッピン,WESM,3年間に亘る取引料金設定
フィリッピンの電力卸売市場WESM(注18)については,変電所の突発事故で,取引価格が急騰しその価格設定に頭を悩ませている問題が,このHPの2008年10月4日に,解説されている(注19)。その中で,WESM(注18)は現在10%の市場規模であるが,今後の増分はすべてWESMを通すことになるので,将来は大きくなる,と解説している。そこで問題になるのは,WESM(注18)の運用経費である。
WESM(注18)は,PEMC(注20)によって運用されているが,今回PEMC(注20)より規制委員会ERC(注21)に対して,今後3年間の運営費の徴収に関する申請が出された。それによると,KWh当たりで,2009年が0.025ペソ,2010年が0.020ペソ,2011年が0.020ペソとなっており,これは取引規模から考えて,2009年が10.89億ペソ,2010年が少し下がり998.132百万ペソ,2011年が977.614百万ペソとなる推定である。
NPCが資産の売却を進め,現在までのIPPのオフテーカー,引き取り手となって,ルソン系統の競争市場創成に努力しているが,量的には今後の電源の伸びとフリーアクセスの原則から,電力卸売市場WESM(注18)の役割がますます重要になってくる。ここで,運用経費の原則論を確立したことは意味があるが,]今後は前回のような突発事故による取引価格高騰にどう対処するか,と言う問題が重要になってくる。
(注) (18) the Wholesale Electricity Spot Market (WESM),(19) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081004A.htm,(20) Market operator Philippine Electricity Market Corporation (PEMC),(21) the Energy Regulatory Commission,(22)
Reference
Pakistan
●081025A Pakistan, pakistanlink
世界銀行,パキスタンのエネルギー分野支援を検討
WB considers support to Pakistan’s energy system
http://www.pakistanlink.com/Headlines/Oct08/24/10.htm
Philippines
●081025B Philippines, Manila Bulletin
WESM,3年間に亘る取引料金設定
WESM applies for 3-year market fees
http://www.mb.com.ph/BSNS20081025138933.html
China
●081025C China, news.xinhuanet
ASEAN会議,中国が提案,中国からの送電網は,金融危機に強い
China-ASEAN co-op in infrastructure helps resist risks from financial crisis
http://news.xinhuanet.com/english/2008-10/24/content_10247471.htm
アフリカ,中東,南米,再生可能エネルギーの最前線もあり。
http://my.reset.jp/~adachihayao/index.htm
北京でのASEM会議で一定の役割を果たして記者会見に臨んだ麻生首相,親,即ち米国のいない会議で中国,欧州諸国と渡り合って,自信満々の独り立ちして,今日から電車で塾に一人で通う私の孫のような感じであった。中国人記者の英語の質問の時には,わざわざ同時通訳のイヤフォーンをはずして見せた。英語訳への配慮を見せる日本語答弁も,今までの首相会見にはなかったものだ。
小沢さんが,病気なのか,或いは何か鬱なのか,さえない表情で,麻生さんが今,日本へ帰国して成田で解散をやったら,何か自民党が勝ちそうな感じがしないわけでもない。おそらく内閣は必死になって小沢さんの病状を探っていると思われるが,どうなのだろう,政界には敵の病状を探って解散のタイミングを決めるなどと言う奇手があるのだろうか。今度小沢さんが入院したら,退院するまで解散を伸ばす,と言ったら,麻生さんの株はぐーんと上がるだろうな。
その昔,「太平洋の嵐」,という太平洋戦争のシミュレーションゲームがあって随分凝ったことがあった。占領したスマトラから石油や錫を日本に送らないと,飛行機も造れないし,軍艦が動かなかった。タンカーで台湾沖を運ぶのだが,アメリカの潜水艦に撃沈されてどうにもならない。そこで開発するのが,ハノイ,南寧を結ぶ陸路一気通貫作戦である。改めてこの辺りの地図を眺めてみた。
ベトナムと中国は,元々仲が良くなかったので,中国の南進はメコン川沿いに目が行ってしまう。かって広西荘族自治区(注7)を訪ねた海外電力調査会の古市理事が中国沿岸から東シナ海を見ながら,ベトナムと中国は近い,と叫んだことがあった。改めて地図を見てみると,ハノイ,昆明,南寧を結ぶと綺麗な二等辺三角形が出来て,ハノイ-昆明は540km,ハノイ-南寧は300kmである。
今回,温家宝首相の発想で,2008年10月22日~25日まで南寧開かれた第5次中国ASEAN博覧会(注2)は,中国が第2の南進ルートを喧伝するために構想されたものであることは明かである。海外電力調査会時代の資料を紐解くと,広西荘族自治区(注7)は水力資源が豊富で,開発可能包蔵水力は16,090MWと全国第六位になっている。また,北部湾には豊富な海洋石油,天然ガス資源も確認されている。
今回の会議で,中国の研究者ヘズオジュン氏(注3)は,特に電力について述べている。即ち,電源開発で中国ASEANが協力することは,中国とASEANの遭遇している電力需給の逼迫を和らげるばかりでなく,中国ASEANに大きな投資効果をもたらすものだ。
中国の統計(注4)によるとASEAN諸国では,この2,3年間で1000億KWhの電力増が予想され,そのための必要投資は,2,000億ドルに上る。このときのASEANとは,その入り口としてのベトナムの重要性を言っているのであろう。港の問題にも触れているのは,明らかに海南島の開発も巻き込んだトンキン湾の,中国とベトナムの協力によるASEANとの接点を求めている。今後の動きに大いに注目しよう。
(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index3news0803.htm,(2) 5th China-ASEAN (Association of Southeast Asian Nations) Expo,(3) He Zuojun, deputy chief ofthe Finance Research Center with the Guangxi University,(4) the China Electricity Power Industry Association,(5) Chen Runqiu, president of the Guangxi Water Resources and Electric Power Group,(6) China-ASEAN Free Trade Zone,(7) south China's Guangxi Zhuang Autonomous Region,(8) Nannin,(9)
本文
●ASEAN会議,中国が提案,中国からの送電網は,金融危機に強い
中国とASEAN諸国を繋ぐ送電網の発想は,メコン河流域の沿ったルートで検討されてきた。今年,2008年3月30日に,メコン沿岸諸国によって拡大会議が開かれ,中国の経済的南進の政策をバンコクポストが報じ,それについて本欄でも議論している(注1,080330C)。このときは,タイのサマック氏が首相の座に着き,元気に中国の南進との連携を目指した。今や彼は首相の座を追われた。
さて今日の記事は,温家宝首相の提案で開かれた第5次中国ASEAN博覧会(注2)の席上で,中国側から語られた,中国ASEANの連携構想で,時あたかも世界の金融危機の中にあって,これへの対策上も,中国ASEANの連携インフラの重要性を説いたものである。大学の専門家ヘズオジュン氏(注3)は,特に運輸,通信,電力の分野の連携が,金融危機に対処するに効果的,と言う意見を述べている。
ヘズオジュン氏(注3)は,特に電力について述べている。即ち,電源開発で中国ASEANが協力することは,中国とASEANの遭遇している電力需給の逼迫を和らげるばかりでなく,中国ASEANに大きな投資効果をもたらすものだ。中国の統計(注4)によるとASEAN諸国では,この2,3年間で1000億KWhの電力増が予想され,そのための必要投資は,2,000億ドルに上る。
また,広西荘族自治区の水資源電力集団のチェンルンキウ総裁(注5)は,この電源問題に関連して,それぞれの国地域で開発された水力電源を,互いに融通し合うという大きな効用を説いている。その他,港湾建設による中国ASEANの自由貿易圏(注6)も有効と提案された。この第5次中国ASEAN博覧会(注2)は,2008年10月22~25日まで,広西荘族自治区(注7)のナンニン(注8)で開かれたものである。
私は,この中国の中国ASEAN電力連携構想について,この簡単な記事からはよく分からないが,雲南省の昆明からメコン川沿いの中国南西部の南進計画の他に,東シナ海沿岸を通る中国南部とベトナムを結ぶ線の重要性を協調したものと持っている。中国とベトナムの関係から,この南部沿岸ルートは,忘れられがちであるが,現今,重要性を増してきたと言えるのではにか。
(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index3news0803.htm,(2) 5th China-ASEAN (Association of Southeast Asian Nations) Expo,(3) He Zuojun, deputy chief ofthe Finance Research Center with the Guangxi University,(4) the China Electricity Power Industry Association,(5) Chen Runqiu, president of the Guangxi Water Resources and Electric Power Group,(6) China-ASEAN Free Trade Zone,(7) south China's Guangxi Zhuang Autonomous Region,(8) Nannin,(9)
●世界銀行,パキスタンのエネルギー分野支援を検討
現在,パキスタンのエネルギー調査団がワシントンを訪れて,世界銀行とIMFに,エネルギー分野の支援を要請しているニュースは,本HPでも解説した(注9)。パキスタンのザルダリ大統領(注10)が北京を訪れて,米印原子力協定に対抗する支援を中国の湖錦濤主席に要請しながら,一方で計画委員会総裁であるファルキ氏(注11)を団長とするエネルギー使節団をワシントンに送っている状況である。
今日の記事は,パキスタン側の要請を大体そのまま,世界銀行もIMFも支援することで合意した模様である。重要な点は次の通り。ガス火力ガドウ(注12)の1,100MWを1600MWへ増設,タール石炭基地(注13),タルベラ発電所の第4次増設(注14)960MW,スキキナリ発電所(注15)840MW,ムンダ多目的ダム(注16)700MW,クラムタンギ多目的(注17),84MWと灌漑,などである。
前回(注1)も書いたが,パキスタンは何か難しい問題が起こると,必ず世界銀行にもたれかかってくる。それはタルベラ問題以降のパキスタンの性行であるが,世界銀行にとっては,可愛い相手,と言う感じでもあるのだろう。ただ私は,今回はパキスタンの外交的な自己防衛が端的に表れているような気がする。それは,中国に余り持たれすぎて,欧米諸国から見放される危険を,世界銀行かパキスタン側か分からないが,誰か両サイドの賢者が,この一連の動きを主導したのだろう。
(注) (9) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081023A.htm,(10) Pakistan’s President Zardari,(11) Salman Faruqui, Deputy Chairman, Planning Commission,(12) the gas-based Guddu power station,(13) Pakistan's coal resources and associated power generation facilities at Thar,(14) Fourth Extension of Tarbela Power Plant,(15) Suki Kinari,(16) Munda multi-purpose,(17) Kurram Tangi,
●フィリッピン,WESM,3年間に亘る取引料金設定
フィリッピンの電力卸売市場WESM(注18)については,変電所の突発事故で,取引価格が急騰しその価格設定に頭を悩ませている問題が,このHPの2008年10月4日に,解説されている(注19)。その中で,WESM(注18)は現在10%の市場規模であるが,今後の増分はすべてWESMを通すことになるので,将来は大きくなる,と解説している。そこで問題になるのは,WESM(注18)の運用経費である。
WESM(注18)は,PEMC(注20)によって運用されているが,今回PEMC(注20)より規制委員会ERC(注21)に対して,今後3年間の運営費の徴収に関する申請が出された。それによると,KWh当たりで,2009年が0.025ペソ,2010年が0.020ペソ,2011年が0.020ペソとなっており,これは取引規模から考えて,2009年が10.89億ペソ,2010年が少し下がり998.132百万ペソ,2011年が977.614百万ペソとなる推定である。
NPCが資産の売却を進め,現在までのIPPのオフテーカー,引き取り手となって,ルソン系統の競争市場創成に努力しているが,量的には今後の電源の伸びとフリーアクセスの原則から,電力卸売市場WESM(注18)の役割がますます重要になってくる。ここで,運用経費の原則論を確立したことは意味があるが,]今後は前回のような突発事故による取引価格高騰にどう対処するか,と言う問題が重要になってくる。
(注) (18) the Wholesale Electricity Spot Market (WESM),(19) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081004A.htm,(20) Market operator Philippine Electricity Market Corporation (PEMC),(21) the Energy Regulatory Commission,(22)
Reference
Pakistan
●081025A Pakistan, pakistanlink
世界銀行,パキスタンのエネルギー分野支援を検討
WB considers support to Pakistan’s energy system
http://www.pakistanlink.com/Headlines/Oct08/24/10.htm
Philippines
●081025B Philippines, Manila Bulletin
WESM,3年間に亘る取引料金設定
WESM applies for 3-year market fees
http://www.mb.com.ph/BSNS20081025138933.html
China
●081025C China, news.xinhuanet
ASEAN会議,中国が提案,中国からの送電網は,金融危機に強い
China-ASEAN co-op in infrastructure helps resist risks from financial crisis
http://news.xinhuanet.com/english/2008-10/24/content_10247471.htm
2008年10月25日土曜日
丸紅のフィリッピンへの取り組み
HPは下記ドメインです。アフリカ,中東,南米,再生可能エネルギーの最前線もあり。http://my.reset.jp/~adachihayao/index.htm
「丸紅のフィリッピンへの取り組み」,世界の経済情勢は更に悪化の度を深めている。東京株式市場は7,649円まで来て,バブル後最安値の7,609円に近づいてきた。ニューヨークが昨夜500ドルを超えて下げているので,10月27日,月曜日の東京市場が気になるところであるが,私は政府に任せて早朝から測量に出かける。二日続きなので,更新遅れで迷惑かけるかも。株よりももっと激しいのは円高,欧州市場では対ドル90円台まで来ている。電力の値上げ方針はどうなるのか,景気懸念で値上げ方針は変わらず,と関電社長が会見していた。
原油価格は,ニューヨーク取引でバレル70ドルを割って68ドルまで落ちてきている。昨日ガソリンスタンドに寄ったらリッター139円まで下げていた。オッサンが私の車を指でなぞりながら,ガソリン下がったので車洗って行ってよ,と言われた。OPECの減産は150万バレルに抑えたようだ。世界の生産高は日8,700万バレルでOPEC11カ国で30%だから,生産減は5%か。ここまで下がってまた150ドル,なんて言う日があるのですかね。でも,株の上げ下げの幅ももう慣れてきたから,原油が一度に50ドルぐらい上げても,感じないかも知れないですね。
今日の主題,丸紅がフィリッピンのエネルギーで活躍していることは知っていたが,ファーストジェン(注2)などの激しい買収劇に,丸紅の名前も現地の新聞を飾るようになってきた。JBIC解体ながらも,日本政策銀行に移った国際金融の支援を受けながら,丸紅は元気である。特に今日の記事で思うのは,私の意図に反して,フィリッピン政府は再生可能エネルギーに大きく梶を切った,それに丸紅が乗って行こうというわけだ。
丸紅からは何の発表もないが,今日のマニラブリテンの記事を借りると,具体的には,ファーストジェン(注2)側の情報では,丸紅(注6)は既にレッドバルカン(注7)の買収でファーストジェン(注2)と合意した。このレッドバルカン(注7)は,2007年11月のフィリッピン最大の地熱発電の売却入札に勝ったEDC(注3)の株式60%を所有している。ファーストジェン(注2)によると,この丸紅(注6)関連の手続きは年内に完了する,としている。
ファーストジェン(注2)会長のロペス氏(注8)は,この丸紅(注6)の参入は,丸紅(注6)とEDC(注3)の互いに得意なノウハウが活かされて,大きな収益に繋がる,レバレジだ,と期待している。タントコ運転責任者(注9)も同様趣旨の発言に付け加え,海外への飛躍に期待がかかっている。EDC(注3)を足がかりに,ロペス財団が丸紅(注6)の協力を得て,海外を視野に置いていることが見えてくる。また,丸紅の再生可能エネルギーの中には,ファーストジェン(注2)が60%の資本を持つファーストジェン水力(注4)が保有する,112MW,パンタバンガン-マシウエイ水力(注5)がある。なお,ファーストジェン(注2)は,発電設備2,582MW,フィリッピン全土の17%を持つ有数の発電企業である。
私にはとても複雑な構図に見えて,図でも書いてみなければ分からないが,丸紅が,国際金融の支援を受けて,フィリッピンが目指すエネルギーの国産化,再生可能エネルギー開発の方針に乗って,深くその核心に迫っている,と言う状況はよく分かる。丸紅側の発表がないか調べてみたが,まだその段階ではないようだ。ただ,私はいつも繰り返すように,ゼロサムゲームの買収劇を,新規電源開発へのエネルギーとして欲しい。
(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081017A.htm,(2) Philippine power producer First Gen Corp,(3) Energy Development Corp,(4) First Gen Hydro Power Corp,(5) the 112MW Pantabangan-Masiway hydroelectric power complex,,(6) Japanese conglomerate Marubeni Corp,(7) Red Vulcan Holdings Corp,(8) Federico Lopez, president and chief executive officer of First Gen,(9) First Gen chief operating officer Richard Tantoco,(10)
本文
●丸紅,フィリッピンの再生可能を視野に,EDC株式視野か
少し錯綜してきて難しくなってきたところで,丸紅のフィリッピンの再生可能エネルギーへの参入が浮かび上がってくる。NEDOの報告書によると,2007年5月のアロヨ大統領訪日の際に,JBICの篠沢恭助総裁との会談で,一層のJBICのエネルギー支援が話し合われたが,特にフィリッピン各地の電力分野で活躍する丸紅への電力事業支援が,話題に取り上げられている。
また2008年10月17日の本欄(注1)では,ファーストジェン(注2)が,その所有する水力発電所の資産105百万ドルを,関連会社であるEDC(注3)に売却し,売却対象は,ファーストジェン水力企業(注4)の株式60%であり,具体的な発電所は,112MW,パンタバンガン-マシウエー水力(注5)で,売却先はEDC(注3)である。この発電所が注目されているのは,ダム建設なしで増設できる可能性を持っていることである。EDC(注3)は,その安定以外に,将来の成長を買った,と見られている,と報告されている。
今日のマニラブリテンの記事は,更にこの上に,丸紅(注6)のフィリッピン戦略が重なってくる。丸紅(注6)は,ロペス財団の保有するファーストジェン(注2)の株式40%獲得を真剣に考えているようだ。この40%と言う数字は,国家石油PNOCとEDC(注3)を通じて,地熱発電事業をコントロールするに十分なシェアーである。
ファーストジェン(注2)側の情報では,丸紅(注6)は既にレッドバルカン(注7)の買収でファーストジェン(注2)と合意した。このレッドバルカン(注7)は,2007年11月のフィリッピン最大の地熱発電の売却入札に買ったEDC(注3)の株式60%を所有している。ファーストジェン(注2)によると,この丸紅(注6)関連の手続きは年内に完了する,としている。
ファーストジェン(注2)会長のロペス氏(注8)は,この丸紅(注6)の参入は,丸紅(注6)とEDC(注3)の互いに得意なノウハウが活かされて,大きな収益に繋がる,と期待している。タントコ運転責任者(注9)も同様趣旨の発言に付け加え,海外への飛躍に期待がかかっている。EDC(注3)を足がかりに,ロペス財団が丸紅(注6)の協力を得て,海外を視野に置いていることが見えてくる。
最近の報道(注1)にもあるように,EDC(注3)は事業の多様化を狙って,ファーストジェン(注2)が60%の資本を持つファーストジェン水力(注4)が保有する,112MW,パンタバンガン-マシウエイ水力(注5)に関心を持っている。なお,ファーストジェン(注2)は,発電設備2,582MW,フィリッピン全土の17%を持つ有数の発電企業である。
私にはとても複雑な構図に見えて,図でも書いてみなければ分からないが,丸紅が,旧JBICの支援を受けて,フィリッピンが目指すエネルギーの国産化,再生可能エネルギー開発の方針に乗って,深くその核心に迫っている,と言う状況はよく分かる。丸紅側の発表がないか調べてみたが,まだその段階ではないようだ。ただ,私はいつも繰り返すように,ゼロサムゲームの買収劇を,新規電源開発へのエネルギーとして欲しい。
(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081017A.htm,(2) Philippine power producer First Gen Corp,(3) Energy Development Corp,(4) First Gen Hydro Power Corp,(5) the 112MW Pantabangan-Masiway hydroelectric power complex,,(6) Japanese conglomerate Marubeni Corp,(7) Red Vulcan Holdings Corp,(8) Federico Lopez, president and chief executive officer of First Gen,(9) First Gen chief operating officer Richard Tantoco,(10)
●ADB,インドのヒマチャルの水力へ8億ドル支援
インドのヒマチャルプラデシュ州(注10)は,私の読者にはなじみの州だろう。インドの北西部にあって全域が山岳地帯,インダス川の支流が多くパキスタンに流れ込み,最近もパキスタンと水問題で多くの話題(注11)を,このHPにも提供している。今までは,大体においてインドの自己資本で水力開発を進めてきたが,日本政府なども,インドの石炭火力抑制やCDMの観点から,支援を検討していると聞く。今回はADB(注12)の話題であるが,このような大きな公的資金が入るのは,初めてではないか。
今日の記事は,不思議なことに,マニラに駐在する中国の記者の記事である。ADB(注12)の木曜日の発表であるが,水力開発を目指すヒマチャルプラデシュ州(注10)政府当局に直接,8年間総額8億ドルの借款供与を決めた。対象は流れ込み式水力(注14)で出力合計808MWである。ヒマチャルプラデシュ州(注10)の包蔵水力は,20,415MWでインド全土の25%であり,6,150MWが既開発である。
ヒマチャルプラデシュ州(注10)政府では,2006年に,「水力開発政策(注15)」を定めている。ADBのジェフェリス氏(注16)は,このADBプロジェクトが,そのクリーンエネルギーとしての役割を説明している。現在のところ具体化しているプロジェクトは,111MW,サウラクドウ水力(注17)と65MW,カシャン第1水力(注18)の2地点で,150百万ドルの25年ローンである。
私は,ADB(注12)が,流れ込み式水力(注14)にこだわっているところに注目する。パキスタンとの間でいつも問題になる,大ダム建設による下流の流量の変化の問題に関わりたくない,との意思表示である。それと,地方の便益に重点を置いた説明は,本格的なヒマチャルプラデシュ州(注10)の大規模水力には手が出せないと言うこと意味する。また,中国紙が報じたことについて,ヒマチャルプラデシュ州(注10)はその北西部で中国と国境を接していることに留意したい。
(注) (10) Himachal Pradesh,(11) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081019E.htm,(12) The Asian Development Bank (ADB),(13) ADB to provide $800 mln loan to India to develop hydropower ,(14) run-of-river hydropower generating plants,(15) a Hydro Power Policy。(16) Andrew Jeffries, an Energy Economist at ADB's South Asia Department,(17) the 111-MW Sawra Kuddu Hydroelectric Project on the Pabber river in Shimla district,(18) the 65-MW Kashang I Hydroelectric Project located in Kinnaur district,(19)
●ヒマチャル州政府とSJVN,775MWルーリ水力で協定
SJVNL(注19)は,ヒマチャルプラデシュ州(注20)で育った水力開発企業である。記事にも出てくるが,既に株式上場も視野に入れ,ネパールやブータンにも進出しようと言う,地域の国際的な大企業に育って行きつつある。本日の記事にもあるように,ADB(注21)が,流れ込み式水力にしか手を出せない現状で,ヒマチャルプラデシュ州(注20)の水力開発の主役を担おうとしている。
首都シムラ(注22)発の記事である。ヒマチャルプラデシュ州(注20)州政府筋によると,2008年10月27日にも,ドウマル州政府首相(注23)が主宰して,ヒマチャルプラデシュ州(注20)州政府とSJVNL(注19)の間で,775MW,ルーリ水力(注24)と,40MW,ダウラシディ水力(注25)の実施に関して,合意書への署名式が行われる。
ルーリ水力(注24)は,流れ込み式水力で,412MW,ランプール水力発電所(注26)の下流に始まる長大トンネル工事を伴い,発電所はスニ(注27)付近に屋外発電所が設けられる。SJVNL(注19)は,首都シムラ(注22)から140kmの位置にある国内最大水力,1,500MW,ジャクリ発電所(注28)を持っている。SJVNL(注19)の持つランプール水力発電所(注26)は現在工事中である。
また更にSJVNL(注19)は,東にウタランチャル(注29)にまで手を伸ばし,300MW,デブサリ水力(注30),33MW,ジャコールサンカリ水力(注31),35MW,デブラモリ水力(注32)を手がけている。更に,ネパールやブータンの水力も視野に入れている。
この記事は,ヒマチャルプラデシュ州(注20)の地元紙による。私も,一生懸命,ヒマチャルプラデシュ州(注20)の水力発電所の位置を追いかけているが,なかなか位置が分からず,手間取っている。私が関電に入社した頃,木曽川に5年間いたが,水力開発の親分がいて,スタッフ賀もなその人について,次から次へと水力を開発していた情景と重なる部分がある。
(注) (19) Satluj Jal Vidyut Nigam (SJVNL),(20) Himachal Pradesh,(21) The Asian Development Bank (ADB),(22) Simla,(23) Chief minister Prem Kumar Dhumal,(24) the 775 MW Luhri hydro-electric project on Satluj River,(25) 40 MW Dhaulasidh project in Hamirpur district on Beas River,(26) the 412 MW Rampur project,(27) Sunni,(28) the country’s largest hydro power plant of 1500 MW generation capacity at Jhakri,(29) Uttaranchal,(30) 300 MW Devsari project,(31) 33 MW Jhakol Sankari project,(32) 35 MW Devra Mori project,(33)
●韓国,ネパールのチャムリア水力へ35億ルピー
ネパールの水力開発は,初のネパール共和国首相プラチャンダーの,向こう10年間で10000MWの水力開発を行う(注33)との大構想に基づき,インドの民間企業を中心に,大きな流れになろうとしている。中国企業の参入も噂されるところであるが,やはり政治体制が緒に就いたばかりであり,各国ともおそるおそる,と言う感じである。
今日の記事は地元紙カトマンズー発である。韓国側,カトマンズー駐在サンジュン韓国大使(34)と,ネパール側,アチャリャ財務次官(注35)との間で,総額35.4億ルピーの借款合意がなされた。対象は,30MW,工事中のチャメリア水力(注36)で,NEA(注37)が工事を行っている。ローンは韓国輸出入銀行(注38)を通じて行われる。チャメリア水力(注36)はダムはなく,2011年5月完成の予定である。
(注) (33) http://my.reset.jp/~adachihayao/index080929A.htm,(34) Ambassador of the republican of Korea to Nepal Nam Sang-Jung,(35) Secretary at the Ministry of Finance Rameshwor Acharya,(36) he Chameliya hydro project at the Chameliya river of Shikhar VDC in Darchula district,(37) the Nepal Electricity Authority (NEA),(38) the Expert-Import bank of Korea,(39)
Reference
Philippines
●081024A Philippines, Manila Bulletin
丸紅,フィリッピンの再生可能を視野に,EDC株式視野か
Japans Marubeni eyes stake in EDC
http://www.yourrenewablenews.com/japans+marubeni+eyes+stake+in+edc_13592.html
Nepal
●081024B Nepal, kantipuronline
韓国,ネパールのチャムリア水力へ35億ルピー
S Korea pledges Rs 3.54 billion loan for Chameliya hydropower
http://www.kantipuronline.com/kolnews.php?&nid=164479
India
●081024C India, himachal
ヒマチャル州政府とSJVN,775MWルーリ水力で協定
Himachal To Ink Agreement For 775 MW Luhri Project With SJVNL Next Week
http://himachal.us/2008/10/23/himachal-to-ink-agreement-for-775-mw-luhri-project-with-sjvnl-next-week/7371/news/ravinder
●081024D India, news.xinhuanet
ADB,インドのヒマチャルの水力へ8億ドル支援
ADB to provide $800 mln loan to India to develop hydropower
http://news.xinhuanet.com/english/2008-10/23/content_10241483.htm
「丸紅のフィリッピンへの取り組み」,世界の経済情勢は更に悪化の度を深めている。東京株式市場は7,649円まで来て,バブル後最安値の7,609円に近づいてきた。ニューヨークが昨夜500ドルを超えて下げているので,10月27日,月曜日の東京市場が気になるところであるが,私は政府に任せて早朝から測量に出かける。二日続きなので,更新遅れで迷惑かけるかも。株よりももっと激しいのは円高,欧州市場では対ドル90円台まで来ている。電力の値上げ方針はどうなるのか,景気懸念で値上げ方針は変わらず,と関電社長が会見していた。
原油価格は,ニューヨーク取引でバレル70ドルを割って68ドルまで落ちてきている。昨日ガソリンスタンドに寄ったらリッター139円まで下げていた。オッサンが私の車を指でなぞりながら,ガソリン下がったので車洗って行ってよ,と言われた。OPECの減産は150万バレルに抑えたようだ。世界の生産高は日8,700万バレルでOPEC11カ国で30%だから,生産減は5%か。ここまで下がってまた150ドル,なんて言う日があるのですかね。でも,株の上げ下げの幅ももう慣れてきたから,原油が一度に50ドルぐらい上げても,感じないかも知れないですね。
今日の主題,丸紅がフィリッピンのエネルギーで活躍していることは知っていたが,ファーストジェン(注2)などの激しい買収劇に,丸紅の名前も現地の新聞を飾るようになってきた。JBIC解体ながらも,日本政策銀行に移った国際金融の支援を受けながら,丸紅は元気である。特に今日の記事で思うのは,私の意図に反して,フィリッピン政府は再生可能エネルギーに大きく梶を切った,それに丸紅が乗って行こうというわけだ。
丸紅からは何の発表もないが,今日のマニラブリテンの記事を借りると,具体的には,ファーストジェン(注2)側の情報では,丸紅(注6)は既にレッドバルカン(注7)の買収でファーストジェン(注2)と合意した。このレッドバルカン(注7)は,2007年11月のフィリッピン最大の地熱発電の売却入札に勝ったEDC(注3)の株式60%を所有している。ファーストジェン(注2)によると,この丸紅(注6)関連の手続きは年内に完了する,としている。
ファーストジェン(注2)会長のロペス氏(注8)は,この丸紅(注6)の参入は,丸紅(注6)とEDC(注3)の互いに得意なノウハウが活かされて,大きな収益に繋がる,レバレジだ,と期待している。タントコ運転責任者(注9)も同様趣旨の発言に付け加え,海外への飛躍に期待がかかっている。EDC(注3)を足がかりに,ロペス財団が丸紅(注6)の協力を得て,海外を視野に置いていることが見えてくる。また,丸紅の再生可能エネルギーの中には,ファーストジェン(注2)が60%の資本を持つファーストジェン水力(注4)が保有する,112MW,パンタバンガン-マシウエイ水力(注5)がある。なお,ファーストジェン(注2)は,発電設備2,582MW,フィリッピン全土の17%を持つ有数の発電企業である。
私にはとても複雑な構図に見えて,図でも書いてみなければ分からないが,丸紅が,国際金融の支援を受けて,フィリッピンが目指すエネルギーの国産化,再生可能エネルギー開発の方針に乗って,深くその核心に迫っている,と言う状況はよく分かる。丸紅側の発表がないか調べてみたが,まだその段階ではないようだ。ただ,私はいつも繰り返すように,ゼロサムゲームの買収劇を,新規電源開発へのエネルギーとして欲しい。
(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081017A.htm,(2) Philippine power producer First Gen Corp,(3) Energy Development Corp,(4) First Gen Hydro Power Corp,(5) the 112MW Pantabangan-Masiway hydroelectric power complex,,(6) Japanese conglomerate Marubeni Corp,(7) Red Vulcan Holdings Corp,(8) Federico Lopez, president and chief executive officer of First Gen,(9) First Gen chief operating officer Richard Tantoco,(10)
本文
●丸紅,フィリッピンの再生可能を視野に,EDC株式視野か
少し錯綜してきて難しくなってきたところで,丸紅のフィリッピンの再生可能エネルギーへの参入が浮かび上がってくる。NEDOの報告書によると,2007年5月のアロヨ大統領訪日の際に,JBICの篠沢恭助総裁との会談で,一層のJBICのエネルギー支援が話し合われたが,特にフィリッピン各地の電力分野で活躍する丸紅への電力事業支援が,話題に取り上げられている。
また2008年10月17日の本欄(注1)では,ファーストジェン(注2)が,その所有する水力発電所の資産105百万ドルを,関連会社であるEDC(注3)に売却し,売却対象は,ファーストジェン水力企業(注4)の株式60%であり,具体的な発電所は,112MW,パンタバンガン-マシウエー水力(注5)で,売却先はEDC(注3)である。この発電所が注目されているのは,ダム建設なしで増設できる可能性を持っていることである。EDC(注3)は,その安定以外に,将来の成長を買った,と見られている,と報告されている。
今日のマニラブリテンの記事は,更にこの上に,丸紅(注6)のフィリッピン戦略が重なってくる。丸紅(注6)は,ロペス財団の保有するファーストジェン(注2)の株式40%獲得を真剣に考えているようだ。この40%と言う数字は,国家石油PNOCとEDC(注3)を通じて,地熱発電事業をコントロールするに十分なシェアーである。
ファーストジェン(注2)側の情報では,丸紅(注6)は既にレッドバルカン(注7)の買収でファーストジェン(注2)と合意した。このレッドバルカン(注7)は,2007年11月のフィリッピン最大の地熱発電の売却入札に買ったEDC(注3)の株式60%を所有している。ファーストジェン(注2)によると,この丸紅(注6)関連の手続きは年内に完了する,としている。
ファーストジェン(注2)会長のロペス氏(注8)は,この丸紅(注6)の参入は,丸紅(注6)とEDC(注3)の互いに得意なノウハウが活かされて,大きな収益に繋がる,と期待している。タントコ運転責任者(注9)も同様趣旨の発言に付け加え,海外への飛躍に期待がかかっている。EDC(注3)を足がかりに,ロペス財団が丸紅(注6)の協力を得て,海外を視野に置いていることが見えてくる。
最近の報道(注1)にもあるように,EDC(注3)は事業の多様化を狙って,ファーストジェン(注2)が60%の資本を持つファーストジェン水力(注4)が保有する,112MW,パンタバンガン-マシウエイ水力(注5)に関心を持っている。なお,ファーストジェン(注2)は,発電設備2,582MW,フィリッピン全土の17%を持つ有数の発電企業である。
私にはとても複雑な構図に見えて,図でも書いてみなければ分からないが,丸紅が,旧JBICの支援を受けて,フィリッピンが目指すエネルギーの国産化,再生可能エネルギー開発の方針に乗って,深くその核心に迫っている,と言う状況はよく分かる。丸紅側の発表がないか調べてみたが,まだその段階ではないようだ。ただ,私はいつも繰り返すように,ゼロサムゲームの買収劇を,新規電源開発へのエネルギーとして欲しい。
(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081017A.htm,(2) Philippine power producer First Gen Corp,(3) Energy Development Corp,(4) First Gen Hydro Power Corp,(5) the 112MW Pantabangan-Masiway hydroelectric power complex,,(6) Japanese conglomerate Marubeni Corp,(7) Red Vulcan Holdings Corp,(8) Federico Lopez, president and chief executive officer of First Gen,(9) First Gen chief operating officer Richard Tantoco,(10)
●ADB,インドのヒマチャルの水力へ8億ドル支援
インドのヒマチャルプラデシュ州(注10)は,私の読者にはなじみの州だろう。インドの北西部にあって全域が山岳地帯,インダス川の支流が多くパキスタンに流れ込み,最近もパキスタンと水問題で多くの話題(注11)を,このHPにも提供している。今までは,大体においてインドの自己資本で水力開発を進めてきたが,日本政府なども,インドの石炭火力抑制やCDMの観点から,支援を検討していると聞く。今回はADB(注12)の話題であるが,このような大きな公的資金が入るのは,初めてではないか。
今日の記事は,不思議なことに,マニラに駐在する中国の記者の記事である。ADB(注12)の木曜日の発表であるが,水力開発を目指すヒマチャルプラデシュ州(注10)政府当局に直接,8年間総額8億ドルの借款供与を決めた。対象は流れ込み式水力(注14)で出力合計808MWである。ヒマチャルプラデシュ州(注10)の包蔵水力は,20,415MWでインド全土の25%であり,6,150MWが既開発である。
ヒマチャルプラデシュ州(注10)政府では,2006年に,「水力開発政策(注15)」を定めている。ADBのジェフェリス氏(注16)は,このADBプロジェクトが,そのクリーンエネルギーとしての役割を説明している。現在のところ具体化しているプロジェクトは,111MW,サウラクドウ水力(注17)と65MW,カシャン第1水力(注18)の2地点で,150百万ドルの25年ローンである。
私は,ADB(注12)が,流れ込み式水力(注14)にこだわっているところに注目する。パキスタンとの間でいつも問題になる,大ダム建設による下流の流量の変化の問題に関わりたくない,との意思表示である。それと,地方の便益に重点を置いた説明は,本格的なヒマチャルプラデシュ州(注10)の大規模水力には手が出せないと言うこと意味する。また,中国紙が報じたことについて,ヒマチャルプラデシュ州(注10)はその北西部で中国と国境を接していることに留意したい。
(注) (10) Himachal Pradesh,(11) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081019E.htm,(12) The Asian Development Bank (ADB),(13) ADB to provide $800 mln loan to India to develop hydropower ,(14) run-of-river hydropower generating plants,(15) a Hydro Power Policy。(16) Andrew Jeffries, an Energy Economist at ADB's South Asia Department,(17) the 111-MW Sawra Kuddu Hydroelectric Project on the Pabber river in Shimla district,(18) the 65-MW Kashang I Hydroelectric Project located in Kinnaur district,(19)
●ヒマチャル州政府とSJVN,775MWルーリ水力で協定
SJVNL(注19)は,ヒマチャルプラデシュ州(注20)で育った水力開発企業である。記事にも出てくるが,既に株式上場も視野に入れ,ネパールやブータンにも進出しようと言う,地域の国際的な大企業に育って行きつつある。本日の記事にもあるように,ADB(注21)が,流れ込み式水力にしか手を出せない現状で,ヒマチャルプラデシュ州(注20)の水力開発の主役を担おうとしている。
首都シムラ(注22)発の記事である。ヒマチャルプラデシュ州(注20)州政府筋によると,2008年10月27日にも,ドウマル州政府首相(注23)が主宰して,ヒマチャルプラデシュ州(注20)州政府とSJVNL(注19)の間で,775MW,ルーリ水力(注24)と,40MW,ダウラシディ水力(注25)の実施に関して,合意書への署名式が行われる。
ルーリ水力(注24)は,流れ込み式水力で,412MW,ランプール水力発電所(注26)の下流に始まる長大トンネル工事を伴い,発電所はスニ(注27)付近に屋外発電所が設けられる。SJVNL(注19)は,首都シムラ(注22)から140kmの位置にある国内最大水力,1,500MW,ジャクリ発電所(注28)を持っている。SJVNL(注19)の持つランプール水力発電所(注26)は現在工事中である。
また更にSJVNL(注19)は,東にウタランチャル(注29)にまで手を伸ばし,300MW,デブサリ水力(注30),33MW,ジャコールサンカリ水力(注31),35MW,デブラモリ水力(注32)を手がけている。更に,ネパールやブータンの水力も視野に入れている。
この記事は,ヒマチャルプラデシュ州(注20)の地元紙による。私も,一生懸命,ヒマチャルプラデシュ州(注20)の水力発電所の位置を追いかけているが,なかなか位置が分からず,手間取っている。私が関電に入社した頃,木曽川に5年間いたが,水力開発の親分がいて,スタッフ賀もなその人について,次から次へと水力を開発していた情景と重なる部分がある。
(注) (19) Satluj Jal Vidyut Nigam (SJVNL),(20) Himachal Pradesh,(21) The Asian Development Bank (ADB),(22) Simla,(23) Chief minister Prem Kumar Dhumal,(24) the 775 MW Luhri hydro-electric project on Satluj River,(25) 40 MW Dhaulasidh project in Hamirpur district on Beas River,(26) the 412 MW Rampur project,(27) Sunni,(28) the country’s largest hydro power plant of 1500 MW generation capacity at Jhakri,(29) Uttaranchal,(30) 300 MW Devsari project,(31) 33 MW Jhakol Sankari project,(32) 35 MW Devra Mori project,(33)
●韓国,ネパールのチャムリア水力へ35億ルピー
ネパールの水力開発は,初のネパール共和国首相プラチャンダーの,向こう10年間で10000MWの水力開発を行う(注33)との大構想に基づき,インドの民間企業を中心に,大きな流れになろうとしている。中国企業の参入も噂されるところであるが,やはり政治体制が緒に就いたばかりであり,各国ともおそるおそる,と言う感じである。
今日の記事は地元紙カトマンズー発である。韓国側,カトマンズー駐在サンジュン韓国大使(34)と,ネパール側,アチャリャ財務次官(注35)との間で,総額35.4億ルピーの借款合意がなされた。対象は,30MW,工事中のチャメリア水力(注36)で,NEA(注37)が工事を行っている。ローンは韓国輸出入銀行(注38)を通じて行われる。チャメリア水力(注36)はダムはなく,2011年5月完成の予定である。
(注) (33) http://my.reset.jp/~adachihayao/index080929A.htm,(34) Ambassador of the republican of Korea to Nepal Nam Sang-Jung,(35) Secretary at the Ministry of Finance Rameshwor Acharya,(36) he Chameliya hydro project at the Chameliya river of Shikhar VDC in Darchula district,(37) the Nepal Electricity Authority (NEA),(38) the Expert-Import bank of Korea,(39)
Reference
Philippines
●081024A Philippines, Manila Bulletin
丸紅,フィリッピンの再生可能を視野に,EDC株式視野か
Japans Marubeni eyes stake in EDC
http://www.yourrenewablenews.com/japans+marubeni+eyes+stake+in+edc_13592.html
Nepal
●081024B Nepal, kantipuronline
韓国,ネパールのチャムリア水力へ35億ルピー
S Korea pledges Rs 3.54 billion loan for Chameliya hydropower
http://www.kantipuronline.com/kolnews.php?&nid=164479
India
●081024C India, himachal
ヒマチャル州政府とSJVN,775MWルーリ水力で協定
Himachal To Ink Agreement For 775 MW Luhri Project With SJVNL Next Week
http://himachal.us/2008/10/23/himachal-to-ink-agreement-for-775-mw-luhri-project-with-sjvnl-next-week/7371/news/ravinder
●081024D India, news.xinhuanet
ADB,インドのヒマチャルの水力へ8億ドル支援
ADB to provide $800 mln loan to India to develop hydropower
http://news.xinhuanet.com/english/2008-10/23/content_10241483.htm
2008年10月24日金曜日
インドネシアと中国のLNG契約
HPは下記ドメインです。アフリカ,中東,南米,再生可能エネルギーの最前線もあり。http://my.reset.jp/~adachihayao/index.htm
昨2008年10月22日,フィリッピンの水循環基金(注29)でJICAがUSAIDとともに基金を支援して行く,と言う記事は,どうもぴんと来なかったが,JICAが主導していたので拾って見ていた。昨夜,NHKのテレビを見ていて,ああこれのことか,と納得がいった。海水淡水化の技術も含めて,使用した水を再び飲料水に戻すという,上水道から下水道まで一貫したシステムの中で,水の消費なしで循環させて行こうという壮大な計画のようだ。
私の後輩で衛生工学を専攻した友人が,昭和46年ぐらいに奥多々良木揚水の現場で同じ職場にいて,良く議論したが,その中に水のエントロピーの彼の発想があった。綺麗な水はエントロピーが高く,汚れた水はエントロピーが低い,と言う考え方で,下流でエントロピーの落ちた水をどの様に再びエントロピー高めた行くか,と言う熱エネルギー計算のような考え方であったと思う。テレビは,日本の透水膜の技術などを紹介していた。
情報というものがお金になる,なんて言う発想が出てきて,ものを造らずにそんな馬鹿なことがあるか,物を造る者だけが仕事をしているのだ,などと議論していた時代,「マックスウエルの魔法」,という本があって,もし砂糖水の中で,この分子は砂糖,この分子は水,と言う情報が与えられれば簡単に,砂糖水から純水が得られる,と書いてあって,ああ情報とはそういうものか,と納得したことがあった。上下水道のネットワークにも,まもなく「知的上水道」の発想の時代が来るだろう,知的送電網のように。
さて今日の記事だが,ASEM会議で北京に行っているインドネシアのユドヨノ大統領(注2)には,やっかいで重要な仕事が託されているという。それは,中国の湖錦濤主席に直接,過去の契約の更改を申し込まなければならないと言う,やっかいな問題。2002年,メガワティ政権(注5)の頃に,中国福建省(注6)と,タングーLNG供給契約(注4)で,2009年より25年間,百万Btu当たり2.4ドルでLNGを供給する,としている。
ここしばらく私のHPを読んでくれている人は,インドネシアが原油生産の落ち込みで大変に慌てており,国会も外資系資本を国会に呼びつけて,調査を行っている状況が分かる。インドネシアにとって残りは天然ガスであり,しかも国内消費のためには,LNGが必須となる。アチェなどのLNGを受けてきた日本も,既にLNGの価格や量で厳しい交渉をしており,先日,タングーLNG供給契約(注4)を申し込んだ韓国は,見込みがない,と棚上げにされている。
このような状況の中で,中国福建省(注6)だけが,百万Btu当たり2.4ドルでLNGを受け取れることは,何とも世界情勢が許さない。このようなLNG価格について,再交渉の閣僚チームを率いているのはカラ副大統領(注7)で,彼は中国に心酔しているとはいえ,これだけはこのままには出来ないと言うことだろう。
全くLNG価格は予断を許さない。最近ちらっと,ロシアがOPEC並のLNGカルテを結成しようという動きがあるが,現在のところLNG価格(いずれも百万Btu当たりで表現)は個々の契約に任されている。最近インドで,11ドルが出てインドもLNGまたは天然ガスの戦国時代に入ってきた。タイはまだ7~8ドルで動いているはずである。それがメガワティ大統領(注5)の頃の2002年には2.4ドルだったわけだ。2.4ドルと言えば,発電単価になおして僅かKWh当たり2セントですよ。ユドヨノ大統領(注2)と湖錦濤主席(注3)の直接交渉になるとは,LNGも世界のトップ待遇になってきた。
(注)(29) Philippines Water Revolving Fund (PWRF),(1) The Jakarta Post , Jakarta,(2) President Susilo Bambang Yudhoyono,(3) Chinese counterpart Hu Jintao,(4) Tangguh liquefied natural gas (LNG) contract,(5) Indonesian president Megawati Soekarnoputri,(6) China's Fujian province,(7) Vice President Jusuf Kalla,(8) the Bintuni Bay area in Papua,(9) 14.4 trillion cubic feet,(10) Europe's largest oil and gas company BP Plc,
本文
●インドネシア大統領,湖錦濤主席とLNGで協議
インドネシアのLNGについては,最近も韓国がLNG供給延長を求めてインドネシアと交渉しているが,良い返事が返ってきていない。日本も,既に契約減を求められている。インドネシアは,国内消費のための施設を東部ジャワに建設中で,LNGの国内消費増大に備えている。LNG価格についても,日本に対して百万Btu当たり16ドルの声がかかっているし,韓国との交渉では20ドルの契約をしたばかりである。
今日のジャカルタポスト(注1)の記事。ASEMの会議で北京に向かうインドネシアのユドヨノ大統領(注2)は,中国とのLNG供給契約に関して難問を背負っている。湖錦濤主席(注3)との直接対話で,過去になされたLNG供給契約を見直さなければならないからだ。議論の最中にあるタングーLNG供給契約(注4)は,2002年に,当時のメガワティ大統領(注5)政権によって,中国福建省(注6)との間で交わされた。
このときの契約では,タングーLNG供給契約(注4)で,2009年よりLNG供給を開始,25年間の契約で,価格は一般には,世界のLNG価格の変動を見ながら決定する習わしでありながら,このLNG契約では,百万Btu当たり2.40ドルの内容となっていた。インドネシア政府は,このLNG価格に関して,最近になってカラ副大統領(注7)をヘッドとする閣僚級のLNG価格見直しチームを編成して,検討に当たってきた。
この大規模なタングーLNG基地(注4)は,パプアのブントニ湾(注8)にあって,天然ガス包蔵は144兆立方フィート(注9)と言われている。BP(注10)によって運転されることになっており,2009年にLNG生産を始めて,年7百万トン規模となる予定である。
全くLNG価格は予断を許さない。最近ちらっと,ロシアがOPEC並のLNGカルテを結成しようという動きがあるが,現在のところLNG価格(いずれも百万Btu当たりで表現)は個々の契約の任されている。
最近インドで,11ドルが出てインドもLNGまたは天然ガスの戦後時代に入ってきた。タイはまだ7~8ドルで動いているはずである。それがメガワティ大統領(注5)の頃の2002年には2.4ドルだったわけだ。24ドルと言えば,発電単価になおして僅かKWh当たり2セントですよ。ユドヨノ大統領(注2)と湖錦濤主席(注3)の直接交渉になるとは,LNGも世界のトップ待遇になってきた。
(注) (1) The Jakarta Post , Jakarta,(2) President Susilo Bambang Yudhoyono,(3) Chinese counterpart Hu Jintao,(4) Tangguh liquefied natural gas (LNG) contract,(5) Indonesian president Megawati Soekarnoputri,(6) China's Fujian province,(7) Vice President Jusuf Kalla,(8) the Bintuni Bay area in Papua,(9) 14.4 trillion cubic feet,(10) Europe's largest oil and gas company BP Plc,
●ネパール,プラチャンダ,大規模プロジェクトへの外資参入を求める
ネパール共和国初の首相,毛派の首領,プラチャンダー(注11)は元々社会主義者なのであろう,それが率先して市場経済を標榜して,ネパールへの海外投資を求め,一挙にネパールの経済成長を図ろうとしている。プラチャンダー(注11)が,北京を訪れてまず政治的なネパールの安定と資金供給に目処を付け,返す刀でインドのシン首相(12)と,親子のように抱き合って,インドのネパール開発支援を取り付けたシーンは,我々の記憶に新しい。
今日の記事は,インドのヒンズー紙(注13)でカトマンズー(注14)発である。第一声,プラチャンダー(注11)は,自由市場経済を標榜し,民間投資の増大を求め,特にネパールの大規模開発プロジェクトへの海外資金の投資を要請している。大規模開発プロジェクトとは,ネパール東西鉄道路線敷設(注15),カトマンズーとテライ間高速道路(注16)とそれに大規模水力プロジェクト群の開発である。
プラチャンダー首相(注11)が特に強調しているのは,ネパールの経済開発のための官民資本の協力である。しかし,プラチャンダー首相(注11)の前途に政治的な問題がないわけではない。彼は,特に米国も含めて,複数政党による民主主義政治と民間投資に重点を置いたわけで,彼の周辺には依然として,世界の流れに抗して,共産党一党独裁を主張する強硬派もいるわけである。
カトマンズー(注14)で2日間に亘って開かれた,「カトマンズー官民投資シンポジューム」(注17)の冒頭で,プラチャンダー首相(注11)は演説し,政府はネパールの経済開発のために新しい産業政策を導入することを宣言した。プラチャンダー首相(注11)は最近,インドに対して向こう10年間で10,000MWの水力開発への支援を要請したばかりである。
具体的には,二つの大規模水力,パンチェスバール(注18)水力とサプタコシ高ダム(注19)で二つだけで合計出力9,000MWに達する。この二つのプロジェクトは,既に調査や設計が進んでいるが,ネパールの政治的不安定から,長い間,棚上げされていた。
私は,長い間,インドとの関係が悪くて,全然進まなかったネパールの莫大な包蔵水力が,一気に進展する可能性がある,という意味で,それはインドの石炭火力の抑制に繋がり,我々日本人も含めて人類が最後の聖域に挑戦できるから,素晴らしい,と思っている。あの嫌悪な両国の関係から我々世代がまだいる間に,このような関係が開かれるとは思わなかった。しかし,プラチャンダー(注11)構想は少し大きすぎて過激に過ぎる。
(注)(11) Nepal Prime Minister Prachanda,(12) Prime Minister Manmohan Singh,(13) http://www.hindu.com/,(14) Kathmandu,(15) East-West railway,(16) Kathmandu-Terai Fast Track road,(17) a two-day symposium on 'Public Private Partnership' in Kathmandu,(18) Pancheshwor,(19) Saptakoshi High Dam,(20)
●パキスタン訪米団,エネルギーへの世界銀行の支援を求める
パキスタンのザルダリ大統領(注20)が北京で湖錦濤主席と会って,ダム建設などへの中国企業の参入の約束を得たばかりである。原子力協力については,パキスタン側が,中国とパキスタンの原子力協力で湖錦濤主席の確約を得た,と言っているけれど,中国側は発言していないし,どうも湖錦濤主席は慎重だったような気がする。また,パキスタンと世界銀行の関係は,タルベラダム問題以来,深いものがある。
記事は,ワシントン発のAP電を元にしている。パキスタンのファルキ計画委員会副総裁(注21)を団長とする調査団がワシントンを訪れ,今週,世界銀行とIMF(注22)との間で,主としてパキスタンのエネルギーセクターの開発への支援を要請したものである。メンバーは,エネルギー分野のキーパーソンを網羅している(注23)。
記事の内容は複雑である。主としてエネルギー分野の効率改善に関する技術援助を要請しているように見えるが,おそらく最後に要約されているプロジェクトの資金調達支援を要請しているのであろう。
そこの書かれたプロジェクト名を上げると,ガス火力ガドウ(注24)の1,100MWを1600MWへ増設,タール石炭基地(注25),タルベラ発電所の第4次増設(注26)960MW,スキキナリ発電所(注26)840MW,ムンダ多目的ダム(注27)700MW,クラムタンギ多目的(注28),84MWと灌漑,などである。
世界銀行は,タルベラダムの技術的問題を支えてから,パキスタンとは関係が深い。何か難しい問題が起こると,必ず世界銀行にもたれかかってくる。それはインドとの間のインダス川の水問題もそうで,インドのインダス上流のダム紛争では,仲介のためのエンジニアーを派遣して,パキスタンを助けている。世界銀行にとっては,可愛い相手,と言う感じでもあるのだろう。今回はそれを象徴する大使節団である。
(注) (20) Pakistan’s President Zardari,(21) Salman Faruqui, Deputy Chairman, Planning Commission,(22) the World Bank and International Finance Corporation,(23) The delegation included Ismail Qureshi, Secretary, Ministry of Water and Power, Shakil Durrani, Chairman WAPDA, Asad Ali Shah, Member Thar Coal and Energy Board, Aslam Sanjrani, Managing Director Thar Coal and Energy Board, Fayyaz Elahi, Managing Director Private Power and Infrastructure Board and Abdul Wajid Rana, Economic Minister, Embassy of the Pakistani in Washington.,(24) the gas-based Guddu power station,(25) Pakistan's coal resources and associated power generation facilities at Thar,(25) Fourth Extension of Tarbela Power Plant,(26) Suki Kinari,(27) Munda multi-purpose,(28) Kurram Tangi,
Reference
Pakistan
●08023A Paksitan, The Post
パキスタン訪米団,エネルギーへの世界銀行の支援を求める
Pak delegation seeks WB help to improve energy sector
http://thepost.com.pk/CorpNewsT.aspx?dtlid=188606&catid=8
Nepal
●081023B Nepal, hindu
プラチャンダ,大規模プロジェクトへの外資参入を求める
Prachanda seeks mega investments in Nepal
http://www.hindu.com/thehindu/holnus/003200810221980.htm
Indonesia
●081023C Indonesia, The Jakarta Post
インドネシア大統領,湖錦濤主席とLNGで協議
SBY, Hu Jintao to discuss Tangguh gas contract http://www.thejakartapost.com/news/2008/10/23/sby-hu-jintao-discuss-tangguh-gas-contract.html
昨2008年10月22日,フィリッピンの水循環基金(注29)でJICAがUSAIDとともに基金を支援して行く,と言う記事は,どうもぴんと来なかったが,JICAが主導していたので拾って見ていた。昨夜,NHKのテレビを見ていて,ああこれのことか,と納得がいった。海水淡水化の技術も含めて,使用した水を再び飲料水に戻すという,上水道から下水道まで一貫したシステムの中で,水の消費なしで循環させて行こうという壮大な計画のようだ。
私の後輩で衛生工学を専攻した友人が,昭和46年ぐらいに奥多々良木揚水の現場で同じ職場にいて,良く議論したが,その中に水のエントロピーの彼の発想があった。綺麗な水はエントロピーが高く,汚れた水はエントロピーが低い,と言う考え方で,下流でエントロピーの落ちた水をどの様に再びエントロピー高めた行くか,と言う熱エネルギー計算のような考え方であったと思う。テレビは,日本の透水膜の技術などを紹介していた。
情報というものがお金になる,なんて言う発想が出てきて,ものを造らずにそんな馬鹿なことがあるか,物を造る者だけが仕事をしているのだ,などと議論していた時代,「マックスウエルの魔法」,という本があって,もし砂糖水の中で,この分子は砂糖,この分子は水,と言う情報が与えられれば簡単に,砂糖水から純水が得られる,と書いてあって,ああ情報とはそういうものか,と納得したことがあった。上下水道のネットワークにも,まもなく「知的上水道」の発想の時代が来るだろう,知的送電網のように。
さて今日の記事だが,ASEM会議で北京に行っているインドネシアのユドヨノ大統領(注2)には,やっかいで重要な仕事が託されているという。それは,中国の湖錦濤主席に直接,過去の契約の更改を申し込まなければならないと言う,やっかいな問題。2002年,メガワティ政権(注5)の頃に,中国福建省(注6)と,タングーLNG供給契約(注4)で,2009年より25年間,百万Btu当たり2.4ドルでLNGを供給する,としている。
ここしばらく私のHPを読んでくれている人は,インドネシアが原油生産の落ち込みで大変に慌てており,国会も外資系資本を国会に呼びつけて,調査を行っている状況が分かる。インドネシアにとって残りは天然ガスであり,しかも国内消費のためには,LNGが必須となる。アチェなどのLNGを受けてきた日本も,既にLNGの価格や量で厳しい交渉をしており,先日,タングーLNG供給契約(注4)を申し込んだ韓国は,見込みがない,と棚上げにされている。
このような状況の中で,中国福建省(注6)だけが,百万Btu当たり2.4ドルでLNGを受け取れることは,何とも世界情勢が許さない。このようなLNG価格について,再交渉の閣僚チームを率いているのはカラ副大統領(注7)で,彼は中国に心酔しているとはいえ,これだけはこのままには出来ないと言うことだろう。
全くLNG価格は予断を許さない。最近ちらっと,ロシアがOPEC並のLNGカルテを結成しようという動きがあるが,現在のところLNG価格(いずれも百万Btu当たりで表現)は個々の契約に任されている。最近インドで,11ドルが出てインドもLNGまたは天然ガスの戦国時代に入ってきた。タイはまだ7~8ドルで動いているはずである。それがメガワティ大統領(注5)の頃の2002年には2.4ドルだったわけだ。2.4ドルと言えば,発電単価になおして僅かKWh当たり2セントですよ。ユドヨノ大統領(注2)と湖錦濤主席(注3)の直接交渉になるとは,LNGも世界のトップ待遇になってきた。
(注)(29) Philippines Water Revolving Fund (PWRF),(1) The Jakarta Post , Jakarta,(2) President Susilo Bambang Yudhoyono,(3) Chinese counterpart Hu Jintao,(4) Tangguh liquefied natural gas (LNG) contract,(5) Indonesian president Megawati Soekarnoputri,(6) China's Fujian province,(7) Vice President Jusuf Kalla,(8) the Bintuni Bay area in Papua,(9) 14.4 trillion cubic feet,(10) Europe's largest oil and gas company BP Plc,
本文
●インドネシア大統領,湖錦濤主席とLNGで協議
インドネシアのLNGについては,最近も韓国がLNG供給延長を求めてインドネシアと交渉しているが,良い返事が返ってきていない。日本も,既に契約減を求められている。インドネシアは,国内消費のための施設を東部ジャワに建設中で,LNGの国内消費増大に備えている。LNG価格についても,日本に対して百万Btu当たり16ドルの声がかかっているし,韓国との交渉では20ドルの契約をしたばかりである。
今日のジャカルタポスト(注1)の記事。ASEMの会議で北京に向かうインドネシアのユドヨノ大統領(注2)は,中国とのLNG供給契約に関して難問を背負っている。湖錦濤主席(注3)との直接対話で,過去になされたLNG供給契約を見直さなければならないからだ。議論の最中にあるタングーLNG供給契約(注4)は,2002年に,当時のメガワティ大統領(注5)政権によって,中国福建省(注6)との間で交わされた。
このときの契約では,タングーLNG供給契約(注4)で,2009年よりLNG供給を開始,25年間の契約で,価格は一般には,世界のLNG価格の変動を見ながら決定する習わしでありながら,このLNG契約では,百万Btu当たり2.40ドルの内容となっていた。インドネシア政府は,このLNG価格に関して,最近になってカラ副大統領(注7)をヘッドとする閣僚級のLNG価格見直しチームを編成して,検討に当たってきた。
この大規模なタングーLNG基地(注4)は,パプアのブントニ湾(注8)にあって,天然ガス包蔵は144兆立方フィート(注9)と言われている。BP(注10)によって運転されることになっており,2009年にLNG生産を始めて,年7百万トン規模となる予定である。
全くLNG価格は予断を許さない。最近ちらっと,ロシアがOPEC並のLNGカルテを結成しようという動きがあるが,現在のところLNG価格(いずれも百万Btu当たりで表現)は個々の契約の任されている。
最近インドで,11ドルが出てインドもLNGまたは天然ガスの戦後時代に入ってきた。タイはまだ7~8ドルで動いているはずである。それがメガワティ大統領(注5)の頃の2002年には2.4ドルだったわけだ。24ドルと言えば,発電単価になおして僅かKWh当たり2セントですよ。ユドヨノ大統領(注2)と湖錦濤主席(注3)の直接交渉になるとは,LNGも世界のトップ待遇になってきた。
(注) (1) The Jakarta Post , Jakarta,(2) President Susilo Bambang Yudhoyono,(3) Chinese counterpart Hu Jintao,(4) Tangguh liquefied natural gas (LNG) contract,(5) Indonesian president Megawati Soekarnoputri,(6) China's Fujian province,(7) Vice President Jusuf Kalla,(8) the Bintuni Bay area in Papua,(9) 14.4 trillion cubic feet,(10) Europe's largest oil and gas company BP Plc,
●ネパール,プラチャンダ,大規模プロジェクトへの外資参入を求める
ネパール共和国初の首相,毛派の首領,プラチャンダー(注11)は元々社会主義者なのであろう,それが率先して市場経済を標榜して,ネパールへの海外投資を求め,一挙にネパールの経済成長を図ろうとしている。プラチャンダー(注11)が,北京を訪れてまず政治的なネパールの安定と資金供給に目処を付け,返す刀でインドのシン首相(12)と,親子のように抱き合って,インドのネパール開発支援を取り付けたシーンは,我々の記憶に新しい。
今日の記事は,インドのヒンズー紙(注13)でカトマンズー(注14)発である。第一声,プラチャンダー(注11)は,自由市場経済を標榜し,民間投資の増大を求め,特にネパールの大規模開発プロジェクトへの海外資金の投資を要請している。大規模開発プロジェクトとは,ネパール東西鉄道路線敷設(注15),カトマンズーとテライ間高速道路(注16)とそれに大規模水力プロジェクト群の開発である。
プラチャンダー首相(注11)が特に強調しているのは,ネパールの経済開発のための官民資本の協力である。しかし,プラチャンダー首相(注11)の前途に政治的な問題がないわけではない。彼は,特に米国も含めて,複数政党による民主主義政治と民間投資に重点を置いたわけで,彼の周辺には依然として,世界の流れに抗して,共産党一党独裁を主張する強硬派もいるわけである。
カトマンズー(注14)で2日間に亘って開かれた,「カトマンズー官民投資シンポジューム」(注17)の冒頭で,プラチャンダー首相(注11)は演説し,政府はネパールの経済開発のために新しい産業政策を導入することを宣言した。プラチャンダー首相(注11)は最近,インドに対して向こう10年間で10,000MWの水力開発への支援を要請したばかりである。
具体的には,二つの大規模水力,パンチェスバール(注18)水力とサプタコシ高ダム(注19)で二つだけで合計出力9,000MWに達する。この二つのプロジェクトは,既に調査や設計が進んでいるが,ネパールの政治的不安定から,長い間,棚上げされていた。
私は,長い間,インドとの関係が悪くて,全然進まなかったネパールの莫大な包蔵水力が,一気に進展する可能性がある,という意味で,それはインドの石炭火力の抑制に繋がり,我々日本人も含めて人類が最後の聖域に挑戦できるから,素晴らしい,と思っている。あの嫌悪な両国の関係から我々世代がまだいる間に,このような関係が開かれるとは思わなかった。しかし,プラチャンダー(注11)構想は少し大きすぎて過激に過ぎる。
(注)(11) Nepal Prime Minister Prachanda,(12) Prime Minister Manmohan Singh,(13) http://www.hindu.com/,(14) Kathmandu,(15) East-West railway,(16) Kathmandu-Terai Fast Track road,(17) a two-day symposium on 'Public Private Partnership' in Kathmandu,(18) Pancheshwor,(19) Saptakoshi High Dam,(20)
●パキスタン訪米団,エネルギーへの世界銀行の支援を求める
パキスタンのザルダリ大統領(注20)が北京で湖錦濤主席と会って,ダム建設などへの中国企業の参入の約束を得たばかりである。原子力協力については,パキスタン側が,中国とパキスタンの原子力協力で湖錦濤主席の確約を得た,と言っているけれど,中国側は発言していないし,どうも湖錦濤主席は慎重だったような気がする。また,パキスタンと世界銀行の関係は,タルベラダム問題以来,深いものがある。
記事は,ワシントン発のAP電を元にしている。パキスタンのファルキ計画委員会副総裁(注21)を団長とする調査団がワシントンを訪れ,今週,世界銀行とIMF(注22)との間で,主としてパキスタンのエネルギーセクターの開発への支援を要請したものである。メンバーは,エネルギー分野のキーパーソンを網羅している(注23)。
記事の内容は複雑である。主としてエネルギー分野の効率改善に関する技術援助を要請しているように見えるが,おそらく最後に要約されているプロジェクトの資金調達支援を要請しているのであろう。
そこの書かれたプロジェクト名を上げると,ガス火力ガドウ(注24)の1,100MWを1600MWへ増設,タール石炭基地(注25),タルベラ発電所の第4次増設(注26)960MW,スキキナリ発電所(注26)840MW,ムンダ多目的ダム(注27)700MW,クラムタンギ多目的(注28),84MWと灌漑,などである。
世界銀行は,タルベラダムの技術的問題を支えてから,パキスタンとは関係が深い。何か難しい問題が起こると,必ず世界銀行にもたれかかってくる。それはインドとの間のインダス川の水問題もそうで,インドのインダス上流のダム紛争では,仲介のためのエンジニアーを派遣して,パキスタンを助けている。世界銀行にとっては,可愛い相手,と言う感じでもあるのだろう。今回はそれを象徴する大使節団である。
(注) (20) Pakistan’s President Zardari,(21) Salman Faruqui, Deputy Chairman, Planning Commission,(22) the World Bank and International Finance Corporation,(23) The delegation included Ismail Qureshi, Secretary, Ministry of Water and Power, Shakil Durrani, Chairman WAPDA, Asad Ali Shah, Member Thar Coal and Energy Board, Aslam Sanjrani, Managing Director Thar Coal and Energy Board, Fayyaz Elahi, Managing Director Private Power and Infrastructure Board and Abdul Wajid Rana, Economic Minister, Embassy of the Pakistani in Washington.,(24) the gas-based Guddu power station,(25) Pakistan's coal resources and associated power generation facilities at Thar,(25) Fourth Extension of Tarbela Power Plant,(26) Suki Kinari,(27) Munda multi-purpose,(28) Kurram Tangi,
Reference
Pakistan
●08023A Paksitan, The Post
パキスタン訪米団,エネルギーへの世界銀行の支援を求める
Pak delegation seeks WB help to improve energy sector
http://thepost.com.pk/CorpNewsT.aspx?dtlid=188606&catid=8
Nepal
●081023B Nepal, hindu
プラチャンダ,大規模プロジェクトへの外資参入を求める
Prachanda seeks mega investments in Nepal
http://www.hindu.com/thehindu/holnus/003200810221980.htm
Indonesia
●081023C Indonesia, The Jakarta Post
インドネシア大統領,湖錦濤主席とLNGで協議
SBY, Hu Jintao to discuss Tangguh gas contract http://www.thejakartapost.com/news/2008/10/23/sby-hu-jintao-discuss-tangguh-gas-contract.html
2008年10月23日木曜日
ラオスの水力で住民補償が再燃
HPは下記ドメインです。アフリカ,中東,南米,再生可能エネルギーの最前線もあり。http://my.reset.jp/~adachihayao/index.htm
昨夜は電力会社の友人達と酒を酌み交わす。飛行機にバッテリーを積み込んで飛べないのか,などと話していたが,我々の関心は,電気自動車の電気がどこから来ているのか,そこまで触れないテレビ番組に苛立っていた。要するに,原子力発電で自動車が動く,と言うことなのだが,つっこみが足りないなあ,と話していた。知的送電網の話も出たが,電線上にブロードバンドを載せなければ,知的送電網の意味がないと思うが,専門家の彼等は,情報は光の方がよい,と主張していた。
その友人が調べてくれたところでは,パナソニックの乾電池で人が乗って飛んだ飛行機のホームページを紹介してくれた。やはりどう考えても将来は,自動車も飛行機も電気で動くようになるのだろう。そうなると,石油もバイオ燃料も要らなくなる,と言うことにならないかな。新幹線がエコだと言うが,新幹線の電力も原子力から来ている,と説明すればよいのではないか,「原子力で動く新幹線にどうぞ!」とか。まあ今は原子力は30%程度だが,化石燃料がなくなってそのうち原子力と水力だけになる,と想定しての話である。
原子力,インドのシン首相が日本を訪問し,麻生首相と首脳会談。主題は,経済連携協定(EPA)と安保協力であるが,原子力協力については,両方とも言い難し,と言うところか。麻生首相も,将来の核実験の可能性など,言うべきは言わなければならない。しかし,シン首相は,「原子力に対する日本人の感情は良く理解できる」,と言っていた。シン首相は偉いなあ,私は好きですね。
原子力の一方の水力であるが,ラオスの水力で,また住民補償の問題が燻っている。ラオスの中部,メコン河の左岸から流れ込むナムテン川(注2)は流域面積約1万平方kmの大支流であるが,中流に,1998年に真っ先に完成した210MWテンヒンブン水力発電所(注1)があって,このテンヒンブン水力発電所(注1)を増設して,280MW~290MWにするテンヒンブン水力増設計画(注11)が進行中である。
テンヒンブン水力発電所(注1)は,ナムテン川(注2)の水を分流して小河川であるカンムーン県のヒンブン川流域(注5)に流すので,洪水問題が論じられている。洪水がでたときにその上に分流した水が覆い被さる,と言う意味なのである。
このテンヒンブン水力増設計画(注11)の環境影響評価に責任を持つコンサルタント,ボルセット氏(注15)は,もっとも大きな影響は,新しく造られる100平方kmの貯水池によって起こる浸食と下流への洪水だろう,と言っている。また,11村落,4,000人の移住が必要としている。このような水力開発に伴う環境対策について,ラオスのブナソン首相(注16)は,2007年11月のシンガポールに於けるASEANサミット(注17)で,適切に対処することを約束している。
私は,テンヒンブン水力増設計画(注11)は,おそらく15時間ピークで対応してきた210MW,テンヒンブン水力発電所(注1)を,更にピーク時間を短くして280~290MWに増設する計画と解釈しており,ボルセット氏(注15)の言う新たな貯水池は,そのピーク流量を調整する逆調整池なのか,取水ダムを大きくするのか。このように増設に伴って,元の210MW,テンヒンブン水力発電所(注1)で,不満の出た補償問題も,一挙に吹き出してくる可能性がある。
(注) (1) the 210-megawatt Theun Hinboun hydropower dam,(2) Nam Theun river, (3) Nam Thun 2 hydropower,(4) the Imaging Our Mekong Programme coordinated by IPS Asia-Pacific,(5) the Hinboun River in the central province of Khammouane,(6) the Theun Hinboun Power Co (THPC),'(7) the Norwegian state-owned utility Statkraft,(8) Thailand's GMS Power,(9) Phomma Khoutmany, deputy chief of Phahang village,(10) the U.S.-based campaign group International Rivers,(11) the Theun Hinboun expansion project,(12) International Rivers Campaigns Director Aviva Imhof,(13) the Hai and Hinboun River valleys,(14) a national workshop on the Environmental Impact Assessment of the Theun Hinboun Expansion Project in Vientiane in October 2007,(15) Erik Borset, senior environment planner for the Norwegian consulting company Norplan,(16) Prime Minister Bounasone Bouphavanh,(17) the 13th ASEAN Summit in Singapore in November last year.,(18)
本文
●ラオス,テンヒンブン,ダムとの戦い,ジレンマ
210MWテンヒンブン水力発電所(注1)は1998年,ラオスの水力の中では最初に造られたタイへの輸出用の発電所である。ナムテン川(注2)の中流部にダムを造って,メコン本流側に,落差約400mを利用して分流する計画で,当時計画が進んでいたナムテン2水力(注3)に先駆けて,北欧主導で建設された。大河川の水を小河川に分流するために,小河川側での高水に対する問題点が指摘されてきた。
この記事は,IPSニュースが,「我がメコン計画のイメージ」運動(注4)の活動の一環として書かれたもののようだ。やや長文。ラオス政府は,大きな希望を抱いて水力開発に取り組んでいるが,カンムーン県のヒンブン川流域(注5)に住んでいる人々にとっては,状況は全く違うものとなってきた。テンヒンブン水力発電所(注1)のオーナーであるテンヒンブン電力会社THPC(注6)は,ラオス政府,ノルウエーのスタットクラフト(注7),タイのGMSパワー(注8)によって運営されているが,テンヒンブン電力会社は,住民対策に失敗した,と村人は言っている。
今,国内的にも国際的にも問題になっているのは,2012年を目標に進められているテンヒンブン水力発電所(注1)の増設計画である。村人は,テンヒンブン水力発電所(注1)によってもたらされた洪水が,農作物に大きな被害をもたらした,特に稲田の被害,と言っている。これを語っているのは村長のポーマ(注9)である。漁獲高も極端に減ったと言っている。
問題は,このテンヒンブン水力発電所(注1)の完成後に得た多くの経験が,ラオスの他の水力プロジェクトにどの様に生かされるかが問題だ。最近10月に発表された米国籍環境グループIRN(注10)は,ラオスでは6つのダムが運転中であり,7つのダムが建設中,12以上のダムが計画中である事実に鑑み,水力プロジェクトに関する更なる住民参加の促進と影響評価の見直しを提案している。
IRN(注10)は,調査中のテンヒンブン水力増設計画(注11)の環境評価と住民対策は,国際規格に合致していない,としている。補償の大部分は土地の所有者に行くもので,一般の村人には行かない。補償の不公平さに住民の不満が上がっている。IRNのインホッフ女史(注12)は,その4月の報告書で,ハイ川とヒンブン川峡谷(注13)の人々の移住で,貧困が急速に進むと予測している。テンヒンブン水力発電所(注1)によっても,住民には電気の一つも届かない,という点も指摘している。
テンヒンブン水力増設計画(注11)であるが,テンヒンブン電力会社THPC(注6)は,外国やタイの銀行による485百万ドルの融資によって,現在の210MW,テンヒンブン水力発電所(注1)を,280~290MWに増設する計画である。テンヒンブン水力増設計画(注11)については10月にビエンチャンで,ラオス政府の環境影響評価のワークショップ(注14)が持たれている。
このテンヒンブン水力増設計画(注11)の環境影響評価に責任を持つコンサルタント,ボルセット氏(注15)は,もっとも大きな影響は,新しく造られる100平方kmの貯水池によって起こる浸食と下流への洪水だろう,と言っている。また,11村落,4,000人の移住が必要としている。このような水力開発に伴う環境対策について,ラオスのブナソン首相(注16)は,2007年11月のシンガポールに於けるASEANサミット(注17)で,適切に対処することを約束している。
私は,テンヒンブン水力増設計画(注11)は,おそらく15時間ピークで対応してきた210MW,テンヒンブン水力発電所(注1)を,更にピーク時間を短くして280~290MWに増設する計画と解釈しており,ボルセット氏(注15)の言う新たな貯水池は,そのピーク流量を調整する逆調整池だと思うが,このように増設に伴って,元の210MW,テンヒンブン水力発電所(注1)で,不満の出た補償問題も,一挙に吹き出してくる可能性がある。
(注) (1) the 210-megawatt Theun Hinboun hydropower dam,(2) Nam Theun river, (3) Nam Thun 2 hydropower,(4) the Imaging Our Mekong Programme coordinated by IPS Asia-Pacific,(5) the Hinboun River in the central province of Khammouane,(6) the Theun Hinboun Power Co (THPC),'(7) the Norwegian state-owned utility Statkraft,(8) Thailand's GMS Power,(9) Phomma Khoutmany, deputy chief of Phahang village,(10) the U.S.-based campaign group International Rivers,(11) the Theun Hinboun expansion project,(12) International Rivers Campaigns Director Aviva Imhof,(13) the Hai and Hinboun River valleys,(14) a national workshop on the Environmental Impact Assessment of the Theun Hinboun Expansion Project in Vientiane in October 2007,(15) Erik Borset, senior environment planner for the Norwegian consulting company Norplan,(16) Prime Minister Bounasone Bouphavanh,(17) the 13th ASEAN Summit in Singapore in November last year.,(18)
●日本と米国,フィリッピンの水循環基金,設立へ
日本と米国が協力して,フィリッピンの水資源循環基金(注18)を設立する,という記事で,基金はフィリッピン開発銀行(注19)内に設けられ,発足時の元となる初期資金の額100万ドルは,JICA(注20)が米国USAID(注21)の資金部DCA(注22)の支援を受けて準備する。
(注)(18) the Philippine Water Revolving Fund (PWRF),(19) The Development Bank of the Philippines (DBP),(20) Japan International Cooperation Agency (JICA),(21) US Agency for International Development,(22) Development Credit Authority (DCA).
その他
●フィリッピン,マニラ配電Meralco,料金値上げ,KWh0.14ペソ
Reference
Philippines
●081022A Philippines, Manila Bulletin
日本と米国,フィリッピンの水循環基金,設立へ
US, Japan establish water revolving fund http://www.mb.com.ph/BSNS20081022138636.html
●081022B Philippines, Manila Bulletin
マニラ配電Meralco,料金値上げ,KWh0.14ペソ
Meralco to hike rates by P0.14kWh
http://www.mb.com.ph/BSNS20081022138638.html
Laos
●081022C Laos, ipsnews
ラオス,テンヒンブン,ダムとの戦い,ジレンマ
DEVELOPMENT: Laos Struggles With Dam Dilemma
http://ipsnews.net/news.asp?idnews=44346
昨夜は電力会社の友人達と酒を酌み交わす。飛行機にバッテリーを積み込んで飛べないのか,などと話していたが,我々の関心は,電気自動車の電気がどこから来ているのか,そこまで触れないテレビ番組に苛立っていた。要するに,原子力発電で自動車が動く,と言うことなのだが,つっこみが足りないなあ,と話していた。知的送電網の話も出たが,電線上にブロードバンドを載せなければ,知的送電網の意味がないと思うが,専門家の彼等は,情報は光の方がよい,と主張していた。
その友人が調べてくれたところでは,パナソニックの乾電池で人が乗って飛んだ飛行機のホームページを紹介してくれた。やはりどう考えても将来は,自動車も飛行機も電気で動くようになるのだろう。そうなると,石油もバイオ燃料も要らなくなる,と言うことにならないかな。新幹線がエコだと言うが,新幹線の電力も原子力から来ている,と説明すればよいのではないか,「原子力で動く新幹線にどうぞ!」とか。まあ今は原子力は30%程度だが,化石燃料がなくなってそのうち原子力と水力だけになる,と想定しての話である。
原子力,インドのシン首相が日本を訪問し,麻生首相と首脳会談。主題は,経済連携協定(EPA)と安保協力であるが,原子力協力については,両方とも言い難し,と言うところか。麻生首相も,将来の核実験の可能性など,言うべきは言わなければならない。しかし,シン首相は,「原子力に対する日本人の感情は良く理解できる」,と言っていた。シン首相は偉いなあ,私は好きですね。
原子力の一方の水力であるが,ラオスの水力で,また住民補償の問題が燻っている。ラオスの中部,メコン河の左岸から流れ込むナムテン川(注2)は流域面積約1万平方kmの大支流であるが,中流に,1998年に真っ先に完成した210MWテンヒンブン水力発電所(注1)があって,このテンヒンブン水力発電所(注1)を増設して,280MW~290MWにするテンヒンブン水力増設計画(注11)が進行中である。
テンヒンブン水力発電所(注1)は,ナムテン川(注2)の水を分流して小河川であるカンムーン県のヒンブン川流域(注5)に流すので,洪水問題が論じられている。洪水がでたときにその上に分流した水が覆い被さる,と言う意味なのである。
このテンヒンブン水力増設計画(注11)の環境影響評価に責任を持つコンサルタント,ボルセット氏(注15)は,もっとも大きな影響は,新しく造られる100平方kmの貯水池によって起こる浸食と下流への洪水だろう,と言っている。また,11村落,4,000人の移住が必要としている。このような水力開発に伴う環境対策について,ラオスのブナソン首相(注16)は,2007年11月のシンガポールに於けるASEANサミット(注17)で,適切に対処することを約束している。
私は,テンヒンブン水力増設計画(注11)は,おそらく15時間ピークで対応してきた210MW,テンヒンブン水力発電所(注1)を,更にピーク時間を短くして280~290MWに増設する計画と解釈しており,ボルセット氏(注15)の言う新たな貯水池は,そのピーク流量を調整する逆調整池なのか,取水ダムを大きくするのか。このように増設に伴って,元の210MW,テンヒンブン水力発電所(注1)で,不満の出た補償問題も,一挙に吹き出してくる可能性がある。
(注) (1) the 210-megawatt Theun Hinboun hydropower dam,(2) Nam Theun river, (3) Nam Thun 2 hydropower,(4) the Imaging Our Mekong Programme coordinated by IPS Asia-Pacific,(5) the Hinboun River in the central province of Khammouane,(6) the Theun Hinboun Power Co (THPC),'(7) the Norwegian state-owned utility Statkraft,(8) Thailand's GMS Power,(9) Phomma Khoutmany, deputy chief of Phahang village,(10) the U.S.-based campaign group International Rivers,(11) the Theun Hinboun expansion project,(12) International Rivers Campaigns Director Aviva Imhof,(13) the Hai and Hinboun River valleys,(14) a national workshop on the Environmental Impact Assessment of the Theun Hinboun Expansion Project in Vientiane in October 2007,(15) Erik Borset, senior environment planner for the Norwegian consulting company Norplan,(16) Prime Minister Bounasone Bouphavanh,(17) the 13th ASEAN Summit in Singapore in November last year.,(18)
本文
●ラオス,テンヒンブン,ダムとの戦い,ジレンマ
210MWテンヒンブン水力発電所(注1)は1998年,ラオスの水力の中では最初に造られたタイへの輸出用の発電所である。ナムテン川(注2)の中流部にダムを造って,メコン本流側に,落差約400mを利用して分流する計画で,当時計画が進んでいたナムテン2水力(注3)に先駆けて,北欧主導で建設された。大河川の水を小河川に分流するために,小河川側での高水に対する問題点が指摘されてきた。
この記事は,IPSニュースが,「我がメコン計画のイメージ」運動(注4)の活動の一環として書かれたもののようだ。やや長文。ラオス政府は,大きな希望を抱いて水力開発に取り組んでいるが,カンムーン県のヒンブン川流域(注5)に住んでいる人々にとっては,状況は全く違うものとなってきた。テンヒンブン水力発電所(注1)のオーナーであるテンヒンブン電力会社THPC(注6)は,ラオス政府,ノルウエーのスタットクラフト(注7),タイのGMSパワー(注8)によって運営されているが,テンヒンブン電力会社は,住民対策に失敗した,と村人は言っている。
今,国内的にも国際的にも問題になっているのは,2012年を目標に進められているテンヒンブン水力発電所(注1)の増設計画である。村人は,テンヒンブン水力発電所(注1)によってもたらされた洪水が,農作物に大きな被害をもたらした,特に稲田の被害,と言っている。これを語っているのは村長のポーマ(注9)である。漁獲高も極端に減ったと言っている。
問題は,このテンヒンブン水力発電所(注1)の完成後に得た多くの経験が,ラオスの他の水力プロジェクトにどの様に生かされるかが問題だ。最近10月に発表された米国籍環境グループIRN(注10)は,ラオスでは6つのダムが運転中であり,7つのダムが建設中,12以上のダムが計画中である事実に鑑み,水力プロジェクトに関する更なる住民参加の促進と影響評価の見直しを提案している。
IRN(注10)は,調査中のテンヒンブン水力増設計画(注11)の環境評価と住民対策は,国際規格に合致していない,としている。補償の大部分は土地の所有者に行くもので,一般の村人には行かない。補償の不公平さに住民の不満が上がっている。IRNのインホッフ女史(注12)は,その4月の報告書で,ハイ川とヒンブン川峡谷(注13)の人々の移住で,貧困が急速に進むと予測している。テンヒンブン水力発電所(注1)によっても,住民には電気の一つも届かない,という点も指摘している。
テンヒンブン水力増設計画(注11)であるが,テンヒンブン電力会社THPC(注6)は,外国やタイの銀行による485百万ドルの融資によって,現在の210MW,テンヒンブン水力発電所(注1)を,280~290MWに増設する計画である。テンヒンブン水力増設計画(注11)については10月にビエンチャンで,ラオス政府の環境影響評価のワークショップ(注14)が持たれている。
このテンヒンブン水力増設計画(注11)の環境影響評価に責任を持つコンサルタント,ボルセット氏(注15)は,もっとも大きな影響は,新しく造られる100平方kmの貯水池によって起こる浸食と下流への洪水だろう,と言っている。また,11村落,4,000人の移住が必要としている。このような水力開発に伴う環境対策について,ラオスのブナソン首相(注16)は,2007年11月のシンガポールに於けるASEANサミット(注17)で,適切に対処することを約束している。
私は,テンヒンブン水力増設計画(注11)は,おそらく15時間ピークで対応してきた210MW,テンヒンブン水力発電所(注1)を,更にピーク時間を短くして280~290MWに増設する計画と解釈しており,ボルセット氏(注15)の言う新たな貯水池は,そのピーク流量を調整する逆調整池だと思うが,このように増設に伴って,元の210MW,テンヒンブン水力発電所(注1)で,不満の出た補償問題も,一挙に吹き出してくる可能性がある。
(注) (1) the 210-megawatt Theun Hinboun hydropower dam,(2) Nam Theun river, (3) Nam Thun 2 hydropower,(4) the Imaging Our Mekong Programme coordinated by IPS Asia-Pacific,(5) the Hinboun River in the central province of Khammouane,(6) the Theun Hinboun Power Co (THPC),'(7) the Norwegian state-owned utility Statkraft,(8) Thailand's GMS Power,(9) Phomma Khoutmany, deputy chief of Phahang village,(10) the U.S.-based campaign group International Rivers,(11) the Theun Hinboun expansion project,(12) International Rivers Campaigns Director Aviva Imhof,(13) the Hai and Hinboun River valleys,(14) a national workshop on the Environmental Impact Assessment of the Theun Hinboun Expansion Project in Vientiane in October 2007,(15) Erik Borset, senior environment planner for the Norwegian consulting company Norplan,(16) Prime Minister Bounasone Bouphavanh,(17) the 13th ASEAN Summit in Singapore in November last year.,(18)
●日本と米国,フィリッピンの水循環基金,設立へ
日本と米国が協力して,フィリッピンの水資源循環基金(注18)を設立する,という記事で,基金はフィリッピン開発銀行(注19)内に設けられ,発足時の元となる初期資金の額100万ドルは,JICA(注20)が米国USAID(注21)の資金部DCA(注22)の支援を受けて準備する。
(注)(18) the Philippine Water Revolving Fund (PWRF),(19) The Development Bank of the Philippines (DBP),(20) Japan International Cooperation Agency (JICA),(21) US Agency for International Development,(22) Development Credit Authority (DCA).
その他
●フィリッピン,マニラ配電Meralco,料金値上げ,KWh0.14ペソ
Reference
Philippines
●081022A Philippines, Manila Bulletin
日本と米国,フィリッピンの水循環基金,設立へ
US, Japan establish water revolving fund http://www.mb.com.ph/BSNS20081022138636.html
●081022B Philippines, Manila Bulletin
マニラ配電Meralco,料金値上げ,KWh0.14ペソ
Meralco to hike rates by P0.14kWh
http://www.mb.com.ph/BSNS20081022138638.html
Laos
●081022C Laos, ipsnews
ラオス,テンヒンブン,ダムとの戦い,ジレンマ
DEVELOPMENT: Laos Struggles With Dam Dilemma
http://ipsnews.net/news.asp?idnews=44346
2008年10月22日水曜日
世界で50カ国以上が原子力発電を計画
HPは下記ドメインです。アフリカ,中東,南米,再生可能エネルギーの最前線もあり。http://my.reset.jp/~adachihayao/index.htm
昨日は高校時代の友人達と会食,まさに50年ぶり,という親しかった友人もいた。人生き方それぞれであるが,ある友人は畑を借りて年にタマネギ,馬鈴薯を中心に150株ほど収益を上げるという。フランスのパリで長い間,松下の販売の責任者をした男である。タマネギなどは人気がある作物だが,3年に一度しか造ってはいけないとか,土地の栄養の問題だ。
バイオマスもそう簡単ではなかろう,と思いを致した。もう一人は物理で核磁気の研究で,所謂,医学のMRIに関連した技術を担当し,今でも実験なんかを手伝うという。核磁気技術をJICAを通じて発展途上国に移転するプロジェクトで,JICAから,「核」という文字をはずしてくれ,と言われたとか。だから単に,「磁石」みたいになってしまったわけだ,可哀相に。異業種の話に耳を傾けるチャンスは,我々には余りない。でも,JICAやJBICで仕事をしている人たちは,多くの異業種の人の話を聞いて,働いているのだろうな,と思った。
原子力発電は,私にとっても異業種であるが,将来のエネルギーのメジャーは原子力と水力だ,と考えている人は,私の回りでも多い。昨日のテレビも電気自動車の時代到来,と謳い上げていたけれど,その電力は何で発電するのか,と言うことは触れないで走っている。小さな多くのガソリンエンジンを電力会社の大きなエンジンに変えただけだ。でも,原子力を自動車に積むのは難しいが,電気自動車なら原子力で走らせる。バイオ燃料は無意味?飛行機はどうするのか?あれは電気で動かないのですかね。飛行機を電気で動かしたら世の中どうなるのか,考えて下さい。
OECD(注1)の原子力エネルギー庁NEA(注2)の第50次年次総会がパリで開かれ,国連の原子力監視機関であるエルバラダイIAEA長官(注3)が演説を行った。10年前までは,原子力発電に対する見方は,世界中で冷めていた。しかし今日に至っては,世界中で50以上の国が原子力発電を考えており,特に,新たな国として,トルコとベトナムが熱心である,としている。
エルバラダイIAEA長官(注3)が,特にトルコとベトナムの原子力発電を取り上げたことに驚いた。タイとベトナムと原子力発電所推進でどちらが早いか,と友人と議論したことがある。私は,政治体制とベトナム人の特質から,ベトナムが原子力発電所を早く造るだろう,と言う意見である。タイはタイ人らしく極めて慎重で,本格推進までのロードマップばかりいじっている。国民の原子力発電への気持ちを醸成しているのだろう。インドネシアは極めて商業的である。既に企業を動かしながら,模索している。
トルコの原子力発電については,2008年9月26日に,私の「週刊中東のエネルギー最前線」,で取り上げたばかりである。余り知らなかったが,激しい原子力発電所建設への戦いが始まっていたのだ。9月24日に,トルコ政府のエネルギー天然資源省で,トルコ最初の原子力発電所の入札が行われたはずだ。どの段階の入札か,よく分からないが,おそらく可能性調査の段階だと思う。日立と組んだGEと,東芝と組んだWEが,前評判では激戦と聞いている。その後どうなったのか,東芝は時間がなく降りる,とも書かれていた。
ただ,エルバラダイIAEA長官(注3)も言っているが,時間的にそう簡単には原子力発電までには到達しない。あのインドや中国でさへも,2030年時点で数%に原子力発電が達するかどうか,と言われているから,実質的に原子力発電が30%を占めるなど有効な供給力となるには何年かかるのだろうか。関西電力も大阪万博に原子力発電の灯を送ってから,30%の今まで,40年かかっているのか。
(注) (1) Organisation for Economic Cooperation and Development (OECD),(2) Nuclear Energy Agency (NEA),(3) The International Atomic Energy Agency (IAEA), Director General Mohamed ElBaradei,(4) "safe, proliferation-resistant and cost-effective,",(13) Energy and Natural Resources Ministry
本文
●IAEA,世界で50カ国以上が原子力発電を計画
将来のエネルギーのメジャーは原子力と水力だ,と考えている人は,私の回りでも多い。昨日のテレビも電気自動車の時代到来,と謳い上げていたけれど,その電力は何で発電するのか,と言うことは触れないで走っている。小さな多くのガソリンエンジンを電力会社の大きなエンジンに変えただけだ。でも,原子力を自動車に積むのは難しいが,電気自動車なら原子力で走らせる。バイオ燃料は無意味?飛行機はどうするのか?
OECD(注1)の原子力エネルギー庁NEA(注2)の第50次年次総会がパリで開かれ,国連の原子力監視機関であるエルバラダイIAEA長官(注3)が演説を行った。10年前までは,原子力発電に対する見方は,世界中で冷めていた。しかし今日に至っては,世界中で50以上の国が原子力発電を考えており,特に,新たな国として,トルコとベトナムが熱心である,としている。
エルバラダイIAEA長官(注3)は,依然自分たちが発展途上国への核平和使用の技術移転に関して言っていたことは,原子力発電ではなくて,主として医療や産業分野であった,と語る。しかし,流れは急激に変わり,多くのメンバー国,特に発展途上国が,原子力発電に関心を示し,その数は50を超えている,と言う。
その中でも12カ国以上が原子力計画導入に熱心で,その中にはトルコとベトナムが含まれている。一方で中国は,6基の原子力発電を建設中であり,ロシアは,2020年までに大小併せての原子力発電所建設を計画している。エルバラダイIAEA長官(注3)は続ける,原子力発電の未来に対して,「安全と不拡散と経済性」(注4)に対する大きな努力が必要だ。勿論,各国とも原子力発電開発の権利は有しているが,責任も重要であることを認識すべきだ,と念を押している。
しかし,エルバラダイIAEA長官(注3)は,これらの国々での原子力発電の実現については厳しい見方をしている。特にその開発時間は問題であり.最低でも原子力発電所の基盤整備だけでも10年はかかると考えねばならなく,原子力開発には,ショートカットは許されない,と結んでいる。
私も,つい先日,「週刊 中東のエネルギー最前線」,でトルコの原子力開発を書いたばかりである。また,友人との間で,タイとベトナムとどちらが先に原子力発電所を実現させるか,賭けをしたこともある。特に東南アジアの各国,タイ,ベトナム,インドネシア,フィリッピンなどで今起きている議論,それぞれの国によってアプローチが異なる。いつまでも石炭火力だけに頼るわけにはいかないことは自明である。
(注) (1) Organisation for Economic Cooperation and Development (OECD),(2) Nuclear Energy Agency (NEA),(3) The International Atomic Energy Agency (IAEA), Director General Mohamed ElBaradei,(4) "safe, proliferation-resistant and cost-effective,",(5)
●インド,NHPCのカシミールの水力,州にとっても有利
2008年10月17日の私の記事で,「インド北辺の水力開発へ反旗」(注5)と書いて,「2004年に野党に下ったインド人民党(注6)のリーダーで元財務大臣のカラ氏(注7)が,強い調子の声明を発表した。ジャムカシミール州(注8)の土地,水資源などの天然資源を略奪に近い形で持って行く中央政府の政策に反対している。彼が指摘しているのは,ジャムカシミール州(注8)の7つの水力プロジェクトが,州政府からNHPC(注9)に引き渡されたことを言っている。」,と解説した。
今日のジャムカシミール州(注8)の首都スリナガール(注10)発の記事は,ジャムカシミール州(注8)政府の担当者が,元財務大臣のカラ氏(注7)のレポートに対して反論したものである。曰く,「ジャムカシミール州(注8)政府と,NHPC(注9)及びPTC(注11)との間で結ばれた三つの水力発電所の準備計画は,決してジャムカシミール州(注8)に不利なものでなく,ジャムカシミール州(注8)にとって,他の州よりは利益の多いものだ。」。
「NHPC(注9)がかって他の州と結んだ協定よりは,ジャムカシミール州(注8)にとって有利な条件だ。特にレポートは,7つの水力プロジェクトをNHPC(注9)に寄付をしたように書いているが,決してそうではない。ジャムカシミール州(注8)が10月10日に結んだNHPC(注9),PTC(注11)と結んだ協定では,7つの水力でなく,パカール,ドウル,カワール(注12)の3地点で,2008年4月までに着工,と言う内容だ。」。
何を言っているのか,記事だけではさっぱり分からないが,私は最初,私の言う人類最後の挑戦,インド北辺の水力開発に大きな反旗が翻った,と思って心配していたが,必ずしもそうではなく,どうも政治的な主導権の争いのようだ。それにしても,インド北辺の人々の声が全く伝わらないと言うのも,少しインドらしくない。インドってそういうところでゃなかったはずだが。
(注) (5) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081017B.htm,(6) Peoples Democratic Party (PDP),(7) former Finance Minister Tariq Hameed Karra,(8) Jammu and Kashimir,(9) National Hydro Electric Power Corporation (NHPC),(10) Srinagar,(11) Power Trading Cooperation,(12) Pakal Dul, Kiru and Kawar,
Reference
India
●081021A India, Economic TimesIAEA,
世界で50カ国以上が原子力発電を計画Over 50 countries considering to utilise N-power: IAEA
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Over_50_countries_considering_to_utilise_N-power_IAEA/articleshow/3607079.cms
●081021B India, Economic Times
NHPCのカシミールの水力,州にとっても有利'
MoU for setting up power projects not detrimental for J&K'
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/MoU_for_setting_up_power_projects_not_detrimental_for_JK/articleshow/3611922.cms
昨日は高校時代の友人達と会食,まさに50年ぶり,という親しかった友人もいた。人生き方それぞれであるが,ある友人は畑を借りて年にタマネギ,馬鈴薯を中心に150株ほど収益を上げるという。フランスのパリで長い間,松下の販売の責任者をした男である。タマネギなどは人気がある作物だが,3年に一度しか造ってはいけないとか,土地の栄養の問題だ。
バイオマスもそう簡単ではなかろう,と思いを致した。もう一人は物理で核磁気の研究で,所謂,医学のMRIに関連した技術を担当し,今でも実験なんかを手伝うという。核磁気技術をJICAを通じて発展途上国に移転するプロジェクトで,JICAから,「核」という文字をはずしてくれ,と言われたとか。だから単に,「磁石」みたいになってしまったわけだ,可哀相に。異業種の話に耳を傾けるチャンスは,我々には余りない。でも,JICAやJBICで仕事をしている人たちは,多くの異業種の人の話を聞いて,働いているのだろうな,と思った。
原子力発電は,私にとっても異業種であるが,将来のエネルギーのメジャーは原子力と水力だ,と考えている人は,私の回りでも多い。昨日のテレビも電気自動車の時代到来,と謳い上げていたけれど,その電力は何で発電するのか,と言うことは触れないで走っている。小さな多くのガソリンエンジンを電力会社の大きなエンジンに変えただけだ。でも,原子力を自動車に積むのは難しいが,電気自動車なら原子力で走らせる。バイオ燃料は無意味?飛行機はどうするのか?あれは電気で動かないのですかね。飛行機を電気で動かしたら世の中どうなるのか,考えて下さい。
OECD(注1)の原子力エネルギー庁NEA(注2)の第50次年次総会がパリで開かれ,国連の原子力監視機関であるエルバラダイIAEA長官(注3)が演説を行った。10年前までは,原子力発電に対する見方は,世界中で冷めていた。しかし今日に至っては,世界中で50以上の国が原子力発電を考えており,特に,新たな国として,トルコとベトナムが熱心である,としている。
エルバラダイIAEA長官(注3)が,特にトルコとベトナムの原子力発電を取り上げたことに驚いた。タイとベトナムと原子力発電所推進でどちらが早いか,と友人と議論したことがある。私は,政治体制とベトナム人の特質から,ベトナムが原子力発電所を早く造るだろう,と言う意見である。タイはタイ人らしく極めて慎重で,本格推進までのロードマップばかりいじっている。国民の原子力発電への気持ちを醸成しているのだろう。インドネシアは極めて商業的である。既に企業を動かしながら,模索している。
トルコの原子力発電については,2008年9月26日に,私の「週刊中東のエネルギー最前線」,で取り上げたばかりである。余り知らなかったが,激しい原子力発電所建設への戦いが始まっていたのだ。9月24日に,トルコ政府のエネルギー天然資源省で,トルコ最初の原子力発電所の入札が行われたはずだ。どの段階の入札か,よく分からないが,おそらく可能性調査の段階だと思う。日立と組んだGEと,東芝と組んだWEが,前評判では激戦と聞いている。その後どうなったのか,東芝は時間がなく降りる,とも書かれていた。
ただ,エルバラダイIAEA長官(注3)も言っているが,時間的にそう簡単には原子力発電までには到達しない。あのインドや中国でさへも,2030年時点で数%に原子力発電が達するかどうか,と言われているから,実質的に原子力発電が30%を占めるなど有効な供給力となるには何年かかるのだろうか。関西電力も大阪万博に原子力発電の灯を送ってから,30%の今まで,40年かかっているのか。
(注) (1) Organisation for Economic Cooperation and Development (OECD),(2) Nuclear Energy Agency (NEA),(3) The International Atomic Energy Agency (IAEA), Director General Mohamed ElBaradei,(4) "safe, proliferation-resistant and cost-effective,",(13) Energy and Natural Resources Ministry
本文
●IAEA,世界で50カ国以上が原子力発電を計画
将来のエネルギーのメジャーは原子力と水力だ,と考えている人は,私の回りでも多い。昨日のテレビも電気自動車の時代到来,と謳い上げていたけれど,その電力は何で発電するのか,と言うことは触れないで走っている。小さな多くのガソリンエンジンを電力会社の大きなエンジンに変えただけだ。でも,原子力を自動車に積むのは難しいが,電気自動車なら原子力で走らせる。バイオ燃料は無意味?飛行機はどうするのか?
OECD(注1)の原子力エネルギー庁NEA(注2)の第50次年次総会がパリで開かれ,国連の原子力監視機関であるエルバラダイIAEA長官(注3)が演説を行った。10年前までは,原子力発電に対する見方は,世界中で冷めていた。しかし今日に至っては,世界中で50以上の国が原子力発電を考えており,特に,新たな国として,トルコとベトナムが熱心である,としている。
エルバラダイIAEA長官(注3)は,依然自分たちが発展途上国への核平和使用の技術移転に関して言っていたことは,原子力発電ではなくて,主として医療や産業分野であった,と語る。しかし,流れは急激に変わり,多くのメンバー国,特に発展途上国が,原子力発電に関心を示し,その数は50を超えている,と言う。
その中でも12カ国以上が原子力計画導入に熱心で,その中にはトルコとベトナムが含まれている。一方で中国は,6基の原子力発電を建設中であり,ロシアは,2020年までに大小併せての原子力発電所建設を計画している。エルバラダイIAEA長官(注3)は続ける,原子力発電の未来に対して,「安全と不拡散と経済性」(注4)に対する大きな努力が必要だ。勿論,各国とも原子力発電開発の権利は有しているが,責任も重要であることを認識すべきだ,と念を押している。
しかし,エルバラダイIAEA長官(注3)は,これらの国々での原子力発電の実現については厳しい見方をしている。特にその開発時間は問題であり.最低でも原子力発電所の基盤整備だけでも10年はかかると考えねばならなく,原子力開発には,ショートカットは許されない,と結んでいる。
私も,つい先日,「週刊 中東のエネルギー最前線」,でトルコの原子力開発を書いたばかりである。また,友人との間で,タイとベトナムとどちらが先に原子力発電所を実現させるか,賭けをしたこともある。特に東南アジアの各国,タイ,ベトナム,インドネシア,フィリッピンなどで今起きている議論,それぞれの国によってアプローチが異なる。いつまでも石炭火力だけに頼るわけにはいかないことは自明である。
(注) (1) Organisation for Economic Cooperation and Development (OECD),(2) Nuclear Energy Agency (NEA),(3) The International Atomic Energy Agency (IAEA), Director General Mohamed ElBaradei,(4) "safe, proliferation-resistant and cost-effective,",(5)
●インド,NHPCのカシミールの水力,州にとっても有利
2008年10月17日の私の記事で,「インド北辺の水力開発へ反旗」(注5)と書いて,「2004年に野党に下ったインド人民党(注6)のリーダーで元財務大臣のカラ氏(注7)が,強い調子の声明を発表した。ジャムカシミール州(注8)の土地,水資源などの天然資源を略奪に近い形で持って行く中央政府の政策に反対している。彼が指摘しているのは,ジャムカシミール州(注8)の7つの水力プロジェクトが,州政府からNHPC(注9)に引き渡されたことを言っている。」,と解説した。
今日のジャムカシミール州(注8)の首都スリナガール(注10)発の記事は,ジャムカシミール州(注8)政府の担当者が,元財務大臣のカラ氏(注7)のレポートに対して反論したものである。曰く,「ジャムカシミール州(注8)政府と,NHPC(注9)及びPTC(注11)との間で結ばれた三つの水力発電所の準備計画は,決してジャムカシミール州(注8)に不利なものでなく,ジャムカシミール州(注8)にとって,他の州よりは利益の多いものだ。」。
「NHPC(注9)がかって他の州と結んだ協定よりは,ジャムカシミール州(注8)にとって有利な条件だ。特にレポートは,7つの水力プロジェクトをNHPC(注9)に寄付をしたように書いているが,決してそうではない。ジャムカシミール州(注8)が10月10日に結んだNHPC(注9),PTC(注11)と結んだ協定では,7つの水力でなく,パカール,ドウル,カワール(注12)の3地点で,2008年4月までに着工,と言う内容だ。」。
何を言っているのか,記事だけではさっぱり分からないが,私は最初,私の言う人類最後の挑戦,インド北辺の水力開発に大きな反旗が翻った,と思って心配していたが,必ずしもそうではなく,どうも政治的な主導権の争いのようだ。それにしても,インド北辺の人々の声が全く伝わらないと言うのも,少しインドらしくない。インドってそういうところでゃなかったはずだが。
(注) (5) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081017B.htm,(6) Peoples Democratic Party (PDP),(7) former Finance Minister Tariq Hameed Karra,(8) Jammu and Kashimir,(9) National Hydro Electric Power Corporation (NHPC),(10) Srinagar,(11) Power Trading Cooperation,(12) Pakal Dul, Kiru and Kawar,
Reference
India
●081021A India, Economic TimesIAEA,
世界で50カ国以上が原子力発電を計画Over 50 countries considering to utilise N-power: IAEA
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Over_50_countries_considering_to_utilise_N-power_IAEA/articleshow/3607079.cms
●081021B India, Economic Times
NHPCのカシミールの水力,州にとっても有利'
MoU for setting up power projects not detrimental for J&K'
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/MoU_for_setting_up_power_projects_not_detrimental_for_JK/articleshow/3611922.cms
2008年10月21日火曜日
世界金融情勢の変化の影響
HPは下記ドメインです。アフリカ,中東,南米,再生可能エネルギーの最前線もあり。http://my.reset.jp/~adachihayao/index.htm
「世界金融情勢の変化の影響」,今日は,ネパールの水力が暴漢に襲われて先行き不安があることや,北京の支援を取り付けたパキスタンのバシャダムが,いよいよ本当に来年着工の見込みであること,の二つのニュースがあるが,余り取り上げるべき問題はない。今日は何十年ぶりかに,高校時代に受験勉強を争った,と言うよりは協力して勉強した旧友達と会うことになっている,楽しみにしているので,早く仕上げて行く。
中国政府が,GDP成長率の減速,11期ぶりに2008年7~9月の年率9%成長を発表した。11期ぶりの一桁成長と報道されている。「アジアの三国志」,の中に中国のGDP統計の信頼性について論じられている。一時は,省別の成長率が殆どすべて国の平均を上回っていたとか,いろいろ噂が振りまかれたが,「三国志」は,中国のGDP総額は,大体正しい,と判断している。
ただ,大きな流れは正しいが,個々の年の数字には,人心把握のための操作が行われているとの観測を書いている。中国政府の幹部にとっては,まるでジェットコースターに乗っているようで,期の中間や年によっては,相当の変動があるのではないか,それに一喜一憂する幹部の姿が目に浮かぶ,それを,例えば,2年平均曲線とか,その程度の操作は行われているだろう,と言うのである。
さて原油価格であるが,OPECが,減産のための会議を開く,と言うので2ドルほど上げている。今年7月のバレル147ドルでは,電力の燃料費に換算するとKWh当たり21.5セントになり,LNGの百万Btu当たり20ドル,電力換算で17セントを大きく上回っていた。現在原油をバレル70ドルとすると10.2セントになる。これからLNGがどう動くのか。しかし,専門家によると,LNGにはそういうマーケットがなく,比較的長期の契約なので,乱高下はしないという。
今朝のテレビでは,ブッシュ大統領達が提案した11月4日の主要国会議の前に,ASEMで,日中韓とASEANの金融会議が持たれて,その結果を11月の首脳会議に反映すべく,アジアが一致して対応策を協議することで合意した,と報じていた。麻生首相は,選挙など関係ないですよ,キチンと11月の国際会議には出ますよ,と言っている。麻生さんは選挙を抱え,ブッシュ大統領は,決定した新大統領を横目で見ながら,世界の金融を論ずる分けか。
本文
●ネパール政府安全保証,しかし最大の水力,攻撃を受ける
ネパールの水力開発は,毛派のゲリラ先方にあって,地方では殆ど開発不可能であった。それが,毛派の政権参加,しかも毛派首領プラチャンダの首相就任によって様相は一変,ネパールは全土に亘って水力開発を展開することになり,インドの企業を中心に,ネパールの押しかけた。ネパールの水力がインドの石炭火力開発を抑制すると言う,人類にとっての挑戦が始まったばかりである。
ところが今日のニュースでは,ネパール最大で,インド企業が15%の持ち分を有する水力プロジェクトが,政府が安全を保証したにもかかわらず,新しい攻撃を受けた,と言うショッキングなニュースである。750MWウエストセティ水力(注1)については,ガウタム内務相(注2)が直接安全を確認したばかりにもかかわらず,プロジェクトの二つの事務所(注3)が破壊され,一つの事務所(注4)が略奪にあった。
この開発会社は,インド,中国,ADB(注5)などから支援を受けている国際プロジェクトで,再三に渡り,首相を初め,ガウタム内務相(注2),バタライ財務相(注6)に,安全措置を依頼していた。しかし,何の安全措置も執られなかった状態で攻撃を受けた。このプロジェクトの主たる企業は,オーストラリアのスメック(注7)とインドのL&FS(注8)で,インドの電力取引公社PTC(注9)が引き取り手になっている。
このプロジェクトは,1997年に当時のネパール政府と署名を行っているが,長い間,ネパールの政治情勢と地域住民の反対で,着工できなかった。今回,2ヶ月前に,うわべだけの安定が訪れ,新政府がゴーサインを出し,建設が始まったものである。このプロジェクトはインドにとってはテストケースで,これから他のプロジェクトを始めるインド企業,GMR(注10)やSJVN(注11)は,その成り行きを注視していた。
今回の事件に関しては,襲撃のグループが誰なのか,明確に書かれていない。反対運動を国際グループと共に続けてきた地元住民のグループの一部の過激な人々なのか,或いは,毛派で,今回の政変に納得していない残党なのか,それによって今後の対応も変わって来るであろう。昨年7月の私のメモを見ると,工事費総額は送電線も含め12億ドル,買電単価はKWh当たり4.95セント,水没移住は1500人,着工は2008年11月,完成は2013年,とされている。
(注) (1) 750MW West Seti project,,(2) Nepal's Home Minister Bam Dev Gautam,(3) Baitadi and Dadeldhura districts,(4) Doti district,(5) the Asian Development Bank,(6) Finance Minister Baburam Bhattarai,(7) Australian SMEC Developments,(8) India's Infrastructure Leasing and Financial Services holding,(9) Power Trading Corporation of India,(10) GMR Group,(11) Satluj Jal Vidyut Nigam
●パキスタン,バシャダムの建設工事,来年スタート
何度も着工が伝えられながら,パキスタン政府の意志にもかかわらず着工に至っていなかった。2008年,今年の4月に,ドイツのラメイヤーの詳細設計が完成した記事がある。このインダス川の上流に建設される大規模なダム計画,バシャダイムラープロジェクト(注14)は,ダムの高さ281m,水没人口25,000人,資金調達を待たずに当時の大統領は着工を命令している。北京を訪れたザルダニ大統領が,中国の支援を取り付けてきたばかりである。
ドラニWAPDA総裁(注12)が主宰する第20次灌漑排水国際会議ICID(注13)の席上で,このバシャダイムラープロジェクト(注14)が,来年にも着工することになったことを報告した。
パキスタン,大規模ダムプロジェクト位置
http://my.reset.jp/~adachihayao/08040401.jpg
バシャダム,貯水池の概要
http://my.reset.jp/~adachihayao/08040402.jpg
バシャダム,ダム構造平面,高さ281m
http://my.reset.jp/~adachihayao/08040403.jpg
(注)(12) WAPDA Chairman Shakil Durrani,(13) the 20th International Congress on Irrigation and Drainage (ICID),(14) Diamer-Basha dam
Reference
Pakistan
●081020A Pakistan, The International News
バシャダムの建設工事,来年スタート
Work on Bhasha Dam begins next year
http://www.thenews.com.pk/daily_detail.asp?id=141901
Nepal
●081020B Nepal, thepeninsulaqatar
ネパール政府安全保証,しかし最大の水力,攻撃を受ける
Nepal痴 biggest hydropower project under attack again
http://www.thepeninsulaqatar.com/Display_news.asp?section=World_News&subsection=Philippines+%26+South+Asia&month=October2008&file=World_News2008102002521.xml
「世界金融情勢の変化の影響」,今日は,ネパールの水力が暴漢に襲われて先行き不安があることや,北京の支援を取り付けたパキスタンのバシャダムが,いよいよ本当に来年着工の見込みであること,の二つのニュースがあるが,余り取り上げるべき問題はない。今日は何十年ぶりかに,高校時代に受験勉強を争った,と言うよりは協力して勉強した旧友達と会うことになっている,楽しみにしているので,早く仕上げて行く。
中国政府が,GDP成長率の減速,11期ぶりに2008年7~9月の年率9%成長を発表した。11期ぶりの一桁成長と報道されている。「アジアの三国志」,の中に中国のGDP統計の信頼性について論じられている。一時は,省別の成長率が殆どすべて国の平均を上回っていたとか,いろいろ噂が振りまかれたが,「三国志」は,中国のGDP総額は,大体正しい,と判断している。
ただ,大きな流れは正しいが,個々の年の数字には,人心把握のための操作が行われているとの観測を書いている。中国政府の幹部にとっては,まるでジェットコースターに乗っているようで,期の中間や年によっては,相当の変動があるのではないか,それに一喜一憂する幹部の姿が目に浮かぶ,それを,例えば,2年平均曲線とか,その程度の操作は行われているだろう,と言うのである。
さて原油価格であるが,OPECが,減産のための会議を開く,と言うので2ドルほど上げている。今年7月のバレル147ドルでは,電力の燃料費に換算するとKWh当たり21.5セントになり,LNGの百万Btu当たり20ドル,電力換算で17セントを大きく上回っていた。現在原油をバレル70ドルとすると10.2セントになる。これからLNGがどう動くのか。しかし,専門家によると,LNGにはそういうマーケットがなく,比較的長期の契約なので,乱高下はしないという。
今朝のテレビでは,ブッシュ大統領達が提案した11月4日の主要国会議の前に,ASEMで,日中韓とASEANの金融会議が持たれて,その結果を11月の首脳会議に反映すべく,アジアが一致して対応策を協議することで合意した,と報じていた。麻生首相は,選挙など関係ないですよ,キチンと11月の国際会議には出ますよ,と言っている。麻生さんは選挙を抱え,ブッシュ大統領は,決定した新大統領を横目で見ながら,世界の金融を論ずる分けか。
本文
●ネパール政府安全保証,しかし最大の水力,攻撃を受ける
ネパールの水力開発は,毛派のゲリラ先方にあって,地方では殆ど開発不可能であった。それが,毛派の政権参加,しかも毛派首領プラチャンダの首相就任によって様相は一変,ネパールは全土に亘って水力開発を展開することになり,インドの企業を中心に,ネパールの押しかけた。ネパールの水力がインドの石炭火力開発を抑制すると言う,人類にとっての挑戦が始まったばかりである。
ところが今日のニュースでは,ネパール最大で,インド企業が15%の持ち分を有する水力プロジェクトが,政府が安全を保証したにもかかわらず,新しい攻撃を受けた,と言うショッキングなニュースである。750MWウエストセティ水力(注1)については,ガウタム内務相(注2)が直接安全を確認したばかりにもかかわらず,プロジェクトの二つの事務所(注3)が破壊され,一つの事務所(注4)が略奪にあった。
この開発会社は,インド,中国,ADB(注5)などから支援を受けている国際プロジェクトで,再三に渡り,首相を初め,ガウタム内務相(注2),バタライ財務相(注6)に,安全措置を依頼していた。しかし,何の安全措置も執られなかった状態で攻撃を受けた。このプロジェクトの主たる企業は,オーストラリアのスメック(注7)とインドのL&FS(注8)で,インドの電力取引公社PTC(注9)が引き取り手になっている。
このプロジェクトは,1997年に当時のネパール政府と署名を行っているが,長い間,ネパールの政治情勢と地域住民の反対で,着工できなかった。今回,2ヶ月前に,うわべだけの安定が訪れ,新政府がゴーサインを出し,建設が始まったものである。このプロジェクトはインドにとってはテストケースで,これから他のプロジェクトを始めるインド企業,GMR(注10)やSJVN(注11)は,その成り行きを注視していた。
今回の事件に関しては,襲撃のグループが誰なのか,明確に書かれていない。反対運動を国際グループと共に続けてきた地元住民のグループの一部の過激な人々なのか,或いは,毛派で,今回の政変に納得していない残党なのか,それによって今後の対応も変わって来るであろう。昨年7月の私のメモを見ると,工事費総額は送電線も含め12億ドル,買電単価はKWh当たり4.95セント,水没移住は1500人,着工は2008年11月,完成は2013年,とされている。
(注) (1) 750MW West Seti project,,(2) Nepal's Home Minister Bam Dev Gautam,(3) Baitadi and Dadeldhura districts,(4) Doti district,(5) the Asian Development Bank,(6) Finance Minister Baburam Bhattarai,(7) Australian SMEC Developments,(8) India's Infrastructure Leasing and Financial Services holding,(9) Power Trading Corporation of India,(10) GMR Group,(11) Satluj Jal Vidyut Nigam
●パキスタン,バシャダムの建設工事,来年スタート
何度も着工が伝えられながら,パキスタン政府の意志にもかかわらず着工に至っていなかった。2008年,今年の4月に,ドイツのラメイヤーの詳細設計が完成した記事がある。このインダス川の上流に建設される大規模なダム計画,バシャダイムラープロジェクト(注14)は,ダムの高さ281m,水没人口25,000人,資金調達を待たずに当時の大統領は着工を命令している。北京を訪れたザルダニ大統領が,中国の支援を取り付けてきたばかりである。
ドラニWAPDA総裁(注12)が主宰する第20次灌漑排水国際会議ICID(注13)の席上で,このバシャダイムラープロジェクト(注14)が,来年にも着工することになったことを報告した。
パキスタン,大規模ダムプロジェクト位置
http://my.reset.jp/~adachihayao/08040401.jpg
バシャダム,貯水池の概要
http://my.reset.jp/~adachihayao/08040402.jpg
バシャダム,ダム構造平面,高さ281m
http://my.reset.jp/~adachihayao/08040403.jpg
(注)(12) WAPDA Chairman Shakil Durrani,(13) the 20th International Congress on Irrigation and Drainage (ICID),(14) Diamer-Basha dam
Reference
Pakistan
●081020A Pakistan, The International News
バシャダムの建設工事,来年スタート
Work on Bhasha Dam begins next year
http://www.thenews.com.pk/daily_detail.asp?id=141901
Nepal
●081020B Nepal, thepeninsulaqatar
ネパール政府安全保証,しかし最大の水力,攻撃を受ける
Nepal痴 biggest hydropower project under attack again
http://www.thepeninsulaqatar.com/Display_news.asp?section=World_News&subsection=Philippines+%26+South+Asia&month=October2008&file=World_News2008102002521.xml
2008年10月20日月曜日
インドとパキスタン対立の悪夢
HPは下記ドメインです。アフリカ,中東,南米,再生可能エネルギーの最前線もあり。http://my.reset.jp/~adachihayao/index.htm
「インドとパキスタン対立の悪夢」,今日はとんでもない時間がかかってしまった。これでは長続きしないなあ,と思いながら,唸っている。しかし,時間がかかればかかるほど良いものが出来るのは確かである。読む皆さんは,私が苦しめば苦しむほど,有益なものが読めるので羨ましいい。それと,1000人も読者が増えると,嘘の数字を出せない,と言うことがあり,調べるのに時間がかかってしまう。
さて,今日は,新任のパキスタン,ザルダリ大統領(注1)の仕掛けから始まって,今まで比較的平穏に進んできたパキスタンとインドの関係が,急に殺気立ってきている。どうも,ザルダリ大統領(注1)が,国内政治の安定のために図って,インドの攻撃に移ったような感じがする。だって,直前まではシェナブ川(注3)の開発でもうまくいっていたし,イランからのガスパイプラインも,何とか動いていたのだ。
一連の動きを見てみると,まず今月初旬,ニューヨークで国連総会が開かれ,ザルダリ大統領(注1)とインドのシン首相(注2)との会談が持たれた。10月10日には,米印原子力協定のため,米国のライス長官がインド訪問で協定にサイン,その後,インドのシン首相(注2)はシェナブ川(注3)のバギリハールダム(注4)の竣工式で,パキスタンへ呼びかける名演説を行った。
これにこたえるザルダリ大統領(注1)の発言は,手の裏を返したように激しく,インドが1960年のインダス水条約(注6)に違犯して,シェナブ川(注3)の水を自由にしようとしている,と非難し,更に,パキスタンの情報部が,インドが上流に12のダム計画を持っている,とすっぱ抜いた。ザルダリ大統領(注1)はその足で北京に向かった。
大統領は中国との原子力協定に向かって湖錦濤主席にアクセスしたが,どうも湖錦濤の思慮深さから,よい答えが得られなかったようだ。その代わり,中国経済界のトップ達と会談をアレンジされ,50億ドルに上る投資を並べられた。その中には,バシャやコハラなどの大貯水池計画も含まれている。北京に行かなかったパキスタンのクレシ外務大臣(注15)は,原子力新規2基の建設への協力を取り付けた,と発表した。
更にクレシ外務大臣(注15)は今日,イラン-パキスタン-インドガスパイプライン計画IPI(注16)は,ニューデリーの反応が遅れていることを考えれば,イラン-パキスタン-中国ガスパイプライン計画(注17)に形を変える可能性がある,と述べた。インドの参加は歓迎するが,パキスタンのエネルギー急迫で待っておれない。この会見は,ザルダリ大統領(注1)の中国からの帰国直後の会見である。
インド人自らの発言の中に面白いものがある,今日の記事。第一は,インド人は合意書に署名するのが趣味だが,それを守らないことがしばしばである。第二は,国境にフェンスを作りたがる,パキスタンとバングラデシュには既にフェンスがある,ネパールにも造ろうとしている,中国とのフェンス,それは誰も分からない,ブータンとの間は堀である。第三に,隣人をいじめる,隣人に聞いて見るがよい,第四に,愛は美辞麗句で,インド人を凌ぐのはアラブ人だけである。
いずれにしても,世界中が,インドとパキスタンの本当の和解を望んでいるが,これはどうしようもない。水と国境と今度は原子力開発,これらはいつでも両国の内部の政治状態如何によって持ち出されるだろう。水の問題は根深いとはいえ,河川開発の王道を行くならば解決できない問題ではない。しかし,政治の混乱をこのような形で持ち出されれば,開発も大変な困難に遭遇する。
インダス川水系シェナブ川(注3)流域図http://my.reset.jp/~adachihayao/08101901Chenab.jpg.htm
(注) (1) Pakistan’s President Zardari,(2) Prime Minister Manmohan Singh,(3) Chenab,(4) Baglihar dam,(5) a thinly-veiled warning,(6) the 1960 Indus Waters Treaty,(7) Kashmir,(8) Siachen (http://www.globalsecurity.org/military/world/war/images/siachen-map.gif),(9) J&K,(10) the Wullar barrage/Tulbul project,(11) Pakistan scholar Robert Wirsing,(12) Chenab, Jehrum,Sutlej,(13) ‘non-consumptive’ use,(15) Foreign Minister Shah Mahmood Qureshi,(16) Iran-Pakistan-India (IPI) gas pipeline project,(17) Iran-Pakistan-China project,(18) Iranian Foreign Minister Manouchehr Mottak,
本文
●パキスタンがダムに反対,再び昔の悪夢が蘇る
先日から動きが続くインドとパキスタンの水問題,10月初めにニューヨークで行われた国連総会に出席したパキスタンのザルダリ大統領(注1)はインドのシン首相(注2)を捉えて会談を行い,インダス川水系シェナブ川(注3)のインドのダム建設について,パキスタンの主張を伝えた。帰国したシン首相(注2)は,シェナブ川(注3)のバギリハールダム(注4)の竣工式に臨み,パキスタンとの和解のための名演説を行った。ザルダリ大統領(注1)は帰国後もインドの水の横暴を非難しながら,北京に飛んで中国の原子力協力を話し合った。
このような一連の両国の動きの中で,今日はこの悪夢のような両国の言い争いが,世界のメディアの声となってきた。これはインド側の声。シェナブ川(注3)の水力開発について,昔の水争いの悪夢がパキスタン側に起こっている。ニューヨークから帰ったザルダリ大統領(注1)は,すぐさま,インドは水条約を軽視してシェナブ川(注3)の水を思うように支配しようとしている,と軽蔑心が見え隠れする(注5)警戒心を露わにした。
シェナブ川(注3)のバギリハールダム(注4)に付いては,1960年のインダス水条約(注6)に沿ってパキスタンの要求通り,世界銀行が仲裁に当たり,設計の調整が行われたはずである。パキスタン側の意図は単なるバギリハールダム(注4)ではなくて,カシミール(注7)とシアチェン氷河地域’(注8)まで含んでの話で,その昔問題となったジャムカシミール(注9)のウラー/トルブル堰(注10)の難しい問題に帰ってきている。
パキスタンの学者ウィルシン(注11)によれば,両者とも1960年のインダス水条約(注6)には不満を持っている。パキスタン側の不満は三つ。一つは,水はとれるだけしかとれないという不満,二つは,国境河川三川(筆者注12)の分流は下流パキスタンへの環境上の苦痛を与えていること,,三つは,これは最悪であるが,インドの言う水の無消費の原則(注13)にパキスタンがどうしようもない苛立ちを与えていることである。
しかし,インドにとってははっきりしている。水力発電所は水を消費しないと言うことと,世界銀行が国境河川三川(筆者注12)に付いて,流れ込み方式の水力発電所建設は問題なし,としていることである。ヒマラヤの流砂の問題であるが,ダム技術が1960年代とは格段に違っている。自由越流部の調整や取水口の位置で調整可能である。議論はまだまだ続くだろう。
私は一般的に,国際河川では,技術サイドを巻き込んだ議論が不足して,政治的解決に走る過ぎる傾向があるように感じている。例えばメコン河では,上流の中国のダムは話し合えば上下流国でもっと便益のある方法があるし,チグリスユーフラテスは,国境の流量の決め方に問題がある,またこのインダスでは,インドのダムを下流に便益が出る方法で話し合うことが可能だ。
インダス川水系シェナブ川(注3)流域図http://my.reset.jp/~adachihayao/08101901Chenab.jpg.htm
(注) (1) Pakistan’s President Zardari,(2) Prime Minister Manmohan Singh,(3) Chenab,(4) Baglihar dam,(5) a thinly-veiled warning,(6) the 1960 Indus Waters Treaty,(7) Kashmir,(8) Siachen (http://www.globalsecurity.org/military/world/war/images/siachen-map.gif),(9) J&K,(10) the Wullar barrage/Tulbul project,(11) Pakistan scholar Robert Wirsing,(12) Chenab, Jehrum,Sutlej,(13) ‘non-consumptive’ use,
●インド人は友達を愛する,しかし,隣人にはそうはしない
これはインド人が書いた記事で,アメリカクロニコル(注14)に載せられたものである。インドと周辺国との交渉の歴史から紐解いて,インド人の特性を論じ,周辺国とどうしてうまくいかないか,それを説こうとしているが,長文で難文で,私は全部細かく理解する時間が今はない。最後に彼が4項目に亘って,インド人の外国へのポリシーを述べている。これも難解だが,ここに記しておく。
第一は,インド人は合意書に署名するのが趣味だが,それを守らないことがしばしばである。第二は,国境にフェンスを作りたがる,パキスタンとバングラデシュには既にフェンスがある,ネパールにも造ろうとしている,中国とのフェンス,それは誰も分からない,ブータンとの間は堀である。第三に,隣人をいじめる,隣人に聞いて見るがよい,第四に,愛は美辞麗句で,インド人を凌ぐのはアラブ人だけである。
(注) (14) americanchronicle,
●インド,イランからのガスパイプライン,中国へ方向転換
これもインドとパキスタンの現実の動きと連動しているのであろうか。一向に進まないイランからのガスパイプラインについて,パキスタンがもう待てない,と言い始めた。この記事はインドのエコノミックタイムス(注15)に出た記事であるが,書かれたのはイスラマバード発である。それはタイミング的には,パキスタンのザルダリ大統領(注1)が,中国の湖錦濤や経済界トップと会談して帰国直後である。
パキスタンのクレシ外務大臣(注15)によると,イラン-パキスタン-インドガスパイプライン計画IPI(注16)は,ニューデリーの反応が遅れていることを考えれば,イラン-パキスタン-中国ガスパイプライン計画(注17)に形を変える可能性がある,と述べた。インドの参加は歓迎するが,パキスタンのエネルギー急迫で待っておれない。この会見は,ザルダリ大統領(注1)の中国からの帰国直後の会見である。
クレシ外務大臣(注15)によると,よしんば中国まで敷設できないとしても,中国は投資する可能性がある。中国は,パキスタンの国境付近の需要のためにガスパイプラインが必要の可能性がある,と。パキスタンは,インドとの話がなかなか進まないのを見て,この74億ドルのプロジェクトへの中国の参加を熱心に誘ったようであるが,中国は確答を与えていないようである。
ニューヨークで行われたパキスタンとイランの会談では,このパイプライン計画を,インドが乗り気でないならば,質を変えて,パキスタンとイランの二国間プロジェクトとすることで合意が出来ている。クレシ外務大臣(注15),このプロジェクトを早期に進めるために,テヘランを訪問する用意がある,と言っている。この話し合いは,イランのモタキ外相(注18)が,10月10日にイスラマバードを訪ねたとき,話し合われた。
私は,これはインドが,米国との原子力協力協定を優先させた結果だと思う。先日も出ていたが,米国は,中央アジからアフガニスタンを通過してインドに至るガスパイプラインを調整してもよい,と言ったことがある。これは勿論,インドのみならずパキスタンへの発した言葉だが,パキスタンは今や新大統領の下,中国を向いているから,この中央アジアからのエネルギーラインも難しくなってきている。さて,インドのガスはどうなるか。
(注) (1) Pakistan’s President Zardari,(15) Foreign Minister Shah Mahmood Qureshi,(16) Iran-Pakistan-India (IPI) gas pipeline project,(17) Iran-Pakistan-China project,(18) Iranian Foreign Minister Manouchehr Mottak,(19)
●ラオスとベトナム,水力開発のための送電連携へ
タイがラオスの電力をなかなか買ってくれなかった頃,1990年代初めか,ラオス政府は,相手はベトナムだってあるのだよ,と言いながら,我々にベトナムに向かって送電線の線を図上に書くよう要請していた。多くの人々が,ベトナムが輸入するわけがない,ベトナムだって有り余るほどの水力のポテンシャルを持っているのだから,と言っていた。でも,1,000MW規模でベトナムが輸入する時代になってきた。
ADB(注19)が積極的に支援する模様である。両国の国境をまたぐ送電線のために,240百万ドルを準備する方向で,まず調査など100万ドルを日本基金の中から無償で支出する。ラオスは,包蔵18,000MWのうち663MWしか開発していない。一方ベトナムは,年率7.5%の経済成長を続け,2010年までは年率16%で電力需要が伸びてくる。
今回の送電線プロジェクトは,延長165km(筆者注,おそらく50万ボルト送電線か)で,ラオス南部のバンソク開閉所(注21)からベトナム中央高原のプレイク(注22)開閉所を結ぶ。これは計画されている11プロジェクト,合計出力約1,000MWを連携するものだ。両国は,2020年までに5,000MWを連携することを合意している。
担当のADBハンバート氏(注20)は,この買電による利益は,タイへの送電と共に,ラオスの貧困削減に貢献する,としている。これに対して環境グループは,住民移住と魚類への影響で反対しており,先日もIRN(注23)が,ラオスの水力開発への批判の報告書を刊行したばかりである。
私は,基本的な送電網について,全体構想を明確にして計画を進めるよう提言する。いろいろな案があり,おそらく現在は,ASEANの基本構想がベースとなっていると思われるが,電源もかなりはっきりしてきたから,この辺りで,メコン下流周辺の送電網マスタープランを,一度チェックしてみてはどうだろうか。
(注) (19) The Asia Dvelopment Bank,(20) Xavier Humbert, the senior energy specialist of the ADB's Southeast Asia Department,(21) the Ban Sok substation in southeastern Laos,(22) Pleiku in Vietnam's Central Highlands,(23) The US-based group International Rivers,(24)
●フィリッピン,世界的な投資家バフェット氏のエネルギー参入を望む
フィリッピンは最近,再生可能エネルギー法を国会で通過させたばかりである。主として,再生可能エネルギー開発を優遇して,国内資源の開発を促進し,エネルギーの海外依存を減らそうと言うわけである。少し視点が違うような気がするが,それでも東南アジアに先駆けて,或いはアジア諸国に先駆けて,法案を成立させた思いもあり,外国心の投資を心待ちにしている。
ウォーレン・バフェット氏(注24),米国の有名な投資家で大富豪,投資会社バークシャー・ハサウェイ(注27)の会長であるが,この人の投資を働きかけ,待ち受けているのは,フィリッピンのエネルギー官僚である。エネルギー省(注25)が,最初の投資を呼びかけたのは,米国企業コンステレーション(注26)である。バークシャー・ハサウェイ(注27)はこのコンステレーション(注26)を47億ドルで買収しようとしているが,米国政府の認可がでていない。
情報によると,コンステレーション(注26)は最近代表をフィリッピンに派遣し,再生可能エネルギー投資の可能性を探ったようだ。これは,最近機会を通過し,アロヨ大統領(注28)の署名待ちの再生可能エネルギー法案(注29)に刺激されたのだろう。エネルギー省のマラシガン局長(注30)は,この来比を確認し,風力と水力に関心を持っているようだ,と言っている。
フィリッピンへの投資には関門もある。バフェット氏(注24)は,アジアに関心がある,とは言っても,もっと大きい,日本,中国,インドなどであろうと見られている。彼がフィリッピンで唯一注目しているのが,マニラ北方150kmにある,150MW,カールエナージ(注31)が持つ,2001年運転開始のカセクナン水力発電所(注32)であると言われている。
私は思う,そうでしょう,フィリッピンの意図はあくまで新規の再生可能エネルギー開発であり,国産資源の新たな開発である。でも,彼等のような資本家が向かうのは買収の意図しかない。彼等に,社会資産を増やそうなどと言う気持ちは全くないわけで,自分がお金さへも受ければよい,と言う考え方である。明らかに,投資側とフィリッピン側に,意識のずれがある。
(注) (24) Warren Buffett,(25) the Department of Energy (DoE),(26) US firm Constellation Energy,(27) The billionaire’s Berkshire Hathaway,(28) President Arroyo,(29) the Renewable Energy Bill,(30) DoE director Mario Marasigan,(31) CalEnergy, an affiliate of MidAmerican Energy,(32) the 150-megawatt Casecnan hydropower project,http://www.calenergy.com/html/projects5b.asp,(33)
Reference
Philippines
●081019A Philippines, Manila Bulletin
フィリッピン,世界的な投資家バフェット氏のエネルギー参入を望む
RP woos Buffett’s firm to invest in RE
http://www.mb.com.ph/BSNS20081019138379.html
Loas
●081019B Laos, macaudailytimesnews
ラオスとベトナム,水力開発のための送電連携へ
Laos, Vietnam plan power line for hydro-electricity
http://www.macaudailytimesnews.com/index.php?option=com_content&task=view&id=17727&Itemid=32
India
●081019C India, Economic Times
イランからのガスパイプライン,中国へ方向転換
IPI gas pipeline project can become IPC: Pak
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Oil__Gas/IPI_gas_pipeline_project_can_become_IPC_Pak/rssarticleshow/3612525.cms
●081019D India, Economic Times
インドは友好的,しかし,お隣さんはそうではない
India Love thy friends, not your neighbors
http://www.americanchronicle.com/articles/78134
●081019E India, timesofindia.indiatimes
パキスタンがダムに反対,再び昔の悪夢が蘇る
Discontent over Indus treaty
http://timesofindia.indiatimes.com/India/Discontent_over_Indus_treaty/articleshow/3613777.cms
「インドとパキスタン対立の悪夢」,今日はとんでもない時間がかかってしまった。これでは長続きしないなあ,と思いながら,唸っている。しかし,時間がかかればかかるほど良いものが出来るのは確かである。読む皆さんは,私が苦しめば苦しむほど,有益なものが読めるので羨ましいい。それと,1000人も読者が増えると,嘘の数字を出せない,と言うことがあり,調べるのに時間がかかってしまう。
さて,今日は,新任のパキスタン,ザルダリ大統領(注1)の仕掛けから始まって,今まで比較的平穏に進んできたパキスタンとインドの関係が,急に殺気立ってきている。どうも,ザルダリ大統領(注1)が,国内政治の安定のために図って,インドの攻撃に移ったような感じがする。だって,直前まではシェナブ川(注3)の開発でもうまくいっていたし,イランからのガスパイプラインも,何とか動いていたのだ。
一連の動きを見てみると,まず今月初旬,ニューヨークで国連総会が開かれ,ザルダリ大統領(注1)とインドのシン首相(注2)との会談が持たれた。10月10日には,米印原子力協定のため,米国のライス長官がインド訪問で協定にサイン,その後,インドのシン首相(注2)はシェナブ川(注3)のバギリハールダム(注4)の竣工式で,パキスタンへ呼びかける名演説を行った。
これにこたえるザルダリ大統領(注1)の発言は,手の裏を返したように激しく,インドが1960年のインダス水条約(注6)に違犯して,シェナブ川(注3)の水を自由にしようとしている,と非難し,更に,パキスタンの情報部が,インドが上流に12のダム計画を持っている,とすっぱ抜いた。ザルダリ大統領(注1)はその足で北京に向かった。
大統領は中国との原子力協定に向かって湖錦濤主席にアクセスしたが,どうも湖錦濤の思慮深さから,よい答えが得られなかったようだ。その代わり,中国経済界のトップ達と会談をアレンジされ,50億ドルに上る投資を並べられた。その中には,バシャやコハラなどの大貯水池計画も含まれている。北京に行かなかったパキスタンのクレシ外務大臣(注15)は,原子力新規2基の建設への協力を取り付けた,と発表した。
更にクレシ外務大臣(注15)は今日,イラン-パキスタン-インドガスパイプライン計画IPI(注16)は,ニューデリーの反応が遅れていることを考えれば,イラン-パキスタン-中国ガスパイプライン計画(注17)に形を変える可能性がある,と述べた。インドの参加は歓迎するが,パキスタンのエネルギー急迫で待っておれない。この会見は,ザルダリ大統領(注1)の中国からの帰国直後の会見である。
インド人自らの発言の中に面白いものがある,今日の記事。第一は,インド人は合意書に署名するのが趣味だが,それを守らないことがしばしばである。第二は,国境にフェンスを作りたがる,パキスタンとバングラデシュには既にフェンスがある,ネパールにも造ろうとしている,中国とのフェンス,それは誰も分からない,ブータンとの間は堀である。第三に,隣人をいじめる,隣人に聞いて見るがよい,第四に,愛は美辞麗句で,インド人を凌ぐのはアラブ人だけである。
いずれにしても,世界中が,インドとパキスタンの本当の和解を望んでいるが,これはどうしようもない。水と国境と今度は原子力開発,これらはいつでも両国の内部の政治状態如何によって持ち出されるだろう。水の問題は根深いとはいえ,河川開発の王道を行くならば解決できない問題ではない。しかし,政治の混乱をこのような形で持ち出されれば,開発も大変な困難に遭遇する。
インダス川水系シェナブ川(注3)流域図http://my.reset.jp/~adachihayao/08101901Chenab.jpg.htm
(注) (1) Pakistan’s President Zardari,(2) Prime Minister Manmohan Singh,(3) Chenab,(4) Baglihar dam,(5) a thinly-veiled warning,(6) the 1960 Indus Waters Treaty,(7) Kashmir,(8) Siachen (http://www.globalsecurity.org/military/world/war/images/siachen-map.gif),(9) J&K,(10) the Wullar barrage/Tulbul project,(11) Pakistan scholar Robert Wirsing,(12) Chenab, Jehrum,Sutlej,(13) ‘non-consumptive’ use,(15) Foreign Minister Shah Mahmood Qureshi,(16) Iran-Pakistan-India (IPI) gas pipeline project,(17) Iran-Pakistan-China project,(18) Iranian Foreign Minister Manouchehr Mottak,
本文
●パキスタンがダムに反対,再び昔の悪夢が蘇る
先日から動きが続くインドとパキスタンの水問題,10月初めにニューヨークで行われた国連総会に出席したパキスタンのザルダリ大統領(注1)はインドのシン首相(注2)を捉えて会談を行い,インダス川水系シェナブ川(注3)のインドのダム建設について,パキスタンの主張を伝えた。帰国したシン首相(注2)は,シェナブ川(注3)のバギリハールダム(注4)の竣工式に臨み,パキスタンとの和解のための名演説を行った。ザルダリ大統領(注1)は帰国後もインドの水の横暴を非難しながら,北京に飛んで中国の原子力協力を話し合った。
このような一連の両国の動きの中で,今日はこの悪夢のような両国の言い争いが,世界のメディアの声となってきた。これはインド側の声。シェナブ川(注3)の水力開発について,昔の水争いの悪夢がパキスタン側に起こっている。ニューヨークから帰ったザルダリ大統領(注1)は,すぐさま,インドは水条約を軽視してシェナブ川(注3)の水を思うように支配しようとしている,と軽蔑心が見え隠れする(注5)警戒心を露わにした。
シェナブ川(注3)のバギリハールダム(注4)に付いては,1960年のインダス水条約(注6)に沿ってパキスタンの要求通り,世界銀行が仲裁に当たり,設計の調整が行われたはずである。パキスタン側の意図は単なるバギリハールダム(注4)ではなくて,カシミール(注7)とシアチェン氷河地域’(注8)まで含んでの話で,その昔問題となったジャムカシミール(注9)のウラー/トルブル堰(注10)の難しい問題に帰ってきている。
パキスタンの学者ウィルシン(注11)によれば,両者とも1960年のインダス水条約(注6)には不満を持っている。パキスタン側の不満は三つ。一つは,水はとれるだけしかとれないという不満,二つは,国境河川三川(筆者注12)の分流は下流パキスタンへの環境上の苦痛を与えていること,,三つは,これは最悪であるが,インドの言う水の無消費の原則(注13)にパキスタンがどうしようもない苛立ちを与えていることである。
しかし,インドにとってははっきりしている。水力発電所は水を消費しないと言うことと,世界銀行が国境河川三川(筆者注12)に付いて,流れ込み方式の水力発電所建設は問題なし,としていることである。ヒマラヤの流砂の問題であるが,ダム技術が1960年代とは格段に違っている。自由越流部の調整や取水口の位置で調整可能である。議論はまだまだ続くだろう。
私は一般的に,国際河川では,技術サイドを巻き込んだ議論が不足して,政治的解決に走る過ぎる傾向があるように感じている。例えばメコン河では,上流の中国のダムは話し合えば上下流国でもっと便益のある方法があるし,チグリスユーフラテスは,国境の流量の決め方に問題がある,またこのインダスでは,インドのダムを下流に便益が出る方法で話し合うことが可能だ。
インダス川水系シェナブ川(注3)流域図http://my.reset.jp/~adachihayao/08101901Chenab.jpg.htm
(注) (1) Pakistan’s President Zardari,(2) Prime Minister Manmohan Singh,(3) Chenab,(4) Baglihar dam,(5) a thinly-veiled warning,(6) the 1960 Indus Waters Treaty,(7) Kashmir,(8) Siachen (http://www.globalsecurity.org/military/world/war/images/siachen-map.gif),(9) J&K,(10) the Wullar barrage/Tulbul project,(11) Pakistan scholar Robert Wirsing,(12) Chenab, Jehrum,Sutlej,(13) ‘non-consumptive’ use,
●インド人は友達を愛する,しかし,隣人にはそうはしない
これはインド人が書いた記事で,アメリカクロニコル(注14)に載せられたものである。インドと周辺国との交渉の歴史から紐解いて,インド人の特性を論じ,周辺国とどうしてうまくいかないか,それを説こうとしているが,長文で難文で,私は全部細かく理解する時間が今はない。最後に彼が4項目に亘って,インド人の外国へのポリシーを述べている。これも難解だが,ここに記しておく。
第一は,インド人は合意書に署名するのが趣味だが,それを守らないことがしばしばである。第二は,国境にフェンスを作りたがる,パキスタンとバングラデシュには既にフェンスがある,ネパールにも造ろうとしている,中国とのフェンス,それは誰も分からない,ブータンとの間は堀である。第三に,隣人をいじめる,隣人に聞いて見るがよい,第四に,愛は美辞麗句で,インド人を凌ぐのはアラブ人だけである。
(注) (14) americanchronicle,
●インド,イランからのガスパイプライン,中国へ方向転換
これもインドとパキスタンの現実の動きと連動しているのであろうか。一向に進まないイランからのガスパイプラインについて,パキスタンがもう待てない,と言い始めた。この記事はインドのエコノミックタイムス(注15)に出た記事であるが,書かれたのはイスラマバード発である。それはタイミング的には,パキスタンのザルダリ大統領(注1)が,中国の湖錦濤や経済界トップと会談して帰国直後である。
パキスタンのクレシ外務大臣(注15)によると,イラン-パキスタン-インドガスパイプライン計画IPI(注16)は,ニューデリーの反応が遅れていることを考えれば,イラン-パキスタン-中国ガスパイプライン計画(注17)に形を変える可能性がある,と述べた。インドの参加は歓迎するが,パキスタンのエネルギー急迫で待っておれない。この会見は,ザルダリ大統領(注1)の中国からの帰国直後の会見である。
クレシ外務大臣(注15)によると,よしんば中国まで敷設できないとしても,中国は投資する可能性がある。中国は,パキスタンの国境付近の需要のためにガスパイプラインが必要の可能性がある,と。パキスタンは,インドとの話がなかなか進まないのを見て,この74億ドルのプロジェクトへの中国の参加を熱心に誘ったようであるが,中国は確答を与えていないようである。
ニューヨークで行われたパキスタンとイランの会談では,このパイプライン計画を,インドが乗り気でないならば,質を変えて,パキスタンとイランの二国間プロジェクトとすることで合意が出来ている。クレシ外務大臣(注15),このプロジェクトを早期に進めるために,テヘランを訪問する用意がある,と言っている。この話し合いは,イランのモタキ外相(注18)が,10月10日にイスラマバードを訪ねたとき,話し合われた。
私は,これはインドが,米国との原子力協力協定を優先させた結果だと思う。先日も出ていたが,米国は,中央アジからアフガニスタンを通過してインドに至るガスパイプラインを調整してもよい,と言ったことがある。これは勿論,インドのみならずパキスタンへの発した言葉だが,パキスタンは今や新大統領の下,中国を向いているから,この中央アジアからのエネルギーラインも難しくなってきている。さて,インドのガスはどうなるか。
(注) (1) Pakistan’s President Zardari,(15) Foreign Minister Shah Mahmood Qureshi,(16) Iran-Pakistan-India (IPI) gas pipeline project,(17) Iran-Pakistan-China project,(18) Iranian Foreign Minister Manouchehr Mottak,(19)
●ラオスとベトナム,水力開発のための送電連携へ
タイがラオスの電力をなかなか買ってくれなかった頃,1990年代初めか,ラオス政府は,相手はベトナムだってあるのだよ,と言いながら,我々にベトナムに向かって送電線の線を図上に書くよう要請していた。多くの人々が,ベトナムが輸入するわけがない,ベトナムだって有り余るほどの水力のポテンシャルを持っているのだから,と言っていた。でも,1,000MW規模でベトナムが輸入する時代になってきた。
ADB(注19)が積極的に支援する模様である。両国の国境をまたぐ送電線のために,240百万ドルを準備する方向で,まず調査など100万ドルを日本基金の中から無償で支出する。ラオスは,包蔵18,000MWのうち663MWしか開発していない。一方ベトナムは,年率7.5%の経済成長を続け,2010年までは年率16%で電力需要が伸びてくる。
今回の送電線プロジェクトは,延長165km(筆者注,おそらく50万ボルト送電線か)で,ラオス南部のバンソク開閉所(注21)からベトナム中央高原のプレイク(注22)開閉所を結ぶ。これは計画されている11プロジェクト,合計出力約1,000MWを連携するものだ。両国は,2020年までに5,000MWを連携することを合意している。
担当のADBハンバート氏(注20)は,この買電による利益は,タイへの送電と共に,ラオスの貧困削減に貢献する,としている。これに対して環境グループは,住民移住と魚類への影響で反対しており,先日もIRN(注23)が,ラオスの水力開発への批判の報告書を刊行したばかりである。
私は,基本的な送電網について,全体構想を明確にして計画を進めるよう提言する。いろいろな案があり,おそらく現在は,ASEANの基本構想がベースとなっていると思われるが,電源もかなりはっきりしてきたから,この辺りで,メコン下流周辺の送電網マスタープランを,一度チェックしてみてはどうだろうか。
(注) (19) The Asia Dvelopment Bank,(20) Xavier Humbert, the senior energy specialist of the ADB's Southeast Asia Department,(21) the Ban Sok substation in southeastern Laos,(22) Pleiku in Vietnam's Central Highlands,(23) The US-based group International Rivers,(24)
●フィリッピン,世界的な投資家バフェット氏のエネルギー参入を望む
フィリッピンは最近,再生可能エネルギー法を国会で通過させたばかりである。主として,再生可能エネルギー開発を優遇して,国内資源の開発を促進し,エネルギーの海外依存を減らそうと言うわけである。少し視点が違うような気がするが,それでも東南アジアに先駆けて,或いはアジア諸国に先駆けて,法案を成立させた思いもあり,外国心の投資を心待ちにしている。
ウォーレン・バフェット氏(注24),米国の有名な投資家で大富豪,投資会社バークシャー・ハサウェイ(注27)の会長であるが,この人の投資を働きかけ,待ち受けているのは,フィリッピンのエネルギー官僚である。エネルギー省(注25)が,最初の投資を呼びかけたのは,米国企業コンステレーション(注26)である。バークシャー・ハサウェイ(注27)はこのコンステレーション(注26)を47億ドルで買収しようとしているが,米国政府の認可がでていない。
情報によると,コンステレーション(注26)は最近代表をフィリッピンに派遣し,再生可能エネルギー投資の可能性を探ったようだ。これは,最近機会を通過し,アロヨ大統領(注28)の署名待ちの再生可能エネルギー法案(注29)に刺激されたのだろう。エネルギー省のマラシガン局長(注30)は,この来比を確認し,風力と水力に関心を持っているようだ,と言っている。
フィリッピンへの投資には関門もある。バフェット氏(注24)は,アジアに関心がある,とは言っても,もっと大きい,日本,中国,インドなどであろうと見られている。彼がフィリッピンで唯一注目しているのが,マニラ北方150kmにある,150MW,カールエナージ(注31)が持つ,2001年運転開始のカセクナン水力発電所(注32)であると言われている。
私は思う,そうでしょう,フィリッピンの意図はあくまで新規の再生可能エネルギー開発であり,国産資源の新たな開発である。でも,彼等のような資本家が向かうのは買収の意図しかない。彼等に,社会資産を増やそうなどと言う気持ちは全くないわけで,自分がお金さへも受ければよい,と言う考え方である。明らかに,投資側とフィリッピン側に,意識のずれがある。
(注) (24) Warren Buffett,(25) the Department of Energy (DoE),(26) US firm Constellation Energy,(27) The billionaire’s Berkshire Hathaway,(28) President Arroyo,(29) the Renewable Energy Bill,(30) DoE director Mario Marasigan,(31) CalEnergy, an affiliate of MidAmerican Energy,(32) the 150-megawatt Casecnan hydropower project,http://www.calenergy.com/html/projects5b.asp,(33)
Reference
Philippines
●081019A Philippines, Manila Bulletin
フィリッピン,世界的な投資家バフェット氏のエネルギー参入を望む
RP woos Buffett’s firm to invest in RE
http://www.mb.com.ph/BSNS20081019138379.html
Loas
●081019B Laos, macaudailytimesnews
ラオスとベトナム,水力開発のための送電連携へ
Laos, Vietnam plan power line for hydro-electricity
http://www.macaudailytimesnews.com/index.php?option=com_content&task=view&id=17727&Itemid=32
India
●081019C India, Economic Times
イランからのガスパイプライン,中国へ方向転換
IPI gas pipeline project can become IPC: Pak
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Oil__Gas/IPI_gas_pipeline_project_can_become_IPC_Pak/rssarticleshow/3612525.cms
●081019D India, Economic Times
インドは友好的,しかし,お隣さんはそうではない
India Love thy friends, not your neighbors
http://www.americanchronicle.com/articles/78134
●081019E India, timesofindia.indiatimes
パキスタンがダムに反対,再び昔の悪夢が蘇る
Discontent over Indus treaty
http://timesofindia.indiatimes.com/India/Discontent_over_Indus_treaty/articleshow/3613777.cms
2008年10月19日日曜日
パキスタン大統領の北京挑戦
HPは下記ドメインです。アフリカ,中東,南米,再生可能エネルギーの最前線もあり。http://my.reset.jp/~adachihayao/index.htm
「パキスタン大統領の北京挑戦」,OPECは,原油がバレル70ドルを切ったことで,緊急にOPEC会議を招集し,日200万トンから300万トンの減産に踏み切る可能性を示唆している。2008年10月17日まで4日間のパキスタン大統領の北京訪問だが,世界が注視している両国の原子力協定については,共同声明では触れていないが,イスラマバードにいるパキスタンのクレシ外相が,中国政府がパキスタンの原子力2基建設に協力する計画を持っている,と記者団に説明している。
中国の姿勢は非常に興味深い。米印原子力協定の時に問題となった原子力供給国グループ(NSG)には,中国も加盟している。過去には,中国はパキスタンの原子力建設に協力してきたのだが,改めてパキスタンとの間で協定を交わすとなると,核拡散防止条約NPT非加盟のパキスタンに問題があるばかりでなく,世界の勢力図に大きな変化をもたらす可能性がある。その結果の大きさに,湖錦濤主席は,思いをいたしたのだろう。
新任のパキスタンのザルダり大統領(注1)は非常に意気込んでいる。先日,国連総会でワシントンに行ったとき,インドのシン首相と会談し,カシミールのダム建設で強く抗議している。ダムの竣工式でシン首相が,両国の和解を名演説で説いたのに,耳を貸さず反発し,とるものもとりあえず,北京に向かった。勿論,米印原子力協定に真っ向から対抗する中国パキスタン原子力協定を探るためだろう。
私は,内外のニュースを見ていて,湖錦濤主席はザルダり大統領(注1)を宥めたのだと思っている。米印協定に真っ向から対立する覚悟は,少なくとも湖錦濤には出来ていない。ザルダり大統領(注1)から見た世界と,湖錦濤から見た世界は,全くと言って良いほど違うのだろう。しかし,湖錦濤は,パキスタンとの関係強化は望むところであり,それが以下の経済界での歓待に繋がる。
中国側は,迎賓館で,財界のトップを集めてザルダり大統領(注1)との会議をセットした。財界首脳の中には,大統領に向かって,「聡明で民主的な選挙によって選出されたザルダリ大統領(注9)」,と持ち上げ,総額50億ドルに上るパキスタンへの投資を約束した。分野は多岐に亘り,軍事,金融,原油探査,鉱業,石炭,水力の各分野に亘る。水力分野については,17億ドルとされている。
タールの石炭開発(注4)については,CTECのヤンリジン会長(注3)が会談した。この会議の後で覚書が交わされたが,当面百万ドル相当で調査を開始することとなった。シノハイドロのファンジシアン社長(注3)は,1987年以来,パキスタンの水力開発に協力している経験と既に2億ドルを投資していることを踏まえ,バシャダム(注5)とコハラ水力(注10)に付いて,調査を行うことを約束した。
12月には,米国の原子力大規模調査団がインドを訪問する。パキスタンの注視を受けながら,大きな商談が進むことになるが,ザルダり大統領(注1)はまだ湖錦濤の原子力協定への進展を諦めていないだろう。今日はその他,初めて中東の資金が,インドネシアの石炭火力へ関心を示しているニュースと,インドネシアのLNG獲得に関する日本や韓国のアプローチが話題となっている。
(注) (1) President Asif Ali Zardari,(2) Defence Minister Chaudhry Ahmed Mukhtar, Advisor on Interior Rehman Malik, Advisor on Finance Shaukat Tareen, Foreign Secretary Salman Bashir and Pakistan’s Ambassador to China Masood Khan,(3) Ma Zhigeng, Chairman NORINCO, Zhang Liansheng Chairman Poly Technologies, Liu Minkang Chinese Banking and Regulatory Authority, Yan Lijin, Chairman CETC and Fan Jixiang, President Sinohydro,(4) Thar coal,(5) Bhasha dam project,(6) China International Water and Electricity Corporation,(7) Water and Power Dvelopment Authority, Pakistan,(8) Northern Industries (NORINCO),(9) under the sagacious leadership of democratically elected President Asif Zardari,(10) Kohala Dam,
本文
●パキスタン,中国が50億ドル投資,17億ドルは水力開発へ
2008年10月17日まで,パキスタンのザルダり大統領(注1)は4日間,北京に滞在した。彼の最大の眼目は,米印原子力協定に対抗する形での,中国パキスタン原子力協定に対する湖錦濤主席の基本的な合意を得ることであっただろう。これについては,共同声明は触れていないようであるが,パキスタンのクレシ外相が,合意に至ったと説明している。この記事は,ザルダり大統領(注1)が中国の経済界と会見した内容である。
ザルダり大統領訪問団(注2)と経済界のトップ(注3)との会談は,金曜日に行われた。総括すると,中国の経済界がこの会談で約束した投資総額は50億ドルであり,その分野は,軍事,銀行,原油探査,鉱業,石炭,水力の各分野に亘る。水力分野については,17億ドルとされている。会談は迎賓館で行われ,特に中国経済界首脳は,ザルダり大統領(注1)の活気ある弾力的な経済構想に,関心を持ったという。
電力セクターについては,中国国際水電公司(注6)の代表が,ザルダり大統領訪問団(注2)と会談したが,WAPDA(注7)と協力して経済的な水力プロジェクトへの投資を約束した。原油探査と武器についてはNRINCO(注8)のマジゲン会長(注3)が担当したが,原油探査に当面30百万ドルの投資を約束した。会長は,「聡明で民主的な選挙によって選出されたザルダリ大統領(注9)」との会談の成果が大きいと評価した。
タールの石炭開発(注4)については,CTECのヤンリジン会長(注3)が会談した。この会議の後で覚書が交わされたが,当面百万ドル相当で調査を開始することとなった。シノハイドロのファンジシアン社長(注3)は,1987年以来,パキスタンの水力開発に協力している経験と既に2億ドルを投資していることを踏まえ,バシャダム(注5)とコハラ水力(注10)に付いて,調査を行うことを約束した。
今回のザルダり大統領(注1)の4日間の北京訪問は,先日,ワシントンで行われたインドのシン首相との会談に続くものだが,インドに対しては厳しくカシミールのダム開発に釘を刺した。大統領は,一見,インドからのアプローチをはねつけ,中国との連携を深めることに集中したようだ。少なくとも原子力分野では,米印と中国パキスタンが対立する構図となってきた。
(注) (1) President Asif Ali Zardari,(2) Defence Minister Chaudhry Ahmed Mukhtar, Advisor on Interior Rehman Malik, Advisor on Finance Shaukat Tareen, Foreign Secretary Salman Bashir and Pakistan’s Ambassador to China Masood Khan,(3) Ma Zhigeng, Chairman NORINCO, Zhang Liansheng Chairman Poly Technologies, Liu Minkang Chinese Banking and Regulatory Authority, Yan Lijin, Chairman CETC and Fan Jixiang, President Sinohydro,(4) Thar coal,(5) Bhasha dam project,(6) China International Water and Electricity Corporation,(7) Water and Power Dvelopment Authority, Pakistan,(8) Northern Industries (NORINCO),(9) under the sagacious leadership of democratically elected President Asif Zardari,(10) Kohala Dam,
●インドネシア,PLNのプロジェクト,中東の投資資本が関心
インドネシアのPLNは,現在鋭意,2009年または2010年の完成を目指して,10,000MWに上る石炭火力建設を,クラッシュプログラム(注11)と称して進めている。しかしその80%以上は中国の資金で,PLNが行う電源開発である,IPPはこの中には含まれていない。PLNは必ずしもIPPを除外はしていないが,この金融危機に際して,もし優秀な資本によるIPP開発があるならば,望むところだろう。
PLN筋の情報によると中東資本のコンソーシアム(注12)が,2億ドルの石炭火力への投資に,他のグループと争う姿勢を示した。PLNのモクタール総裁(注13)によると,PLNが起案した200MW石炭火力で,場所は供給力不足に苦しむ南スマトラ,リアウのチレンティ地区(注14)に位置し,ブキットアサム(注15)の所有する炭坑の近傍である。この中東グループは,4つの参加グループの一つだが,その資金力には注目が集まっている。
この中東のコンソーシアム(注12)は,地元企業リドラタマ(注16)と合弁を組み,イスラム開発銀行(注17)の支援を受けており,既に事前資格審査は合格している。ただ,中東企業のインドネシアでの電力開発参入は初めてであることに留意している。担当のプルノモ大臣(注18)は,金融危機の中,中東の企業の参加には大いに期待している,とコメントしている。
何度も,インドネシアに対するイスラム金融の貢献は,期待され,噂されてきたが,電力への参入は初めてと聞いて,意外な感じである。既に殆どの資金調達に目処を付けていると思われるクラッシュプログラム(注11)であるが,今回の金融機の影響を受けるのではないかと懸念している。第2次クラッシュプログラムの情報もあり,今後の中東資金の動きが気になるところである。
(注) (11) Crash Programme,(12) A Middle East consortium, Mine Power Holding BSC,(13) President director Fahmi Mochtar,(14) located in Cirenti district, Riau Province,(15) state coal mining company PT Bukit Asam,(16) local contractor PT Ridlatama Energy,(17) the Islamic Development Bank,(18) Energy and Mineral Resources Ministry Purnomo Yusgiantoro,(19)
●インドネシア,韓国ガス企業,LNG契約の延長を望む
インドネシアは,原油生産の落ちに神経を使っている。天然ガスの生産は続くが,問題は国内消費の増加への対処である。特にLNGについては,日本と厳しい折衝が続いている。契約を減量の上,百万Btu当たり16ドルにも達する高値で交渉が進んでおり,ここまで上がってくると,電力用としては用をなさなくなるだろう。交渉は厳しい場面を迎えている。
インドネシアのプルノモ大臣(注18)は,韓国ガス企業コガス(注19)が,2014年及び2017年に期限切れとなるLNG契約を延長するよう申し込んできたことを明らかにした。プルノモ大臣(注18)は,韓国のリユンホー知識経済大臣(注20)との極秘会談の後,現状では,国内需要の伸びを考えると,如何なるコミットも出来ない,と言うことを示唆した。
コガス(注19)は現在,アルンとボンタンのLNG基地(注21)から毎年200万トンを輸入している。インドネシアは,ボンタンのLNG基地(注21)の能力を増やすため,シェブロン(注22)のカリマンタン沖深海油田(注23)の生産を2014年に開始する予定であるが,深海であるため高価な天延ガスになることを懸念している。
また,問題は日本と契約交渉中で,韓国に即答できない理由の一つ,と説明している。日本に対しては,現在の契約は年間600万トンであるが,2011年3月に期限切れとなる。延長は交渉中であるが,10年延長,最初の5年が3百万トン,最後の5年が200万トンとなる予定である。なお,韓国ガス企業コガス(注19)は,この7月にタングー基地(注24)から百万Btu当たり20ドル(注25)の高額の契約をしたばかりである。
プルノモ大臣(注18)はまさか百万Btu当たり20ドル以上,と言うわけではなかろうな。日本に対して16ドル,と言う報道が一時なされたことがある。タイは8ドルぐらいでガスを使っており,インドでは最近11ドルの値段が出て,衝撃が出ている。20ドルは,電力の燃料費に換算すると17セントになる。原油の下げがどの様にLNGに影響するのか,よく分からない。量と価格の両面から厳しさが増して行く。
(注) (18) Energy and Mineral Resources Ministry Purnomo Yusgiantoro,(19) Korea Gas Corp (Kogas),(20) Lee Youn Ho, South Korea's Minister of Knowledge Economy,(21) Arun and Bontang LNG plants,(22) Chevron Corp,(23) new deep-water fields off East Kalimantan,(24) Tangguh project,(25) US$20 per million British thermal units (mmbtu)
Reference
Pakistan
●081018A Pakistan, pakobserver
中国が50億ドル投資,17億ドルは水力開発へ
Chinese firms offer $5b investment
http://pakobserver.net/200810/18/news/topstories03.asp
Indonesia
●081018B Indonesia, The Jakarta Post
PLNのプロジェクト,中東の投資資本が関心
PLN project attracts Middle East investor
http://www.thejakartapost.com/news/2008/10/17/pln-project-attracts-middle-east-investor.html
●081018C Indonesia, The Jakarta Post
韓国ガス企業,LNG契約の延長を望む
Kogas wants to extend LNG supply from RI
http://www.thejakartapost.com/news/2008/10/16/kogas-wants-extend-lng-supply-ri.html
「パキスタン大統領の北京挑戦」,OPECは,原油がバレル70ドルを切ったことで,緊急にOPEC会議を招集し,日200万トンから300万トンの減産に踏み切る可能性を示唆している。2008年10月17日まで4日間のパキスタン大統領の北京訪問だが,世界が注視している両国の原子力協定については,共同声明では触れていないが,イスラマバードにいるパキスタンのクレシ外相が,中国政府がパキスタンの原子力2基建設に協力する計画を持っている,と記者団に説明している。
中国の姿勢は非常に興味深い。米印原子力協定の時に問題となった原子力供給国グループ(NSG)には,中国も加盟している。過去には,中国はパキスタンの原子力建設に協力してきたのだが,改めてパキスタンとの間で協定を交わすとなると,核拡散防止条約NPT非加盟のパキスタンに問題があるばかりでなく,世界の勢力図に大きな変化をもたらす可能性がある。その結果の大きさに,湖錦濤主席は,思いをいたしたのだろう。
新任のパキスタンのザルダり大統領(注1)は非常に意気込んでいる。先日,国連総会でワシントンに行ったとき,インドのシン首相と会談し,カシミールのダム建設で強く抗議している。ダムの竣工式でシン首相が,両国の和解を名演説で説いたのに,耳を貸さず反発し,とるものもとりあえず,北京に向かった。勿論,米印原子力協定に真っ向から対抗する中国パキスタン原子力協定を探るためだろう。
私は,内外のニュースを見ていて,湖錦濤主席はザルダり大統領(注1)を宥めたのだと思っている。米印協定に真っ向から対立する覚悟は,少なくとも湖錦濤には出来ていない。ザルダり大統領(注1)から見た世界と,湖錦濤から見た世界は,全くと言って良いほど違うのだろう。しかし,湖錦濤は,パキスタンとの関係強化は望むところであり,それが以下の経済界での歓待に繋がる。
中国側は,迎賓館で,財界のトップを集めてザルダり大統領(注1)との会議をセットした。財界首脳の中には,大統領に向かって,「聡明で民主的な選挙によって選出されたザルダリ大統領(注9)」,と持ち上げ,総額50億ドルに上るパキスタンへの投資を約束した。分野は多岐に亘り,軍事,金融,原油探査,鉱業,石炭,水力の各分野に亘る。水力分野については,17億ドルとされている。
タールの石炭開発(注4)については,CTECのヤンリジン会長(注3)が会談した。この会議の後で覚書が交わされたが,当面百万ドル相当で調査を開始することとなった。シノハイドロのファンジシアン社長(注3)は,1987年以来,パキスタンの水力開発に協力している経験と既に2億ドルを投資していることを踏まえ,バシャダム(注5)とコハラ水力(注10)に付いて,調査を行うことを約束した。
12月には,米国の原子力大規模調査団がインドを訪問する。パキスタンの注視を受けながら,大きな商談が進むことになるが,ザルダり大統領(注1)はまだ湖錦濤の原子力協定への進展を諦めていないだろう。今日はその他,初めて中東の資金が,インドネシアの石炭火力へ関心を示しているニュースと,インドネシアのLNG獲得に関する日本や韓国のアプローチが話題となっている。
(注) (1) President Asif Ali Zardari,(2) Defence Minister Chaudhry Ahmed Mukhtar, Advisor on Interior Rehman Malik, Advisor on Finance Shaukat Tareen, Foreign Secretary Salman Bashir and Pakistan’s Ambassador to China Masood Khan,(3) Ma Zhigeng, Chairman NORINCO, Zhang Liansheng Chairman Poly Technologies, Liu Minkang Chinese Banking and Regulatory Authority, Yan Lijin, Chairman CETC and Fan Jixiang, President Sinohydro,(4) Thar coal,(5) Bhasha dam project,(6) China International Water and Electricity Corporation,(7) Water and Power Dvelopment Authority, Pakistan,(8) Northern Industries (NORINCO),(9) under the sagacious leadership of democratically elected President Asif Zardari,(10) Kohala Dam,
本文
●パキスタン,中国が50億ドル投資,17億ドルは水力開発へ
2008年10月17日まで,パキスタンのザルダり大統領(注1)は4日間,北京に滞在した。彼の最大の眼目は,米印原子力協定に対抗する形での,中国パキスタン原子力協定に対する湖錦濤主席の基本的な合意を得ることであっただろう。これについては,共同声明は触れていないようであるが,パキスタンのクレシ外相が,合意に至ったと説明している。この記事は,ザルダり大統領(注1)が中国の経済界と会見した内容である。
ザルダり大統領訪問団(注2)と経済界のトップ(注3)との会談は,金曜日に行われた。総括すると,中国の経済界がこの会談で約束した投資総額は50億ドルであり,その分野は,軍事,銀行,原油探査,鉱業,石炭,水力の各分野に亘る。水力分野については,17億ドルとされている。会談は迎賓館で行われ,特に中国経済界首脳は,ザルダり大統領(注1)の活気ある弾力的な経済構想に,関心を持ったという。
電力セクターについては,中国国際水電公司(注6)の代表が,ザルダり大統領訪問団(注2)と会談したが,WAPDA(注7)と協力して経済的な水力プロジェクトへの投資を約束した。原油探査と武器についてはNRINCO(注8)のマジゲン会長(注3)が担当したが,原油探査に当面30百万ドルの投資を約束した。会長は,「聡明で民主的な選挙によって選出されたザルダリ大統領(注9)」との会談の成果が大きいと評価した。
タールの石炭開発(注4)については,CTECのヤンリジン会長(注3)が会談した。この会議の後で覚書が交わされたが,当面百万ドル相当で調査を開始することとなった。シノハイドロのファンジシアン社長(注3)は,1987年以来,パキスタンの水力開発に協力している経験と既に2億ドルを投資していることを踏まえ,バシャダム(注5)とコハラ水力(注10)に付いて,調査を行うことを約束した。
今回のザルダり大統領(注1)の4日間の北京訪問は,先日,ワシントンで行われたインドのシン首相との会談に続くものだが,インドに対しては厳しくカシミールのダム開発に釘を刺した。大統領は,一見,インドからのアプローチをはねつけ,中国との連携を深めることに集中したようだ。少なくとも原子力分野では,米印と中国パキスタンが対立する構図となってきた。
(注) (1) President Asif Ali Zardari,(2) Defence Minister Chaudhry Ahmed Mukhtar, Advisor on Interior Rehman Malik, Advisor on Finance Shaukat Tareen, Foreign Secretary Salman Bashir and Pakistan’s Ambassador to China Masood Khan,(3) Ma Zhigeng, Chairman NORINCO, Zhang Liansheng Chairman Poly Technologies, Liu Minkang Chinese Banking and Regulatory Authority, Yan Lijin, Chairman CETC and Fan Jixiang, President Sinohydro,(4) Thar coal,(5) Bhasha dam project,(6) China International Water and Electricity Corporation,(7) Water and Power Dvelopment Authority, Pakistan,(8) Northern Industries (NORINCO),(9) under the sagacious leadership of democratically elected President Asif Zardari,(10) Kohala Dam,
●インドネシア,PLNのプロジェクト,中東の投資資本が関心
インドネシアのPLNは,現在鋭意,2009年または2010年の完成を目指して,10,000MWに上る石炭火力建設を,クラッシュプログラム(注11)と称して進めている。しかしその80%以上は中国の資金で,PLNが行う電源開発である,IPPはこの中には含まれていない。PLNは必ずしもIPPを除外はしていないが,この金融危機に際して,もし優秀な資本によるIPP開発があるならば,望むところだろう。
PLN筋の情報によると中東資本のコンソーシアム(注12)が,2億ドルの石炭火力への投資に,他のグループと争う姿勢を示した。PLNのモクタール総裁(注13)によると,PLNが起案した200MW石炭火力で,場所は供給力不足に苦しむ南スマトラ,リアウのチレンティ地区(注14)に位置し,ブキットアサム(注15)の所有する炭坑の近傍である。この中東グループは,4つの参加グループの一つだが,その資金力には注目が集まっている。
この中東のコンソーシアム(注12)は,地元企業リドラタマ(注16)と合弁を組み,イスラム開発銀行(注17)の支援を受けており,既に事前資格審査は合格している。ただ,中東企業のインドネシアでの電力開発参入は初めてであることに留意している。担当のプルノモ大臣(注18)は,金融危機の中,中東の企業の参加には大いに期待している,とコメントしている。
何度も,インドネシアに対するイスラム金融の貢献は,期待され,噂されてきたが,電力への参入は初めてと聞いて,意外な感じである。既に殆どの資金調達に目処を付けていると思われるクラッシュプログラム(注11)であるが,今回の金融機の影響を受けるのではないかと懸念している。第2次クラッシュプログラムの情報もあり,今後の中東資金の動きが気になるところである。
(注) (11) Crash Programme,(12) A Middle East consortium, Mine Power Holding BSC,(13) President director Fahmi Mochtar,(14) located in Cirenti district, Riau Province,(15) state coal mining company PT Bukit Asam,(16) local contractor PT Ridlatama Energy,(17) the Islamic Development Bank,(18) Energy and Mineral Resources Ministry Purnomo Yusgiantoro,(19)
●インドネシア,韓国ガス企業,LNG契約の延長を望む
インドネシアは,原油生産の落ちに神経を使っている。天然ガスの生産は続くが,問題は国内消費の増加への対処である。特にLNGについては,日本と厳しい折衝が続いている。契約を減量の上,百万Btu当たり16ドルにも達する高値で交渉が進んでおり,ここまで上がってくると,電力用としては用をなさなくなるだろう。交渉は厳しい場面を迎えている。
インドネシアのプルノモ大臣(注18)は,韓国ガス企業コガス(注19)が,2014年及び2017年に期限切れとなるLNG契約を延長するよう申し込んできたことを明らかにした。プルノモ大臣(注18)は,韓国のリユンホー知識経済大臣(注20)との極秘会談の後,現状では,国内需要の伸びを考えると,如何なるコミットも出来ない,と言うことを示唆した。
コガス(注19)は現在,アルンとボンタンのLNG基地(注21)から毎年200万トンを輸入している。インドネシアは,ボンタンのLNG基地(注21)の能力を増やすため,シェブロン(注22)のカリマンタン沖深海油田(注23)の生産を2014年に開始する予定であるが,深海であるため高価な天延ガスになることを懸念している。
また,問題は日本と契約交渉中で,韓国に即答できない理由の一つ,と説明している。日本に対しては,現在の契約は年間600万トンであるが,2011年3月に期限切れとなる。延長は交渉中であるが,10年延長,最初の5年が3百万トン,最後の5年が200万トンとなる予定である。なお,韓国ガス企業コガス(注19)は,この7月にタングー基地(注24)から百万Btu当たり20ドル(注25)の高額の契約をしたばかりである。
プルノモ大臣(注18)はまさか百万Btu当たり20ドル以上,と言うわけではなかろうな。日本に対して16ドル,と言う報道が一時なされたことがある。タイは8ドルぐらいでガスを使っており,インドでは最近11ドルの値段が出て,衝撃が出ている。20ドルは,電力の燃料費に換算すると17セントになる。原油の下げがどの様にLNGに影響するのか,よく分からない。量と価格の両面から厳しさが増して行く。
(注) (18) Energy and Mineral Resources Ministry Purnomo Yusgiantoro,(19) Korea Gas Corp (Kogas),(20) Lee Youn Ho, South Korea's Minister of Knowledge Economy,(21) Arun and Bontang LNG plants,(22) Chevron Corp,(23) new deep-water fields off East Kalimantan,(24) Tangguh project,(25) US$20 per million British thermal units (mmbtu)
Reference
Pakistan
●081018A Pakistan, pakobserver
中国が50億ドル投資,17億ドルは水力開発へ
Chinese firms offer $5b investment
http://pakobserver.net/200810/18/news/topstories03.asp
Indonesia
●081018B Indonesia, The Jakarta Post
PLNのプロジェクト,中東の投資資本が関心
PLN project attracts Middle East investor
http://www.thejakartapost.com/news/2008/10/17/pln-project-attracts-middle-east-investor.html
●081018C Indonesia, The Jakarta Post
韓国ガス企業,LNG契約の延長を望む
Kogas wants to extend LNG supply from RI
http://www.thejakartapost.com/news/2008/10/16/kogas-wants-extend-lng-supply-ri.html
2008年10月18日土曜日
インド北辺水力開発に反旗
HPは下記ドメインです。アフリカ,中東,南米,再生可能エネルギーの最前線もあり。http://my.reset.jp/~adachihayao/index.htm
「インド北辺水力開発に反旗」,タイの情勢が不穏である。カンボジアとの領土問題もさることながら,国軍トップのアヌポン陸軍司令官が「私が首相なら既に辞任している」とソムチャイ首相に事実上の辞任勧告を突き付けたことは,再び軍のクーデターの可能性もあると報じられている。メコン諸国の開発のリーダーであるタイの,一刻も早い安定を願う。
さて,インド北辺の水力開発は,インドの石炭火力の抑制に貢献するものとして,人類最後の戦いである,と位置づけてきた。インド政府も,ヒマラヤ周辺の水力には,大きな期待を持ち,また新政策を掲げて,地元便益優先の姿勢で臨んできた。あれほどの大規模水力の開発に,よく周辺住民が耐えられるか,私も関心を持って見てきたが,比較的平穏な成り行きに,意外感を覚えていた。
今日の記事が,果たして住民運動と関係あるのかどうか,それは単なる政治的な動きなのか,よく分からないところがあるが,厳しく批判ののろしを上げたのは,2004年に野党に下ったインド人民党(注1)のリーダーで元財務大臣のカラ氏(注2)である。政治的な背景は私は説明できないが,少なくとも地元住民を守ると言うよりは,州政府の立場を明確にせよ,と叫んでいるように見える。
カラ氏(注2)は,強い調子の声明書を読み上げた。ジャムカシミール州(注3)の土地,水資源などの天然資源を略奪に近い形で持って行く中央政府の政策に反対している。彼が指摘しているのは,ジャムカシミール州(注3)の7つの水力プロジェクトが,州政府からNHPC(注4)に引き渡されたことを言っている。
カラ氏(注2)は,この州政府の行為がインダス水条約(注5)に違反するもので,地元住民の水利用の権利を侵しており,州政府自体が使える水を殆どゼロにしている,と言うのである。彼は,皮肉にも,このような暴挙を行った州は,他の州にも影響を与えて,北部各州の経済繁栄を阻害するものだ,と攻撃している。
政治的な意図は全く不明であり,言葉も極めて厳しい表現を使っているが,カラ氏(注2)は,水力開発を止めろと言っているわけではなさそうだ。インドの電源開発は元々州政府が責任を持っていたもので,州政府としては,大規模水力の開発に当たって,資金調達などを考えると,政府系公社であるNHPC(注4)に開発を委譲した方がよい,と考えたのだろう。重要人物の思わぬ反対の激論で,周囲は戸惑っているかも知れない。
(注)(1) Peoples Democratic Party (PDP),(2) former Finance Minister Tariq Hameed Karra,(3) Jammu and Kashimir,(4) National Hydro Electric Power Corporation (NHPC),(5) Indus Water Treaty (IWT),(6) Salal and Uri Power Projects,
本文
●インド野党PDP,政府はカシミールのNHPCプロジェクト,放棄せよ
このカシミールを含むインド北辺の水力開発については,中央政府の強い開発への意志と,公社も含む民間資本の開発意欲が前面に出ていて,不思議なぐらい,開発反対の声は聞こえてこなかった。ナルマダ紛争で鍛えたインド国民であるが,あの熱気は今はない。政府の唱える大規模な水力は,案外円滑に実施されるのか,とも思っていたが,政治家から強硬な反対論が出てきた。
政治的な背景はよく分からないが,2004年に野党に下ったインド人民党(注1)のリーダーで元財務大臣のカラ氏(注2)が,強い調子の声明を発表した。ジャムカシミール州(注3)の土地,水資源などの天然資源を略奪に近い形で持って行く中央政府の政策に反対している。彼が指摘しているのは,ジャムカシミール州(注3)の7つの水力プロジェクトが,州政府からNHPC(注4)に引き渡されたことを言っている。
カラ氏(注2)は,この州政府の行為がインダス水条約(注5)に違反するもので,地元住民の水利用の権利を侵しており,州政府自体が使える水を殆どゼロにしている,と言うのである。彼は,皮肉にも,このような暴挙を行った州は,他の州にも影響を与えて,北部各州の経済繁栄を阻害するものだ,と攻撃している。
更に続いて,州政府はこの7つのプロジェクトを州に取り戻すだけでなく,インダス水条約(注5)に即して州の損失が起きないように,NHPC(注4)の有する二つの水力プロジェクト,サラールとウリ(注6)を州に返還させよ,と言っている。もしこの主張が受け入れられなければ,インド人民党(注1)は立ち上がり,調査行動を阻止するだろう。また中央政府は,州に対して600億ルピーに上る補償を行う必要がある,これは水条約違反と言うことから来る。
政治的な意図は全く不明であり,言葉も極めて厳しい表現を使っているが,カラ氏(注2)は,水力開発を止めろと言っているわけではなさそうだ。インドの電源開発は元々州政府が責任を持っていたもので,州政府としては,大規模水力の開発に当たって,資金調達などを考えると,政府系公社であるNHPC(注4)に開発を委譲した方がよい,と考えたのだろう。重要人物の思わぬ反対の激論で,周囲は戸惑っているかも知れない。
(注)(1) Peoples Democratic Party (PDP),(2) former Finance Minister Tariq Hameed Karra,(3) Jammu and Kashimir,(4) National Hydro Electric Power Corporation (NHPC),(5) Indus Water Treaty (IWT),(6) Salal and Uri Power Projects,
●インドネシア,プルタミナ,東部ジャワの西マドラ油田,持ち分増加を視野
最近のインドネシアは,原油の枯渇に戦いており,先日も,石油各社首脳を国会に招いて,今後の生産の見込みをヒアリングしたばかりである。その時の問答で,議員から出た疑念の中に,国営企業であるプルタミナ(注7)は生産量を増やしているのに,どうして海外資本は生産量を減らしているのか,というものがある。今回のこの東ジャワの西マドラ油田(注8)の問題も,ここから来ているのであろうか。
プルタミナのカレン副社長(注9)が記者会見に応じている。彼女によると,プルタミナ(注7)は現在50%のシェアーを保持しているが十分でないと言う。この油田は,原油日6,500バレル,ガス日45百万立方フィートを生産しているが,その運転は,25%シェアーの韓国のKEDECO(注10)に握られている。また中国のCNOOC(注11)も25%を持っている。プルタミナ(注7)の自由にならない,と言うわけである。
カレン副社長(注9)によると,プルタミナ(注7)は,西マドラ油田(注8)ばかりでなく,東カリマンタン,トータルのマハカム油田(注12),ティモール海,インペックスのマセラ沖合油田(注13),東カリマンタン沖,シェブロンの深水油田(注14)でもシェアーの拡大を計画しており,既に資金調達も終わっているが,今はその規模を明らかに出来ない,としている。
最近のインドネシアは,資源に関してますます国粋化を強めている。それは,最高裁がPLN完全民営化を違憲と判断したときが節目のような気がする。それまでは,電力でもエネルギーでも,競争市場の創出が大きな目標であったから。来年は大統領選挙が行われ,カラ副大統領も対抗馬として出馬するだろう。彼は開発にも熱心だが,中国の市場経済コントロールに大きな関心を示している。
(注)(7) state oil and gas company PT Pertamina,(8) the West Madura block, East Java,(9) Pertamina corporate vice president for upstream Karen Agustiawan,(10) South Korea's Kodeco Energy,(11) China's National Offshore Oil Corp. (CNOOC),(12) Total's Mahakam block in East Kalimantan,(13) Inpex's Masela offshore block in Timor Sea,(14) Chevron's deep-water fields off East Kalimantan,
●フィリッピン,ファーストジェン,水力発電所売却,赤字補填
相変わらず,フィリッピンの電源は売ったり買ったりで,電源開発の話は出てこない。今日の議論も,私にはよく分からないが,ファーストジェン(注15)はロペス財団によるフィリッピン有数の発電会社であり,その一挙手一投足には注目が集まる。電気料金がASEANで一番高い市場で,完全民営化に向かって進んでいるのだから,そこに金融界の競争が生じてもおかしくないが,やはりそのエネルギーは,社会基盤の整備に向けるべきと思う。
ファーストジェン(注15)が,その所有する水力発電所の資産105百万ドルを,関連会社であるEDC(注18)に売却した,その目的は,11月にも発生する410百万ドルの負債の穴埋めのためである。この意図の中には,株式市場の中での株価の動きに大いに関係しているし,最近の世界の金融危機で,融資を受けることが困難であることも反映している。
対象となっている売却対象は,ファーストジェン水力企業(注16)の株式60%であり,具体的な発電所は,112MW,パンタバンガン-マシウエー水力(注17)で,売却先はEDC(注18)である。この発電所が注目されているのは,ダム建設なしで増設できる可能性を持っていることである。EDC(注18)は,その安定以外に,将来の成長を買った,と見られている。
なお,ファーストジェン(注15)は,2006年にこの発電所を129百万ドルで買ったもので,現在では175百万ドルの資本評価と240百万ドルの企業価値と見られていた。今回,60%売却によって,36%のリターンを得たことになる。また,EDC(注18)は,地熱発電所を所有していて,将来は再生可能エネルギーの本拠を目指しており,水力は格好の買い物だったようだ。
しかし,既設の発電所を,このような形で売買されるのは全く気に入らない。事実,インドネシアやタイでは,このような感覚はない。電力は社会のための公器と考えられているので,国民生活のために如何に安全に供給するかがテーマーで,証券のように扱われたのではかなわない。フィリッピンがより進んでいる,と言う人もいるだろうが,今朝の新聞でも,米国発の金融危機で,市場のメカニズムも見直し基調であるという。
(注)(15) Philippine power producer First Gen Corp,(16) First Gen Hydro Power Corp,(17) the 112MW Pantabangan-Masiway hydroelectric power complex,,(18) Energy Development Corp,(19)
Reference
Philippines
●081017A Philippines, financeasia
ファーストジェン,水力発電所売却,赤字補填
First Gen sells assets to cut debt burden
http://www.financeasia.com/article.aspx?CIaNID=86915
India
●081017B India, kashmirobserver
インド野党PDP,政府はカシミールのNHPCプロジェクト,放棄せよ
Govt Should Scrap Deal with NHPC: PDP
http://www.kashmirobserver.com/index.php?option=com_content&view=article&id=1474:govt-should-scrap-deal-with-nhpc-pdp-&catid=50:localnews&Itemid=81
Indonesia
●081017C Indonesia, The Jakarta Post
プルタミナ,東部ジャワの西マドラ油田,持ち分増加を視野
Pertamina eyes bigger stake in Madura block
http://www.thejakartapost.com/news/2008/10/16/pertamina-eyes-bigger-stake-madura-block.html
「インド北辺水力開発に反旗」,タイの情勢が不穏である。カンボジアとの領土問題もさることながら,国軍トップのアヌポン陸軍司令官が「私が首相なら既に辞任している」とソムチャイ首相に事実上の辞任勧告を突き付けたことは,再び軍のクーデターの可能性もあると報じられている。メコン諸国の開発のリーダーであるタイの,一刻も早い安定を願う。
さて,インド北辺の水力開発は,インドの石炭火力の抑制に貢献するものとして,人類最後の戦いである,と位置づけてきた。インド政府も,ヒマラヤ周辺の水力には,大きな期待を持ち,また新政策を掲げて,地元便益優先の姿勢で臨んできた。あれほどの大規模水力の開発に,よく周辺住民が耐えられるか,私も関心を持って見てきたが,比較的平穏な成り行きに,意外感を覚えていた。
今日の記事が,果たして住民運動と関係あるのかどうか,それは単なる政治的な動きなのか,よく分からないところがあるが,厳しく批判ののろしを上げたのは,2004年に野党に下ったインド人民党(注1)のリーダーで元財務大臣のカラ氏(注2)である。政治的な背景は私は説明できないが,少なくとも地元住民を守ると言うよりは,州政府の立場を明確にせよ,と叫んでいるように見える。
カラ氏(注2)は,強い調子の声明書を読み上げた。ジャムカシミール州(注3)の土地,水資源などの天然資源を略奪に近い形で持って行く中央政府の政策に反対している。彼が指摘しているのは,ジャムカシミール州(注3)の7つの水力プロジェクトが,州政府からNHPC(注4)に引き渡されたことを言っている。
カラ氏(注2)は,この州政府の行為がインダス水条約(注5)に違反するもので,地元住民の水利用の権利を侵しており,州政府自体が使える水を殆どゼロにしている,と言うのである。彼は,皮肉にも,このような暴挙を行った州は,他の州にも影響を与えて,北部各州の経済繁栄を阻害するものだ,と攻撃している。
政治的な意図は全く不明であり,言葉も極めて厳しい表現を使っているが,カラ氏(注2)は,水力開発を止めろと言っているわけではなさそうだ。インドの電源開発は元々州政府が責任を持っていたもので,州政府としては,大規模水力の開発に当たって,資金調達などを考えると,政府系公社であるNHPC(注4)に開発を委譲した方がよい,と考えたのだろう。重要人物の思わぬ反対の激論で,周囲は戸惑っているかも知れない。
(注)(1) Peoples Democratic Party (PDP),(2) former Finance Minister Tariq Hameed Karra,(3) Jammu and Kashimir,(4) National Hydro Electric Power Corporation (NHPC),(5) Indus Water Treaty (IWT),(6) Salal and Uri Power Projects,
本文
●インド野党PDP,政府はカシミールのNHPCプロジェクト,放棄せよ
このカシミールを含むインド北辺の水力開発については,中央政府の強い開発への意志と,公社も含む民間資本の開発意欲が前面に出ていて,不思議なぐらい,開発反対の声は聞こえてこなかった。ナルマダ紛争で鍛えたインド国民であるが,あの熱気は今はない。政府の唱える大規模な水力は,案外円滑に実施されるのか,とも思っていたが,政治家から強硬な反対論が出てきた。
政治的な背景はよく分からないが,2004年に野党に下ったインド人民党(注1)のリーダーで元財務大臣のカラ氏(注2)が,強い調子の声明を発表した。ジャムカシミール州(注3)の土地,水資源などの天然資源を略奪に近い形で持って行く中央政府の政策に反対している。彼が指摘しているのは,ジャムカシミール州(注3)の7つの水力プロジェクトが,州政府からNHPC(注4)に引き渡されたことを言っている。
カラ氏(注2)は,この州政府の行為がインダス水条約(注5)に違反するもので,地元住民の水利用の権利を侵しており,州政府自体が使える水を殆どゼロにしている,と言うのである。彼は,皮肉にも,このような暴挙を行った州は,他の州にも影響を与えて,北部各州の経済繁栄を阻害するものだ,と攻撃している。
更に続いて,州政府はこの7つのプロジェクトを州に取り戻すだけでなく,インダス水条約(注5)に即して州の損失が起きないように,NHPC(注4)の有する二つの水力プロジェクト,サラールとウリ(注6)を州に返還させよ,と言っている。もしこの主張が受け入れられなければ,インド人民党(注1)は立ち上がり,調査行動を阻止するだろう。また中央政府は,州に対して600億ルピーに上る補償を行う必要がある,これは水条約違反と言うことから来る。
政治的な意図は全く不明であり,言葉も極めて厳しい表現を使っているが,カラ氏(注2)は,水力開発を止めろと言っているわけではなさそうだ。インドの電源開発は元々州政府が責任を持っていたもので,州政府としては,大規模水力の開発に当たって,資金調達などを考えると,政府系公社であるNHPC(注4)に開発を委譲した方がよい,と考えたのだろう。重要人物の思わぬ反対の激論で,周囲は戸惑っているかも知れない。
(注)(1) Peoples Democratic Party (PDP),(2) former Finance Minister Tariq Hameed Karra,(3) Jammu and Kashimir,(4) National Hydro Electric Power Corporation (NHPC),(5) Indus Water Treaty (IWT),(6) Salal and Uri Power Projects,
●インドネシア,プルタミナ,東部ジャワの西マドラ油田,持ち分増加を視野
最近のインドネシアは,原油の枯渇に戦いており,先日も,石油各社首脳を国会に招いて,今後の生産の見込みをヒアリングしたばかりである。その時の問答で,議員から出た疑念の中に,国営企業であるプルタミナ(注7)は生産量を増やしているのに,どうして海外資本は生産量を減らしているのか,というものがある。今回のこの東ジャワの西マドラ油田(注8)の問題も,ここから来ているのであろうか。
プルタミナのカレン副社長(注9)が記者会見に応じている。彼女によると,プルタミナ(注7)は現在50%のシェアーを保持しているが十分でないと言う。この油田は,原油日6,500バレル,ガス日45百万立方フィートを生産しているが,その運転は,25%シェアーの韓国のKEDECO(注10)に握られている。また中国のCNOOC(注11)も25%を持っている。プルタミナ(注7)の自由にならない,と言うわけである。
カレン副社長(注9)によると,プルタミナ(注7)は,西マドラ油田(注8)ばかりでなく,東カリマンタン,トータルのマハカム油田(注12),ティモール海,インペックスのマセラ沖合油田(注13),東カリマンタン沖,シェブロンの深水油田(注14)でもシェアーの拡大を計画しており,既に資金調達も終わっているが,今はその規模を明らかに出来ない,としている。
最近のインドネシアは,資源に関してますます国粋化を強めている。それは,最高裁がPLN完全民営化を違憲と判断したときが節目のような気がする。それまでは,電力でもエネルギーでも,競争市場の創出が大きな目標であったから。来年は大統領選挙が行われ,カラ副大統領も対抗馬として出馬するだろう。彼は開発にも熱心だが,中国の市場経済コントロールに大きな関心を示している。
(注)(7) state oil and gas company PT Pertamina,(8) the West Madura block, East Java,(9) Pertamina corporate vice president for upstream Karen Agustiawan,(10) South Korea's Kodeco Energy,(11) China's National Offshore Oil Corp. (CNOOC),(12) Total's Mahakam block in East Kalimantan,(13) Inpex's Masela offshore block in Timor Sea,(14) Chevron's deep-water fields off East Kalimantan,
●フィリッピン,ファーストジェン,水力発電所売却,赤字補填
相変わらず,フィリッピンの電源は売ったり買ったりで,電源開発の話は出てこない。今日の議論も,私にはよく分からないが,ファーストジェン(注15)はロペス財団によるフィリッピン有数の発電会社であり,その一挙手一投足には注目が集まる。電気料金がASEANで一番高い市場で,完全民営化に向かって進んでいるのだから,そこに金融界の競争が生じてもおかしくないが,やはりそのエネルギーは,社会基盤の整備に向けるべきと思う。
ファーストジェン(注15)が,その所有する水力発電所の資産105百万ドルを,関連会社であるEDC(注18)に売却した,その目的は,11月にも発生する410百万ドルの負債の穴埋めのためである。この意図の中には,株式市場の中での株価の動きに大いに関係しているし,最近の世界の金融危機で,融資を受けることが困難であることも反映している。
対象となっている売却対象は,ファーストジェン水力企業(注16)の株式60%であり,具体的な発電所は,112MW,パンタバンガン-マシウエー水力(注17)で,売却先はEDC(注18)である。この発電所が注目されているのは,ダム建設なしで増設できる可能性を持っていることである。EDC(注18)は,その安定以外に,将来の成長を買った,と見られている。
なお,ファーストジェン(注15)は,2006年にこの発電所を129百万ドルで買ったもので,現在では175百万ドルの資本評価と240百万ドルの企業価値と見られていた。今回,60%売却によって,36%のリターンを得たことになる。また,EDC(注18)は,地熱発電所を所有していて,将来は再生可能エネルギーの本拠を目指しており,水力は格好の買い物だったようだ。
しかし,既設の発電所を,このような形で売買されるのは全く気に入らない。事実,インドネシアやタイでは,このような感覚はない。電力は社会のための公器と考えられているので,国民生活のために如何に安全に供給するかがテーマーで,証券のように扱われたのではかなわない。フィリッピンがより進んでいる,と言う人もいるだろうが,今朝の新聞でも,米国発の金融危機で,市場のメカニズムも見直し基調であるという。
(注)(15) Philippine power producer First Gen Corp,(16) First Gen Hydro Power Corp,(17) the 112MW Pantabangan-Masiway hydroelectric power complex,,(18) Energy Development Corp,(19)
Reference
Philippines
●081017A Philippines, financeasia
ファーストジェン,水力発電所売却,赤字補填
First Gen sells assets to cut debt burden
http://www.financeasia.com/article.aspx?CIaNID=86915
India
●081017B India, kashmirobserver
インド野党PDP,政府はカシミールのNHPCプロジェクト,放棄せよ
Govt Should Scrap Deal with NHPC: PDP
http://www.kashmirobserver.com/index.php?option=com_content&view=article&id=1474:govt-should-scrap-deal-with-nhpc-pdp-&catid=50:localnews&Itemid=81
Indonesia
●081017C Indonesia, The Jakarta Post
プルタミナ,東部ジャワの西マドラ油田,持ち分増加を視野
Pertamina eyes bigger stake in Madura block
http://www.thejakartapost.com/news/2008/10/16/pertamina-eyes-bigger-stake-madura-block.html
2008年10月17日金曜日
米国がインドへ原子力通商使節団
HPは下記ドメインです。アフリカ,中東,南米,再生可能エネルギーの最前線もあり。http://my.reset.jp/~adachihayao/index.htm
「米国がインドへ原子力通商使節団」,2008年10月17日午前11時半時点で,日経平均は+129.66円の858.811円,円の対ドルは前日+1.19円の101.59円,原油は,ニューヨーク市場がバレル70ドルを切って68ドルまで下がり,今年7月の半値にまで落ちた。14ヶ月ぶりの安値という。OPECは緊急に来週に会合を持ち,減産を決めるだろうと見られている。(このHPも10年続き,今後の10年を考えると,その時々の時勢をメモしておく必要があることに気が付いた。)
さて,2008年10月3日,「インドの原子力開発加速へ」,と題して,米印原子力協力協定(注5)の発効に興奮するインド側民間企業の雰囲気を伝えたばかりである。10月10日にライス国務長官がニューデリーに降り立って,協定に署名,金融危機に揺れる米国の中でも,一つの明るい経済的な発展と見て,今日はワシントンの興奮を伝えている。インドの原子力の市場は,次の30年間で1,500億ドル,約15兆円相当,とされている。
先日のインド側から見た記事の引用。この先25年間で,60,000MWの原子力開発を計画しており,その費用は1,000億ドルと見られている。既に政府は10カ所の原子力地点を特定している。なぜか中国の計画を上回るインドの原子力開発計画である。中国は,2030年で4%の計画である。原子力業界は,中国もさることながら,インドへの参入で世界が競い合っている。
今回の協定発効に当たって,米国はインドの平和利用の原子炉に対する燃料供給を保証し,この1,500億ドルの商談を目指して,12月にも原子力産業通商使節団をインドへ送り込む。米国政府商務長官ギッテレッツ(注1)によって明らかにされたが,使節団を率いるのは米印ビジネス協会USIBC(注2)であるとした。今回の会議は,インド商工会議所CII(注3)とUSIBCが共催した,インドグリーン計画首脳会議(注4)である。
今日の記事の中で特徴的なのは,ギッテレッツ長官(注1)が,原子力のみでなく,幅広い米国の技術を,特にそのクリーンエネルギーや環境面で活かして,インドとの通商の幅を広げようとしている点である。原子力に続いて,まず最初に飲み水に触れたのは,インドの人口の飲料水の問題がこれから大きな問題になると想定したのだろう。勿論米国の関心はそれだけに留まらず,風力,水力,バイオマスなどの再生可能エネルギーへの協力にも言及している。
日本はどうなるのだろうか。前回も,インドの原子力業界を牽引する三つのグループ,東芝と米国ウエスティングハウス,三菱重工と仏アレバ,日立と米国のGE,と言う大きな流れに触れたが,国民感情を考えると,この提携関係の中で,日本の企業は動いて行かざるを得ないのであろう。この日本の3社が,更に米国の目指す幅広い環境協力の中で動こうとする日本の環境企業を牽引していくことが望まれる。
なお前回も触れたが,米印協定の前は,インドの原子力にはロシアが協力しており,インドは米印協定の傍ら,ロシアと軍事協定を締結するなど,中立的立場の固守を貫いていることと,今回のシン首相の努力を評価する与党と,これを米国への屈服だ,と非難する野党があることや,世界の世論でも,イスラエルやパキスタンや,これからのイランや北朝鮮はどうなるのか,また,パキスタンが中国と原子力協定を望んでいることなど,留意すべき点も多い。
(注)(1) US Commerce Secretary Carlos M. Gutierrez,(2) the US-India Business Council (USIBC),(3) the Confederation of Indian Industry (CII),(4) "Green India" Summit,(5) the landmark US-India nuclear cooperation bill,(6) the Convention of Supplementary Compensation for Nuclear Damage,(7) the Asia-Pacific Partnership (APP) on Clean Development and Climate,(8) Secretary of State Condoleezza Rice,(9) "unflinching support" to the nuclear deal with India,(10) USIBC President Ron Somers,(11) the Civilian Nuclear Cooperation Initiative,
本文
●米国企業,1,500億ドルのインド原子力に,12月にも調査団
2008年10月3日,「インドの原子力開発加速へ」,と題して,米印原子力協力協定(注5)の発効に興奮するインド側民間企業の雰囲気を伝えたばかりである。10月10日にライス国務長官がニューデリーに降り立って,協定に署名,金融危機に揺れる米国の中でも,一つの明るい経済的な発展と見て,今日はワシントンの興奮を伝えている。インドの原子力の市場は,次の30年間で1,500億ドル,約15兆円相当,とされている。
先日のインド側から見た記事の引用。この先25年間で,60,000MWの原子力開発を計画しており,その費用は1,000億ドルと見られている。既に政府は10カ所の原子力地点を特定している。なぜか中国の計画を上回るインドの原子力開発計画である。中国は,2030年で4%の計画である。原子力業界は,中国もさることながら,インドへの参入で世界が競い合っている。
今回の協定発効に当たって,米国はインドの平和利用の原子炉に対する燃料供給を保証し,この1500億ドルの商談を目指して,12月にも原子力産業通商使節団をインドへ送り込む。米国政府商務長官ギッテレッツ(注1)によって明らかにされたが,使節団を率いるのは米印ビジネス協会USIBC(注2)であるとした。今回の会議は,インド商工会議所CII(注3)とUSIBCが共催した,インドグリーン計画首脳会議(注4)である。
ギッテレッツ長官(注1)は,インド側に,協定の中の義務の遵守を改めて強調した。それはインド側に必要な国内法制度との整合であり,それは原子力被害特別補償制度協議会(注6)と関係してくる。更に長官は,2007年に於ける米印貿易は420億ドルだが,これは2005年に比べて55%の伸びを示している。米国としては,原子力のみでなく他のクリーンエネルギー,風力,バイオマス,水力,なども視野に入っている。当然,米国の有するクリーンエネルギー技術がその中核をなすと。
長官は,環境問題協力も重要な柱である,としている。特に,アジア太平洋クリーン開発気候パートナーシップ(注7)の枠組みを通じて協力を広げて行くとしている。米国はインドに対して,クリーンで安全で健康的な環境作りに協力する用意がある。ライス長官(注8)もソマーズUSIBC総裁(注10)に当てたレターの中で,「断固とした支援」(注9)を,原子力平和協力宣言(注11)を推進することを約束している。
この長文の記事を読むと,米国経済にとって,今回の原子力協定は,実に広範なインドとの経済関係強化を狙っているもので,単なる原子力だけで引き下がる米国産業界ではない,と言うことだ。その米国の視点は,今後インドで大いに問題になる水資源問題にも焦点が当たっており,特に10億の民への安全な飲料水の提供に,米国技術が大いに関わることも視野に入れている。再生可能エネルギーから環境全般までは,言うまでもないところである。
注(1) US Commerce Secretary Carlos M. Gutierrez,(2) the US-India Business Council (USIBC),(3) the Confederation of Indian Industry (CII),(4) "Green India" Summit,(5) the landmark US-India nuclear cooperation bill,(6) the Convention of Supplementary Compensation for Nuclear Damage,(7) the Asia-Pacific Partnership (APP) on Clean Development and Climate,(8) Secretary of State Condoleezza Rice,(9) "unflinching support" to the nuclear deal with India,(10) USIBC President Ron Somers,(11) the Civilian Nuclear Cooperation Initiative,
●中国,チベットで一連のダム開発を計画
2008年10月2日に,「アジア大陸の水源はチベット高原」,と題して,インドの教授の記事を解説したばかりである。特にチベットの下流にあるインドとして,チベットを中心とした水資源の源流に,何の相談もなくダム開発が行われることに,懸念を示していた。チベットはアジア大陸の水源だ,と言うものである。今日の記事は,当局の談話を交えながら,問題点を論じているが,まだ開発の実態は見えていない。
これは,地域の水資源責任者が記者に語ったものであるが,中国はチベット領内に一連の段階ダム計画を持っている,と言うところから始まっている。アジアの水源への影響を心配している人々や環境グループであるが,ラサの担当者は,チベットの貧困を救うには,ダム開発による水力発電が,もっとも適した経済開発の方法だ,と主張する。開発に当たっては,自然と社会に対するインパクトに心がける,としている。
当局によると,水力は,石油,ガス,原子力に比べてクリーンで効率的だと主張,2003年に行われた調査では,域内に年間1.8兆KWhの電力を包蔵しているという。具体的どこかと言うことは,今の段階では分からないが,少なくともブラマプトラ(注1)のような大河にはダムは造らない,としている。何処が開発の適地かとなると,上流は開発禁止,中流は多くの人が住んでいる,下流の峡谷部で住民が少ないところ,が開発のターゲットになるだろう,としている。
チベット当局の環境担当ホンシアン女史(注2)は,まだ調査の手が十分に入っていないチベットの水資源の開発には,慎重な手法を適用する,としている。ブリティッシュコロンビア大学のテッサリン氏(注3)は,環境に注意を払っても水質や自然流水の栄養循環などは忘れがちだ,とダムに反対する。彼は,以前は政府の開発政策には何も言えなかった住民だが,今では声を上げている,と言っている。
チベットは,開発の必要が叫ばれながら,具体的なダム開発計画が明らかにされない。前回のインドの教授の話によると,インドがもっとも警戒しているのは,大屈曲点と呼ばれている,ブラマプトラ河(注1)の中流部の大規模ダムである。中国政府は,この点に関しては黙して語らない。メコン川上流では,まだ下流が無関心に間に開発が進んだが,チベットは今,世界の注目を浴びている。温家宝首相も慎重にならざるを得ない。
注
(1) Brahmaputra,(2) Zhuang Hongxiang, an official at Tibet's environment bureau,(3) Tashi Tsering, a researcher on Tibetan water resources at the University of British Columbia,
Reference
India
●081016A India, siliconindia
米国企業,1500億ドルのインド原子力に,12月にも調査団
Eyeing India's $150 Billion nuclear pie, U.S. sending trade team in December
http://www.siliconindia.com/shownews/47726
China
●081016B China, unpo
中国,チベットで一連のダム開発を計画
Tibet China Plans String of Dams
http://www.unpo.org/content/view/8791/69/
「米国がインドへ原子力通商使節団」,2008年10月17日午前11時半時点で,日経平均は+129.66円の858.811円,円の対ドルは前日+1.19円の101.59円,原油は,ニューヨーク市場がバレル70ドルを切って68ドルまで下がり,今年7月の半値にまで落ちた。14ヶ月ぶりの安値という。OPECは緊急に来週に会合を持ち,減産を決めるだろうと見られている。(このHPも10年続き,今後の10年を考えると,その時々の時勢をメモしておく必要があることに気が付いた。)
さて,2008年10月3日,「インドの原子力開発加速へ」,と題して,米印原子力協力協定(注5)の発効に興奮するインド側民間企業の雰囲気を伝えたばかりである。10月10日にライス国務長官がニューデリーに降り立って,協定に署名,金融危機に揺れる米国の中でも,一つの明るい経済的な発展と見て,今日はワシントンの興奮を伝えている。インドの原子力の市場は,次の30年間で1,500億ドル,約15兆円相当,とされている。
先日のインド側から見た記事の引用。この先25年間で,60,000MWの原子力開発を計画しており,その費用は1,000億ドルと見られている。既に政府は10カ所の原子力地点を特定している。なぜか中国の計画を上回るインドの原子力開発計画である。中国は,2030年で4%の計画である。原子力業界は,中国もさることながら,インドへの参入で世界が競い合っている。
今回の協定発効に当たって,米国はインドの平和利用の原子炉に対する燃料供給を保証し,この1,500億ドルの商談を目指して,12月にも原子力産業通商使節団をインドへ送り込む。米国政府商務長官ギッテレッツ(注1)によって明らかにされたが,使節団を率いるのは米印ビジネス協会USIBC(注2)であるとした。今回の会議は,インド商工会議所CII(注3)とUSIBCが共催した,インドグリーン計画首脳会議(注4)である。
今日の記事の中で特徴的なのは,ギッテレッツ長官(注1)が,原子力のみでなく,幅広い米国の技術を,特にそのクリーンエネルギーや環境面で活かして,インドとの通商の幅を広げようとしている点である。原子力に続いて,まず最初に飲み水に触れたのは,インドの人口の飲料水の問題がこれから大きな問題になると想定したのだろう。勿論米国の関心はそれだけに留まらず,風力,水力,バイオマスなどの再生可能エネルギーへの協力にも言及している。
日本はどうなるのだろうか。前回も,インドの原子力業界を牽引する三つのグループ,東芝と米国ウエスティングハウス,三菱重工と仏アレバ,日立と米国のGE,と言う大きな流れに触れたが,国民感情を考えると,この提携関係の中で,日本の企業は動いて行かざるを得ないのであろう。この日本の3社が,更に米国の目指す幅広い環境協力の中で動こうとする日本の環境企業を牽引していくことが望まれる。
なお前回も触れたが,米印協定の前は,インドの原子力にはロシアが協力しており,インドは米印協定の傍ら,ロシアと軍事協定を締結するなど,中立的立場の固守を貫いていることと,今回のシン首相の努力を評価する与党と,これを米国への屈服だ,と非難する野党があることや,世界の世論でも,イスラエルやパキスタンや,これからのイランや北朝鮮はどうなるのか,また,パキスタンが中国と原子力協定を望んでいることなど,留意すべき点も多い。
(注)(1) US Commerce Secretary Carlos M. Gutierrez,(2) the US-India Business Council (USIBC),(3) the Confederation of Indian Industry (CII),(4) "Green India" Summit,(5) the landmark US-India nuclear cooperation bill,(6) the Convention of Supplementary Compensation for Nuclear Damage,(7) the Asia-Pacific Partnership (APP) on Clean Development and Climate,(8) Secretary of State Condoleezza Rice,(9) "unflinching support" to the nuclear deal with India,(10) USIBC President Ron Somers,(11) the Civilian Nuclear Cooperation Initiative,
本文
●米国企業,1,500億ドルのインド原子力に,12月にも調査団
2008年10月3日,「インドの原子力開発加速へ」,と題して,米印原子力協力協定(注5)の発効に興奮するインド側民間企業の雰囲気を伝えたばかりである。10月10日にライス国務長官がニューデリーに降り立って,協定に署名,金融危機に揺れる米国の中でも,一つの明るい経済的な発展と見て,今日はワシントンの興奮を伝えている。インドの原子力の市場は,次の30年間で1,500億ドル,約15兆円相当,とされている。
先日のインド側から見た記事の引用。この先25年間で,60,000MWの原子力開発を計画しており,その費用は1,000億ドルと見られている。既に政府は10カ所の原子力地点を特定している。なぜか中国の計画を上回るインドの原子力開発計画である。中国は,2030年で4%の計画である。原子力業界は,中国もさることながら,インドへの参入で世界が競い合っている。
今回の協定発効に当たって,米国はインドの平和利用の原子炉に対する燃料供給を保証し,この1500億ドルの商談を目指して,12月にも原子力産業通商使節団をインドへ送り込む。米国政府商務長官ギッテレッツ(注1)によって明らかにされたが,使節団を率いるのは米印ビジネス協会USIBC(注2)であるとした。今回の会議は,インド商工会議所CII(注3)とUSIBCが共催した,インドグリーン計画首脳会議(注4)である。
ギッテレッツ長官(注1)は,インド側に,協定の中の義務の遵守を改めて強調した。それはインド側に必要な国内法制度との整合であり,それは原子力被害特別補償制度協議会(注6)と関係してくる。更に長官は,2007年に於ける米印貿易は420億ドルだが,これは2005年に比べて55%の伸びを示している。米国としては,原子力のみでなく他のクリーンエネルギー,風力,バイオマス,水力,なども視野に入っている。当然,米国の有するクリーンエネルギー技術がその中核をなすと。
長官は,環境問題協力も重要な柱である,としている。特に,アジア太平洋クリーン開発気候パートナーシップ(注7)の枠組みを通じて協力を広げて行くとしている。米国はインドに対して,クリーンで安全で健康的な環境作りに協力する用意がある。ライス長官(注8)もソマーズUSIBC総裁(注10)に当てたレターの中で,「断固とした支援」(注9)を,原子力平和協力宣言(注11)を推進することを約束している。
この長文の記事を読むと,米国経済にとって,今回の原子力協定は,実に広範なインドとの経済関係強化を狙っているもので,単なる原子力だけで引き下がる米国産業界ではない,と言うことだ。その米国の視点は,今後インドで大いに問題になる水資源問題にも焦点が当たっており,特に10億の民への安全な飲料水の提供に,米国技術が大いに関わることも視野に入れている。再生可能エネルギーから環境全般までは,言うまでもないところである。
注(1) US Commerce Secretary Carlos M. Gutierrez,(2) the US-India Business Council (USIBC),(3) the Confederation of Indian Industry (CII),(4) "Green India" Summit,(5) the landmark US-India nuclear cooperation bill,(6) the Convention of Supplementary Compensation for Nuclear Damage,(7) the Asia-Pacific Partnership (APP) on Clean Development and Climate,(8) Secretary of State Condoleezza Rice,(9) "unflinching support" to the nuclear deal with India,(10) USIBC President Ron Somers,(11) the Civilian Nuclear Cooperation Initiative,
●中国,チベットで一連のダム開発を計画
2008年10月2日に,「アジア大陸の水源はチベット高原」,と題して,インドの教授の記事を解説したばかりである。特にチベットの下流にあるインドとして,チベットを中心とした水資源の源流に,何の相談もなくダム開発が行われることに,懸念を示していた。チベットはアジア大陸の水源だ,と言うものである。今日の記事は,当局の談話を交えながら,問題点を論じているが,まだ開発の実態は見えていない。
これは,地域の水資源責任者が記者に語ったものであるが,中国はチベット領内に一連の段階ダム計画を持っている,と言うところから始まっている。アジアの水源への影響を心配している人々や環境グループであるが,ラサの担当者は,チベットの貧困を救うには,ダム開発による水力発電が,もっとも適した経済開発の方法だ,と主張する。開発に当たっては,自然と社会に対するインパクトに心がける,としている。
当局によると,水力は,石油,ガス,原子力に比べてクリーンで効率的だと主張,2003年に行われた調査では,域内に年間1.8兆KWhの電力を包蔵しているという。具体的どこかと言うことは,今の段階では分からないが,少なくともブラマプトラ(注1)のような大河にはダムは造らない,としている。何処が開発の適地かとなると,上流は開発禁止,中流は多くの人が住んでいる,下流の峡谷部で住民が少ないところ,が開発のターゲットになるだろう,としている。
チベット当局の環境担当ホンシアン女史(注2)は,まだ調査の手が十分に入っていないチベットの水資源の開発には,慎重な手法を適用する,としている。ブリティッシュコロンビア大学のテッサリン氏(注3)は,環境に注意を払っても水質や自然流水の栄養循環などは忘れがちだ,とダムに反対する。彼は,以前は政府の開発政策には何も言えなかった住民だが,今では声を上げている,と言っている。
チベットは,開発の必要が叫ばれながら,具体的なダム開発計画が明らかにされない。前回のインドの教授の話によると,インドがもっとも警戒しているのは,大屈曲点と呼ばれている,ブラマプトラ河(注1)の中流部の大規模ダムである。中国政府は,この点に関しては黙して語らない。メコン川上流では,まだ下流が無関心に間に開発が進んだが,チベットは今,世界の注目を浴びている。温家宝首相も慎重にならざるを得ない。
注
(1) Brahmaputra,(2) Zhuang Hongxiang, an official at Tibet's environment bureau,(3) Tashi Tsering, a researcher on Tibetan water resources at the University of British Columbia,
Reference
India
●081016A India, siliconindia
米国企業,1500億ドルのインド原子力に,12月にも調査団
Eyeing India's $150 Billion nuclear pie, U.S. sending trade team in December
http://www.siliconindia.com/shownews/47726
China
●081016B China, unpo
中国,チベットで一連のダム開発を計画
Tibet China Plans String of Dams
http://www.unpo.org/content/view/8791/69/
2008年10月16日木曜日
フィリッピンの天然ガスと電気料金
HPは下記ドメインです。アフリカ,中東,南米,再生可能エネルギーの最前線もあり。http://my.reset.jp/~adachihayao/index.htm
「フィリッピンの天然ガスと電気料金」,2000年頃に,フィリッピンの西南沖のマランパヤ天然ガス田(注1)が発見されたときは,全く国内資源のなかったフィリッピンにとっては,衝撃的であった。今日は,このガス田から政府が取り上げているロイヤリティと,高い電気料金を結びつけて,ロペス財閥のロペス氏(注4)が,フィリッピン経済に思いを馳せながら,問題提起している。
大阪ガスがLNG計画を調査したときの報告書があるが,これに従うと,2001年10月にスタートしたマランパヤガス(注1)は,現在同国唯一の商業的ガス田で,バタンガス周辺の3個所の発電所(サンタリタ,イリハン,及びサンロレンツォ,計2,700MWで,365mmcfd(標準稼動時)が使用され,既に輸入石油代替効果により,国の財政や地域及び地球環境に大きく寄与している,と書かれている。
ファーストジェン(注3)のロペス会長(注5)は,上記3発電所のうち,サンタリタ,サンロレンツォの2カ所,約1,500MWを所有している。彼の言う数字は次の通り。天然ガスからの政府の徴収するロイヤリティは年間370億ペソの達している。5月の電気料金で見ると,もしこれを負荷率の高い企業にこの額で料金削減を行うと,KWh当たり4.36ペソ,約9.08セント相当,であったものが,2.57ペソ,約5.35セント相当,に激減する。これが企業の誘致となり,政府は逆に50億ペソの増収に跳ね返るだろう。
ここで彼は,東南アジアの電気料金を比較している。フィリッピンは最も高く,KWh当たり14セントに対して,タイは7セント,インドネシアは6セント,マレーシアとベトナムは6.3セント,と違いが明確である。フィリッピンの高い電気料金を何とかしなければ,フィリッピンの経済に波及が大きく,特に,エレクトロニクスと半導体産業への,所謂,高負荷率産業にその恩恵を与えるべきだ,としている。
彼によると,フィリッピンの輸出総額に占めるエレクトロニクスと半導体の輸出額は77%を占めているという。少し大きいような気がするが,後で調べてみよう。彼は,中国との比較を持ち出し,今後これらの産業が中国への移転を望むとすれば,フィリッピン経済への打撃は計り知れない,と言うのである。まあ彼も商売人だから,どの様な背景があるか分からないが,言葉はフィリッピン経済を思っている。ただ,彼のこの記事での最後の言葉は,「問題はそれを如何に実現するかだ。」(注5)。
大阪ガスLNG報告書http://www.jetro.go.jp/jetro/activities/oda/model_study/earth/pdf14/earth_002.pdf
本文
●シェナブ川のバギリハールダム,パキスタンは更に懸念
カシミールに於けるインドのバギリハールダム(注1),インドのシン首相()の呼びかけの演説で,パキスタンも協調路線へ向かうかと思われたが,そう簡単なものでもないらしい。イスラマバード発の記事では,パキスタン側がますます燃え上がっている。どうもパキスタンのザルダニ大統領(注6)が,国内意思統一のために仕掛けているような節も見受けられる。大統領の北京訪問はどうなったか。
ニューデリーがわざとパキスタン世論を攪乱するために,情報を流している,としている。その情報というのは,バギリハールダム(注1)を建設したシェナブ川(注2)上に,更に同規模のダムを12カ所建設する計画を持って,インドがすべて水を自由にし,下流農業国のパキスタンを息の根を止める,と言うのである。シン首相は,更に3地点のダム建設を,演説の中で発表しているが。
1960年に結ばれた両国のインダス条約(注3)に従うと,インドは,インダス流域の三つの河川,シェナブ川(注2),ジェルム川(注4),インダス川(注5)の水を止めたり流量を減らすことは出来ない,とされているが,インドはたびたびこれを侵していると言う。それは最初に1948年4月1日に起こって,パキスタン西部の8%の農地が干上がったと言う。
パキスタンのザルダニ大統領(注6)がニューヨークでシン首相に直接迫ったとされるパキスタン側の申し入れは,最近起こった下流流量毎秒9,000トン割れで,このような事態は両国の関係を悪化させる,と通告している。12のダム建設は,インド側が意図的に流した攪乱情報で,これに対して,パキスタン政府は,断固たる処置を執るべきだ,と主張している。
(注)(1) Baglihar Dam,(2) River Chenab,(3) 1960 Indus Basin Water Treaty,(4) Jhelum,(5) Indus,(6) President Asif Ali Zardari
●フィリッピン,マランパヤガスのロイヤリティ関連,料金カットは大口需要のみ
フィリッピンの悪名高い電気料金について,国内資源であるマランパヤガス田(注1)のロイヤリティが問題になっており,ファーストジェン(注3)のロペス会長(注5)が,その処置を政府に迫っている。その恩恵は特に,大口需要家(注2)を対象とすべきだ,と言っている。それは,フィリッピンへの投資を刺激するため,としている。
彼の言う数字は次の通り。天然ガスからの政府の徴収するロイヤリティは年間370億ペソの達している。5月の電気料金で見ると,もしこれを負荷率の高い企業にこの額で料金削減を行うと,KWh当たり4.36ペソ,約9.08セント相当,であったものが,2.57ペソ,約5.35セント相当,に激減する。これが企業の誘致となり,政府は逆に50億ペソの増収に跳ね返るだろう。
ロペス会長は続ける。特に,エレクトロニクスや半導体業界では,この事実は決定的である。これらの企業が,中国を選ぶかフィリッピンを選ぶか,と言うことになれば,大きな経済的な差が出てくる。ASEANの中で比べてみると良い。フィリッピンは最も高く,KWh当たり14セントに対して,タイは7セント,インドネシアは6セント,マレーシアとベトナムは6.3セント,と違いが明確である。
エレクトロニクスや半導体は,フィリッピンの輸出の77%,2007年時点,を占めているのである。電気料金が,如何にフィリッピンの経済を左右するか,重要なポイントである。しかし,最後にロペス会長の言葉は,「問題はそれを如何に実現するかだ。」(注5)
(注)(1) the Malampaya gas field project, (2) high load factor or power-intensive industries,(3) First Gen, (4) president Federico R. Lopez,(5) "how do we do that?"
●インド,KGガス田の供給紛争,NTPCとリライアンス,友好的に解決
非常に微妙な問題として,先日来,このHPでも10月3日(注1)に取り上げた問題で,政府の新しいガス政策によって,NTPCの新規発電所にKGガス(注4)が送れなくなり,NTPCを中心に,ムンバイでの訴訟委に発展しそうな状態であった。中央政府が,肥料関係が優先とガス基本政策(注2))に書いてある,と言ってこれを阻止し,リライアンス側が,政策決定の前に,発電所への供給は決定していた,と反論していたものである。
今日の記事によると,何か訳が分からないが,友好的に解決の方向に向かった,と言うことである。NTPCの幹部とラズダン電力省次官(注5)が火曜日に会談を持って,裁判所に持ち込まずに,リライアンスとの紛争を解決しようと言うことで,合意したようだ。両サイドともその詳細には口をつぐんでいる。
記事の中の数字について。NTPCは当初,グジャラート州のカワス(注9)とガンダール(注10)の両発電所について,リライアンスが,百万Btu当たり2.34ドル(注6)で供給されるものと理解していた。そこで,ハイドロカーボン総局長()が出てくるのだが,政府としては,2年前の価格交渉を破棄して,新たに百万Btu当たり42ドル(注8)として,11月にも解決を目指すとしている。
(注)(1) 081003B,(2) gas utilisation policy, (3) Reliance Industries (RIL),(4) Krishna-Godavari (KG) basin,(5) power secretary Anil Razdan,(6) $2.34 per million metric British thermal unit (mmbtu),(7) Directorate General of Hydrocarbons (DGH),(8) $4.2 mmbtu,(9) Kawas,(10) Gandhar
Reference
Pakistan
●081015A Pakistan, pakobserver
シェナブ川のバギリハールダム,パキスタンは更に懸念
Implications of more Baglihars on Chenab
http://pakobserver.net/200810/15/Editorial02.asp
Philippines
●081015B Philippines, Manila Bulletin
マランパヤガスのロイヤリティ関連,料金カットは大口需要のみ
Power rate cut from gas royalties proposed http://www.mb.com.ph/BSNS20081015138002.html
India
●081015C India, Economic Times
KGガス田の供給紛争,NTPCとリライアンス,友好的に解決
RIL, NTPC may smoke peace pipe on KG gas
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/RIL_NTPC_may_smoke_peace_pipe_on_KG_gas/articleshow/3596675.cms
「フィリッピンの天然ガスと電気料金」,2000年頃に,フィリッピンの西南沖のマランパヤ天然ガス田(注1)が発見されたときは,全く国内資源のなかったフィリッピンにとっては,衝撃的であった。今日は,このガス田から政府が取り上げているロイヤリティと,高い電気料金を結びつけて,ロペス財閥のロペス氏(注4)が,フィリッピン経済に思いを馳せながら,問題提起している。
大阪ガスがLNG計画を調査したときの報告書があるが,これに従うと,2001年10月にスタートしたマランパヤガス(注1)は,現在同国唯一の商業的ガス田で,バタンガス周辺の3個所の発電所(サンタリタ,イリハン,及びサンロレンツォ,計2,700MWで,365mmcfd(標準稼動時)が使用され,既に輸入石油代替効果により,国の財政や地域及び地球環境に大きく寄与している,と書かれている。
ファーストジェン(注3)のロペス会長(注5)は,上記3発電所のうち,サンタリタ,サンロレンツォの2カ所,約1,500MWを所有している。彼の言う数字は次の通り。天然ガスからの政府の徴収するロイヤリティは年間370億ペソの達している。5月の電気料金で見ると,もしこれを負荷率の高い企業にこの額で料金削減を行うと,KWh当たり4.36ペソ,約9.08セント相当,であったものが,2.57ペソ,約5.35セント相当,に激減する。これが企業の誘致となり,政府は逆に50億ペソの増収に跳ね返るだろう。
ここで彼は,東南アジアの電気料金を比較している。フィリッピンは最も高く,KWh当たり14セントに対して,タイは7セント,インドネシアは6セント,マレーシアとベトナムは6.3セント,と違いが明確である。フィリッピンの高い電気料金を何とかしなければ,フィリッピンの経済に波及が大きく,特に,エレクトロニクスと半導体産業への,所謂,高負荷率産業にその恩恵を与えるべきだ,としている。
彼によると,フィリッピンの輸出総額に占めるエレクトロニクスと半導体の輸出額は77%を占めているという。少し大きいような気がするが,後で調べてみよう。彼は,中国との比較を持ち出し,今後これらの産業が中国への移転を望むとすれば,フィリッピン経済への打撃は計り知れない,と言うのである。まあ彼も商売人だから,どの様な背景があるか分からないが,言葉はフィリッピン経済を思っている。ただ,彼のこの記事での最後の言葉は,「問題はそれを如何に実現するかだ。」(注5)。
大阪ガスLNG報告書http://www.jetro.go.jp/jetro/activities/oda/model_study/earth/pdf14/earth_002.pdf
本文
●シェナブ川のバギリハールダム,パキスタンは更に懸念
カシミールに於けるインドのバギリハールダム(注1),インドのシン首相()の呼びかけの演説で,パキスタンも協調路線へ向かうかと思われたが,そう簡単なものでもないらしい。イスラマバード発の記事では,パキスタン側がますます燃え上がっている。どうもパキスタンのザルダニ大統領(注6)が,国内意思統一のために仕掛けているような節も見受けられる。大統領の北京訪問はどうなったか。
ニューデリーがわざとパキスタン世論を攪乱するために,情報を流している,としている。その情報というのは,バギリハールダム(注1)を建設したシェナブ川(注2)上に,更に同規模のダムを12カ所建設する計画を持って,インドがすべて水を自由にし,下流農業国のパキスタンを息の根を止める,と言うのである。シン首相は,更に3地点のダム建設を,演説の中で発表しているが。
1960年に結ばれた両国のインダス条約(注3)に従うと,インドは,インダス流域の三つの河川,シェナブ川(注2),ジェルム川(注4),インダス川(注5)の水を止めたり流量を減らすことは出来ない,とされているが,インドはたびたびこれを侵していると言う。それは最初に1948年4月1日に起こって,パキスタン西部の8%の農地が干上がったと言う。
パキスタンのザルダニ大統領(注6)がニューヨークでシン首相に直接迫ったとされるパキスタン側の申し入れは,最近起こった下流流量毎秒9,000トン割れで,このような事態は両国の関係を悪化させる,と通告している。12のダム建設は,インド側が意図的に流した攪乱情報で,これに対して,パキスタン政府は,断固たる処置を執るべきだ,と主張している。
(注)(1) Baglihar Dam,(2) River Chenab,(3) 1960 Indus Basin Water Treaty,(4) Jhelum,(5) Indus,(6) President Asif Ali Zardari
●フィリッピン,マランパヤガスのロイヤリティ関連,料金カットは大口需要のみ
フィリッピンの悪名高い電気料金について,国内資源であるマランパヤガス田(注1)のロイヤリティが問題になっており,ファーストジェン(注3)のロペス会長(注5)が,その処置を政府に迫っている。その恩恵は特に,大口需要家(注2)を対象とすべきだ,と言っている。それは,フィリッピンへの投資を刺激するため,としている。
彼の言う数字は次の通り。天然ガスからの政府の徴収するロイヤリティは年間370億ペソの達している。5月の電気料金で見ると,もしこれを負荷率の高い企業にこの額で料金削減を行うと,KWh当たり4.36ペソ,約9.08セント相当,であったものが,2.57ペソ,約5.35セント相当,に激減する。これが企業の誘致となり,政府は逆に50億ペソの増収に跳ね返るだろう。
ロペス会長は続ける。特に,エレクトロニクスや半導体業界では,この事実は決定的である。これらの企業が,中国を選ぶかフィリッピンを選ぶか,と言うことになれば,大きな経済的な差が出てくる。ASEANの中で比べてみると良い。フィリッピンは最も高く,KWh当たり14セントに対して,タイは7セント,インドネシアは6セント,マレーシアとベトナムは6.3セント,と違いが明確である。
エレクトロニクスや半導体は,フィリッピンの輸出の77%,2007年時点,を占めているのである。電気料金が,如何にフィリッピンの経済を左右するか,重要なポイントである。しかし,最後にロペス会長の言葉は,「問題はそれを如何に実現するかだ。」(注5)
(注)(1) the Malampaya gas field project, (2) high load factor or power-intensive industries,(3) First Gen, (4) president Federico R. Lopez,(5) "how do we do that?"
●インド,KGガス田の供給紛争,NTPCとリライアンス,友好的に解決
非常に微妙な問題として,先日来,このHPでも10月3日(注1)に取り上げた問題で,政府の新しいガス政策によって,NTPCの新規発電所にKGガス(注4)が送れなくなり,NTPCを中心に,ムンバイでの訴訟委に発展しそうな状態であった。中央政府が,肥料関係が優先とガス基本政策(注2))に書いてある,と言ってこれを阻止し,リライアンス側が,政策決定の前に,発電所への供給は決定していた,と反論していたものである。
今日の記事によると,何か訳が分からないが,友好的に解決の方向に向かった,と言うことである。NTPCの幹部とラズダン電力省次官(注5)が火曜日に会談を持って,裁判所に持ち込まずに,リライアンスとの紛争を解決しようと言うことで,合意したようだ。両サイドともその詳細には口をつぐんでいる。
記事の中の数字について。NTPCは当初,グジャラート州のカワス(注9)とガンダール(注10)の両発電所について,リライアンスが,百万Btu当たり2.34ドル(注6)で供給されるものと理解していた。そこで,ハイドロカーボン総局長()が出てくるのだが,政府としては,2年前の価格交渉を破棄して,新たに百万Btu当たり42ドル(注8)として,11月にも解決を目指すとしている。
(注)(1) 081003B,(2) gas utilisation policy, (3) Reliance Industries (RIL),(4) Krishna-Godavari (KG) basin,(5) power secretary Anil Razdan,(6) $2.34 per million metric British thermal unit (mmbtu),(7) Directorate General of Hydrocarbons (DGH),(8) $4.2 mmbtu,(9) Kawas,(10) Gandhar
Reference
Pakistan
●081015A Pakistan, pakobserver
シェナブ川のバギリハールダム,パキスタンは更に懸念
Implications of more Baglihars on Chenab
http://pakobserver.net/200810/15/Editorial02.asp
Philippines
●081015B Philippines, Manila Bulletin
マランパヤガスのロイヤリティ関連,料金カットは大口需要のみ
Power rate cut from gas royalties proposed http://www.mb.com.ph/BSNS20081015138002.html
India
●081015C India, Economic Times
KGガス田の供給紛争,NTPCとリライアンス,友好的に解決
RIL, NTPC may smoke peace pipe on KG gas
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/RIL_NTPC_may_smoke_peace_pipe_on_KG_gas/articleshow/3596675.cms
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