2008年10月25日土曜日

丸紅のフィリッピンへの取り組み

HPは下記ドメインです。アフリカ,中東,南米,再生可能エネルギーの最前線もあり。http://my.reset.jp/~adachihayao/index.htm

「丸紅のフィリッピンへの取り組み」,世界の経済情勢は更に悪化の度を深めている。東京株式市場は7,649円まで来て,バブル後最安値の7,609円に近づいてきた。ニューヨークが昨夜500ドルを超えて下げているので,10月27日,月曜日の東京市場が気になるところであるが,私は政府に任せて早朝から測量に出かける。二日続きなので,更新遅れで迷惑かけるかも。株よりももっと激しいのは円高,欧州市場では対ドル90円台まで来ている。電力の値上げ方針はどうなるのか,景気懸念で値上げ方針は変わらず,と関電社長が会見していた。

原油価格は,ニューヨーク取引でバレル70ドルを割って68ドルまで落ちてきている。昨日ガソリンスタンドに寄ったらリッター139円まで下げていた。オッサンが私の車を指でなぞりながら,ガソリン下がったので車洗って行ってよ,と言われた。OPECの減産は150万バレルに抑えたようだ。世界の生産高は日8,700万バレルでOPEC11カ国で30%だから,生産減は5%か。ここまで下がってまた150ドル,なんて言う日があるのですかね。でも,株の上げ下げの幅ももう慣れてきたから,原油が一度に50ドルぐらい上げても,感じないかも知れないですね。

今日の主題,丸紅がフィリッピンのエネルギーで活躍していることは知っていたが,ファーストジェン(注2)などの激しい買収劇に,丸紅の名前も現地の新聞を飾るようになってきた。JBIC解体ながらも,日本政策銀行に移った国際金融の支援を受けながら,丸紅は元気である。特に今日の記事で思うのは,私の意図に反して,フィリッピン政府は再生可能エネルギーに大きく梶を切った,それに丸紅が乗って行こうというわけだ。

丸紅からは何の発表もないが,今日のマニラブリテンの記事を借りると,具体的には,ファーストジェン(注2)側の情報では,丸紅(注6)は既にレッドバルカン(注7)の買収でファーストジェン(注2)と合意した。このレッドバルカン(注7)は,2007年11月のフィリッピン最大の地熱発電の売却入札に勝ったEDC(注3)の株式60%を所有している。ファーストジェン(注2)によると,この丸紅(注6)関連の手続きは年内に完了する,としている。

ファーストジェン(注2)会長のロペス氏(注8)は,この丸紅(注6)の参入は,丸紅(注6)とEDC(注3)の互いに得意なノウハウが活かされて,大きな収益に繋がる,レバレジだ,と期待している。タントコ運転責任者(注9)も同様趣旨の発言に付け加え,海外への飛躍に期待がかかっている。EDC(注3)を足がかりに,ロペス財団が丸紅(注6)の協力を得て,海外を視野に置いていることが見えてくる。また,丸紅の再生可能エネルギーの中には,ファーストジェン(注2)が60%の資本を持つファーストジェン水力(注4)が保有する,112MW,パンタバンガン-マシウエイ水力(注5)がある。なお,ファーストジェン(注2)は,発電設備2,582MW,フィリッピン全土の17%を持つ有数の発電企業である。

私にはとても複雑な構図に見えて,図でも書いてみなければ分からないが,丸紅が,国際金融の支援を受けて,フィリッピンが目指すエネルギーの国産化,再生可能エネルギー開発の方針に乗って,深くその核心に迫っている,と言う状況はよく分かる。丸紅側の発表がないか調べてみたが,まだその段階ではないようだ。ただ,私はいつも繰り返すように,ゼロサムゲームの買収劇を,新規電源開発へのエネルギーとして欲しい。

(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081017A.htm,(2) Philippine power producer First Gen Corp,(3) Energy Development Corp,(4) First Gen Hydro Power Corp,(5) the 112MW Pantabangan-Masiway hydroelectric power complex,,(6) Japanese conglomerate Marubeni Corp,(7) Red Vulcan Holdings Corp,(8) Federico Lopez, president and chief executive officer of First Gen,(9) First Gen chief operating officer Richard Tantoco,(10)

本文

●丸紅,フィリッピンの再生可能を視野に,EDC株式視野か

少し錯綜してきて難しくなってきたところで,丸紅のフィリッピンの再生可能エネルギーへの参入が浮かび上がってくる。NEDOの報告書によると,2007年5月のアロヨ大統領訪日の際に,JBICの篠沢恭助総裁との会談で,一層のJBICのエネルギー支援が話し合われたが,特にフィリッピン各地の電力分野で活躍する丸紅への電力事業支援が,話題に取り上げられている。

また2008年10月17日の本欄(注1)では,ファーストジェン(注2)が,その所有する水力発電所の資産105百万ドルを,関連会社であるEDC(注3)に売却し,売却対象は,ファーストジェン水力企業(注4)の株式60%であり,具体的な発電所は,112MW,パンタバンガン-マシウエー水力(注5)で,売却先はEDC(注3)である。この発電所が注目されているのは,ダム建設なしで増設できる可能性を持っていることである。EDC(注3)は,その安定以外に,将来の成長を買った,と見られている,と報告されている。

今日のマニラブリテンの記事は,更にこの上に,丸紅(注6)のフィリッピン戦略が重なってくる。丸紅(注6)は,ロペス財団の保有するファーストジェン(注2)の株式40%獲得を真剣に考えているようだ。この40%と言う数字は,国家石油PNOCとEDC(注3)を通じて,地熱発電事業をコントロールするに十分なシェアーである。

ファーストジェン(注2)側の情報では,丸紅(注6)は既にレッドバルカン(注7)の買収でファーストジェン(注2)と合意した。このレッドバルカン(注7)は,2007年11月のフィリッピン最大の地熱発電の売却入札に買ったEDC(注3)の株式60%を所有している。ファーストジェン(注2)によると,この丸紅(注6)関連の手続きは年内に完了する,としている。

ファーストジェン(注2)会長のロペス氏(注8)は,この丸紅(注6)の参入は,丸紅(注6)とEDC(注3)の互いに得意なノウハウが活かされて,大きな収益に繋がる,と期待している。タントコ運転責任者(注9)も同様趣旨の発言に付け加え,海外への飛躍に期待がかかっている。EDC(注3)を足がかりに,ロペス財団が丸紅(注6)の協力を得て,海外を視野に置いていることが見えてくる。

最近の報道(注1)にもあるように,EDC(注3)は事業の多様化を狙って,ファーストジェン(注2)が60%の資本を持つファーストジェン水力(注4)が保有する,112MW,パンタバンガン-マシウエイ水力(注5)に関心を持っている。なお,ファーストジェン(注2)は,発電設備2,582MW,フィリッピン全土の17%を持つ有数の発電企業である。

私にはとても複雑な構図に見えて,図でも書いてみなければ分からないが,丸紅が,旧JBICの支援を受けて,フィリッピンが目指すエネルギーの国産化,再生可能エネルギー開発の方針に乗って,深くその核心に迫っている,と言う状況はよく分かる。丸紅側の発表がないか調べてみたが,まだその段階ではないようだ。ただ,私はいつも繰り返すように,ゼロサムゲームの買収劇を,新規電源開発へのエネルギーとして欲しい。

(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081017A.htm,(2) Philippine power producer First Gen Corp,(3) Energy Development Corp,(4) First Gen Hydro Power Corp,(5) the 112MW Pantabangan-Masiway hydroelectric power complex,,(6) Japanese conglomerate Marubeni Corp,(7) Red Vulcan Holdings Corp,(8) Federico Lopez, president and chief executive officer of First Gen,(9) First Gen chief operating officer Richard Tantoco,(10)

●ADB,インドのヒマチャルの水力へ8億ドル支援

インドのヒマチャルプラデシュ州(注10)は,私の読者にはなじみの州だろう。インドの北西部にあって全域が山岳地帯,インダス川の支流が多くパキスタンに流れ込み,最近もパキスタンと水問題で多くの話題(注11)を,このHPにも提供している。今までは,大体においてインドの自己資本で水力開発を進めてきたが,日本政府なども,インドの石炭火力抑制やCDMの観点から,支援を検討していると聞く。今回はADB(注12)の話題であるが,このような大きな公的資金が入るのは,初めてではないか。

今日の記事は,不思議なことに,マニラに駐在する中国の記者の記事である。ADB(注12)の木曜日の発表であるが,水力開発を目指すヒマチャルプラデシュ州(注10)政府当局に直接,8年間総額8億ドルの借款供与を決めた。対象は流れ込み式水力(注14)で出力合計808MWである。ヒマチャルプラデシュ州(注10)の包蔵水力は,20,415MWでインド全土の25%であり,6,150MWが既開発である。

ヒマチャルプラデシュ州(注10)政府では,2006年に,「水力開発政策(注15)」を定めている。ADBのジェフェリス氏(注16)は,このADBプロジェクトが,そのクリーンエネルギーとしての役割を説明している。現在のところ具体化しているプロジェクトは,111MW,サウラクドウ水力(注17)と65MW,カシャン第1水力(注18)の2地点で,150百万ドルの25年ローンである。

私は,ADB(注12)が,流れ込み式水力(注14)にこだわっているところに注目する。パキスタンとの間でいつも問題になる,大ダム建設による下流の流量の変化の問題に関わりたくない,との意思表示である。それと,地方の便益に重点を置いた説明は,本格的なヒマチャルプラデシュ州(注10)の大規模水力には手が出せないと言うこと意味する。また,中国紙が報じたことについて,ヒマチャルプラデシュ州(注10)はその北西部で中国と国境を接していることに留意したい。

(注) (10) Himachal Pradesh,(11) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081019E.htm,(12) The Asian Development Bank (ADB),(13) ADB to provide $800 mln loan to India to develop hydropower ,(14) run-of-river hydropower generating plants,(15) a Hydro Power Policy。(16) Andrew Jeffries, an Energy Economist at ADB's South Asia Department,(17) the 111-MW Sawra Kuddu Hydroelectric Project on the Pabber river in Shimla district,(18) the 65-MW Kashang I Hydroelectric Project located in Kinnaur district,(19)

●ヒマチャル州政府とSJVN,775MWルーリ水力で協定

SJVNL(注19)は,ヒマチャルプラデシュ州(注20)で育った水力開発企業である。記事にも出てくるが,既に株式上場も視野に入れ,ネパールやブータンにも進出しようと言う,地域の国際的な大企業に育って行きつつある。本日の記事にもあるように,ADB(注21)が,流れ込み式水力にしか手を出せない現状で,ヒマチャルプラデシュ州(注20)の水力開発の主役を担おうとしている。

首都シムラ(注22)発の記事である。ヒマチャルプラデシュ州(注20)州政府筋によると,2008年10月27日にも,ドウマル州政府首相(注23)が主宰して,ヒマチャルプラデシュ州(注20)州政府とSJVNL(注19)の間で,775MW,ルーリ水力(注24)と,40MW,ダウラシディ水力(注25)の実施に関して,合意書への署名式が行われる。

ルーリ水力(注24)は,流れ込み式水力で,412MW,ランプール水力発電所(注26)の下流に始まる長大トンネル工事を伴い,発電所はスニ(注27)付近に屋外発電所が設けられる。SJVNL(注19)は,首都シムラ(注22)から140kmの位置にある国内最大水力,1,500MW,ジャクリ発電所(注28)を持っている。SJVNL(注19)の持つランプール水力発電所(注26)は現在工事中である。

また更にSJVNL(注19)は,東にウタランチャル(注29)にまで手を伸ばし,300MW,デブサリ水力(注30),33MW,ジャコールサンカリ水力(注31),35MW,デブラモリ水力(注32)を手がけている。更に,ネパールやブータンの水力も視野に入れている。

この記事は,ヒマチャルプラデシュ州(注20)の地元紙による。私も,一生懸命,ヒマチャルプラデシュ州(注20)の水力発電所の位置を追いかけているが,なかなか位置が分からず,手間取っている。私が関電に入社した頃,木曽川に5年間いたが,水力開発の親分がいて,スタッフ賀もなその人について,次から次へと水力を開発していた情景と重なる部分がある。

(注) (19) Satluj Jal Vidyut Nigam (SJVNL),(20) Himachal Pradesh,(21) The Asian Development Bank (ADB),(22) Simla,(23) Chief minister Prem Kumar Dhumal,(24) the 775 MW Luhri hydro-electric project on Satluj River,(25) 40 MW Dhaulasidh project in Hamirpur district on Beas River,(26) the 412 MW Rampur project,(27) Sunni,(28) the country’s largest hydro power plant of 1500 MW generation capacity at Jhakri,(29) Uttaranchal,(30) 300 MW Devsari project,(31) 33 MW Jhakol Sankari project,(32) 35 MW Devra Mori project,(33)

●韓国,ネパールのチャムリア水力へ35億ルピー

ネパールの水力開発は,初のネパール共和国首相プラチャンダーの,向こう10年間で10000MWの水力開発を行う(注33)との大構想に基づき,インドの民間企業を中心に,大きな流れになろうとしている。中国企業の参入も噂されるところであるが,やはり政治体制が緒に就いたばかりであり,各国ともおそるおそる,と言う感じである。

今日の記事は地元紙カトマンズー発である。韓国側,カトマンズー駐在サンジュン韓国大使(34)と,ネパール側,アチャリャ財務次官(注35)との間で,総額35.4億ルピーの借款合意がなされた。対象は,30MW,工事中のチャメリア水力(注36)で,NEA(注37)が工事を行っている。ローンは韓国輸出入銀行(注38)を通じて行われる。チャメリア水力(注36)はダムはなく,2011年5月完成の予定である。

(注) (33) http://my.reset.jp/~adachihayao/index080929A.htm,(34) Ambassador of the republican of Korea to Nepal Nam Sang-Jung,(35) Secretary at the Ministry of Finance Rameshwor Acharya,(36) he Chameliya hydro project at the Chameliya river of Shikhar VDC in Darchula district,(37) the Nepal Electricity Authority (NEA),(38) the Expert-Import bank of Korea,(39)

Reference

Philippines

●081024A Philippines, Manila Bulletin
丸紅,フィリッピンの再生可能を視野に,EDC株式視野か
Japans Marubeni eyes stake in EDC
http://www.yourrenewablenews.com/japans+marubeni+eyes+stake+in+edc_13592.html

Nepal

●081024B Nepal, kantipuronline
韓国,ネパールのチャムリア水力へ35億ルピー
S Korea pledges Rs 3.54 billion loan for Chameliya hydropower
http://www.kantipuronline.com/kolnews.php?&nid=164479

India

●081024C India, himachal
ヒマチャル州政府とSJVN,775MWルーリ水力で協定
Himachal To Ink Agreement For 775 MW Luhri Project With SJVNL Next Week
http://himachal.us/2008/10/23/himachal-to-ink-agreement-for-775-mw-luhri-project-with-sjvnl-next-week/7371/news/ravinder
●081024D India, news.xinhuanet
ADB,インドのヒマチャルの水力へ8億ドル支援
ADB to provide $800 mln loan to India to develop hydropower
http://news.xinhuanet.com/english/2008-10/23/content_10241483.htm

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