2008年10月2日木曜日

インドの配電組織改革

HPは下記ドメインです。
http://my.reset.jp/~adachihayao/index.htm

「インドの配電組織改革」,今日の記事は,そのタイトルが魅力的だったので主題に取り上げたが,正直言って,私には大変に難しい英文だった。結局何を言っているのか分からなかった。送配電損失の話から始まっていたから,これはインドで最大の問題を総括的に扱っているな,と思いこんだわけである。おそらく,私の勘を交えた判断では,自由化されていく配電会社の割り振りについて,売却する方と入札する方を,正しい方向に導こうとしているのだろう。

最後の文節が要約しているのかなと思い,恥ずかしいが精一杯,日本訳に取り組んでみた。おそらくある既存の配電区域を売りに出す場合だと思うが,

「売りに出す政府側と配電企業側は,その営業区域を業績内容を明らかにして競売することにより,最大限の効果を演出できる。入札する側の期待は現実に沿ったものでなければならない。いろいろな例を見ると,目標は実際よりも高くその実現は拙速である。これでは非能率とならざるを得ないし,売る企業側は少ない中身をそのままにして,出来るだけ信頼度の高い競争者を惹き付けようとする。関心を起こさせるための表現は簡単にして,ゲーム感覚を防ぎ,契約を合理的な内容にして,入札者達が,長期に亘る展望を持つことができ,ただ手の届く果実だけをとる,と言うようなことを避けさせねばならない。」。これでは一般的な商売の話と一緒ではないか。

Governments and distribution utilities can unlock a huge value by auctioning franchisee areas on performance parameters. The expectations should be realistic; in some instances, the target (reserve price) was steep and kicked in early. This is counterproductive, and utilities would do well to leave a little meat in to attract reliable contenders. It should keep the incentive design simple to forestall gaming, and structure contract for a reasonable term so that bidders offer long-term solutions and aim not just at low hanging fruit.

私のメモの中にも,次のような記述がある。新電気事業法2003の中の第62条では,同じ地域の中に複数の配電業者の存在を認めており,また第14条では,複数の配電業者の中でも独立の配電網の存在を認めている。これらの場合にも,電気料金には規制委員会が最大の頭打ち料金を設定する。デリーでも,Reliance のBSESとタタ電力の配電企業が競い合っている。

ある州では警察を入れて盗電を取り締まって,配電損失を改善している。配電損失をなくすれば,インドの電力需給は改善される,と言う議論をしていたときに,ちょっと待てよ,と言うことになった。盗電は立派な需要ではないか,ただ電気料金がフリーなだけだ,それならインドの農業需要と一緒ではないかと。インドの農業用電力料金は低く抑えられていて,電力経済を圧迫している。

今日は,全く無駄な時間を過ごさせてしまって申し訳ない。この記事は非常に不思議な文章である,インドらしい含みが多いので,大学の入試問題に出したら良いような英文である。インドでは,供給力不足の問題と同時に,送配電上の損失が大きな問題になっており,しかも,配電損失の実態がつまめず,その改善に苦慮している。JICAなど日本の技術陣もこの改善のために多くの開発調査や配電網改善の資金協力を行ってきた。

本文

●インド電力セクターの究極の問題は過大な損失

非常に不思議な文章である,インドらしい含みが多いので,大学の入試問題に出したら良いような英文である。インドでは,供給力不足の問題と同時に,送配電上の損失が大きな問題になっており,しかも,配電損失の実態がつまめず,その改善に苦慮している。JICAなど日本の技術陣もこの改善のために多くの開発調査や配電網改善の資金協力を行ってきた。

この記事の言うところは,次の点か。確かにインドの電力事業に於ける損失は極めて大きい。全体では年間2,500億ルピー,約56億ドル相当にも上り,需要家一人当たりに直すと37.2ドルにも達する。インドの電力の最後の目標は,この損失を削減することにあると思っている人が多い。しかし問題は,配電事業のあり方である。私も少し自信がないが,次のように筋道を展開している。

それは,配電事業が,供給信頼度を改善し,顧客サービスを向上し,配電コストを削減することに尽きる。配電自由化によって様々な形態の配電企業が生まれているが,遠隔地に於ける企業には事業としてのインセンティブがないが,都市のフランチャイズ型の企業には健全な企業も多い。配電企業が生まれるときに,州政府などの出す入札時の,十分な調査が行われていないケースが目立つ。まあ,何を言っているのか良く分からない。英語の読解力にもよる。それほどこの英語は,簡単そうで難しい。

私のメモの中にも,次のような記述がある。新電気事業法2003の中の第62条では,同じ地域の中に複数の配電業者の存在を認めており,また第14条では,複数の配電業者の中でも独立の配電網の存在を認めている。これらの場合にも,電気料金には規制委員会が最大の頭打ち料金を設定する。デリーでも,Reliance のBSESとタタ電力の配電企業が競い合っている。

ただ,我々の調査でも,電力の損失が40%近くに上る州もあり,やはり,何と言ってもインドに於ける電力損失は大問題である。過去の報告を見ると,01年度は2526億に対して,02年度は3318億ルピーと急激に増大した。損失の主たる原因は,技術的欠陥と盗電である。
この盗電の問題については,我々が Andera Pradesh 州を訪問したとき,警察力を導入することによって,損失が随分軽減された,と聞かされた。おそらく半分ぐらいは盗電ではないか,思わず軽率な判断をしてしまいかねない。現在,第11次五カ年計画で70,000MW開発という大きな目標を掲げて,電源開発に取り組んでいるが,損失の問題をいつまでも放置しておく訳にはいかないだろう。

●フィリッピン,PSALM,発電資産売却に投資家,15グループ

フィリッピン電力セクター改革の基本的な問題だが,2001年の包括電気事業法改正 Electric Power Industry Reform Act of 2001 の元で,PSALMが組織されて,国家電力公社 National Power Corp. (Napocor) の負債70億ドル相当を返済するために,発電所の売却に踏み切った。法律によれば,需要家からの自由な電源の選択,即ちオープンアクセスの環境を確保するため,Napocor の有していた電源設備の70%の売却に踏み切った分けである。

今回売りに出される発電所群は, 0.8-megawatt Amlan hydroelectric facility, 108-megawatt Aplaya,22.3-megawatt General Santos diesel power plant package,146.5-megawatt Panay,22-megawatt Bohol diesel power complex などで,PSALMによると,既に多くの入札グループが現場説明に押しかけている,と言うことである。政府は,年内にも,70%のラインを確保したいとしている。

なお,今回,Napocor の総裁が交代し,新総裁には,2003年3月からPSALMの副総裁を勤めた Froilan Tampinco が就任することになり,また彼は,PSALMに行く前は,Napocor の営業部門の副総裁を務めていた。何か,たらい回しですね。

Reference

Philippines

●081001A Philippines, Manila Bulletin
PSALM,発電資産売却に投資家,15グループ
Investors Keen on Napocorplants, Says Psalm
http://www.istockanalyst.com/article/viewiStockNews+articleid_2663762.html

India

●081001C India, Economic Times
インド電力セクターの究極の問題は過大な損失
The last-mile problem in efficiency
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/The_last-mile_problem_in_efficiency/articleshow/3547225.cms

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