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アフリカ,中東,南米,再生可能エネルギーの最前線もあり。http://my.reset.jp/~adachihayao/index.htm
「ADBが初めてベトナム水力支援」,ベトナムのエンジニアーは水力が好きで,多くの水力が開発されて主要な供給力になってくると,渇水などの影響を受けて,電力不足が起こりやすい,という観測を,この前書いたことがある。ベトナムでは,中部ベトナムの開発が遅れていて,電力需要が少なく,余り開発気運がなかった。
しかし,このところベトナム経済の発展を受けて,中部でも需要が増え,いよいよ,ダナン近辺の河川が開発される機運になってきているようだ。ダナンに流れ込む Vu Gia - Thu Bun 河 は大河で,2万平方kmの流域を持っているのであろうか,包蔵水力は1,000MWとも1,500MWとも言われている。しかし,ラオスとの国境に最も近い当たり,相当の山岳地帯,少数民族が多く住んでいる。あっ,多いと少数民族でなくなるか。
この記事に出てくる,156MW Song Bung 4 hydroelectric power plant については,ADBのHPに実に詳しい報告書がオープンされている。少し目を通すと,どうも日本のコンサルタントのレポートの出来にしては良すぎるな,と思ったら,SWECO International だった。北欧のコンサルタントは,ADBに深く食い込んでいる。この河は,日本の水力陣がもっとも得意としているところで,残念である。
報告書によると,ダムサイトの流域面積1,477平方km,貯水池面積15.8平方km,貯水容量493百万トン,有効落差105m,使用水量毎秒173トン,出力156MW,年間発生電力量538GWh,RCCダム,高さ110m,ダム長さ370m,水路トンネル3km,水没4村落で203世帯,約1,500人,SWECO International である。
ADBのコニシ氏が,ローン契約に当たり演説しているが,相当に水没移住の問題に気を遣っている。少数民族の水没であるから,ADBも良くやったともう。だからADBは,水力開発だけではないよ,と強調している。それは,ラオス国境に近い山間僻地の開発であり,貧困に苦しみ山間地帯の人々の生活の向上を歌い上げている。世界銀行のラオス,Nam Theun 2 水力への対抗が見て取れる。
ADB資料
http://www.adb.org/Documents/Resettlement_Plans/VIE/36352/default.asp
本文
●ベトナム,ADB,ベトナム中部の水力開発を支援
ADBがベトナムの水力を支援するのは,昨年の Mong Duong 1 thermoelectric project,931百万ドルに続いて,今回が初めてという。ADBのHPを見てみると,この Song Bung 4 hydroelectric power plant については,相当に力が入っている。ベトナム中部のダナンに流れ込む Vu Gia - Thu Bun 河の流域で,相当上流になり,少数民族が水没するようだ。
出力は156MWで,今年末に着工,2013年に運転開始となっている。総工事費は265.9百万ドルで,そのうち196百万ドルをADBが支援し,残りはEVNが準備する。この10月6日に,ADBのベトナム担当コニシアユミ氏と,Governor of the State Bank of Vietnam, Nguyen Van Giau との間で,ローンに関する署名が行われた。
次のAFPの記事では,ADBは,コニシ氏の演説を聴くと,相当に環境と水没移住に気を遣っているようだ。単に水力開発のためにお金を出すのではなく,水没する地域の発展のために寄与するのだ,と言う点を強調している。水没は,水没4村落で203世帯,約1,500人に達するようだ。
ADBは,報告書の重要な部分を公開している。それによると,ダムサイトのは流域面積1,477平方km,貯水池面積15.8平方km,貯水容量493百万トン,有効落差105m,使用水量毎秒173トン,出力156MW,年間発生電力量538GWh,RCCダム,高さ110m,ダム長さ370m,水路トンネル3km,水没4村落で203世帯,約1,500人,SWECO International である。
ADB資料
http://www.adb.org/Documents/Resettlement_Plans/VIE/36352/default.asp
●ラオスの Nam Theun 2 水力,完成繰り上げへ
ラオスの Nam Then 2 水力は,先日も環境団体 International Rivers から,水没移住への手当が十分でない,と不満の記事が出ていたが,今日は,その運転開始時期繰り上げの報道である。1,060MWのこの水力は,タイのEGATの需給計画で重要なプロジェクトとして,組み込まれている。4ヶ月,運転開始を繰り上げて,2010年8月とすることとされ,買電側のEGATも了承している。
この繰り上げの理由であるが,先日も,Nam Ngiep など多くのラオスの水力が,工事費の高騰で着工を繰り下げたが,工事中とはいえ,Nam Then 2 水力もこの影響を受けている。しかし,このプロジェクトは,EGATとの間で買電契約が決定しており,PPAによって工事費高騰を吸収する手段は残されていない。そこで急遽運転開始を繰り上げて,その売り上げ増分で対応しようと言うのである。賢明である。
なお,この記事では,政治で混乱するタイの電源開発長期計画PDPについても述べられている。ラオスの水力,Nam Ngiep, Nam Ngum 3, Nam Theun 1, Nam Ou and the coal-fired Hongsa Lignite plant,合計2,336MWの1年遅れで,PDP改訂を迫られているが,タイの需要も落ち込んでおり,ピーク需要も,少なくなっているので,調整可能としている。
この記事の中の数字を拾っておこう。Nam Then 2 の積算では,鋼材の価格をkg当たり18バーツ,ディーゼルをリッター18バーツと見積もっていたが,鋼材は現在23.5バーツまで上がっている。また,タイのピーク需要は,年初では年率7.23%と言う数字を示していたが,現時点では008%下落となっている。
Reference
Vietnam
●081006A Vietnam, english.vietnamnet
ADB,ベトナム中部の水力開発を支援
ADB funds hydropower project in central province
http://english.vietnamnet.vn/biz/2008/10/807233/
●081006B Vietnam, afp.google.com
ADB,ベトナムの水力開発を支援
ADB backs Vietnam hydropower project
http://afp.google.com/article/ALeqM5gfssQNoRTNvP9_mkru8sryq5S2kg
Laos
●081006C Laos, bangkokpost
ラオスの Nam Theun 2 水力,完成繰り上げへ
Laos plant plans to open early
http://www.bangkokpost.com/071008_Business/07Oct2008_biz49.php
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