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アフリカ,中東,南米,再生可能エネルギーの最前線もあり。
http://my.reset.jp/~adachihayao/index.htm
「フィリッピンの国産エネルギーへの拘り」,昨夜は,熱心な海外在住の読者からメールを頂いた。再生可能エネルギーをもう少し取り上げても良いのではないかと。私は,再生可能エネルギーはメジャーな供給力にはならないと思っているが,例えば10%確保できれば,随分,原油価格への牽制にはなると思っている。でも,本音を言えば,そちらは誰かやってくれませんか,と言う感じ。ニュースは氾濫しているが,どれだけ有効に人類に寄与しているか,余り自信がない。
私の意図に反して,フィリッピンは再生可能エネルギーに随分力を入れている。力を入れているのは政治家だけで,実際に行動に移しているか,疑問であるが,9月30日の,「フィリッピンの再生可能エネへの取組」,から10日余り,一部の国会議員の熱心な拘りで,上下両院が一致して,再生可能エネルギーによるエネルギー安全保障に関する報告書を承認の段階まで持ってきた。
フィリッピンの国産エネルギーへの依存度は,2005年の時点で56.6%で,これを2010年に60%に上げるために,国産の再生可能エネルギー開発への投資のインセンティブを与えるため,エネルギー省や電力公社に開発体制の確立を求め,各種の税制措置を執る,というもので,電源の対象は,太陽光,風力,波力,水力,地熱,バイオマスなどである。
また,需要家に対しては,メーターの整備が必要だが,付加価値税免除。また,個人が太陽光など発電した際は,配電企業による余剰の買い取り制度などを推進する。しかし,このような措置を有効にするためには,メーターや配電網の整備が欠かせないことになる。国会は,これで体制は出来た,と言っているが,一体投資企業とその技術はどうなっているか,今後の問題である。
ノーベル賞を貰った下村博士のように,この電力は再生可能エネルギーから来ている,青色に光っている,と言うような送電線を造らなければ,今回のフィリッピンの国会議員の意図を実現するのは難しい。そう言えば,米国のエネルギー長官の知的送電線の話を記事にしたのは,フィリッピン紙であった。
フィリッピンは,電気料金が高いことに,アロヨ大統領以下,業を煮やしている。ここに再生可能エネルギーを持ち込もうというわけであるから,エネルギーに関してフィリッピンは全く板挟みにあっている。個人的な再生可能エネルギーの使用は,お金さへあればいつでも出来るが,それを国家送電網に組み込んで主要な電源にしようとすると,知的送電網など,莫大な設備投資が必要になる。フィリッピンの真面目な提案を支援する必要はあるだろうが,一方で2010年と言われる電力危機への対応を忘れてはいけない。
本文
●ベトナム,2009年に,電気料金値上げへ
ベトナムの電気料金について,インフレ懸念から長い間沈黙を守ったベトナム政府であるが,産業通商大臣 Industry and Trade Minister Vu Huy Hoang が,遂に口を開いた。しかも具体的な数字を上げての意思表明である。うち続く電力不足と,EVNなどの抵抗にあって,値上げの見通しを発表した。2009年より16%の値上げ,かなり思い切った線である。補助金を撤廃し,投資を呼び込むため,としている。
停電が日常化しているベトナムについて,ADBは今後とも需要は大きく伸びると見ており,2010年までは年率16%の伸び,それ以降は12%程度を想定している。しかし,電気料金値上げは不人気で,9月のインフレが年率27.9%と言う高い値を示している,と懸念されている。しかし,Deputy Industry and Trade Minister Bui Xuan Khu の最近の発言では,料金値上げ20%も視野に入れていると言う。
現行の小売り段階での平均料金はKWh当たり890ドン,約5セント相当,である。値上げ申請は,EVNから今年の第4四半期に指負に上げられるとされている。20%上がって6セントか,まだ十分とは言えない価格である。これまでは,石炭と水力が中心だったから良かったが,天然ガス火力が増えてきて,もう限界と言うところだ。2020年には原子力を投入する計画である。
●フィリッピン国会,再生可能エネルギー報告を了承
東南アジアの中でもフィリッピンは,国産再生可能エネルギーの開発に関心が深い。パラワンの天然ガス生産も思うように伸びず,エネルギーの海外依存だが高いことを悩んでいる。経済さへ強ければ,余りその様なことを気にせず,どんどん海外資源を使って発展すればよいのだが,フィリッピンはその点で萎縮して行く。再生可能エネルギーが地球を救うというスローガンに後押しされた格好である。
フィリッピンは,本当に法律造りが好きだ。実行よりもまず法律である。この火曜日,国会が,両院の合同委員会が主導した再生可能エネルギーによるエネルギー安全保障に関する報告書を承認の段階まで持ってきた。働いたのは,Rep. Mikey Macapagal Arroyo (Kampi, Pampanga), chairman of the House Committee と Sen. Edgardo Angara である。
再生可能エネルギー開発のための16項目以上に亘る対策を,昨年の11月から検討に入り,今年の5月に最終段階に入っていた。今回の決議は,速やかな措置を関係機関,エネルギー省,NAPOCORなどに命ずるもので,まず,再生可能エネルギー開発の枠組みを整え,開発し,それを国家送電網の中に組み込む,という内容。
目標は,エネルギーの自立率,2005年の566%を2010年に60%に上げる。その手段は,太陽光,風力,水力,波力,バイオマス,である,としている。エネルギー省の見立てでは,この10年間で2,500MW開発可能としている。投資意欲を引き起こすことが基本で,これらの開発に関しては,事業税を現行の30%から10%に引き下げる,その関連施設の固定資産税を1.5%にシーリングする,送電網の組み入れを優先する。
需要家に対しては,メーターの整備が必要だが,付加価値税免除。また,個人が太陽光など発電した際は,配電企業による余剰の買い取り制度などを推進する。しかし,このような措置を有効にするためには,メーターや配電網の整備が欠かせないことになる。国会は,これで体制は出来た,と言っているが,一体投資企業とその技術はどうなっているか,今後の問題である。
●中国企業,パキスタンの Kohala Hydropower Project に関心
先日から,中国のパキスタン訪問団がイスラマバードに滞在して,中国とパキスタンのエネルギー協力を話し合っている。また,パキスタンのザルガニ大統領は北京を訪問して,湖錦濤主席に,中国パキスタンの原子力協定の締結を要請することになっている。米国とインドの原子力協定に対抗するものだ。
中国の水力発電企業 Sinohydro Corporation の代表5人は,イスラマバードに居残って,Ministry of Water and Power に陣取り,Minister Raja Pervaiz Ashraf と交渉を進めている。焦点は,1100MWの大規模水力 Kohala Hydropower project である。パキスタン側は,その内容を説明し,中国側は企業の実績を説明している。Sinohydro は,現在世界で156の水力を手がけているという。パキスタンでも Gomal Zam Dam, Khan Khawar Hydropower Project and Dubair Khawar Hydropower Project などを手がけている。
パキスタン側は,Kohala について,既に詳細設計を終えて,入札直前の状態だ,とし,国際入札に参加する形で,と促している。Kohala Hydropower project は,HPの地図にも記したが,Muzaffarabad District, Azad Jammu & Kashmir にあって,ダムサイトは,Domel の直上流,Jhelum River にあって,イスラマバードから174kmの位置にある。発電所はダム下流7km,Kohala Bridge の上流。出力1,100MW,ダムの高さ160mのRCC,落差360mである。
●インド政府,電力重電メーカーのハブとなる意気込み
インド政府は,インドの電源開発を目指して,世界の重電メーカーが集まってきている現状に鑑み,インドを世界の重電メーカーのハブにしようとする遠大な意図を持っている,という。ジョイントを組んで居並ぶのは,BHEL-Siemens,L&T-Mitsubishi,Toshiba-JSW,Bharat Forge-Alstom の日本の三菱重工,東芝を含む4つのグループである。Power Secretary Anil Razdan の談話である。
彼の話によると,どうもグループが狙っているのは,これからの石炭火力開発に於ける超臨界ボイラーの世界のようだ。元々は,日本のODAも絡んでの技術協力だったのだが,中国でもこの超臨界ボイラーに挑戦しているし,石炭火力の高効率化の面で,ポスト京都とも繋がる話,或いは日本の提唱するセクトラルアプローチへも繋がるものかも知れない。
Regerence
Vietnam
●081010A Vietnam, industryweekベトナム,2009年に,電気料金値上げへVietnam to Raise Power Prices in 2009http://www.industryweek.com/ReadArticle.aspx?ArticleID=17479
Pakistan
●081010B Pakistan, app.com中国企業,パキスタンの Kohala Hydropower Project に関心Chinese company keen to invest in Kohala Hydropower Projecthttp://www.app.com.pk/en_/index.php?option=com_content&task=view&id=55191&Itemid=2
Philippines
●081010C Philippines, Manila Bulletinフィリッピン国会,再生可能エネルギー報告を了承House ratifies Renewable Energy committee report http://www.mb.com.ph/MAIN20081010137609.html
India
●081010D India, Economic Timesインド政府,電力重電メーカーのハブとなる意気込みGovt looks to make India a power equipment manufacturing hubhttp://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Govt_looks_to_make_India_a_power_equipment_manufacturing_hub/articleshow/3576933.cms
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