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アフリカ,中東,南米,再生可能エネルギーの最前線もあり。
http://my.reset.jp/~adachihayao/index.htm
今日の話のきっかけは,タイの企業が,ミャンマー南西部,タイとの国境に近い細長い半島を流れるタニンタリ川(注1)に,600MWの水力を開発することで,ミャンマー政府と合意したことである。まさにミャンマーをしゃぶり尽くす,という感じで,各国の資本がミャンマーに集中している。それは,中国であり,タイであり,インドであり,また先日から参戦してきたバングラデシュである。韓国も,少しながら将来への備えとして,電力セクター支援に動いている。
今日の記事の主題であるタニンタリ川 (注1)の水力プロジェクトであるが,出力規模は600MWで,タイのイタリアンタイ(注2)とシンガポール籍のウインドフォールエナージ(注3)が,最近,ミャンマーの首都ネピト(注4)でMOUに署名して開発に乗り出す,というものである。この地点については,私も余り聞いていなかったが,調べてみると,数年前から既にタイは,開発を視野に入れていたようである。タイの南部,バンコクと同じぐらいの緯度にあり,サルウイーンの河口より更に南の,これも大河川(注41)である。
タイは既に,まずサルウイーン河(注10)のタッサン(注9)水力である。シャン州東部のタチレック(注11)付近に位置し,出力は7,100MWである。タイ企業MDX(注12)が主導し,2006年4月に,60億ドル投資で契約に達している。年間発電量は354億KWh(注13)である。もう一つ,タイ企業によるサルウイーン河(注10)のプロジェクトは,ハッチ水力,600MW,である。これはEGATによるもので,2005年12月に協定を結んでいる。年間発電量は,38.2億KWhである。
中国は2004年以来,5つの契約を持っており,一つはイラワジ川のマンダレーで東に分かれるミートネ河(注18)に,790MWイエイワ水力(注17)を開発しようとしている。年間発電量は,355億KWh(注19)である。また,アッパーパウンラン水力(注20)は,雲南省企業(注21)が,アッパーサルウイーン(22)ではファーサイティッド投資など(注23)が関わっている。更に中国の電力投資公司(注24)は,イラワジ川(注25)やカチン州(注28)のマイカ川(注26),マリカ川(注27)などで,合計13,360MWの開発を視野にに入れていると言われている。
インドは,NHPC(注5)が諦めようとした1,200MW,タマンティ多目的ダム(注7)を,副大臣のラメッシュが自ら乗り込んで,元に引き戻し,更に600MWシュエザヤ(注8)水力をも抱き込んだ,大型投資を準備している。バングラデシュについては,先日解説したとおり,ミャンマーから難題を吹きかけられながら,即ち,自分で開発しなさい,30%はミャンマーに置いていきなさい,と言われても,とにかく西部の水力にとりついた。
ミャンマーは,天然ガスの輸出によって,2007/8年度の国家予算の40%,約25.6億ドルの現金を得ている。主としてADBのコメントであるが,天然ガスの相場が落ちたときのミャンマー経済は極めて脆弱である。本来は,国内の発電事業や,セメント,肥料の製造などに当てるべきであるが,それがやられていない。少なくともガスの売却代金は,基金として国内に蓄積しておく必要がある,と警告している。
さて,私は,タイ,インド,中国,バングラデシュの動きを見ていて思う。各国とも,10年も20年もかかる大規模水力に取り付いているが,果たして現実にその成果を視野に入れているかどうか,非常に疑問に思う。まあ,タイによるハッチ水力(注14)ぐらいは目の前の需要に対応できるが,1,200MW,タマンティ多目的ダム(注7),7,100MWタッサン(注9)水力などに至っては,おそらく世代が変わるだろう。
それでもミャンマーの水力に突っ込んでくる中国,タイ,インド,バングラデシュは,明らかに目標は,ミャンマーの有する膨大な天然ガスのポテンシャルである。タイは現状のガス供給を切られると,殆どの電源が死んでしまう。中国は,長躯,天然ガスを雲南へ運ぶ計画を着々と進めている。インドとバングラデシュは,ミャンマーからガスに関して,冷たく扱われている。韓国は,元々ミャンマーのガスの発見者であるから,何かの将来への保証を確保しておきたいわけだ。このように考えなければ,各国のミャンマー水力争奪戦は,理解出来ないのである。
(注)
(1) Tanintharyi River,(2) The Italian-Thai Development Public Co. Ltd based in Thailand,(3) the Windfall Energy Services Ltd of British Virgin Island based in Singapore,(4) Nay Pyi Taw,(5) India's National Hydroelectric Power Corporation Ltd,(6) Ayeyawaddy river,(7) Htamanthi,(8) Shwesayay,(9) Tar-hsan,(10) Thanlwin River,(11) eastern Shan state's Tachilek,(12) the MDX Group Co Ltd of Thailand,(13) 35.446 billion kwh a year,(14) Hutgyi,(15) the Electricity Generating Authority of Thailand (EGAT),(16) 3.82 billion kilowatt hours (kwh) yearly, (17) Yeywa hydropower project,(18) the Myitnge River,(19) 3.55 billion kwh of electricity annually upon completion.,(20) Upper Paunglaung,(21) the Yunnan Machinery and Equipment Import and Export Co Ltd (YMEC) ,(22) Upper Thanlwin ,(23) the Farsighted Investment Group Co Ltd and Gold Water Resources Ltd.,(24) the China Power Investment Corporation (CPI) ,(25) Ayeyawaddy river,(26) Maykha,(27) Malikha,(28) Kachin state ,(29) the Korean International Cooperation Agency (KOICA),(39) the Korea Electric Power Corporation (KEPCO),(40) the government's National Investment Commission, (41) tanintharyi map
http://www.myanmars.net/myanmar/images/tanintharyi.jpg
本文
●タイ企業など,ミャンマーの水力開発へ乗り出す
今回新たに,タイ企業などが,ミャンマー南部の水力開発に乗り出すことになって,ここに,水力を主体としたミャンマーの電力セクターへの海外企業の関わり合いが総括されている。殆どは我々にとっては既報のものだが,改めてこうやってみると,軍事政権で国際社会から孤立しながらも,殆どの重要なプロジェクトに手を付けてしまっている現状に気づく。それは中国だけではないのである。
今日の記事の主題であるタニンタリ川 (注1)の水力プロジェクトであるが,出力規模は600MWで,タイのイタリアンタイ(注2)とシンガポール籍のウインドフォールエナージ(注3)が,最近,ミャンマーの首都ネピト(注4)でMOUに署名して開発に乗り出す,というものである。この地点については,私も余り聞いていなかったが,調べてみると,数年前から既にタイは,開発を視野に入れていたようである。タイの南部,バンコクと同じぐらいの緯度にあり,サルウイーンの河口より更に南の,これも大河川(注41)である。
このほか記事に出てくるものは,最近,このサイトでも話題になったインドNHPC(注5)の手がけるイラワジ(注6)上流二つのプロジェクト,1200MW,タマンティ多目的ダム(注7),と600MWシュエザヤ(注8)水力がある。先月の話である。最近ここ数年,中国に加えて,タイ,韓国,バングラデシュ,インドなど,各国が入り乱れて,ミャンマーの水力に取り組んでいる。
タイが手がけている主要なものは,まず,サルウイーン河(注10)のタッサン(注9)水力である。シャン州東部のタチレック(注11)付近に位置し,出力は7,100MWである。タイ企業MDX(注12)が主導し,2006年4月に,60億ドル投資で契約に達している。年間発電量は354億KWh(注13)である。この契約は,ミャンマーの外国投資を大幅に引き上げて,1988年末からの総額を147.36億ドルとしている。
もう一つ,タイ企業によるサルウイーン河(注10)のプロジェクトは,ハッチ水力,600MW,である。これはEGATによるもので,2005年12月に協定を結んでいる。年間発電量は,38.2億KWhである。
中国は2004年以来,5つの契約を持っており,一つはイラワジ川のマンダレーで東に分かれるミートネ河(注18)に,790MWイエイワ水力(注17)を開発しようとしている。年間発電量は,355億KWh(注19)である。また,アッパーパウンラン水力(注20)は,雲南省企業(注21)が,アッパーサルウイーン(22)ではファーサイティッド投資など(注23)が関わっている。更に中国の電力投資公司(注24)は,イラワジ川(注25)やカチン州(注28)のマイカ川(注26),マリカ川(注27)などで,合計13360MWの開発を視野にに入れていると言われている。
韓国は,2006年7月に,KOICA(注29)とKEPCO(注30)が協定を結んで,送電線関係の技術協力として,140万ドルの支援を行っている。バングラデシュは,先日の記事にもあったように,ミャンマー東部及び東北部の水力開発を目指している。
ミャンマーの国家投資委員会(注40)によると,外国資本によるミャンマー国内の水力開発への投資は,2007年末現在で63.11億ドルに上る。2008年4月現在の発電設備は1,690MWであり,年間発電量は,2006~2007年度が61.72億KWhであったのに対し,2007~2008年は6603億KWhとなっている。
(注)
(1) Tanintharyi River,(2) The Italian-Thai Development Public Co. Ltd based in Thailand,(3) the Windfall Energy Services Ltd of British Virgin Island based in Singapore,(4) Nay Pyi Taw,(5) India's National Hydroelectric Power Corporation Ltd,(6) Ayeyawaddy river,(7) Htamanthi,(8) Shwesayay,(9) Tar-hsan,(10) Thanlwin River,(11) eastern Shan state's Tachilek,(12) the MDX Group Co Ltd of Thailand,(13) 35.446 billion kwh a year,(14) Hutgyi,(15) the Electricity Generating Authority of Thailand (EGAT),(16) 3.82 billion kilowatt hours (kwh) yearly, (17) Yeywa hydropower project,(18) the Myitnge River,(19) 3.55 billion kwh of electricity annually upon completion.,(20) Upper Paunglaung,(21) the Yunnan Machinery and Equipment Import and Export Co Ltd (YMEC) ,(22) Upper Thanlwin ,(23) the Farsighted Investment Group Co Ltd and Gold Water Resources Ltd.,(24) the China Power Investment Corporation (CPI) ,(25) Ayeyawaddy river,(26) Maykha,(27) Malikha,(28) Kachin state ,(29) the Korean International Cooperation Agency (KOICA),(39) the Korea Electric Power Corporation (KEPCO),(40) the government's National Investment Commission, (41) tanintharyi map
http://www.myanmars.net/myanmar/images/tanintharyi.jpg
●インドネシア,5つの石炭企業,滞納のロイヤリティなど,年末までに払うと
インドネシアの石炭業界が,こんなに揉めているとは知らなかった。5つの石炭企業(注1)が,政府にタイするロイヤリティを払っておらず,それらの企業の幹部が,国外への旅行を禁止されていたという。今回,国家開発調整委員会(注2)が監査に入り,結局,5企業とも,それを11月半ば払うことで合意し,幹部の禁足が解かれた。彼等が悪いのか,政府が悪いのか分からないが,滞納総額は769百万ドル相当という。
ここでインドネシアの石炭資源を見ておこう。石炭は主に17州に拡がっているが,中でも、南スマトラ州と東カリマンタン州の埋蔵量は全体の72.15%に上る。両州(南スマトラ州46.60%,東カリマンタン州5267%)で国内石炭資源量の大半を占めているが,ジャワ州やスラウェシ州,パプア州にも分布している。特にパプア州では,探査活動が十分でないため,情報が不足しているが,地質的な条件が揃っていることもあり,この地域には大量の石炭が埋蔵されている可能性がある。インドネシア全体の石炭は約613.8億トン,確認埋蔵量は67億トンである。
(注)
(1) PT Kideco Jaya Agung, PT Kaltim Prima Coal, PT Kendilo Coal Indonesia, PT Arutmin Indonesia, PT Berau Coal and PT Adaro Indonesia, (2) the State Development Finance Controller (BPKP)
Reference
Indonesia
●081012A Indonesia, The Jakarta Post
5つの石炭企業,滞納のロイヤリティなど,年末までに払うと
Coal producers agree to soon pay royalties, fines
http://www.thejakartapost.com/news/2008/10/11/coal-producers-agree-soon-pay-royalties-fines.html
Myanmar
●081012C Myanmar, tradingmarkets
タイ企業など,ミャンマーの水力開発へ乗り出す
More regional companies to launch hydropower project in Myanmar
http://www.tradingmarkets.com/.site/news/Stock%20News/1937018/
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