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アフリカ,中東,南米,再生可能エネルギーの最前線もあり。
http://my.reset.jp/~adachihayao/index.htm
今日は,中国の北京レビューというサイトが,中国の水力開発を讃える長い長い記事を,二つも入れてきて,まず目を通すだけでも大変なのに,その上に,広西荘自治区,紅水河(注10)の龍灘水力発電所(注11)の位置が不確かで,それを一生懸命探していて,とんでもない時間を潰してしまった。夕方大阪で友人と約束があるのに,焦っている。二日間の測量作業で,足が痛い。
午前中8,000円台に戻ってきた東京株式市場は,午後になって再び売られ,8,000円を割り込んで,2時過ぎ現在で7,856円ぐらいだ。円安が進んでも,企業業績の悪化を懸念した,と言っている。対ドル円は97円ぐらい,原油は62.73ドル,と言うところか。モルジブ選挙で野党のナシード党首が大統領に当選。パキスタン南西部でマグニチュード6.4,80人死亡,と言っている。パキスタンも,テロと地震だけでも大変なのに,アルカイダを狙った米国の無人爆撃機が飛んでくる,と言うから,あの平和だったペシャワールも大変だろう,と思いを致す。
さて,今日の北京レビューによる,中国の水力開発を讃える記事だが,とにかく,水力開発の関しては,量も質も中国が世界一だ,と言われてみれば,反論する余地はない,私もそうだと思う。我がJパワーも,もうダムと石炭火力は中国に任せておけ,と方針決定したような感じで,彼我共に認める中国の水力開発である。中国は,大規模水力を完全なクリーンエネルギー,再生可能エネルギーの範疇に入れてしまっている。再生可能エネルギー開発方針も,言うなれば,大規模水力開発なのである。この辺で日本の経済産業省は迷っている。
重要な数字だけ拾う。長江の三峡水力発電所(注2)である。700,000MWユニット36台を設備している。これに続く発電所は,雲南省のシルオドウ水力発電所(注3)で,出力12,600MW,2015年完成予定である。現在の中国の水力設備は,145,000MWで世界一である。そのピークは2012年から2016年に来るだろう。これからの水力は,長江,黄河(注6),それに南西部の諸河川,ジンシャ,ヨロン,ダドウ(注7)などの,上流部,中流部で開発される。
中国の包蔵水力は690,000MWであるが,技術的に開発可能とされているのは540,000MWである。技術的な開発実績も成果を上げている。ダムの高さは200m以上に達し,水車発電機のユニット規模は700MWで世界記録である。現在,四川省と雲南省の境界付近で計画中のウドングデ水力(注8)はユニット800MWであり,バイヘタン水力(注9)はユニット1,000MWである。
龍灘水力発電所(注11)の工事費は243億元,約35.6億ドル相当,で,2001年7月1日に工事を開始し,ダム工事は2003年11月に本格開始した。第1号機の運転開始は,2007年5月であった。電力の50%は,電力不足に悩む広東(注16)に送られる。広東(注16)は石炭火力の公害に悩まされ,毎年60億ドル近い被害が出ている,と推定されている。
龍灘水力発電所(注11)の貯水池の規模は,貯水容量が273億トン,洪水調節容量が70億トン,洪水量毎秒8,500トンカットでき,50年に一回の洪水に対処できる。下流のヤンタンダム(注17)と併せて,毎秒10000トンのカットを行う。その他,500トンの舟運が可能で,鉱業ポテンシャルの大きいこの紅水河(注10)流域を,「黄金の水路(注18)」に変える,と謳っている。
中国は,2015年までに,現在の水力が系統に占める割合20%を,2015年までに28%に上げる,と言っている。今日の記事を見ていると,留まるところを知らない中国のダム開発であるが,私はまさしく時間との戦いだと思っている。既に,温家宝首相はダム開発に対して相当に後ろ向きと聞く。雲南省のダム開発に釘を刺した事実もある。住民達が立ち上がり始めると,収拾つかなくなるのは,我々が経験したとおりである。中国もミャンマーも,まさしくダム開発は時間との戦いだ。
(注) (1) the China Electricity Council,(2) The Three Gorges Hydropower Station on the Yangtze River,(3) the Xiluodu Hydropower Station in Yunnan Province,(4) Chen Lei, Minister of Water Resources,(5) the International High-Level Forum on Water Resources and Hydropower,(6) Yellow river,(7) Jinsha, Yalong and Dadu rivers,(8) the Wudongde Hydropower Station,(9) the Baihetan Hydropower Station,(10)
本文
●中国の水力発電,全系統の28%を占める
もう大ダムと石炭火力は,中国に任した,と割り切ったのは我がJパワーであるが,まさしく今日の記事は,中国が高々と謳い上げた大ダム建設世界一の実績と技術を誇り,大規模ダムは,クリーンエネルギーとして,立派な役割を果たしていくのだ,と世界に宣言したような北京レビューの報道である。すべてに於いて,中国の水力開発讃歌なので,その当たりは省略して,文中の重要な数字を拾ってみたい。長文である。
中国は,水力発電による全発電設備へのシェアーを28%まで延ばす計画である。この記事は,2008年8月7日に中国電力委員会(注1)によって刊行された報告書の内容に基づいている。今年,2008年下期の電力不足は,15,000MWと見積もられている。この事態に貢献するのは,長江の三峡水力発電所(注2)である。700,000MWユニット36台を設備している。これに続く発電所は,雲南省のシルオドウ水力発電所(注3)で,出力12,600MW,2015年完成予定である。
チェンレイ水資源大臣(注4)が最近北京で開かれた国際水力会議(注5)で説明したところによると,現在の中国の水力設備は,145,000MWで世界一である。そのピークは2012年から2016年に来るだろう。これからの水力は,長江,黄河(注6),それに南西部の諸河川,ジンシャ,ヨロン,ダドウ(注7)などの,上流部,中流部で開発される。
これから開発される1,000MWのダムは,110地点以上の上る。現在までに20地点が完成し,残りは198,670MWの総出力で,2010年から2015年の間に殆どが完成する予定である。長江上流では,10地点の大規模0開発が行われる。水力の建設費は,平均KW当たり8,000元,約1,170ドル相当,と石炭火力の2倍であるが,燃料などを含めた全体では,経済性は高い。
中国の包蔵水力は690,000MWであるが,技術的に開発可能とされているのは540,000MWである。技術的な開発実績も成果を上げている。ダムの高さは200m以上に達し,水車発電機のユニット規模は700MWで世界記録である。現在,四川省と雲南省の境界付近で計画中のウドングデ水力(注8)はユニット800MWであり,バイヘタン水力(注9)はユニット1,000MWである。
この記事は,技術的な成果を讃えながら,環境問題への対策も論じている。特に,ダムによる河川流況の変化の生態への影響や,また百満員を越す移住を成功させた三峡水力発電所(注2)について,その成果を誇っている。中国の水力開発は,まさしくこれからが正念場で,石炭火力抑制のために水力を,と言う政府の考え方の中でも,温家宝首相などは,かなり慎重,との噂も流れている。
(注) (1) the China Electricity Council,(2) The Three Gorges Hydropower Station on the Yangtze River,(3) the Xiluodu Hydropower Station in Yunnan Province,(4) Chen Lei, Minister of Water Resources,(5) the International High-Level Forum on Water Resources and Hydropower,(6) Yellow river,(7) Jinsha, Yalong and Dadu rivers,(8) the Wudongde Hydropower Station,(9) the Baihetan Hydropower Station,(10)
(注) (10) Hongshuihe,(11) The Longtan Hydropower Station,(12) http://my.reset.jp/~adachihayao/08102801LongtanLocation.jpg,(13) the Pearl River,(14) Tian'e County, Guangxi Zhuang Autonomous Region,(15) Longtan Hydropower Development Co. Ltd. (LHDC),(16) Guangdong,(17) the Yantan Dam in the lower reaches of the Hongshuihe River,(18) "golden waterway",(19)
●中国南部,紅水河の水力発電開発
同じ北京レビューが,同じ日付で,長江の三峡水力発電所(注2)と並べて,紅水河(注10)の龍灘水力発電所(注11)を記事にしている。これまでも実は,龍灘水力発電所(注11)の位置がよく分からず苦労した。今日もどうもよく分からないので,調べに調べて,時間を食ってしまった。やっと自分で納得出来るダムサイトを見つけた(注12)。広西自治区の北西ぎりぎり,緯度的には昆明の東になるので驚いた。
これも長文の記事なので,大事な数字だけ拾っておく。紅水河(注10)が太平洋に出る直前の河はパール河(注13)となっている。紅水河(注10)の全延長は638km,高さで762m落ちている。位置は,広西荘自治区のティアン地区(注14)で,高さ216.5mのRCCダムである。出力は6,300MW,中国第3位である。龍灘水力開発公司LHDC(注15)によって建設され,2008年11月末にも,第6号機が運転開始する。最終第7号機は2008年12月末完成である。
龍灘水力発電所(注11)の工事費は243億元,約35.6億ドル相当,で,2001年7月1日に工事を開始し,ダム工事は2003年11月に本格開始した。第1号機の運転開始は,2007年5月であった。電力の50%は,電力不足に悩む広東(注16)に送られる。広東(注16)は石炭火力の公害に悩まされ,毎年60億ドル近い被害が出ている,と推定されている。
龍灘水力発電所(注11)の貯水池の規模は,貯水容量が273億トン,洪水調節容量が70億トン,洪水量毎秒8,500トンカットでき,50年に一回の洪水に対処できる。下流のヤンタンダム(注17)と併せて,毎秒10000トンのカットを行う。その他,500トンの舟運が可能で,鉱業ポテンシャルの大きいこの紅水河(注10)流域を,「黄金の水路(注18)」に変える,と謳っている。
(注) (10) Hongshuihe,(11) The Longtan Hydropower Station,(12) http://my.reset.jp/~adachihayao/08102801LongtanLocation.jpg,(13) the Pearl River,(14) Tian'e County, Guangxi Zhuang Autonomous Region,(15) Longtan Hydropower Development Co. Ltd. (LHDC),(16) Guangdong,(17) the Yantan Dam in the lower reaches of the Hongshuihe River,(18) "golden waterway",(19)
●フィリッピン,ERC,世論に負け,マニラ配電の値上げを延期
マニラ配電MERALCOが,従来徴収できなかった,為替や燃料費調整分の電気料金を,規制委員会ERC(注19)が許可した,と言う記事が,先日の2008年10月10日のマニラブリテンに出ていて,MERALCOはその徴収準備に専念しているところであった。その総額は39億ペソに上り,KWh当たりにすれば0.3ペソ以上であった。
今日のマニラブリテンの記事,ERC(注19)は突然にその値上げの延期を決定した。消費者の反対の声に押されたわけで,直接の相手は,改革消費者連盟NASECORE(注20)である。ERCのジュアン局長(注21)が発表した。この決定は,正規の手続きに基づいたものだ,と苦しい言い訳をしている。
結局,配電経費の上乗せなどで,値上げ幅が,KWh当たり,0.2055~0.4571ペソになることが分かり,反対の声に火を付けた。マニラ配電内部は,その新しい指示への対応に追われているが,いずれにしても,再生可能エネルギーの積極的導入など,電気料金を押し上げる要素は多く,改革により電気料金引き下げを約束しているアロヨ大統領に,ますますプレッシャーがかかる。
(注) (19) the Energy Regulatory Commission (ERC),(20) National Association of Electricity Consumers for Reforms (NASECORE),(21) ERC executive director Francis Juan,(22)
●インド,電力大臣,NTPCの財務的自由な立場を強化
インドの電力開発,特に2012年までの第11次五カ年計画で70,000MW開発の目標を持つインドで,民間資金の導入を謳いながらも,政府系公社,中でも火力発電公社NTPCの果たす役割は,大きく期待されており,水力のNHPCも含めて,公社系の活躍がなければ実現は困難である。政府公社系には,入札参加もさることながら,資金調達でも一定の制約があったようである。
今日の記事では,電力大臣が,NTPCの制約を取り外すために,新たな案を閣議の了解を取るべく,調整を行っている,と言う内容である。NTPCの海外資産を求める5つの合弁の設定に,2600億ルピーを必要としている。現在の制度では,投資額を各案件の30%を上限としているが,これを50%に引き上げようというものである。今回のケースは,総額5,263.9億ルピーの案件である。
Reference
Philippines
●081028A Philippines, Manila Bulletin
ERC,世論の負け,マニラ配電の値上げを延期
ERC bows to public pressure, defers implementation of Meralco rate hike
http://www.mb.com.ph/BSNS20081028139214.html
India
●081028B India, Economic Times
電力大臣,NTPCの財務的自由な立場を強化
Power ministry seeks more financial freedom for NTPC
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power_ministry_seeks_more_financial_freedom_for_NTPC/articleshow/3647589.cms
China
●081028C China, bjreview
中国南部,ホンスイ河の水力発電開発
Harnessing the Hongshuihe
http://www.bjreview.com.cn/business/txt/2008-10/27/content_159182_3.htm
●081028D China, bjreview.com
中国の水力発電,全系統の28%を占める
China is on track to rely on hydropower for 28 percent of its electricity generation http://www.bjreview.com.cn/business/txt/2008-10/27/content_159183.htm
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