ベトナムの原子力は企業選定の段階へ
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ベトナムの原子力発電所建設計画,地元民は皆賛成してくれている,と地点名を上げて計画を説明するベトナムの原子力委員会,ASEANでここまで言い切れる国が他にあるだろうか。地点は地点でよいが,我々には人材がいない,海外での研修に頼らざるを得ない,1986年のチェルノブイリ事故の時,キエフで勉強していた人材はいるが,と言っている,大丈夫かなと思う。もっともフィリッピンはあの時点で,運転するつもりだったのだが。
タイの新聞で,1900年初めに,日本の原子力学科卒業生の数とこんなに違う,タイがどうして原子力を造れるのか,と言う社説が出ていたが,あれから20年,タイは原子力技術者が育っているのだろうか。タイは地点名の候補も言えない状態で,一旦地点名が上がると,タイの国内は大変なことになるだろう。今日の記事で勉強してみると,東芝がベトナムで随分歓迎されている。タイよりベトナムが早い,と言う私の賭けは,多分勝ちだろう。
私には,実際に日本の原子力界がベトナムにどの様にアクセスしているのか,余り分からないが,2008年6月3日付で,日本政府の経済産業省は,中野経済産業副大臣がベトナム商工省ハオ副大臣と原子力分野の協力文書に署名,日本の経験をベトナムにおける原子力発電開発に役立てるための枠組が整ったことは大変有意義,としている。また,2006年付の東芝の公表資料は,日越の歴史から引き起こして,誠に懇切丁寧。
いずれにしても,東南アジア諸国が早く原子力発電を導入して,特に,石炭発電国,ベトナムなどの石炭依存を減らすことには,大きな大義名分があるから,進めるべきだと思う。ただ,三峡ダムではないけれど,企業の決定は,その争いが熾烈を極めるであろうことが想像できる。東芝,EDF,ROSATOMなど,企業メーカー入り乱れており,ベトナムが100億ドルに達する輸銀資金調達を条件にしているところ,日本は頑張れるかな,と。
ペトロベトナム,国内最大の石油化学コンビナートを建設へ(注1),の記事。場所は,ホーチミンから約100km離れたバリアブンタオ省ロンソン地区,2014年の運転開始を目指している。今週を目処に,JVを組む外資系を決めるという。火力発電所,石油コンビナート,工業特区建設,更にこれに原子力商戦が加わって来ると,インドや中国とはまた違った意味で,まさに激戦地帯である。
トヨタが,HV車,所謂ハイブリッド車でプリウスの売り上げを伸ばす中,これに対抗して日産が,EV車,即ち完全な電気自動車,リーフで対抗する。今日はGMが,プラグイン可能,即ち充電できるハイブリッド車,を2010年に出してくる(注3)。私は,どうしてトヨタが,模擬でもよいからなぜプラグインにしなかったのか,今でも不満である。担当者にも言った,しかし数ヶ月前だが,あの時はHVだけで大いばりだった,今は違う。
行き着くところは,必ず電気自動車だから,今のように少し台数が増えてきた,などという間はよいが,一旦問題点が解決し始めると,多様化にすすむのではなくて,一気に収束すると思う。電力会社に全部負担がかかってくるが,エネルギー効率から見て素晴らしいことだ。ただ,どの様なタイムスパンで,電力会社は検討にはいるべきなのか。20年後には,今の2億KWの4倍ぐらいの発電設備が必要になる,試算してみるとよい。
政府は,太陽光の導入に一生懸命で,電力会社に,太陽光電力買い取り義務化,家庭の余剰分の買い取り48円に倍増(注4),と報じている。この太陽光発電分を全部需要家に載せるわけで,たいした影響はないから,と言っているけれど,家計に対して影響はない,と言う意味は,太陽光を導入しても,気候変動問題への貢献は大したことはない,ということになる。本気で太陽光を導入すると,発電経済は大変なことになる。
経済産業省は総合資源エネルギー調査会部会を開き,温室効果ガス排出量を,「2020年に05年比で15%削減する」,政府の中期目標達成に向けた具体策をまとめた(注5)。この中で家計負担を年7万7,000円と試算している。この家庭や企業などの負担は要するに電力企業を通じて負担が増えるものが大きな部分を占める,企業だけ或いは家庭だけで閉じている部分は少ない。この大本の電力企業との繋がりを明らかにして欲しい。
(注1) http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20090803AT2M2302D03082009.html
(注2) http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090807AT2M0700M07082009.html
(注3) http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20090803AT2M2302D03082009.html
(注4) http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200908070099a.nwc
(注5) http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200908060016a.nwc
本文
●ベトナムは2030年までに系統の10%を原子力で賄う
Vietnam plans to start building its first nuclear power plant in five years and plug it into the grid by 2020 as demand for power continues to grow at a rate of about 15 percent per year, the country's top atomic official said.
ベトナムの原子力発電開発,2008年6月3日付で,日本政府の経済産業省は,中野経済産業副大臣がベトナム商工省ハオ副大臣と原子力分野の協力文書に署名,日本の経験をベトナムにおける原子力発電開発に役立てるための枠組が整ったことは大変有意義,としている。これだけのお墨付きがあれば,と考えると,とんでもない,今やベトナムの原子力は,世界の企業の争奪戦の場と化している。ロイターが挑んだ記事である。
先日も,ブンアン第1石炭火力で東芝の受注が決まったときは,ベトナム紙はわざわざ,原子力の東芝,と紹介している。少し前になるが,東芝は,2005年時点で,ベトナムの原子力事情をまとめて,発表している。ウエスティングハウス-東芝は,外目,随分有利に見えるが,フランスなどの存在を考えると,戦いはこれからなのであろう。今日の記事は,ベトナム原子力委員会(注7)のブオン・フ・タン総裁が対応している。
ベトナムの原子力発電所は,5年後に着工を見込んでおり,2020年に第1号機の運転開始を計画している。最初の原子力地点は,ニントウアン県(注5)と想定しており,ホーチミン市(注6)から,北東250kmの地点である。2030年までには,15,000MWまで拡張し,全設備の10%となる計画である。現在のベトナムは,60%が石炭またはガスで,40%が水力であるが,停電に悩まされている。
来年,2010年の電力需要予想は,6.5~7.0%の伸びで,934億KWhになる。2009年の設備は,17,900MWであるが,中国から35億KWhを輸入している状態だ。原子力については,協力合意書を,中国,ロシア,韓国,インド,アルジェンチンと結んでおり,同じように近く,フランス,日本,米国と結ぶ予定で,これらの国の企業から,技術と設備の供給を受ける内容である。
既に,東芝(注9)の資本下にあるWE(注9),ロシアのROSATOM(注10),フランスのEDF(注11),中国の広東原子力(注12),などがベトナム側と対話を行っている。最初の原子力発電所は,EVN(注13)の投資となる。100億ドルの事業費のうち,4分の一はEVN(注13)が準備するが,残りは,海外支援企業の国の輸出入銀行に期待している。海外企業の決定は,国会承認後,委員会の案にも続いて,首相が決定する。
国会承認の時期は,2009年10月か,次の2010年5月のどちらかになるであろう。何しろ投入資本が多いので,早急な決定が必要だ。ベトナムの人材の問題があるが,海外での教育に依存しなければならない。1986年のチェルノビル事故の時,キエフで勉強していた人材はいる。また地元の問題であるが,補償も十分に考えているので,地元民は協力的である。
(注)A (1) 090807A Vietnam, in.reuters,(2) title: INTERVIEW - Nuclear energy to power 10 pct of Vietnam by 2030,(3) http://in.reuters.com/article/worldNews/idINIndia-41575020090806?pageNumber=1&virtualBrandChannel=11584,(4) Thu Aug 6, 2009 12:21pm IST,By John Ruwitch and Nguyen Nhat Lam,HANOI (Reuters),(5) Ninh Thuan province,(6) Ho Chi Minh City,(7) Vietnam Atomic Energy Commission,(8) Vuong Huu Tan, chairman of the Vietnam Atomic Energy Commission,(9) Westinghouse Electric, a unit of Japan's Toshiba,(10) ROSATOM,(11) EDF,(12) China Guangdong Nuclear Power Group,(13) Vietnam Electricity (EVN),(14) Chernobyl meltdown in 1986,(15) METI Ukraine-trained nuclear expert,(16) METI http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2008/siryo25/siryo25-1.pdf,(17) Photo source: Toshiba http://www.fnca.mext.go.jp/cgi-img/asia-img/head/VietNam.pdf,(18)
今日の参考資料
●090807A Vietnam, in.reuters
ベトナムは2020年までに系統の10%を原子力で賄う
INTERVIEW - Nuclear energy to power 10 pct of Vietnam by 2030
http://my.reset.jp/adachihayao/index090807A.htm
http://in.reuters.com/article/worldNews/idINIndia-41575020090806?pageNumber=1&virtualBrandChannel=11584
最近の関連資料
●090225A Vietnam, english.vietnamnet
ベトナムの原子力開発は4月にも国会へ上程へ
Nuclear power project to be submitted to NA in April
http://my.reset.jp/adachihayao/index090225A.htm
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