2008年11月8日土曜日

IEAが原油動向で報告書

HPは下記ドメインです。
アフリカ,中東,南米,再生可能エネルギーの最前線もあり。
温暖化最前線も始めました,下のHPから見て下さい。
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm

イタリアのベルルスコーニ首相が、米国初の黒人大統領となるバラク・オバマ上院議員について,「ハンサムで若くて,日焼けまでしている。」,と発言,イタリア人らしいが,共和党が勝って欲しかったようだ。昨夜は,米国の自動車メーカーGMが重大発表する,と騒いでいたが,昨日のトヨタといい,自動車業界が騒がしい。技術革新のスピードが遅かったのではないか。

電気自動車は,技術的には目の前に来ているようで,160km連続走行が可能と書いてあった。しかし,電気自動車が,原油の動力源を原子力に変えて行く,と言う事実までは書かれない。エコと言っている大部分は,電力に負担がかかってきているわけで,新幹線然りである。自動車業界が幾ら電気自動車に変えてきても,電力会社が石油を使えば,何にもならないわけだ。「エコ新幹線」,は「エコ原子力」,と呼んで欲しい。

さて,今日の主題は,IEA(注5)が発表した,2008年次報告書の内容である。世界の原油価格については,今年,2008年,の半年間で,ジェットコースタのような激しい動きを味わった。それに世界の金融危機が重なって,今後,どの方向にぶれて行くのか,議論も多いところである。2008年10月7日には本HP(注1)でも,元アブラハム米国エネルギー長官(注2)の関係する報告書(注3)で,短期的視野ながら,90ドルから115ドルの範囲内で,ここ数ヶ月は動くはずだ,と,OPEC(注4)の減産体制の行くへを見ながら,原油価格先行きを占っている。

今日の記事。IEA(注5)が,膨大な年次レポートを作成し,15ページ程度のサマリーを,本報告書の発表に先立って公表した。一言で言えば,世界は多くの不確定要素と数年間先のエネルギー価格上昇に遭遇しており,企業群は,無理矢理に老朽化した油田を運転しながら新規の油田探しに狂奔している状態だ,と言っている。そうして,油田探査,原油生産,それに発電設備に,より多くの投資を呼びかけている。現時点の安価な原油価格が続くことはない,と言っている。なお報告書は,世界の800の原油ガス田の調査を基礎としたものだ,と言っている。

エネルギー需要の拡大とインフラの老朽化が並行して起こるので,企業群は,2030年までに26兆ドルの投資を強いられる。そのうちの半分は,発電設備と配電設備の増強に当てられる。残りの殆どは,今後数十年続くと思われる一次エネルギーとしての原油探査と開発に回される。増大する原油需要に対して,この先22年間,新たに日6,400万バレルの増産が必要で,この値は現在のサウジアラビア(注7)の生産量の6倍に当たる。そのうち半分は,この先8年内に必要となる。

原油だけに注目した2030年までの見通しの報告書である。2030年までは,エネルギー革命は劇的には起こらない,との前提なのであろう。印象的なのは,老朽化して生産が減って行く油田が多いにもかかわらず,日6,400万バレルの増産が必要,と言っている点で,果たして現実的な数字なのかどうか,一瞬迷うが,石炭は余り増やせないと考えると,まだ石油にここまで頼る必要があるのか。一体何に使われて行くのか,調べてみようと思ったが,今日は時間なし。自動車と飛行機が大きいならば,それなりの議論が必要だ。

(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/iindex3newsME.htm,(2) former U.S. Energy Secretary Spencer Abraham,(3) Abraham Energy Report,(4) the Organization of Petroleum Exporting Countries,(5) the International Energy Agency,(6) the New York Mercantile Exchange,(7) Saudi Arabia,(8)

本文

●IEAが警告,原油供給は逼迫,価格は急上昇の可能性

世界の原油価格については,今年,2008年,の半年間で,ジェットコースタのような激しい動きを味わった。それに世界の金融危機が重なって,今後,どの方向にぶれて行くのか,議論も多いところである。2008年10月7日には本HP(注1)でも,元アブラハム米国エネルギー長官(注2)の関係する報告書(注3)で,短期的視野ながら,90ドルから115ドルの範囲内で,ここ数ヶ月は動くはずだ,と,OPEC(注4)の減産体制の行くへを見ながら,原油価格先行きを占っている。

今日の記事。IEA(注5)が,膨大な年次レポートを作成し,15ページ程度のサマリーを,本報告書の発表に先立って公表した。一言で言えば,世界は多くの不確定要素と数年間先のエネルギー価格上昇に遭遇しており,企業群は,無理矢理に老朽化した油田を運転しながら新規の油田探しに狂奔している状態だ,と言っている。そうして,油田探査,原油生産,それに発電設備に,より多くの投資を呼びかけている。現時点の安価な原油価格が続くことはない,と言っている。なお報告書は,世界の800の原油ガス田の調査を基礎としたものだ,と言っている。

今年,2008年7月,に最高147ドルまで達した原油価格は,この木曜日,2008年11月6日,ニューヨーク市場(注6)で,一気に6.9%,バレル4.53ドルの下落を演じ,2007年3月以来の安値,60.77ドルとなった。IEA(注5)は,現在の経済的混乱が収まれば,原油需要が回復し,2030年までにはバレル200ドルに達する,としている。

エネルギー需要の拡大とインフラの老朽化が並行して起こるので,企業群は,2030年までに26兆ドルの投資を強いられる。そのうちの半分は,発電設備と配電設備の増強に当てられる。残りの殆どは,今後数十年続くと思われる一次エネルギーとしての原油探査と開発に回される。増大する原油需要に対して,この先22年間,新たに日6,400万バレルの増産が必要で,この値は現在のサウジアラビア(注7)の生産量の6倍に当たる。そのうち半分は,この先8年内に必要となる。

エネルギー関連企業は,過去,2000~2007年に,新規の原油ガスプロジェクトに,合計3,900億ドルを投資してきたが,これから2030年までは毎年3500億ドルの投資を行う必要がある,と言うことである。問題は,既設原油ガス田の老朽化で,特にOPEC以外,メキシコ,ノルウエー,ろ紙でそれが顕著である。これらの老朽化した原油ガス田の生産量の落ちは毎年6.7%に上り,2030年時点では8.6%に達する。相対的に,サウジアラビア,イラン,イラクなどの重要性が高まってくる。

IEA(注5)は,再生可能エネルギーについては,楽観的な見方をしている。風力,太陽光,地熱の伸びは年7%と見ている。水力を除いた再生可能エネルギーは,2006年に1%であったものが,2030年には4%になるだろう,としている。なお,米国,欧州,日本での原油需要は昨年より増えることはないが,これからの需要の伸びは,中国,インド,と中東だと見ている。

私は,この報告書は,石炭原子力に触れていない点で,エネルギー全般を見ているとは言えないが,少なくとも,中国,インド,と中東の原油の需要増で,現在の日8700万バレルのレベルの原油需要が,2030年で,プラス6400万,合計で日1億5,100万バレル,しかも老朽化した油田ガス田の生産の落ちを言われると,やはり何らかのエネルギー革命は,2030年までに起こらざるを得ないと言う気がする。電気自動車の進展ををどう考えるか,また別の機会に論じることにしよう。

(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/iindex3newsME.htm,(2) former U.S. Energy Secretary Spencer Abraham,(3) Abraham Energy Report,(4) the Organization of Petroleum Exporting Countries,(5) the International Energy Agency,(6) the New York Mercantile Exchange,(7) Saudi Arabia,(8)

●フィリッピン,半導体業界,電力料金下げを,再度要請

フィリッピンの悪名高い電気料金について,国内資源であるマランパヤガス田(注8)のロイヤリティが問題になっており,ファーストジェン(注9)のロペス会長(注10)が,その処置を政府に迫っている,と言う記事は,2008年10月15日の本HP(注11)でも扱った。ロペス会長(注10)があげた数字は,天然ガスからの政府の徴収するロイヤリティは年間370億ペソの達している。5月の電気料金で見ると,もしこれを負荷率の高い企業にこの額で料金削減を行うと,KWh当たり4.36ペソ,約9.08セント相当,であったものが,2.57ペソ,約5.35セント相当,に激減する。

これが企業の誘致となり,政府は逆に50億ペソの増収に跳ね返るだろう,と言うものであったが,その後,このロイヤリティ収入を米の輸入代金に充てよう,と言う政府の案が浮上して,国内で論議が沸騰しているようだ。今日の記事は,ロペス会長(注10)の言を受けて,半導体業界が,再び電気料金の値下げを迫った記事である。

半導体企業SEIPI(注12)のユン会長(注13)は,「半導体企業SEIPI(注12)の立場は変わっていない。マランパヤガス田(注8)のロイヤリティ問題は,電気料金値下げの絶好の機会であり,半導体企業SEIPI(注12)ばかりでなく,他の産業需要家にも有利になる。」,と強調している。また,政府に一部で出ている,米増産への適用について,立派な考えだが,米と産業の比重を十分に考えるよう要請している。産業需要家に対しては,50億ペソは必要,と数字も出ている。そうして,これはマニラ配電(注14)の管内需要家にも貢献する。

ファーストジェン(注9)のロペス会長(注10)も言っていたように,高い電気代の中では,半導体企業などが,電気料金の安いタイやベトナムにのげる可能性もある,と半導体企業SEIPI(注12)のユン会長(注13)も同じ警告をしている。ただ,一度国会と産業界の論争があり,産業界が直接,アロヨ大統領に直訴の手紙を出したときに,国会が,我々は一般国民の利益を考えて働いている,と立腹した経緯もある。

(注) (8) the Malampaya gas field project,(9) First Gen,(10) president Federico R. Lopez,(11) http://my.reset.jp/adachihayao/index081015B.htm,(12) The Semiconductor and Electronics Industries of the Philippines Inc. (SEIPI),(13) SEIPI chairman Arthur Young,(14) the Meralco (Manila Electric Company),(15)

Reference

Power

●081107A IEA,online.wsj.com
IEAが警告,原油供給は逼迫,価格は急上昇の可能性
Oil Supplies Will Tighten And Prices Jump, IEA Warns
http://online.wsj.com/article/SB122600164194705909.html?mod=googlenews_wsj

Philippines

●081107B Philippines, Manila Bulletin
フィリッピン,半導体業界,電力料金下げを,再度要請
SEIPI presses for power cost reduction
http://www.mb.com.ph/BSNS20081107140132.html

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