2008年11月28日金曜日

フィリッピンの再生可能エネルギー再び

HPは下記ドメインです。地図など見て下さい。
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm

インドのムンバイ,テロ事件の最新情報では,死者数は125人、負傷者数は327人,で,タージマハールホテルは制圧されたが,トライデントホテルはまだ制圧中。それにしても津田さんの犠牲は人ごととは思えない。エネルギー最前線で戦っていた人だったから,ひょっとしたら一度ぐらい私のメルマガも読んでいてくれたかも知れない。冥福を祈ります。ただ,いろいろな解説を聞いていると,外国資本投資への反発,との意見もあり,しばらくのインドは,外資導入にも障害が生ずる可能性がある。外資導入が貧富の格差を生んだ,とテロの遠因を説明する人がある。

バンコクは,既にタイの経済学者などは,空港閉鎖が年末まで続く可能性がある,として損害額やGDPの落ちを計算し始めている。それほどタクシン派を追放するのは難しいのか,と思ってしまう。結局,地方の支持がタクシンから離れないので,総選挙をやってもまた同じことになるのか。結局タイは,バンコクと地方に経済格差が大きくなりすぎて,国民が2極化した,と言うことなのであろうか。1990年頃でも,我々も余りの落差に驚いていたぐらいだから,バンコク市民は,実力で政権をひっくり返すより仕方がない,何とも不幸な成り行きだ。

今日は再び,フィリッピンの再生可能エネルギーを取り上げている。面倒くさいが,どうも最近は,このフィリッピンの国産エネルギーへのこだわりが突出してきて,東南アジアでは特殊な動きを始めたことが気になり始めた。今日の記事は,再生可能エネルギー法案(注14)を積極的に進めてきたアンガラ上院議員(注2)が,2008年10月に上海で開かれたフォーラム(注3)で講演した内容に基づく。ポイントを上げると。

フィリッピンであるが,2010年までに60%を国内エネルギーで賄う目標を持っている。2000年に45%であった国産依存は,2007年には57.20%に達した。発電分野では,自給率が2006年に66%となり,石油依存度は,20.28%であったものが8.2%まで落ちている。この2010年,60%と言う目標は,フィリッピンに豊富な地熱などを中心に,再生可能エネルギーの利用で実現したい。

2003年に策定された再生可能エネルギー政策枠組み(注9)のもと,10年間で再生可能エネルギーを倍増する目標で,2007年末時点には5445MWに達した。フィリッピンエネルギー計画(注10)は,2009~2012年で新規電源5,393MW必要で,この内訳は,ルソン(注11)が3711MW,ビサヤ(注12)が844MW,ミンダナオ(注13)が838MWである。再生可能エネルギーによる新規電源は,現在,2,469MWが準備中の状態にある。この計画に対応する法律整備も進めている。

私は,とにかく世界の最先端に,落ちつくところを考えずにまず飛び上がるフィリッピンの行政の特徴を見る。原子力然り,電力セクター改革然り,そうしてまたこの再生可能エネルギー然り,である。原子力はとんでもないところでひっくり返ったし,電力改革は,東南アジアでも一番高い電気料金を下げることが改革の目的だったのだが,今のところはこれがその意に反している。電力改革は,とにかくそのまま進め,と言う人と,電気料金が高い,という一点で反対する勢力があるが,もう引っ返せない。需給バランスが壊れたときどう対処するか,それが改革の正否を決める。

再生可能エネルギーについては,これは資源のない国としての建前を前面に出してきて,国産資源を開発することと一体となって進んでいる。太陽光や風力もさることながら,やはり行き着くところは,地熱発電と水力だろう。水力は相当に開発が進んだと思わているが,治安の関係で手が付けられていないところが,まだミンダナオやルソン北部に残っている。フィリッピンの戦いを見守ろう。

(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081010C.htm,(2) Sen. Edgardo Angara,(3) Asia Pacific Finance and Development Center Biennial Forum,(4) International Energy Agency,(5) tons of oil equivalent (toe),(6) solar photovoltaic,(7) European Union,(8) Global Wind 2007 Report,(9) Renewable Energy Policy Framework,(10) Philippine Energy Plan,(11) Luzon,(12) Visayas,(13) Mindanao,(14) Renewable Energy Bill,(15) Renewable Portfolio Standard,(16) feed-in-tariff mechanism,(17) Green Energy Option,(18) carbon credit,(19) Green Revolution,(20) Rep. Mikey Macapagal Arroyo (Kampi, Pampanga), chairman of the House Committee,(21)

本文

●フィリッピン,再生可能エネルギーによるクリーン開発

フィリッピンの国産,再生可能エネルギーへの取り組みは激しい。ココナッツバイオを自動車のガソリンの中に,強制的に入れさせる法律の行くへを,ASEAN諸国が,疑いの目でじっと睨んでいる。また,2008年10月10日本HP(注1)では,フィリッピン国会が,再生可能エネルギー報告を了承,アロヨ大統領の署名待ちとなっている。この法案を積極的に進めた一人が,アンガラ上院議員(注2)である。今日の記事は,アンガラ上院議員(注2)が,2008年10月に上海で開かれたフォーラム(注3)で講演した内容に基づく。ポイントだけ拾う。

IEA(注4)の報告書によると,2005~2030年の間に,世界経済の拡大が,エネルギー使用量55%伸びを必要としている。これは石油換算(注5)で,114億トンを177億トンに持っていかなければならないことを意味する。これは,二酸化炭素ガス排出量で,2005年に於ける270億トンから,2030年に於ける420億トン,57%伸びをもたらす。そこで,再生可能エネルギーによるクリーンな開発が要請される。

再生可能エネルギーにとって,昨年,2007年は画期的な年で,これまでの再生可能エネルギーへの投資は710億ドルに達し,発電力で言えば,240,000MWに達した。風力は28%を占め,出力で,95,000MW,投資は370億ドルであった。送電網に組み込まれた太陽光発電(注6)は,7,700MWで,150万世帯の屋根に取り付けられた。バイオ燃料の2007年世界総量は,530億リッターと推定されている。

EU(注7)は,2020年までに20%の再生可能エネルギーを目指しており,中国は,15%としている。特に中国の風力について,昨年,2007年,初めて風力タービン製造の世界市場へ打って出た。2007世界風力報告(注8)によれば,中国の風力タービン製造能力は5,000MWに達し,2010年には,10,000~12,000MWに達すると予想されている。

フィリッピンであるが,2010年までに60%を国内エネルギーで賄う目標を持っている。2000年に45%であった国産依存は,2007年には57.20%に達した。発電分野では,自給率が2006年に66%となり,石油依存度は,20.28%であったものが8.2%まで落ちている。この2010年,60%と言う目標は,フィリッピンに豊富な地熱などを中心に,再生可能エネルギーの利用で実現したい。

2003年に策定された再生可能エネルギー政策枠組み(注9)のもと,10年間で再生可能エネルギーを倍増する目標で,2007年末時点には5445MWに達した。フィリッピンエネルギー計画(注10)は,2009~2012年で新規電源5,393MW必要で,この内訳は,ルソン(注11)が3711MW,ビサヤ(注12)が844MW,ミンダナオ(注13)が838MWである。再生可能エネルギーによる新規電源は,現在,2,469MWが準備中の状態にある。この計画に対応する法律整備も進めている。

もっとも注目を浴びているのは,再生可能エネルギー法(注14)で,今月,国会を通過し,再生可能エネルギー市場の形成の促進を図る。法案は今,アロヨ大統領の署名を待っている。この法案の特徴は,再生可能エネルギー採算基準(注15)で,一定の割合の導入を課し,12年間は価格を据え置くフィード-イン-タリフメカニズム(注16)を採用している。需要家が選択するグリーエネージオプション(注17)も用意している。

財政的なインセンティブも施策には含まれており,関連所得税免除1年延長で7年に,再生可能エネルギー関連機材の関税免除,国内機器準備への融資,カーボンクレディット(注18)の免税措置,地方電化への補助,などである。フィリッピンのこの方針は,有効だとの国際的な評価を得ている。世界的のも,気候変動へのコストは2000億ドルを超すと言われている。フィリッピンが,先頭になってグリーン改革(注19)を行うことに,喜びを感じている。

フィリッピンで,再生可能エネルギー法(注14)を,アキノ上院議員(注20)と共に推進してきたアンガラ議員(注2)だけに,まとまった報告であるが,目標にはまだまだ数字的に疑問がある。しかし,少なくとも,東南アジアの中では突出した行動で,電力改革と共に,何でも法律化してしまうこの区のの特性が印象づけられる。国産エネルギーへのこだわりがこうさせた,とも言えるので,資源を持たない国の焦りともとれる。

(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081010C.htm,(2) Sen. Edgardo Angara,(3) Asia Pacific Finance and Development Center Biennial Forum,(4) International Energy Agency,(5) tons of oil equivalent (toe),(6) solar photovoltaic,(7) European Union,(8) Global Wind 2007 Report,(9) Renewable Energy Policy Framework,(10) Philippine Energy Plan,(11) Luzon,(12) Visayas,(13) Mindanao,(14) Renewable Energy Bil,(15) Renewable Portfolio Standard,(16) feed-in-tariff mechanism,(17) Green Energy Option,(18) carbon credit,(19) Green Revolution,(20) Rep. Mikey Macapagal Arroyo (Kampi, Pampanga), chairman of the House Committee,(21)

●今日,ネパールとインドの総括協議,水力開発など

2008年9月半ば,ネパールの首相として初めてニューデリーを訪問してインドの新首相から暖かく迎えられたプラチャンダーは,ネパールの経済開発を軌道に乗せるために,矢継ぎ早に,主としてインドに対して,協力案件を投げかけた。それは,10年間,10000MWの水力開発であり,その他水資源を中心とした案件であった。今日の記事は,外務大臣の間で,いよいよ協議が始まる。

今日,2008年11月27日,ネパールとインドの二国間外務大臣協議が始まる。まず両国の外務大臣は,犯人引き渡し条約(注21)の交渉から入る。インドのムケルジ外相(注22)は,ニューデリーを離れるに当たり,記者団に対して,条約の早期取り決めに当たる,と語った。出発前に,ムケルジ外相(注22)は,国境の町ビルグンジュ(注23)を訪ね,建設中の国境関門(注24)を視察している。

一方,ネパールのヤダブ外相(注25)は,二国間協力に関する16項目の談話を発表している。10年間に,10000MWの水力開発,に関してインドの協力を求める。また,国境のテライ(注26)の問題も重要視している。テライ(注26)のマケシ(注27)関連については,インドのムケルジ外相(注22)も,既にマケシ(注27)のリーダー達に会っており,彼等を支援してインフラ構築など協力を惜しまない,としている。

インド側は,ネパールの要請する貿易規制や,定期的な両国の会合の提案を受け入れており,ネパールは,インド企業のネパールへの参入に対応する投資環境の整備を約束しており,事前の空気は友好的である。国境問題については,技術委員会が既に,地図上への線引きを終えており,この地図上に両外相が署名する段取りになっている。

(注) (21) a provision for extradition,(22) Indian Minister for External Affairs Pranab Mukherjee,(23) Birgunj,(24) Integrated Check Post,(25) Foreign Minister Upendra Yadav,(26) Tarai,(27) Madhesi,(28)

●ラオス,新たな水力プロジェクト,ベトナムとの連携

この記事は,ハノイ駐在の中国紙の記者が書いたもので,最近の中国メディアは,ベトナムの周辺国への動きに神経質である。記事によると,新規水力発電所が,ラオスのフアパン県(注28)に計画されていて,地方の電力需要とベトナムへの輸出を考えている,とビエンチャンタイムス(注29)が報じている,というもの。

フアパン県(注28)が何処なのか,まだ私は確認できないが,おそらく北部のベトナム国境に近いところなのであろう。現時点では,地元の小水力とベトナムからの2MWの融通で,電力供給している。フアパン県(注28)のブアソン電力担当(注30)によると,県全人口の30%が,電力を受けている状況という。

彼によると,今回のプロジェクトが円滑に進めば,県全体の電化のみならず,ベトナムへの輸出も,2020年には,可能である,と言っている。プロジェクトは複数で,大きいものは,600~800MW,小さいものは8MWで,調査は2010年には終了する。

ラオスのエネルギー鉱業省のエネルギー開発推進局(注31)によれば,ラオスの包蔵水力は,メコン本流を除いて,26,500MWであり,過去30年間でその2%が開発されたに過ぎない,と言っている。

(注) (28) Huaphan province,(29) Vientiane Times,(30) provincial Energy and Mines Department Manager Bouasone Thammaly,(31) Energy Promotion and Development Department of Lao Ministry of Energy and Mines,(32)

Reference

Philippines

●081127A Philippines, abs-cbnnews
再生可能エネルギーによるクリーン開発
Clean development through renewable energy?Edgardo Angara
http://www.abs-cbnnews.com/views-and-analysis/11/26/08/clean-development-through-renewable-energy%E2%80%94edgardo-angara

Nepal

●081127B Nepal, thehimalayantimes
今日,ネパールとインドの総括協議,画期的な取り決めへ
Bilateral nod to update extradition treaty
http://www.thehimalayantimes.com/fullstory.asp?filename=aFanata0sa3qzpla4Sa0qa.axamal&folder=aHaoamW&Name=Home&dtSiteDate=20081127

Laos

●081127C Laos, news.xinhuanet
新たな水力プロジェクト,ベトナムとの連携
New hydropower plants to be built in Laos
http://news.xinhuanet.com/english/2008-11/26/content_10416643.htm

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