2008年11月16日日曜日

メコン洪水で再び中国ダム論争

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アフリカ,中東,南米,再生可能エネルギー,地球温暖化の最前線もあり。
温暖化最前線も始めました,下のHPから見て下さい。
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時事通信によると,麻生太郎首相は15日の内外記者会見で,オバマ次期米大統領について,「電話で話した印象では,インテリジェンス(知能)がえらく高そうな英語だった。」,と述べた,とする記事を載せている。麻生首相は漢字を読み間違えたから,余計英語にこだわっているのですかね。なかなか日本人に,ネイティブの英語のインテリジェンスは理解困難と思うのだが,どうですか。オバマさんも,麻生さんに言われたくない,と言っているだろう。

昔,30年ぐらい前にアメリカ人と机を並べて仕事をしていたが,彼が,ちょっと辞書貸してくれ,と言うから,何だ,あなたも辞書がいるのか,と冷やかしたら,彼の答えは,「綴りを間違えると教養を疑われるから。」,であった。今のようにワープロが見てくれないので,あのころは報告書のスペルミスをチェックするのが大変な作業だった。その昔,アメリカの副大統領候補が,発音を間違えて,落選したことがあった。もうこれ以上,麻生さんのことを言うのを止めておいた方が良さそうだ。

メコンの2008年8月の洪水がまだ尾を引いている。今回,2008年11月12,13日の両日,バンコクのチュラロンコン大学(注2)で開催された,主として環境団体によるフォーラム,「メコン本流ダム,国境からの声」(注3),と題して,300の団体代表が集合した。殆どは大メコン圏諸国(注4),中国,ミャンマー,ラオス,タイ,カンボジア,ベトナムからの環境関連団体である。

このフォーラムで,再び,2008年8月のメコン本流での洪水被害が取り上げられ,出席者の発言は,上流中国ダムの放流により被害が拡大した,と中国を非難している。メコンエネルギー環境ネットワークのウイットーン代表(注5)は,2008年5月に起きた四川省大地震の影響を心配した中国が,2008年8月になって,漫湾(注6),大朝山(注7),景洪(注8)の三つのダムから数十億トンの放流を行ったからだ,と主張している。

私は,中国の本流ダムの運用については,具体的な取り決めを進めた方がよいと思う。そうすると中国のダム建設を容認することになるから,なかなか手を付けられないのであろうが,今の状態では,どの様に放流されても,下流からのチェックが出来ない。上流のダムが満水の状態では,上流から入ってくる流量をそのまま下流へ,と言う原則も話し合えないのか。

別の記事で,ネパールのプラチャンダ首相(注13)とインドのメシュ副大臣(注24)が,ネパールの水力開発で,ニュースの中で踊っているのは,私は愉快である。私が指名した,アジア開発3人男の二人だから。ネパールの水力は,この二人がいなければ,実現不可能だろう。詳細は本文記事を見て下さい。

(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index3news0808.htm,080828D,(2) Chulalongkorn University,(3) “Mekong Mainstream Dams: Voices across Borders,”,(4) Greater Mekong Subregion,(5) Witoon Permpongsachareon, a coordinator with the Mekong Energy and Ecology Network,(6) Manwan,(7) Dachaoshan,(8) Jinghong,(9) Mekong River Commission (MRC),(10) Mekong River Commission Fisheries Program,(11) Stung Treng,(12) Sambor,(13)

(注) (13) Prime Minister Pushpa Kamal Dahal `Prachanda',(14) Bay of Bengal Initiative for Multi-sectoral Technical and Economic Cooperation (BIMSTEC),(15) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081114B.htm,(16) Dr. Manmohan Singh,(17) Tehri Dam,(18) Uttarakhand,(19) Dehradun,(20) Pancheshwar dam,(21)

本文

●バンコクのフォーラム,中国のダムの放流に抗議

2008年に起きたメコン河の洪水については,本HPで2008年8月28日(注1)に報じたように,ビエンチャンで開かれたメコン河委員会MRC,その28次年次総会で問題となっている。一部の環境団体は,上流,中国領内で進むダム開発の影響が大きい,と主張しているが,MRCや関係政府は,ラオス北部を通過したモンスーンの影響で,直ちに中国のダムと結びつくことは否定している。しかし,中国領内ダムの情報の透明化については,いずれの公的機関も必要と思っている。

今回,2008年11月12,13日の両日,バンコクのチュラロンコン大学(注2)で開催された,主として環境団体によるフォーラム,「メコン本流ダム,国境からの声」(注3),と題して,300の団体代表が集合した。殆どは大メコン圏諸国(注4),中国,ミャンマー,ラオス,タイ,カンボジア,ベトナムからの環境関連団体である。

このフォーラムで,再び,2008年8月のメコン本流での洪水被害が取り上げられ,出席者の発言は,上流中国ダムの放流により被害が拡大した,と中国を非難している。メコンエネルギー環境ネットワークのウイットーン代表(注5)は,2008年5月に起きた四川省大地震の影響を心配した中国が,2008年8月になって,漫湾(注6),大朝山(注7),景洪(注8)の三つのダムから数十億トンの放流を行ったからだ,と主張している。

これに対して,メコン河委員会(注9)の事務局長は,あの洪水に対して中国のダムは責任がない,とかっての主張を繰り返した。そしてダムの責任を主張するラオス当局を非難した(と書いてある)。また漁業に対するダムの影響を問題にしている。これはメコン河委員会の漁業計画(注10)の意見でもある。フォーラムの主催者は,関係諸国のダム建設の抑制を主張した。

域内では,この先5年間で,ラオスが少なくとも7つのダム建設を進めており,その発電出力は7,470MWであり,他にタイとの協力で,3409MWを計画している。カンボジアも二つのダムを計画している,それは本流のスタントレン(注11)とサンボール(注12)である。

以上が記事の内容であるが,私は,中国の本流ダムの運用については,具体的な取り決めを進めた方がよいと思う。そうすると中国のダム建設を容認することになるから,なかなか手を付けられないのであろうが,今の状態では,どの様に放流されても,下流からのチェックが出来ない。上流のダムが満水の状態では,上流から入ってくる流量をそのまま下流へ,と言う原則も話し合えないのか。

(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index3news0808.htm,080828D,(2) Chulalongkorn University,(3) “Mekong Mainstream Dams: Voices across Borders,”,(4) Greater Mekong Subregion,(5) Witoon Permpongsachareon, a coordinator with the Mekong Energy and Ecology Network,(6) Manwan,(7) Dachaoshan,(8) Jinghong,(9) Mekong River Commission (MRC),(10) Mekong River Commission Fisheries Program,(11) Stung Treng,(12) Sambor,(13)

●ネパール,プラチャンダー首相,インドとの水力開発に熱意

本HPの2008年11月14日(注15)でも触れたように,ネパールのプラチャンダ首相(注13)が,BISTEC(注14)首脳会議でニューデリーを訪問し,インドのシン首相(注16)と会談した後,テリーダム(注17)視察のために,ウッタラカンド(注18)のデラドウン(注19)を訪問する予定であったが,今日の記事は,そのウッタラカンド(注18)で怪気炎を挙げるプラチャンダ首相(注13)の様子である。

テリーダム(注17)を視察したプラチャンダ首相(注13)は,まず第一声,6,000MW,両国の境界付近に位置する巨大プロジェクト,パンチェスバール水力(注20)のインドによる協力で実現したい,と抱負を語った。このパンチェスバール水力(注20)は,テリーダム(注17)と同じように,数十万人規模の移住を必要としており,良い見本となる,としている。

記者会見で,貯水池開発か流れ込み式開発か,と聞かれたプラチャンダ首相(注13)は,両方だ,と答えている。でもこの質問した人は,やはりことの本質を見極めた上で質問したようで,ネパールの於ける貯水池式の開発は,河川環境や水没の問題もさることながら,ヒマラヤからの土砂流入への対処が問題であることを理解した上だろう。

(注) (13) Prime Minister Pushpa Kamal Dahal `Prachanda',(14) Bay of Bengal Initiative for Multi-sectoral Technical and Economic Cooperation (BIMSTEC),(15) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081114B.htm,(16) Dr. Manmohan Singh,(17) Tehri Dam,(18) Uttarakhand,(19) Dehradun,(20) Pancheshwar dam,(21)

●インド企業,論争の中,ネパールの水力,調査開始

ネパールの,402MW,アルン第3水力(注21)にとりついたインド企業SJVN(注22)は,地元民の抵抗を受けながらも,両国政府の強い要請で動き始めたようだ。既報のBISTEC(注14)首脳会議で,ネパールのプーデル水資源大臣(注23)が,インドのラメシュ副大臣(注24)に,早期着工を迫ったわけである。

一応国際入札で,SJVN(注22)はアルン第3水力(注21)を獲得したわけであるが,何しろ地元民の要求が激しいことと,ネパール国会でも一時,外国企業へのプロジェクト委譲が問題になった事情で,なかなか動けなかったが,とにかく,この奥地のプロジェクトに調査の楔を打ち込んだわけである。

このアルン第3水力(注21)の現地調査は24ヶ月が予定されており,この調査終了後,SJVN(注22)は再びプロポーサルをネパール電力庁NEA(注25)に提出して,それにより最終決定を受けることになっている。

(注) (21) Arun III hydropower project,(22) Satluj Jal Vidyut Nigam,(23) Nepal’s Water Resources Minister Bishnu Poudel,(24) Indian Minister of State for Power and Commerce Jairam Ramesh,(25) Nepal Electricity Authority (NEA),(26)

●ベトナム,住友などのアボン水力,105MW,第1号機運転へ

現地企業電力機械(注26)と住友商事が,EVN(注27)からターンキーで建設を請け負った,105MW,アボン水力(注28)の第1号機を完成して運転に入った。第2号機は2009年1月完成の予定である。アボン水力(注28)地点は,クワンナム県(注29)に位置し,2003年に着工し,完成が近づいている。年間発生電力量は815GWhである。

なお,この現地企業電力機械(注26)と住友商事の合弁は,55MWのプレイクロン水力(注30)も請け負っている。

(注) (26) Power Machines,(27) Electricity of Viet Nam (EVN),(28) A Vuong,(29) Quang Nam province,(30) Pleykrong hydropower plant

Reference

Vietnam

●081115A Vietnam, waterpowermagazine
住友などのアボン水力,105MW,第1号機運転へ
Vietnam sees first unit commissioned at A Vuong
http://www.waterpowermagazine.com/story.asp?sectioncode=130&storyCode=2051486

Nepal

●081115B Nepal, sindhtoday
インド企業,論争の中,ネパールの水力,調査開始
Satluj begins hydropower project survey in Nepal amid dissent
http://www.sindhtoday.net/south-asia/36135.htm
●081115C Nepal, zeenews
プラチャンダー首相,インドとの水力開発に熱意
Nepal keen to work on hydropower projects with India: Prachanda
http://www.zeenews.com/nation/2008-11-14/483510news.html

Laos

●]081115D Mekong, irrawaddy
バンコクのフォーラム,中国のダムの放流に抗議
Chinese Dams Accused of Flooding the Region
http://www.irrawaddy.org/article.php?art_id=14633

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