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アフリカ,中東,南米,再生可能エネルギーもあり。
温暖化最前線も始めました,下のHPから見て下さい。
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その昔,ラオスのナムグムダムの上を歩いているときに,ラオスの若いエンジニアーから,「アダチさん,おめでとう。いよいよ日本も社会主義国の仲間入りだね。」,と言って握手を求められて面食らった,丁度,社会党の村山さんが首相になったときである。社会主義国と社会主義政党が政権を握ったこととは,大きな違いなのだが,説明するのは面倒くさかった,有り難う,と言って握手した。あの時,あのラオスの子は,本気で言ったのだろうか,冗談だったのだろうか,今になっても考え込んでしまう。
今日の記事の中で,ネパールの週刊雑誌の編集者で中国の専門家が,中国メディアのインタービューを受けて,中国の経済政策を礼賛しつくし,中国経済こそは,これからのネパールの経済発展の模範だ,と大きく持ち上げている。かって,インドネシアのカラ副大統領も,中国から帰ってきて,中国の方式こそが,経済発展の方程式だ,インドネシアも見習う,と宣言して,石炭火力を全部作ってもらう約束を獲得したことがあった。
このネパールの記者と,私の友人であるラオスのエンジニアートは,同じ勘違いをしている。ネパールはマオイストのプラチャンダーが首相となり,これは共産主義政権だと言われている。ただ,ネパールの記者は,この共産党政権に他の政党が,ゆくゆくは組み込まれて,共産党の一党独裁に進み,中国と同じ道を歩む,と考えているようだ。ネパールの場合は,中国と違って,明日国民がノーと言えば,共産党政権は壊れる。
ただ,このネパールのプラチャンダー政権は,政権につく前のマオイストは,中国は共産主義の堕落したもの,と決めつけて批判してきており,今回政権をとったことで,プラチャンダーは,インドに行く前に北京を訪問して,悪かったと謝って,姿勢を180度転換することで,今日の記者に皮肉られている。でも,そんなことより,中国に,鉄道建設とダム建設を手伝って貰うことの方が,プラチャンダーにとって大切なようだ。
インドを挟んでの,ネパールと,水問題のパキスタン,両国とも,インドの回りをぐるぐる回る衛星だ,と言えば叱られるかな。しかし,昨日は,インドがインダスの上流に建設するシェナブ川(注15)のバギリハールダムで,パキスタン側の痛烈な記事があり,今日はパキスタンの水の専門家が,ワシントンで,パキスタンの水の窮状を訴えた記事を読まされて,すっかりパキスタンに同情しているが,水問題とは何か,考えさせられる。
このパキスタンの専門家の話で,最後に彼女が言っている言葉が,結構面白い。彼女は,パキスタンの水問題は,まず発想の転換をしなければならない,と言って,パンジャブ州とシンディ州の争い,と言う考え方を止めて,水を使っているもの同士の論議に転換しなければならない,と言っている。州同志の争うは,いつまでも続いて,政治家のいい道具にされてしまっている,と言うのである。まさしく水問題は,一旦政治の道具,外交の道具に使われると,解決できない,と言うことは,メコン河も同じ構造だ。専門家は,次のように言っている。
世界の河川でも,上下流の争いの例は沢山あるが,パキスタンも例外ではない。しかしそこには多くの教訓が潜んでいる。下流国が自分で自分を守ることが重要で大切だ。パキスタンの場合は,一般的な方法と新しい発想を組み合わせて解決可能だと思う。今とは違う枠組みを発想して行かなければならないかも知れない。州間の論争でなく水使用者の論争にすべきではないか。その意味では,パンジャブ州(注22)とシンディ州(注32)の論争に,全土の問題を解決するヒントがある。水の供給の問題から水需要の運営法に,重点を移していったらどうか。
このカマール女史(注17)の講演を読み進むうち,各地の水問題は殆どが政治に利用された政治問題ではないか,と言う気になってきた。まあ実態はそうなのだろうけれど,皆さん,一生懸命技術を考えているけれど,結局最後は政治家に利用されて行く。カマール女史(注17)の最後に出てくる言葉,「水は州の間の争いではなく,水を使うものの争いでなくてはならない。」,と言う言葉がそれを示している。
(注) (14) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081123A.htm,(15) Chenab river,(16) Karachi,(17) Simi Sadaf Kamal,chairperson of Hissar, an NGO in Karachi,(18) semi-arid,(19) Balochistan,(20) Mangla dam,(21) Tarbela dam,(22) Punjab,(23) Kalabagh dam,(24) Diamer-Bhasha Dam,(25) non-flood methods of cultivation,(26) micro-irrigation strategies,(27) tubewell,(28) on-farm irrigation,(29) Indus delta,(30) Kotri Barrage,(31) Water Accord of 1991,(32) Sindh,(33)
本文
●ネパールは,中国の30年間に亘る改革の経験に学べ
ネパールの最初の政権の仕事は,インド訪問ではなくて,北京訪問だった。2008年8月28日付け本HP(注1)でこのプラチャンダー首相の北京訪問に触れている。「プラチャンダーは,約束したユートピアの実現よりは,戦争を仕掛ける方がどれだけ簡単か,そのうち思い知るだろう。」,と,当時のワシントンストリートジャーナルは書いている。また,2008年9月16日付本HP(注2)では,プラチャンダー首相が,インド訪問に当たって,北京を先に訪問したことの言い訳を,縷々述べている。
今日の記事は,ネパールの中では中国通で通っているネパール週刊誌(注3)のシュレスタ記者(注4)が,中国紙(注5)のインタビューに答えたもので,歯の浮くような中国への憧憬の言葉が連なっているが,まあ,ネパール人の中にこのような親中派がいて,今回の革命に近い毛派の政権奪取の中で,インドと中国をどの様に秤にかけようとしているか,とくと拝見してみたい。シュレスタ記者(注4)は,1991年以来,16回北京を訪問していると言う。この記事は,カトマンズ(注6)で書かれたものである。
シュレスタ記者(注4)は,開口一番,長い内戦の結果,これからネパールの経済改革が始まるが,それは中国が過去30年間に解放への改革’注7)してきた歴史に学びたい,と切り出している。そうして,経済開発の基本は政治的な安定である,として,ネパールの和平達成に,期待を寄せ,今こそ中国に学んで中国のように繁栄を達成したい,としている。勿論,全く中国のコピーでなく,ネパールなりの方法で,と念を押している。
シュレスタ記者(注4)は,共産主義(注8)を礼賛している。誰が共産主義(注8)は廃れたと言っているのか,中国を見ればその答えが分かる,と言っている。そこには,マルクス(注9)やエンゲルス(注10),更には毛沢東(注11)とトショウヘイ(注12)の名前が出てきて,如何にも古めかしい。政権を取ったマオイスト(注13)も,以前は中国を,共産主義のはぐれもの,と蔑んでいたが,今は,中国がマオイスト(注13)の新しい規範になりつつあるのは,如何にもおかしい。180度転換である。
シュレスタ記者(注4)は,どうも勘違いしているのは,このマオイスト(注13)党が,他の政党を巻き込んで大きな政党になる,即ち,一党独裁の携帯に進む,と考えているようにもとれる。なぜ今回,マオイスト(注13)が政権を取れたのか,その民主主義の本質が理解できていないようだ。シュレスタ記者(注4)は,今話題となっているネパールの水力資源開発に,中国の力が大きいだろう,と言っている。一方でインドが主力占める水力開発であるが,少なくとも実施の方法は中国に学ぶべき,と言っている。
またシュレスタ記者(注4)は,雇用の問題について,ネパールの政府内で外国人を見かけたことがあるか,問いかけ,上海では実に118,000人の外国人が働いており,この中には日本人と韓国人が5万人,アメリカ人が1万人,更に100人のインド人が,コンピューターソフトに関わる仕事に就いている,とネパールとの違いを浮き彫りにしている。この中国の変化は,1978年以来の開放政策にある,と指摘している。
シュレスタ記者(注4)は,1978年以来の中国の発展を驚きの眼で描いており,2020年には,中国が世界の先頭立って走っているだろう,と言っている。1978年の中国には,民間企業はゼロであったが,現在の中国では,GDPの30%を民間資本が稼ぎ出しており,また30%は外国資本で,30%が公共部門であることも,シュレスタ記者(注4)の関心を引いている。
このシュレスタ記者(注4)のインタビュー記事を読んで思ったのは,発展途上国にとって中国が如何に羨ましい存在であるか,と言うことと,ネパールの政治形態にへの思い違いが,今後のネパール人達の政治的行動にどの様に出てくるか,興味がある。またこれは危ない点でもあるが,ネパールは中国と違って,国民がマオイスト(注13)に飽きると,いつでも政権政党の首をすげ替えることが出来る,と言う点だ。
(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index3news0808.htm,080828C,(2) http://my.reset.jp/~adachihayao/index3news0809.htm,080916B,(3) Nepali weekly newspaper Jan-Aastha,(4) Shrestha,(5) http://news.xinhuanet.com/english/,(6) Kathmandu,(7) "Reform and Opening-up",(8) communism,(9) Marx,(10) Engels,(11) Mao Zedong,(12) Deng Xiaoping,(13) Communist Party of Nepal (Maoist) (CPN-M) ,(14)
●パキスタンは,5400万人が,安全な水がない
昨日,2008年11月23日付本HP(注14)で,パキスタンのインダス河,特にその支流のシェナブ川(注15)で,インドに追いつめられる焦りを見てきたが,まさに国際河川の上流と下流の国の水への思いを新たにした。まだその思いも冷めないうちの今日,2008年11月24日,今度は和親から発せられたパキスタンの人々の水への声が,記事になっている。ワシントンで開かれたパキスタンの水問題に関する会議で,カラチ(注16)から出席した水問題専門家カマール女史(注17)の発言の内容である。
パキスタンの人口1億6,500万人のうち,5,400万人は安全な飲み水に恵まれていなく,7600万人が公衆衛生の恩恵を受けていない。また,9,800万人が農業に従事し,4,900万人が貧困のレベルにある。国土の92%は,乾燥地帯または準乾燥地帯(注18)である。インダス流域は国土の25%を占め,人口の65%がこのインダス流域に住んでいる。農業生産は,パキスタンのGDPの25%を占めている。
パキスタンは水不足のプレッシャーの中にあり,2035年には完全に欠乏する。灌漑面積の38%は沼地で,14%は塩害に悩まされている。インダス流域には塩が堆積し,帯水層は塩に侵されている。バロチスタン(注19)は塩分で危険な状態で,インダス下流域では,真水は激減している。パキスタンでの州の間の水争いは長く,重要な用途別の議論がなされる時間がなかった。
灌漑と農業に使われる水は97%に達し,僅かに4%が他の目的に使われているに過ぎない。水道と下水の費用はGDPに0.2%であることが分かった。マングラダム(注20)とタルベラダム(注21)の容量の25%が失われているので,灌漑水路の回転に使われるだけの水がない。また,取水堰や水路で失われる水は4分の一に達し,水路で失われる量は,送水量の3分の一に達する。農業で消費するのは25%に過ぎない。上流,中流,下流での水争いは激しく,耕作可能な土地の45%は,常に耕している,準備中の状態である。
非常に費用がかかるが,1~2カ所のダムは必要だ。しかし,特に,パンジャブ州(注22)と他の3州との問題で,余りにも議論が長すぎる。カラバーダム(注23)は今一時的に棚上げされているが,建設費126億ドル,発電出力,450,000MW,のディアマ-バシャダム(注24)が浮上してきた。もし円滑に行けば,2016年に完成の予定である。便益的には,水力発電が15億ドル,灌漑が6億ドル,の割合だ。
もう少し効率的な維持管理システムを確立できれば,輸送中の水の損失が劇的に減少する。水の政治的要素は,パキスタンではまだ封建的な土地使用に阻害されている。特に,バロチスタン(注19)州では,雨水による灌漑や灌漑の出来ない乾燥地帯が殆どを占めて,他の農業の方法が無視されている。それは,ノンフラッド(注25)や小規模灌漑(注26)の方法である。
インダス流域で,地下水揚水箇所(注27)が50万カ所ほどあるが,地下水灌漑は耕地直接灌漑(注28)の半分を占めている。インダスデルタ(注29)の主要な17の水路のうち生きているのは一つで,他は,海水と淡水の境界で汚染されている。世界で第6位の規模を誇ったマングローブ林は消え去り,コトリ堰(注30)より下流は干上がっている,そこには海水が侵入している状態だ。
パキスタンには,包括的な水資源法がない。それは,水利権,水使用,水の価値,評価の原則,補助金,汚染防止,などを規定すべきものだ。現在は,不均衡や先入観の入り交じったもので,唯一,1991年に制定された,水基本合意書(注31)があるだけである。パンジャブ州(注22)とシンディ州(注32)の環境論争は長い。互いに首尾一貫していないし,政治に利用されている。
世界の河川でも,上下流の争いの例は沢山あるが,パキスタンも例外ではない。しかしそこには多くの教訓が潜んでいる。下流国が自分で自分を守ることが重要で大切だ。パキスタンの場合は,一般的な方法と新しい発想を組み合わせて解決可能だと思う。今とは違う枠組みを発想して行かなければならないかも知れない。州間の論争でなく水使用者の論争にすべきではないか。その意味では,パンジャブ州(注22)とシンディ州(注32)の論争に,全土の問題を解決するヒントがある。水の供給の問題から水需要の運営法に,重点を移していったらどうか。
このカマール女史(注17)の講演を読み進むうち,各地の水問題は殆どが政治に利用された政治問題ではないか,と言う気になってきた。まあ実態はそうなのだろうけれど,皆さん,一生懸命技術を考えているけれど,結局最後は政治家に利用されて行く。カマール女史(注17)の最後に出てくる言葉,「水は州の間の争いではなく,水を使うものの争いでなくてはならない。」,と言う言葉がそれを示している。
(注) (14) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081123A.htm,(15) Chenab river,(16) Karachi,(17) Simi Sadaf Kamal,chairperson of Hissar, an NGO in Karachi,(18) semi-arid,(19) Balochistan,(20) Mangla dam,(21) Tarbela dam,(22) Punjab,(23) Kalabagh dam,(24) Diamer-Bhasha Dam,(25) non-flood methods of cultivation,(26) micro-irrigation strategies,(27) tubewell,(28) on-farm irrigation,(29) Indus delta,(30) Kotri Barrage,(31) Water Accord of 1991,(32) Sindh,(33)
●インド,ヒマチャルプラデシュ,小水力開発で,窓口を一元化
インド,最近のヒマチャルプラデシュ州(注33)の動きには,何か注目すべきところがある。2008年10月24日付本HP(注34)で,ADBが8億ドルの融資を決めたが,その対象は再生可能の小水力中心である。また,2008年11月19日付本HP(注35)では,ヒマチャルプラデシュ州(注33)政府が,環境を考慮して水力は流れ込み式のみ,と言っている。実際には大規模ダムにも手を付けているわけだが,州全体の方向は,インドの発電所となるのではなく,自分たちの環境を守ろう,という方向か。
この日曜日,クル地区(注36)の,5MW,トッシュ小水力(注37)の竣工式に出席したヒマチャルプラデシュ州(注33)州政府のドウマル首相(注38)は,その祝辞の中で,小水力開発の促進を図るため,州政府の承認過程を一本化したい,と表明した。ドウマル首相(注38)によれば,このクル地区(注36)で2008年度内に80地点,総計出力,190MWを完成する予定である。
ヒマチャルプラデシュ州(注33)では,最近,高山で河川が氷結して,水力発電所の出力が30%も落ちている。この3年間に,冬の日需要,11月~3月,が,28億KWhから50億KWhへ増大している。中央政府のプールからの割り当てと他の電源を併せても,30億KWhにしかならない。このため,日20億KWhの不足が生じている。
2006年,ヒマチャルプラデシュ州(注33)政府は,水力開発政策を策定し,インドの水力州となることを決意し,数百の小水力や主要な大規模水力の推進を決定してきた。州内の企業はこれに勇気づけられ,規模が,2~5MWの小水力を盛んに取り上げて来た。ADB(注39)が先月に発表した8億ドルの資金支援は,全部で808MWの出力に対応したものである。
いずれにしても,ドウマル首相(注38)は,水力開発にのめり込む決意をしている。それが,小水力に及んだところが,他の州と趣を異にする。これはまさしく地元企業への振興策の一環であることは間違いなく,おそらく,州政府自体が,ADB(注39)と直接交渉を行ったものであろう。他の州にも波及するのだろうか。
(注) (33) Himachal Pradesh,(34) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081024D.htm,(35) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081119.htm,081119F,(36) Kullu district,(37) Tosh mini-hydro project,(38) Himachal Pradesh Chief Minister Prem Kumar Dhumal,(39) Asian Development Bank,(40)
Reference
Pakistan
●081124A Pakistan, dailytimes
パキスタンは,5400万人が,安全な水がない
54 million Pakistanis without safe drinking water
http://www.dailytimes.com.pk/default.asp?page=2008%5C11%5C24%5Cstory_24-11-2008_pg7_28
●081124B Nepal, xinhuanet
ネパールは,中国の30年間に亘る改革の経験に学べ
Experience of China's 30-year reform helpful to Nepal
http://news.xinhuanet.com/english/2008-11/23/content_10400710.htm
India
●081124C India, sindhtoday
ヒマチャルプラデシュ,小水力開発で,窓口を一元化
Himachal Pradesh moots single window clearance for hydro projects
http://www.sindhtoday.net/south-asia/38519.htm
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