2008年11月27日木曜日

ミャンマーのラシオへの思い

HPは下記ドメインです。地図など見て下さい。
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm

昨日はバンコク空港の閉鎖でショックを受けたが,今日はインド,ムンバイの連続テロで,これも大きなショックだ。外務省によると,日本人268人のうち20~30人と連絡が取れないと言う。ムンバイにいた朝日新聞記者によると,武装グループに襲われたのはムンバイのタージマハルホテルだという。我々が,日本レストランでその値段の高さに驚いたホテルだ。バンコクにしても,ムンバイにしても,我々友人達の働く場所の中心地だから,関係した人がいないか,懸念する。バンコクは,王様も軍も,まだ動かない。

昨日,インドのパイプラインで振り回されたが,パイプラインって安全なのですかね。昨日,HPを更新してからゆっくりとグーグルアースを回して,昨日話題になったミャンマーのシットウエイ海港,カラダン川,イスラエルのエイラット海港,などの衛星写真を見ていたが,自分の知識の狭さに恥ずかしさを覚えた。ミャンマーのシットウエイ海港などは,単なるミャンマーの漁村だと思っていたら,大都市ではないですか。ヨットのようなものが浮かび,観光客の写真も出てくる,地球は広いなあ,と思った。

また驚いたのは,イスラエルのエイラット海港,大きな地図では確認も出来ないような針のようなアクバ湾の奥深く存在するエイラットは,まさしく大観光地で,ヨットが飛び交い,世界一流の高級ホテルが並んでいる。このアクバ湾の奥のイスラエルのリゾート地を知っていた人が,我々の仲間にいますか?いたらメールを下さい,表彰状を差し上げる。分かっているようで地球が分かっていないことを,大いに反省した。

それでも,自分が一度行ったところは,懐かしさと共に強く印象づけられている。その一つが今日のミャンマーのシャン州,ラシオ(注1)の町である。ミャンマーの東北端,コーカン自治区に行く途中に立ち寄って一泊した町(注2)だが,奥地に向かう最後の拠点,その様な感じがして,その緑の中に立つ金色のパゴダの写真を撮るために,彼方此方,朝日と睨めっこをしながら,動き回ったことがある。麻薬退治のためにコーカン自治区に向かっていたのだが,このラシオの町には,麻薬退治の親分のような日本の大学教授が,デンと居宅を構えていた。

このラシオの少し手前,と言うか西の方に,メイミョウという,昔日本軍が司令部を置いていた町,その近くで,JICAの仕事で小水力を造ろうとする日本工営の部隊と一緒に山に入ったことがある(注6)。数100KWの小さい発電所だが,日本の手でプロトタイプの発電所を,と頑張っていて,ヤンゴンに帰って先方電力省と話し合いを持ったら,近くで中国がもっと大きな発電所を造ってくれるから,君たちはもういいよ,と言われた。

その時は,何のことかよく分からなかったが,それから数年,姿を現してきたのは,600MWのシュエリ水力発電所(注5)である。2008年末完成,と行っているから,もうそろそろ出来上がるのだろう。この発電所は,ラシオから80kmほど北で,電気はマンダレー(注4)に送られるが,ラシオの人々は,これで24時間電灯が灯る,と期待している。

このシュエリ発電所の位置は,イラワジ川から分かれて東に走るシュエリ川の上流にあって,中国の国境までは僅かに30kmだ。大きな部分が中国の国境区域に送られるのだろう。その国境の町で,ドルを中国元に換金したが,国境の橋の上を歩いていたら中国の公安らしき警官に,入るな,と言って追っ払われた。全く周辺は中国人の世界で,中国語と中国元がなければ生活できない。中国のミャンマーでのプレゼンスは大きくなるばかりである。

(注) (1) Lashio,(2) http://my.reset.jp/~adachihayao/Myanmar.htm,(3) Mandalay,(4) http://yokohama.cool.ne.jp/esearch/sensi-zantei/sensi-burma.html,(5) Shweli hydroelectric project,(6) http://my.reset.jp/~adachihayao/MyanmarB.htm,(7) http://www.monstersandcritics.com/news/asiapacific/news/article_1293972.php,(8) U Hla Aye, who is the managing director of Shan Yoma travel company,(9) http://my.reset.jp/~adachihayao/081126B01.GIF,(10) http://my.reset.jp/~adachihayao/081126B03.jpg,(11) Shan State,(12) Lashio Gyi (Big Lashio),(13) Muse-Lashio-Mandalay road,(14) Taung Paw Paya (Hilly Pagoda), (15) Yay-kan-taung recreation park,(16)

本文

●ミャンマー,シャン州のラシオ,観光客を惹き付けるか

ミャンマーのラシオ(注1)の記事を見て,しばらく郷愁に耽る時間を許されたい。2000年9月に,麻薬と蕎麦を入れ替える仕事で,マンダレー(注3)から,ミャンマー北東,サルウイーン河沿い,中国との国境の町,老街まで車で走ったとき,ラシオ(注1)に一泊した。その時の写真もあるので見て下さい(注2)。ラシオの語感は頭に残っていて,それはどうも第二次大戦の記録と結びついているようだ。「ビルマは日本にとって南方資源地帯の西側防壁であるとともに,ラングーン-ラシオ-昆明と続く援蒋ルートの拠点でもあった。」(注4),の一文が示すとおり,戦争の重要な拠点であったのだ。

それから,今日の記事にも出てくるシュエリ水力(注5)で,これは600MWで2008年末にも完成する大規模な発電所であるが,ラシオ(注1)から80kmほど北のシュエリ川に中国が建設しているもので,中国国境までは僅か30km余りである。ラシオ(注1)は,この発電所の完成を待ちわびているが,果たしてラシオ(注1)に持ってこられるのかどうか。主要な目的は,マンダレー(注3)と中国領内への送電なのであろう。シュエリ水力(注5)については,2007年の記事がある(注7)。

私がJICAの一員のとき,ラシオ(注1)の少し手前で,日本工営の進める小水力発電所を手伝ったことがあった。その時,小さいながらなかなかの適地で山の中を歩いて踏査を行い,計画を進めることを楽しみにしていた。その時の写真もあるので,是非見て下さい(注6)。それで,喜び勇んで首都のヤンゴンに引き上げて,さて相手方電力省と協議しようとすると,先方から,作ってもらわなくて結構です,近くに中国が大規模な発電所を造るので,それで間に合いますので,と言う話である。それがあのシュエリ水力(注5)だったのである。

今日の記事は,ミャンマーで観光会社を経営するウラアイさん(注8)の話に耳を傾けて下さい。たまには,旅行先の候補の一つとして,ラシオ(注1)のような町を選ぶのも良いのではないか。ウラアイさん(注8)の撮った,マンダレー(注3)からラシオ(注1)まで走る列車の写真がある(注9)。位置関係を示す地図もある(注10)。ウラアイさん(注8)の記事は,「シャン州(注11)のラシオ(注1)は果たして観光客を惹き付けるか」,と言うタイトルである。

ラシオ(注1)出身のウラアイさん(注8)は,ラシオ(注1)はこの20年で急速な発展を遂げたという。そうして次の10年で有力な観光地になって行くだろう,という。最近,ラシオ(注1)に帰ってきて,町中の彼方此方に光り輝く電灯を見て,一生懸命地図を見ながら思い出すことに努めた。特にこの3年間の発展は劇的だ。20年前は,ラシオ(注1)の町は,二つに分かれていて,ラシオ(注1)からラシオギ(注12)に行く道はジャングルの中で真っ暗だった。この記事の筆者も,15年前にお母さんとラシオ(注1)を訪ねたときは,泊まった一軒だけに電気がついていて,周囲の家は蝋燭で明かりを灯していた。その時,シスコもカラオケもパブもなく,ただ涼しくて暗くて静かな夜だった。

最近のラシオ(注1)は,経済的な開発が行われている。ムース - マンダレー - ラシオ(注1)は大変に混雑していて,特に観光開発が盛んである。今のラシオ(注1)は,GSMの電話ネットワークはあるし,シュエリ水力(注5)もまもなく完成し,24時間電気が使えるようになるだろう。観光のスポットは,イエイカンタウン公園(注14),町全体が見えるパゴダの丘(注15),などなど。郊外では,温泉もあるし,滝もある。観光会社は,旅行パックを組んで,忙しくしている。まだ立派なホテルやレストランを造る必要があるが,この先,5年,10年が楽しみだ。

ラシオ(注1)は,マンダレー(注3)から汽車で来れるが,ヤンゴンから冷房付きのバスも出ている。20時間かかるが,1万5000~1万7000チャットである。ヤンゴンからラシオ(注1)までの航空便のある。

(注) (1) Lashio,(2) http://my.reset.jp/~adachihayao/Myanmar.htm,(3) Mandalay,(4) http://yokohama.cool.ne.jp/esearch/sensi-zantei/sensi-burma.html,(5) Shweli hydroelectric project,(6) http://my.reset.jp/~adachihayao/MyanmarB.htm,(7) http://www.monstersandcritics.com/news/asiapacific/news/article_1293972.php,(8) U Hla Aye, who is the managing director of Shan Yoma travel company,(9) http://my.reset.jp/~adachihayao/081126B01.GIF,(10) http://my.reset.jp/~adachihayao/081126B03.jpg,(11) Shan State,(12) Lashio Gyi (Big Lashio),(13) Muse-Lashio-Mandalay road,(14) Taung Paw Paya (Hilly Pagoda), (15) Yay-kan-taung recreation park,(16)

●フィリッピン,ロペスのEDC,IFCから41億ペソのローンを獲得

EDC(注16)については,2008年10月24日付本HP(注17)で,「丸紅,フィリッピンの再生可能を視野に,EDC株式視野か」,のタイトルで,再生可能エネルギー開発との関連が論じられている。2008年10月17日の本欄(注18)では,ファーストジェン(注19)が,その所有する水力発電所の資産105百万ドルを,関連会社であるEDC(注16)に売却し,売却対象は,ファーストジェン水力企業(注20)の株式60%であり,具体的な発電所は,112MW,パンタバンガン-マシウエー水力(注21)で,売却先はEDC(注16)である。EDC(注16)は,その安定以外に,将来の成長を買った,と見られている,と報告されている。

また,2008年10月24日付本HP(注17)の本論で,更にこの上に,丸紅(注6)のフィリッピン戦略が重なってくる。丸紅(注22)は,ロペス財団の保有するファーストジェン(注19)の株式40%獲得を真剣に考えているようだとしている。この40%と言う数字は,国家石油PNOCとEDC(注3)を通じて,地熱発電事業をコントロールするに十分なシェアーである。丸紅(注6)側からの情報は未だにないが,ファーストジェン(注20)によると,この丸紅(注22)関連の手続きは年内に完了する,としていた。

資金繰りに問題が出てきたとされている,これら一連のロペス系発電企業であるが,今日の記事では世界銀行系IFC(注23)の借款が,再生可能エネルギーの地熱発電を扱うEDC(注16)へ供与されたニュースである。昨日,2008年11月22日の署名式で,EDC(注16)のアキノ社長(注24)は,この金融危機の中でEDC(注16)への信用が継続していることを示している,としている。IFC(注23)は,国担当のアング氏(注25)が行った。アキノ社長(注24)は,この資金は,中期の資本支出に回される,としている。

またアキノ社長(注24)は,今回のローン協定が,1980年代,EDC(注16)が地熱発電事業を始めた頃からのIFC(注23)との関係を,強化するものだ,と評価している。IFC(注23)は,EDC(注16)が,2006年,株式上場を果たしたときの中核投資機関であった。更にアキノ社長(注24)は,このローンは,EDC(注16)の長期ビジョンに対するIFC(注23)の期待を示すもので,それは,EDC(注16)が,再生可能エネルギー産業で世界をリードする可能性を持っているものだ,EDC(注16)は,地熱発電技術の世界の最先端の一部を担っている,としている。

EDC(注16)のロドリゲス財務主任(注26)は,今回のローンの条件が極めて良かった,と評価し,返済期間15年,猶予期間3年の条件は,IFC(注23)のEDC(注16)への信用の現れ,としている。IFC(注23)は以前より,EDC(注16)の変化時期を支えるとし,EDC(注16)が世界的なクリーンな再生可能エネルギー開発をリードするだろう,と期待を示している。EDC(注16)は,フィリッピンの地熱発電の60%を所有している。

また前の水力にも記事は触れている。EDC(注16)は最近,水力への参入も標榜し,パンタガンナン - マシウエイ水力(注21)の運営企業であるファーストジェン水力(注27)の60%の株式取得を視野に入れている。ファーストジェン(注19)が政府系PNOC-EDC(注28)を買収したのは,地熱に焦点が当たっていた。EDC(注16)は,地熱発電を制することが即ち,再生可能エネルギー事情の足下を強化することに繋がる,と信じている。

(注) (16) Lopez-controlled Energy Development Corp. (formerly PNOC-EDC) ,(17) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081024A.htm,(18) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081017A.htm,(19) First Gen Hydro Power Corp,(20) First Gen Hydro Power Corp,(21) 112MW Pantabangan-Masiway hydroelectric power complex,(22) Japanese conglomerate Marubeni Corp,(23) International Finance Corp. (IFC),(24) EDC president and chief executive officer Paul Aquino,(25) IFC country head Jesse Ang,(26) EDC chief financial officer Fenina Rodriguez, (27) International Finance Corp (FGHPC),(28) PNOC-EDC,(29)

Reference

Philippines

●081126A Philippines, philstar
ロペスのEDC,IFCから41億ペソのローンを獲得
EDC inks P4.1-B IFC loan
http://www.philstar.com/Article.aspx?articleId=418595

Myanmar

●081126B Myanmar, mmtimes
ミャンマー,シャン州のラシオ,観光客を惹き付けるか
Can Lashio draw tourists to Shan State
http://www.mmtimes.com/no446/n011.htm

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