2009年2月1日日曜日

再生可能エネルギーの前提はベース原子力


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http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm

今日は,タイのマモーの石炭生産計画に,大いに関心があった。政治混乱に明け暮れた,また明け暮れているバンコク,タイ,今朝も,再びタクシン派3万人が集会を開いているという。雑誌のタイトルを拾い読みしていると,中立のはずのブミポン国王が,引き裂かれかけているという。それでも,久しぶりに,国有電力公社EGAT(注1)が新しいプロジェクト,それも遂に古いマモー(注2)の石炭資源の開発に向かうという。

これよりも私の目を引いたのは,アメリカの片隅に転がっていた記事で,しかもウイスコンシンという田舎の記事だが,オバマ政権の目指す再生可能エネルギーをベースとしたエネルギー政策に,やんわりと批判して,私の言っているように,原子力ベースが必要だ,と過激でなく静かに語っているところに惹かれた。

記事の趣旨は,再生可能燃料,それは確かに将来には有効かも知れない,しかし,今は,再生可能エネルギー技術が真実みを帯びるまでは,原子力がこの間の隙間を埋めるものである。我々はエネルギー危機の真っ直中におり,昨年の夏以来,ガス価格の低下と経済危機で,エネルギー問題解決を急ぐべきと分かってきたが,問題は最早現実のものとなってきている。続けて,

原子力について,政治家も含めて多くの人が,必ずしも全面的に認めていないのは事実である。原子力にはゆがみがある,それは,最初の莫大な投下資本であり,廃棄物の永久処理の問題である。しかし,原子力が温暖化ガスを排出しない,と言うことを考えた場合,このようなねじれの問題は,原子力を否定することには繋がらない。この数10年,原子力建設はないが,欧州では成功を収めており,我々米国は技術を温存している。

風力,太陽光,水力,水素ガス,エタノール,それらはすべて解決への糸口を持っている。しかしこれらは,補完的なエネルギーにはなるが,一定のエネルギーを保証しない。我々には,ベースロードのエネルギー,即ち,風力が止まり太陽が出ないときにも働くエネルギーは,必ず必要だ。科学者が,風力や太陽光の電気を蓄積できる方法を考えたとき,その開発は現実のものとなるかも知れない。と書いている。

折しも,今日の日経は,「政府,原子力協定の交渉加速,春にも韓国などと」,とタイトルして,原子力発電所の建設需要が増している新興国に照準を定め,原子力協力協定の締結交渉を加速させる,としている。原子力協定では,日本企業が相手国に原発関連の部品や燃料を輸出する手続きを簡素化する一方,軍事転用や他国への流出を防ぐ,協定なしで原発関連製品を輸出するのは難しい。と報じている。

本文

●タイのEGAT,マモーの石炭生産で,許認可取得,890億バーツ

政治混乱に明け暮れた,また明け暮れているバンコク,タイ,今朝も,再びタクシン派3万人が集会を開いているという。雑誌のタイトルを拾い読みしていると,中立のはずのブミポン国王が,引き裂かれかけているという。それでも,久しぶりに,国有電力公社EGAT(注1)が新しいプロジェクト,それも遂に古いマモー(注2)の石炭資源の開発に向かうという。

EGAT(注1)は,890億バーツ,約25.5億ドル相当,を投じて,ランパン県のマモー炭田で,炭坑プロジェクトを継続する許認可を得ている。新しい許認可を受けた炭坑は,確認埋蔵量が1.78億トンで,面積として,3664ライ(注3),約5.86平方km,である。EGAT(注1)のスティポン副総裁(注4)によると,石炭生産は,2009年3月に開始し,少なくとも年800万トンを,マモー発電所(注5)に供給するべく期待されている。

マモー発電所(注5)の出力は,2400MWで,国内の発電設備の20%を占めている。マモー発電所(注5)で発生する電力の50%は北部地域へ,30%は中部地域へ,残りの20%は北東部へ,それぞれ供給されている。EGAT(注1)全体では,電力の70%が天然ガス,18%が石炭,4%が水力,残りの8%は民間企業,IPPからの買電で構成されている。

EGAT(注1)は当初,石炭火力が天然ガス火力に比べて経済的なので,50%を石炭火力とする計画を立てた。しかし,過去の石炭火力プロジェクト,特にプラチュアップキリカン県(注6)のボノック(注7)とヒンクルット(注8)で住民の強い反対にあった。スティポン副総裁(注4)によると,石炭火力は,KWh当たり55サターン,約157セント相当,であるのに対し,天然ガス火力は,1.75バーツ,約5.01セント相当,と言う。

スティポン副総裁(注4)によると,EGAT(注1)は,石炭は経済的であるし価格が安定し,更にある程度国産で賄うことが出来るので,石炭火力を増やしたいと考えているが,それは閣議が決定することだ,としている。マモー(注2)の石炭資源は,全体では,8.64億トン埋蔵と期待され,2035年までの発電に耐え得る。このうち,2.84億トンは既に使用済みである。

(注) (1) Electricity Generating Authority of Thailand (Egat),(2) Mae Moh mine in Lampang province,(3) rai,1ライ=4ガーン=400タランワー=1600平方メートル,(4) Egat's deputy governor for fuel, Suttipong Teppitak,(5) Mae Moh power plant.,(6) Prachuap Khiri Khan,(7) Bo Nok,(8) Hin Krut,(9) 

●再生可能エネルギーに加え,原子力開発も重要

この記事は,ウイスコンシン大学(注9)のキャプナー氏(注10)がデイリーカーディナル紙(注11)に書いた記事で,全米的にどの様な位置づけにあるのかよく分からないが,オバマ政権の再生可能エネルギーだけでは難しい,と言う趣旨の,私の意見とかなり合致していたので,米国内にもこのような意見がある位置を占めているのだ,と感じ,拾ってきた。

記事の趣旨は,再生可能燃料,それは確かに将来には有効かも知れない,しかし,今は,再生可能エネルギー技術が真実みを帯びるまでは,原子力がこの間の隙間を埋めるものである。我々はエネルギー危機の真っ直中におり,昨年の夏以来,ガス価格の低下と経済危機で,エネルギー問題解決を急ぐべきと分かってきたが,問題は最早現実のものとなってきている。

経済は,勿論,オバマ政権のここ数ヶ月の課題だが,我々のエネルギー政策は,経済や外交政策の決定に影響を与えるばかりでなく,環境や我々の財布の中身にまでも影響を与えてくる。化石燃料に頼ったエネルギー政策は,工業経済に我々が依存しすぎたように,急速に勢いを失っている。サービス分野とITが工場業務を奪ったように,我々のエネルギー政策も,世界市場の競争の中で,知的で最先端技術に変わる必要がある。

自動車のビッグスリーが政府に助けを求め,日本の自動車メーカーがお金をかき集めて行く現状の中,旧来のエネルギーの経済は,最早有効ではなくなった。我々は,一つ一つは意味があるとしても,ただ一種類の燃料に依存する経済は成立しないことを学ぶべきだ,それは,風力でもなく,太陽光でもなく,水力でもないように。原子力も含めた上での,幅広いエネルギーに基づく政策が必要である。

原子力について,政治家も含めて多くの人が,必ずしも全面的に認めていないのは事実である。原子力にはゆがみがある,それは,最初の莫大な投下資本であり,廃棄物の永久処理の問題である。しかし,原子力が温暖化ガスを排出しない,と言うことを考えた場合,このようなねじれの問題は,原子力を否定することには繋がらない。この数10年,原子力建設はないが,欧州では成功を収めており,我々米国は技術を温存している。

風力,太陽光,水力,水素ガス,エタノール,それらはすべて解決への糸口を持っている。しかしこれらは,補完的なエネルギーにはなるが,一定のエネルギーを保証しない。我々には,ベースロードのエネルギー,風力が止まり太陽がでないときにも働くエネルギーは,必ず必要だ。科学者が,風力や太陽光の電気を蓄積できる方法を考えたとき,その開発は現実のものとなるかも知れない。

しばらくの間,我々は現実を知る必要がある。我々は,化石燃料が環境や外交政策に及ぼす影響を弁えながら,エネルギー独立を目指すダイナミックなエネルギー政策を展開することは,可能である。米国は,問題解決のための発明や技術開発は得意である。もし,我々が,原子力エネルギーも含めて,多様なエネルギー源の開発を行うなら,経済を刺激し,環境にグリーンで対応し,エネルギー独立を達成することも可能になる。

(注) (9) Univercity of Wisconsin, Madison,(10) Lavilla Capener is the communications director of the College Democrats of Madison,(11) http://www.dailycardinal.com/,(12) 

●フィリッピン,ビサヤス系統のスポットマーケットを視野に

ルソン島の南部のビサヤス系統(注12)は,供給力不足に状態にある。スポットマーケットの創設には危険が伴うことを,政府もよく知っている。今回のこの記事の内容が意味するところが,今ひとつつかめないが,スポットマーケットを造る前に,何らかの供給力増強を行おうとしているようだ。それが真っ直ぐの電源開発でないところが,何となくフィリッピン的である。

ビサヤス系統(注12)の問題解決のため,暫定的に,この供給力不足に見舞われている系統の供給を拡大するため,WESM(注13)はその運営者と共に,ビサヤス供給力増大競売VSAA(注14)をスタートさせることにした。WESM(注13)の運用を担当するPEMC(注15)によると,この方法は,最初にエネルギー省(注16)に相談し,そして関係者の同意を得たものだ,と言っている。

ビサヤス供給力増大競売VSAA(注14)の実施についての法令手続きなどの案は,エネルギー省(注16)が調整していると。更に,各企業の参加する公聴会は,2009年2月3~6日に開かれる。PEMC(注15)のパンギリナン社長(注17)の評価では,一旦VSAA(注14)が行われれば,客先からの新規電源で,ビサヤスの供給力は増大する,としている。

レイエス長官(注18)は,ビサヤス系統(注12)は供給力不足で,緊急の供給力追加が必要だ,と言っている。エネルギー省(注16)の評価では,このVSAA計画(注19)は,特に,セブ(注20),ネグロス(注21),パナイ(注22)の3地域CNPについて,暫定的に,供給の信頼度,質,保安を強化する目的だ,としている。CNP地域では,2003年からしばしば停電が起こっているが,長期に亘って問題は解決していない。

レイエス長官(注18)は,VSAA計画(注19)は関係者全部が協力する必要がある,としている。ビサヤス系統(注12)でのプール市場WESM(注13)は,供給力が不安定なので,このような暫定的な方法が必要,とエネルギー省(注16)は考えている。投資企業は,卵が先か鶏が先か,迷っているが,WESM(注13)の実現を望む中,新規供給力確保のため,暫定的な方法に同意している。

(注) (12) Visayas grid, (13) Wholesale Electricity Spot Market (WESM),(14) Visayas Supply Augmentation Auction (VSAA),(15) Philippine Electricity Market Corporation (PEMC),(16) Department of Energy,(17) PEMC acting president Mario R. Pangilinan,(18) Energy Secretary Angelo T. Reyes,(19) Visayas Supply Augmentation Auction Program (VSAAP),(20) Cebu,(21) Negros,(22) Panay,(23) 

参考資料

タイ

●090201A Thailand, the nation
タイのEGAT,マモーの石炭生産で,許認可取得,890億バーツ
Egat gets go-ahead for further Mae Moh mining
http://nationmultimedia.com/2009/01/31/business/business_30094628.php

電力一般

●090201B USA,dailycardinal
再生可能エネルギーに加え,原子力開発も重要
Nuclear worthy addition to renewable energies
http://www.dailycardinal.com/article/21886

フィリッピン

●090201C Philippines, Manila Bulletin
フィリッピン,ビサヤス系統のスポットマーケットを視野に
WESM, system operator to launch supply augmentation auction for Visayas
http://www.mb.com.ph/BSNS20090131146984.html

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