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http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
日経によると,日本政府は,地球温暖化問題,ポスト京都について,専門家機関を国連に設置するよう提案するという。削減の中期目標は最後まで提示しない方針のようだ。各国,好きなようにやったらよい,と言う感じで,少し困っているような状態。2009年末の合意に持って行くのは,日本政府としても主導権をとるのは大変なようだ。私は,どうせ大変なら,セクトラルアプローチを,あくまで貫いてはどうか,と思う。
今日の主題は,インドとミャンマーの関係である。皆様も覚えていると思うが,イラワジ上流の,1,200MW,チンドウイン川のタマンティ多目的ダムで,現地調査を行っていたNHPCが,とても難しい,しかもインドに持って帰るのは不可能だ,と逃げ帰ろうとしたところで,電力省の政治家ポストにあったラメシュ副大臣が,何を言っているか,現地に乗り込んでと押しとどめ,何とか継続に持ち込んだ。
勿論,ラメッシュ副大臣の意図は,タマンティの電力にあるのではなく,中国が主導権を握ろうとしている,ミャンマー,ランキン州沖の,60兆立方フィートとも言われる天然ガスの大包蔵にある。ラメッシュは次々と手を打ってくる。じっと国境付近の地図に見入っていたラメッシュが気がついたのは,インド東北地域のモゾラム州が,まるで沖合天然ガス田に手を伸ばすように,ミャンマー内に張り出していることだ。
今までは,ミャンマーのガスをインドにもって帰ろうとすると,どうしてもバングラデシュを通らなければ駄目,嫌なら海底を通るしかない,と諦めていたインドだが,このラメッシュの発想で,実に短距離でラキン州沿岸から,インド国境まで達せることが分かったのだ。勿論,誰も考えつかなかったように,このルートは,ミャンマー側もインド側も,極めて未開発地域で,人が通るだけでも容易なルートではない。
ここで,電力省のオフィスに座っているようなラメッシュではなかった。彼は,尻込みする部下のを叱咤して,自ら,ミャンマーのアラカンの山をヘリで飛び越えて,州都,海岸のあるシットウエイに飛び,そこから何とボートを駆って,カラダン川を北に上って途中から歩き,自分で,このルートは開発可能だ,と判断し,ニューデリーを訪問したミャンマーのセインテイン首相を説得,このルートの開発を合意したのだ。
このときは,ラメシュの口からは,ガスのガも出ていない。今でもインドは,このルートの開発が,中国と対抗するパイプラインルートだ,とは一言も言っていない。しばしニューデリーにあったラメッシュは,周辺を説得して,アンサリ副大統領のミャンマー訪問使節団を立ち上げた。副大統領が実際に署名するプロジェクトは,全く関係のない教育関係などの協定である。
しかし,この副大統領ミッションには,多くの企業のトップが付き従っており,その中には,タマンティでラメッシュに尻を蹴飛ばされたNHPC代表や,天然ガス関連の公社代表も加わっている。副大統領一行は,昨日,2009年2月5日,デリーを発って,ヤンゴンから,軍政のネピドーに回って,タンシュエ将軍などとも会談して,4日間,ミャンマーに滞在する。この副大統領は,かって演説の中で,知的送電網の必要を説いた人だ。
本文
●フィリッピン,NPCが21億ペソの燃料供給契約
2009年のNPC(注1)の燃料契約が詳しく書かれている。少し煩わしいが,発電所名が全部書かれているので,一応記録に残しておこう。4つの燃料企業が,総額21.33億ペソの燃料供給契約を勝ち取った。このうち,20.91億ペソがディーゼルと石油燃料で,42.070百万ペソが潤滑油関連である。中核の企業はシェブロン(注2)で,752.082百万ペソ,続いていてペトロン(注3)の,662.396百万ペソである。
続いてフィルプライド(注4)の,燃料,652.806百万ペソ,潤滑油,42.07百万ペソであり,第4位は,フイロイルガス(注5)の23.802百万ペソである。今回分は,今年,2009年全体の額,33.57億ペソの一部分である。NPC(注1)によると,この燃料供給は,契約しているIPP分全部と,NPC(注1)が直接見ている小規模発電グループSPUG(注6)を含むものである。
NPC(注1)が本来求めていた基幹供給(注8)ものは,832,535キロリッターKL(注7),233.17億ペソの石油燃料と,271,578KL,102.53億ペソの潤滑油関連であった。全体の中で,158,466KLはNPC(注1)の発電所用,642,806KLは契約IPP用,312,83KLはSPUG(注6)用である。基幹供給(注8)は,230.96億ペソがIPP発電所,53.69億ペソがNPC(注1),51.04億ペソがSPUG(注6)である。
ディーゼル供給は,最初はIPPの,マラヤ火力(注9),セブ第1及び第2火力(注10),セブディーゼル第1火力(注11),セブ地上がスター瓶代1及び第2(注12),船上発電所PB118(注13),を目指したであった。SPUG(注6)に相当するものは,ルソンのPB120とPB106(注14),パラワンのプエルトプリンセス(注15),ビサヤスとミンダナオの船上発電機(注16),それにモジュール発電機群(注17)である。
石油燃料の対象は,ボホールディーゼル(注18),パナイ第1及び第3ディーゼル(注19),イリガンディーゼル(注20),PB群(注21)である。IPPのバターン複合火力(注22)は,12ヶ月間自己調達である。SPUG(注6)のカガヤンデタウイタウイディーゼル(注23)は個別入札となる。供給方法は,タンクトラック,ディーゼルはドラム,と決められている。
(注) (1) National Power Corporation (NPC),(2) Chevron Philippines Inc.,(3) Petron,(4) Filpride Resources Inc. of the Villavincencio group,(5) Filoil Gas Company Inc.,(6) NPC’s Small Power Utilities Group,(7) kiloliters KL,(8) bulk of supply,(9) Malaya thermal plant,(10) Cebu thermal I and II,(11) Cebu diesel I,(12) Cebu land-based gas turbine 1 and 2,(13) Power Barge (PB) 118,(14) PB 120 and PB 106 in Luzon,(15) Puerto Princesa in Palawan,(16) power barges in Visayas and Mindanao,(17) modular plants,(18) Bohol diesel plant,(19) Panay I and III diesel plant,(20) Iligan diesel plant,(21) Power Barges 101, 102, 103 and PB 119,(22) Bataan combined cycle power facility,(23) Cagayan de Tawi-Tawi diesel plant of SPUG Western Mindanao,(23)
●ミャンマー,インドの副大統領が,明日訪問
先頭を切って,ミャンマーのエネルギー資源を頭の中に置いた,インドのラメシュ副大臣の先導であろうか,遂にアンサリ副大統領(注23)が,重い腰を上げて,2009年2月5日より,4日間,ミャンマーを訪問することになった。工業,運輸,通信の各分野で協力協定に署名するという。インドの狙いは,ミャンマー沖の天然ガスにあり,政治的障害を乗り越えてでも,友好を深めよう,と言うインドの思惑である。
今回,アンサリ副大統領(注23)副大統領に同行するのは,ラジュ副大臣(注25)の他,大規模な経済使節団がいる,その企業は,HMT(注25),タタモーターズ(注26),ONGC(注27),GAIL(注28),NHPC(注29),エッサール(注30),TCIL(注31)などで,多くの重要なエネルギー企業があることに注目する。今回,エネルギーで具体的な案件は挙げられていないが,その底流はエネルギーにある。記事を見よう。
インドが,ミャンマーとの関係に於いて,重点を置いている分野は,道路,水力,石油精製,天然ガス,通信,IT,などである。電力については,電力不足のインド北東地域への輸入を目指す,NHPC(注29)が扱うチンドウイン川流域(注36)のタマンティ水力(注34)とシュエザイ水力(35)がある。しかしインドの狙いは天然ガスであり,使節団の中の,ONGC(注27),GAIL(注28),エッサール(注30)の企業を見れば分かる。
これらの企業は,ランキン沿岸部(注37)の陸地及び沖合の天然ガスへの一定の参画を考慮している。もう一つの大きなテーマーは,先日,ラメシュ副大臣が現地に乗り込んだように,ミャンマーのカラダン川(注38)を遡って,舟運と道路により,インド東北部のミゾラム(注39)に繋ぐというプロジェクトで,表向きは通商ルートであるが,インドとしては,バングラデシュを通過しないガスパイプラインと言う想定もありえるだろう。木材もある。
(注) (23) Vice President Hamid Ansari,(24) Minister of State for Defence V Pallam Raju,(25) HMT,(26) Tata Motors,(27) ONGC Videsh Ltd,(28) GAIL,(29) National Hydro Power Corporation NHPC,(30) Essar,(31) TCIL,(31) Nay Pyi Taw,(32) Gen Maung Aye, the number two in that country's ruling military junta,(33) Gen Thaan Shwe who heads the junta,(34) Tamanthi hydropower project,(35) Shwezay hydropower project,(36) Chindwin river basin,(37) Rakhaine coast,(38) Kaladan river,(39) Mizoram,(40)
●カンボジア,2008年,中国が最大の投資国
カンボジアは,日本国内では,脱貧困支援のモデルみたいに言われているが,ますます日本の影は小さくなっていっているのか。カンボジア投資委員会CIB(注40)が刊行した2008年の報告書は,各国のカンボジア投資で,第1位の中国は,第2位の韓国の4倍に相当する43億ドル,全体の40.14%と発表された。韓国は,12億ドルで11.39%である。
中国の投資分野は,衣類,水力,農業,ソフト分野,と多岐に亘っている。もっとも多かったのは,トンミングループ(注41)がカンポット県(注42)沿岸開発プロジェクトに,38億ドルを投入している。ここは,問題になっているカムチャイ水力の地元である。カンボジア開発局のチャンダ局長(注43)は,中国の積極的な投資が,各国のカンボジアへの投資意欲を盛り上げている,と手放しである。
中国関係の専門家スリバン氏(注44)は,官民一体となった中国とカンボジアの関係が,一層,中国の投資を有利にしている,と分析している。2007年の報告書では,マレーシアが第1位の投資国で,続いて,中国,韓国であった。
(注) (40) Cambodian Investment Board,(41) Tong Min Group Engineering,(42) Kampot province,(43) Sok Chanda, secretary general of the Council for Development of Cambodia,(44) China expert Michael Sullivan,research for the Association of Southeast Asian Studies under UK sponsorship,(45)
参考資料
フィリッピン
●090206A Philippines, Manila Bulletin
フィリッピン,NPCが21億ペソの燃料供給契約
NPC awards P2.133 B fuel contracts
http://www.mb.com.ph/BSNS20090205147346.html
ミャンマー
●090206B Myanmar, zeenews
ミャンマー,インドの副大統領が,明日訪問
Ansari visits Myanmar tomorrow, 3 MoUs to be signed
http://www.zeenews.com/nation/2009-02-04/504665news.html
カンボジア
●090206C Cambodia, xinhuanet
カンボジア,2008年,中国が最大の投資国
China top investor in Cambodia in 2008
http://news.xinhuanet.com/english/2009-02/05/content_10766192.htm
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