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http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
今日の日経は,日本政府の気候変動問題対応への苦戦を伝えている。中国の攻撃は激しい。あの中国外務省のジアンユ報道官が,極めて明確に,中国の気候変動,地球温暖化対策への対応について,説明している。責任は先進国にあると,途上国も努力はするが,あくまで途上国の目標は任意であり,過去の責任をとる意味で,先進国には温暖化ガス排出の義務を課すべきだ,と。
それなら一層,中国とインドには,先進国の中に入って貰ってはどうか,と言いたくなるが,中国は何もしないと言ってはいないだけに,顔に似合わず,極めてしぶとい外務報道官の姿勢である。今日の日経は,「中国,干ばつ深刻化,小麦産地直撃,供給不足も」,とその惨状を伝えている。冬小麦は,作付け面積の44%が被害を受けているという。気候変動の影響をまともに受けているのか。
今日,ここで問題にしたいのは,中国政府の目標,2010年に再生可能エネルギーを一次エネルギーの10%に上げる,と約束していることである。電力だけ取り上げても,約8億KWあるから,10%と言えば,80,000MW,日本の電力の約40%にあたる量を,再生可能エネルギー,それも風力だけで賄うのだから大変で,当然,大規模水力も立派な再生エネルギーとして評価されている。
今日の記事でも,( )付きで,大規模水力も含む,と明記されている。今まで中国の言う再生可能エネルギーの定義は,明確でなかったが,当然入っているものと考えてきた,三峡ダムも勿論である。日本は,もう大規模ダムによる発電はない,と考えれば,この問題はどうでも良いわけだが,米国の場合は,最近の記事で,適切な水力は再生可能エネルギーと勘定する,と書かれている。
我々の再生可能エネルギー開発の目的は何なのか。CDMである特定の人に便益を与えることなのか,そうではなくて,地球温暖化から地球を救うためだ,と考えるときに,これは原子力も含めての話だが,地域の問題と地球の問題を,もう少し分けて考える必要があると思う。CDMから,原子力や大規模水力を除く,と言う考え方は,CDM市場で,太陽光や風力と競い合うことが,不適切,との考えからでていないか,懸念する。
ダムに,もし問題があるとすれば,それはその地域の,或いはもっと広くその河川の流域の中で考えるべきことで,地球の中で考えることではないと思う。例えば極端な話,日本が,地球の温暖化抑制のために,淀川の大山崎にダムを造り京都市を全部湖にして石炭火力を全部廃止して,地球のために貢献する,と言えば,世界の人々は,サンキュー,と言うべき問題だろう。ダム反対と地球温暖化対策は,全く別の問題だと思う。
地球全部の環境の問題と,ローカルの環境問題は,大きくなると繋がる可能性はあるが,今のところは別に考えても良いのではないか。大規模ダムで大規模水力発電所を造り,その分だけ石炭火力を少なくする,その大規模ダムを国内問題としてそれぞれの政府が環境問題を解決してくれるならば,それはそれで良し,だから,大規模水力が開発可能な地域は,当然それは再生可能エネルギーとして取り扱うべきだ。
大規模ダムの住民移住の問題などに反対するのは,それはそれで別の問題として扱えばよい,地球温暖化に反対する例えば環境専門家が,同時に大規模な再生可能エネルギー,大規模ダムの反対するのは,それは,まさしく矛と盾の問題で,矛と盾とどちらが強いかの議論になってしまう。地球温暖化のためにインドが北辺にダムを建設する,環境への対応が悪ければ,それを議論して直せばよいのだ,と思う。
CDMに原子力と大規模水力を入れないのは,どういう分けか。それは,地球には優しくても地域の被害を招く恐れがあるからか。それなら,地域の問題は地域で解決すべきで,解決されたものをCDMの市場に持ち込んで,何処が悪いか,と言うことにならないか。CDMの市場に原子力や水力ぅを持ち込めば,市場が混乱する,と考えているならば,それは真剣に地球を救おうと思っていないことになるのではないか。
本文
●ミャンマー,インド副大統領が,タンシュエ将軍と会談
経済界首脳を引き連れたインドのアンサリ副大統領(注1)一行のミャンマー訪問については,昨日,2009年2月6日付け本HP(注6)で取り上げたばかりである。副大統領(注1)一行は,早速,首都ネピトー(注3)で,ミャンマー首脳との会談に臨んだ。ネピトー(注3)からのインド側記者からの報告であるが,中国あり,天然ガスありで,なかなか核心に迫らない会談であるが,うちに込められた思惑がほとばしり出るようだ。
アンサリ副大統領(注1)は,早速に,ミャンマーナンバーワンのタンシュエ将軍(注2)と会談して,基本的な両国の関係強化を深めることに合意した上,当面の重要な協力分野を絞り込んだ。それは,農業と鉄道である。農業については,農業技術に重点を置き,鉄道については,機関車の供与に,ミャンマー側は関心を示した。
実務的には,アンサリ副大統領(注1)とマウンアイ将軍(注4)の会談に移ったが,この席には,殆どのミャンマー側の閣僚が出席するという歓待ぶりだったようだ。インド側の外務省カツ次官(注5)によると,会談は大いに農業問題に集中したという。セン駐ミャンマーのインド大使(駐7)もこれを確認している。大使(駐7)は特に,鉄道分野の協力についても語っている。インドの機関車供与は,歴史があるようだ。
農業や鉄道は,かなり表面的な協力分野であって,次に出てきたのは,水力開発や運輸と共に,ハイドロカーボン(注8)が強く取り上げられた。このハイドロカーボン(注8)が何を意味しているのか,原油天然ガスを含んだ全部の炭化水素の資源を総称しているのか,海底に眠る炭化水素の固形対を意味しているのか,よく分からない。おそらく,競争の激しい天然ガスという言葉を避けたのではないか,と言う気がする。どうですかね?
両サイドから,特にこの7年間の両国の深まる関係について言及しており,実績面から見た協力分野は,道路,電力,ハイドロカーボン(注8),通信,IT分野,などが強調された。国境の治安問題も話し合われたが,特にエネルギー安全保障の言葉も使っているので,水力電気の輸出や天然ガスの輸出などを頭に置いた話し合いだったのであろう。そこは中国も気にしているところだ。
インドは,欧米からのミャンマーの民主化についてのアドバイスを,中国同様無視してきているが,インドは,この外交の枠の問題とエネルギーの間の微妙なバランスの上で行動していることになる。今から5年前に,2004年,ミャンマーのタンシュエ将軍(注2)がデリーを訪問,インド側はこれを赤絨毯で歓迎したわけで,それが,インドの明確な意志を表している。
(注) (1) Vice President Hamid Ansari,(2) head of the country's military junta Gen Than She,(3) Nay Pyi Taw,(4) Gen Maung Aye,(5) Special Secretary in the Ministry of External Affairs, Vivek Katzu,(6) http://my.reset.jp/~adachihayao/index090206.htm,(7) Indian Ambassador to Myanmar, Aloke Sen,(8) hydrocarbon,(9)
●中国,先進国の温暖化ガス削減を要請へ
簡潔な記事だが,最近の中国政府の気候変動への取り組み,姿勢を,公式に記者会見で表明したものとして,興味ある記事である。この木曜日,2009年2月5日,中国のジアンユ外務省報道官(注12)が,記者会見に臨んだ。中国政府は,2009年末にデンマークのコペンハーゲン(注11)で予定されている気候変動(注10)会議の成功は,先進国が2012年以降も,その温暖化ガス(注9)の削減を確認することが前提である,と。
基本的な問題は,先進国と途上国の違いであり,途上国の温暖化ガスの削減は任意であり,先進国のそれは義務であると。途上国と先進国では,その責任と義務に大きな違いがあると。コペンハーゲン(注11)での結論には,国連気候変動枠組UNFCCC(注14)と京都議定書(注15)を実行するために,バリで決めた工程表(注13)に沿って,議論がなされなければならないと。
2007年12月のバリに於ける気候変動会議(注16)で,2009年にデンマークで合意すべく,2年間に亘る工程表(注13)が決められた。2009年末のコペンハーゲン(注11)会議では,2012年に終了する京都議定書(注15)に変わる協定がなされる予定になっている。ジアンユ外務省報道官(注12)は,この工程表(注13)に遅れている,と警告している。国際社会は,気候変動対策に,同じ挑戦を強いられているのだ,と。
更にジアンユ外務省報道官(注12)は,中国や他の途上国も,気候変動への努力を続けている,もし,先進国が約束したように,資金の支援や技術移転を確実に実施してくれれば,途上国はもっと成果を上げることが出来るであろう,と。また,中国の温暖化ガス(注9)は大きいが,それは人口圧力から来るもので,一人当たりの排出量や,過去の排出の積み重なりは,まだ低いレベルである,と主張している。
中国は,他の途上国と共に,国際的な枠組みの中で気候変動には果敢に挑戦して行く,と。既にこれに向かっての政策を展開中で,5カ年計画では,GDP当たりのエネルギー使用量を,2010年には2005年の実績から20%削減する目標を持っている,と。他に,再生可能エネルギーの割合を2010年には10%とすることと,森林被覆を20%増大する,ただし,再々可能エネルギーには,大規模水力を含めている,と。
(注) (9) greenhouse gas emissions,(10) climate change,(11) Copenhagen,(12) Chinese Foreign Ministry spokesperson Jiang Yu,(13) Bali Roadmap,(14) UN Framework Convention on Climate Change (UNFCCC),(15) Kyoto Protocol,(16) United Nations Climate Change Conference,(17)
参考資料
ミャンマー
●090207A Myanmar, zeenews
ミャンマー,インド副大統領が,タンシュエ将軍と会談
VP Hamid Ansari meets head of Myanmar's military junta
http://www.zeenews.com/nation/2009-02-07/505135news.html
中国
●090207B China, xinhuanet
中国,先進国の温暖化ガス削減を要請へ
China urges developed countries to further fulfill commitment to greenhouse http://news.xinhuanet.com/english/2009-02/05/content_10770578.htm
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