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http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
東京の米国大使館勤務の経験がある,新任のガイトナー米財務長官が,バブル崩壊後の日本の失敗を教訓にしたい,と語っている。多くの日本の政治家がこの発言に苛立っていることだろう。麻生首相は,日本がバブルを克服した経験を大いに世界にアピールして,この世界金融危機に参考にして貰う,と張り切っていたのに,日本は反面教師と言われては。この長官は,中国の為替操作など,少し発言にナイーブさを欠きますね。
今日の日経も朝日も,社説の主題は,公務員制度改革である。渡辺議員の脱党や人事院総裁の反逆など,結構議論が盛り上がっている。谷人事院総裁は今朝,テレビに出ていたけれど,徳川幕府の頭の切れる老中,みたいな感じで勇ましい。上下を着て,頭はそのままで大小刀を差せば,立派な侍ですね。いつでも切腹の覚悟が出来ている。全体的に,官僚制度と官僚意識を何とかせよ,と言う世論が多い中,国民として思うところ2点。
自由党も民主党も,政治家が官僚に代わって日本を動かす,と言う論調だが,今の政治家が官庁に乗り込んでいって官僚の座っている席に座り行政を行う,想像しただけでも危なくて危なくて,国民としても,そうだそうだ,と言えないところがある。省益に走る官僚は,見ていても見苦しいところがあるが,それでも今の政治家に行政をやられるよりは,まだマシとも言えそう。
それから,赤穂義士がなぜ切腹させられたか。若い人が多すぎて,このまま人生を過ごしたのでは,何処で失敗して武士道全体に汚名を着せるかも知れない,それが切腹を命じた最後の理由だった。官僚も一緒で,早くに外に出してしまうと,官僚組織の真実を世間に曝すことになるし,機密事項を盾に官僚組織を脅迫する人も出てくるだろう,だから天下りや渡りで,官僚の支配下に置いておく必要がある。
これは官僚だけに当てはまることではなく,一般社会でも一緒で,組織でより高位にあって,より高度な情報に接していた人ほど,組織から遠くに行って貰っては困る,もう頭脳的に呆けてしまうところまで置いておいて,もう無害,と言うところで,組織の支配から解放するわけである。まあそう言う一面もあると言う意味で,今の世論に反対をしているわけではないが,皆そのことに気がついてないから一言。
今日の本論で,再びミャンマーのアラカン州が話題になっている。何かアラカンで急に動きが激しく,住民も,一体何事か,と訝っている。水力発電所の開発も,この地域の電力事情を改善するため,と首相や大臣が二人も現地に入って,住民への説明に躍起。今度は,鉄道を造って,地域内の交通の便を図ると同時に,将来は,アラカン山脈を越えて,イラワジ河畔のミンブまで延長するという。
まあ皆さんも読んでいるであろうが,問題は中国のガスパイプラインである。パイプラインは,ベンガル湾のラブリー島から中国の雲南省まで延々と敷設される,将来は,中東からの石油パイプラインも走る。中国政府が,ミャンマーの治安について,ミャンマー軍事政権に警告を発したに違いない。誰が考えても,アラカンから雲南省まで,安全に資源が運ばれるとは思えないのが,ミャンマーの治安である。
それから,中国の四川省の昨年5月の大地震,3万人が犠牲となり,500万人が家を失った。この地震は,2004年に,断層から3マイル離れたところに貯水したダムの影響,で中国政府が困っている。我々の考え方としては,局地的な微小地震はあり得る。しかし,新規の水の重量に比べて,遙かに数億年の山の重さの方が大きいから,大地震の原因にはならない,とそう言ってきたのだが。要検討。
本文
●ミャンマー軍事政権,中央部とアラカンの鉄道計画
このHPも,最近のミャンマー西部,アラカン(注1)地方の動きに注目している。2009年1月15日付本HP(注2)で,アラカンでの水力開発を伝え,2009年1月29日付本HP(注3)では,首相の乗ったヘリコプターが濃霧で目的地に降りられず,など,軍事政権中枢のアラカンでの動きを注目してきた。基本は中国の天然ガスの動きであるが,これに,インドやバングラデシュの動向も絡む。
今日の記事。ミャンマー軍事政権(注4)は,アラカン州(注5)とビルマ中枢(注6)との鉄道による連携を計画している,それは地域開発を促進する目的である,と公式に報じている。これは,テインセイン首相(注7)が,2009年1月24~29日にアラカン(注1)地方を訪問したときに発表されたものである。鉄道ルートは,アラカン州(注5)の州都シットウエ(注8)と,西部軍司令部のあるアン地区(注9)を結ぶ。
シットウエ(注8)とアン地区(注9)を結ぶこのルートの建設は,第1フェースと称して,4年以内に完成させる,と発表している。第2フェースは,アラカン山脈(注14)を越えて,アン地区(注9)と西部イラワジ川(注10)のミンブ(注11)を結ぶことになる。(アン地区(注9)はよく分からないが,おそらく
シットウエ(注8)から直線で60km東北にあるミョハウン(注15)の新しい地名ではないかと思う,足立註)。
この第2フェースによって,ビルマ中枢(註6)の西部とアラカン(注1)地方が,鉄道によって結ばれることになる。この鉄道計画は発表はされたが,ミャンマー軍事政権は,予算も,どの国が支援するかも発表していない。シットウエ(注8)の情報筋は,軍事政権はこのような大プロジェクトのを実施する能力はないので,おそらく中国政府の支援によるのだろう,と推測している。
中国は,ミャンマー軍事政権の最大の支援者であり,中国は現在,天然ガスを輸出するため,アラカン州(注5)からのパイプラインを準備中である。この工事は,ミャンマー最大の島,ランブリー島(注16)のチャウクプル(注17)で,先月,2009年1月,工事を開始している。このパイプラインは,ミャンマーから中国雲南省に向かう計画である。
また,ミャンマー軍事政権は,アラカン州(注5)で,多くの水力プロジェクトを準備中であるが,表面上,アラカン州(注5)の電力を賄うため,としている。2009年1月28日,ゾーウイン第一電力大臣(注18),キンマウンミン第2電力大臣(注19)が,水力プロジェクトの視察のため,ブティダウン地区(注20)のサイディン滝(注21)を訪ねている。
最近のミャンマー軍事政権は,20年間も無視してきたアラカン州(注5)に多くの開発プロジェクトを発表している。多くの住民や分析者は,注意深くその動きを,軍事政権の急なアラカンのインフラ開発に,どの様な背景が隠されているのか,監視している。
(注) (1) Arakan,(2) http://my.reset.jp/~adachihayao/index090115A.htm,(3) http://my.reset.jp/~adachihayao/index090129C.htm,(4) Burmese military junta,(5) Arakan State,(6) Burma proper,(7) Prime Minister Lt. General Thein Sein,(8) Sittwe,(9) Ann Town,(10) Irrawaddy River,(11) Minbu,(12) Arakan Roma,(14) Arakan Roma (Arakan Range),(15) Myohaung,(16) Rambree Island,(17) Kyaukpru,(18) Power Electricity Minister One Colonel Zaw Min,(19) Power Two Minister General Kine Maung Myint,(20) Buthidaung Township,(21) Sai Din Waterfall,(22)
●インド,リライアンス,KGガス供給で協議へ
インドの東部,2008年10月3日,取り上げているが,「2002年にリライアンスは,インド東海岸沖合のクリシュナ・ゴバダリ(KG)盆地で推定埋蔵量14兆立方フィート(2002年度における世界最大の天然ガス発見)の天然ガスを保有することとなった。」,のが切っ掛けで,2008年12月22日付本HP(注1)では,その配分について,更に政府との交渉が報じられている。
今日の記事。リライアンスRIL(注23)は,クリシュナゴドバリKG流域(注24)のガス販売について,12以上の発電所や肥料工場との交渉を始めている。RIL(注23)は来週にも,政府と相談の上,購買者のリストを完成させる予定である。パンディ石油省次官(注25)は,「我々はRIL(注23)とガス購買者のショートリスト作りで会議を呼びかけている。発電と肥料の企業が,その対象となるであろう。」,と語っている。
発電企業でガス購買に熱心なのは,ラッタナギリRGPPL(注26),GVK(注27),ガウタミ(注28),コナシーマ(注29),トレント(注30)であり,肥料では,RCF(注31),タタ化学(注32)など他5工場である。
(注) (22) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081222A.htm,(23) Reliance Industries (RIL),(24) Krishna Godavari (KG) basin,(25) petroleum secretary RS Pandey,(26) Ratnagiri Gas and Power (RGPPL),(27) GVK Power and Infrastructure,(28) Gautami Power,(29) Konaseema,(30) Torrent Power,(31) Rashtriya Chemicals and Fertilisers (RCF),(32) Tata Chemicals,(33)
●中国,四川地震は,果たしてダムが引き金なのか
これは問題の記事ですね,外国のディスカバーマガジン(注33)の報道である。大規模ダムは,今までの我々の常識は,微小地震の原因とはなるかも知れないが,大規模地震の引き金になることはない,と言う考え方であった。昨年,2008年5月,中国の四川省(注34)で8万人の犠牲者を出した衝撃的な地震は,震源地(注35)から3マイル離れたところのダムの影響ではないか,と研究者達が議論している,と言うのである。
地球物理起因の専門家クロウズ氏(注36)は,ジッピンプーダム(注37)の背後に貯められた数億トンの水の重量が,近くのベイチュアン断層(注38)に悪い作用所引き起こした,と言っている。このマグニチュード(注39)7.9の地震によって,500万人が家を失った。これは中国にとって衝撃的で微妙な問題で,中国政府は,急遽,ジッピンプーダム(注37)が原因,との示唆について,抑えにかかった。
研究者達は,これ以上の地震の原因を探るための地震学的地質的データーへのアクセスを拒否されている。この研究に携わった2,3の学者は,政府のダム開発計画に一定の歯止めをかけるよう呼びかけているが,彼等によると,その勧告は聞き入れられていないと言う。最初にジッピンプーダム(注37)が犯人ではないか,といい始めたのは,米国地球物理協会(注40)の会議と中国地質地震誌(注41)であった。
その後,他の研究者達もこのことを論ずるようになった。成都(注42)の四川地質鉱物研究所のファンシアオ主任(注43)は,2004年に建設,湛水したダムが大災害に繋がった可能性は,かなり高い,と言っている。ファンシアオ主任(注43)によると,貯水池が地震の引き金になったケースは多い,この地域で地震というのは異常である,過去にこの一帯でこのような大きな動きをした記録は残っていない,と言っている。
ファンシアオ主任(注43)によると,まだ誰も,この地震と貯水池の関連を証明した者はいない,しかし,多くのダムを建設する前に,注意深い調査を行っていくべきである,と言う証拠は十分にある,今現在のダム計画をもう一度検討してみたらどうか,と言っている。しかし,ファンシアオ主任(注43)は,水力開発企業や地方政府の経済的な関心を考えると,大規模開発を止めることには悲観的,とも発言している。
(注) (33) http://blogs.discovermagazine.com/,(34) Sichuan Province,(35) quake’s epicenter,(36) geophysical hazards researcher Christian Klose,(37) Zipingpu Dam,(38) Beichuan fault,(39) magnitude,(40) American Geophysical Union,(41) Chinese journal Geology and Seismology,(42) Chengdu,(43) Fan Xiao, the chief engineer of the Sichuan Geology and Mineral Bureau,(44)
参考資料
ミャンマー
●090204A Myanmar, narinjara
ミャンマー軍事政権,中央部とアラカンの鉄道計画
Arakan and Central Burma to be Connected by Railway
http://www.narinjara.com/details.asp?id=2054
インド
●090204B India, Economic Times
インド,リライアンス,KGガス供給で協議へ
RIL steps on the gas, in talks to sell KG output
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/RIL_steps_on_the_gas_in_talks_to_sell_KG_output/articleshow/4067102.cms
中国
●090204C China, discovermagazine
中国,四川地震は,果たしてダムが引き金なのか
Did a New Hydropower Dam Trigger China’s Deadly 2008 Earthquake
http://blogs.discovermagazine.com/80beats/2009/02/02/did-a-new-hydropower-dam-trigger-chinas-deadly-2008-earthquake/
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