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http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
サハリンのLNG出荷開始が,2009年3月に迫っているという。三井物産と三菱商事が参画したプロジェクトで,日本のLNGの10%を賄う,と言うから大きい。総事業費は200億ドルで,先年,ロシアの資源ナショナリズムで紛争に至り,半分はロシアのガスプロムが持つことで決着がついた事件が記憶に残る。三菱は,先日も,インドネシアのLNG契約で大きな報道があった。サハリンの詳細はビジネスアイ(注40)で見てください。
さて,今日は小型の水力開発ばかり,ベトナム,フィリッピンのネグロス・オキシデンタル,それにカンボジアのコーコンの中国企業によるキリロム第2水力の環境問題を取り上げている。このプロジェクトは,18MWであるが,カンポットのキリロム水力,約100MWなど,中国はこのカンボジアのカルダモン山脈で,大々的にダム開発に取り組んでいる。
カンボジアのフンセン首相は,環境NGOの活動について,厳しく対応してゆく構えであるが,それでもミャンマーに比べれば,カンボジアでのNGOの動きは,比較的自由である。今日の記事も,野生動物も一緒に移住させろ,とかなり無理なことが書いてあって,カンボジアの人々のための経済開発,と言う視点は全くないが,中国政府としても,今後いろいろ対応が試される場面だろう。
少しこの辺の事情を見ておこう,と中国のサイトに目を通していると,このキリロムのプロジェクトに関して,中国語の古い記事に遭遇した(注41)。中国語なので完全には理解していないが,カンボジアの地名などはローマ字で書いてあるので,全体的には感じが漢字で分かる。その日は,2004年12月28日で,もう既に4年前に,この小さい規模の水力の検討が行われていたのだ,と驚いた。
2004年12月28日の午後に,カンボジアのダム建設の地元から,5人の代表が北京を訪れているのだ。中国側の招待であろうが,当該中国企業の実施した社会環境調査の内容を説明している。中国側は,その企業だけでなく,能源部,林業部も含めて,何と60人が会議に出席して,対応している。中国側の情報は,余り英語では出てこないので分からないが,細かく読めば,この辺の事情が分かりそうだ。
この中国の対応が,今のところ一般的なのか,このカンボジアのプロジェクトだけの話なのか,よく分からないが,我が身に例えて,相手国政府を飛ばして,関係地元住民を日本に呼んで説明するだろうか。いろいろ手続きが複雑で,とんでもない国際的な問題を惹起する懸念などが,まず働いてしまって,地元住民を東京に呼ぶ,など出来そうにない。後で押しかけられたことはあるが。中国のこのような現状を,少し研究してみる必要がある。
(注) (40) http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200902120014a.nwc,(41) http://www.inmediahk.net/node/13385,(42)
本文
●ベトナム,首相が水力など再生可能エネルギーの促進へ
ベトナムのグエン・タン・ドウン首相(注1)は,金曜日,2009年2月6日,再生可能エネルギー開発と,全国の遠隔地に対する電力供給のための送電網整備で,205百万ドルに上る予算を承認した。この,「再生可能エネルギー開発,遠隔農村への送電網改良拡張(注6)」プログラムは,ADB(注2)の資金援助によるものである。
電力セクターの話によると,ベトナムは,再生可能エネルギー分野,太陽光,風力,地熱,また特に水力,の開発を必要としている。水力発電所のポテンシャルは,国内主要9河川で検討されており,その量は世界でもトップ14に入る。しかしこのポテンシャルは,経済性の問題と技術的困難から,まだ完全には開発されていない。全国で,500地点の小規模水力があり,その総出力は,135MWである。
グエン・タン・ドウン首相(注1)は,同じ日に,北部バック・コン県(注3)農業開発計画(注7)を承認したが,この資金は,農業開発国際基金(注4)によるものである。財務大臣の承認も,まもなく降りるはずである。首相(注1)は以前に,国連児童基金(注5)による,社会的監査強化計画(注8)の60万ドルを承認している。
(注) (1) Prime Minister Nguyen Tan Dung,(2) Asian Development Bank,(3) Bac Kan Province,(4) International Fund for Agriculture Development,(5) United Nations Children’s Fund,(6) "Renewable energy development and electric grid upgrade and expansion in remote communes" programme,(7) "Partnership for the poor in agro-forestry development in northern Bac Kan Province" project,(8) "Increasing social auditing capacity of the socio-economic development plan 2006-10" project,(9)
●フィリッピンのネグロスで,水力発電所開発へ
ネグロス島(注9)の南部,カバンカラン市(注10)発である。この島については,以前にも中部のバコロッド市(注11)で水力開発の話が持ち上がっている。日本企業も顔を出して,再生可能エネルギーによる地方電化に貢献しようとしている。ネグロス・オキシデンタル(注9)全体で,2013年までに,55MWの需要に対応するためのプロジェクトで,バゴ川(注12)沿いとカロルアン村(注13)の水力開発プロジェクトである。
昨日,2009年2月10日,カバンカラン市(注10)の市庁舎に於いて,ザイコ市長(注14)と,コナル持株会社のサンティジャン副社長(注15)によって,カロルアン水力プロジェクト(注16)の予備調査に関する覚書MOU(注17)の署名が,イシドロ・ザイコ知事(注18)立ち会いの下,なされた。サンティジャン副社長(注15)は,この予備調査(注19)に,6ヶ月の期間を与えられた,と語った。
この予備調査(注19)報告書は,カバンカラン市政府(注20)に提出されるが,その内容は,カロルアン水力プロジェクト(注16)の出力規模,工事費,工程,電気料金,が盛り込まれる。これらの数字がいずれも満足すべきものであれば,可能性調査FS(注21)を進めることになる,とサンティジャン副社長(注15)は語っている。また,FS(注21)が完成すれば開発に移るが,出力は,15MW程度と思われる,と。
ネグロス・オリエンタル電力協同組合NOEC(注22)は,15MWを十分吸収できるし,これから計算してみるが,大凡,KWh当たり4ペソ,約8.5セント相当,の料金でやっていけるだろう,と。しかし,乾期が問題で,水が少ないと高くなる可能性がある,とも。サンティジャン副社長(注15)は,バゴ川(注12)沿いに,サン・カルロス(注23),ドン・サルバドル・ベネディクト(注24),ムルチア(注25)の3つの流れ込み式を検討中と。
コナル持株会社のサンティジャン副社長(注15)は,同時に,アルト電力管理会社APMC(注26)の副社長も兼務している。この3つの水力プロジェクトの合計出力は,40MW,工事費は40億ペソ,で,2010年末着工,2013年運転開始の予定だ,と。しかし,地質的な問題があり,断層と滑り面に対する回避が出来るかどうか,検討中である。
アルト電力管理会社APMC(注26)は,このバゴ川(注12)開発の主たる投資企業となるだろう,と。また他に,タイ発電会社(注27)と日本の豊田通商(注28)が参加することを期待している。なお,カバンカラン市(注10)と協定を結んだコナル持株会社(注15)は,アルト電力管理会社APMC(注26)が60%の資本を有し,]残り40%は,豊田通商(注28)が持っている。2008年9月25日付本HP(注29)に関連記事。
(注) (9) Negros Occidental,(10) Kabankalan,(11) Bacolod,(12) Bago River,(13) Barangay Carol-an,(14) Kabankalan Mayor Pedro Zayco,(15) Tirso Santillan Jr., executive vice president of Conal Holdings Corp,(16) Carol-an project,(17) Memorandum of Understanding,(18) Gov. Isidro Zayco,(19) preliminary study,(20) Kabankalan City government,(21) feasibility study,(22) Negros Occidental Electric Cooperative,(23) San Carlos,(24) Don Salvador Benedicto,(25) Murcia,(26) Alto Power Management Corp.,(27) Electricity Generating Power Co. of Thailand,(28) Toyota Tsusho of Japan,(29) http://my.reset.jp/~adachihayao/index080925.htm,(30)
●カンボジアのコーコン水力,野生動物で議論
事実だけを拾っておこう。全体的には,カンボジアの人々の生き残りを尊重しているのか,野生動物の生き残りを大切にしているのか,よく分からない記事だが,中国企業が何処まで,水没移住の住民への対策を講ずるか,に問題はかかっているのだろう。問題になっているプロジェクトは,キリロム第3水力プロジェクト(注30)である。
キリロム第3水力プロジェクト(注30)は,今月,2009年2月,着工の予定で,出力は,18MW,場所は,コーコン県(注32)。企業主は,中国企業のCETIC(注33),工事費は40百万ドル,工期は2年半である。昨年,2008年,CETIC(注33)による環境報告書が出来上がっている。移住は10家族,352種の野生動物である。野生動物に関心のあるのは,CIのブンラ氏(注34),NGOフォーラムのケンテル氏(注35)
河川は,スタンポンルル川(注36)。2008年に環境問題を論ずる報告書を出しているのは,カンボジアのRCC(注37),米国のAFSC(注38)。カンボジア政府の環境担当で対応しているのは,環境省のブッタ氏(注39)である。
(注) (30) Kirirom III dam,(31) Photo by: MICHAEL HAYES,http://www.phnompenhpost.com/,(32) Koh Kong province,(33) China Electric Power Technology Import and Export Corp (CETIC),(34) Seng Bunra, country director for Conservation International,(35) Tonn Kunthel, Mekong community rights project officer at the NGO Forum on Cambodia,(36) Stung Pongrul River,(37) Rivers Coalition of Cambodia,(38) American Friends Service Committee,(39) Thuk Kroeun Vutha, an undersecretary of state at the Ministry of Environment,(40)
参考資料
ベトナム
●090212A Vietnam, vietnamnews
ベトナム,首相が水力など再生可能エネルギーの促進へ
PM approves renewable energy, power projects
http://vietnamnews.vnagency.com.vn/showarticle.php?num=04ECO100209
フィリッピン
●090212B Philippines, Manila Bulletin
フィリッピンのネグロスで,水力発電所開発へ
Neg. Occ. may have hydropower by 2013
http://www.visayandailystar.com/2009/February/11/topstory1.htm
カンボジア
●090212C Cambodia, phnompenhpost
カンボジアのコーコン水力,野生動物で議論
Koh Kong dam to impact wildlife
http://www.phnompenhpost.com/index.php/2009021024118/National-news/Koh-Kong-dam-to-impact-wildlife.html
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