HPは下記ドメインです。写真地図など見て下さい。
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
今から7時間ぐらい前の日経ネットのニュース,住友商事が100%出資するタンジュンジャティB石炭火力発電所を,2,000億円を投じて2012年までに,出力を2倍の2,640MWに引き上げる計画という。この地点の第一期工事は,当時混乱したIPPの発電所建設で,メガワティ大統領が住友商事に懇請して実現したもので,今日の記事を読むと,設備のリース,と言う形をとっているようだ。それでよいのかな。
インドネシア政府は,2020年にも,4,000MWの原子力発電所を運転開始する計画で頑張っている。東南アジア各国,今政治は混乱しているが,段階を踏んで進めようとしているタイ,それにベトナムなどと比較して,商業的な交渉を優先して進めているインドネシアである。今日の記事は,近隣諸国の新聞記者達のグループが,フランスに招待されて,その感想を記者の立場から書いたものだ。
フランスは全電力の75%近くが原子力発電で賄われている,原子力先進国だ。原子力メーカーのアレバは有名で,米国企業に先駆けてインドの原子力開発に先手を打っている。ここまで原子力に頼っている国に招待されて,記者達もその偉容に驚いたことだろう。所内を案内されるときに,物々しい防護服を着せられて,恐れを感じた,と書いている。
彼が書いた記事の最後は,次の言葉で結ばれている。「発電所を去るとき,私は複雑な気持ちであった。確かに原子力発電は一つの解決手段ではある。しかし,いろいろなインドネシアにおける災害を考えるとき,人間の侵す誤りについて,大きな危惧を感ぜざるを得ない。」,と。我々日本人も,今から38年前の1970年,初めて原子の灯で運営された大阪万博を知っている。未来の希望に満ちた時代であった。
新幹線も原子力発電所も,大事故もなくここまで来ていることを思うと,良かった,と思う反面,余りにもボーンヘッドが大事故を引き起こしていることに思いを致す。新幹線をあのような頻度で動かすなど日本人の得意技,と思っているのに,あの尼崎の福知山線のような,ボーンミスでしかも悲惨,美浜の配管の事故だって,設備としてはもっともプリミティブなところでミスを犯している。
大切な根幹には,確実な資源が注ぎ込まれているが,副次的な設備で手を抜いてしまうことに,大いに反省がある。原子炉は点検がしっかり行われているのに,配管は手が抜けていた。新幹線はしっかり管理されているが,ローカル線では思わぬ事故が起こってしまう。世界に技術を誇って歩いてきたのに,あのような事故が起こると,日本も一緒か,と思われるところが,ODAに携わっていて恥ずかしく思うところだ。
本文
●フィリッピン,エネルギー省,西パラワンの深度探査,承認
フィリッピンのエネルギー省DOE(注1)は,オットーエナージ(注2)のパラワン南西部(注3)原油ガスブロックにおける2010年8月までの超深水委託井戸(注4)の掘削提案に対して,これを承認した。これは,9,000平方kmをカバーする契約55SC(注5)に対する第3次作業プログラムである。DOE(注1)によると,第2次分は,2009年までの見通しで探査活動が,発注される予定である。
DOE(注1)は,3次元弾性派探査(注6)を行い,2009年にその解析,2010年にそれを実証するための掘削を行う,としている。オットーエナージ(注2)は,オーストラリア企業のBHP(注7)と,契約55SC(注5)の60%を提供する条件付き合意を行っている。オットーエナージ(注2)とBHP(注7)の共同運営の合意は,政府の許可と合弁の手続きが完了してから行われる。
フィリッピン証券市場(注8)届けられたところによると,契約55SC(注5)に15%の権利を持っているトランスアジアEDC(注9)は,探査作業の第2次と第3次を取り替えるべく,DOE(注1)に申請している,としている。それは,第1次の掘削を,2009年8月5日の契約であったものを,2010年5月に変更できるようにするため,と説明している。それはリグの設置見通しが,2010年前半まで不確定だから,と言っている。
契約55SC(注5)の範囲は,ボルネオの沖合(注11)南西部とフィリッピンの北東の権利が接近している。レイエス・エネルギー長官(注12)は,エネルギー的に独立するための原油とガスの探査には,これから投資を続ける,と言明している。もしこれが成功した暁には,フィリッピンは莫大な利益が期待できると。結局,議会からインドネシアと比べて探査の投資意欲が足りない,と批判されたばかりと言うことである。
(注) (1) Department of Energy (DoE),(2) Otto Energy Limited,(3) southwest Palawan basin,(4) ultra-deep water commitment well,(5) Service Contract 55 (SC),(6) 3D (three dimensional) seismic survey,(7) BHP Billiton Petroleum Pty Limited (BHP Billiton) ,(8) Philippine Stock Exchange,(9) Trans-Asia Oil and Energy Development Corporation,(11) offshore Borneo,(12) Energy secretary Angelo T. Reyes,(12)
●インド,大規模火力プロジェクトUMPP,5社が応札
先日から問題となっていた第4次の大規模火力計画UMPP(注12),4,000MW,ティラヤ火力(注13),結局5社が,この月曜日,見積もりを提出した。5社は,NTPC(注14),リライアンス(注15),ランコ(注16),ジンダール(注16),スターライト(注17)である。予定が1年遅れで,総工事費は,1800億ルピーと想定されている。見積もりを検討の上,2009年1月半ばにも,最終選定を終える。
発注主体となっている電力融資公社PFC(注19)は,この金融危機の最中,5社の入札を受け取った,2週間後には結論を出したい,としている。最終的に,UMPP(注12)としては初めて最低保証金12億ルピーの払い込みで,手続きを終える。最初は11社が,第1次選定に参加したが,最終的には5社となった。ランコ(注16)はマレーシアのゲッティング(注20)と組むことになった。
前回のクリシュナパットナム火力(注21)では3社,ササン火力(注22)では10社,ムンドラ火力(注23)は6社の入札があり,ムンドラ火力(注23)はタタ電力(注24)が,後の二つはリライアンス(注15)が,それぞれ勝ち取っている。今回のティラヤ火力(注13)は何度も延期された経緯を持っている。投資額は,1600億~1800億ルピーで,資本は30%,債務は70%と考えられており,政府も資金調達に支援の手を伸ばしている。
(注) (12) ultra mega power project (13) Tilaiya Ultra Mega Power Project (UMPP) in Jharkhand,(14) government-owned NTPC,(15) Anil Ambani Group company Reliance Power,(16) Lanco Infratech,(17) Jindal Power,(18) Sterlite Energy,(19) Power Finance Corporation (PFC),(20) Malaysia-based Genting Sanyen Power Sdn Bhd,(21) Krishnapatnam UMPP in Andhra Pradesh,(22) Sasan UMPP (Madhya Pradesh),(23) Mundra (Gujarat),(24) Tata Power,(25)
●原子力発電,フランスはいいが,インドネシアはどうか
原子力発電所でフランスに招かれたジャカルタポストの記者が,素朴な疑問を記事にしている。フランスは電力需要,489TWhの77.4%を原子力に依存している。インドネシアを含めた世界の国々で議論を巻き起こしているが,実際,いつ原子力は安全な手段になるのか,聞きたくなる。ペンリー原子力発電所のアンドレ所長(注25)に話を聞いて厳重な警戒の中,発電所に入ったとき,各国の記者は,脅えていた。
原子力発電所の放射能は一体どれほどのリスクがあるのか?中にはいるときには特別の装備をさせられたが,見学のリーダーは,完全に安全だ,と言っていた。インドネシア政府は,ムリア半島(注26)に,4機,4,000MWの原子力発電所を建設しようとしている。最初の工事開始は2010年初めと考えられている。工事費は70兆ルピアで,半島は火山の傍にあり,一般の反対運動が起きている。
原子力の専門家は,リヒタースケール7.0(注27)の地震にも安全だ,と言っている。フランスのペンリー発電所は,ノルマンディにあり1,300MWの出力で,これは58ある原子力のうちの単なる一つだ。隔離されたところにあり,周辺には人家はない。フランス政府は,原子力に対する信頼感を醸成しようと,多くの見学者を受け入れている。
フランスの原子力発電は,近隣諸国の輸出されている。その会社は,結局,原子力に対する一般の理解を得ることは難しく,しばらくは化石燃料に頼らざるを得ない,という見方をしている。発電所を去るとき,私は複雑な気持ちであった。確かに原子力発電は一つの解決手段ではある。しかし,いろいろなインドネシアにおける災害を考えるとき,人間の侵す誤りについて,大きな危惧を感ぜざるを得ない。
(注) (25) EDF's Penly nuclear power plant managing director Andre Van-Spaandonck,(26) Muria Peninsula, in Central Java,(27) 7.0 Richter scale earthquake,(28)
参考資料
フィリッピン
●081230A Philippines, Manila Bulletin
フィリッピン,エネルギー省,西パラワンの深度探査,承認
DoE approves ultra-deep well oil drilling for West Palawan
http://www.mb.com.ph/BSNS20081230144477.html
インド
●081230B India, Economic Times
インド,大規模火力プロジェクトUMPP,5社が応札
5 power cos submitted bids for UMPP
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/5_power_cos_submitted_bids_for_UMPP/articleshow/3909924.cms
インドネシア
●081230C Indonesia, The Jakarta Post
原子力発電,フランスはいいが,インドネシアはどうか
Nuclear power for France, but not RI
http://www.thejakartapost.com/news/2008/12/30/nuclear-power-france-not-ri.html
2008年12月31日水曜日
2008年12月30日火曜日
中国のエネルギー安全保障
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http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
中国が2015年を目指して航空母艦を保有する計画を進めている,と報じられている。航空母艦は欲しいですね。あの太平洋戦争初期の戦いを思い出すし,ゲームをやっていても,航空母艦は強い。でも,もの凄く繊細な運用を迫られる。少しでも敵の攻撃に曝されると,あれほど弱いものはない。そのために,索敵,敵艦の存在を探すことが何よりも大切,先に敵を見つけた方が勝ち,と言うのが航空母艦だ。
ゲーム,「太平洋の嵐」,随分打ち込んで来たが,トラック島周辺で航空母艦で待ちかまえて,偵察機を飛ばしながら,アメリカ艦隊の接近を探る,手に汗を握る場面だが,雨が降ると偵察機を飛ばせない,晴れた途端に目の前に敵の航空母艦が現れて,一瞬にして沈められてしまう,そこでリセット,となるわけだが,リセットできるから,ゲームは良い。
「太平洋の嵐」,でもう一つのポイントは,まずスマトラ島を落とすこと。スマトラ島を落とさないと,軍艦の石油が尽きてしまって,連合艦隊が動けなくなってしまう。原油を精製する必要があるから,日本に持って帰るのだが,ルソン島沖でタンカーが皆沈められてしまう。そこで考えるのが,中国大陸の一気通関作戦で,マレー,ハノイ,南寧,上海,と確保して,陸路日本へ運んでくる。マレーのボーキサイトも運ぶ,飛行機を造るため。
今日のチャイナデーリーは,中国のエネルギー安全保障の根拠付けが,要約してある。中国は,最終的には水力を含めた再生可能エネルギー,主として風力を言っているが,それと原子力を開発して,今,エネルギーの85%,年間25億トン,世界第2の石炭消費国の名前から逃れようとしているが,なかなか原子力は,そう簡単には進まないようだ。また激増する車のための石油確保も重要なテーマーである。
そのために,国家人民会議(注24)が,2008年3月に,国家エネルギー庁(注25)を創設したことである。この長官に任命されたザングオバオ氏(注26)は,エネルギー構造を拡大するため,再生可能エネルギーと原子力の開発をより追求する,とした。それまでの間は,製造業の需要を満たすため,海外資源に依存せざるを得ないとしている。また莫大な外貨準備高の件だが,首脳部がザングオバオ氏(注26)の提言に従う。
しばらくは,中国のエネルギー企業は,海外企業の買収に大胆に乗り出すよう,鼓舞されている。これは,中国共産党中央委員会政策策定部のゼンシンリ副長官(注27)のメッセージである。ゼンシンリ副長官(注27)は,2兆ドルに上る外貨準備は,特に,エネルギーや資源関連の海外企業の買収(注28)に使うべきだ,と示唆している。開発を阻害する要因を除くために,外貨準備(注29)を使うべきだ,と言っている。
またゼンシンリ副長官(注27)は,場合によっては,中国の海外投資企業に,相手国のインフラ改善のための優先的融資(注30)を供与すべきだ,とも言及している。この中国首脳部への彼のアドバイスは,中国の対外基本政策,即ち,海外投資を推し進め,海外の原油,ガス,その他の金属資源の探査に重点を置くこと,この政策に影響を及ぼしている。これは,資源国も中国も,両方が便益となる相互関係にある,と言っている。
(注) (22) National Development and Reform Commission,(23) Energy security,(24) National People's Congress,(25) National Energy Administration,(26) administration's head Zhang Guobao,(27) Zheng Xinli, vice-director of the Policy Research Office of the Central Committee of Communist Party of China,(28) mergers and acquisitions (M&As),(29) foreign exchange reserve,(30) preferential loans,(31)
本文
●インド発電企業JPL,タムナール発電所の規模を,3,400MWへ
最近のジンダール電力(注1)の話題は,2008年12月19日付本HP(注2)の,ヒマチャルプラデッシュ州(注3)の水力プロジェクトの入札で,大企業がはねのけられて,ジンダール電力(注1)関連の鉄鋼企業が,3つの水力を落札した,と言う記事である。ジンダール電力(注1)も,最近は積極的である。今日の話題は,インド南東部,マディアプラデシュ州(注4)の火力発電所の増設に関するもの,規模が大きいので拾った。
今日の発信は,マディアプラデシュ州(注4)のライガール(注5)からである。ジンダール電力(注1)は,ライガール(注5)の北20kmにあるタムナール発電所(注6)の出力を,今後4年間で,2,400MW増設して,3,400MWとする計画を持っている。ジンダール電力(注1)のジンダール会長(注7)は,国有重電メーカーBHEL(注8)に,2400MW増設のための機器発注を行ったと発表した。
合意書によると,BHEL(注8)は,ボイラー,タービン,発電機を中心に,付属品一式を供給する供給することになっている。ジンダール電力(注1)の親会社であるジンダール鉄鋼電力JSPL(注9)は,このタムナール発電所(注6)ブロックに,次の4年間で1,000億ルピーを投入する計画である。燃料について記述がないが,この地域は,天然ガスのKG流域に接近したところである。
(注) (1) Jindal Power Ltd,(2) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081219C.htm,(3) Himachal Pradesh,(4) Madhya Pradesh,(5) Raigarh,(6) Tamnar power plant,(7) JPL Chairman and Managing Director Naveen Jindal,(8) Bharat Heavy Electricals Ltd (BHEL),(9) Jindal Steel and Power Ltd (JSPL),(10)
●インド,大規模火力,ティラヤ,入札へ
何度も話題になっている,大規模火力第4弾のティラヤ発電所(注10)である。遅れに遅れたジャークランド’(注11)のティラヤ発電所(注10)の入札を,月曜,2009年2月5日に行うことで,政府は合意した。これで5回目の入札である。電力省筋によると,流動性の厳しさと高い利子率から,余り良い結果は得られないであると見ている。
前の3つの大規模火力プロジェクトUMPP(注12),ササン(注13),クリシュナパットナム(注14),ムンダ(注15)は,多くの電力企業から積極的な入札を受けた。先頭を切ったササン(注13)と輸入石炭による沿岸火力のムンダ(注15)は,売電単価KWh当たり2ルピーの提案で,新しい基準となった。専門家によると,今回は,コストの高騰と負債の増大で,あまり多くを期待できない,と考えている。
企業幹部の一人は,今回の入札価格は今までのUMPP(注12)に比べて倍ぐらいになるだろう,70%の負債分は随分高いものになる,と見ている。ティラヤ発電所(注10)の入札は,最初,2008年3月と設定されたが,6月に延期された。最後に,RFP入札(注16)が11月に設定されたが,政府の承認過程で更に延期されていた。11社がRFP入札(注16)で資格審査を通過している。
この11社のうち,AES(注17)が撤退を表明などして,9社が残っている。残っている企業の中には,ジンダール(注18),ランコ(注19),チトラ(注20)などが含まれている。ランコ(注19)は,マレーシアのゲンティング(注21)と組んでいる。電力省筋は非常に懐疑的で,私語に残るのは4社だろう,と見ている。政府は,電力不足12%を早急に解決すべく,この大規模火力プロジェクトUMPP(注12)を投入しているのである。
(注) (10) Tilaiya ultra mega power project,(11) Jharkhand,(12) ultra mega power projects,(13) Sasan,(14) Krishnapatnam,(15) Mundra,(16) RFP stage,(17) AES,(18) Jindal Steel & Power (JSPL),(19) Lanco Infratech,(20) Citra Thermal Power & Infrastructure,(21) Genting Sanyen Power Sdn Bhd.,(22)
●中国,燃料税改革,エネルギーの里程標
中国のエネルギー政策全般を説明している貴重な記事である。長い間,20年に亘って,中国政府は実施を模索してきた中で,この原油価格乱高下の最中,2009年1月1日より,燃料税を採用することとなった。計画によると,ガソリン税はリッター当たり0.2元であったものを1.0元に,ディーゼルについては,0.1元であったものを0.8元に上げた。これに伴い,高速料金を撤廃した。
燃料税と原油価格低下で,国家開発改革委員会(注122)は,2008年12月半ばに,燃料価格を下げた。現在の燃料価格は,原油バレル83.5ドルを基準としている。しかし,国際市場では,バレル147ドルの原油が,4年半来のバレル36ドルまで低下している。と言うことは,中国政府は2009年に更に燃料費を下げる必要がある,政府の最終目標は,市場に従うことだから。
2008年を振り返ると,エネルギー関連の重要政策は,価格と税制の改革であった。今議論になっているのは,改革は,車の購買力を増やし,金融危機で疲弊した自動車産業を回復させることである。高い成長率を維持するためには,自動車産業の回復と不動産部門の再活性化である。注意すべきは,これらの政策が,低価格の原油情勢と経済不況の中で行われる,と言うことである。
しかし車の購買者は,車を買うのに安いローンを提供され,不況の中で安いガソリンを買うことが出来る。しかし,景気が回復してガソリンが高くなると,車は家に駐車したままになる。中国の車政策と景気刺激策を考えるとき,環境とエネルギーの関わり合いを慎重に考える必要がある。相でなければ,車の所有者は被害を被るし,車が走ると環境が悪化することになりかねない。
これらのシナリオに対して二つの流れがある。クリーンな車の実用化はまだまだ先である,中国には13億人の人口がある,それらの多くの人々は車に乗ることが夢である,しかし,環境を考えている人は殆どいない。次にエネルギーの安全保障(注23)の問題である。エネルギー供給の保証は,安定した経済の基本であり,中国政府はそれをよく知っている。
それを証明するのは,国家人民会議(注24)が,2008年3月に,国家エネルギー庁(注25)を創設したことである。この長官に任命されたザングオバオ氏(注26)は,エネルギー構造を拡大するため,再生可能エネルギーと原子力の開発をより追求する,とした。それまでの間は,製造業の需要を満たすため,海外資源に依存せざるを得ない,としている。
最近になって,国家エネルギー庁(注25)は,原子力の設備目標を,2020年までに70,000MWとしたが,これは2006年の時の目標より75%増えている。これは,原子力の前発電設備に占める割合を2006年の目標より1%高い5%と設定した。現在は原子力は,僅かに9,000MWで全設備に対して1.3%である。これに対して,火力設備は,現在76%を占めている。
電力供給の84%は石炭火力で,二酸化炭素ガス排出の大きな原因となっている。2007年における中国の一次エネルギーは石炭は,24億トンで,消費全体では27億トンであり,世界第2位である。近年政府は,代替エネルギー開発のため,財政上また税制上の措置を講じており,その中には,風力に対する付加価値税50%免除も含まれている。
風力発電は,2007年の4,030MWに対して,2008年には10,000MWに達すると期待されている。この増加は,原油価格の高騰で政府が推進した結果である。2007年の,風力,バイオマス,水力発電は,全エネルギー使用の8.5%であり,これを,2010年には10%へ,また2020年には15%とす計画である。原油価格が低下する状況下でも,この目標は変わらない,と明言している。
しばらくは,中国のエネルギー企業は,海外企業の買収に大胆に乗り出すよう,鼓舞されている。これは,中国共産党中央委員会政策策定部のゼンシンリ副長官(注27)のメッセージである。ゼンシンリ副長官(注27)は,2兆ドルに上る外貨準備は,特に,エネルギーや資源関連の海外企業の買収(注28)に使うべきだ,と示唆している。開発を阻害する要因を除くために,外貨準備(注29)を使うべきだ,と言っている。
またゼンシンリ副長官(注27)は,場合によっては,中国の海外投資企業に,相手国のインフラ改善のための優先的融資(注30)を供与すべきだ,とも言及している。この中国首脳部への彼のアドバイスは,中国の対外基本政策,即ち,海外投資を推し進め,海外の原油,ガス,その他の金属資源の探査に重点を置くこと,この政策に影響を及ぼしている。これは,資源国も中国も,両方が便益となる相互関係にある。
(注) (22) National Development and Reform Commission,(23) Energy security,(24) National People's Congress,(25) National Energy Administration,(26) administration's head Zhang Guobao,(27) Zheng Xinli, vice-director of the Policy Research Office of the Central Committee of Communist Party of China,(28) mergers and acquisitions (M&As),(29) foreign exchange reserve,(30) preferential loans,(31)
参考資料
インド
●081229A India, Economic Times
インド発電企業JPL,タムナール発電所の規模を,3,400MWへ
JPL to increase Tamnar plant capacity to 3,400 MW over 4 yrs
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/JPL_to_increase_Tamnar_plant_capacity_to_3400_MW_over_4_yrs/articleshow/3901268.cms
●081229B India, Economic Times
インド,大規模火力,ティラヤ,入札へ
Bids for the Tilaiya ultra mega power project on Monday
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Bids_for_the_Tilaiya_ultra_mega_power_project_on_Monday/articleshow/3905380.cms
中国
●081229C China, chinadaily
中国,燃料税改革,エネルギーの里程標
Fuel tax reform an energy milestone
http://www.chinadaily.com.cn/bizchina/2008-12/29/content_7349014.htm
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
中国が2015年を目指して航空母艦を保有する計画を進めている,と報じられている。航空母艦は欲しいですね。あの太平洋戦争初期の戦いを思い出すし,ゲームをやっていても,航空母艦は強い。でも,もの凄く繊細な運用を迫られる。少しでも敵の攻撃に曝されると,あれほど弱いものはない。そのために,索敵,敵艦の存在を探すことが何よりも大切,先に敵を見つけた方が勝ち,と言うのが航空母艦だ。
ゲーム,「太平洋の嵐」,随分打ち込んで来たが,トラック島周辺で航空母艦で待ちかまえて,偵察機を飛ばしながら,アメリカ艦隊の接近を探る,手に汗を握る場面だが,雨が降ると偵察機を飛ばせない,晴れた途端に目の前に敵の航空母艦が現れて,一瞬にして沈められてしまう,そこでリセット,となるわけだが,リセットできるから,ゲームは良い。
「太平洋の嵐」,でもう一つのポイントは,まずスマトラ島を落とすこと。スマトラ島を落とさないと,軍艦の石油が尽きてしまって,連合艦隊が動けなくなってしまう。原油を精製する必要があるから,日本に持って帰るのだが,ルソン島沖でタンカーが皆沈められてしまう。そこで考えるのが,中国大陸の一気通関作戦で,マレー,ハノイ,南寧,上海,と確保して,陸路日本へ運んでくる。マレーのボーキサイトも運ぶ,飛行機を造るため。
今日のチャイナデーリーは,中国のエネルギー安全保障の根拠付けが,要約してある。中国は,最終的には水力を含めた再生可能エネルギー,主として風力を言っているが,それと原子力を開発して,今,エネルギーの85%,年間25億トン,世界第2の石炭消費国の名前から逃れようとしているが,なかなか原子力は,そう簡単には進まないようだ。また激増する車のための石油確保も重要なテーマーである。
そのために,国家人民会議(注24)が,2008年3月に,国家エネルギー庁(注25)を創設したことである。この長官に任命されたザングオバオ氏(注26)は,エネルギー構造を拡大するため,再生可能エネルギーと原子力の開発をより追求する,とした。それまでの間は,製造業の需要を満たすため,海外資源に依存せざるを得ないとしている。また莫大な外貨準備高の件だが,首脳部がザングオバオ氏(注26)の提言に従う。
しばらくは,中国のエネルギー企業は,海外企業の買収に大胆に乗り出すよう,鼓舞されている。これは,中国共産党中央委員会政策策定部のゼンシンリ副長官(注27)のメッセージである。ゼンシンリ副長官(注27)は,2兆ドルに上る外貨準備は,特に,エネルギーや資源関連の海外企業の買収(注28)に使うべきだ,と示唆している。開発を阻害する要因を除くために,外貨準備(注29)を使うべきだ,と言っている。
またゼンシンリ副長官(注27)は,場合によっては,中国の海外投資企業に,相手国のインフラ改善のための優先的融資(注30)を供与すべきだ,とも言及している。この中国首脳部への彼のアドバイスは,中国の対外基本政策,即ち,海外投資を推し進め,海外の原油,ガス,その他の金属資源の探査に重点を置くこと,この政策に影響を及ぼしている。これは,資源国も中国も,両方が便益となる相互関係にある,と言っている。
(注) (22) National Development and Reform Commission,(23) Energy security,(24) National People's Congress,(25) National Energy Administration,(26) administration's head Zhang Guobao,(27) Zheng Xinli, vice-director of the Policy Research Office of the Central Committee of Communist Party of China,(28) mergers and acquisitions (M&As),(29) foreign exchange reserve,(30) preferential loans,(31)
本文
●インド発電企業JPL,タムナール発電所の規模を,3,400MWへ
最近のジンダール電力(注1)の話題は,2008年12月19日付本HP(注2)の,ヒマチャルプラデッシュ州(注3)の水力プロジェクトの入札で,大企業がはねのけられて,ジンダール電力(注1)関連の鉄鋼企業が,3つの水力を落札した,と言う記事である。ジンダール電力(注1)も,最近は積極的である。今日の話題は,インド南東部,マディアプラデシュ州(注4)の火力発電所の増設に関するもの,規模が大きいので拾った。
今日の発信は,マディアプラデシュ州(注4)のライガール(注5)からである。ジンダール電力(注1)は,ライガール(注5)の北20kmにあるタムナール発電所(注6)の出力を,今後4年間で,2,400MW増設して,3,400MWとする計画を持っている。ジンダール電力(注1)のジンダール会長(注7)は,国有重電メーカーBHEL(注8)に,2400MW増設のための機器発注を行ったと発表した。
合意書によると,BHEL(注8)は,ボイラー,タービン,発電機を中心に,付属品一式を供給する供給することになっている。ジンダール電力(注1)の親会社であるジンダール鉄鋼電力JSPL(注9)は,このタムナール発電所(注6)ブロックに,次の4年間で1,000億ルピーを投入する計画である。燃料について記述がないが,この地域は,天然ガスのKG流域に接近したところである。
(注) (1) Jindal Power Ltd,(2) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081219C.htm,(3) Himachal Pradesh,(4) Madhya Pradesh,(5) Raigarh,(6) Tamnar power plant,(7) JPL Chairman and Managing Director Naveen Jindal,(8) Bharat Heavy Electricals Ltd (BHEL),(9) Jindal Steel and Power Ltd (JSPL),(10)
●インド,大規模火力,ティラヤ,入札へ
何度も話題になっている,大規模火力第4弾のティラヤ発電所(注10)である。遅れに遅れたジャークランド’(注11)のティラヤ発電所(注10)の入札を,月曜,2009年2月5日に行うことで,政府は合意した。これで5回目の入札である。電力省筋によると,流動性の厳しさと高い利子率から,余り良い結果は得られないであると見ている。
前の3つの大規模火力プロジェクトUMPP(注12),ササン(注13),クリシュナパットナム(注14),ムンダ(注15)は,多くの電力企業から積極的な入札を受けた。先頭を切ったササン(注13)と輸入石炭による沿岸火力のムンダ(注15)は,売電単価KWh当たり2ルピーの提案で,新しい基準となった。専門家によると,今回は,コストの高騰と負債の増大で,あまり多くを期待できない,と考えている。
企業幹部の一人は,今回の入札価格は今までのUMPP(注12)に比べて倍ぐらいになるだろう,70%の負債分は随分高いものになる,と見ている。ティラヤ発電所(注10)の入札は,最初,2008年3月と設定されたが,6月に延期された。最後に,RFP入札(注16)が11月に設定されたが,政府の承認過程で更に延期されていた。11社がRFP入札(注16)で資格審査を通過している。
この11社のうち,AES(注17)が撤退を表明などして,9社が残っている。残っている企業の中には,ジンダール(注18),ランコ(注19),チトラ(注20)などが含まれている。ランコ(注19)は,マレーシアのゲンティング(注21)と組んでいる。電力省筋は非常に懐疑的で,私語に残るのは4社だろう,と見ている。政府は,電力不足12%を早急に解決すべく,この大規模火力プロジェクトUMPP(注12)を投入しているのである。
(注) (10) Tilaiya ultra mega power project,(11) Jharkhand,(12) ultra mega power projects,(13) Sasan,(14) Krishnapatnam,(15) Mundra,(16) RFP stage,(17) AES,(18) Jindal Steel & Power (JSPL),(19) Lanco Infratech,(20) Citra Thermal Power & Infrastructure,(21) Genting Sanyen Power Sdn Bhd.,(22)
●中国,燃料税改革,エネルギーの里程標
中国のエネルギー政策全般を説明している貴重な記事である。長い間,20年に亘って,中国政府は実施を模索してきた中で,この原油価格乱高下の最中,2009年1月1日より,燃料税を採用することとなった。計画によると,ガソリン税はリッター当たり0.2元であったものを1.0元に,ディーゼルについては,0.1元であったものを0.8元に上げた。これに伴い,高速料金を撤廃した。
燃料税と原油価格低下で,国家開発改革委員会(注122)は,2008年12月半ばに,燃料価格を下げた。現在の燃料価格は,原油バレル83.5ドルを基準としている。しかし,国際市場では,バレル147ドルの原油が,4年半来のバレル36ドルまで低下している。と言うことは,中国政府は2009年に更に燃料費を下げる必要がある,政府の最終目標は,市場に従うことだから。
2008年を振り返ると,エネルギー関連の重要政策は,価格と税制の改革であった。今議論になっているのは,改革は,車の購買力を増やし,金融危機で疲弊した自動車産業を回復させることである。高い成長率を維持するためには,自動車産業の回復と不動産部門の再活性化である。注意すべきは,これらの政策が,低価格の原油情勢と経済不況の中で行われる,と言うことである。
しかし車の購買者は,車を買うのに安いローンを提供され,不況の中で安いガソリンを買うことが出来る。しかし,景気が回復してガソリンが高くなると,車は家に駐車したままになる。中国の車政策と景気刺激策を考えるとき,環境とエネルギーの関わり合いを慎重に考える必要がある。相でなければ,車の所有者は被害を被るし,車が走ると環境が悪化することになりかねない。
これらのシナリオに対して二つの流れがある。クリーンな車の実用化はまだまだ先である,中国には13億人の人口がある,それらの多くの人々は車に乗ることが夢である,しかし,環境を考えている人は殆どいない。次にエネルギーの安全保障(注23)の問題である。エネルギー供給の保証は,安定した経済の基本であり,中国政府はそれをよく知っている。
それを証明するのは,国家人民会議(注24)が,2008年3月に,国家エネルギー庁(注25)を創設したことである。この長官に任命されたザングオバオ氏(注26)は,エネルギー構造を拡大するため,再生可能エネルギーと原子力の開発をより追求する,とした。それまでの間は,製造業の需要を満たすため,海外資源に依存せざるを得ない,としている。
最近になって,国家エネルギー庁(注25)は,原子力の設備目標を,2020年までに70,000MWとしたが,これは2006年の時の目標より75%増えている。これは,原子力の前発電設備に占める割合を2006年の目標より1%高い5%と設定した。現在は原子力は,僅かに9,000MWで全設備に対して1.3%である。これに対して,火力設備は,現在76%を占めている。
電力供給の84%は石炭火力で,二酸化炭素ガス排出の大きな原因となっている。2007年における中国の一次エネルギーは石炭は,24億トンで,消費全体では27億トンであり,世界第2位である。近年政府は,代替エネルギー開発のため,財政上また税制上の措置を講じており,その中には,風力に対する付加価値税50%免除も含まれている。
風力発電は,2007年の4,030MWに対して,2008年には10,000MWに達すると期待されている。この増加は,原油価格の高騰で政府が推進した結果である。2007年の,風力,バイオマス,水力発電は,全エネルギー使用の8.5%であり,これを,2010年には10%へ,また2020年には15%とす計画である。原油価格が低下する状況下でも,この目標は変わらない,と明言している。
しばらくは,中国のエネルギー企業は,海外企業の買収に大胆に乗り出すよう,鼓舞されている。これは,中国共産党中央委員会政策策定部のゼンシンリ副長官(注27)のメッセージである。ゼンシンリ副長官(注27)は,2兆ドルに上る外貨準備は,特に,エネルギーや資源関連の海外企業の買収(注28)に使うべきだ,と示唆している。開発を阻害する要因を除くために,外貨準備(注29)を使うべきだ,と言っている。
またゼンシンリ副長官(注27)は,場合によっては,中国の海外投資企業に,相手国のインフラ改善のための優先的融資(注30)を供与すべきだ,とも言及している。この中国首脳部への彼のアドバイスは,中国の対外基本政策,即ち,海外投資を推し進め,海外の原油,ガス,その他の金属資源の探査に重点を置くこと,この政策に影響を及ぼしている。これは,資源国も中国も,両方が便益となる相互関係にある。
(注) (22) National Development and Reform Commission,(23) Energy security,(24) National People's Congress,(25) National Energy Administration,(26) administration's head Zhang Guobao,(27) Zheng Xinli, vice-director of the Policy Research Office of the Central Committee of Communist Party of China,(28) mergers and acquisitions (M&As),(29) foreign exchange reserve,(30) preferential loans,(31)
参考資料
インド
●081229A India, Economic Times
インド発電企業JPL,タムナール発電所の規模を,3,400MWへ
JPL to increase Tamnar plant capacity to 3,400 MW over 4 yrs
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/JPL_to_increase_Tamnar_plant_capacity_to_3400_MW_over_4_yrs/articleshow/3901268.cms
●081229B India, Economic Times
インド,大規模火力,ティラヤ,入札へ
Bids for the Tilaiya ultra mega power project on Monday
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/Bids_for_the_Tilaiya_ultra_mega_power_project_on_Monday/articleshow/3905380.cms
中国
●081229C China, chinadaily
中国,燃料税改革,エネルギーの里程標
Fuel tax reform an energy milestone
http://www.chinadaily.com.cn/bizchina/2008-12/29/content_7349014.htm
2008年12月29日月曜日
中国の金沙江の開発進む
HPは下記ドメインです。写真地図など見て下さい。
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
中国,雲南省,長江上流の金沙江には,結構思い入れがあった。雲南省のエンジニアーが,ミャンマーなどにそろそろ下ってきている時代で,彼等と接触したかった。あのころは,日本政府もメコン河開発に熱心で,中国の雲南省と協力すれば,素晴らしい仕事が出来たのに,と悔やまれる。多くの友人も出来ていたが,彼等が独自の行動で南下し始めてからは,全く疎遠になってしまった。
今日の記事を見ると,金沙江(注5)は,長江(注6)の支流で,2,290kmの流路を持ち,その源をタングラ連山(注11)発し,青海(注12),チベット,四川省(注9)及び雲南省(注10)を流れ下っている。ダム計画は,主としてその中流,下流に位置し,12のダムが計画されており,その総出力は,50,080MWとされている,となっている。
先日,金沙江から80万ボルト超高圧直流送電線で,長躯2,000km,上海に電力が送られると報道されていたが,その水力プロジェクトが,向I家堤水力プロジェクト(注5)である。河川切り替えに成功したニュースである。この向I家堤水力プロジェクト(注5)は,総工事費434億元,約63億ドル相当で,2015年完成予定である。出力は,6,000MW,年間発生電力量は,307億KWhである。
写真にも,最後の金沙江の流水が締め切られる直前の写真が出ているが,ここの流域面積は,20万平方kmはあると思うので,早々の難事業である。水没は12万人余り。お祝い気分に満ちた現場の状況が,写真報道されている。動員された観客の数も多く,赤い旗,国旗かな,を振りながら,中央政府の賓客を歓迎している風景は,まさしく中国である。
日本もこういう時代があったことを思い出す。木曽川の河原で,間組の神部社長がはちまき姿で,紅白のテントの前で扇子をかざしながら,式典参加者の音頭をとっていた写真がある。経済の進展とダム開発,それは非常に象徴的なシーンで,国民を酔わせてしまう作用がるようだ。中国は今,その最盛期にある。その国内の興奮が,そのまま,ミャンマーやラオスや,また遠くアフリカにまで吹き出している。
(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081227B.htm,(2) Longtan hydropower station,(3) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081224C.htm,(4) Xiangjiaba hydropower plant,(5) Jinsha River,(6) Yangtze River,(7) Three Gorges Project Development Corporation,(8) Li Yong'an, general manager of the China Yangtze River Three Gorges Project Development Corporation,(9) Sichuan province,(10) Yunnan provinnce,(11) Tanggula Range,(12) Qinghai,(13) www.chinaview.cn 2008-12-28 19:09:55 Print,(14) http://www.sc.xinhuanet.com/topic/xjb/,
本文
●フィリッピン,ERCが,NPC料金自動調整のルール
フィリッピンの電気料金の報道を追っかけるのはうんざりする。そう言う駆け引きばかりで,電源開発への機運は全然盛り上がらない。2008年12月23日付本HP(注1)では,電力規制委員会ERC(注2)は,国家電力公社NPC(注3)の,KWh当たり0.3685ペソの料金値上げ申請を,NPC(注3)が根拠を説明できていない,として却下した。逆に,KWh0.56ペソの削減を,この12月の請求書に適用すべく,承認した。
今日の記事。電力規制委員会ERC(注2)は,電気料金をもっと予測しやすくするために,国家電力公社NPC(注3)の,発電原価と為替レートを自動的に調整するルールに焦点を当てている。ERC(注2)のジュアン長官(注4)は,燃料費,発電原価,為替レートの調整方式を,2009年2月~3月に規則化しようとしているが,その時期は,公聴会と法案公開の日程によって決まる,と言っている。
フィリッピンの電力投資企業は,国家電力公社NPC(注3)の時間制料金表TOU(注5)の値上げを要求している。それは,投資企業とNPC(注3)の間の暫定供給契約TSC(注6)が,このTOU(注5)に固定されてしまっているからである。資産買収企業,例えば,600MW,マシンロック火力(注7)のAES(注8)などは,NPC(注3)の机上で造られた料金表の最低線を押しつけられ,まさにピンチに陥っている。
実際,融資機関もこの点を心配しており,電力セクターへの融資に二の足を踏んでいる。ERC(注2)のジュアン長官(注4)も,その点は分かっているが,NPC(注3)の値上げ申請案は,説明が足りない,と言っている。ERC(注2)のスタッフは,自動調整方式の採用で,投資企業の言う眞の発電原価に迫ることが出来るのではないか,と言っており,関係者からの意見を聴取している,としている。
いずれにしても,提案されている燃料電力購入調整FPPCA(注9)と為替レート調整FXA(注10)は,現在の,発電原価調整方式GRAM(注11)と増分為替レート調整ICERA(注12)による料金設定の遅れを補うだろう,言われている。この調整遅れは1年にも及んで,NPC(注3)が需要家への請求書の歪みと不合理を生じている。
(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081223B.htm,(2) Energy Regulatory Commission (ERC),(3) National Power Corporation (NPC),(4) ERC executive director Francis Saturnino Juan,(5) time-of-use (TOU) rates,(6) transition supply contracts (TSCs),(7) Masinloc coal-fired power facility,(8) AES Corporation,(9) Fuel and Purchased Power Cost Adjustment (FPPCA),(10) Foreign Exchange Adjustment (FXA) ,(11) Generation Rate Adjustment Mechanism (GRAM),(12) Incremental Currency Exchange Rate Adjustment (ICERA),(13)
●中国,金沙江,大規模水力プロジェクト,河川切り替え
中国の大規模水力の開発が,まさに最盛期を迎えている。2008年12月27日付本HP(注1)では,6,300MW,全国第3位の規模を持つ龍灘水力発電所(注2)の第1期工事を完了した,との報があり,2008年12月24日付け本HP(注3)では,今日の記事にある中国西部の向I家堤水力プロジェクト(注5)から80万ボルト直流送電の鍵となる技術の開発に成功した,など,ニュースが続いている。
今日はその向I家堤水力プロジェクト(注5)が,河川切り替えに成功したニュースである。日曜日,2008年12月28日,中国南部の金沙江(注5)の河川が締め切られた。長江(注6)の上流に,新規水力発電所を建設するためである。この向I家堤水力プロジェクト(注5)は,総工事費434億元,約63億ドル相当で,2015年完成予定である。出力は,6,000MW,年間発生電力量は,307億KWhである。
三峡公司(注7)の長江のリヨンガン氏(注8)は,この電力は,中国東部,南部,中央部の各地域に送電されるが,四川省(注9)及び雲南省(注10)の地元にも便益をもたらす,と語っている。また,洪水調節,灌漑などの機能も持っている。既に,雲南省(注10)と四川省(注9)で,125,100人が移住している。向I家堤水力プロジェクト(注5)は,政府が進める金沙江(注5)の階段状開発の一つである。
金沙江(注5)は,長江(注6)の支流で,2,290kmの流路を持ち,その源をタングラ連山(注11)発し,青海(注12),チベット,四川省(注9)及び雲南省(注10)を流れ下っている。ダム計画は,主としてその中流,下流に位置し,12のダムが計画されており,その総出力は,50,080MWとされている。JICAが関係した金案橋プロジェクトも,その一つである。河川切り替え(注13),完成図(注14)がある。
(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081227B.htm,(2) Longtan hydropower station,(3) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081224C.htm,(4) Xiangjiaba hydropower plant,(5) Jinsha River,(6) Yangtze River,(7) Three Gorges Project Development Corporation,(8) Li Yong'an, general manager of the China Yangtze River Three Gorges Project Development Corporation,(9) Sichuan province,(10) Yunnan provinnce,(11) Tanggula Range,(12) Qinghai,(13) www.chinaview.cn 2008-12-28 19:09:55 Print,(14) http://www.sc.xinhuanet.com/topic/xjb/,
参考資料
フィリッピン
●081228A Philippines, Manila Bulletin
フィリッピン,ERCが,NPC料金自動調整のルール
ERC set to rule on automatic adjustment for Napocor rates http://www.mb.com.ph/BSNS20081228144334.html
中国
●081228B China, news.xinhuanet
中国,金沙江,大規模水力プロジェクト,河川切り替え
River blocked for China's new gigantic hydropower project http://news.xinhuanet.com/english/2008-12/28/content_10571292.htm
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
中国,雲南省,長江上流の金沙江には,結構思い入れがあった。雲南省のエンジニアーが,ミャンマーなどにそろそろ下ってきている時代で,彼等と接触したかった。あのころは,日本政府もメコン河開発に熱心で,中国の雲南省と協力すれば,素晴らしい仕事が出来たのに,と悔やまれる。多くの友人も出来ていたが,彼等が独自の行動で南下し始めてからは,全く疎遠になってしまった。
今日の記事を見ると,金沙江(注5)は,長江(注6)の支流で,2,290kmの流路を持ち,その源をタングラ連山(注11)発し,青海(注12),チベット,四川省(注9)及び雲南省(注10)を流れ下っている。ダム計画は,主としてその中流,下流に位置し,12のダムが計画されており,その総出力は,50,080MWとされている,となっている。
先日,金沙江から80万ボルト超高圧直流送電線で,長躯2,000km,上海に電力が送られると報道されていたが,その水力プロジェクトが,向I家堤水力プロジェクト(注5)である。河川切り替えに成功したニュースである。この向I家堤水力プロジェクト(注5)は,総工事費434億元,約63億ドル相当で,2015年完成予定である。出力は,6,000MW,年間発生電力量は,307億KWhである。
写真にも,最後の金沙江の流水が締め切られる直前の写真が出ているが,ここの流域面積は,20万平方kmはあると思うので,早々の難事業である。水没は12万人余り。お祝い気分に満ちた現場の状況が,写真報道されている。動員された観客の数も多く,赤い旗,国旗かな,を振りながら,中央政府の賓客を歓迎している風景は,まさしく中国である。
日本もこういう時代があったことを思い出す。木曽川の河原で,間組の神部社長がはちまき姿で,紅白のテントの前で扇子をかざしながら,式典参加者の音頭をとっていた写真がある。経済の進展とダム開発,それは非常に象徴的なシーンで,国民を酔わせてしまう作用がるようだ。中国は今,その最盛期にある。その国内の興奮が,そのまま,ミャンマーやラオスや,また遠くアフリカにまで吹き出している。
(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081227B.htm,(2) Longtan hydropower station,(3) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081224C.htm,(4) Xiangjiaba hydropower plant,(5) Jinsha River,(6) Yangtze River,(7) Three Gorges Project Development Corporation,(8) Li Yong'an, general manager of the China Yangtze River Three Gorges Project Development Corporation,(9) Sichuan province,(10) Yunnan provinnce,(11) Tanggula Range,(12) Qinghai,(13) www.chinaview.cn 2008-12-28 19:09:55 Print,(14) http://www.sc.xinhuanet.com/topic/xjb/,
本文
●フィリッピン,ERCが,NPC料金自動調整のルール
フィリッピンの電気料金の報道を追っかけるのはうんざりする。そう言う駆け引きばかりで,電源開発への機運は全然盛り上がらない。2008年12月23日付本HP(注1)では,電力規制委員会ERC(注2)は,国家電力公社NPC(注3)の,KWh当たり0.3685ペソの料金値上げ申請を,NPC(注3)が根拠を説明できていない,として却下した。逆に,KWh0.56ペソの削減を,この12月の請求書に適用すべく,承認した。
今日の記事。電力規制委員会ERC(注2)は,電気料金をもっと予測しやすくするために,国家電力公社NPC(注3)の,発電原価と為替レートを自動的に調整するルールに焦点を当てている。ERC(注2)のジュアン長官(注4)は,燃料費,発電原価,為替レートの調整方式を,2009年2月~3月に規則化しようとしているが,その時期は,公聴会と法案公開の日程によって決まる,と言っている。
フィリッピンの電力投資企業は,国家電力公社NPC(注3)の時間制料金表TOU(注5)の値上げを要求している。それは,投資企業とNPC(注3)の間の暫定供給契約TSC(注6)が,このTOU(注5)に固定されてしまっているからである。資産買収企業,例えば,600MW,マシンロック火力(注7)のAES(注8)などは,NPC(注3)の机上で造られた料金表の最低線を押しつけられ,まさにピンチに陥っている。
実際,融資機関もこの点を心配しており,電力セクターへの融資に二の足を踏んでいる。ERC(注2)のジュアン長官(注4)も,その点は分かっているが,NPC(注3)の値上げ申請案は,説明が足りない,と言っている。ERC(注2)のスタッフは,自動調整方式の採用で,投資企業の言う眞の発電原価に迫ることが出来るのではないか,と言っており,関係者からの意見を聴取している,としている。
いずれにしても,提案されている燃料電力購入調整FPPCA(注9)と為替レート調整FXA(注10)は,現在の,発電原価調整方式GRAM(注11)と増分為替レート調整ICERA(注12)による料金設定の遅れを補うだろう,言われている。この調整遅れは1年にも及んで,NPC(注3)が需要家への請求書の歪みと不合理を生じている。
(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081223B.htm,(2) Energy Regulatory Commission (ERC),(3) National Power Corporation (NPC),(4) ERC executive director Francis Saturnino Juan,(5) time-of-use (TOU) rates,(6) transition supply contracts (TSCs),(7) Masinloc coal-fired power facility,(8) AES Corporation,(9) Fuel and Purchased Power Cost Adjustment (FPPCA),(10) Foreign Exchange Adjustment (FXA) ,(11) Generation Rate Adjustment Mechanism (GRAM),(12) Incremental Currency Exchange Rate Adjustment (ICERA),(13)
●中国,金沙江,大規模水力プロジェクト,河川切り替え
中国の大規模水力の開発が,まさに最盛期を迎えている。2008年12月27日付本HP(注1)では,6,300MW,全国第3位の規模を持つ龍灘水力発電所(注2)の第1期工事を完了した,との報があり,2008年12月24日付け本HP(注3)では,今日の記事にある中国西部の向I家堤水力プロジェクト(注5)から80万ボルト直流送電の鍵となる技術の開発に成功した,など,ニュースが続いている。
今日はその向I家堤水力プロジェクト(注5)が,河川切り替えに成功したニュースである。日曜日,2008年12月28日,中国南部の金沙江(注5)の河川が締め切られた。長江(注6)の上流に,新規水力発電所を建設するためである。この向I家堤水力プロジェクト(注5)は,総工事費434億元,約63億ドル相当で,2015年完成予定である。出力は,6,000MW,年間発生電力量は,307億KWhである。
三峡公司(注7)の長江のリヨンガン氏(注8)は,この電力は,中国東部,南部,中央部の各地域に送電されるが,四川省(注9)及び雲南省(注10)の地元にも便益をもたらす,と語っている。また,洪水調節,灌漑などの機能も持っている。既に,雲南省(注10)と四川省(注9)で,125,100人が移住している。向I家堤水力プロジェクト(注5)は,政府が進める金沙江(注5)の階段状開発の一つである。
金沙江(注5)は,長江(注6)の支流で,2,290kmの流路を持ち,その源をタングラ連山(注11)発し,青海(注12),チベット,四川省(注9)及び雲南省(注10)を流れ下っている。ダム計画は,主としてその中流,下流に位置し,12のダムが計画されており,その総出力は,50,080MWとされている。JICAが関係した金案橋プロジェクトも,その一つである。河川切り替え(注13),完成図(注14)がある。
(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081227B.htm,(2) Longtan hydropower station,(3) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081224C.htm,(4) Xiangjiaba hydropower plant,(5) Jinsha River,(6) Yangtze River,(7) Three Gorges Project Development Corporation,(8) Li Yong'an, general manager of the China Yangtze River Three Gorges Project Development Corporation,(9) Sichuan province,(10) Yunnan provinnce,(11) Tanggula Range,(12) Qinghai,(13) www.chinaview.cn 2008-12-28 19:09:55 Print,(14) http://www.sc.xinhuanet.com/topic/xjb/,
参考資料
フィリッピン
●081228A Philippines, Manila Bulletin
フィリッピン,ERCが,NPC料金自動調整のルール
ERC set to rule on automatic adjustment for Napocor rates http://www.mb.com.ph/BSNS20081228144334.html
中国
●081228B China, news.xinhuanet
中国,金沙江,大規模水力プロジェクト,河川切り替え
River blocked for China's new gigantic hydropower project http://news.xinhuanet.com/english/2008-12/28/content_10571292.htm
2008年12月28日日曜日
インドがカシミールで水力推進決意
HPは下記ドメインです。写真地図など見て下さい。
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
パキスタンのブット元首相が,橋本首相に対して,カラチ東方の大規模工業団地の建設を要請したり,北部地域への道路トンネル建設を要請してから既に10年が経つ。昨日,2008年12月27日,10万人の人々が,南部シンド州にある彼女の墓を取り囲んで,その一周忌を悼んだ。裸足で400キロ歩いて墓を訪れたという25歳の男性は足にできたマメを指さし,「受難したリーダーからの贈り物だ」,と語ったと言う。
ブット元首相が生存していれば,インド,パキスタンの情勢は変わっただろうか。政治情勢はどう転んだか分からないが,アジアでもパイオニアとして挑み,「アジアの隼」,の小説の冒頭の場面にもなったハブコ火力発電所の民営化にも熱心であった。おそらく,当時の欧米の支援を受けて,もう少し開発も進んでいたかも知れない。ザルダリ大統領は墓前で,「殺人者は彼女の理念を葬ることはできなかった」,と述べたという。
インドのシン首相が,三軍の長を呼んで会議を持った,という情報で,1万のパキスタン軍の精鋭が,西部から東部へ移動したという。ザルダリ大統領は,インドとの対立は政治で解決する,と明言しているが,一つ一つのトップ達の行動が,緊張感を煽っている。今度は,インドの閣議が,時も時,国境未確定のカシミールのインダス上流で,330MWのキシャンガンガ水力の推進を決定し,パキスタンを緊張させている。
今日の報道はパキスタン側のもので,パキスタンのニールム川の水力プロジェクト(注6)の上流に位置するインドのキシャンガンガ水力プロジェクト(注7)に関するもの。この金曜日,2008年12月26日,インドは閣議を開いて,インド実行支配カシミールIHK(注8)のガンジス川(注9)に,330MWのシャンガンガ水力プロジェクト(注7)を承認した。
キシャンガンガ水力プロジェクト(注7)の計画では,ムザファラード地区(注15)近辺でジェルム川(注21)本流に合流する支流ニールム川(注20)の水を分水して,インド実行支配カシミールIHK(注8)領域内のバンディポーラ地区(注22)近辺のウラー湖(注23)に分流させる計画である。これにより,ウラー湖(注23)の水位を上げ,毎秒52トンの水を下流に流して,480MW,ウリ水力(注26)に便益を与えるものだ。
何処がどうなっているのか,詳しい地図がないのでよく分からなかったので,あり合わせの地図でその状況を見てみたので,HP上の地図(注33)を見て欲しい。インド領内の分流計画が,支流ニールム川沿いのパキスタン領の灌漑や,計画中のニールム-ジェルム水力(注6)にマイナスの影響を与えるのだ。そこで,どちらのプロジェクトが先行するかで,水利権の行く手に影響が出る。真っ向からの対立である。
早くプロジェクトを実施した方に水利権を与える,と書いたのは,1960年に成立したインダス水条約IWT(注10)である。なぜその様に書いたのか,私はメコンの歴史を思い出す。ラオス,ベトナム,カンボジアが戦争に追われている間に,タイは急激な経済成長を遂げ,多くの水利権やインフラ建設を成し遂げた。そのことが,1990年初めのメコン委員会の文書作りで,結局事後承認,という形をとった。
1960年のインダス河は,誰がどの様に開発して行くか,資金も乏しく,先が見えなかったのだろう。どちらでも良いから早く経済成長を遂げて水資源開発を実施した方に権利を与える,これは中国の,裕福になれるなら早くなれるものからなれ,と言う考え方と同じだったと思う。それが今日の水紛争を生んでいるが,テロに関わる政治紛争を,水紛争で火に油,などという愚行に発展しないように,祈るのみ。
(注) (1) http://my.reset.jp/adachihayao/index081213B.htm,(2) Kuwait,(3) Saudi Arabia,(4) Abu Dhabi,(5) OPEC (Organization of the Petroleum Exporting Countries),(6) Neelum-Jhelum hydropower project,(7) Kishanganga hydropower project,(8) Indian-held Kashmir (IHK),(9) Ganges River,(10) Indus Water Treaty (IWT),(11) Jhelum river,(12) Union Ministry of Water Resources,(13) Line of Control (LoC),(14) Neelum valley,(15) Muzaffaraabd district,(16) Indian Home Minister P Chidambaram,(17) Baramulla district,(18) India’s Water Resources Minister Saifuddin Soz,(19) India-Pakistan Indus Commission,(20) Neelum tributary,(21) Jhelum River,(22) Bandipora district,(23) Wullar Lake,(24) run-of-the-river,(25) National Hydro-Electric Corporation,(26) Uri hydroelectric project,(33) http://my.reset.jp/~adachihayao/081227A01.htm
本文
●インドの閣議,キシャンガンガ水力,承認,パキスタン紙
インドとパキスタンの緊張が続く中,インダス河水系の水の問題でも紛争が続く。2008年12月13日付本HP(注1)にある通り,パックオブザーバーは,突如,中東諸国,クウエート(注2),サウジアラビア(注3),アブダビ(注4)及びOPEC(注5)が,大規模融資,775百万ドルを,パキスタンのインダス上流,国境未確定,パキスタン実質支配のアザドカシミール,ニールム川の水力プロジェクト(注6)への融資を発表している。
今日の報道はパキスタン側のもので,パキスタンのニールム川の水力プロジェクト(注6)の上流に位置するインドのキシャンガンガ水力プロジェクト(注7)に関するもの。この金曜日,2008年12月26日,インドは閣議を開いて,インド実行支配カシミールIHK(注8)のガンジス川(注9)に,330MWのシャンガンガ水力プロジェクト(注7)を承認した。(ガンジス川と言う表現に疑問あり,インダスではないか)
インダス水条約IWT(注10)によると,この地域の開発については,先にプロジェクトを完成した方が水の権利を有する,と書いてある。その意味については,私の解釈を後で開陳するが,とにかく,このインダス水系ジェルム川(注11)などについてはそう言う規定になっていて,パキスタンのニールム-ジェルム水力(注6)が先か,その上流のインドのキシャンガンガ水力プロジェクト(注7)が先か,先陣争いをしている。
パキスタンの水資源省(注12)は,パキスタンが,960MW,15億ドル,ニールム-ジェルム水力(注6)を中国企業に発注して,早期完成を目指している,と言っている。デリー側とイスラマバード側は,ここ数年,このダムの問題について,現在議論を中止している。パキスタン側の主張は,このインドのプロジェクトが,支配境界線LoC(注13)をまたぐニールム-ジェルム水力(注6)に影響を与えるだけではない,と言っている。
それは,ニールム渓谷(注14)とムザファラード地区(注15)の133,209ヘクタールの農地に影響を与える,と言っている。しかしインド側は,衛星写真を分析した結果,パキスタンは影響を誇張している,と主張している。閣議後,インドのチダムバラム内相(注16)は,キシャンガンガ水力プロジェクト(注7)は極めて重要で,パキスタンの反対があるが,閣議は決定を強行した,と言っている。
また,インダス水条約IWT(注10)の元で,水使用権でインドを有利にし,バラマムーラ地区(注17)の灌漑の能力を大きく向上する,と言っている。インドのソズ水資源相(注8)は,2008年8月に,インド・パキスタン・インダス委員会(注19)で農地の問題を話し合ったが,パキスタン側は10万ヘクタールに影響すると言っているが,我々は,影響が小さいと言うことを証明している,と言っている。
キシャンガンガ水力プロジェクト(注7)の計画では,ムザファラード地区(注15)近辺でジェルム川(注21)本流に合流する支流ニールム川(注20)の水を分水して,インド実行支配カシミールIHK(注8)領域内のバンディポーラ地区(注22)近辺のウラー湖(注23)に分流させる計画である。これにより,ウラー湖(注23)の水位を上げ,毎秒52トンの水を下流に流して,480MW,ウリ水力(注26)に便益を与えるものだ。
キシャンガンガ水力プロジェクト(注7)は計画変更されて,流れ込み方式(注24)で,出力は同じ330MWとなっている。工事費は,223.9億ルピアであったものが,364.2億ルピアに増大しているが,これは,厳しい流砂と,地質の悪さ及び支配境界線LoC(注13)に接近しているというリスクを考慮した結果という。工費節約の観点から,起業のNHPC(注25)は,12%地元卸をゼロとするよう,政府に申し入れた。
このNHPC(注25)の要求は受け入れられず,結局設計変更して,ダムの高さを,73mから37mに変更し,ダムの工事費を助けるだけでなく,上流のダードシナ部落が,閉じこめられないように,その部落の保護も考慮している。前回の記事では,このキシャンガンガ水力プロジェクト(注7)は60%進捗している,と書かれていたが,今回は触れられていない。
(注) (1) http://my.reset.jp/adachihayao/index081213B.htm,(2) Kuwait,(3) Saudi Arabia,(4) Abu Dhabi,(5) OPEC (Organization of the Petroleum Exporting Countries),(6) Neelum-Jhelum hydropower project,(7) Kishanganga hydropower project,(8) Indian-held Kashmir (IHK),(9) Ganges River,(10) Indus Water Treaty (IWT),(11) Jhelum river,(12) Union Ministry of Water Resources,(13) Line of Control (LoC),(14) Neelum valley,(15) Muzaffaraabd district,(16) Indian Home Minister P Chidambaram,(17) Baramulla district,(18) India’s Water Resources Minister Saifuddin Soz,(19) India-Pakistan Indus Commission,(20) Neelum tributary,(21) Jhelum River,(22) Bandipora district,(23) Wullar Lake,(24) run-of-the-river,(25) National Hydro-Electric Corporation,(26) Uri hydroelectric project,(33) http://my.reset.jp/~adachihayao/081227A01.htm
●中国,第3に規模の龍灘水力,運転開始へ,ロイター
中国は,金曜日,2008年12月26日,全国第3位の規模を持つ龍灘水力発電所(注27)の第1期工事を完了した,と新華社が報じた。この開発によって,過疎山岳地帯の中国西部から,エネルギー不足に悩む沿岸地域に,電力が送られる。この第1期工事は,単機出力700MWの機器7台を持ち,工事を2001年に開始して,2007年に最初の機器が運転開始した。後,第2期分2機の完成を待って,出力6,300MWとなる。
総工事費と全部の完成時期については,報道は触れていない。広西族自治区(注28)と近傍の貴州省を併せて,10町村の8万人以上が移住した。この発電所で,大唐電力(注29)は設備出力,80,000MWとなり,ライバルの華能電力(注30)を抜いてトップとなった。大唐電力(注29)の水力設備は,13,340MWで,主要電力起業5社の中で最大規模となった。
先日,単機出力700MWを26台持つ三峡発電所(注31)が完成したばかりである。第2の規模を誇るシルオドウ水力(注32)は,同じサイズのユニットを18台予定しており,2017年完成を目指している。中国は今,汚れた石炭火力への依存を減らして,出来るだけ水力を開発すべく懸命に戦っているが,環境専門家達は,地域への悪影響を懸念している。
(注)(27) Longtan hydropower station,(28) Guangxi region,(29) Datang Power,(30) Huaneng Group,(31) Three Gorges Power station,(32) Xiluodu hydropower,(33)
参考資料
インド
●081227A India, dailytimes
インドの閣議,キシャンガンガ水力,承認,パキスタン紙
Indian cabinet okays Kishanganga project
http://www.dailytimes.com.pk/default.asp?page=2008%5C12%5C27%5Cstory_27-12-2008_pg7_1
中国
●081227B China, uk.reuters.com
中国,第3に規模の龍灘水力,運転開始へ
China starts running 3rd largest hydropower station
http://uk.reuters.com/article/oilRpt/idUKPEK28002720081226
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
パキスタンのブット元首相が,橋本首相に対して,カラチ東方の大規模工業団地の建設を要請したり,北部地域への道路トンネル建設を要請してから既に10年が経つ。昨日,2008年12月27日,10万人の人々が,南部シンド州にある彼女の墓を取り囲んで,その一周忌を悼んだ。裸足で400キロ歩いて墓を訪れたという25歳の男性は足にできたマメを指さし,「受難したリーダーからの贈り物だ」,と語ったと言う。
ブット元首相が生存していれば,インド,パキスタンの情勢は変わっただろうか。政治情勢はどう転んだか分からないが,アジアでもパイオニアとして挑み,「アジアの隼」,の小説の冒頭の場面にもなったハブコ火力発電所の民営化にも熱心であった。おそらく,当時の欧米の支援を受けて,もう少し開発も進んでいたかも知れない。ザルダリ大統領は墓前で,「殺人者は彼女の理念を葬ることはできなかった」,と述べたという。
インドのシン首相が,三軍の長を呼んで会議を持った,という情報で,1万のパキスタン軍の精鋭が,西部から東部へ移動したという。ザルダリ大統領は,インドとの対立は政治で解決する,と明言しているが,一つ一つのトップ達の行動が,緊張感を煽っている。今度は,インドの閣議が,時も時,国境未確定のカシミールのインダス上流で,330MWのキシャンガンガ水力の推進を決定し,パキスタンを緊張させている。
今日の報道はパキスタン側のもので,パキスタンのニールム川の水力プロジェクト(注6)の上流に位置するインドのキシャンガンガ水力プロジェクト(注7)に関するもの。この金曜日,2008年12月26日,インドは閣議を開いて,インド実行支配カシミールIHK(注8)のガンジス川(注9)に,330MWのシャンガンガ水力プロジェクト(注7)を承認した。
キシャンガンガ水力プロジェクト(注7)の計画では,ムザファラード地区(注15)近辺でジェルム川(注21)本流に合流する支流ニールム川(注20)の水を分水して,インド実行支配カシミールIHK(注8)領域内のバンディポーラ地区(注22)近辺のウラー湖(注23)に分流させる計画である。これにより,ウラー湖(注23)の水位を上げ,毎秒52トンの水を下流に流して,480MW,ウリ水力(注26)に便益を与えるものだ。
何処がどうなっているのか,詳しい地図がないのでよく分からなかったので,あり合わせの地図でその状況を見てみたので,HP上の地図(注33)を見て欲しい。インド領内の分流計画が,支流ニールム川沿いのパキスタン領の灌漑や,計画中のニールム-ジェルム水力(注6)にマイナスの影響を与えるのだ。そこで,どちらのプロジェクトが先行するかで,水利権の行く手に影響が出る。真っ向からの対立である。
早くプロジェクトを実施した方に水利権を与える,と書いたのは,1960年に成立したインダス水条約IWT(注10)である。なぜその様に書いたのか,私はメコンの歴史を思い出す。ラオス,ベトナム,カンボジアが戦争に追われている間に,タイは急激な経済成長を遂げ,多くの水利権やインフラ建設を成し遂げた。そのことが,1990年初めのメコン委員会の文書作りで,結局事後承認,という形をとった。
1960年のインダス河は,誰がどの様に開発して行くか,資金も乏しく,先が見えなかったのだろう。どちらでも良いから早く経済成長を遂げて水資源開発を実施した方に権利を与える,これは中国の,裕福になれるなら早くなれるものからなれ,と言う考え方と同じだったと思う。それが今日の水紛争を生んでいるが,テロに関わる政治紛争を,水紛争で火に油,などという愚行に発展しないように,祈るのみ。
(注) (1) http://my.reset.jp/adachihayao/index081213B.htm,(2) Kuwait,(3) Saudi Arabia,(4) Abu Dhabi,(5) OPEC (Organization of the Petroleum Exporting Countries),(6) Neelum-Jhelum hydropower project,(7) Kishanganga hydropower project,(8) Indian-held Kashmir (IHK),(9) Ganges River,(10) Indus Water Treaty (IWT),(11) Jhelum river,(12) Union Ministry of Water Resources,(13) Line of Control (LoC),(14) Neelum valley,(15) Muzaffaraabd district,(16) Indian Home Minister P Chidambaram,(17) Baramulla district,(18) India’s Water Resources Minister Saifuddin Soz,(19) India-Pakistan Indus Commission,(20) Neelum tributary,(21) Jhelum River,(22) Bandipora district,(23) Wullar Lake,(24) run-of-the-river,(25) National Hydro-Electric Corporation,(26) Uri hydroelectric project,(33) http://my.reset.jp/~adachihayao/081227A01.htm
本文
●インドの閣議,キシャンガンガ水力,承認,パキスタン紙
インドとパキスタンの緊張が続く中,インダス河水系の水の問題でも紛争が続く。2008年12月13日付本HP(注1)にある通り,パックオブザーバーは,突如,中東諸国,クウエート(注2),サウジアラビア(注3),アブダビ(注4)及びOPEC(注5)が,大規模融資,775百万ドルを,パキスタンのインダス上流,国境未確定,パキスタン実質支配のアザドカシミール,ニールム川の水力プロジェクト(注6)への融資を発表している。
今日の報道はパキスタン側のもので,パキスタンのニールム川の水力プロジェクト(注6)の上流に位置するインドのキシャンガンガ水力プロジェクト(注7)に関するもの。この金曜日,2008年12月26日,インドは閣議を開いて,インド実行支配カシミールIHK(注8)のガンジス川(注9)に,330MWのシャンガンガ水力プロジェクト(注7)を承認した。(ガンジス川と言う表現に疑問あり,インダスではないか)
インダス水条約IWT(注10)によると,この地域の開発については,先にプロジェクトを完成した方が水の権利を有する,と書いてある。その意味については,私の解釈を後で開陳するが,とにかく,このインダス水系ジェルム川(注11)などについてはそう言う規定になっていて,パキスタンのニールム-ジェルム水力(注6)が先か,その上流のインドのキシャンガンガ水力プロジェクト(注7)が先か,先陣争いをしている。
パキスタンの水資源省(注12)は,パキスタンが,960MW,15億ドル,ニールム-ジェルム水力(注6)を中国企業に発注して,早期完成を目指している,と言っている。デリー側とイスラマバード側は,ここ数年,このダムの問題について,現在議論を中止している。パキスタン側の主張は,このインドのプロジェクトが,支配境界線LoC(注13)をまたぐニールム-ジェルム水力(注6)に影響を与えるだけではない,と言っている。
それは,ニールム渓谷(注14)とムザファラード地区(注15)の133,209ヘクタールの農地に影響を与える,と言っている。しかしインド側は,衛星写真を分析した結果,パキスタンは影響を誇張している,と主張している。閣議後,インドのチダムバラム内相(注16)は,キシャンガンガ水力プロジェクト(注7)は極めて重要で,パキスタンの反対があるが,閣議は決定を強行した,と言っている。
また,インダス水条約IWT(注10)の元で,水使用権でインドを有利にし,バラマムーラ地区(注17)の灌漑の能力を大きく向上する,と言っている。インドのソズ水資源相(注8)は,2008年8月に,インド・パキスタン・インダス委員会(注19)で農地の問題を話し合ったが,パキスタン側は10万ヘクタールに影響すると言っているが,我々は,影響が小さいと言うことを証明している,と言っている。
キシャンガンガ水力プロジェクト(注7)の計画では,ムザファラード地区(注15)近辺でジェルム川(注21)本流に合流する支流ニールム川(注20)の水を分水して,インド実行支配カシミールIHK(注8)領域内のバンディポーラ地区(注22)近辺のウラー湖(注23)に分流させる計画である。これにより,ウラー湖(注23)の水位を上げ,毎秒52トンの水を下流に流して,480MW,ウリ水力(注26)に便益を与えるものだ。
キシャンガンガ水力プロジェクト(注7)は計画変更されて,流れ込み方式(注24)で,出力は同じ330MWとなっている。工事費は,223.9億ルピアであったものが,364.2億ルピアに増大しているが,これは,厳しい流砂と,地質の悪さ及び支配境界線LoC(注13)に接近しているというリスクを考慮した結果という。工費節約の観点から,起業のNHPC(注25)は,12%地元卸をゼロとするよう,政府に申し入れた。
このNHPC(注25)の要求は受け入れられず,結局設計変更して,ダムの高さを,73mから37mに変更し,ダムの工事費を助けるだけでなく,上流のダードシナ部落が,閉じこめられないように,その部落の保護も考慮している。前回の記事では,このキシャンガンガ水力プロジェクト(注7)は60%進捗している,と書かれていたが,今回は触れられていない。
(注) (1) http://my.reset.jp/adachihayao/index081213B.htm,(2) Kuwait,(3) Saudi Arabia,(4) Abu Dhabi,(5) OPEC (Organization of the Petroleum Exporting Countries),(6) Neelum-Jhelum hydropower project,(7) Kishanganga hydropower project,(8) Indian-held Kashmir (IHK),(9) Ganges River,(10) Indus Water Treaty (IWT),(11) Jhelum river,(12) Union Ministry of Water Resources,(13) Line of Control (LoC),(14) Neelum valley,(15) Muzaffaraabd district,(16) Indian Home Minister P Chidambaram,(17) Baramulla district,(18) India’s Water Resources Minister Saifuddin Soz,(19) India-Pakistan Indus Commission,(20) Neelum tributary,(21) Jhelum River,(22) Bandipora district,(23) Wullar Lake,(24) run-of-the-river,(25) National Hydro-Electric Corporation,(26) Uri hydroelectric project,(33) http://my.reset.jp/~adachihayao/081227A01.htm
●中国,第3に規模の龍灘水力,運転開始へ,ロイター
中国は,金曜日,2008年12月26日,全国第3位の規模を持つ龍灘水力発電所(注27)の第1期工事を完了した,と新華社が報じた。この開発によって,過疎山岳地帯の中国西部から,エネルギー不足に悩む沿岸地域に,電力が送られる。この第1期工事は,単機出力700MWの機器7台を持ち,工事を2001年に開始して,2007年に最初の機器が運転開始した。後,第2期分2機の完成を待って,出力6,300MWとなる。
総工事費と全部の完成時期については,報道は触れていない。広西族自治区(注28)と近傍の貴州省を併せて,10町村の8万人以上が移住した。この発電所で,大唐電力(注29)は設備出力,80,000MWとなり,ライバルの華能電力(注30)を抜いてトップとなった。大唐電力(注29)の水力設備は,13,340MWで,主要電力起業5社の中で最大規模となった。
先日,単機出力700MWを26台持つ三峡発電所(注31)が完成したばかりである。第2の規模を誇るシルオドウ水力(注32)は,同じサイズのユニットを18台予定しており,2017年完成を目指している。中国は今,汚れた石炭火力への依存を減らして,出来るだけ水力を開発すべく懸命に戦っているが,環境専門家達は,地域への悪影響を懸念している。
(注)(27) Longtan hydropower station,(28) Guangxi region,(29) Datang Power,(30) Huaneng Group,(31) Three Gorges Power station,(32) Xiluodu hydropower,(33)
参考資料
インド
●081227A India, dailytimes
インドの閣議,キシャンガンガ水力,承認,パキスタン紙
Indian cabinet okays Kishanganga project
http://www.dailytimes.com.pk/default.asp?page=2008%5C12%5C27%5Cstory_27-12-2008_pg7_1
中国
●081227B China, uk.reuters.com
中国,第3に規模の龍灘水力,運転開始へ
China starts running 3rd largest hydropower station
http://uk.reuters.com/article/oilRpt/idUKPEK28002720081226
2008年12月27日土曜日
インド国家電網に世界銀行ローン
HPは下記ドメインです。写真地図など見て下さい。
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
インドとパキスタンが再び緊張,と伝えているのは,今日,2008年12月17日11時12分の読売新聞速報である。ムンバイテロ事件以降,パキスタンのラホールの爆弾事件でインド人が拘束されており,12月26日,インドのシン首相が三軍の長を集めて会議を持った,と言う情報が流れた。これを切っ掛けに,パキスタン側が緊張し,兵員約1万人がアフガニスタン国境付近から東部のインド国境へ向け移動し始めた,と。
まさに両国の関係は,ことある毎に,一触即発の危機に直面する。何と言っても過去に,北部カシミールで戦闘をした経験があるだけに,容易に燃え始めるところが怖い。インドは既に,パキスタンへの渡航危険情報を流している。ブッシュ大統領が死に体だけに,仲介者を欠いた状況である。つい先日まで,ムンバイテロ事件までは,イランからパキスタンを通ってインドへのガスパイプラインが,議論されていたのに。
地図を見れば分かるが,ニューデリーとパキスタンの国境の都市ラホールとは,インダス平野の中,僅かに400kmの距離である。それでも戦いは必ずカシミールの山の中で行われている,それは勿論,紛争の原因の国境線上で行われているわけで,今回のような国境線以外の問題で紛争になると,このような平野の中での対立が起こって,また別の形の戦争になるのだろう。核の問題も出てくる。
2008年12月6日付本HP(注20)で,テロの脅威でインドの電力が随分緊張している,と言う話を書いた。インドの送電網は,PGCIL(注13)が運用しており,その全長は,61,875kmである。現時点では,南地域を除いて,5地域が連携している。送電網の破壊は,送電事業にとって最悪のシナリオである。もしその様なことが起これば,それから電力を受けている州は,全停電になってしまうであろう。
PGCIL(注13)は,2012年までの第11次五カ年計画(注15)で,複数のプロジェクトに5,500億ルピー近い額を投入するものと期待されている。このプロジェクトの中には,地域間の電力融通容量,現在の,17,000MWから2012年までに,37,000MW以上に拡大する計画も含まれている。また,PGCIL(注13)は,地方電化公社REC(注16)や他の関連機関と協力して,政府の地方電化計画を推進する。
インドの送電網は,テーマーとしてすごく面白い分野だ。今まで出てきた,知的送電網,再生可能エネルギー集約,超高圧直流長距離送電網,などのテーマーはすべてインドの送電線問題に当てはまる。インドを中心,今日遂に火力の建設に踏み切ったネパール,水力の宝庫ブータン,更にはスリランカ,それに加えて,パキスタン問題が進展して,パキスタン,バングラデシュを巻き込んだ一大送電線論議が起こるのはいつの日か。
(注) (13) State-owned transmission monopoly Power Grid Corporation of India (PGCIL),(14) “absorptive capacity” of the navratna company,(15) 11th five-year plan ending in 2012,(16) Rural Electrification Corporation,(17) World Bank,(18) International Bank for Reconstruction and Development,(19) India Infrastructure Finance Company,(20) http://my.reset.jp/adachihayao/index081206B.htm,(21)
本文
●ネパール,200MW,火力発電所にゴーサイン
停電に悩むネパール,遂に水力の早期の運転に見切りを付けて,火力建設に踏み切ったようだ。賢明な措置だろう。この水曜日,2008年12月24日,閣議は,年間50億ルピー以上の出費を覚悟して,200MWの火力発電所の建設を決定した。この火力発電所は,日8時間,年240日間運転する計画である。閣議は,エネルギー危機に対処するための,短期,中期,長期に亘る国家計画(注1)を決定した。
国家計画(注1)の決定に当たって,水資源省MOWR(注2)の高官は,長引く強制停電が,経済に打撃を与え,更に和平プロセスにも影響してきた,と語っている。閣議決定によると,火力発電所の建設は,ネパール電力庁NEA(注3)かいずれかの民間企業でも良い,と言うことで,建設を決定した企業には,96億ルピーの無償資金が振り向けられる。
政府は,この建設費の上に更に燃料費が必要となる。閣議の36項目の決定事項の中には,国家エネルギー危機(注4)の宣言と,NEA(注3)の機構改革が含まれている。また,この2年間のうちに運転開始する水力発電プロジェクトに対しては,10年間の所得税が課税される。更に,この電力計画の中には,ヒートウダ(注5)-バルディバス(注6)間,及びマルシャンディ(注7)-カトマンズ(注8)間の送電線建設が含まれる。
この火力発電所の推進に当たっては,1年間で準備を終えるために,環境影響評価EIA(注9)など森林省(注10)とその関連機関の審査が省略される。その代わり,時間と資源が節約できる予備的環境評価IEA(注11)が課される。エネルギーを節約するために,官庁は週5日制とし,とし農村ともCFL電球(注12)の使用運動が進められる。また,省エネのための組織も新設される。
燃料は石油にならざるを得ないのであろう。インドとの摩擦から,自動車の燃料不足で悩んだ時期もあったが,今は両国の関係は良く,とりあえず火力で緊急事態を凌ぐ,と言う選択は賢明と思う。ただ,カンボジアのように小規模のディーゼルを増設,増設して行くと,電気料金が高くなるので,ここは思い切って200MWとしたことは良く,おそらく重油炊きとなるのか。
(注) (1) "National Energy Crisis Reconciliation Working Plan 2065",(2) Ministry of Water Resources (MoWR),(3) Nepal Electricity Authority,(4) 'National Energy Crisis',(5) Heatuda,(6) Bardibas,(7) Marshyangdi,(8) Kathmandu,(9) Environment Impact Assessment (EIA),(10) Ministry of Forest,(11) Initial Environment Assessment (IEA),(12) CFL lamps,(13)
●インド国家送電網,世界銀行30億ドルローンの一部割り振りへ
国有送電公社PGCIL(注13)は,世界銀行(注17)が,2009年7月までに供与する30億ドルローンの一部を割り当てられる模様である。その資金は,全土の送電網拡張に使用される。この先5年内に8,000万世帯に電気を供給する目標を持つ政府は,この資金で,送電線を新設することを考えている。政府高官は,この資金は,拡大路線で,予算を吸収することの出来る優良企業(注14),と言う言い方をしている。
PGCIL(注13)は,2012年までの第11次五カ年計画(注15)で,複数のプロジェクトに5,500億ルピー近い額を投入するものと期待されている。このプロジェクトの中には,地域間の電力融通容量,現在の,17,000MWから2012年までに,37,000MW以上に拡大する計画も含まれている。また,PGCIL(注13)は,地方電化公社REC(注16)や他の関連機関と協力して,政府の地方電化計画を推進する。
最近,通信分野にも乗り出して経営の多様化を進めているPGCIL(注13)は,かって世界銀行(注17)のローンを受けたことがある。また政府高官筋は,この世界銀行(注17)のローンは,この世界金融崩壊の中で,資金調達に苦しむ多くのインフラプロジェクトにとって,大いに助けになる,としている。また,電力供給にとって,経済成長を助けるために,適切な料金で供給することが重要である。
世界銀行(注17)グループの事業体,国際復興開発銀行(注18)のローンは,返済が長期で低い利子率である。残りのローンは,インドインフラ融資公社(注19)に供与して,資本設備の輸入企業に振り向けられる。インド政府は,この,2008~2009年の2年間に亘って,世界銀行(注17)から,その2倍の60億ドルの借り入れを行うことになる。
(注) (13) State-owned transmission monopoly Power Grid Corporation of India (PGCIL),(14) “absorptive capacity” of the navratna company,(15) 11th five-year plan ending in 2012,(16) Rural Electrification Corporation,(17) World Bank,(18) International Bank for Reconstruction and Development,(19) India Infrastructure Finance Company,(20) http://my.reset.jp/adachihayao/index081206B.htm,(21)
参考資料
ネパール
●081226A Nepal, kantipuronline
ネパール,200MW,火力発電所にゴーサイン
Green light to thermal plant blueprint
http://www.kantipuronline.com/kolnews.php?&nid=171981
インド
●081226B India, Economic Times
インド国家送電網,世界銀行から30億ドルローン
PGCIL to get a pie of World Bank loan
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/PGCIL_to_get_a_pie_of_World_Bank_loan/articleshow/3892835.cms
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
インドとパキスタンが再び緊張,と伝えているのは,今日,2008年12月17日11時12分の読売新聞速報である。ムンバイテロ事件以降,パキスタンのラホールの爆弾事件でインド人が拘束されており,12月26日,インドのシン首相が三軍の長を集めて会議を持った,と言う情報が流れた。これを切っ掛けに,パキスタン側が緊張し,兵員約1万人がアフガニスタン国境付近から東部のインド国境へ向け移動し始めた,と。
まさに両国の関係は,ことある毎に,一触即発の危機に直面する。何と言っても過去に,北部カシミールで戦闘をした経験があるだけに,容易に燃え始めるところが怖い。インドは既に,パキスタンへの渡航危険情報を流している。ブッシュ大統領が死に体だけに,仲介者を欠いた状況である。つい先日まで,ムンバイテロ事件までは,イランからパキスタンを通ってインドへのガスパイプラインが,議論されていたのに。
地図を見れば分かるが,ニューデリーとパキスタンの国境の都市ラホールとは,インダス平野の中,僅かに400kmの距離である。それでも戦いは必ずカシミールの山の中で行われている,それは勿論,紛争の原因の国境線上で行われているわけで,今回のような国境線以外の問題で紛争になると,このような平野の中での対立が起こって,また別の形の戦争になるのだろう。核の問題も出てくる。
2008年12月6日付本HP(注20)で,テロの脅威でインドの電力が随分緊張している,と言う話を書いた。インドの送電網は,PGCIL(注13)が運用しており,その全長は,61,875kmである。現時点では,南地域を除いて,5地域が連携している。送電網の破壊は,送電事業にとって最悪のシナリオである。もしその様なことが起これば,それから電力を受けている州は,全停電になってしまうであろう。
PGCIL(注13)は,2012年までの第11次五カ年計画(注15)で,複数のプロジェクトに5,500億ルピー近い額を投入するものと期待されている。このプロジェクトの中には,地域間の電力融通容量,現在の,17,000MWから2012年までに,37,000MW以上に拡大する計画も含まれている。また,PGCIL(注13)は,地方電化公社REC(注16)や他の関連機関と協力して,政府の地方電化計画を推進する。
インドの送電網は,テーマーとしてすごく面白い分野だ。今まで出てきた,知的送電網,再生可能エネルギー集約,超高圧直流長距離送電網,などのテーマーはすべてインドの送電線問題に当てはまる。インドを中心,今日遂に火力の建設に踏み切ったネパール,水力の宝庫ブータン,更にはスリランカ,それに加えて,パキスタン問題が進展して,パキスタン,バングラデシュを巻き込んだ一大送電線論議が起こるのはいつの日か。
(注) (13) State-owned transmission monopoly Power Grid Corporation of India (PGCIL),(14) “absorptive capacity” of the navratna company,(15) 11th five-year plan ending in 2012,(16) Rural Electrification Corporation,(17) World Bank,(18) International Bank for Reconstruction and Development,(19) India Infrastructure Finance Company,(20) http://my.reset.jp/adachihayao/index081206B.htm,(21)
本文
●ネパール,200MW,火力発電所にゴーサイン
停電に悩むネパール,遂に水力の早期の運転に見切りを付けて,火力建設に踏み切ったようだ。賢明な措置だろう。この水曜日,2008年12月24日,閣議は,年間50億ルピー以上の出費を覚悟して,200MWの火力発電所の建設を決定した。この火力発電所は,日8時間,年240日間運転する計画である。閣議は,エネルギー危機に対処するための,短期,中期,長期に亘る国家計画(注1)を決定した。
国家計画(注1)の決定に当たって,水資源省MOWR(注2)の高官は,長引く強制停電が,経済に打撃を与え,更に和平プロセスにも影響してきた,と語っている。閣議決定によると,火力発電所の建設は,ネパール電力庁NEA(注3)かいずれかの民間企業でも良い,と言うことで,建設を決定した企業には,96億ルピーの無償資金が振り向けられる。
政府は,この建設費の上に更に燃料費が必要となる。閣議の36項目の決定事項の中には,国家エネルギー危機(注4)の宣言と,NEA(注3)の機構改革が含まれている。また,この2年間のうちに運転開始する水力発電プロジェクトに対しては,10年間の所得税が課税される。更に,この電力計画の中には,ヒートウダ(注5)-バルディバス(注6)間,及びマルシャンディ(注7)-カトマンズ(注8)間の送電線建設が含まれる。
この火力発電所の推進に当たっては,1年間で準備を終えるために,環境影響評価EIA(注9)など森林省(注10)とその関連機関の審査が省略される。その代わり,時間と資源が節約できる予備的環境評価IEA(注11)が課される。エネルギーを節約するために,官庁は週5日制とし,とし農村ともCFL電球(注12)の使用運動が進められる。また,省エネのための組織も新設される。
燃料は石油にならざるを得ないのであろう。インドとの摩擦から,自動車の燃料不足で悩んだ時期もあったが,今は両国の関係は良く,とりあえず火力で緊急事態を凌ぐ,と言う選択は賢明と思う。ただ,カンボジアのように小規模のディーゼルを増設,増設して行くと,電気料金が高くなるので,ここは思い切って200MWとしたことは良く,おそらく重油炊きとなるのか。
(注) (1) "National Energy Crisis Reconciliation Working Plan 2065",(2) Ministry of Water Resources (MoWR),(3) Nepal Electricity Authority,(4) 'National Energy Crisis',(5) Heatuda,(6) Bardibas,(7) Marshyangdi,(8) Kathmandu,(9) Environment Impact Assessment (EIA),(10) Ministry of Forest,(11) Initial Environment Assessment (IEA),(12) CFL lamps,(13)
●インド国家送電網,世界銀行30億ドルローンの一部割り振りへ
国有送電公社PGCIL(注13)は,世界銀行(注17)が,2009年7月までに供与する30億ドルローンの一部を割り当てられる模様である。その資金は,全土の送電網拡張に使用される。この先5年内に8,000万世帯に電気を供給する目標を持つ政府は,この資金で,送電線を新設することを考えている。政府高官は,この資金は,拡大路線で,予算を吸収することの出来る優良企業(注14),と言う言い方をしている。
PGCIL(注13)は,2012年までの第11次五カ年計画(注15)で,複数のプロジェクトに5,500億ルピー近い額を投入するものと期待されている。このプロジェクトの中には,地域間の電力融通容量,現在の,17,000MWから2012年までに,37,000MW以上に拡大する計画も含まれている。また,PGCIL(注13)は,地方電化公社REC(注16)や他の関連機関と協力して,政府の地方電化計画を推進する。
最近,通信分野にも乗り出して経営の多様化を進めているPGCIL(注13)は,かって世界銀行(注17)のローンを受けたことがある。また政府高官筋は,この世界銀行(注17)のローンは,この世界金融崩壊の中で,資金調達に苦しむ多くのインフラプロジェクトにとって,大いに助けになる,としている。また,電力供給にとって,経済成長を助けるために,適切な料金で供給することが重要である。
世界銀行(注17)グループの事業体,国際復興開発銀行(注18)のローンは,返済が長期で低い利子率である。残りのローンは,インドインフラ融資公社(注19)に供与して,資本設備の輸入企業に振り向けられる。インド政府は,この,2008~2009年の2年間に亘って,世界銀行(注17)から,その2倍の60億ドルの借り入れを行うことになる。
(注) (13) State-owned transmission monopoly Power Grid Corporation of India (PGCIL),(14) “absorptive capacity” of the navratna company,(15) 11th five-year plan ending in 2012,(16) Rural Electrification Corporation,(17) World Bank,(18) International Bank for Reconstruction and Development,(19) India Infrastructure Finance Company,(20) http://my.reset.jp/adachihayao/index081206B.htm,(21)
参考資料
ネパール
●081226A Nepal, kantipuronline
ネパール,200MW,火力発電所にゴーサイン
Green light to thermal plant blueprint
http://www.kantipuronline.com/kolnews.php?&nid=171981
インド
●081226B India, Economic Times
インド国家送電網,世界銀行から30億ドルローン
PGCIL to get a pie of World Bank loan
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/PGCIL_to_get_a_pie_of_World_Bank_loan/articleshow/3892835.cms
2008年12月26日金曜日
アルナチャルプラデシュの開発機運
HPは下記ドメインです。写真地図など見て下さい。
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
インド北東部の山岳地帯,インド北辺水力,人類最後の戦いの最前線,未確定国境で中国との摩擦を抱えたその北辺,行ったことはないが,何となく夢があり,一度は具に見てみたい,その様なイメージで眺めているアルンチャルプラデシュ州(注1)である。2008年早々には,JBIC,Jパワーなどの調査団が入ったと聞いている。いつか話を聞いてみたいものだ。今日は現地紙が,2008年を振り返っている。
アルンチャルプラデシュ州(注1)は,安全に問題もあるが観光地であり,ブラマプトラ河(注2)の大支流が入って,渓谷美をなしている,と想像している。州都はやや南西の縁に位置するイタナガール(注3)である。州の総面積は,83,743平方km,人口は,2001年推定で1.091百万人。主要河川は,シアン(注4),ティラップ(注5),ロヒト(注6),スバンシリ(注7),バレリ(注8),いずれもブラマプトラ河(注2)の支流である。
グーグルアースや写真など,じっくりと見てみたが,いずれの場合もそうだが,地図だけ見ていると大変な山岳地帯で恐ろしいところに見えるが,全く平和な,のどかな山間地帯の風景である。こういうところでじっくりと腰を据えて,水力発電所を計画してみたい,と言う気にさせる。ただ,州都イタナガール(注3)の写真を見ると,州都とは言え,なかなか大変そう。
この地は,中国との国境紛争の最前線である。今,シン首相(注11)が2,000億ルピーをひっさげて州都を訪問し,州の開発に火を付けてことは,これは中国を意識しての話である。少なくとも国際的な地図の上では,中国との間の未確定地帯となっている。インド西部の国境は完全に中国軍に抑えられてしまったが,この東部の地域は,中国軍が静かに引き上げていった地域だ。水力開発で,戦車に変わってブルドーザーが来る。
アルンチャルプラデシュ州(注1)は,インドにとって未来の発電所,と称されているが,その包蔵水力は,50,000MWとされているが,今回,開発へ大きな一歩を踏み出している。この10年間の計画で,で民間企業による開発が,4,200MW,中央公社企業によるものが,10,230MWに達している。これらの開発を通じて,アルンチャルプラデシュ州(注1)は無料電力を得ることが出来る。またこの電源で産業育成が可能になる。
58億ルピーに上る地方電化は,ラジブガンディ(注15)のもと,殆どの村落が電化される。食糧供給の拠点整備も行われる。一方で拉致事件も頻発しており,治安の問題が重要で,一層の中央政府の協力が約束されている。このHPでも,東のヒマチャルは相当話題となっていたが,この東の山岳州についても,私の関心は高く,出来るだけ拾っていきたいと思っている。HP(注21)で写真など見てください。
(注) (1) Arunachal Pradesh,(2) Bramaputra river, (3) Itanagar,(4) Siang,(5) Tirap,(6) Lohit,(7) Subansiri,(8) Bhareli,(9) saga,(10) Chief Minister Dorjee Khandu,(11) Prime Minister Dr Manmohan Singh,(12) Tawang,(13) Mahadevpur,(14) Trans-Arunachal Highway project,(15) Rajiv Gandhi Gramin Vidyutkaran Yojana,(21) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081225.htm
本文
●インド,アルンチャルプラデッシュ,2008年,水力や国境など
インド北東部の山岳地帯,インド北辺水力,人類最後の戦いの最前線,未確定国境を抱えた中国との摩擦を抱えたその北辺,行ったことはないが,何となく夢があり,一度は具に見てみたい,その様なイメージで眺めているアルンチャルプラデシュ州(注1)である。2008年早々には,JBIC,Jパワーなどの調査団が入ったと聞いている。いつか話を聞いてみたいものだ。今日は現地紙が,2008年を振り返っている。
アルンチャルプラデシュ州(注1)は,安全に問題もあるが観光地であり,ブラマプトラ河(注2)の大支流が入って,渓谷美をなしている,と想像している。州都はやや南西の縁に位置するイタナガール(注3)である。州の総面積は,83,743平方km,人口は,2001年推定で1.091百万人。主要河川は,シアン(注4),ティラップ(注5),ロヒト(注6),スバンシリ(注7),バレリ(注8),いずれもブラマプトラ河(注2)の支流である。
記事は主要な関心事だけ拾ってみる。タイトルは,「アルンチャルの武勇伝20008」,とでも訳すのだろうか,サガ(注9)というのは,冒険談,英雄伝,などと訳されている。2008年の主要な出来事の中で関心をそそるのは,電力セクターの活況,多くの開発事業,中国との国境騒動,などである。州政府カンドウ首相(注10)の指導力で始まった開発への大きな一歩を踏み出した。
2008年1月には,中央政府の首相として初めてアルンチャルプラデシュ州(注1)訪問,シン首相(注11)が2,000億ルピーをひっさげて来訪し,州の開発に火を付けてことは,大きな出来事だった。その提案の中には,タワン(注12)からマハデブプール(注13)を結ぶ1,840kmの,アルンチャル縦断ハイウエー(注14),550億ルピーのプロジェクトが含まれており,中央政府としても国家プロジェクトである。
シン首相(注11)は多くの分野のプロジェクト開発の約束をしたが,州都イタナガール(注3)への4レーン高速道路も含まれている。観光のためのホテル,ヘリコプーター便,国境付近のイルミネーション,教育,大学拡充,水供給システム,その他があるが,中央政府の意志は,中国との国境問題や国境付近のダム開発を意識していることが窺われる。ロシア,タイ,南米諸国,チェコスロバキアなどの投資資本が出てきている。
アルンチャルプラデシュ州(注1)は,インドにとって未来の発電所,と称されているが,その包蔵水力は,50,000MWとされているが,今回,開発へ大きな一歩を踏み出している。この10年間で民間企業による開発が,4,200MW,中央公社企業によるものが,10,230MWに達している。これらの開発を通じて,アルンチャルプラデシュ州(注1)は無料電力を得ることが出来る。またこの電源で産業育成が可能になる。
58億ルピーに上る地方電化は,ラジブガンディ(注15)のもと,殆どの村落が電化される。食糧供給の拠点整備も行われる。一方で拉致事件も頻発しており,治安の問題が重要で,一層の中央政府の協力が約束されている。このHPでも,東のヒマチャルは相当話題となっていたが,この東の山岳州についても,私の関心は高く,出来るだけ拾っていきたいと思っている。
(注) (1) Arunachal Pradesh,(2) Bramaputra river, (3) Itanagar,(4) Siang,(5) Tirap,(6) Lohit,(7) Subansiri,(8) Bhareli,(9) saga,(10) Chief Minister Dorjee Khandu,(11) Prime Minister Dr Manmohan Singh,(12) Tawang,(13) Mahadevpur,(14) Trans-Arunachal Highway project,(15) Rajiv Gandhi Gramin Vidyutkaran Yojana,(16)
●インドネシア,プルタミナ,補助金2兆ルピアを期待
プルタミナ(注16)は,来年,2009年,補助金による燃料供給で,2兆ルピア,約166百万ドル,が失われる可能性がある,と報じられている。この損失は,「アルファパーセント」(注17)と言われる,所謂,供給原価と利潤の差を意味するもので,これは政府によって8%と規定され,その時の仮定は,原油価格がバレル50ドル,為替レートがルピア対ドル11,000,である。語っているのは,スマルノ総裁(注18)である。
プルタミナ(注16)は,財務省(注19)と国営企業省(注20)に対して,「アルファパーセント」(注17)を,最低の限界となる12.5%とするよう要求している。2008年は,原油が数ヶ月間高騰してバレル100ドルを超していたので,プルタミナ(注16)の供給ビジネスの利潤は,4兆ルピアに達していた。政府は,これ以上は補助金を行わないが,国内で販売する質の悪い石油で,巨額の利潤を得ている。
(注) (16) State-owned oil company, PT Pertamina,(17) "alpha percentage",(18) Pertamina president director Ari Soemarno,(19) Finance Ministry,(20) State Ministry for State Enterprises,(21)
参考資料
インド
●081225A India, .sakaaltimes
インド,アルンチャルプラデッシュ,2008年,水力や国境など
2008 A saga of development in Arunachal
http://www.sakaaltimes.com/2008/12/24130055/2008-A-saga-of-development-in.html
インドネシア
●081225B Indonesia, The Jakarta Post
インドネシア,プルタミナ,補助金2兆ルピアを期待
Pertamina expects fuel subsidies to cost Rp 2t next year
http://www.thejakartapost.com/news/2008/12/24/pertamina-expects-fuel-subsidies-cost-rp-2t-next-year.html
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
インド北東部の山岳地帯,インド北辺水力,人類最後の戦いの最前線,未確定国境で中国との摩擦を抱えたその北辺,行ったことはないが,何となく夢があり,一度は具に見てみたい,その様なイメージで眺めているアルンチャルプラデシュ州(注1)である。2008年早々には,JBIC,Jパワーなどの調査団が入ったと聞いている。いつか話を聞いてみたいものだ。今日は現地紙が,2008年を振り返っている。
アルンチャルプラデシュ州(注1)は,安全に問題もあるが観光地であり,ブラマプトラ河(注2)の大支流が入って,渓谷美をなしている,と想像している。州都はやや南西の縁に位置するイタナガール(注3)である。州の総面積は,83,743平方km,人口は,2001年推定で1.091百万人。主要河川は,シアン(注4),ティラップ(注5),ロヒト(注6),スバンシリ(注7),バレリ(注8),いずれもブラマプトラ河(注2)の支流である。
グーグルアースや写真など,じっくりと見てみたが,いずれの場合もそうだが,地図だけ見ていると大変な山岳地帯で恐ろしいところに見えるが,全く平和な,のどかな山間地帯の風景である。こういうところでじっくりと腰を据えて,水力発電所を計画してみたい,と言う気にさせる。ただ,州都イタナガール(注3)の写真を見ると,州都とは言え,なかなか大変そう。
この地は,中国との国境紛争の最前線である。今,シン首相(注11)が2,000億ルピーをひっさげて州都を訪問し,州の開発に火を付けてことは,これは中国を意識しての話である。少なくとも国際的な地図の上では,中国との間の未確定地帯となっている。インド西部の国境は完全に中国軍に抑えられてしまったが,この東部の地域は,中国軍が静かに引き上げていった地域だ。水力開発で,戦車に変わってブルドーザーが来る。
アルンチャルプラデシュ州(注1)は,インドにとって未来の発電所,と称されているが,その包蔵水力は,50,000MWとされているが,今回,開発へ大きな一歩を踏み出している。この10年間の計画で,で民間企業による開発が,4,200MW,中央公社企業によるものが,10,230MWに達している。これらの開発を通じて,アルンチャルプラデシュ州(注1)は無料電力を得ることが出来る。またこの電源で産業育成が可能になる。
58億ルピーに上る地方電化は,ラジブガンディ(注15)のもと,殆どの村落が電化される。食糧供給の拠点整備も行われる。一方で拉致事件も頻発しており,治安の問題が重要で,一層の中央政府の協力が約束されている。このHPでも,東のヒマチャルは相当話題となっていたが,この東の山岳州についても,私の関心は高く,出来るだけ拾っていきたいと思っている。HP(注21)で写真など見てください。
(注) (1) Arunachal Pradesh,(2) Bramaputra river, (3) Itanagar,(4) Siang,(5) Tirap,(6) Lohit,(7) Subansiri,(8) Bhareli,(9) saga,(10) Chief Minister Dorjee Khandu,(11) Prime Minister Dr Manmohan Singh,(12) Tawang,(13) Mahadevpur,(14) Trans-Arunachal Highway project,(15) Rajiv Gandhi Gramin Vidyutkaran Yojana,(21) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081225.htm
本文
●インド,アルンチャルプラデッシュ,2008年,水力や国境など
インド北東部の山岳地帯,インド北辺水力,人類最後の戦いの最前線,未確定国境を抱えた中国との摩擦を抱えたその北辺,行ったことはないが,何となく夢があり,一度は具に見てみたい,その様なイメージで眺めているアルンチャルプラデシュ州(注1)である。2008年早々には,JBIC,Jパワーなどの調査団が入ったと聞いている。いつか話を聞いてみたいものだ。今日は現地紙が,2008年を振り返っている。
アルンチャルプラデシュ州(注1)は,安全に問題もあるが観光地であり,ブラマプトラ河(注2)の大支流が入って,渓谷美をなしている,と想像している。州都はやや南西の縁に位置するイタナガール(注3)である。州の総面積は,83,743平方km,人口は,2001年推定で1.091百万人。主要河川は,シアン(注4),ティラップ(注5),ロヒト(注6),スバンシリ(注7),バレリ(注8),いずれもブラマプトラ河(注2)の支流である。
記事は主要な関心事だけ拾ってみる。タイトルは,「アルンチャルの武勇伝20008」,とでも訳すのだろうか,サガ(注9)というのは,冒険談,英雄伝,などと訳されている。2008年の主要な出来事の中で関心をそそるのは,電力セクターの活況,多くの開発事業,中国との国境騒動,などである。州政府カンドウ首相(注10)の指導力で始まった開発への大きな一歩を踏み出した。
2008年1月には,中央政府の首相として初めてアルンチャルプラデシュ州(注1)訪問,シン首相(注11)が2,000億ルピーをひっさげて来訪し,州の開発に火を付けてことは,大きな出来事だった。その提案の中には,タワン(注12)からマハデブプール(注13)を結ぶ1,840kmの,アルンチャル縦断ハイウエー(注14),550億ルピーのプロジェクトが含まれており,中央政府としても国家プロジェクトである。
シン首相(注11)は多くの分野のプロジェクト開発の約束をしたが,州都イタナガール(注3)への4レーン高速道路も含まれている。観光のためのホテル,ヘリコプーター便,国境付近のイルミネーション,教育,大学拡充,水供給システム,その他があるが,中央政府の意志は,中国との国境問題や国境付近のダム開発を意識していることが窺われる。ロシア,タイ,南米諸国,チェコスロバキアなどの投資資本が出てきている。
アルンチャルプラデシュ州(注1)は,インドにとって未来の発電所,と称されているが,その包蔵水力は,50,000MWとされているが,今回,開発へ大きな一歩を踏み出している。この10年間で民間企業による開発が,4,200MW,中央公社企業によるものが,10,230MWに達している。これらの開発を通じて,アルンチャルプラデシュ州(注1)は無料電力を得ることが出来る。またこの電源で産業育成が可能になる。
58億ルピーに上る地方電化は,ラジブガンディ(注15)のもと,殆どの村落が電化される。食糧供給の拠点整備も行われる。一方で拉致事件も頻発しており,治安の問題が重要で,一層の中央政府の協力が約束されている。このHPでも,東のヒマチャルは相当話題となっていたが,この東の山岳州についても,私の関心は高く,出来るだけ拾っていきたいと思っている。
(注) (1) Arunachal Pradesh,(2) Bramaputra river, (3) Itanagar,(4) Siang,(5) Tirap,(6) Lohit,(7) Subansiri,(8) Bhareli,(9) saga,(10) Chief Minister Dorjee Khandu,(11) Prime Minister Dr Manmohan Singh,(12) Tawang,(13) Mahadevpur,(14) Trans-Arunachal Highway project,(15) Rajiv Gandhi Gramin Vidyutkaran Yojana,(16)
●インドネシア,プルタミナ,補助金2兆ルピアを期待
プルタミナ(注16)は,来年,2009年,補助金による燃料供給で,2兆ルピア,約166百万ドル,が失われる可能性がある,と報じられている。この損失は,「アルファパーセント」(注17)と言われる,所謂,供給原価と利潤の差を意味するもので,これは政府によって8%と規定され,その時の仮定は,原油価格がバレル50ドル,為替レートがルピア対ドル11,000,である。語っているのは,スマルノ総裁(注18)である。
プルタミナ(注16)は,財務省(注19)と国営企業省(注20)に対して,「アルファパーセント」(注17)を,最低の限界となる12.5%とするよう要求している。2008年は,原油が数ヶ月間高騰してバレル100ドルを超していたので,プルタミナ(注16)の供給ビジネスの利潤は,4兆ルピアに達していた。政府は,これ以上は補助金を行わないが,国内で販売する質の悪い石油で,巨額の利潤を得ている。
(注) (16) State-owned oil company, PT Pertamina,(17) "alpha percentage",(18) Pertamina president director Ari Soemarno,(19) Finance Ministry,(20) State Ministry for State Enterprises,(21)
参考資料
インド
●081225A India, .sakaaltimes
インド,アルンチャルプラデッシュ,2008年,水力や国境など
2008 A saga of development in Arunachal
http://www.sakaaltimes.com/2008/12/24130055/2008-A-saga-of-development-in.html
インドネシア
●081225B Indonesia, The Jakarta Post
インドネシア,プルタミナ,補助金2兆ルピアを期待
Pertamina expects fuel subsidies to cost Rp 2t next year
http://www.thejakartapost.com/news/2008/12/24/pertamina-expects-fuel-subsidies-cost-rp-2t-next-year.html
2008年12月25日木曜日
中国2千キロの80万ボルト直流送電
HPは下記ドメインです。写真地図など見て下さい。
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
長距離超高圧直流送電線が,今後の世界エネルギー開発の一つの大きな鍵となる,と言うことは言われてきた。昭和40年代,日本の経済成長期に,真剣にシベリアの水力を日本へ,直流送電で持ってこようとした人たちがいた。当時は中国は闇の中で,中国から電気を運ぶより,シベリアの方が政治的に,またサハリンがあって地形的に,実施が簡単,と考えられていた時代である。
この記事はスイス発であるが,中国の長距離送電線,西電東走,をテーマーにしたもので,この記事には,知的送電網(注19)と繋がるかどうかは別にして,首都大学東京学長西澤潤一氏(注20)の,「西澤氏の論文を米学会誌が正式承認」,の記事や,鈴木篁氏の水力開発論(注21)を連想させる。この中国の構想は,バンコク経済圏,ムンバイ経済圏,デリー経済圏,などには共通したものがある。
西澤潤一氏(注20)は,地球温暖化・エネルギー対策の切り札として,「世界の電力需要は水力発電と直流送電で賄える」,という主張が,最近米国の学会誌で正式論文として掲載されて承認されたり,中国政府が石炭によるCO2を多く出す火力発電に代わって,これを順次導入して切り替えていく計画を決めるなど,CO2排出大国がそろって,「水力発電と直流送電」,技術を正式に認める動きをみせている,と報じられている。
鈴木篁氏の水力開発論(注21)の中では,この西澤潤一氏(注20)の,「直流送電では1万km送電が可能で東京からナイアガラの滝は勿論ビクトリアの滝まで入る」,を参照しながら,世界中の水力資源を総て活用する事が出来,その総発生エネルギー量は,少なくとも当分の間,全世界の電力需要を賄って余りある,としている。(鈴木氏注:世界の包蔵水力14兆KWh,うち既開発2.4兆,現在の世界の全電力消費量12兆KWh)
事実,そこまで行かなくても,メコン雲南周辺では,中国沿岸部のみならずバンコク経済圏への水力開発,インダス,ガンジス,ブラマプトラ,サルウイーン,イラワジ,など,インドのニューデリーやムンバイ経済圏への電力輸送は,政治的問題が解決すれば,難しい問題ではなくなる。これは,アメリカ,ヨーロッパ,アフリカ,南米,などを含めると,人類にとって予想も出来ない大きな衝撃を与えることになろう。
また,今日の記事の中でも,ABBは再生可能エネルギー開発とこの長距離送電を結びつける発言をしている。知的送電網(注19),スマートグリッドとは書かれていないが,グーグルやオバマの知的送電網の発想とは,データー交換の問題以上に,この長距離と言うことが,その一つの鍵なのである。知的送電網(注19)発想を拡大して行く鍵の一つが,今日の記事には盛られていると見た。
なお,今日の中国のプロジェクト,中国西部の向I家覇水力プロジェクト(注22)は,最大出力,6,000MWで,四川省宜賓県と雲南省水富県との境界を流れる金沙江の下流に位置する。住民8万8千人から15万人の強制移動を強いる可能性のある中国第3の大型水力発電所で,2008年12月26日から正式に着工され,2015年までに完成する予定である。電気は,2,000km離れた上海に送られる。
(注) (19) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081216.htm,(20) http://tech.braina.com/2008/1217/other_20081217_001____.html,(21) http://homepage2.nifty.com/w-hydroplus/info4.htm#Label48,(21) ABB,(22) Xiangjiaba hydropower plant,(23) ultrahigh-voltage direct current (UHVDC) transmission corridor,(24) State Grid Corporation of China (SGCC),(25) to convert AC current to DC and back, and to alter the voltage at each end,(26) Bernhard Jucker, head of ABB’s Power Products division,(27)
本文
●フィリッピン,サンミゲールがペトロンの株式過半数
高い確度の情報であるが,国家石油PNOC(注1)が,英国籍の投資企業アシュモア(注2)に売却した下流国家石油企業ペトロン(注3)の株式40%分,256.87億ペソを受け取ったことによって,フィリッピン政府は,徐々に国家赤字を減らすという目標に近づいているようだ。PNOC(注1)のカイラオ会長(注4)は,「フィリッピン政府は,予定された期間内に,支払いを受け取った。」,と語った。
それは,英国籍の投資企業アシュモア(注2)の関連企業であるSEA(注5)が小切手をカイラオ会長(注4)に手渡した直後である。一方,サンミゲール(注6)は,昨日,石油ビジネスの第一歩となるペトロン(注3)の株式買収を終了した,と発表している。サンミゲール(注6)のフィリッピン証券市場(注7)への報告では,ペトロン(注3)のアシュモア(注2)が持つ株式の50.1%取得の交渉は,最終段階だ,としている。
英国籍の投資企業アシュモア(注2)の関連企業であるSEA(注5)は,今月初めに541百万ドルで,国の有するペトロン(注3)の株式40%をかった時点で,90.57%に達している。ペトロン(注3)によると,昨日時点で,投資分を差し引いた209.12億ペソは,ペトロン(注3)売却代金として既に国庫(注8)に入っている。これは,予定されていた2009年2月5日より,1ヶ月以上早い処置である。
国家石油PNOC(注1)は,2008年12月19日に,アシュモア(注2)との取引の結論を出しており,フィリッピンの巨大石油企業であるPNOC(注1)の37.5億株を売却することで,売買協定SPA(注9)に署名していた。この売却に際し,PNOC(注1)のカイラオ会長(注4)は,政府が機会が来れば,更に石油精製事業を拡大して行く可能性を否定していない。ペトロン(注3)の株式の売却は石油精製販売産業からの撤退を意味しない。
PNOC(注1)のカイラオ会長(注4)は更に,PNOC(注1)の石油安定供給の義務はそのままであり,更に石油産業下流への投資も考えている,多くの内外の企業がPNOC(注1)との連携を探っており,それは,次の石油精製販売事業,次なるペトロン(注3)への道である,と。ただ考えておかなければならないのは,この英国籍の投資企業アシュモア(注2)は,サンミゲール(注6)へ売却のつもりで,これは最終段階に入っている。
ペトロン(注3)は明確にフィリッピン国内の石油産業の重要な役割を持っており,国家石油PNOC(注1)のカイラオ会長(注4)は,将来,再びこの分野へのカムバックを考えている。エネルギー企業としてPNOC(注1)には限界はなく,そのことは,メジャーと競い合うことになるもう一つの企業の設立の可能性もある,とカイラオ会長(注4)は宣言している。
(注) (1) Philippine National Oil Company (PNOC),(2) United Kingdom-based investment firm Ashmore Group,(3) Petron Corporation,(4) PNOC president Antonio M. Cailao,(5) SEA Refinery Corporation,(6) San Miguel Corp.,(7) Philippine Stock Exchabnge,(8) National Treasury,(9) sale purchase agreement (SPA),(10)
●フィリッピン,NPCが発電単価を全国で上げるよう申請
この記事は,昨日,2008年12月23日付本HP(注10)で,NPC(注11)の電気料金値上げの申請を,電力規制委員会ERCが,根拠薄弱として却下した報道の前,即ちNPC(注11)がどの様に値上げを考えたかを書いたもので,話が前後するが,一応見ておくこととする。昨日のERCの記事は,主としてルソン系統のものだが,NPC(注11)の申請は,ルソン,ビサヤス,ミンダナオの3系統に関係している。
NPC(注11)は,フィリッピン政府が望む,「眞のコスト」,を追求するため,発電チャージを,ルソン系統で,KWh当たり0.7456ペソ,ビサヤス系統で,0.8114ペソ,の値上げを申請した。ミンダナオ系統については,0.1590ペソの値上げを考えている。これによる回復すべきコストは,ルソンで,40.66億ペソ,ビサヤスで,10.64億ペソ,ミンダナオで,3.35億ペソである。
NPC(注11)は,PSALM(注12)と合同で申請している第12次発電料金調整方式GRAM(注13)は,2008年7月~9月の燃料と買電コストを目標としたものである。このGRAM(注13)の適用遅れによって生じた調整DAA(注14)は,エネルギー販売予想との比較から来たもので,2007~2010年の予算に付加される,とNPC(注11)は説明している。これらは3ヶ月以内に処理されるべき,としている。
NPC(注11)は,今回の申請は,燃料価格の遅れ,IPP価格の遅れ,各系統の送電費対応,などを含むものだ,と説明している。また,内々には,仮定されたヒートレートの問題もある。ERCが固定しているヒートレートは,2008年7月~9月の実績から見て桁違いである,と。4年に一度の維持点検で,改善の可能性がある,と言っている。
NPC(注11)が強調している点は,IPPの中の4つの発電所,マラヤ火力(注15),ナガ火力(注16),CBK水力(注17),ミンダナオ石炭火力(注18)は,計算に含まれていないとしている。いずれにしても,これらのNPC(注11)の値上げ申請は,根拠が薄弱だとして,一応,ERCによって却下された状態にある。
(注) (10) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081223B.htm,(11) National Power Corporation,(12) Power Sector Assets and Liabilities Management Corporation (PSALM),(13) Generation Rate Adjustment Mechanism (GRAM),(14) deferred accounting adjustment,(15) Malaya thermal plant,(16) Naga thermal plant,(17) Caliraya-Botocan-Kalayaan (CBK) hydro plant,(18) Mindanao Coal (STEAG) plant,(19)
●中国,ABBが80万ボルト,遠距離送電の鍵となる変圧器テスト成功
この記事はスイス発であるが,中国の長距離送電線,西電東走,をテーマーにしたもので,この記事には,知的送電網(注19)と繋がるかどうかは別にして,首都大学東京学長西澤潤一氏(注20)の,「西澤氏の論文を米学会誌が正式承認」,の記事や,鈴木篁氏の水力開発論(注21)を連想させる。この中国の構想は,バンコク経済圏,ムンバイ経済圏,デリー経済圏,などには共通したものがある。
スイスの世界的電力自動化技術グループのABB(注21)は,膨大な電力を長距離に亘って送電する電力スーパーハイウエー,または電力連携の鍵となる新型変圧器の試験運転に成功した。ABB(注21)が成功したのは,中国西部の向I家覇水力プロジェクト(注22)と上海,2,000kmを結ぶ超高圧直流送電UHDVC送電線(注23)のための88万ボルト変圧器である。1年間の契約で受注していた。
これは,この仕様としては世界最高の電圧で,6,400MW,3100万人分の電力を運ぶという記録的なプロジェクトである。この中の変圧器は,中国国家電網SGCC(注24)が発注したものの一つでシステムの鍵となるものであり,ABBは,直流を交流へ,またその逆へ電圧を変えながら切り替える変換器(注25)を供給することになっている。これに付随する重要な部分,インシュレーターやブッシングを含む。
ABB(注21)のジャッカー電力製品部長(注26)は,ABB(注21)とSGCC(注24)の協力の成果で,またABB(注21)の技術的また開発能力を発揮したものだ,と語っている。また,この超高圧直流送電UHDVC送電線(注23)の技術は,二酸化炭素削減のための再生可能エネルギー開発の重要な手段となろう,とも語っている。
超高圧送電線は,一般的な送電線に比べて,損失を減らし,送電敷地を減らし,大きな環境上の利点が考えられる。特に,広大な国土を有する国,中国のような国で,電源と需要地を結ぶのに重要な手段だ。超高圧送電線に関して,ABBは世界のパイオニアーで50年の歴史を持っており,この20年間では,送電線の大容量化と効率化の面で,最大の成果である。
ABB(注21)は,電力自動化技術の世界的リーダーで,電力企業と需要家に大きな技術的環境的効果をもたらしてきた。ABB(注21)グループは,世界の100カ国に企業を持ち,12万人の従業員が,仕事に従事している。
(注) (19) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081216.htm,(20) http://tech.braina.com/2008/1217/other_20081217_001____.html,(21) http://homepage2.nifty.com/w-hydroplus/info4.htm#Label48,(21) ABB,(22) Xiangjiaba hydropower plant,(23) ultrahigh-voltage direct current (UHVDC) transmission corridor,(24) State Grid Corporation of China (SGCC),(25) to convert AC current to DC and back, and to alter the voltage at each end,(26) Bernhard Jucker, head of ABB’s Power Products division,(27)
参考資料
フィリッピン
●081224A Philippines, Manila Bulletin
フィリッピン,サンミゲールがペトロンの株式過半数
San Miguel close to buying 50.1% of Petron PNOC gets P25.7-B payment from Ashmore
http://www.mb.com.ph/BSNS20081224144062.html
●081224B Philippines, Manila Bulletin
フィリッピン,NPCが発電単価を全国で上げるよう申請
NPC seeks generation rate hikes for all grids
http://www.mb.com.ph/BSNS20081224144061.html
中国
●081224C China, edubourse.com
中国,ABBが80万ボルト,遠距離送電の鍵となる変圧器テスト成功
ABB successfully tests ultrahigh-voltage transformer, key for power
http://www.edubourse.com/finance/actualites.php?actu=49220superhighways
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
長距離超高圧直流送電線が,今後の世界エネルギー開発の一つの大きな鍵となる,と言うことは言われてきた。昭和40年代,日本の経済成長期に,真剣にシベリアの水力を日本へ,直流送電で持ってこようとした人たちがいた。当時は中国は闇の中で,中国から電気を運ぶより,シベリアの方が政治的に,またサハリンがあって地形的に,実施が簡単,と考えられていた時代である。
この記事はスイス発であるが,中国の長距離送電線,西電東走,をテーマーにしたもので,この記事には,知的送電網(注19)と繋がるかどうかは別にして,首都大学東京学長西澤潤一氏(注20)の,「西澤氏の論文を米学会誌が正式承認」,の記事や,鈴木篁氏の水力開発論(注21)を連想させる。この中国の構想は,バンコク経済圏,ムンバイ経済圏,デリー経済圏,などには共通したものがある。
西澤潤一氏(注20)は,地球温暖化・エネルギー対策の切り札として,「世界の電力需要は水力発電と直流送電で賄える」,という主張が,最近米国の学会誌で正式論文として掲載されて承認されたり,中国政府が石炭によるCO2を多く出す火力発電に代わって,これを順次導入して切り替えていく計画を決めるなど,CO2排出大国がそろって,「水力発電と直流送電」,技術を正式に認める動きをみせている,と報じられている。
鈴木篁氏の水力開発論(注21)の中では,この西澤潤一氏(注20)の,「直流送電では1万km送電が可能で東京からナイアガラの滝は勿論ビクトリアの滝まで入る」,を参照しながら,世界中の水力資源を総て活用する事が出来,その総発生エネルギー量は,少なくとも当分の間,全世界の電力需要を賄って余りある,としている。(鈴木氏注:世界の包蔵水力14兆KWh,うち既開発2.4兆,現在の世界の全電力消費量12兆KWh)
事実,そこまで行かなくても,メコン雲南周辺では,中国沿岸部のみならずバンコク経済圏への水力開発,インダス,ガンジス,ブラマプトラ,サルウイーン,イラワジ,など,インドのニューデリーやムンバイ経済圏への電力輸送は,政治的問題が解決すれば,難しい問題ではなくなる。これは,アメリカ,ヨーロッパ,アフリカ,南米,などを含めると,人類にとって予想も出来ない大きな衝撃を与えることになろう。
また,今日の記事の中でも,ABBは再生可能エネルギー開発とこの長距離送電を結びつける発言をしている。知的送電網(注19),スマートグリッドとは書かれていないが,グーグルやオバマの知的送電網の発想とは,データー交換の問題以上に,この長距離と言うことが,その一つの鍵なのである。知的送電網(注19)発想を拡大して行く鍵の一つが,今日の記事には盛られていると見た。
なお,今日の中国のプロジェクト,中国西部の向I家覇水力プロジェクト(注22)は,最大出力,6,000MWで,四川省宜賓県と雲南省水富県との境界を流れる金沙江の下流に位置する。住民8万8千人から15万人の強制移動を強いる可能性のある中国第3の大型水力発電所で,2008年12月26日から正式に着工され,2015年までに完成する予定である。電気は,2,000km離れた上海に送られる。
(注) (19) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081216.htm,(20) http://tech.braina.com/2008/1217/other_20081217_001____.html,(21) http://homepage2.nifty.com/w-hydroplus/info4.htm#Label48,(21) ABB,(22) Xiangjiaba hydropower plant,(23) ultrahigh-voltage direct current (UHVDC) transmission corridor,(24) State Grid Corporation of China (SGCC),(25) to convert AC current to DC and back, and to alter the voltage at each end,(26) Bernhard Jucker, head of ABB’s Power Products division,(27)
本文
●フィリッピン,サンミゲールがペトロンの株式過半数
高い確度の情報であるが,国家石油PNOC(注1)が,英国籍の投資企業アシュモア(注2)に売却した下流国家石油企業ペトロン(注3)の株式40%分,256.87億ペソを受け取ったことによって,フィリッピン政府は,徐々に国家赤字を減らすという目標に近づいているようだ。PNOC(注1)のカイラオ会長(注4)は,「フィリッピン政府は,予定された期間内に,支払いを受け取った。」,と語った。
それは,英国籍の投資企業アシュモア(注2)の関連企業であるSEA(注5)が小切手をカイラオ会長(注4)に手渡した直後である。一方,サンミゲール(注6)は,昨日,石油ビジネスの第一歩となるペトロン(注3)の株式買収を終了した,と発表している。サンミゲール(注6)のフィリッピン証券市場(注7)への報告では,ペトロン(注3)のアシュモア(注2)が持つ株式の50.1%取得の交渉は,最終段階だ,としている。
英国籍の投資企業アシュモア(注2)の関連企業であるSEA(注5)は,今月初めに541百万ドルで,国の有するペトロン(注3)の株式40%をかった時点で,90.57%に達している。ペトロン(注3)によると,昨日時点で,投資分を差し引いた209.12億ペソは,ペトロン(注3)売却代金として既に国庫(注8)に入っている。これは,予定されていた2009年2月5日より,1ヶ月以上早い処置である。
国家石油PNOC(注1)は,2008年12月19日に,アシュモア(注2)との取引の結論を出しており,フィリッピンの巨大石油企業であるPNOC(注1)の37.5億株を売却することで,売買協定SPA(注9)に署名していた。この売却に際し,PNOC(注1)のカイラオ会長(注4)は,政府が機会が来れば,更に石油精製事業を拡大して行く可能性を否定していない。ペトロン(注3)の株式の売却は石油精製販売産業からの撤退を意味しない。
PNOC(注1)のカイラオ会長(注4)は更に,PNOC(注1)の石油安定供給の義務はそのままであり,更に石油産業下流への投資も考えている,多くの内外の企業がPNOC(注1)との連携を探っており,それは,次の石油精製販売事業,次なるペトロン(注3)への道である,と。ただ考えておかなければならないのは,この英国籍の投資企業アシュモア(注2)は,サンミゲール(注6)へ売却のつもりで,これは最終段階に入っている。
ペトロン(注3)は明確にフィリッピン国内の石油産業の重要な役割を持っており,国家石油PNOC(注1)のカイラオ会長(注4)は,将来,再びこの分野へのカムバックを考えている。エネルギー企業としてPNOC(注1)には限界はなく,そのことは,メジャーと競い合うことになるもう一つの企業の設立の可能性もある,とカイラオ会長(注4)は宣言している。
(注) (1) Philippine National Oil Company (PNOC),(2) United Kingdom-based investment firm Ashmore Group,(3) Petron Corporation,(4) PNOC president Antonio M. Cailao,(5) SEA Refinery Corporation,(6) San Miguel Corp.,(7) Philippine Stock Exchabnge,(8) National Treasury,(9) sale purchase agreement (SPA),(10)
●フィリッピン,NPCが発電単価を全国で上げるよう申請
この記事は,昨日,2008年12月23日付本HP(注10)で,NPC(注11)の電気料金値上げの申請を,電力規制委員会ERCが,根拠薄弱として却下した報道の前,即ちNPC(注11)がどの様に値上げを考えたかを書いたもので,話が前後するが,一応見ておくこととする。昨日のERCの記事は,主としてルソン系統のものだが,NPC(注11)の申請は,ルソン,ビサヤス,ミンダナオの3系統に関係している。
NPC(注11)は,フィリッピン政府が望む,「眞のコスト」,を追求するため,発電チャージを,ルソン系統で,KWh当たり0.7456ペソ,ビサヤス系統で,0.8114ペソ,の値上げを申請した。ミンダナオ系統については,0.1590ペソの値上げを考えている。これによる回復すべきコストは,ルソンで,40.66億ペソ,ビサヤスで,10.64億ペソ,ミンダナオで,3.35億ペソである。
NPC(注11)は,PSALM(注12)と合同で申請している第12次発電料金調整方式GRAM(注13)は,2008年7月~9月の燃料と買電コストを目標としたものである。このGRAM(注13)の適用遅れによって生じた調整DAA(注14)は,エネルギー販売予想との比較から来たもので,2007~2010年の予算に付加される,とNPC(注11)は説明している。これらは3ヶ月以内に処理されるべき,としている。
NPC(注11)は,今回の申請は,燃料価格の遅れ,IPP価格の遅れ,各系統の送電費対応,などを含むものだ,と説明している。また,内々には,仮定されたヒートレートの問題もある。ERCが固定しているヒートレートは,2008年7月~9月の実績から見て桁違いである,と。4年に一度の維持点検で,改善の可能性がある,と言っている。
NPC(注11)が強調している点は,IPPの中の4つの発電所,マラヤ火力(注15),ナガ火力(注16),CBK水力(注17),ミンダナオ石炭火力(注18)は,計算に含まれていないとしている。いずれにしても,これらのNPC(注11)の値上げ申請は,根拠が薄弱だとして,一応,ERCによって却下された状態にある。
(注) (10) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081223B.htm,(11) National Power Corporation,(12) Power Sector Assets and Liabilities Management Corporation (PSALM),(13) Generation Rate Adjustment Mechanism (GRAM),(14) deferred accounting adjustment,(15) Malaya thermal plant,(16) Naga thermal plant,(17) Caliraya-Botocan-Kalayaan (CBK) hydro plant,(18) Mindanao Coal (STEAG) plant,(19)
●中国,ABBが80万ボルト,遠距離送電の鍵となる変圧器テスト成功
この記事はスイス発であるが,中国の長距離送電線,西電東走,をテーマーにしたもので,この記事には,知的送電網(注19)と繋がるかどうかは別にして,首都大学東京学長西澤潤一氏(注20)の,「西澤氏の論文を米学会誌が正式承認」,の記事や,鈴木篁氏の水力開発論(注21)を連想させる。この中国の構想は,バンコク経済圏,ムンバイ経済圏,デリー経済圏,などには共通したものがある。
スイスの世界的電力自動化技術グループのABB(注21)は,膨大な電力を長距離に亘って送電する電力スーパーハイウエー,または電力連携の鍵となる新型変圧器の試験運転に成功した。ABB(注21)が成功したのは,中国西部の向I家覇水力プロジェクト(注22)と上海,2,000kmを結ぶ超高圧直流送電UHDVC送電線(注23)のための88万ボルト変圧器である。1年間の契約で受注していた。
これは,この仕様としては世界最高の電圧で,6,400MW,3100万人分の電力を運ぶという記録的なプロジェクトである。この中の変圧器は,中国国家電網SGCC(注24)が発注したものの一つでシステムの鍵となるものであり,ABBは,直流を交流へ,またその逆へ電圧を変えながら切り替える変換器(注25)を供給することになっている。これに付随する重要な部分,インシュレーターやブッシングを含む。
ABB(注21)のジャッカー電力製品部長(注26)は,ABB(注21)とSGCC(注24)の協力の成果で,またABB(注21)の技術的また開発能力を発揮したものだ,と語っている。また,この超高圧直流送電UHDVC送電線(注23)の技術は,二酸化炭素削減のための再生可能エネルギー開発の重要な手段となろう,とも語っている。
超高圧送電線は,一般的な送電線に比べて,損失を減らし,送電敷地を減らし,大きな環境上の利点が考えられる。特に,広大な国土を有する国,中国のような国で,電源と需要地を結ぶのに重要な手段だ。超高圧送電線に関して,ABBは世界のパイオニアーで50年の歴史を持っており,この20年間では,送電線の大容量化と効率化の面で,最大の成果である。
ABB(注21)は,電力自動化技術の世界的リーダーで,電力企業と需要家に大きな技術的環境的効果をもたらしてきた。ABB(注21)グループは,世界の100カ国に企業を持ち,12万人の従業員が,仕事に従事している。
(注) (19) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081216.htm,(20) http://tech.braina.com/2008/1217/other_20081217_001____.html,(21) http://homepage2.nifty.com/w-hydroplus/info4.htm#Label48,(21) ABB,(22) Xiangjiaba hydropower plant,(23) ultrahigh-voltage direct current (UHVDC) transmission corridor,(24) State Grid Corporation of China (SGCC),(25) to convert AC current to DC and back, and to alter the voltage at each end,(26) Bernhard Jucker, head of ABB’s Power Products division,(27)
参考資料
フィリッピン
●081224A Philippines, Manila Bulletin
フィリッピン,サンミゲールがペトロンの株式過半数
San Miguel close to buying 50.1% of Petron PNOC gets P25.7-B payment from Ashmore
http://www.mb.com.ph/BSNS20081224144062.html
●081224B Philippines, Manila Bulletin
フィリッピン,NPCが発電単価を全国で上げるよう申請
NPC seeks generation rate hikes for all grids
http://www.mb.com.ph/BSNS20081224144061.html
中国
●081224C China, edubourse.com
中国,ABBが80万ボルト,遠距離送電の鍵となる変圧器テスト成功
ABB successfully tests ultrahigh-voltage transformer, key for power
http://www.edubourse.com/finance/actualites.php?actu=49220superhighways
2008年12月24日水曜日
中国がインドネシアのエネルギーに31億ドル
HPは下記ドメインです。写真地図など見て下さい。
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
昨日,2008年12月22日分本HP(注36)では,インドのKG流域深海の天然ガス生産開始とカタールからのLNG輸入問題で,ガスの価格を論じたが,今出てきたロイター電で,「ロシア主催のガス生産国会議,国際機関発足で合意」,と出た。殆どが石油輸出国機構(OPEC)の加盟国で,インドネシアが含まれているかどうか,確認できていないが,インドネシアは重要なLNG輸出国だから,参加したのだろう。
このロシア主宰になる,「ガス輸出国フォーラム(GECF)」,では,ロシアの思惑とは別に,OPEC諸国は,ロシアが原油生産削減に実際には協力していない,と攻撃の矛先がロシアに向いたことと,天然ガス市場は構造的に価格調整に向いていないとし,価格調整を否定していることである。原油は原価に比べてロイヤリティがかなり高いので,調整が可能だったのだが,天然ガスはそうはいかないようだ。
インドネシアは,原油の枯渇に懸念が広がっているが,天然ガスでは,探査も生産もこれからであり,中国経済にとっても捨ててはおけぬ相手国である。昨年,インドネシアのカラ副大統領は中国に招かれて,大満足の体で,中国の政治経済体制は世界一だ,と中国を賞賛して,帰国したが,今日の報道は一重に,カラ副大統領の功績といえるだろう。
今日の報道は,久しぶりのカラ副大統領の出番である。インドネシアと中国は,この月曜日,2008年12月22日,総額35兆ルピア,約31.3億ドル相当の8つのエネルギー及び鉱山部門のプロジェクトの協力協定に署名した。署名は,インドネシア側,カラ副大統領(注14)と中国側,リケキアン副首相(注15)が出席した第3次中国インドネシアエネルギーフォーラムICEF(注16)の席上で行われた。
カラ副大統領(注14)は挨拶で,今回の案件は両国の利益のためである,インドネシアは中国の製品を使用し,中国の経済を活性化する,それは同時にインドネシアにも影響を与える,と語った。また,現時点のエネルギーへの投資は低廉であり,今投資することによって,経済が回復したときに,我々には準備態勢が出来上がっていることになる,としている。
インドネシアも,単なる資金供与を受けるだけでなく,中国がインドネシアのLNGの獲得に向かって,日本などと競い合っていることを頭の中に入れた上での演説である。一方の中国の副首相も,署名は紙の上だけだ,実際に行動に移すのはインドネシアだ,と言わんばかりに,確実な実行を迫っている。ジャカルタのフォーラムで,両国の火花が散っている。日本の企業,民間の活躍が期待されるところだが,金融危機はそう影響するか。
(注) (14) Vice President Jusuf Kalla,(15) Deputy Prime Minister Li Keqiang.,(16) third Indonesia-China Energy forum (ICEF),(17) China's CNOOC,(18) Canada's Husky,(19) Madura Strait, East Java,(20) Upstream oil and gas regulator BPMigas,(21) state power company PT PLN,(22) Exim Bank of China,(23) Pelabuhan Ratu, West Java,(24) Pacitan, East Java,(25) PLN president director Fahmi Mochtar,(26) China National Technical Import and Export (CNTIE),(27) Shanghai Electric Group Company Ltd,(28) Adipala, Cilacap, Central Java ,(29) PT GH EMM Indonesia, a subsidiary of a China-based power producer,(30) Simpang Belimbing, Muara Enim, South Sumatra,(31) PT Tambang Batubara Bukit Asam,(32) China's Huadian Corporation,(33) Jambi,(34) Purnomo,(36) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081222.htm
(35) 1. Oil and gas contract extension in Madura Strait (BP Migas, CNOOC and Husky Madura Ltd),US$642 million2. Power plant financing in Pelabuhan Ratu (The Exim Bank of China and PT PLN),US$481.94 million 3. Power plant financing in Pacitan (The Exim Bank of China and PT PLN),US$293.23 million 4. Power plant construction in Cilacap,US$605.29 million (PLN, CNTIE and Shanghai Electric),Rp 2.45 trillion 5. Power purchase agreement for Muara Enim (PT PLN and PT GH EMM Indonesia),US$330 million 6. Coal mining joint venture in Muara Enim (Bukit Asam and Huadian Corp),US$14.40 million 7. Biodiesel development in Jambi and South Sumatra (PT Kurnia Selaras and China Development Bank),US$255 million 8. Coal mining cooperation in East Kalimantan (PT Budi Dharma Kencana and Lark Guangdong Power Resources Inc) ,US$350 million Sources: The third Indonesia-China energy forum 2008
本文
●ベトナム,105MW,アブン水力,試運転開始
アブン水力(注1)については,2008年11月15日付本HP(注2)で取り上げている。現地企業電力機械(注3)と住友商事が,EVN(注4)からターンキーで建設を請け負った,105MW,アボン水力(注1)の第1号機を完成して運転に入った。第2号機は2009年1月完成の予定である。アボン水力(注1)地点は,クワンナム県(注4)に位置し,2003年に着工し,完成が近づいている。年間発生電力量は815GWhである,としている。
今日の記事,ベトナム中部のクワンナム県(注4)に位置するアボン水力(注1)の,105MW,第2グループのタービンが,先週金曜日,無水試運転に入って中央グリッドに投入する準備に入った。第2グループのタービンは,2008年10月11日に運転開始した第1グループと同じ出力で,既に,140百万KWhを発電した。総工事費は235百万ドルで,第1,第2併せて210MW,年間815百万KWhの電力を発生する。
ホアンチュンハイ副首相(注5)は,発電所の職員達を前に,効果的で安定した運転に心がけ,8億トンの貯水池を絶対安全を目標に,維持管理に当たれ,と訓示した。このハイさんは,EVNの総裁をしていたハイさんですね。当時,ハイ総裁と会見するときに,職員から,あの人は首相になる人だからそのつもりで会ってくれ,と言われた。工業大臣を経て副大臣か。ベトナムって,そうやって首相が決まるのですかね。
(注) (1) A Vuong hydropower plant,(2) http://my.reset.jp/adachihayao/index081115A.htm,(2) Power Machines,(3) Electricity of Viet Nam (EVN),(4) Quang Nam province,(5) Deputy Prime Minister Hoang Trung Hai,(6)
●フィリッピン,規制委員会,NPCの電気料金値上げ申請を却下
情報によると,消費者心理を考えて,電力規制委員会ERC(注6)は,国家電力公社NPC(注7)の,KWh当たり0.3685ペソの料金値上げ申請を,NPC(注7)が根拠を説明できていない,として却下した。逆に,NPC(注7)のルソン系統における発電料金調整方式GRAM(注8)と増分為替レート調整ICERA(注9)で,KWh0.56ペソの削減を,この12月の請求書に適用すべく,承認した。
しかしながら,NPC(注7)の時間制料金TOU(注10)の暫定低減分,KWh当たり0.7431ペソが今月で期限切れとなるので,消費者への直接の影響は,KWh当たり0.1831ペソと,増えることになる。2008年12月26日~2009年1月25日までの請求書では,過去6ヶ月間の暫定NPC発電料金低減分,KWh当たり0.74ペソが無効となり,その発電料金は,KWh当たり3.89ペソ,約8.16セント相当に帰ることになる。
調整で,KWh当たり0.56ペソの低減にもかかわらず,最終消費者に行くNPC発電料金は,現在の,KWh当たり3.17セントから平均KWh当たり3.33ペソ,約6.98セント相当になる。ERC(注6)のジュアン局長(注11)は,NPC(注7)が値上げを説明できなかった,としている。ERC(注6)のドウカット会長(注12)は,自動調整,GRAM(注8)とICERA(注9)適用がない場合,71センタボの値上げになるところだ,と言っている。
ERC(注6)のジュアン局長(注11)は,投資企業の申し入れでNPC(注7)の眞の価格を,と言うことは理解しているが,数字の根拠は説明できていない,と言っている。ERC(注6)の基本は,自動調整にあると。見直しは来年に持ち越されると。投資企業は,NPC(注7)の発電コスト部分と常に衝突してきた,それは,彼等の暫定供給契約TSC(注13)がNPC(注7)の時間制料金TOU(注10)に,連動されているからである。
ここは大事なところだが,自動調整,GRAM(注8)とICERA(注9)は,燃料,電力供給,為替変動と遅れが生ずる。料金は大きく揺れるが,特に,NPC(注7)の資産売却に伴う引き取り手である投資企業にとっては,大きな損失となる可能性がある。結局,IPPが確実にNPCに引き取られるとしても,コスト面では,必ずしも理屈にあった待遇が受けられない可能性,これが問題のようだ。
(注) (6) Energy Regulatory Commission (ERC),(7) National Power Corporation (NPC),(8) Generation Rate Adjustment Mechanism (GRAM),(9) Incremental Currency Exchange Rate Adjustment (ICERA),(10) NPC’s time-of-use (TOU) rates,(11) ERC executive director Francis Saturnino Juan,(12) ERC chairperson Zenaida G. Cruz-Ducut,(13) transition supply contracts (TSCs) ,(14)
●インドネシアと中国,約30億ドルのエネルギーなど支援
久しぶりのカラ副大統領の出番である。インドネシアと中国は,この月曜日,2008年12月22日,総額35兆ルピア,約31.3億ドル相当の8つのエネルギー及び工業部門のプロジェクトの協力協定に署名した。署名は,インドネシア側,カラ副大統領(注14)と中国側,リケキアン副首相(注15)が出席した第3次中国インドネシアエネルギーフォーラムICEF(注16)の席上で行われた。
カラ副大統領(注14)は挨拶で,今回の案件は両国の利益のためである,インドネシアは中国の製品を使用し,中国の経済を活性化する,それは同時にインドネシアにも影響を与える,と語った。また,現時点のエネルギーへの投資は低廉であり,今投資することによって,経済が回復したときに,我々には準備態勢が出来上がっていることになる,としている。
8案件に含まれるのは,一つの原油ガスプロジェクト,一つのバイオディーゼル開発プロジェクト,二つの石炭プロジェクト,四つの発電所プロジェクトである。原油ガスプロジェクトは,東ジャワのマドウラ海峡(注19)で中国企業CNOOC(注17)とカナダ企業ハスキ(注18)が運用しているもので,上流原油ガス公社BPミガス(注20)が2社と協定を交わし,2012年に終わる契約を,更に20年延長するものである。
協定に含まれる4つの発電所について,そのうち二つは,PLN(注21)が計画し中国輸出入銀行(注22)が融資する石炭火力である。これらは,西ジャワのパラブハンラト(注23)と東部ジャワのパチタン(注24)に位置する。パラブハンラト(注23)は,1,050MWで,パチタン(注24)は,630MW,いずれも,モクタールPLN総裁(注25)によると,2010年までに運転開始することになっている。
また,PLN(注21)は,中国企業CNTIE(注26)と上海重電(注27)と,発電プロジェクトで署名した。この二つの中国企業は,地元企業とも協力して,中部ジャワのチラチャップ(注28)に,660MWの石炭火力を建設する。このプロジェクトについては,モクタールPLN総裁(注25)は,追加資金が必要としている。また,3つの発電プロジェクトは,PLN(注21)が進める10,000MW石炭火力計画クラッシュプログラムの一環である,と。
更にPLN(注21)は,中国企業子会社GHEMM(注29)が進めるIPPプロジェクト,南スマトラ,シンパンベリンビン(注30)の石炭火力,227MWについても,第4の発電プロジェクトとして,買電協定を結んだ。中国リケキアン副首相(注15)は,挨拶の中で,これらが単なる紙の上の署名だけでなく,実現し具体的に実施されるよう,強く望む,と発言した。
石炭鉱山開発の協力についても,ブキットアサム石炭公社(注31)と中国のフアディアン公司(注32)が協定に署名した。また,ジャンビ州(注33)と南スマトラのバイオディーゼルも署名された。プルノモ大臣(注34)は,これらの8つのプロジェクトは多年度に亘るもので,そのかいはつペースに応じて支出され,32,000人の雇用を創出する,と述べた。内訳は注35に記録する。
(注) (14) Vice President Jusuf Kalla,(15) Deputy Prime Minister Li Keqiang.,(16) third Indonesia-China Energy forum (ICEF),(17) China's CNOOC,(18) Canada's Husky,(19) Madura Strait, East Java,(20) Upstream oil and gas regulator BPMigas,(21) state power company PT PLN,(22) Exim Bank of China,(23) Pelabuhan Ratu, West Java,(24) Pacitan, East Java,(25) PLN president director Fahmi Mochtar,(26) China National Technical Import and Export (CNTIE),(27) Shanghai Electric Group Company Ltd,(28) Adipala, Cilacap, Central Java ,(29) PT GH EMM Indonesia, a subsidiary of a China-based power producer,(30) Simpang Belimbing, Muara Enim, South Sumatra,(31) PT Tambang Batubara Bukit Asam,(32) China's Huadian Corporation,(33) Jambi,(34) Purnomo,
(35)
1. Oil and gas contract extension in Madura Strait (BP Migas, CNOOC and Husky Madura Ltd),US$642 million
2. Power plant financing in Pelabuhan Ratu (The Exim Bank of China and PT PLN),US$481.94 million
3. Power plant financing in Pacitan (The Exim Bank of China and PT PLN),US$293.23 million
4. Power plant construction in Cilacap,US$605.29 million (PLN, CNTIE and Shanghai Electric),Rp 2.45 trillion
5. Power purchase agreement for Muara Enim (PT PLN and PT GH EMM Indonesia),US$330 million
6. Coal mining joint venture in Muara Enim (Bukit Asam and Huadian Corp),US$14.40 million
7. Biodiesel development in Jambi and South Sumatra (PT Kurnia Selaras and China Development Bank),US$255 million
8. Coal mining cooperation in East Kalimantan (PT Budi Dharma Kencana and Lark Guangdong Power Resources Inc) ,US$350 million
Sources: The third Indonesia-China energy forum 2008
参考資料
ベトナム
●081223A Vietnam, vietnamnews.vnagency
ベトナム,105MW,アブン水力,試運転開始
A Vuong power plant tests turbines
http://vietnamnews.vnagency.com.vn/showarticle.php?num=05ECO221208
フィリッピン
●081223B Philippines, Manila Bulletin
フィリッピン,規制委員会,NPCの電気料金値上げ申請を却下
ERC rejects NPC rate increase petition
http://www.mb.com.ph/BSNS20081223144000.html
インドネシア
●081223C Indonesia, The Jakarta Post
インドネシアと中国,約30億ドルのエネルギーなど支援
RI, China sign Rp 35t deals on energy, mining
http://www.thejakartapost.com/news/2008/12/23/ri-china-sign-rp-35t-deals-energy-mining.html
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
昨日,2008年12月22日分本HP(注36)では,インドのKG流域深海の天然ガス生産開始とカタールからのLNG輸入問題で,ガスの価格を論じたが,今出てきたロイター電で,「ロシア主催のガス生産国会議,国際機関発足で合意」,と出た。殆どが石油輸出国機構(OPEC)の加盟国で,インドネシアが含まれているかどうか,確認できていないが,インドネシアは重要なLNG輸出国だから,参加したのだろう。
このロシア主宰になる,「ガス輸出国フォーラム(GECF)」,では,ロシアの思惑とは別に,OPEC諸国は,ロシアが原油生産削減に実際には協力していない,と攻撃の矛先がロシアに向いたことと,天然ガス市場は構造的に価格調整に向いていないとし,価格調整を否定していることである。原油は原価に比べてロイヤリティがかなり高いので,調整が可能だったのだが,天然ガスはそうはいかないようだ。
インドネシアは,原油の枯渇に懸念が広がっているが,天然ガスでは,探査も生産もこれからであり,中国経済にとっても捨ててはおけぬ相手国である。昨年,インドネシアのカラ副大統領は中国に招かれて,大満足の体で,中国の政治経済体制は世界一だ,と中国を賞賛して,帰国したが,今日の報道は一重に,カラ副大統領の功績といえるだろう。
今日の報道は,久しぶりのカラ副大統領の出番である。インドネシアと中国は,この月曜日,2008年12月22日,総額35兆ルピア,約31.3億ドル相当の8つのエネルギー及び鉱山部門のプロジェクトの協力協定に署名した。署名は,インドネシア側,カラ副大統領(注14)と中国側,リケキアン副首相(注15)が出席した第3次中国インドネシアエネルギーフォーラムICEF(注16)の席上で行われた。
カラ副大統領(注14)は挨拶で,今回の案件は両国の利益のためである,インドネシアは中国の製品を使用し,中国の経済を活性化する,それは同時にインドネシアにも影響を与える,と語った。また,現時点のエネルギーへの投資は低廉であり,今投資することによって,経済が回復したときに,我々には準備態勢が出来上がっていることになる,としている。
インドネシアも,単なる資金供与を受けるだけでなく,中国がインドネシアのLNGの獲得に向かって,日本などと競い合っていることを頭の中に入れた上での演説である。一方の中国の副首相も,署名は紙の上だけだ,実際に行動に移すのはインドネシアだ,と言わんばかりに,確実な実行を迫っている。ジャカルタのフォーラムで,両国の火花が散っている。日本の企業,民間の活躍が期待されるところだが,金融危機はそう影響するか。
(注) (14) Vice President Jusuf Kalla,(15) Deputy Prime Minister Li Keqiang.,(16) third Indonesia-China Energy forum (ICEF),(17) China's CNOOC,(18) Canada's Husky,(19) Madura Strait, East Java,(20) Upstream oil and gas regulator BPMigas,(21) state power company PT PLN,(22) Exim Bank of China,(23) Pelabuhan Ratu, West Java,(24) Pacitan, East Java,(25) PLN president director Fahmi Mochtar,(26) China National Technical Import and Export (CNTIE),(27) Shanghai Electric Group Company Ltd,(28) Adipala, Cilacap, Central Java ,(29) PT GH EMM Indonesia, a subsidiary of a China-based power producer,(30) Simpang Belimbing, Muara Enim, South Sumatra,(31) PT Tambang Batubara Bukit Asam,(32) China's Huadian Corporation,(33) Jambi,(34) Purnomo,(36) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081222.htm
(35) 1. Oil and gas contract extension in Madura Strait (BP Migas, CNOOC and Husky Madura Ltd),US$642 million2. Power plant financing in Pelabuhan Ratu (The Exim Bank of China and PT PLN),US$481.94 million 3. Power plant financing in Pacitan (The Exim Bank of China and PT PLN),US$293.23 million 4. Power plant construction in Cilacap,US$605.29 million (PLN, CNTIE and Shanghai Electric),Rp 2.45 trillion 5. Power purchase agreement for Muara Enim (PT PLN and PT GH EMM Indonesia),US$330 million 6. Coal mining joint venture in Muara Enim (Bukit Asam and Huadian Corp),US$14.40 million 7. Biodiesel development in Jambi and South Sumatra (PT Kurnia Selaras and China Development Bank),US$255 million 8. Coal mining cooperation in East Kalimantan (PT Budi Dharma Kencana and Lark Guangdong Power Resources Inc) ,US$350 million Sources: The third Indonesia-China energy forum 2008
本文
●ベトナム,105MW,アブン水力,試運転開始
アブン水力(注1)については,2008年11月15日付本HP(注2)で取り上げている。現地企業電力機械(注3)と住友商事が,EVN(注4)からターンキーで建設を請け負った,105MW,アボン水力(注1)の第1号機を完成して運転に入った。第2号機は2009年1月完成の予定である。アボン水力(注1)地点は,クワンナム県(注4)に位置し,2003年に着工し,完成が近づいている。年間発生電力量は815GWhである,としている。
今日の記事,ベトナム中部のクワンナム県(注4)に位置するアボン水力(注1)の,105MW,第2グループのタービンが,先週金曜日,無水試運転に入って中央グリッドに投入する準備に入った。第2グループのタービンは,2008年10月11日に運転開始した第1グループと同じ出力で,既に,140百万KWhを発電した。総工事費は235百万ドルで,第1,第2併せて210MW,年間815百万KWhの電力を発生する。
ホアンチュンハイ副首相(注5)は,発電所の職員達を前に,効果的で安定した運転に心がけ,8億トンの貯水池を絶対安全を目標に,維持管理に当たれ,と訓示した。このハイさんは,EVNの総裁をしていたハイさんですね。当時,ハイ総裁と会見するときに,職員から,あの人は首相になる人だからそのつもりで会ってくれ,と言われた。工業大臣を経て副大臣か。ベトナムって,そうやって首相が決まるのですかね。
(注) (1) A Vuong hydropower plant,(2) http://my.reset.jp/adachihayao/index081115A.htm,(2) Power Machines,(3) Electricity of Viet Nam (EVN),(4) Quang Nam province,(5) Deputy Prime Minister Hoang Trung Hai,(6)
●フィリッピン,規制委員会,NPCの電気料金値上げ申請を却下
情報によると,消費者心理を考えて,電力規制委員会ERC(注6)は,国家電力公社NPC(注7)の,KWh当たり0.3685ペソの料金値上げ申請を,NPC(注7)が根拠を説明できていない,として却下した。逆に,NPC(注7)のルソン系統における発電料金調整方式GRAM(注8)と増分為替レート調整ICERA(注9)で,KWh0.56ペソの削減を,この12月の請求書に適用すべく,承認した。
しかしながら,NPC(注7)の時間制料金TOU(注10)の暫定低減分,KWh当たり0.7431ペソが今月で期限切れとなるので,消費者への直接の影響は,KWh当たり0.1831ペソと,増えることになる。2008年12月26日~2009年1月25日までの請求書では,過去6ヶ月間の暫定NPC発電料金低減分,KWh当たり0.74ペソが無効となり,その発電料金は,KWh当たり3.89ペソ,約8.16セント相当に帰ることになる。
調整で,KWh当たり0.56ペソの低減にもかかわらず,最終消費者に行くNPC発電料金は,現在の,KWh当たり3.17セントから平均KWh当たり3.33ペソ,約6.98セント相当になる。ERC(注6)のジュアン局長(注11)は,NPC(注7)が値上げを説明できなかった,としている。ERC(注6)のドウカット会長(注12)は,自動調整,GRAM(注8)とICERA(注9)適用がない場合,71センタボの値上げになるところだ,と言っている。
ERC(注6)のジュアン局長(注11)は,投資企業の申し入れでNPC(注7)の眞の価格を,と言うことは理解しているが,数字の根拠は説明できていない,と言っている。ERC(注6)の基本は,自動調整にあると。見直しは来年に持ち越されると。投資企業は,NPC(注7)の発電コスト部分と常に衝突してきた,それは,彼等の暫定供給契約TSC(注13)がNPC(注7)の時間制料金TOU(注10)に,連動されているからである。
ここは大事なところだが,自動調整,GRAM(注8)とICERA(注9)は,燃料,電力供給,為替変動と遅れが生ずる。料金は大きく揺れるが,特に,NPC(注7)の資産売却に伴う引き取り手である投資企業にとっては,大きな損失となる可能性がある。結局,IPPが確実にNPCに引き取られるとしても,コスト面では,必ずしも理屈にあった待遇が受けられない可能性,これが問題のようだ。
(注) (6) Energy Regulatory Commission (ERC),(7) National Power Corporation (NPC),(8) Generation Rate Adjustment Mechanism (GRAM),(9) Incremental Currency Exchange Rate Adjustment (ICERA),(10) NPC’s time-of-use (TOU) rates,(11) ERC executive director Francis Saturnino Juan,(12) ERC chairperson Zenaida G. Cruz-Ducut,(13) transition supply contracts (TSCs) ,(14)
●インドネシアと中国,約30億ドルのエネルギーなど支援
久しぶりのカラ副大統領の出番である。インドネシアと中国は,この月曜日,2008年12月22日,総額35兆ルピア,約31.3億ドル相当の8つのエネルギー及び工業部門のプロジェクトの協力協定に署名した。署名は,インドネシア側,カラ副大統領(注14)と中国側,リケキアン副首相(注15)が出席した第3次中国インドネシアエネルギーフォーラムICEF(注16)の席上で行われた。
カラ副大統領(注14)は挨拶で,今回の案件は両国の利益のためである,インドネシアは中国の製品を使用し,中国の経済を活性化する,それは同時にインドネシアにも影響を与える,と語った。また,現時点のエネルギーへの投資は低廉であり,今投資することによって,経済が回復したときに,我々には準備態勢が出来上がっていることになる,としている。
8案件に含まれるのは,一つの原油ガスプロジェクト,一つのバイオディーゼル開発プロジェクト,二つの石炭プロジェクト,四つの発電所プロジェクトである。原油ガスプロジェクトは,東ジャワのマドウラ海峡(注19)で中国企業CNOOC(注17)とカナダ企業ハスキ(注18)が運用しているもので,上流原油ガス公社BPミガス(注20)が2社と協定を交わし,2012年に終わる契約を,更に20年延長するものである。
協定に含まれる4つの発電所について,そのうち二つは,PLN(注21)が計画し中国輸出入銀行(注22)が融資する石炭火力である。これらは,西ジャワのパラブハンラト(注23)と東部ジャワのパチタン(注24)に位置する。パラブハンラト(注23)は,1,050MWで,パチタン(注24)は,630MW,いずれも,モクタールPLN総裁(注25)によると,2010年までに運転開始することになっている。
また,PLN(注21)は,中国企業CNTIE(注26)と上海重電(注27)と,発電プロジェクトで署名した。この二つの中国企業は,地元企業とも協力して,中部ジャワのチラチャップ(注28)に,660MWの石炭火力を建設する。このプロジェクトについては,モクタールPLN総裁(注25)は,追加資金が必要としている。また,3つの発電プロジェクトは,PLN(注21)が進める10,000MW石炭火力計画クラッシュプログラムの一環である,と。
更にPLN(注21)は,中国企業子会社GHEMM(注29)が進めるIPPプロジェクト,南スマトラ,シンパンベリンビン(注30)の石炭火力,227MWについても,第4の発電プロジェクトとして,買電協定を結んだ。中国リケキアン副首相(注15)は,挨拶の中で,これらが単なる紙の上の署名だけでなく,実現し具体的に実施されるよう,強く望む,と発言した。
石炭鉱山開発の協力についても,ブキットアサム石炭公社(注31)と中国のフアディアン公司(注32)が協定に署名した。また,ジャンビ州(注33)と南スマトラのバイオディーゼルも署名された。プルノモ大臣(注34)は,これらの8つのプロジェクトは多年度に亘るもので,そのかいはつペースに応じて支出され,32,000人の雇用を創出する,と述べた。内訳は注35に記録する。
(注) (14) Vice President Jusuf Kalla,(15) Deputy Prime Minister Li Keqiang.,(16) third Indonesia-China Energy forum (ICEF),(17) China's CNOOC,(18) Canada's Husky,(19) Madura Strait, East Java,(20) Upstream oil and gas regulator BPMigas,(21) state power company PT PLN,(22) Exim Bank of China,(23) Pelabuhan Ratu, West Java,(24) Pacitan, East Java,(25) PLN president director Fahmi Mochtar,(26) China National Technical Import and Export (CNTIE),(27) Shanghai Electric Group Company Ltd,(28) Adipala, Cilacap, Central Java ,(29) PT GH EMM Indonesia, a subsidiary of a China-based power producer,(30) Simpang Belimbing, Muara Enim, South Sumatra,(31) PT Tambang Batubara Bukit Asam,(32) China's Huadian Corporation,(33) Jambi,(34) Purnomo,
(35)
1. Oil and gas contract extension in Madura Strait (BP Migas, CNOOC and Husky Madura Ltd),US$642 million
2. Power plant financing in Pelabuhan Ratu (The Exim Bank of China and PT PLN),US$481.94 million
3. Power plant financing in Pacitan (The Exim Bank of China and PT PLN),US$293.23 million
4. Power plant construction in Cilacap,US$605.29 million (PLN, CNTIE and Shanghai Electric),Rp 2.45 trillion
5. Power purchase agreement for Muara Enim (PT PLN and PT GH EMM Indonesia),US$330 million
6. Coal mining joint venture in Muara Enim (Bukit Asam and Huadian Corp),US$14.40 million
7. Biodiesel development in Jambi and South Sumatra (PT Kurnia Selaras and China Development Bank),US$255 million
8. Coal mining cooperation in East Kalimantan (PT Budi Dharma Kencana and Lark Guangdong Power Resources Inc) ,US$350 million
Sources: The third Indonesia-China energy forum 2008
参考資料
ベトナム
●081223A Vietnam, vietnamnews.vnagency
ベトナム,105MW,アブン水力,試運転開始
A Vuong power plant tests turbines
http://vietnamnews.vnagency.com.vn/showarticle.php?num=05ECO221208
フィリッピン
●081223B Philippines, Manila Bulletin
フィリッピン,規制委員会,NPCの電気料金値上げ申請を却下
ERC rejects NPC rate increase petition
http://www.mb.com.ph/BSNS20081223144000.html
インドネシア
●081223C Indonesia, The Jakarta Post
インドネシアと中国,約30億ドルのエネルギーなど支援
RI, China sign Rp 35t deals on energy, mining
http://www.thejakartapost.com/news/2008/12/23/ri-china-sign-rp-35t-deals-energy-mining.html
2008年12月23日火曜日
インドのガスとLNGを巡る情勢
HPは下記ドメインです。写真地図など見て下さい。
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
トヨタが赤字転落,と言うニュースは,日本人にとっても自信を失わせるような事件である。金融危機の影響もあるが,それはほんの切っ掛けであって,実は自動車産業というものが緩やかに斜陽になって行く姿を,直視していなかったのだろう。常に構造改革を強いられる企業の厳しい運命を感ずる。次は何をやるべきなのか,と一つの企業の中で考える人が,必ず居るべきなのだろう,普段は相手にされないが。
数ヶ月前にトヨタの人に,トヨタは次は何をやるべきなのか,と聞いたら,やはりトヨタがやるとしたらロボットだろう,と言っていた。トヨタの中にもその様に言っていた人は多くいたに違いない。でも1兆円を超える利益が出ているとき,ロボットに変えましょう,とは誰も言えない。自動車のロボット化と言う発想から抜け出せなかったのだろう。燃料を変えれば,自動車で永遠に行けると思ったわけではなかろうけれど。
インドも燃料で揺れている。インドは元々石炭で経済を動かしてきたのだが,西部沖合のKG流域で2002年にガスが発見されてから,それが商業化するまで長い道のりを歩んだ。今日の記事では,来年,2009年早々にも,生産を開始するところまでこぎ着けた,と書かれている。今のところ,KG流域のガス包蔵は,14兆立方フィートだから,バングラデシュと余り変わらない程度で,ミャンマーの60兆のガスに関心を持っている。
KG流域のガスを握っているにはリライアンスだが,一時リライアンスは,百万Btu当たり10ドルの値段を口にして,どうも政府から叩かれたようで,今日の記事ではこの数字は出ていない。今,国内天然ガスの4分の一を,カタールのLNGに頼っているが,2009年1月で長期契約が切れ,カタールからは,35%に上る値上げを突きつけられている。
今日の記事から見てみると,来年,2009年1月よりの国内LNGよりのガス販売は,長期契約,スポットをプールして,百万Btu当たり8ドル,と言って良く,これに対して,既に国家ガスONGCの販売価格は,2.4ドル,と言っているから,相当の開きがある。また,KG流域より来年早々生産を開始するリライアンスの値段は,4.2ドル,と言っている。
本日の原油価格は,アジアの需要減の見通しで,バレル33.87ドルである。発電燃料に直すと,カタールのLNGからの半分程度まで落ち込んでいる。LNGの価格は非常に分かりにくい。私は原油と連動しているのかと思っていたが,そうではなく,その生産原価がかなり支配的で,場所によって相当の開きがあるという。LNGのアジアのスポット価格は,20ドルまで上がっている,という報道もある。
(注) (1) http://my.reset.jp/adachihayao/index081003B.htm,(2) Reliance Industries (RIL) ,(3) petroleum ministry,(4) Krishna-Godavari (KG) basin,(5) RIL chairman Mukesh Ambani,(6) Petroleum minister Murli Deora,(7) Haryana,(8) Rajasthan,(9) Uttar Pradesh,(10) Gujarat,(11) Maharastra,(12) Delhi,(13) Karnataka,(14) Andhra Pradesh,(15) million standard cubic meter per day (MMSCMD),(16) Gail India,(17) Reliance Gas Transportation Infrastructure (RGTIL),(18) Dadri-Bawana-Nangal,(19) Chainsa-Gurgaon-Jhajjar-Hissar,(20) Jagdishpur-Haldia,(21) Dabhol-Bangalore,(22) Kochi-Kanjirkkod-Bangalore/Mangalore,(23) Kakinada-Basudebpur-Howrah,(24) Vijaywada-Nallore-Chennai,(25) Chennai-Tutikorin,(26) Chennai-Bangalore-Mangalore,(27) Kakinada-Hyderabad-Uran-Ahmedabad,(28) Ratnagiri Gas & Power,(29) Dhabol,(30)
(注) (30) ,(31) http://my.reset.jp/adachihayao/index081217C.htm,(32) liquefied natural gas,(33) naphtha,(34) million British thermal units (mmBtu),(35) Qatar,(36) Dabhol,(37) state- promoted Petronet LNG Ltd,(38) Reliance Industries,(39) Japanese Crude Cocktail (JCC),(40) RasGas of Qatar,(41) pre-shipping cost (or fob price) ,(42) shipping cost,(43) import duty,(44) re-gasification charges,(45) pipeline tariff,(46) marketing margin,(47) sales tax,(48) ONGC,(49) Panna Mukta Tapti fields in Mumbai Offshore,(50)
本文
●リライアンス,KG流域のガス生産,2009年2月にも開始
インド,KG流域(注4)のガス田について,2008年10月3日付本HP(注1)などで取り上げているが,「2002年にリライアンスは,インド東海岸沖合のクリシュナ・ゴバダリ(KG)盆地で推定埋蔵量14兆立方フィート(2002年度における世界最大の天然ガス発見)の天然ガスを保有することとなった。」,のが切っ掛けであるが,その後,インドらしく,その優先権の取り合いで裁判沙汰にもなっていた。
石油省(注3)の高官によると,リライアンスRIL(注2)は,KG流域(注4)の天然ガス生産を,2009年2月までに開始すると期待されている。政府のガス利用方針によって,まず20の肥料プラントに供給される。2008年9月,リライアンスRIL(注2)のアンバニ会長(注5)は,KG流域(注4)のD6ブロックから商業運転を始めるが,その時期は,2009年1月~3月,と語っていた。
先週,デオラ石油相(注6)は国会で,生産開始は2009年初頭,と説明している。KGガスの深海からの生産は,リグの不足や悪天候で,2008年半ばの生産開始予定が,2009年初頭に遅れ込んでいた。リライアンスRIL(注2)は,最初から2009年初めの予定で,懸命に努力して予定通り生産に入る,この事業は世界的なプロジェクトであり,全員一丸となっている,と言っている。
石油省(注3)は最近,パイプラインの視察を行った。2カ所を除いて20カ所の肥料プラントが,KGガスの恩恵を受ける,と語っている。30の既設発電所も,このパイプラインのネットワークの中にある。そのプラントは,ハリアナ(注7),ラジャスタン(注8),ウッタルプラデッシュ(注9),グジャラート(注10),マハラシュトラ(注11),デリー(注12),カルナタカ(注13),アンデラプラデッシュ(注14)の各州に及ぶ。
これらのプラントのガス必要量は,日36百万立方m(MMSCMD)(注15)である。国家ガスGAIL(注16)とリライアンスインフラRGTIL(注17)のパイプラインが完成すれば,更に14の発電所が,KGガスと結ばれる。政府が認可したGAIL(注16)のパイプラインは5区間(注18,19,20,21,22)であり,RGTIL(注17)は4区間(注23,24,25,26)であり,現時点で完成しているのはアームダバードに至るもの(注27)である。
政府は,最優先として,元のダボール(注29),現ラタナギリ発電所(注28)を充足して後,アンデラプラデッシュ(注14)の発電所としている。閣僚会議は,2009年3月の生産予定量,日40百万立方m(MMSCMD)(注15)のうち,18MMSCMDを発電に当てると決定している。RDPPL(注30)の2009年1月~9月の間の必要量は,1.4~8.5MMSCMD(注15)である。
閣僚会議の方針では,優先権は,LPGセクターの3MMSCMD(注15)に続いて,肥料プラントの14MMSCMD(注15)となっている。第3の優先順位が発電で,量は,18MMSCMD(注15)である。残りの,5MMSCMD(注15)が市ガスに当てられる。
(注) (1) http://my.reset.jp/adachihayao/index081003B.htm,(2) Reliance Industries (RIL) ,(3) petroleum ministry,(4) Krishna-Godavari (KG) basin,(5) RIL chairman Mukesh Ambani,(6) Petroleum minister Murli Deora,(7) Haryana,(8) Rajasthan,(9) Uttar Pradesh,(10) Gujarat,(11) Maharastra,(12) Delhi,(13) Karnataka,(14) Andhra Pradesh,(15) million standard cubic meter per day (MMSCMD),(16) Gail India,(17) Reliance Gas Transportation Infrastructure (RGTIL),(18) Dadri-Bawana-Nangal,(19) Chainsa-Gurgaon-Jhajjar-Hissar,(20) Jagdishpur-Haldia,(21) Dabhol-Bangalore,(22) Kochi-Kanjirkkod-Bangalore/Mangalore,(23) Kakinada-Basudebpur-Howrah,(24) Vijaywada-Nallore-Chennai,(25) Chennai-Tutikorin,(26) Chennai-Bangalore-Mangalore,(27) Kakinada-Hyderabad-Uran-Ahmedabad,(28) Ratnagiri Gas & Power,(29) Dhabol,(30)
●インド,輸入のLNG,35%値上がりへ
インドのガス燃料について,2008年12月22日付本HP(注30)で,リライアンスRIL(注2)が,KG流域(注4)の天然ガス生産を,2009年2月までに開始すると期待されている,と報じられた。また,2008年12月17日付本HP(注31)で,インドのバイヤーが,LNG(注33)のアジアのスポット市場から,原油価格に連動して急落したナフタ(注34)に切り替えている,と報じられた。
インドにとって,LNG(注32)は大変難しい燃料である。インドのガス価格は来年高騰の兆しであり,LNG基地は,より長期の契約を望んで,スポット市場から退却している。今日の記事は,2009年1月からの,インド市場でのLNGの値上がりを詳しく報じている。基本的には,35%の値上がりで,百万Btu当たり(注34)6.7ドルとなる,としている。
即ち,2009年からのカタール(注35)に於けるLNG供給が値上がりの見込みなので,インドの輸入のLNG,肥料プラントやダボール(注36)に供給されるLNGが,値上がりする見込みである。国内で消費する天然ガスの4分の一は,ペトロネット(注37)によって輸入されるLNGに依存しているが,その価格は,現時点で百万Btu当たり(注34)4.98ドルである。これが,2008年1月より,百万Btu当たり(注34)6.3~6.7ドルとなる。
この価格は,売上税,パイプライン経費,市場利益が含まれていないので,百万Btu当たり(注34)7.2~7.8ドルになるだろう,と言われている。この輸入LNGは,国内で最も高いガスになるはずで,もっとも安いのは,リライアンス(注38)のD6ブロックからのガスで,百万Btu当たり(注34)4.2ドルである。カタール(注35)からのLNG契約は,もっとも安い長期契約と,短期のスポット価格がある。これをプールして国内販売している。
現在では,長期契約が,船出前で,百万Btu当たり(注34)2.53ドル,短期契約が,8.5ドル,この二つをプールして,4.98ドルとなっている。2009年1月からは,長期が,3.12ドル,短期が,12ドルとなる,と言われている。短期契約分LNGで100万トンは,2009年9月までの契約で,日本原油混合JCC(注39)に固定されており,バレル60~70ドルである。この見通しを受けて政府は,ダボール(注36)にはD6ガスを割り当てる。
ペトロネット(注37)は現在,カタールのラスガス(注40)から,FOB価格(注41),百万Btu当たり(注34)2.53ドルで輸入している。JCC(注39)に連動する5年契約が,2009年1月に終了する。2009年1月からは,FOB価格(注41)で,3.12ドルとなる。これに,船コスト(注42),輸入税(注43),再ガス化(注44),パイプライン料(注45),市場利益(注46),売上税(注47)を加えて,5.5188ドルとなる。
将来,カタールからのLNGのFOB価格は,JCC(注39)の移動平均に連動して,2010年1月で百万Btu当たり(注34)4.25ドル,2011年で5.59ドル,2012年で6.91ドル,2013年で8.24ドル,2013年12月で8.73ドル,と変わってくる。2009年1月のペトロネット(注37)のガス価格は,国内生産ガスの4倍近くになる。
ONGC(注48)のガスは,現在百万Btu当たり(注34)1.9ドルが,政府が値上げを認めれば,2.4ドルとなる。また,リライアンスRIL(注2)のKG流域(注4)の天然ガスは,少なくとも4.20ドルとなるはずで,ムンバイの沖合,パンナタピガス田(注49)の価格は,5.70ドルである。2006~2007年で36%の伸びを見せたインドのLNG購買は,台湾を抜いたが,今年の輸入は落ち気味であった。
(注) (30) ,(31) http://my.reset.jp/adachihayao/index081217C.htm,(32) liquefied natural gas,(33) naphtha,(34) million British thermal units (mmBtu),(35) Qatar,(36) Dabhol,(37) state- promoted Petronet LNG Ltd,(38) Reliance Industries,(39) Japanese Crude Cocktail (JCC),(40) RasGas of Qatar,(41) pre-shipping cost (or fob price) ,(42) shipping cost,(43) import duty,(44) re-gasification charges,(45) pipeline tariff,(46) marketing margin,(47) sales tax,(48) ONGC,(49) Panna Mukta Tapti fields in Mumbai Offshore,(50)
参考資料
インド
●081222A India, Economic Times
リライアンス,KG流域のガス生産,2009年2月にも開始
RIL may begin production at KG basin by Feb 2009
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/RIL_may_begin_production_at_KG_basin_by_Feb_2009/articleshow/3871442.cms
●081222B India, Economic Times
インド,輸入のLNG,35%値上がりへ
LNG to cost up to 35 pc more at USD 6.7 per mmBtu from Jan
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/LNG_to_cost_up_to_35_pc_more_at_USD_67_per_mmBtu_from_Jan/articleshow/3862090.cms
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
トヨタが赤字転落,と言うニュースは,日本人にとっても自信を失わせるような事件である。金融危機の影響もあるが,それはほんの切っ掛けであって,実は自動車産業というものが緩やかに斜陽になって行く姿を,直視していなかったのだろう。常に構造改革を強いられる企業の厳しい運命を感ずる。次は何をやるべきなのか,と一つの企業の中で考える人が,必ず居るべきなのだろう,普段は相手にされないが。
数ヶ月前にトヨタの人に,トヨタは次は何をやるべきなのか,と聞いたら,やはりトヨタがやるとしたらロボットだろう,と言っていた。トヨタの中にもその様に言っていた人は多くいたに違いない。でも1兆円を超える利益が出ているとき,ロボットに変えましょう,とは誰も言えない。自動車のロボット化と言う発想から抜け出せなかったのだろう。燃料を変えれば,自動車で永遠に行けると思ったわけではなかろうけれど。
インドも燃料で揺れている。インドは元々石炭で経済を動かしてきたのだが,西部沖合のKG流域で2002年にガスが発見されてから,それが商業化するまで長い道のりを歩んだ。今日の記事では,来年,2009年早々にも,生産を開始するところまでこぎ着けた,と書かれている。今のところ,KG流域のガス包蔵は,14兆立方フィートだから,バングラデシュと余り変わらない程度で,ミャンマーの60兆のガスに関心を持っている。
KG流域のガスを握っているにはリライアンスだが,一時リライアンスは,百万Btu当たり10ドルの値段を口にして,どうも政府から叩かれたようで,今日の記事ではこの数字は出ていない。今,国内天然ガスの4分の一を,カタールのLNGに頼っているが,2009年1月で長期契約が切れ,カタールからは,35%に上る値上げを突きつけられている。
今日の記事から見てみると,来年,2009年1月よりの国内LNGよりのガス販売は,長期契約,スポットをプールして,百万Btu当たり8ドル,と言って良く,これに対して,既に国家ガスONGCの販売価格は,2.4ドル,と言っているから,相当の開きがある。また,KG流域より来年早々生産を開始するリライアンスの値段は,4.2ドル,と言っている。
本日の原油価格は,アジアの需要減の見通しで,バレル33.87ドルである。発電燃料に直すと,カタールのLNGからの半分程度まで落ち込んでいる。LNGの価格は非常に分かりにくい。私は原油と連動しているのかと思っていたが,そうではなく,その生産原価がかなり支配的で,場所によって相当の開きがあるという。LNGのアジアのスポット価格は,20ドルまで上がっている,という報道もある。
(注) (1) http://my.reset.jp/adachihayao/index081003B.htm,(2) Reliance Industries (RIL) ,(3) petroleum ministry,(4) Krishna-Godavari (KG) basin,(5) RIL chairman Mukesh Ambani,(6) Petroleum minister Murli Deora,(7) Haryana,(8) Rajasthan,(9) Uttar Pradesh,(10) Gujarat,(11) Maharastra,(12) Delhi,(13) Karnataka,(14) Andhra Pradesh,(15) million standard cubic meter per day (MMSCMD),(16) Gail India,(17) Reliance Gas Transportation Infrastructure (RGTIL),(18) Dadri-Bawana-Nangal,(19) Chainsa-Gurgaon-Jhajjar-Hissar,(20) Jagdishpur-Haldia,(21) Dabhol-Bangalore,(22) Kochi-Kanjirkkod-Bangalore/Mangalore,(23) Kakinada-Basudebpur-Howrah,(24) Vijaywada-Nallore-Chennai,(25) Chennai-Tutikorin,(26) Chennai-Bangalore-Mangalore,(27) Kakinada-Hyderabad-Uran-Ahmedabad,(28) Ratnagiri Gas & Power,(29) Dhabol,(30)
(注) (30) ,(31) http://my.reset.jp/adachihayao/index081217C.htm,(32) liquefied natural gas,(33) naphtha,(34) million British thermal units (mmBtu),(35) Qatar,(36) Dabhol,(37) state- promoted Petronet LNG Ltd,(38) Reliance Industries,(39) Japanese Crude Cocktail (JCC),(40) RasGas of Qatar,(41) pre-shipping cost (or fob price) ,(42) shipping cost,(43) import duty,(44) re-gasification charges,(45) pipeline tariff,(46) marketing margin,(47) sales tax,(48) ONGC,(49) Panna Mukta Tapti fields in Mumbai Offshore,(50)
本文
●リライアンス,KG流域のガス生産,2009年2月にも開始
インド,KG流域(注4)のガス田について,2008年10月3日付本HP(注1)などで取り上げているが,「2002年にリライアンスは,インド東海岸沖合のクリシュナ・ゴバダリ(KG)盆地で推定埋蔵量14兆立方フィート(2002年度における世界最大の天然ガス発見)の天然ガスを保有することとなった。」,のが切っ掛けであるが,その後,インドらしく,その優先権の取り合いで裁判沙汰にもなっていた。
石油省(注3)の高官によると,リライアンスRIL(注2)は,KG流域(注4)の天然ガス生産を,2009年2月までに開始すると期待されている。政府のガス利用方針によって,まず20の肥料プラントに供給される。2008年9月,リライアンスRIL(注2)のアンバニ会長(注5)は,KG流域(注4)のD6ブロックから商業運転を始めるが,その時期は,2009年1月~3月,と語っていた。
先週,デオラ石油相(注6)は国会で,生産開始は2009年初頭,と説明している。KGガスの深海からの生産は,リグの不足や悪天候で,2008年半ばの生産開始予定が,2009年初頭に遅れ込んでいた。リライアンスRIL(注2)は,最初から2009年初めの予定で,懸命に努力して予定通り生産に入る,この事業は世界的なプロジェクトであり,全員一丸となっている,と言っている。
石油省(注3)は最近,パイプラインの視察を行った。2カ所を除いて20カ所の肥料プラントが,KGガスの恩恵を受ける,と語っている。30の既設発電所も,このパイプラインのネットワークの中にある。そのプラントは,ハリアナ(注7),ラジャスタン(注8),ウッタルプラデッシュ(注9),グジャラート(注10),マハラシュトラ(注11),デリー(注12),カルナタカ(注13),アンデラプラデッシュ(注14)の各州に及ぶ。
これらのプラントのガス必要量は,日36百万立方m(MMSCMD)(注15)である。国家ガスGAIL(注16)とリライアンスインフラRGTIL(注17)のパイプラインが完成すれば,更に14の発電所が,KGガスと結ばれる。政府が認可したGAIL(注16)のパイプラインは5区間(注18,19,20,21,22)であり,RGTIL(注17)は4区間(注23,24,25,26)であり,現時点で完成しているのはアームダバードに至るもの(注27)である。
政府は,最優先として,元のダボール(注29),現ラタナギリ発電所(注28)を充足して後,アンデラプラデッシュ(注14)の発電所としている。閣僚会議は,2009年3月の生産予定量,日40百万立方m(MMSCMD)(注15)のうち,18MMSCMDを発電に当てると決定している。RDPPL(注30)の2009年1月~9月の間の必要量は,1.4~8.5MMSCMD(注15)である。
閣僚会議の方針では,優先権は,LPGセクターの3MMSCMD(注15)に続いて,肥料プラントの14MMSCMD(注15)となっている。第3の優先順位が発電で,量は,18MMSCMD(注15)である。残りの,5MMSCMD(注15)が市ガスに当てられる。
(注) (1) http://my.reset.jp/adachihayao/index081003B.htm,(2) Reliance Industries (RIL) ,(3) petroleum ministry,(4) Krishna-Godavari (KG) basin,(5) RIL chairman Mukesh Ambani,(6) Petroleum minister Murli Deora,(7) Haryana,(8) Rajasthan,(9) Uttar Pradesh,(10) Gujarat,(11) Maharastra,(12) Delhi,(13) Karnataka,(14) Andhra Pradesh,(15) million standard cubic meter per day (MMSCMD),(16) Gail India,(17) Reliance Gas Transportation Infrastructure (RGTIL),(18) Dadri-Bawana-Nangal,(19) Chainsa-Gurgaon-Jhajjar-Hissar,(20) Jagdishpur-Haldia,(21) Dabhol-Bangalore,(22) Kochi-Kanjirkkod-Bangalore/Mangalore,(23) Kakinada-Basudebpur-Howrah,(24) Vijaywada-Nallore-Chennai,(25) Chennai-Tutikorin,(26) Chennai-Bangalore-Mangalore,(27) Kakinada-Hyderabad-Uran-Ahmedabad,(28) Ratnagiri Gas & Power,(29) Dhabol,(30)
●インド,輸入のLNG,35%値上がりへ
インドのガス燃料について,2008年12月22日付本HP(注30)で,リライアンスRIL(注2)が,KG流域(注4)の天然ガス生産を,2009年2月までに開始すると期待されている,と報じられた。また,2008年12月17日付本HP(注31)で,インドのバイヤーが,LNG(注33)のアジアのスポット市場から,原油価格に連動して急落したナフタ(注34)に切り替えている,と報じられた。
インドにとって,LNG(注32)は大変難しい燃料である。インドのガス価格は来年高騰の兆しであり,LNG基地は,より長期の契約を望んで,スポット市場から退却している。今日の記事は,2009年1月からの,インド市場でのLNGの値上がりを詳しく報じている。基本的には,35%の値上がりで,百万Btu当たり(注34)6.7ドルとなる,としている。
即ち,2009年からのカタール(注35)に於けるLNG供給が値上がりの見込みなので,インドの輸入のLNG,肥料プラントやダボール(注36)に供給されるLNGが,値上がりする見込みである。国内で消費する天然ガスの4分の一は,ペトロネット(注37)によって輸入されるLNGに依存しているが,その価格は,現時点で百万Btu当たり(注34)4.98ドルである。これが,2008年1月より,百万Btu当たり(注34)6.3~6.7ドルとなる。
この価格は,売上税,パイプライン経費,市場利益が含まれていないので,百万Btu当たり(注34)7.2~7.8ドルになるだろう,と言われている。この輸入LNGは,国内で最も高いガスになるはずで,もっとも安いのは,リライアンス(注38)のD6ブロックからのガスで,百万Btu当たり(注34)4.2ドルである。カタール(注35)からのLNG契約は,もっとも安い長期契約と,短期のスポット価格がある。これをプールして国内販売している。
現在では,長期契約が,船出前で,百万Btu当たり(注34)2.53ドル,短期契約が,8.5ドル,この二つをプールして,4.98ドルとなっている。2009年1月からは,長期が,3.12ドル,短期が,12ドルとなる,と言われている。短期契約分LNGで100万トンは,2009年9月までの契約で,日本原油混合JCC(注39)に固定されており,バレル60~70ドルである。この見通しを受けて政府は,ダボール(注36)にはD6ガスを割り当てる。
ペトロネット(注37)は現在,カタールのラスガス(注40)から,FOB価格(注41),百万Btu当たり(注34)2.53ドルで輸入している。JCC(注39)に連動する5年契約が,2009年1月に終了する。2009年1月からは,FOB価格(注41)で,3.12ドルとなる。これに,船コスト(注42),輸入税(注43),再ガス化(注44),パイプライン料(注45),市場利益(注46),売上税(注47)を加えて,5.5188ドルとなる。
将来,カタールからのLNGのFOB価格は,JCC(注39)の移動平均に連動して,2010年1月で百万Btu当たり(注34)4.25ドル,2011年で5.59ドル,2012年で6.91ドル,2013年で8.24ドル,2013年12月で8.73ドル,と変わってくる。2009年1月のペトロネット(注37)のガス価格は,国内生産ガスの4倍近くになる。
ONGC(注48)のガスは,現在百万Btu当たり(注34)1.9ドルが,政府が値上げを認めれば,2.4ドルとなる。また,リライアンスRIL(注2)のKG流域(注4)の天然ガスは,少なくとも4.20ドルとなるはずで,ムンバイの沖合,パンナタピガス田(注49)の価格は,5.70ドルである。2006~2007年で36%の伸びを見せたインドのLNG購買は,台湾を抜いたが,今年の輸入は落ち気味であった。
(注) (30) ,(31) http://my.reset.jp/adachihayao/index081217C.htm,(32) liquefied natural gas,(33) naphtha,(34) million British thermal units (mmBtu),(35) Qatar,(36) Dabhol,(37) state- promoted Petronet LNG Ltd,(38) Reliance Industries,(39) Japanese Crude Cocktail (JCC),(40) RasGas of Qatar,(41) pre-shipping cost (or fob price) ,(42) shipping cost,(43) import duty,(44) re-gasification charges,(45) pipeline tariff,(46) marketing margin,(47) sales tax,(48) ONGC,(49) Panna Mukta Tapti fields in Mumbai Offshore,(50)
参考資料
インド
●081222A India, Economic Times
リライアンス,KG流域のガス生産,2009年2月にも開始
RIL may begin production at KG basin by Feb 2009
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/RIL_may_begin_production_at_KG_basin_by_Feb_2009/articleshow/3871442.cms
●081222B India, Economic Times
インド,輸入のLNG,35%値上がりへ
LNG to cost up to 35 pc more at USD 6.7 per mmBtu from Jan
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/LNG_to_cost_up_to_35_pc_more_at_USD_67_per_mmBtu_from_Jan/articleshow/3862090.cms
2008年12月22日月曜日
パキスタンの水力便益地元還元
HPは下記ドメインです。写真地図など見て下さい。
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
昨深夜のディスカバリーチャンネルで,北海で行われている沖合の風力発電所の設置工事を見ていた。突然,電力の友人からメールが来て,2008年12月16日付本HP(注30)の知的送電網の話は面白かった,しかし,再生可能エネルギーを活用しようと思ったら,知的送電網(注31,32)では駄目で,バッテリーの研究をしなければ役に立たない,とメールの中で怒鳴っていた。
テレビは途中から見たのだが,羽の長さが約40m,風雨がきつくて飛ばされそうになりながらの工事はとっても大変だった。36基の風車を海底から柱を上げて据え付ける,その36基を海底で結んで,510トンもする変電所をそのまま船で運んできて柱の上に据え付け,風車をケーブルで繋ぐ,15万ボルトに昇圧して陸地の送電網に繋ぐ,おそらく全部で10万KW内外の設備のようだった,あれでやっと10万KWだ。
オバマ大統領候補は,あんなものを系統の20%まで入れよう,と言っているし,フィリッピンではあのような国産エネルギーを60%にしようと言っている。風力と太陽光の日間,年間の発電負荷曲線を書いて,それを系統の20%,30%,入れると,需要との関係がどうなるのか,一度絵を描いてみる必要がある,とんでもない容量のバッテリーが必要になるのだろう。
考えてみれば,水力も本来は太陽光とか風力と同じような発電パターンになるのだが,水力の場合はダムという手段があって,需要の形に合わせた発電が出来るようになっている。最近は渇水で,必ずしも調整が円滑に行っていないが,それでも経済的に成り立つような手段が用意されている。揚水発電所の活用は,ある程度規模が必要だし,水の上げ下げのロスがあって,再生可能用には無理だろう。
ネパールやパキスタン,電力不足に悩んでいるが,彼等も十分大きな規模のダムがあれば,水力開発で安定した電力が得られる,と言うことで,計画を進めている。今日の記事になっているディアマー-バシャダム(注1)は,4,500MWと言う壮大な計画で,600億トンぐらいの貯水容量を持つために,約3万人の水没移住がでる。資金の見込みのない中で,勇敢にも着工に踏み切っている。
いわば,日本の佐久間ダムや黒四ダム着工前夜,中国の三峡ダム着工前夜,みたいな雰囲気で,これで盛り上がらなければ,政治が持たない,と言う事情もある。大統領を初め国のトップ同士が,その資金調達に奔走している。頼みは中国であり,またパキスタンにとっては中東も頼りになる資金源であるが,最近の金融情勢,原油の値下がりで,先行き甚だ不透明である。
(注) (30) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081216.htm,(31) 知的送電網,(32) smart grid,
(注) (1) Diamer Basha Dam,(2) North West Frontier Province,(3) Northern Areas,(4) Prime Minister Syed Yousuf Raza Gilani,(5) Planning Commission,(6) Ministry of Water and Power,(7) WAPDA,(8) Awami National Party central leader Senator Haji Adeel,(9) Ghazi Brotha Dam,(10) Punjab,(11) Executive Committee of the National Economic Council,(12) Basha Dam,(13) million acre feet,(14) http://my.reset.jp/adachihayao/index081105.htm,(15) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081020A.htm,(16) Munda dam,(17)
本文
●パキスタンのバシャダム,発電所位置で,裁定委員会設置
パキスタンのディアマー-バシャダム(注1)については,2008年11月5日付本HP(注14)で取り上げている。また,2008年10月20日付け本HP(注15)で,「2008年,今年の4月に,ドイツのラメイヤーの詳細設計が完成した記事がある。このインダス川の上流に建設される大規模なダム計画,バシャダイムラープロジェクト(注1)は,資金調達を待たずに当時の大統領は着工を命令している。北京の支援がある。」,と。
パキスタン連邦政府は,125億ドルのディアマ-バシャダム(注1)の発電所位置,北西辺境州NWFP(注2)か北部地域NA(注3)か,についての正確な位置を決定するための委員会設置を決めた。ジラニ首相(注4)は,ディアマ-バシャダム(注1)の便益地元還元を,NWFP(注2)とNA(注3)でどの様に配分すべきかの決定を行う委員会設置,これを決めたのである。計画委員会(注5)副委員長が主宰することになる。
この委員会は,計画委員会(注5)事務局,水資源電力省(注6),WAPDA(注7)総裁,各NWFP(注2)とNA(注3)の代表によって構成される。NWFP(注2)とNA(注3)は,便益地元還元に影響してくる発電所の位置で,意見がまとまっていない。NA(注3)は,ディアマ-バシャダム(注1)の99%の土地がNA(注3)管轄内だ,と主張し,NWFP(注2)は,発電所位置がその管轄下にあり,便益地元還元を主張している。
本来,地元還元は発電所位置によって決められることになっている。委員会はまだ開かれていない。アディール国会議員(注8)は意見を求められて,ガジバロタダム(注9)の例を挙げ,発電所がパンジャブ州(注10)にあったのでNWFP(注2)は便益地元還元を主張しなかった,どちらもパキスタン人だからこだわらない,と言っている。
国家経済委員会役員会議ECNEC(注11)は最近になって,バシャダム(注12)の用地買収費用を,1,160億ルピーから600億ルピーに減額している。政府は既に,アクセス道路の建設費用,20億ルピーを支出した。着工は2009年度である。ディアマ-バシャダム(注1)の移住人口は,4,135家族,28,640人であり,発電所出力は,4,500MW,ダムの貯水容量は,6.4MAF(注13)である。
この便益地元還元,所謂,ロイヤリティ,と言われるものについては,憲法にその記述があるという。我々も,ムンダダム(注16)の調査の経験から,パキスタンに於ける州政府の強さを知っている。そうして,この便益地元還元が,日本の電源特会に似通っていることも一つの関心事だ。便益を地元に落とす,という制度が,これほど早く,また憲法で決められている,と言うのは驚きである。
(注) (1) Diamer Basha Dam,(2) North West Frontier Province,(3) Northern Areas,(4) Prime Minister Syed Yousuf Raza Gilani,(5) Planning Commission,(6) Ministry of Water and Power,(7) WAPDA,(8) Awami National Party central leader Senator Haji Adeel,(9) Ghazi Brotha Dam,(10) Punjab,(11) Executive Committee of the National Economic Council,(12) Basha Dam,(13) million acre feet,(14) http://my.reset.jp/adachihayao/index081105.htm,(15) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081020A.htm,(16) Munda dam,(17)
パキスタン,大規模ダムプロジェクト位置
http://my.reset.jp/~adachihayao/08040401.jpg
バシャダム,貯水池の概要
http://my.reset.jp/~adachihayao/08040402.jpg
バシャダム,ダム構造平面,高さ281m
http://my.reset.jp/~adachihayao/08040403.jpg
●フィリッピン,規制委員会,料金自動調整で公式提示
電力規制委員会ERC(注17)は,現実の電力コストを電気料金に反映させるための,NPC(注18)の燃料及び買電コスト調整FPPCA(注19)と為替レート関連調整FXA(注20)の自動調整に関する公式を作成した。しかし,実際の公布は,関係者からの意見を求める公聴会形式で,2009年1月16日に意見を求めて,それ以降となる。
燃料コスト調整については,その期間に応じたヒートレート上限と売り上げによって,調整しなければならない。また,シンガポール平均MOPS(注21)も参考にする。混乱している為替レートについては,初期値として,USドル当たり44.049ペソとしている。NPC(注18)コスト関連の調整については,資産売却の生産方法などで,混乱している。提案では,暫定供給契約TSC(注22)に基づいている。
ERC(注17)の提案では,自動調整を改めてERC(注17)が見直して承認することになっている。少なくとも,12ヶ月毎に,買電コスト調整FPPCA(注19)と為替レート関連調整FXA(注20)を,実際の収入に照らして検討する。規定にあるように,発電料金は,買電コスト調整FPPCA(注19)と為替レート関連調整FXA(注20)を参照することになる。
(注) (17) Energy Regulatory Commission, Philippines,(18) National Power Corporation,(19) fuel and purchased power cost adjustment,(20) Foreign Exchange-Related Cost Adjustment,(21) Mean of Platts Singapore,(22) transition supply contracts,(23)
●ネパール最大のカリガンダキ発電所,144MW,停止の可能性
電力不足で停電の続くネパール,ネパール電力庁NEA(注23)の維持管理担当部門によると,国内最大,144MW,カリガンダキA水力発電所(注24)が,機会上のトラブルで深刻な状態にあり,緊急に処置をしなければ,運転停止の危険性がある。単機48MWであるが,3つのフランシス水車(注25)のうち,第1及び3号機の重要なデーターの更新が出来ない状態に陥っているという。
NEA(注23)のジャー土木計画局長(注26)によると,通常は自動で更新されるデータが更新されないと言う。コントローラーPLC(注27)とコンピューターの間のデータやりとりが自動で出来ず,主導でやっていたが,限界だという。各タービンは,3年ごとにNEAがオーバーホールしているが,これも流砂と摩擦で問題が生じている。
ランジット所長(注28)によると,カリガンダキA水力発電所(注24)は,夕方のピーク時に,110MWを発電しており,その他の時間は,60~65MWで運転している。水が十分にあれば,5~6時間,144MW運転が可能である。この機械は,フランス企業で製作されたもので,新規のソフトの更新が必要と思われる。ネパールでは不可能で,フランスから技術者を招く必要がある。スペアー購入も,10.8百万ルピーが必要である。
NEA(注23)は現在深刻な電力不足に陥っており,日常,400MWが不足している。もし国内最大,144MW,カリガンダキA水力発電所(注24)が停止するようなことになれば,電力危機を増大し,社会的な問題となる可能性がある。東芝の資料の中に,水車の摩耗対策として,東芝の技術が使われている,と言う記述がある。Aではないかも知れない。
(注) (23) Nepal Electricity Authority NEA,(24) Kaligandaki 'A' hydropower plant,(25) Francis turbine,(26) Dr Jivendra Jha, director-general of the civil and planning department of NEA,(27) Programmable Logic Controller,(28) Jujukaji Ranjit, project manager at Kaligandaki 'A,',(29)
参考資料
パキスタン
●081221A Pakistan, thenews
パキスタンのバシャダム,発電所位置で,裁定委員会設置
Body formed to resolve royalty issue
http://www.thenews.com.pk/daily_detail.asp?id=152744
フィリッピン
●081221B Philippines, Manila Bulletin
フィリッピン,規制委員会,料金自動調整で公式提示
ERC sets formula on automatic recovery of NPC’s purchased power, forex costs
http://www.mb.com.ph/BSNS20081221143823.html
ネパール
●081221C Nepal, kantipuronline
ネパール最大のカリガンダキ発電所,144MW,停止へ
Snags may shut Kaligandaki NEA
http://www.kantipuronline.com/kolnews.php?&nid=171297
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
昨深夜のディスカバリーチャンネルで,北海で行われている沖合の風力発電所の設置工事を見ていた。突然,電力の友人からメールが来て,2008年12月16日付本HP(注30)の知的送電網の話は面白かった,しかし,再生可能エネルギーを活用しようと思ったら,知的送電網(注31,32)では駄目で,バッテリーの研究をしなければ役に立たない,とメールの中で怒鳴っていた。
テレビは途中から見たのだが,羽の長さが約40m,風雨がきつくて飛ばされそうになりながらの工事はとっても大変だった。36基の風車を海底から柱を上げて据え付ける,その36基を海底で結んで,510トンもする変電所をそのまま船で運んできて柱の上に据え付け,風車をケーブルで繋ぐ,15万ボルトに昇圧して陸地の送電網に繋ぐ,おそらく全部で10万KW内外の設備のようだった,あれでやっと10万KWだ。
オバマ大統領候補は,あんなものを系統の20%まで入れよう,と言っているし,フィリッピンではあのような国産エネルギーを60%にしようと言っている。風力と太陽光の日間,年間の発電負荷曲線を書いて,それを系統の20%,30%,入れると,需要との関係がどうなるのか,一度絵を描いてみる必要がある,とんでもない容量のバッテリーが必要になるのだろう。
考えてみれば,水力も本来は太陽光とか風力と同じような発電パターンになるのだが,水力の場合はダムという手段があって,需要の形に合わせた発電が出来るようになっている。最近は渇水で,必ずしも調整が円滑に行っていないが,それでも経済的に成り立つような手段が用意されている。揚水発電所の活用は,ある程度規模が必要だし,水の上げ下げのロスがあって,再生可能用には無理だろう。
ネパールやパキスタン,電力不足に悩んでいるが,彼等も十分大きな規模のダムがあれば,水力開発で安定した電力が得られる,と言うことで,計画を進めている。今日の記事になっているディアマー-バシャダム(注1)は,4,500MWと言う壮大な計画で,600億トンぐらいの貯水容量を持つために,約3万人の水没移住がでる。資金の見込みのない中で,勇敢にも着工に踏み切っている。
いわば,日本の佐久間ダムや黒四ダム着工前夜,中国の三峡ダム着工前夜,みたいな雰囲気で,これで盛り上がらなければ,政治が持たない,と言う事情もある。大統領を初め国のトップ同士が,その資金調達に奔走している。頼みは中国であり,またパキスタンにとっては中東も頼りになる資金源であるが,最近の金融情勢,原油の値下がりで,先行き甚だ不透明である。
(注) (30) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081216.htm,(31) 知的送電網,(32) smart grid,
(注) (1) Diamer Basha Dam,(2) North West Frontier Province,(3) Northern Areas,(4) Prime Minister Syed Yousuf Raza Gilani,(5) Planning Commission,(6) Ministry of Water and Power,(7) WAPDA,(8) Awami National Party central leader Senator Haji Adeel,(9) Ghazi Brotha Dam,(10) Punjab,(11) Executive Committee of the National Economic Council,(12) Basha Dam,(13) million acre feet,(14) http://my.reset.jp/adachihayao/index081105.htm,(15) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081020A.htm,(16) Munda dam,(17)
本文
●パキスタンのバシャダム,発電所位置で,裁定委員会設置
パキスタンのディアマー-バシャダム(注1)については,2008年11月5日付本HP(注14)で取り上げている。また,2008年10月20日付け本HP(注15)で,「2008年,今年の4月に,ドイツのラメイヤーの詳細設計が完成した記事がある。このインダス川の上流に建設される大規模なダム計画,バシャダイムラープロジェクト(注1)は,資金調達を待たずに当時の大統領は着工を命令している。北京の支援がある。」,と。
パキスタン連邦政府は,125億ドルのディアマ-バシャダム(注1)の発電所位置,北西辺境州NWFP(注2)か北部地域NA(注3)か,についての正確な位置を決定するための委員会設置を決めた。ジラニ首相(注4)は,ディアマ-バシャダム(注1)の便益地元還元を,NWFP(注2)とNA(注3)でどの様に配分すべきかの決定を行う委員会設置,これを決めたのである。計画委員会(注5)副委員長が主宰することになる。
この委員会は,計画委員会(注5)事務局,水資源電力省(注6),WAPDA(注7)総裁,各NWFP(注2)とNA(注3)の代表によって構成される。NWFP(注2)とNA(注3)は,便益地元還元に影響してくる発電所の位置で,意見がまとまっていない。NA(注3)は,ディアマ-バシャダム(注1)の99%の土地がNA(注3)管轄内だ,と主張し,NWFP(注2)は,発電所位置がその管轄下にあり,便益地元還元を主張している。
本来,地元還元は発電所位置によって決められることになっている。委員会はまだ開かれていない。アディール国会議員(注8)は意見を求められて,ガジバロタダム(注9)の例を挙げ,発電所がパンジャブ州(注10)にあったのでNWFP(注2)は便益地元還元を主張しなかった,どちらもパキスタン人だからこだわらない,と言っている。
国家経済委員会役員会議ECNEC(注11)は最近になって,バシャダム(注12)の用地買収費用を,1,160億ルピーから600億ルピーに減額している。政府は既に,アクセス道路の建設費用,20億ルピーを支出した。着工は2009年度である。ディアマ-バシャダム(注1)の移住人口は,4,135家族,28,640人であり,発電所出力は,4,500MW,ダムの貯水容量は,6.4MAF(注13)である。
この便益地元還元,所謂,ロイヤリティ,と言われるものについては,憲法にその記述があるという。我々も,ムンダダム(注16)の調査の経験から,パキスタンに於ける州政府の強さを知っている。そうして,この便益地元還元が,日本の電源特会に似通っていることも一つの関心事だ。便益を地元に落とす,という制度が,これほど早く,また憲法で決められている,と言うのは驚きである。
(注) (1) Diamer Basha Dam,(2) North West Frontier Province,(3) Northern Areas,(4) Prime Minister Syed Yousuf Raza Gilani,(5) Planning Commission,(6) Ministry of Water and Power,(7) WAPDA,(8) Awami National Party central leader Senator Haji Adeel,(9) Ghazi Brotha Dam,(10) Punjab,(11) Executive Committee of the National Economic Council,(12) Basha Dam,(13) million acre feet,(14) http://my.reset.jp/adachihayao/index081105.htm,(15) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081020A.htm,(16) Munda dam,(17)
パキスタン,大規模ダムプロジェクト位置
http://my.reset.jp/~adachihayao/08040401.jpg
バシャダム,貯水池の概要
http://my.reset.jp/~adachihayao/08040402.jpg
バシャダム,ダム構造平面,高さ281m
http://my.reset.jp/~adachihayao/08040403.jpg
●フィリッピン,規制委員会,料金自動調整で公式提示
電力規制委員会ERC(注17)は,現実の電力コストを電気料金に反映させるための,NPC(注18)の燃料及び買電コスト調整FPPCA(注19)と為替レート関連調整FXA(注20)の自動調整に関する公式を作成した。しかし,実際の公布は,関係者からの意見を求める公聴会形式で,2009年1月16日に意見を求めて,それ以降となる。
燃料コスト調整については,その期間に応じたヒートレート上限と売り上げによって,調整しなければならない。また,シンガポール平均MOPS(注21)も参考にする。混乱している為替レートについては,初期値として,USドル当たり44.049ペソとしている。NPC(注18)コスト関連の調整については,資産売却の生産方法などで,混乱している。提案では,暫定供給契約TSC(注22)に基づいている。
ERC(注17)の提案では,自動調整を改めてERC(注17)が見直して承認することになっている。少なくとも,12ヶ月毎に,買電コスト調整FPPCA(注19)と為替レート関連調整FXA(注20)を,実際の収入に照らして検討する。規定にあるように,発電料金は,買電コスト調整FPPCA(注19)と為替レート関連調整FXA(注20)を参照することになる。
(注) (17) Energy Regulatory Commission, Philippines,(18) National Power Corporation,(19) fuel and purchased power cost adjustment,(20) Foreign Exchange-Related Cost Adjustment,(21) Mean of Platts Singapore,(22) transition supply contracts,(23)
●ネパール最大のカリガンダキ発電所,144MW,停止の可能性
電力不足で停電の続くネパール,ネパール電力庁NEA(注23)の維持管理担当部門によると,国内最大,144MW,カリガンダキA水力発電所(注24)が,機会上のトラブルで深刻な状態にあり,緊急に処置をしなければ,運転停止の危険性がある。単機48MWであるが,3つのフランシス水車(注25)のうち,第1及び3号機の重要なデーターの更新が出来ない状態に陥っているという。
NEA(注23)のジャー土木計画局長(注26)によると,通常は自動で更新されるデータが更新されないと言う。コントローラーPLC(注27)とコンピューターの間のデータやりとりが自動で出来ず,主導でやっていたが,限界だという。各タービンは,3年ごとにNEAがオーバーホールしているが,これも流砂と摩擦で問題が生じている。
ランジット所長(注28)によると,カリガンダキA水力発電所(注24)は,夕方のピーク時に,110MWを発電しており,その他の時間は,60~65MWで運転している。水が十分にあれば,5~6時間,144MW運転が可能である。この機械は,フランス企業で製作されたもので,新規のソフトの更新が必要と思われる。ネパールでは不可能で,フランスから技術者を招く必要がある。スペアー購入も,10.8百万ルピーが必要である。
NEA(注23)は現在深刻な電力不足に陥っており,日常,400MWが不足している。もし国内最大,144MW,カリガンダキA水力発電所(注24)が停止するようなことになれば,電力危機を増大し,社会的な問題となる可能性がある。東芝の資料の中に,水車の摩耗対策として,東芝の技術が使われている,と言う記述がある。Aではないかも知れない。
(注) (23) Nepal Electricity Authority NEA,(24) Kaligandaki 'A' hydropower plant,(25) Francis turbine,(26) Dr Jivendra Jha, director-general of the civil and planning department of NEA,(27) Programmable Logic Controller,(28) Jujukaji Ranjit, project manager at Kaligandaki 'A,',(29)
参考資料
パキスタン
●081221A Pakistan, thenews
パキスタンのバシャダム,発電所位置で,裁定委員会設置
Body formed to resolve royalty issue
http://www.thenews.com.pk/daily_detail.asp?id=152744
フィリッピン
●081221B Philippines, Manila Bulletin
フィリッピン,規制委員会,料金自動調整で公式提示
ERC sets formula on automatic recovery of NPC’s purchased power, forex costs
http://www.mb.com.ph/BSNS20081221143823.html
ネパール
●081221C Nepal, kantipuronline
ネパール最大のカリガンダキ発電所,144MW,停止へ
Snags may shut Kaligandaki NEA
http://www.kantipuronline.com/kolnews.php?&nid=171297
2008年12月21日日曜日
フィリッピンの電気料金は民営化で下がるか
HPは下記ドメインです。写真地図など見て下さい。
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
フィリッピン商工会議所PCCI(注1)の電気料金に対する圧力は,ますます激しくなってくる。フィリッピンがKWh当たり14セントとして,タイやベトナム,インドネシアでは,5~7セントぐらいで推移しているから,半導体などの業種は,フィリッピンから逃げ出すのではないか,と懸念されている。一方でアロヨ政権は,なぜフィリッピンだけ電気料金が高いのか,と国民や国会から迫められ続けている。
その上,最近見てきたとおり,国産再生可能エネルギーの重視で,電気料金はますます高くなる可能性を孕んでいる。電気料金の問題と国産再生可能エネルギーとは全く矛盾する話なのである。2008年半ばには,原油が高かったから,再生可能エネルギー開発の制度の問題に拍車がかかったが,今となれば,全く矛盾した話になってきてしまった。原油が将来どうなるか,は勿論分からないが,今日安いと言うのは現実の問題だ。
今日のフィリッピン商工会議所PCCI(注1)のトップ,アレジャンドロ副総裁(注2)の発言も,競争市場の導入で,投資は増え,電気料金は安くなる,と言う前提で,民営化の加速を要請している。アレジャンドロ副総裁(注2)が本当にそう信じているのかどうか,よく分からないが,とにかくNPC(注3)の資産売却の促進を求めていることは事実である。
民営化は,民間セクターの投資と競争を促し,電気料金を真の値に近づけるまで,安くすることが出来る,と。「我々は,投資家達が来て投資を実際に行うような市場環境を造らなければならない。もしそうすることが出来るなら,早期に金融危機を克服できるだろう。」,と。アレジャンドロ副総裁(注2)は,今の原油価格下落に甘えるべきでない,米国経済が回復すれば,原油は再び上がってくるだろう,と考えている。
私は,フィリッピンの電気料金を下げることは,電力改革によっては成功しないと思っている。元々フィリッピンには資源がなかったのだから,電気料金は高くならざるを得なかったのだと思う。先日も思いを述べたが,中国,タイ,インドネシア,ベトナム,インド,など,発展するその最盛期に,石炭資源を国内に抱えていたことが,それが有利に働いた。日本の経済が立ち上がったときは,原油が安かった,と言うことだ。
今日のアレジャンドロ副総裁(注2)の発言の中で,少し興味をそそるのは,フィリッピンが100年かかって行ったボーリングの量を,インドネシアは1年で実施している,何とか海外資本を激励して,ここに来て掘らせる必要がある,と言っている言葉だ。発展すれば何処でもガスが出てくる,と言う現実は疑いもない。フィリッピンもマランパヤでガスが出たから,もっと掘ればもっと出る,と言うことになる。
ただ,原油がバレル150ドルもすれば,皆掘ろうとするが,30ドルでは誰も堀りに来ない,と言う現実がある。国産エネルギーに重点を置くのか,再生可能エネルギーに重点を置くのか,がここで問題になってくる。経済の動きにゆられ続けるフィリッピンの問題は,やはり持たざる国の悩みなのか。例えば,インドネシアは迷わず安い石炭火力に集中して開発している,安い電気料金を維持せざるを得ないから,と言っていいだろう。
(注) (1) Philppine Chamber of Commerce and Industry,(2) PCCI vice president for energy Jose S. Alejandro,(3) National Power Corp,(4) Independent Power Producer,(5) Independent Power Producer (IPP) Administrator,(6)
本文
●フィリッピン,商工会議所,NPCの民営化を急げと
フィリッピン商工会議所PCCI(注1)のトップは,次のように信じている,政府の有する電源資産の民営化は,10億~20億ドルの投資を呼び込み,フィリッピンはこの世界金融危機を乗り切りことができると。PCCI(注1)のアレジャンドロ副総裁(注2)は,政府は予定されている国家発電公社NPC(注3)の資産売却予定100%年内のスピードを上げる必要がある,と主張している。
また,この民営化は,民間セクターの投資と競争を促し,電気料金を真の値に近づけるまで,安くすることが出来る,と。「我々は,投資家達が来て投資を実際に行うような市場環境を造らなければならない。もしそうすることが出来るなら,早期に金融危機を克服できるだろう。」,と。アレジャンドロ副総裁(注2)は,今の原油価格下落に甘えるべきでない,米国経済が回復すれば,原油は再び上がってくるだろう,と考えている。
フィリッピンの電気料金は,アジアで日本に次いで高く,電気料金を下げようとしている他の国に比べて,まだまだ競争が足りない。アレジャンドロ副総裁(注2)は,電気料金が高くまだ下げなければならない,と。また,国産のガスと原油のロイヤリティを下げて,この先6ヶ月を目指して,IPP(注4)の経営者(注5)の参入を急がせなければならない。IPP(注4)の経営者(注5)は,燃料コストを下げ,効果的な民間運営を持ち込む。
エネルギーの自給率を高めるために,アレジャンドロ副総裁(注2)は,政府が原油探査を,海外資本に解放しなければならないと考えている。彼が言うには,フィリッピンが100年かかって行ったボーリングを,インドネシアは1年で実施している,何とか海外資本を激励して,ここに来て掘らせる必要がある,と。この視点は,フィリッピンでは初めて聞くせりふだ。
(注) (1) Philppine Chamber of Commerce and Industry,(2) PCCI vice president for energy Jose S. Alejandro,(3) National Power Corp,(4) Independent Power Producer,(5) Independent Power Producer (IPP) Administrator,(6)
●インド,電力で,100%外国資本のプロジェクトを認める
ラメッシュ副大臣(注6)が,電力全般について,その政策を話している。産業情報資源社(注7)がまとめたものである。最近,インド政府は,発電,送電,配電一貫での電力事業について,100%外国資本による投資を認めることにした。しかし,原子力開発にはこの方針は適用されない。しかし金融危機の折り,その目標は定めていないが,ラメッシュ副大臣(注6)は,政府として出来る限りの刺激策は採っている,と。
インドは,ブータン政府(注8)と,2020年までに,5000MWの電力輸入について文書で合意している。インド自身が,輸入するために,開発の参加する計画である。2006年に,水力プロジェクトと関連送電線の推進に,インドとブータンは合意している。また,公益事業ばかりでなく民間事業の参入も合意している。ブータン政府は,100MWを越す水力プロジェクトについて,外国資本の100%参入も認めている。
インド企業は,ブータンからの電力輸入が出来る唯一の国だから,ブータンが電力セクターの民営化への努力を,資本の面から支援しようとしている。2008年7月,タタ電力(注9)は,ブータン政府と,114MW,ダガチュー川(注10)の流れ込み式水力(注11)の開発で,連携することになっている。タタ電力(注9)は,開発主体のダガチュー水力会社(注12)の株式26%を分担している。地元企業,龍緑発電会社(注13)が主体。
発電した電力は,タラ送電線(注14)によってインドの東地域に入り,タタ電力(注9)の有するタタ電力取引会社(注15)によって引き取られる。また,エッサール電力(注16)は,840百万ドルの500MW水力プロジェクトを準備することを発表している。このプロジェクトは,BOOT方式(注17)か,ブータン政府との合弁か,どちらかの方式となる。発電した大部分は,インドに輸入される。
また,ラメッシュ副大臣(注6)は,4,000MW,大規模火力開発計画UMPP(注18)について,その開発に際し,その推進のために電力省は,料金競争入札方式(注19)を採用する,と。火力発電所は,超臨界圧技術(注20)を採用し,立地は炭坑近辺か海岸地域か,その水源,用地,道路や鉄道の利便さ,などを考慮して決める,と言っている。
(注) (6) Jairam Ramesh, Minister of Power,(7) Industrial Info Resources,(8) Royal Government of Bhutan,(9) Tata Power Company Limited (Mumbai),(10) Dagachhu River,(11) run-of-the-river hydropower project,(12) Dagachhu Hydro Power Corporation Limited,(13) Druk Green Power Corporation Limited (Thimphu, Bhutan),(14) Tala Transmission Link,(15) Tata Power Trading Company Limited (Mumbai),(16) Essar Power Limited (Mumbai),(17) build-own-operate-transfer,(18) Ultra Mega Power Projects,(19) tariff-based competitive bidding route,(20) supercritical technology,(21)
●南部スマトラ,インドなどが発電所など,40億ドル投資へ
インド籍アルミ企業NALCO(注21)とUAE(注22)のミネラル企業RMMI(注23)は,40億ドルを投じて,南スマトラのタンジュンアピアピ(注24)に,発電所を含めたアルミナからアルミニューム(注25)への精錬所を建設することで,MOUに署名した。署名後,NALCO(注21)のバルガ財務担当重役(注26)は,工事にはまもなく着手し,精錬所の運転開始は,2013年と考えている,と話した。
バルガ財務担当重役(注26)によると,20億ドルが精錬所の建設費で,15億ドルが発電所,港湾,鉄道の建設に当てられる。インドのアルミナ生産は年210万トンで,このうち100万トンを南スマトラに運び,年間50万トンのアルミニュームを製造する。インドネシアの良質な石炭により発電所を利用することがより効率的,と判断したようだ。
自家用となる石炭火力発電所の出力は,1,250MWで,年間500万トンの石炭を必要としている。NALCO(注21)とRMMI(注23)は現在,地元の石炭業者と話を進めている。40億ドルのうち3分の2がローンで,資本は,RMMI(注23)が24%,NALCO(注21)が76%の模様。NALCO(注21)は一部,地元鉱業企業の参加を考えており,Antam(注27)などと話を進めている。また,ジャカルタ証券市場(注28)上場も考慮中。
インドネシア政府のシハブ中東担当大統領顧問(注29)は,このMOUは,インドネシアがまだ魅力的な投資市場であることを示しているが,多くのMOUが棚上げされているので,その実現のための関係者の努力を要請する,と。バルガ財務担当重役(注26)は,世界金融危機は好ましくないが,この精錬プロジェクトが完成する2,3年後には,経済が好転しているものと考えて,推進している,と語っている。
(注) (21) National Aluminium Company Ltd (NALCO),(22) United Arab Emirates,(23) Ras Al Khaimah Minerals and Metals Investment FZ LLC,(24) Tanjung Api-api,(25) alumina into aluminum,(26) NALCO’s finance director B.L. Bagra,(27) PT Aneka Tambang,(28) Jakarta stock exchange,(29) Alwi Shihab, President Susilo Bambang Yudhoyono’s special envoy to the Middle East,(30)
参考資料
フィリッピン
●081220A Philippines, Manila Bulletin
フィリッピン,商工会議所,NPCの民営化を急げと
PCCI urges speedier Napocor privatization
http://www.mb.com.ph/BSNS20081220143748.html
インド
●081220B India, pump-zone
インド,電力で,100%外国資本のプロジェクトを認める
India Approves 100 Percent Foreign Investment in Power Sector
http://www.pump-zone.com/global-news/global-news/india-approves-100-percent-foreign-investment-in-power-sector-plans-to-import-power-from-bhutan.html
インドネシア
●081220C Indonesia, The Jakarta Post
南部スマトラ,インドなどが発電所など,40億ドル投資へ
India, UAE firms to build $4b smelter
http://www.thejakartapost.com/news/2008/12/20/india-uae-firms-build-4b-smelter.html
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
フィリッピン商工会議所PCCI(注1)の電気料金に対する圧力は,ますます激しくなってくる。フィリッピンがKWh当たり14セントとして,タイやベトナム,インドネシアでは,5~7セントぐらいで推移しているから,半導体などの業種は,フィリッピンから逃げ出すのではないか,と懸念されている。一方でアロヨ政権は,なぜフィリッピンだけ電気料金が高いのか,と国民や国会から迫められ続けている。
その上,最近見てきたとおり,国産再生可能エネルギーの重視で,電気料金はますます高くなる可能性を孕んでいる。電気料金の問題と国産再生可能エネルギーとは全く矛盾する話なのである。2008年半ばには,原油が高かったから,再生可能エネルギー開発の制度の問題に拍車がかかったが,今となれば,全く矛盾した話になってきてしまった。原油が将来どうなるか,は勿論分からないが,今日安いと言うのは現実の問題だ。
今日のフィリッピン商工会議所PCCI(注1)のトップ,アレジャンドロ副総裁(注2)の発言も,競争市場の導入で,投資は増え,電気料金は安くなる,と言う前提で,民営化の加速を要請している。アレジャンドロ副総裁(注2)が本当にそう信じているのかどうか,よく分からないが,とにかくNPC(注3)の資産売却の促進を求めていることは事実である。
民営化は,民間セクターの投資と競争を促し,電気料金を真の値に近づけるまで,安くすることが出来る,と。「我々は,投資家達が来て投資を実際に行うような市場環境を造らなければならない。もしそうすることが出来るなら,早期に金融危機を克服できるだろう。」,と。アレジャンドロ副総裁(注2)は,今の原油価格下落に甘えるべきでない,米国経済が回復すれば,原油は再び上がってくるだろう,と考えている。
私は,フィリッピンの電気料金を下げることは,電力改革によっては成功しないと思っている。元々フィリッピンには資源がなかったのだから,電気料金は高くならざるを得なかったのだと思う。先日も思いを述べたが,中国,タイ,インドネシア,ベトナム,インド,など,発展するその最盛期に,石炭資源を国内に抱えていたことが,それが有利に働いた。日本の経済が立ち上がったときは,原油が安かった,と言うことだ。
今日のアレジャンドロ副総裁(注2)の発言の中で,少し興味をそそるのは,フィリッピンが100年かかって行ったボーリングの量を,インドネシアは1年で実施している,何とか海外資本を激励して,ここに来て掘らせる必要がある,と言っている言葉だ。発展すれば何処でもガスが出てくる,と言う現実は疑いもない。フィリッピンもマランパヤでガスが出たから,もっと掘ればもっと出る,と言うことになる。
ただ,原油がバレル150ドルもすれば,皆掘ろうとするが,30ドルでは誰も堀りに来ない,と言う現実がある。国産エネルギーに重点を置くのか,再生可能エネルギーに重点を置くのか,がここで問題になってくる。経済の動きにゆられ続けるフィリッピンの問題は,やはり持たざる国の悩みなのか。例えば,インドネシアは迷わず安い石炭火力に集中して開発している,安い電気料金を維持せざるを得ないから,と言っていいだろう。
(注) (1) Philppine Chamber of Commerce and Industry,(2) PCCI vice president for energy Jose S. Alejandro,(3) National Power Corp,(4) Independent Power Producer,(5) Independent Power Producer (IPP) Administrator,(6)
本文
●フィリッピン,商工会議所,NPCの民営化を急げと
フィリッピン商工会議所PCCI(注1)のトップは,次のように信じている,政府の有する電源資産の民営化は,10億~20億ドルの投資を呼び込み,フィリッピンはこの世界金融危機を乗り切りことができると。PCCI(注1)のアレジャンドロ副総裁(注2)は,政府は予定されている国家発電公社NPC(注3)の資産売却予定100%年内のスピードを上げる必要がある,と主張している。
また,この民営化は,民間セクターの投資と競争を促し,電気料金を真の値に近づけるまで,安くすることが出来る,と。「我々は,投資家達が来て投資を実際に行うような市場環境を造らなければならない。もしそうすることが出来るなら,早期に金融危機を克服できるだろう。」,と。アレジャンドロ副総裁(注2)は,今の原油価格下落に甘えるべきでない,米国経済が回復すれば,原油は再び上がってくるだろう,と考えている。
フィリッピンの電気料金は,アジアで日本に次いで高く,電気料金を下げようとしている他の国に比べて,まだまだ競争が足りない。アレジャンドロ副総裁(注2)は,電気料金が高くまだ下げなければならない,と。また,国産のガスと原油のロイヤリティを下げて,この先6ヶ月を目指して,IPP(注4)の経営者(注5)の参入を急がせなければならない。IPP(注4)の経営者(注5)は,燃料コストを下げ,効果的な民間運営を持ち込む。
エネルギーの自給率を高めるために,アレジャンドロ副総裁(注2)は,政府が原油探査を,海外資本に解放しなければならないと考えている。彼が言うには,フィリッピンが100年かかって行ったボーリングを,インドネシアは1年で実施している,何とか海外資本を激励して,ここに来て掘らせる必要がある,と。この視点は,フィリッピンでは初めて聞くせりふだ。
(注) (1) Philppine Chamber of Commerce and Industry,(2) PCCI vice president for energy Jose S. Alejandro,(3) National Power Corp,(4) Independent Power Producer,(5) Independent Power Producer (IPP) Administrator,(6)
●インド,電力で,100%外国資本のプロジェクトを認める
ラメッシュ副大臣(注6)が,電力全般について,その政策を話している。産業情報資源社(注7)がまとめたものである。最近,インド政府は,発電,送電,配電一貫での電力事業について,100%外国資本による投資を認めることにした。しかし,原子力開発にはこの方針は適用されない。しかし金融危機の折り,その目標は定めていないが,ラメッシュ副大臣(注6)は,政府として出来る限りの刺激策は採っている,と。
インドは,ブータン政府(注8)と,2020年までに,5000MWの電力輸入について文書で合意している。インド自身が,輸入するために,開発の参加する計画である。2006年に,水力プロジェクトと関連送電線の推進に,インドとブータンは合意している。また,公益事業ばかりでなく民間事業の参入も合意している。ブータン政府は,100MWを越す水力プロジェクトについて,外国資本の100%参入も認めている。
インド企業は,ブータンからの電力輸入が出来る唯一の国だから,ブータンが電力セクターの民営化への努力を,資本の面から支援しようとしている。2008年7月,タタ電力(注9)は,ブータン政府と,114MW,ダガチュー川(注10)の流れ込み式水力(注11)の開発で,連携することになっている。タタ電力(注9)は,開発主体のダガチュー水力会社(注12)の株式26%を分担している。地元企業,龍緑発電会社(注13)が主体。
発電した電力は,タラ送電線(注14)によってインドの東地域に入り,タタ電力(注9)の有するタタ電力取引会社(注15)によって引き取られる。また,エッサール電力(注16)は,840百万ドルの500MW水力プロジェクトを準備することを発表している。このプロジェクトは,BOOT方式(注17)か,ブータン政府との合弁か,どちらかの方式となる。発電した大部分は,インドに輸入される。
また,ラメッシュ副大臣(注6)は,4,000MW,大規模火力開発計画UMPP(注18)について,その開発に際し,その推進のために電力省は,料金競争入札方式(注19)を採用する,と。火力発電所は,超臨界圧技術(注20)を採用し,立地は炭坑近辺か海岸地域か,その水源,用地,道路や鉄道の利便さ,などを考慮して決める,と言っている。
(注) (6) Jairam Ramesh, Minister of Power,(7) Industrial Info Resources,(8) Royal Government of Bhutan,(9) Tata Power Company Limited (Mumbai),(10) Dagachhu River,(11) run-of-the-river hydropower project,(12) Dagachhu Hydro Power Corporation Limited,(13) Druk Green Power Corporation Limited (Thimphu, Bhutan),(14) Tala Transmission Link,(15) Tata Power Trading Company Limited (Mumbai),(16) Essar Power Limited (Mumbai),(17) build-own-operate-transfer,(18) Ultra Mega Power Projects,(19) tariff-based competitive bidding route,(20) supercritical technology,(21)
●南部スマトラ,インドなどが発電所など,40億ドル投資へ
インド籍アルミ企業NALCO(注21)とUAE(注22)のミネラル企業RMMI(注23)は,40億ドルを投じて,南スマトラのタンジュンアピアピ(注24)に,発電所を含めたアルミナからアルミニューム(注25)への精錬所を建設することで,MOUに署名した。署名後,NALCO(注21)のバルガ財務担当重役(注26)は,工事にはまもなく着手し,精錬所の運転開始は,2013年と考えている,と話した。
バルガ財務担当重役(注26)によると,20億ドルが精錬所の建設費で,15億ドルが発電所,港湾,鉄道の建設に当てられる。インドのアルミナ生産は年210万トンで,このうち100万トンを南スマトラに運び,年間50万トンのアルミニュームを製造する。インドネシアの良質な石炭により発電所を利用することがより効率的,と判断したようだ。
自家用となる石炭火力発電所の出力は,1,250MWで,年間500万トンの石炭を必要としている。NALCO(注21)とRMMI(注23)は現在,地元の石炭業者と話を進めている。40億ドルのうち3分の2がローンで,資本は,RMMI(注23)が24%,NALCO(注21)が76%の模様。NALCO(注21)は一部,地元鉱業企業の参加を考えており,Antam(注27)などと話を進めている。また,ジャカルタ証券市場(注28)上場も考慮中。
インドネシア政府のシハブ中東担当大統領顧問(注29)は,このMOUは,インドネシアがまだ魅力的な投資市場であることを示しているが,多くのMOUが棚上げされているので,その実現のための関係者の努力を要請する,と。バルガ財務担当重役(注26)は,世界金融危機は好ましくないが,この精錬プロジェクトが完成する2,3年後には,経済が好転しているものと考えて,推進している,と語っている。
(注) (21) National Aluminium Company Ltd (NALCO),(22) United Arab Emirates,(23) Ras Al Khaimah Minerals and Metals Investment FZ LLC,(24) Tanjung Api-api,(25) alumina into aluminum,(26) NALCO’s finance director B.L. Bagra,(27) PT Aneka Tambang,(28) Jakarta stock exchange,(29) Alwi Shihab, President Susilo Bambang Yudhoyono’s special envoy to the Middle East,(30)
参考資料
フィリッピン
●081220A Philippines, Manila Bulletin
フィリッピン,商工会議所,NPCの民営化を急げと
PCCI urges speedier Napocor privatization
http://www.mb.com.ph/BSNS20081220143748.html
インド
●081220B India, pump-zone
インド,電力で,100%外国資本のプロジェクトを認める
India Approves 100 Percent Foreign Investment in Power Sector
http://www.pump-zone.com/global-news/global-news/india-approves-100-percent-foreign-investment-in-power-sector-plans-to-import-power-from-bhutan.html
インドネシア
●081220C Indonesia, The Jakarta Post
南部スマトラ,インドなどが発電所など,40億ドル投資へ
India, UAE firms to build $4b smelter
http://www.thejakartapost.com/news/2008/12/20/india-uae-firms-build-4b-smelter.html
2008年12月20日土曜日
インド北辺水力開発に変わった兆し
HPは下記ドメインです。写真地図など見て下さい。
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
今日のワシントンポストは,OPECが日220万トン減産を決定したにもかかわらず,1月もの原油が更に下がって,バレル33ドル台,と特に報じている。2008年7月,バレル147ドルを付けた当時,米国大統領選挙は盛り上がっており,オバマ候補の,再生可能エネルギー20%まで開発,の提案に多くの人が好感を持ち,またアジアでも,フィリッピン政府の再生可能エネルギー法案の成立に向かって,勢いがついた。
今,バレル33ドルの現実を前に,世界の人たちの心理にどの様な変化が起こっているだろうか。人類は今までに1兆バレルの原油を消費して,まだ1兆バレル残っている。原油の包蔵から見れば,道半ばである。2030年にはバレル200ドル,という原稿をIEAが書いた当時は,まだ100ドルを超えており,抵抗なく,このIEAの報告書は,世界の人々は受け入れた。それは今でも変わっていないだろう。
昭和48年頃の石油危機の頃を思い浮かべると,石油が高いから水力を開発する,国産エネルギーを開発する,と大きなかけ声で日本ばかりでなく世界も叫んでいた頃,その声に応じて原油の値段は下がってきた。再生可能エネルギーを開発するぞ,国産エネルギーに切り替えるぞ,と言う声が,実際には何もやらなくても,原油の価格を抑えることに繋がってきた,と言うと反論もあるだろうか。
地球温暖化,気候変動への人類最後の戦い,と私が位置づけるインド北辺の水力,今日は不思議な記事を二つ取り上げた。一つは中国で書かれたネパールの水力開発の記事であり,もう一つは,インド西北,ヒマチャルプラデシュ州の記事である。いずれも分かりにくい記事で,それがどうした,という解説はない。しかし私は,この二つの記事に,不思議な,微妙な変化を感じ取る。
ネパールのマオイスト政権が発足して,やっと平和が訪れ,インド企業が大挙してネパールの押し寄せ,次から次へと水力プロジェクトを決めって行っている。難しかったネパールが,やっとエネルギーのインドの裏庭になりつつある,と皆考えている。そこに,中国がその根幹を抑えるような企業を押し込んできた。西安の西北観測設計研究院が,ネパール水力の財務支援の重要なパートナーになるという。
もう一つのヒマチャルプラデシュ州。先日から,中小規模の水力にこだわり,ADBも流れ込み式水力に限って,と条件を付けて8億ドルの支援を約束したり,何か動きがおかしいなあ,と思っていたら,今日は,多くの中小規模の水力のBOOT入札に於いて,インドを代表する大規模企業を落として,中小規模の企業を重視,12地点,約1,400,MWの契約に踏み切った。
最初の記事は,中国で書かれているから,何かネパールの水力開発の中に,戦略的に手を突っ込んでいこうとする中国の意図が感じられる。また記事中の,ブラマプトラ-メコン基金(注3)と称するものは,この記事以外に存在しない。中国内にその様なものがある可能性がある。また,ヒマチャルプラデッシュ州(注8)政府の中に,それは州のための開発,環境を守りたいという感情,これがそうさせている可能性を感じる。
(注) (1) Nepali Clean Energy Development Bank,(2) Northwest Hydro Consulting Engineers,(3) Brahmaputra-Mekong Fund,(4) FMO --
an international development bank,(5) Tridos Bank,(6) Hydro Fund,(7) http://www.nwh.cn/(gcwwvuuffwb25j45gbl12mvb)/index.aspx,(8)
(注) (8) Himachal Pradesh,(9) Shimla,(10) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081024D.htm,(11) Asian Development Bank,(12) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081124C.htm,(13) Himachal Pradesh Chief Minister Prem Kumar Dhumal,(14) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081124C.htm,(15) Tata Power,(16) Larsen and Toubro,(17) Essar Power,(18) Bhilwara Group,(19) GMR Infrastructure,(20) Moserbaer,(21) DCM Sriram Infrastructure,(22) Jindal Steel and Power,(23) Reoli Dugli,(24) Seli,(25) Teling,(25) Miyar,(26) Sach Khas,(27) Lara,(28) Kuling Lara,(29) Mane Nadang,(30) Khoksar,(31) Tinget,(32) Patel Engineering,(33) Chamba district,(34) Dugar project,(35) ANS Construction,(36) Kilhi Bahl project,(37) build-own-operate-and-transfer,(38)
本文
●ネパールの銀行,中国企業と戦略的連携へ
この記事は中国紙のものである。ネパールの水力開発はなかなか複雑になってきた。ネパールのプラチャンダ首相が,10年間で,10,000MWを開発する,と宣言して,大いにインドとの連携を深める情勢にあるが,ここに来て中国の攻勢が強くなってきた。ネパールとしては両国との協力が必要,と言うことだが,インドとしては電力の買い手であり,政治的に安定した,自分の裏にはであって欲しいと思うだろう。
ネパールクリーンエネルギー開発銀行CEDB(注1)は,世界的に主導するコンサルタントの一つ,中国企業の北西水力コンサルタントNWH(注2)と,戦略的パートナーシップの合意書に署名した。これは,いろいろなレベルの水力地点の調査を行い,ネパールの中規模及び大規模な水力の技術的財務的な分析を行うことを,目的としている。これは,CEDB(注1)内のスタッフとNWH(注2)のノウハウを,一体化して行う。
合意書によれば,中国人専門家を効果的に活用するために,NWH(注2)がカトマンズに,熟練したスタッフが常駐するオフィスを設立する。更に,CEDB(注1),いろいろな段階にある水力開発のライセンスを有する投資企業に,資本金と負債部分を提供する準備に入っている,ことが書かれている。この署名の前にCEDB(注1)は,ブラマプトラ-メコン基金(注3)と,エネルギーセクターに,1億ドルまでの投資計画に署名している。
同じように,オランダの国際開発銀行FMO(注4)とトリドス銀行(注5)とも契約を行っている。また,CEDB(注1)は最近,かってなかった規模の,準備段階の水力支援のための水力基金(注6)を,250~300百万ルピー,約3.3~4百万ドル相当,の規模で設定準備に入っている。トリドス銀行(注5)は英国籍のようだ。
この記事は何とも不思議な記事である。中国で書かれているから,何かネパールの水力開発の中に,戦略的に手を突っ込んでいこうとする中国の意図が感じられる。NWH(注2)とは,西安にある中国水電顧問集団西北観測設計研究院(注7)のことである。また,ブラマプトラ-メコン基金(注3)と称するものは,この記事以外に存在しない。中国内にその様なものがある可能性がある。
(注) (1) Nepali Clean Energy Development Bank,(2) Northwest Hydro Consulting Engineers,(3) Brahmaputra-Mekong Fund,(4) FMO -- an international development bank,(5) Tridos Bank,(6) Hydro Fund,(7) http://www.nwh.cn/(gcwwvuuffwb25j45gbl12mvb)/index.aspx,(8)
●インド,ヒマッチャルプラデッシュ,水力開発で,小規模会社重視
ヒマチャルプラデッシュ州(注8),シムラ(注9)を州都に持つ山岳地帯で,ニューデリーの北にあり,水力発電の宝庫である。そのヒマチャルプラデッシュ州(注8)に何か動きがある,という予感がしていた。2008年1024日付本HP(注10)では,ADB(注11)が,流れ込み式水力(注14)にこだわって8億ドル供与,2008年11月24日付け本HP(注14)では,ドウマル州政府首相(注13)は,水力開発にのめり込む決意,などなど。
インドの名だたる大企業,タタ電力(注15),L&T(注16),エッサール電力(注17),ビルワラ(注18),GMR(注19)などが,ヒマチャルプラデッシュ州(注8)の水力プロジェクトの入札で,比較的小さい企業に敗れ去った,と,この金曜日,州高官が言っている。この山岳州の水力の国際入札で割り当てられたのは,モサバエール(注20)やDCM(注21)である。ジンダール鉄鋼電力(注22)は,3つの水力プロジェクトを獲得した。
CDなどの光学メディアを扱うモサバエール(注20)は,最も多い5つのプロジェクトを割り当てられ,その総出力は,1,148MWに達する。内訳は,420MW,ロエリドウグリ(注23),320MW,セリ(注24),69MW,テリン(注24),90MW,ミヤール(注25),149MW,サッシュカス(注26)。ジンダール鉄鋼電力(注22)は,40MW,ララ(注27),40MW,クリンララ(注28),70MW,マンナダン(注29)。
DCM(注21)は,90MW,コークサール(注30),81MW,ティンゲット(注31)。また,パテルエンジニアリング(32)は,チャンバ地区(33)の,236MW,ドウガール水力(注34)を獲得,ANS建設(注35)は,カングラ地区(注36)の,7.5MW,キヒバール水力(注36)を獲得。なおいずれもプロジェクトはBOOT方式(注37)である。
記事は何の論評も加えていない。しかし,今日の記事を含めて3つの記事から感じ取れるのは,ヒマチャルプラデッシュ州(注8)政府の中に,或いはドウマル州政府首相(注13)自身に,ヒマチャルプラデッシュ州(注8)の大規模水力を大規模企業によって開発し,安定的に需要地に電気を遅らせようとする中央政府への抵抗が感じさせられる。それは州のための開発,環境を守りたいという感情,これらがさせた技ではなかろうか。
(注) (8) Himachal Pradesh,(9) Shimla,(10) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081024D.htm,(11) Asian Development Bank,(12) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081124C.htm,(13) Himachal Pradesh Chief Minister Prem Kumar Dhumal,(14) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081124C.htm,(15) Tata Power,(16) Larsen and Toubro,(17) Essar Power,(18) Bhilwara Group,(19) GMR Infrastructure,(20) Moserbaer,(21) DCM Sriram Infrastructure,(22) Jindal Steel and Power,(23) Reoli Dugli,(24) Seli,(25) Teling,(25) Miyar,(26) Sach Khas,(27) Lara,(28) Kuling Lara,(29) Mane Nadang,(30) Khoksar,(31) Tinget,(32) Patel Engineering,(33) Chamba district,(34) Dugar project,(35) ANS Construction,(36) Kilhi Bahl project,(37) build-own-operate-and-transfer,(38)
参考資料
ネパール
●081219A Nepal, yourprojectnews
ネパール首相,70MW,ミッドマルシャンディ水力完成式
PM inaugurates much-awaited 70MW Mid-Marsyangdi hydel project
http://www.yourprojectnews.com/pm+inaugurates+much-awaited+70mw+mid-marsyangdi+hydel+project_18956.html
●081219B Nepal, xinhuanet
ネパールの銀行,中国企業と戦略的連携へ
Nepali bank signs strategic partnership agreement with Chinese firm
http://news.xinhuanet.com/english/2008-12/19/content_10527738.htm
インド
●081219C India, sindhtoday
ヒマッチャルプラデッシュ,水力開発で,小規模会社重視
Himachal allots hydro projects to smaller players
http://www.sindhtoday.net/south-asia/44507.htm
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
今日のワシントンポストは,OPECが日220万トン減産を決定したにもかかわらず,1月もの原油が更に下がって,バレル33ドル台,と特に報じている。2008年7月,バレル147ドルを付けた当時,米国大統領選挙は盛り上がっており,オバマ候補の,再生可能エネルギー20%まで開発,の提案に多くの人が好感を持ち,またアジアでも,フィリッピン政府の再生可能エネルギー法案の成立に向かって,勢いがついた。
今,バレル33ドルの現実を前に,世界の人たちの心理にどの様な変化が起こっているだろうか。人類は今までに1兆バレルの原油を消費して,まだ1兆バレル残っている。原油の包蔵から見れば,道半ばである。2030年にはバレル200ドル,という原稿をIEAが書いた当時は,まだ100ドルを超えており,抵抗なく,このIEAの報告書は,世界の人々は受け入れた。それは今でも変わっていないだろう。
昭和48年頃の石油危機の頃を思い浮かべると,石油が高いから水力を開発する,国産エネルギーを開発する,と大きなかけ声で日本ばかりでなく世界も叫んでいた頃,その声に応じて原油の値段は下がってきた。再生可能エネルギーを開発するぞ,国産エネルギーに切り替えるぞ,と言う声が,実際には何もやらなくても,原油の価格を抑えることに繋がってきた,と言うと反論もあるだろうか。
地球温暖化,気候変動への人類最後の戦い,と私が位置づけるインド北辺の水力,今日は不思議な記事を二つ取り上げた。一つは中国で書かれたネパールの水力開発の記事であり,もう一つは,インド西北,ヒマチャルプラデシュ州の記事である。いずれも分かりにくい記事で,それがどうした,という解説はない。しかし私は,この二つの記事に,不思議な,微妙な変化を感じ取る。
ネパールのマオイスト政権が発足して,やっと平和が訪れ,インド企業が大挙してネパールの押し寄せ,次から次へと水力プロジェクトを決めって行っている。難しかったネパールが,やっとエネルギーのインドの裏庭になりつつある,と皆考えている。そこに,中国がその根幹を抑えるような企業を押し込んできた。西安の西北観測設計研究院が,ネパール水力の財務支援の重要なパートナーになるという。
もう一つのヒマチャルプラデシュ州。先日から,中小規模の水力にこだわり,ADBも流れ込み式水力に限って,と条件を付けて8億ドルの支援を約束したり,何か動きがおかしいなあ,と思っていたら,今日は,多くの中小規模の水力のBOOT入札に於いて,インドを代表する大規模企業を落として,中小規模の企業を重視,12地点,約1,400,MWの契約に踏み切った。
最初の記事は,中国で書かれているから,何かネパールの水力開発の中に,戦略的に手を突っ込んでいこうとする中国の意図が感じられる。また記事中の,ブラマプトラ-メコン基金(注3)と称するものは,この記事以外に存在しない。中国内にその様なものがある可能性がある。また,ヒマチャルプラデッシュ州(注8)政府の中に,それは州のための開発,環境を守りたいという感情,これがそうさせている可能性を感じる。
(注) (1) Nepali Clean Energy Development Bank,(2) Northwest Hydro Consulting Engineers,(3) Brahmaputra-Mekong Fund,(4) FMO --
an international development bank,(5) Tridos Bank,(6) Hydro Fund,(7) http://www.nwh.cn/(gcwwvuuffwb25j45gbl12mvb)/index.aspx,(8)
(注) (8) Himachal Pradesh,(9) Shimla,(10) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081024D.htm,(11) Asian Development Bank,(12) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081124C.htm,(13) Himachal Pradesh Chief Minister Prem Kumar Dhumal,(14) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081124C.htm,(15) Tata Power,(16) Larsen and Toubro,(17) Essar Power,(18) Bhilwara Group,(19) GMR Infrastructure,(20) Moserbaer,(21) DCM Sriram Infrastructure,(22) Jindal Steel and Power,(23) Reoli Dugli,(24) Seli,(25) Teling,(25) Miyar,(26) Sach Khas,(27) Lara,(28) Kuling Lara,(29) Mane Nadang,(30) Khoksar,(31) Tinget,(32) Patel Engineering,(33) Chamba district,(34) Dugar project,(35) ANS Construction,(36) Kilhi Bahl project,(37) build-own-operate-and-transfer,(38)
本文
●ネパールの銀行,中国企業と戦略的連携へ
この記事は中国紙のものである。ネパールの水力開発はなかなか複雑になってきた。ネパールのプラチャンダ首相が,10年間で,10,000MWを開発する,と宣言して,大いにインドとの連携を深める情勢にあるが,ここに来て中国の攻勢が強くなってきた。ネパールとしては両国との協力が必要,と言うことだが,インドとしては電力の買い手であり,政治的に安定した,自分の裏にはであって欲しいと思うだろう。
ネパールクリーンエネルギー開発銀行CEDB(注1)は,世界的に主導するコンサルタントの一つ,中国企業の北西水力コンサルタントNWH(注2)と,戦略的パートナーシップの合意書に署名した。これは,いろいろなレベルの水力地点の調査を行い,ネパールの中規模及び大規模な水力の技術的財務的な分析を行うことを,目的としている。これは,CEDB(注1)内のスタッフとNWH(注2)のノウハウを,一体化して行う。
合意書によれば,中国人専門家を効果的に活用するために,NWH(注2)がカトマンズに,熟練したスタッフが常駐するオフィスを設立する。更に,CEDB(注1),いろいろな段階にある水力開発のライセンスを有する投資企業に,資本金と負債部分を提供する準備に入っている,ことが書かれている。この署名の前にCEDB(注1)は,ブラマプトラ-メコン基金(注3)と,エネルギーセクターに,1億ドルまでの投資計画に署名している。
同じように,オランダの国際開発銀行FMO(注4)とトリドス銀行(注5)とも契約を行っている。また,CEDB(注1)は最近,かってなかった規模の,準備段階の水力支援のための水力基金(注6)を,250~300百万ルピー,約3.3~4百万ドル相当,の規模で設定準備に入っている。トリドス銀行(注5)は英国籍のようだ。
この記事は何とも不思議な記事である。中国で書かれているから,何かネパールの水力開発の中に,戦略的に手を突っ込んでいこうとする中国の意図が感じられる。NWH(注2)とは,西安にある中国水電顧問集団西北観測設計研究院(注7)のことである。また,ブラマプトラ-メコン基金(注3)と称するものは,この記事以外に存在しない。中国内にその様なものがある可能性がある。
(注) (1) Nepali Clean Energy Development Bank,(2) Northwest Hydro Consulting Engineers,(3) Brahmaputra-Mekong Fund,(4) FMO -- an international development bank,(5) Tridos Bank,(6) Hydro Fund,(7) http://www.nwh.cn/(gcwwvuuffwb25j45gbl12mvb)/index.aspx,(8)
●インド,ヒマッチャルプラデッシュ,水力開発で,小規模会社重視
ヒマチャルプラデッシュ州(注8),シムラ(注9)を州都に持つ山岳地帯で,ニューデリーの北にあり,水力発電の宝庫である。そのヒマチャルプラデッシュ州(注8)に何か動きがある,という予感がしていた。2008年1024日付本HP(注10)では,ADB(注11)が,流れ込み式水力(注14)にこだわって8億ドル供与,2008年11月24日付け本HP(注14)では,ドウマル州政府首相(注13)は,水力開発にのめり込む決意,などなど。
インドの名だたる大企業,タタ電力(注15),L&T(注16),エッサール電力(注17),ビルワラ(注18),GMR(注19)などが,ヒマチャルプラデッシュ州(注8)の水力プロジェクトの入札で,比較的小さい企業に敗れ去った,と,この金曜日,州高官が言っている。この山岳州の水力の国際入札で割り当てられたのは,モサバエール(注20)やDCM(注21)である。ジンダール鉄鋼電力(注22)は,3つの水力プロジェクトを獲得した。
CDなどの光学メディアを扱うモサバエール(注20)は,最も多い5つのプロジェクトを割り当てられ,その総出力は,1,148MWに達する。内訳は,420MW,ロエリドウグリ(注23),320MW,セリ(注24),69MW,テリン(注24),90MW,ミヤール(注25),149MW,サッシュカス(注26)。ジンダール鉄鋼電力(注22)は,40MW,ララ(注27),40MW,クリンララ(注28),70MW,マンナダン(注29)。
DCM(注21)は,90MW,コークサール(注30),81MW,ティンゲット(注31)。また,パテルエンジニアリング(32)は,チャンバ地区(33)の,236MW,ドウガール水力(注34)を獲得,ANS建設(注35)は,カングラ地区(注36)の,7.5MW,キヒバール水力(注36)を獲得。なおいずれもプロジェクトはBOOT方式(注37)である。
記事は何の論評も加えていない。しかし,今日の記事を含めて3つの記事から感じ取れるのは,ヒマチャルプラデッシュ州(注8)政府の中に,或いはドウマル州政府首相(注13)自身に,ヒマチャルプラデッシュ州(注8)の大規模水力を大規模企業によって開発し,安定的に需要地に電気を遅らせようとする中央政府への抵抗が感じさせられる。それは州のための開発,環境を守りたいという感情,これらがさせた技ではなかろうか。
(注) (8) Himachal Pradesh,(9) Shimla,(10) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081024D.htm,(11) Asian Development Bank,(12) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081124C.htm,(13) Himachal Pradesh Chief Minister Prem Kumar Dhumal,(14) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081124C.htm,(15) Tata Power,(16) Larsen and Toubro,(17) Essar Power,(18) Bhilwara Group,(19) GMR Infrastructure,(20) Moserbaer,(21) DCM Sriram Infrastructure,(22) Jindal Steel and Power,(23) Reoli Dugli,(24) Seli,(25) Teling,(25) Miyar,(26) Sach Khas,(27) Lara,(28) Kuling Lara,(29) Mane Nadang,(30) Khoksar,(31) Tinget,(32) Patel Engineering,(33) Chamba district,(34) Dugar project,(35) ANS Construction,(36) Kilhi Bahl project,(37) build-own-operate-and-transfer,(38)
参考資料
ネパール
●081219A Nepal, yourprojectnews
ネパール首相,70MW,ミッドマルシャンディ水力完成式
PM inaugurates much-awaited 70MW Mid-Marsyangdi hydel project
http://www.yourprojectnews.com/pm+inaugurates+much-awaited+70mw+mid-marsyangdi+hydel+project_18956.html
●081219B Nepal, xinhuanet
ネパールの銀行,中国企業と戦略的連携へ
Nepali bank signs strategic partnership agreement with Chinese firm
http://news.xinhuanet.com/english/2008-12/19/content_10527738.htm
インド
●081219C India, sindhtoday
ヒマッチャルプラデッシュ,水力開発で,小規模会社重視
Himachal allots hydro projects to smaller players
http://www.sindhtoday.net/south-asia/44507.htm
2008年12月19日金曜日
フィリッピンの再生可能で産業界が沸き立つ
HPは下記ドメインです。写真地図など見て下さい。
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
今日は関西は素晴らしい好天,山々はもう冬の景色であるが,今日の泉南の測量作業は,天気だけは素晴らしかった。週末なのに,更新が遅れて申し訳ない。作業中に携帯電話を覗くと,原油価格,1月ものがバレル36ドル,とか書いてあって,これは大変だなあと思った。36ドルというのは,昭和48年頃の石油危機の後の値に近いのではないか。
原油価格が下がると,ガソリンや飛行機のサーチャージが安くなってよくなるが,一方で影響が現れてくるのは,中東の景気だろう。日本のジェネコンなど多くの企業が,アジアを捨てて中東に走っていたから,かなり影響を受けるのではないか。それと,代替エネルギー開発の気運に水を差す可能性がある。オバマ次期政権の再生可能エネルギー20%も,フィリッピンの再生可能エネルギー法も,原油高騰が後押しをしていた。
ところで今日は,昨日のフィリッピンの再生可能エネルギー法の成立を受けて,関連サイトが大いに賑わっていた。しかし現実に,何を開発するのか,と言えばとりあえず地熱しかないのではなかろうか。高い電気料金にフィリッピン国民は悩まされてきたし,大量に,太陽光や風力を開発することは困難だろう。アジア一の電気料金を,ますます上げることに繋がる。
今回のフィリッピンの再生可能エネルギー法に関する記事を読むと,再生可能エネルギーよりは,どちらかというと国産エネルギーに重点が置かれているように読みとれる。フィリッピンはどうして国産エネルギーにこだわるのであろうか。日本も,台湾も,スリランカも,カンボジアも,資源のない国は,国産資源,と言う言葉は余り使わない。寧ろ,海外石炭の活用によって,電気料金の引き下げを狙っている。
フィリッピンが,電力自由化に向けて改革を行ったとき,またバイオココナッツの自動車ガソリンへの混入を義務化したとき,他のアジア諸国は,本当に大丈夫か,とその行く末を模様眺めしている。フィリッピンは本当にくそ真面目な面があるのだろうか。2008年半ば,原油が高騰したとき,国産エネルギーの必要を痛感したのか。そうであれば,今日の原油バレル36ドル,を彼等はどう見ているのであろうか。
(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081217A.htm,(2) renewable energy projects,(3) Ernie Pantangco, Philippine Independent Power Producers Association president,(4) Renewable Energy bill,(5) indigenous renewable energy resources,(6) Lopez-controlled Energy Development Corp,(7) Mario Marasigan, Department of Energy utilization and management bureau director,(8) Vincent Perez, a former Energy secretary,(9)
本文
●フィリッピンの関連産業界,再生可能エネルギー法で,盛り上がる
2008年12月17日付け本HP(注1)では,アロヨ大統領が再生可能エネルギー法案に署名し,マラカニアンは盛り上がっていた。今日は,産業界を中心に,今後の投資への期待の声が,紙上を飛び回っている。産業界の関連企業は,再生可能エネルギープロジェクト’注2)への投資の波の中でどっぷりつかることに,大きな期待感を持っている。
フィリッピンIPP協会のパンタングコ総裁(注3)は,「この再生可能エネルギー法(注4)の成立は,我々産業界だけでなく,フィリッピンにとっても,開発への歓迎を意味するものだ。それは,エネルギー自給と言う正しい方向への政府による推進の第一歩であり,同時に,国産再生可能エネルギー資源(注5)の開発を促進することに繋がるものである。」,と歓迎している。特に,太陽光,風力,地熱の開発に期待を示している。
現時点に於いて,フィリッピンは,地熱開発で世界をリードしており,米国に次いで世界第2位の位置にある。それは,1,200MWの設備を持つロペス財閥下のEDC(注6)が地熱開発の主導権を握っている。他の再生可能エネルギー資源は,大きな投資を必要とするので,まだ開発中,という段階である。エネルギー省のマラシガン局長(注7)は,多くの関連企業が,再生可能エネルギー法(注4)の成立を予期,既に動いている,と。
再生可能エネルギー法(注4)案を推進してきた前エネルギー長官のペレス氏(注8)は,2010年までにエネルギー自給率を60%に持って行くために,国産再生可能エネルギー資源(注5)の開発が必要である,と言っている。フィリッピンのエネルギー自給率は,2000年当時で45%であったものが,2007年には57%に達している。発電に限定しても,この数字である。
前エネルギー長官のペレス氏(注8)は,今回の再生可能エネルギー法(注4)は,財政的にもまたその他の面でも,非常に大判振る舞いであり,産業の成長と,政府のエネルギー自給率向上に大きく貢献するだろう,と見ている。また,長期的観点からも,持続的なは点を意味するものだ,と。またエネルギーセクターは温暖化ガス排出で非難を受けてきたので,気候変動問題対応への,正しい方向を示していると言える,
更にペレス(注8)は続ける。エネルギー需要は,天然資源や環境へ大きな負荷をかけている。成長を続け,環境問題をコントロールするために,再生可能エネルギー資源の利用を推進することによって,環境をコントロールすることは,我々にとって非常に重要なことだ,と。
(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081217A.htm,(2) renewable energy projects,(3) Ernie Pantangco, Philippine Independent Power Producers Association president,(4) Renewable Energy bill,(5) indigenous renewable energy resources,(6) Lopez-controlled Energy Development Corp,(7) Mario Marasigan, Department of Energy utilization and management bureau director,(8) Vincent Perez, a former Energy secretary,(9)
参考資料
フィリッピン
●081218A Philippines, istockanalyst
フィリッピンの関連産業界,再生可能エネルギー法で,盛り上がる
Industry Players Upbeat Onrenewable Energy Projects
http://www.istockanalyst.com/article/viewiStockNews/articleid/2890158
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
今日は関西は素晴らしい好天,山々はもう冬の景色であるが,今日の泉南の測量作業は,天気だけは素晴らしかった。週末なのに,更新が遅れて申し訳ない。作業中に携帯電話を覗くと,原油価格,1月ものがバレル36ドル,とか書いてあって,これは大変だなあと思った。36ドルというのは,昭和48年頃の石油危機の後の値に近いのではないか。
原油価格が下がると,ガソリンや飛行機のサーチャージが安くなってよくなるが,一方で影響が現れてくるのは,中東の景気だろう。日本のジェネコンなど多くの企業が,アジアを捨てて中東に走っていたから,かなり影響を受けるのではないか。それと,代替エネルギー開発の気運に水を差す可能性がある。オバマ次期政権の再生可能エネルギー20%も,フィリッピンの再生可能エネルギー法も,原油高騰が後押しをしていた。
ところで今日は,昨日のフィリッピンの再生可能エネルギー法の成立を受けて,関連サイトが大いに賑わっていた。しかし現実に,何を開発するのか,と言えばとりあえず地熱しかないのではなかろうか。高い電気料金にフィリッピン国民は悩まされてきたし,大量に,太陽光や風力を開発することは困難だろう。アジア一の電気料金を,ますます上げることに繋がる。
今回のフィリッピンの再生可能エネルギー法に関する記事を読むと,再生可能エネルギーよりは,どちらかというと国産エネルギーに重点が置かれているように読みとれる。フィリッピンはどうして国産エネルギーにこだわるのであろうか。日本も,台湾も,スリランカも,カンボジアも,資源のない国は,国産資源,と言う言葉は余り使わない。寧ろ,海外石炭の活用によって,電気料金の引き下げを狙っている。
フィリッピンが,電力自由化に向けて改革を行ったとき,またバイオココナッツの自動車ガソリンへの混入を義務化したとき,他のアジア諸国は,本当に大丈夫か,とその行く末を模様眺めしている。フィリッピンは本当にくそ真面目な面があるのだろうか。2008年半ば,原油が高騰したとき,国産エネルギーの必要を痛感したのか。そうであれば,今日の原油バレル36ドル,を彼等はどう見ているのであろうか。
(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081217A.htm,(2) renewable energy projects,(3) Ernie Pantangco, Philippine Independent Power Producers Association president,(4) Renewable Energy bill,(5) indigenous renewable energy resources,(6) Lopez-controlled Energy Development Corp,(7) Mario Marasigan, Department of Energy utilization and management bureau director,(8) Vincent Perez, a former Energy secretary,(9)
本文
●フィリッピンの関連産業界,再生可能エネルギー法で,盛り上がる
2008年12月17日付け本HP(注1)では,アロヨ大統領が再生可能エネルギー法案に署名し,マラカニアンは盛り上がっていた。今日は,産業界を中心に,今後の投資への期待の声が,紙上を飛び回っている。産業界の関連企業は,再生可能エネルギープロジェクト’注2)への投資の波の中でどっぷりつかることに,大きな期待感を持っている。
フィリッピンIPP協会のパンタングコ総裁(注3)は,「この再生可能エネルギー法(注4)の成立は,我々産業界だけでなく,フィリッピンにとっても,開発への歓迎を意味するものだ。それは,エネルギー自給と言う正しい方向への政府による推進の第一歩であり,同時に,国産再生可能エネルギー資源(注5)の開発を促進することに繋がるものである。」,と歓迎している。特に,太陽光,風力,地熱の開発に期待を示している。
現時点に於いて,フィリッピンは,地熱開発で世界をリードしており,米国に次いで世界第2位の位置にある。それは,1,200MWの設備を持つロペス財閥下のEDC(注6)が地熱開発の主導権を握っている。他の再生可能エネルギー資源は,大きな投資を必要とするので,まだ開発中,という段階である。エネルギー省のマラシガン局長(注7)は,多くの関連企業が,再生可能エネルギー法(注4)の成立を予期,既に動いている,と。
再生可能エネルギー法(注4)案を推進してきた前エネルギー長官のペレス氏(注8)は,2010年までにエネルギー自給率を60%に持って行くために,国産再生可能エネルギー資源(注5)の開発が必要である,と言っている。フィリッピンのエネルギー自給率は,2000年当時で45%であったものが,2007年には57%に達している。発電に限定しても,この数字である。
前エネルギー長官のペレス氏(注8)は,今回の再生可能エネルギー法(注4)は,財政的にもまたその他の面でも,非常に大判振る舞いであり,産業の成長と,政府のエネルギー自給率向上に大きく貢献するだろう,と見ている。また,長期的観点からも,持続的なは点を意味するものだ,と。またエネルギーセクターは温暖化ガス排出で非難を受けてきたので,気候変動問題対応への,正しい方向を示していると言える,
更にペレス(注8)は続ける。エネルギー需要は,天然資源や環境へ大きな負荷をかけている。成長を続け,環境問題をコントロールするために,再生可能エネルギー資源の利用を推進することによって,環境をコントロールすることは,我々にとって非常に重要なことだ,と。
(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081217A.htm,(2) renewable energy projects,(3) Ernie Pantangco, Philippine Independent Power Producers Association president,(4) Renewable Energy bill,(5) indigenous renewable energy resources,(6) Lopez-controlled Energy Development Corp,(7) Mario Marasigan, Department of Energy utilization and management bureau director,(8) Vincent Perez, a former Energy secretary,(9)
参考資料
フィリッピン
●081218A Philippines, istockanalyst
フィリッピンの関連産業界,再生可能エネルギー法で,盛り上がる
Industry Players Upbeat Onrenewable Energy Projects
http://www.istockanalyst.com/article/viewiStockNews/articleid/2890158
2008年12月18日木曜日
フィリッピンが再生可能400万KW開発へ
HPは下記ドメインです。写真地図など見て下さい。
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
マラカニアン宮殿,国会議員を初め,エネルギー関係閣僚,環境専門家などを一堂に集めて,カタールから帰国したばかりのアロヨ大統領が,重々しく,再生可能エネルギー法案(注7)に署名し,アジアでは初めてとも言える試みに挑戦することになった。アロヨ大統領は,これらの人々の前で,これでフィリッピンはアジアを先導して国産エネルギー開発に邁進できる,地熱では世界第1位になる,と謳い挙げた。
フィリッピンの再生可能エネルギーについては,2008年10月10日付本HP(注1)にて,フィリッピン国会が,再生可能エネルギー報告を了承,アロヨ大統領の署名待ちとなっている,ことを伝え,2008年11月27日付本HP(注2)では,法案を積極的に進めた一人,アンガラ上院議員(注3)の講演内容を伝え,2008年12月13日付本HP(注4)では,ロペス財閥のファーストジェンFGC(注5)が,地熱へ走る状況を伝えた。
今日は各紙が,アロヨ大統領(注6)が再生可能エネルギー法案(注7)に署名をし正式に発効,そのお祭り騒ぎのような署名式の模様を伝えている。基本は,2010年までに国産エネルギーを60%に引き上げることを謳っている。正式名称は,共和国法律9513(注8),法律名は,再生可能エネルギー資源開発利用商業化推進法(注9)で,太陽光,風力,地熱,その他の開発に,租税などの優遇措置を講ずる内容である。
再生可能エネルギー法(注7)の運用は,エネルギー省(注13)が当たり,国家再生可能エネルギー委員会(注14)がこれを支える。現在見込まれている再生可能エネルギーの新規開発量は,4,000MWと見込まれている。エネルギー省のレイエス長官(注14)は,再生可能エネルギー開発が,次の5年間で,最大規模の産業の一つに発展するだろう,と見ている。
ここで重要な問題は,再生可能エネルギー,特に風力などは,高価で出力が断続的,と言う問題があり,世界中で政策担当者の議論が続いているところだ。短期的には,従来の燃料に比べて,再生可能エネルギーが高価であると言うことで,需要家は,クリーンか安価か,と言う選択に立たされることになる。しかしレイエス長官(注14)は,国民への多大な便益,持続的で独立で経済安保で気候変動対応への国民の統合,など強調した。
開発目標の4,000MWのうち,1,200MWが地熱発電で開発されると考えられている。これで米国を押しのけて,地熱では世界第1位になるはずだ。エネルギー省(注13)の見方は,投資企業は既に準備態勢にある,今までは政策不在で,その進捗は遅かったが,変わると考えている。いろいろな見方があるが,まず地熱開発を念頭に置いた立法だ,と考えればよいか。後の2,800MWはどうするのだろう。
(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081010C.htm,(2) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081127A.htm,(3) Sen. Edgardo Angara,(4) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081213A.htm,(5) Lopez-controlled First Gen Corporation,(6) President Arroyo,(7) Renewable Energy Act of 2008,(8) Republic Act 9513,(9) Act Promoting the Development, Utilization and Commercialization of Renewable Energy Resources,(10) Biofuels Act,(11) Renewable Portfolio Standard,(12) feed-in-tariff mechanism,(13) Department of Energy,(14) National Renewable Energy Board,(14) Energy Secretary Angelo Reyes,(15)
本文
●フィリッピン,大統領,再生可能エネルギー法案に署名
フィリッピンのエネルギーへの攻勢が激しい。電気料金が高い,と言う批判の中で,こうすれば安くなるからと,電力改革を進めてきているが,今度は,アジアに先駆けて,再生可能エネルギー法案の成立に全力を挙げた。それは寧ろ,国産エネルギーへの依存度を高める,という趣旨であり,資源の少ない国で,電気料金が本来高かった,と言うこと,地熱資源から,思い切った法案の成立になったのだろう。
フィリッピンの再生可能エネルギーについては,2008年10月10日付本HP(注1)にて,フィリッピン国会が,再生可能エネルギー報告を了承,アロヨ大統領の署名待ちとなっている,ことを伝え,2008年11月27日付本HP(注2)では,法案を積極的に進めた一人,アンガラ上院議員(注3)の講演内容を伝え,2008年12月13日付本HP(注4)では,ロペス財閥のファーストジェンFGC(注5)が,地熱へ走る状況を伝えた。
今日は各紙が,アロヨ大統領(注6)が再生可能エネルギー法案(注7)に署名をし正式に発効,そのお祭り騒ぎのような署名式の模様を伝えている。基本は,2010年までに国産エネルギーを60%に引き上げることを謳っている。正式名称は,共和国法律9513(注8),法律名は,再生可能エネルギー資源開発利用商業化推進法(注9)で,太陽光,風力,地熱,その他の開発に,租税などの優遇措置を講ずる内容である。
アロヨ大統領(注6)は,再生可能エネルギー法案(注7)への署名に当たって,大勢の国会議員やエネルギー関係官僚,環境専門家などを前に,これがフィリッピン共和国の偉大な里程標であるエネルギー独立への大きな希望への一歩だ,とたかだかに謳い挙げた。また,再生可能エネルギー法案(注7)は,2008年1月に発効した,バイオ燃料法(注10)と共に,再生可能エネルギーの枠組みを造るものだ,と説明した。
アロヨ大統領(注6)は続ける,アロヨ政権が発足する前のエネルギー自給率は45%であったが,今日では57%であり,2010年には60%を達成する,と。特に,地熱エネルギー利用については,世界第2位にあり,ポテンシャルでは世界で第1位であること,また太陽光エネルギーでは高い可能性を有し,水力資源とバイオ資源に恵まれていること,を強調した。カタールから帰国したばかりの大統領は,中東資金に期待を寄せている。
エネルギー自給率向上を前面に押し出しているが,気候変動対策の面からも,再生可能エネルギー法案(注7)のタイミングがよいことも強調されている。また,再生可能勘定基準(注11)の概念が含まれて,再生可能エネルギー供給比率の義務化があり,12年間の料金固定の制度,料金供給メカニズム(注12)も盛り込まれている。再生可能エネルギー関連機材の政策や輸入にも,税の優遇がなされる。
再生可能エネルギー法(注7)の運用は,エネルギー省(注13)が当たり,国家再生可能エネルギー委員会(注14)がこれを支える。現在見込まれている再生可能エネルギーの新規開発量は,4,000MWと見込まれている。エネルギー省のレイエス長官(注14)は,再生可能エネルギー開発が,次の5年間で,最大規模の産業の一つに発展するだろう,と見ている。
ここで重要な問題は,再生可能エネルギー,特に風力などは,高価で出力が断続的,と言う問題があり,世界中で政策担当者の議論が続いているところだ。短期的には,従来の燃料に比べて,再生可能エネルギーが高価であると言うことで,需要家は,クリーンか安価か,と言う選択にタタされることになる。しかしレイエス長官(注14)は,国民への多大な便益,持続的で独立で経済安保で気候変動対応への国民の統合,など強調した。
開発目標の4,000MWのうち,1,200MWが地熱発電で開発されると考えられている。これで米国を押しのけて,地熱では世界第1位になるはずだ。エネルギー省(注13)の見方は,投資企業は既に準備態勢にある,今までは政策不在で,その進捗は遅かったが,変わると考えている。いろいろな見方があるが,まず地熱開発を念頭に置いた立法だ,と考えればよいか。
(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081010C.htm,(2) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081127A.htm,(3) Sen. Edgardo Angara,(4) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081213A.htm,(5) Lopez-controlled First Gen Corporation,(6) President Arroyo,(7) Renewable Energy Act of 2008,(8) Republic Act 9513,(9) Act Promoting the Development, Utilization and Commercialization of Renewable Energy Resources,(10) Biofuels Act,(11) Renewable Portfolio Standard,(12) feed-in-tariff mechanism,(13) Department of Energy,(14) National Renewable Energy Board,(14) Energy Secretary Angelo Reyes,(15)
●フィリッピン,アムラン水力売却,国内企業へ
フィリッピン電力公社NPC(注15)の発電資産70%を売却して,電力自由化を促進させるという,フィリッピンの電力セクター改革の目玉,PSALM(注16)による2008年最後の入札の対象が,この,ネグロスオリエンタル(注17)の,0.8MW,アムラン水力発電所(注18)である。PSALM(注16)の発表では,フィリッピン企業ICS再生可能社(注19)が,PSALM(注16)の予定価格を超えた23万ドルを提示,最優先札となった。
アムラン水力発電所(注18)は,ネグロスオリエンタル(注17)最初のベースロード発電所で,アムラン町のシラブ村シティオパサラン(注20)に位置している。ICS再生可能社(注19)は,代替燃料の製造の他,資産のリースや運転維持など,環境関係の機器などを扱っている会社である。PSALM(注16)は,提出された文書を精査の上,決定する。なお70%売却の対象系統は,ルソン(注21)とビサヤ(注22)系統である。
(注) (15) National Power Corporation,(16) Power Sector Assets and Liabilities Management Corp,(17) Negros Oriental,(18) Amlan Hydroelectric Power Plant,(19) ICS Renewables,(20) Sitio Pasalan, Brgy. Silab in Amlan town,(21) Luzon grid,(22) Visayas grid,(23)
インド
●インド,LNGから転換へ,ナフタがより安価と
シンガポール発の記事である。インドのバイヤーが,LNG(注23)のアジアのスポット市場から,原油価格に連動して急落したナフタ(注24)に切り替えている。インドにとって,LNG(注23)は大変難しい燃料である。インドのガス価格は来年高騰の兆しであり,LNG基地は,より長期の契約を望んで,スポット市場から退却している。
インドの急激な発電需要の伸びを反映して,アジアのLNG(注23)価格は急騰し,今年初めには百万Btu当たり(注25)20ドルを超えた。2006~2007年で36%の伸びを見せたインドのLNG購買は,台湾を抜いたが,コンサルタント(注26)によれば,今年の輸入は落ち気味であった。多のコンサルタント(注27)によれば,ナフタ(注24)の価格急落は突然で劇的であった,これがインドをLNG(注23)から転換させた原因だと。
ナフタ(注24)の価格は,2008年7月の値から4分の3も落ちた。原油とLNG(注23)価格の連動は直接的でなく時間遅れも伴う。インドの発電所は特殊で,燃料をLNG(注23)とナフタ(注24),どちらにでも切り替えられるようになっている。ナフタ(注24)の価格,トン300ドルは,百万Btu当たり(注25)5.80ドルに匹敵し,現在のアジアのナフタ(注24)価格は,前の百万Btu当たり(注25)9.50~10.50ドルの半分である。
インド第2のLNG基地ハジラ(注28)から月1船のLNGを買っていたインド人バイヤーは,ナフタ(注24)が安いので今はLNG(注23)を買わない,と言っている。ペトロネット(注29)のダヘジ基地(注30)もLNG(注23)購入は43%落ちている。ダヘジ基地(注30)は長期契約が主体だが,昨年からスポットでも買っている。シェル(注31)とトータル(注32)が,ハジラ(注28)を運営しているが,ナフタ(注24)に矛先が向いている。
LNG基地ハジラ(注28)のLNGタンクは満杯だが,誰も買い手がない。2008年初めに百万Btu当たり20ドルで買ったものである。果たして,この価格の衝撃的な変動は,どの様に動いていくのだろうか。今日の報道では,OPECが歴史上初めての日量200万トンの減産に踏み切り,会議に一緒に出ていたロシアも同調して,30万トン規模の減産に踏み切るという。
(注) (23) liquefied natural gas,(24) naphtha,(25) million British thermal units (mmBtu),(26) Waterborne consultants,(27) Cecile Jovene, head of the gas team at consultants Facts Global Energy,(28) Hazira,(29) Petronet,(30) LNG Dahej terminal,(31) Royal Dutch Shell,(32) Total,(33)
参考資料
フィリッピン
●081217A Philippines, Manila Bulletin
フィリッピン,大統領,再生可能エネルギー法案に署名
President signs law promoting renewable energy
http://www.mb.com.ph/articles/194288/president-signs-law-promoting-renewable-energy
●081217B Philippines, visayandailystar
フィリッピン,アムラン水力売却,国内企業へ
Amlan hydro to be sold to RP company: PSALM
http://www.visayandailystar.com/2008/December/17/businessnews2.htm
インド
●081217C India, Economic Times
インド,LNGから転換へ,ナフタがより安価と
India curbs LNG buying as naphtha cheap option
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/India_curbs_LNG_buying_as_naphtha_cheap_option/articleshow/3846277.cms
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
マラカニアン宮殿,国会議員を初め,エネルギー関係閣僚,環境専門家などを一堂に集めて,カタールから帰国したばかりのアロヨ大統領が,重々しく,再生可能エネルギー法案(注7)に署名し,アジアでは初めてとも言える試みに挑戦することになった。アロヨ大統領は,これらの人々の前で,これでフィリッピンはアジアを先導して国産エネルギー開発に邁進できる,地熱では世界第1位になる,と謳い挙げた。
フィリッピンの再生可能エネルギーについては,2008年10月10日付本HP(注1)にて,フィリッピン国会が,再生可能エネルギー報告を了承,アロヨ大統領の署名待ちとなっている,ことを伝え,2008年11月27日付本HP(注2)では,法案を積極的に進めた一人,アンガラ上院議員(注3)の講演内容を伝え,2008年12月13日付本HP(注4)では,ロペス財閥のファーストジェンFGC(注5)が,地熱へ走る状況を伝えた。
今日は各紙が,アロヨ大統領(注6)が再生可能エネルギー法案(注7)に署名をし正式に発効,そのお祭り騒ぎのような署名式の模様を伝えている。基本は,2010年までに国産エネルギーを60%に引き上げることを謳っている。正式名称は,共和国法律9513(注8),法律名は,再生可能エネルギー資源開発利用商業化推進法(注9)で,太陽光,風力,地熱,その他の開発に,租税などの優遇措置を講ずる内容である。
再生可能エネルギー法(注7)の運用は,エネルギー省(注13)が当たり,国家再生可能エネルギー委員会(注14)がこれを支える。現在見込まれている再生可能エネルギーの新規開発量は,4,000MWと見込まれている。エネルギー省のレイエス長官(注14)は,再生可能エネルギー開発が,次の5年間で,最大規模の産業の一つに発展するだろう,と見ている。
ここで重要な問題は,再生可能エネルギー,特に風力などは,高価で出力が断続的,と言う問題があり,世界中で政策担当者の議論が続いているところだ。短期的には,従来の燃料に比べて,再生可能エネルギーが高価であると言うことで,需要家は,クリーンか安価か,と言う選択に立たされることになる。しかしレイエス長官(注14)は,国民への多大な便益,持続的で独立で経済安保で気候変動対応への国民の統合,など強調した。
開発目標の4,000MWのうち,1,200MWが地熱発電で開発されると考えられている。これで米国を押しのけて,地熱では世界第1位になるはずだ。エネルギー省(注13)の見方は,投資企業は既に準備態勢にある,今までは政策不在で,その進捗は遅かったが,変わると考えている。いろいろな見方があるが,まず地熱開発を念頭に置いた立法だ,と考えればよいか。後の2,800MWはどうするのだろう。
(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081010C.htm,(2) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081127A.htm,(3) Sen. Edgardo Angara,(4) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081213A.htm,(5) Lopez-controlled First Gen Corporation,(6) President Arroyo,(7) Renewable Energy Act of 2008,(8) Republic Act 9513,(9) Act Promoting the Development, Utilization and Commercialization of Renewable Energy Resources,(10) Biofuels Act,(11) Renewable Portfolio Standard,(12) feed-in-tariff mechanism,(13) Department of Energy,(14) National Renewable Energy Board,(14) Energy Secretary Angelo Reyes,(15)
本文
●フィリッピン,大統領,再生可能エネルギー法案に署名
フィリッピンのエネルギーへの攻勢が激しい。電気料金が高い,と言う批判の中で,こうすれば安くなるからと,電力改革を進めてきているが,今度は,アジアに先駆けて,再生可能エネルギー法案の成立に全力を挙げた。それは寧ろ,国産エネルギーへの依存度を高める,という趣旨であり,資源の少ない国で,電気料金が本来高かった,と言うこと,地熱資源から,思い切った法案の成立になったのだろう。
フィリッピンの再生可能エネルギーについては,2008年10月10日付本HP(注1)にて,フィリッピン国会が,再生可能エネルギー報告を了承,アロヨ大統領の署名待ちとなっている,ことを伝え,2008年11月27日付本HP(注2)では,法案を積極的に進めた一人,アンガラ上院議員(注3)の講演内容を伝え,2008年12月13日付本HP(注4)では,ロペス財閥のファーストジェンFGC(注5)が,地熱へ走る状況を伝えた。
今日は各紙が,アロヨ大統領(注6)が再生可能エネルギー法案(注7)に署名をし正式に発効,そのお祭り騒ぎのような署名式の模様を伝えている。基本は,2010年までに国産エネルギーを60%に引き上げることを謳っている。正式名称は,共和国法律9513(注8),法律名は,再生可能エネルギー資源開発利用商業化推進法(注9)で,太陽光,風力,地熱,その他の開発に,租税などの優遇措置を講ずる内容である。
アロヨ大統領(注6)は,再生可能エネルギー法案(注7)への署名に当たって,大勢の国会議員やエネルギー関係官僚,環境専門家などを前に,これがフィリッピン共和国の偉大な里程標であるエネルギー独立への大きな希望への一歩だ,とたかだかに謳い挙げた。また,再生可能エネルギー法案(注7)は,2008年1月に発効した,バイオ燃料法(注10)と共に,再生可能エネルギーの枠組みを造るものだ,と説明した。
アロヨ大統領(注6)は続ける,アロヨ政権が発足する前のエネルギー自給率は45%であったが,今日では57%であり,2010年には60%を達成する,と。特に,地熱エネルギー利用については,世界第2位にあり,ポテンシャルでは世界で第1位であること,また太陽光エネルギーでは高い可能性を有し,水力資源とバイオ資源に恵まれていること,を強調した。カタールから帰国したばかりの大統領は,中東資金に期待を寄せている。
エネルギー自給率向上を前面に押し出しているが,気候変動対策の面からも,再生可能エネルギー法案(注7)のタイミングがよいことも強調されている。また,再生可能勘定基準(注11)の概念が含まれて,再生可能エネルギー供給比率の義務化があり,12年間の料金固定の制度,料金供給メカニズム(注12)も盛り込まれている。再生可能エネルギー関連機材の政策や輸入にも,税の優遇がなされる。
再生可能エネルギー法(注7)の運用は,エネルギー省(注13)が当たり,国家再生可能エネルギー委員会(注14)がこれを支える。現在見込まれている再生可能エネルギーの新規開発量は,4,000MWと見込まれている。エネルギー省のレイエス長官(注14)は,再生可能エネルギー開発が,次の5年間で,最大規模の産業の一つに発展するだろう,と見ている。
ここで重要な問題は,再生可能エネルギー,特に風力などは,高価で出力が断続的,と言う問題があり,世界中で政策担当者の議論が続いているところだ。短期的には,従来の燃料に比べて,再生可能エネルギーが高価であると言うことで,需要家は,クリーンか安価か,と言う選択にタタされることになる。しかしレイエス長官(注14)は,国民への多大な便益,持続的で独立で経済安保で気候変動対応への国民の統合,など強調した。
開発目標の4,000MWのうち,1,200MWが地熱発電で開発されると考えられている。これで米国を押しのけて,地熱では世界第1位になるはずだ。エネルギー省(注13)の見方は,投資企業は既に準備態勢にある,今までは政策不在で,その進捗は遅かったが,変わると考えている。いろいろな見方があるが,まず地熱開発を念頭に置いた立法だ,と考えればよいか。
(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081010C.htm,(2) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081127A.htm,(3) Sen. Edgardo Angara,(4) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081213A.htm,(5) Lopez-controlled First Gen Corporation,(6) President Arroyo,(7) Renewable Energy Act of 2008,(8) Republic Act 9513,(9) Act Promoting the Development, Utilization and Commercialization of Renewable Energy Resources,(10) Biofuels Act,(11) Renewable Portfolio Standard,(12) feed-in-tariff mechanism,(13) Department of Energy,(14) National Renewable Energy Board,(14) Energy Secretary Angelo Reyes,(15)
●フィリッピン,アムラン水力売却,国内企業へ
フィリッピン電力公社NPC(注15)の発電資産70%を売却して,電力自由化を促進させるという,フィリッピンの電力セクター改革の目玉,PSALM(注16)による2008年最後の入札の対象が,この,ネグロスオリエンタル(注17)の,0.8MW,アムラン水力発電所(注18)である。PSALM(注16)の発表では,フィリッピン企業ICS再生可能社(注19)が,PSALM(注16)の予定価格を超えた23万ドルを提示,最優先札となった。
アムラン水力発電所(注18)は,ネグロスオリエンタル(注17)最初のベースロード発電所で,アムラン町のシラブ村シティオパサラン(注20)に位置している。ICS再生可能社(注19)は,代替燃料の製造の他,資産のリースや運転維持など,環境関係の機器などを扱っている会社である。PSALM(注16)は,提出された文書を精査の上,決定する。なお70%売却の対象系統は,ルソン(注21)とビサヤ(注22)系統である。
(注) (15) National Power Corporation,(16) Power Sector Assets and Liabilities Management Corp,(17) Negros Oriental,(18) Amlan Hydroelectric Power Plant,(19) ICS Renewables,(20) Sitio Pasalan, Brgy. Silab in Amlan town,(21) Luzon grid,(22) Visayas grid,(23)
インド
●インド,LNGから転換へ,ナフタがより安価と
シンガポール発の記事である。インドのバイヤーが,LNG(注23)のアジアのスポット市場から,原油価格に連動して急落したナフタ(注24)に切り替えている。インドにとって,LNG(注23)は大変難しい燃料である。インドのガス価格は来年高騰の兆しであり,LNG基地は,より長期の契約を望んで,スポット市場から退却している。
インドの急激な発電需要の伸びを反映して,アジアのLNG(注23)価格は急騰し,今年初めには百万Btu当たり(注25)20ドルを超えた。2006~2007年で36%の伸びを見せたインドのLNG購買は,台湾を抜いたが,コンサルタント(注26)によれば,今年の輸入は落ち気味であった。多のコンサルタント(注27)によれば,ナフタ(注24)の価格急落は突然で劇的であった,これがインドをLNG(注23)から転換させた原因だと。
ナフタ(注24)の価格は,2008年7月の値から4分の3も落ちた。原油とLNG(注23)価格の連動は直接的でなく時間遅れも伴う。インドの発電所は特殊で,燃料をLNG(注23)とナフタ(注24),どちらにでも切り替えられるようになっている。ナフタ(注24)の価格,トン300ドルは,百万Btu当たり(注25)5.80ドルに匹敵し,現在のアジアのナフタ(注24)価格は,前の百万Btu当たり(注25)9.50~10.50ドルの半分である。
インド第2のLNG基地ハジラ(注28)から月1船のLNGを買っていたインド人バイヤーは,ナフタ(注24)が安いので今はLNG(注23)を買わない,と言っている。ペトロネット(注29)のダヘジ基地(注30)もLNG(注23)購入は43%落ちている。ダヘジ基地(注30)は長期契約が主体だが,昨年からスポットでも買っている。シェル(注31)とトータル(注32)が,ハジラ(注28)を運営しているが,ナフタ(注24)に矛先が向いている。
LNG基地ハジラ(注28)のLNGタンクは満杯だが,誰も買い手がない。2008年初めに百万Btu当たり20ドルで買ったものである。果たして,この価格の衝撃的な変動は,どの様に動いていくのだろうか。今日の報道では,OPECが歴史上初めての日量200万トンの減産に踏み切り,会議に一緒に出ていたロシアも同調して,30万トン規模の減産に踏み切るという。
(注) (23) liquefied natural gas,(24) naphtha,(25) million British thermal units (mmBtu),(26) Waterborne consultants,(27) Cecile Jovene, head of the gas team at consultants Facts Global Energy,(28) Hazira,(29) Petronet,(30) LNG Dahej terminal,(31) Royal Dutch Shell,(32) Total,(33)
参考資料
フィリッピン
●081217A Philippines, Manila Bulletin
フィリッピン,大統領,再生可能エネルギー法案に署名
President signs law promoting renewable energy
http://www.mb.com.ph/articles/194288/president-signs-law-promoting-renewable-energy
●081217B Philippines, visayandailystar
フィリッピン,アムラン水力売却,国内企業へ
Amlan hydro to be sold to RP company: PSALM
http://www.visayandailystar.com/2008/December/17/businessnews2.htm
インド
●081217C India, Economic Times
インド,LNGから転換へ,ナフタがより安価と
India curbs LNG buying as naphtha cheap option
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/India_curbs_LNG_buying_as_naphtha_cheap_option/articleshow/3846277.cms
2008年12月17日水曜日
米国の知的送電網開発の気運
HPは下記ドメインです。写真地図など見て下さい。
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
ブッシュ大統領への靴投げゲームがネットに登場,一方で,「オバマ次期政権の環境政策の転換鮮明」,の文字がネット上に踊る。「問題の根は海外の石油への依存にある」,「石油に代わる新エネルギーの開発を通じて雇用創出と安全保障に注力」,「地球温暖化問題に正面から取り組む」,などなど,少し上滑りの感のある言葉が続く。これに乗っかったいろいろな意見が飛び交う中,再び,知的送電網,が出てきた。
この記事は,オバマ政権発足に向けて,再生可能エネルギー開発への期待を込めながら,スマートメーターズ(注1)が書いた記事だが,メディアは一斉にオバマ政権の新しい方向に眼を向けている。私は,果たして皆が期待している方向に行くかどうか,疑問を持ちながら見守っているが,この中に出てくる知的送電網(注2)については,2008年10月5日付本HP(注3)にもあるとおり,注目はしている。
今日の記事。ルーズベルト大統領のニューディール政策(注4)で数多くの水力発電ダムが開発されたときのように,このたびの金融危機が米国の知的送電網(注2)の建設を早める可能性がある,と。75年前に,7,000人の労働者が,グランドクーリー(注5)やボンネビルのダム建設工事現場で働き,米国西北部地区の電化のために,送電線建設に邁進したことを想起する,と。
そのダムは未だ健在で電気を送り続けている。75年後の今日,再び金融危機に襲われて,公共工事が議論の対象になっている。かって水力を対象としたように,今度は,北西部から風力発電による電気を送ることだ。この事業では,5万人の雇用が生まれると言われている。地域の政治家は,ボンネビル電力公社BPA(注7)の送電網の拡張への資金供給を視野に入れている。
読み進むと,再生可能エネルギー擁護の人々,特に,風力発電と太陽光にこだわっている人々は,その多様で,断続的で,高価な,質の悪い電気を,どの様に効率的に集約して需要地に送るか,このことに悩んでいるようだ。数百万KWとか言う話なので,その辺の村の片隅で,貧困に悩む人々に国家が供給,などという代物では,オバマ政権の目指す,「石油に代わる新エネルギーの開発」,にはほど遠いわけだ。
記事は言う。全国的に米国は,遠隔地にある再生可能エネルギー資源の開発を望んでいるが,問題は,そのクリーン電力を如何にして都市に運ぶかの問題である。BPA(注7)は,北西部の3分の一に電力を供給している大恐慌時代以来の非営利団体である。BPA(注7)は,コロンビア川水系(注11)の政府所有の31のダムから電力を得て,15,000マイルの送電線で,電力を供給している。
また更に続ける。問題は,全国の送電網が旧式で,風力や太陽光のように,多様で断続的な再生可能エネルギーによる電力を送れないことである。あるコンサルタントの試算では,送電網改造のために,9,000億ドルが必要,と言っている。再生可能エネルギーの擁護者である北西部エネルギー連合のサラ女史(注13)は,送電網が更に必要でそれも知的送電網,即ち,より効果的に需要と適合させた自動化された送電網,が必要,と。
要するに,送電網が旧式で,風力や太陽光などの再生可能エネルギーが集められない,送れない,と送電線に責任があると言わんばかりの発言だ。確かに,送電線の高度化,知能化は面白いテーマーだが,具体的な構想は何処にもない。ただ一点で数百万KWを発電できる原子力で,インドは更に進展を見せている。オバマ政権は,バイオとトルネードによる被害が考えられる風Ryくはつ田には,見切りを付ける様子である。
(注) (1) http://www.smartmeters.com/,(2) smart grid,(3) http://my.reset.jp/adachihayao/index081005.htm,(4) President Roosevelt’s New Deal,(5) Grand Coulee Dam,(6) Bonneville Dam,(7) Bonneville Power Administration,(8) Obama administration,(9) Washington Representative Jay Inslee,(10) House of Representatives,(11) Columbia River,(12) U.S. Department of Energy,(13) Sara Patton, executive director of the Northwest Energy Coalition,(14) 知的送電網,(15)
本文
●世界の金融危機,知的送電網開発へ拍車
この記事は,オバマ政権発足に向けて,再生可能エネルギー開発への期待を込めながら,スマートメーターズ(注1)が書いた記事だが,メディアは一斉にオバマ政権の新しい方向に眼を向けている。私は,果たして皆が期待している方向に行くかどうか,疑問を持ちながら見守っているが,この中に出てくる知的送電網(注2)については,2008年10月5日付本HP(注3)にもあるとおり,注目はしている。
今日の記事。ルーズベルト大統領のニューディール政策(注4)で数多くの水力発電ダムが開発されたときのように,このたびの金融危機が米国の知的送電網(注2)の建設を早める可能性がある。75年前に,7,000人の労働者が,グランドクーリー(注5)やボンネビルのダム建設工事現場で働き,米国西北部地区の電化のために,送電線建設に邁進したことを想起する。
そのダムは未だ健在で電気を送り続けている。75年後の今日,再び金融危機に襲われて,公共工事が議論の対象になっている。かって水力を対象としたように,今度は,北西部から風力発電による電気を送ることだ。この事業では,5万人の雇用が生まれると言われている。地域の政治家は,ボンネビル電力公社BPA(注7)の送電網の拡張への資金供給を視野に入れている。
オバマ政権(注8)はグリーン技術を標榜しており,まさにときは来たれり,だ。米国北西部こそが,全国20万マイルに及ぶ送電線の,21世紀の知的送電網への転換の呼び水となるのだ。ワシントン州選出インスリー議員(注9)は,この問題こそ21世紀のテーマーだ,と主張している。インスリー議員(注9)は今や,米国議会下院(注10)に於けるグリーンエネルギーのリーダーである。
全国的に米国は,遠隔地にある再生可能エネルギー資源の開発を望んでいるが,問題は,そのクリーン電力を如何にして都市に運ぶかの問題である。BPA(注7)は,北西部の3分の一に電力を供給している大恐慌時代以来の非営利団体である。BPA(注7)は,コロンビア川水系(注11)の政府所有の31のダムから電力を得て,15,000マイルの送電線で,電力を供給している。
この地域の風力発電資源は巨大で,北西部の風力出力は2,000MWに達しており,この先5年間で,4,700MWに達する勢いである。現在,この風力電気を送るに十分な送電線がない。BPA(注7)は,15億ドルをかけて,600マイルの送電線を建設する計画である。エネルギー省(注12)は,2030年までに風力によって20%を賄う計画で,600億ドルの基盤整備の費用を必要としている。
問題は,全国の送電網が旧式で,風力や太陽光のように,多様で断続的な再生可能エネルギーによる電力を送れないことである。あるコンサルタントの試算では,送電網改造のために,9,000億ドルが必要,と言っている。再生可能エネルギーの擁護者である北西部エネルギー連合のサラ女史(注13)は,送電網が更に必要でそれも知的送電網,即ち,より効果的に需要に適合させるための自動化された送電網,が必要,と言っている。
とき折しも金融危機に見舞われて,このような投資を難しくしているが,今こそ,再生可能エネルギーに熱心な国会議員は,政府による刺激策を,この送電線などに注入するよう,働きかけるべきだろう。インスリー議員(注9)は,この危機を新しい機会に変えるマジックを出すべきときだ,と言っている。BPA(注7)は,ダム改良,送電線高度化,その他のプロジェクトで,70億ドルを要求している。
この記事を読んでみて,地方に散らばって発電も断続的な風力や太陽光の電力を,どの様に集中化して,都市部の主要な電源に押し上げて意向とするのか,非常に疑問が残るし,その当たりはうまく説明できる人はいない。知的送電網がすべてを解決してくれる,と信じている人もいるようだ。それでも,具体的にどの様な知的な機能を持たせるべきなのか,まだ誰も分かっていないのだろう。
(注) (1) http://www.smartmeters.com/,(2) smart grid,(3) http://my.reset.jp/adachihayao/index081005.htm,(4) President Roosevelt’s New Deal,(5) Grand Coulee Dam,(6) Bonneville Dam,(7) Bonneville Power Administration,(8) Obama administration,(9) Washington Representative Jay Inslee,(10) House of Representatives,(11) Columbia River,(12) U.S. Department of Energy,(13) Sara Patton, executive director of the Northwest Energy Coalition,(14) 知的送電網,(15)
●フィリッピン,台湾企業が15億ドル,石炭火力へ投資
フィリッピンの電気料金が高いのは,システムが悪いのではなくて,資源がない国で基本的な供給力として,輸入してでも石炭火力を造らないからだ,と,私は言ってきている。再生可能エネルギーだけではでは,料金は下がらない。今日は,台湾企業が,フィリッピンの石炭火力に投資する,とのタイトルを見て大いに期待したが,果たして我々が考えるような構想なのか,まだ未知数だ。
台湾の大規模複合企業,フォルモッサ(注15)は,金融危機をものともせず,フィリッピンの電力セクターへの投資を倍増して,二つの石炭火力に15億ドルの投資を行う計画である。MECO(注16)のディタ部長(注17)が明らかにしたところによると,フォルモッサ(注15)は,既設のセブ(注18)とイロイロ(注19)の二つの発電所の上積みで,来年,2009年,7億ドルで二つの発電所を造ることを,明らかにした。
MECO(注16)は,金融危機の中で台湾が投資を増やしていることを評価しており,フォルモッサ(注15)が現在発電所現場で12,000人を働かしていること,更に新しい計画で8,000人を雇用することを期待している。フォルモッサ(注15)は現在,メトロ銀行グループ(注20)と合弁で,セブ(注18)のトレド(注21)の石炭火力,更にイロイロ(注19)のラパス(注22)の石炭火力,二つで,450MWを建設中である。
フォルモッサ(注15)は,アジアで石炭火力,14,000MWを所有運転している大企業で,台湾,中国,ベトナムなどで活躍している。また世界的な石油化学企業でもある。また,台湾複合火力公社(注23)は,4億ドルで300MWの石炭火力を,スービック(注24)のレドンド半島(注25)で建設中である。MECO(注16)はは,台湾企業が,フィリッピンを投資の重要な対象としていることに,評価している。
(注) (15) Formosa Heavy Industries Corporation,(16) Manila Economic and Cultural Office,(17) Dita Angara-Mathay, director of commercial affairs of the Manila Economic and Cultural Office,(18) Cebu,(19) Iloilo,(20) Metrobank Group of Companies,(21) Toledo,(22) Lapaz,(23) Taiwan Cogeneration Corporation,(24) Subic Bay Freeport,(25) Redondo Peninsula,(26)
●インド,フランスのアレバがウラニューム供給,300トン
インドの原子力開発に於ける海外からの具体的な支援が出始めた。世界最大規模,フランスの原子力企業アレバ(注26)とインド原子力開発公社NPCIL(注27)は,年間300トンのウラニューム(注28)供給で,協定に署名した。これは,今年,2008年,米印原子力協定が発効してから初めての原子力燃料供給協定である。この量は,1,500MWを運転するに必要な量で,インドの原子力設備の35%分に当たる。
ラメシュ副大臣(注29)は,この燃料供給によって,2009年6月より,NPCIL(注27)の全原子力設備がフル運転に入る,としている。現在の稼働率は45%である。NPCIL(注27)は,現在,6カ所で17機の原子炉を稼働させており,その合計出力は,4,120MWである。インドのウラニューム(注28)の埋蔵量は,10,000MWを稼働するのに十分と見られている。しかし,質の問題や開発困難で,それほど期待されていない。
今回のアレバ(注26)との協定で,インドの原子力供給グループNSG(注30)からの疎外から免れることになる。現在は,国内産を主体にロシアからの供給で発電を続けていた。アレバ(注26)は燃料の他,1700MWの原子炉売り込みに関心を持っており,そうなるとこれは,インド最大規模のユニットとなる。ロシアは,コダンクラム(注31)原子力発電所,4,000MWのうち,1,000MWを供給,2009年9月完成予定である。
この他,原子力局DAE(注32)は,NSG(注30)以外からの燃料供給で,ナンビア(注33),ニジェール(注34)とも交渉中である。ナイジェリアは世界のウランの10%を包蔵している。ウランの不足で,ラジャスタン原子力発電所(注35)の220MW機の運転開始が遅れている。また,第11次五カ年計画(注36)では,3,880MWに抑えているが,第12次五カ年計画(注37)では,新規10,000MWの開発を計画している。
(注) (26) Areva,(27) Nuclear Power Corporation of India,(28) uranium,(29) Minister of state for power and commerce Jairam Ramesh,(30) Nuclear Suppliers’ Group,(31) Koodankulam,(32) department of atomic energy,(33) Namibia,(34) Niger,(35) Rajasthan Atomic Power Station,(36) 11th Plan (2007-12).,(37) 12th five-year Plan,(38)
●中国,寧夏回族自治区,500億元,大規模エネルギー基地
中国,寧夏回族自治区(注1)で,500億元,アジア最大の石炭化学エネルギー基地の建設が始まった。これは中国政府の西部開発の一環で,広さ3500平方kmのニンドン・エネルギー化学基地(注39)と呼ばれているもので,2020年までの投資額は,3,000億元に達する。工事を主導するのは,中国国家電網(注40)と華能国際電力(注41)で,3つの発電所,送電線,石炭化学プラントが含まれる。
中国国家電網(注40)は,104億元をかけて,66万ボルト送電線を,寧夏の石炭火力及び水力発電所と,山東省の青島(注42)を結ぶ。2010年の完成予定で,これが出来ると,汚れた石炭を西部から山東省に運ぶ必要はなくなる。華能国際電力(注41)は,164億元をかけて,三つの石炭火力を造るが,その出力は,4,400MWである。
国家エネルギー監理委員会(注43)のザングオバオ首席(注44)は,金融危機が石炭価格を抑え電力需要を減らして,中国のエネルギー産業を改造するよい機会だ,と述べている。寧夏回族自治区(注1)の石炭包蔵は300億トンであり,そのうち273億トンは,ニンドン・エネルギー化学基地(注39)の近くにある。2020年までに,発電,16,000MW,石炭年間130百万トン,石炭化学製品2,000万トンを得る計画だ。
(注) (38) Ningxia Hui autonomous region,(39) Ningdong Energy-Chemical Base,(40) State Grid Corp of China,(41) Huadian Power International Corp,(42) Qingdao,(43) National Energy Administration,(44) Zhang Guobao, head of the National Energy Administration,(45)
参考資料
電力一般
●081216A Power, smartmeters
世界の金融危機,知的送電網開発へ拍車
Financial crisis could speed up smart grid development
http://www.smartmeters.com/newsdetail.php?id=353
フィリッピン
●081216B Philippines, Manila Bulletin
フィリッピン,台湾企業が15億ドル,石炭火力へ投資
Formosa Heavy plans $ 1.5-B power projects
http://www.mb.com.ph/BSNS20081216143591.html
●081216C Philippines, Manila Bulletin
マニラ配電,大規模ユーザーが,貧困層料金負担
Bigger consumers to shoulder costs of subsidy for Meralco lifeline users
http://www.mb.com.ph/BSNS20081216143596.html
インド
●081216D India, Economic Times
インド,フランスのアレバがウラニューム供給,300トン
Areva inks pact with NPCIL to supply 300 tonnes of uranium
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Areva_inks_pact_with_NPCIL_to_supply_300_tonnes_of_uranium/articleshow/3843067.cms
中国
081216E China, chinadaily
中国,寧夏回族自治区,500億元,大規模エネルギー基地
Ningxia to fuel China power needBy Si Tingting
http://www.chinadaily.com.cn/bizchina/2008-12/16/content_7308067.htm
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
ブッシュ大統領への靴投げゲームがネットに登場,一方で,「オバマ次期政権の環境政策の転換鮮明」,の文字がネット上に踊る。「問題の根は海外の石油への依存にある」,「石油に代わる新エネルギーの開発を通じて雇用創出と安全保障に注力」,「地球温暖化問題に正面から取り組む」,などなど,少し上滑りの感のある言葉が続く。これに乗っかったいろいろな意見が飛び交う中,再び,知的送電網,が出てきた。
この記事は,オバマ政権発足に向けて,再生可能エネルギー開発への期待を込めながら,スマートメーターズ(注1)が書いた記事だが,メディアは一斉にオバマ政権の新しい方向に眼を向けている。私は,果たして皆が期待している方向に行くかどうか,疑問を持ちながら見守っているが,この中に出てくる知的送電網(注2)については,2008年10月5日付本HP(注3)にもあるとおり,注目はしている。
今日の記事。ルーズベルト大統領のニューディール政策(注4)で数多くの水力発電ダムが開発されたときのように,このたびの金融危機が米国の知的送電網(注2)の建設を早める可能性がある,と。75年前に,7,000人の労働者が,グランドクーリー(注5)やボンネビルのダム建設工事現場で働き,米国西北部地区の電化のために,送電線建設に邁進したことを想起する,と。
そのダムは未だ健在で電気を送り続けている。75年後の今日,再び金融危機に襲われて,公共工事が議論の対象になっている。かって水力を対象としたように,今度は,北西部から風力発電による電気を送ることだ。この事業では,5万人の雇用が生まれると言われている。地域の政治家は,ボンネビル電力公社BPA(注7)の送電網の拡張への資金供給を視野に入れている。
読み進むと,再生可能エネルギー擁護の人々,特に,風力発電と太陽光にこだわっている人々は,その多様で,断続的で,高価な,質の悪い電気を,どの様に効率的に集約して需要地に送るか,このことに悩んでいるようだ。数百万KWとか言う話なので,その辺の村の片隅で,貧困に悩む人々に国家が供給,などという代物では,オバマ政権の目指す,「石油に代わる新エネルギーの開発」,にはほど遠いわけだ。
記事は言う。全国的に米国は,遠隔地にある再生可能エネルギー資源の開発を望んでいるが,問題は,そのクリーン電力を如何にして都市に運ぶかの問題である。BPA(注7)は,北西部の3分の一に電力を供給している大恐慌時代以来の非営利団体である。BPA(注7)は,コロンビア川水系(注11)の政府所有の31のダムから電力を得て,15,000マイルの送電線で,電力を供給している。
また更に続ける。問題は,全国の送電網が旧式で,風力や太陽光のように,多様で断続的な再生可能エネルギーによる電力を送れないことである。あるコンサルタントの試算では,送電網改造のために,9,000億ドルが必要,と言っている。再生可能エネルギーの擁護者である北西部エネルギー連合のサラ女史(注13)は,送電網が更に必要でそれも知的送電網,即ち,より効果的に需要と適合させた自動化された送電網,が必要,と。
要するに,送電網が旧式で,風力や太陽光などの再生可能エネルギーが集められない,送れない,と送電線に責任があると言わんばかりの発言だ。確かに,送電線の高度化,知能化は面白いテーマーだが,具体的な構想は何処にもない。ただ一点で数百万KWを発電できる原子力で,インドは更に進展を見せている。オバマ政権は,バイオとトルネードによる被害が考えられる風Ryくはつ田には,見切りを付ける様子である。
(注) (1) http://www.smartmeters.com/,(2) smart grid,(3) http://my.reset.jp/adachihayao/index081005.htm,(4) President Roosevelt’s New Deal,(5) Grand Coulee Dam,(6) Bonneville Dam,(7) Bonneville Power Administration,(8) Obama administration,(9) Washington Representative Jay Inslee,(10) House of Representatives,(11) Columbia River,(12) U.S. Department of Energy,(13) Sara Patton, executive director of the Northwest Energy Coalition,(14) 知的送電網,(15)
本文
●世界の金融危機,知的送電網開発へ拍車
この記事は,オバマ政権発足に向けて,再生可能エネルギー開発への期待を込めながら,スマートメーターズ(注1)が書いた記事だが,メディアは一斉にオバマ政権の新しい方向に眼を向けている。私は,果たして皆が期待している方向に行くかどうか,疑問を持ちながら見守っているが,この中に出てくる知的送電網(注2)については,2008年10月5日付本HP(注3)にもあるとおり,注目はしている。
今日の記事。ルーズベルト大統領のニューディール政策(注4)で数多くの水力発電ダムが開発されたときのように,このたびの金融危機が米国の知的送電網(注2)の建設を早める可能性がある。75年前に,7,000人の労働者が,グランドクーリー(注5)やボンネビルのダム建設工事現場で働き,米国西北部地区の電化のために,送電線建設に邁進したことを想起する。
そのダムは未だ健在で電気を送り続けている。75年後の今日,再び金融危機に襲われて,公共工事が議論の対象になっている。かって水力を対象としたように,今度は,北西部から風力発電による電気を送ることだ。この事業では,5万人の雇用が生まれると言われている。地域の政治家は,ボンネビル電力公社BPA(注7)の送電網の拡張への資金供給を視野に入れている。
オバマ政権(注8)はグリーン技術を標榜しており,まさにときは来たれり,だ。米国北西部こそが,全国20万マイルに及ぶ送電線の,21世紀の知的送電網への転換の呼び水となるのだ。ワシントン州選出インスリー議員(注9)は,この問題こそ21世紀のテーマーだ,と主張している。インスリー議員(注9)は今や,米国議会下院(注10)に於けるグリーンエネルギーのリーダーである。
全国的に米国は,遠隔地にある再生可能エネルギー資源の開発を望んでいるが,問題は,そのクリーン電力を如何にして都市に運ぶかの問題である。BPA(注7)は,北西部の3分の一に電力を供給している大恐慌時代以来の非営利団体である。BPA(注7)は,コロンビア川水系(注11)の政府所有の31のダムから電力を得て,15,000マイルの送電線で,電力を供給している。
この地域の風力発電資源は巨大で,北西部の風力出力は2,000MWに達しており,この先5年間で,4,700MWに達する勢いである。現在,この風力電気を送るに十分な送電線がない。BPA(注7)は,15億ドルをかけて,600マイルの送電線を建設する計画である。エネルギー省(注12)は,2030年までに風力によって20%を賄う計画で,600億ドルの基盤整備の費用を必要としている。
問題は,全国の送電網が旧式で,風力や太陽光のように,多様で断続的な再生可能エネルギーによる電力を送れないことである。あるコンサルタントの試算では,送電網改造のために,9,000億ドルが必要,と言っている。再生可能エネルギーの擁護者である北西部エネルギー連合のサラ女史(注13)は,送電網が更に必要でそれも知的送電網,即ち,より効果的に需要に適合させるための自動化された送電網,が必要,と言っている。
とき折しも金融危機に見舞われて,このような投資を難しくしているが,今こそ,再生可能エネルギーに熱心な国会議員は,政府による刺激策を,この送電線などに注入するよう,働きかけるべきだろう。インスリー議員(注9)は,この危機を新しい機会に変えるマジックを出すべきときだ,と言っている。BPA(注7)は,ダム改良,送電線高度化,その他のプロジェクトで,70億ドルを要求している。
この記事を読んでみて,地方に散らばって発電も断続的な風力や太陽光の電力を,どの様に集中化して,都市部の主要な電源に押し上げて意向とするのか,非常に疑問が残るし,その当たりはうまく説明できる人はいない。知的送電網がすべてを解決してくれる,と信じている人もいるようだ。それでも,具体的にどの様な知的な機能を持たせるべきなのか,まだ誰も分かっていないのだろう。
(注) (1) http://www.smartmeters.com/,(2) smart grid,(3) http://my.reset.jp/adachihayao/index081005.htm,(4) President Roosevelt’s New Deal,(5) Grand Coulee Dam,(6) Bonneville Dam,(7) Bonneville Power Administration,(8) Obama administration,(9) Washington Representative Jay Inslee,(10) House of Representatives,(11) Columbia River,(12) U.S. Department of Energy,(13) Sara Patton, executive director of the Northwest Energy Coalition,(14) 知的送電網,(15)
●フィリッピン,台湾企業が15億ドル,石炭火力へ投資
フィリッピンの電気料金が高いのは,システムが悪いのではなくて,資源がない国で基本的な供給力として,輸入してでも石炭火力を造らないからだ,と,私は言ってきている。再生可能エネルギーだけではでは,料金は下がらない。今日は,台湾企業が,フィリッピンの石炭火力に投資する,とのタイトルを見て大いに期待したが,果たして我々が考えるような構想なのか,まだ未知数だ。
台湾の大規模複合企業,フォルモッサ(注15)は,金融危機をものともせず,フィリッピンの電力セクターへの投資を倍増して,二つの石炭火力に15億ドルの投資を行う計画である。MECO(注16)のディタ部長(注17)が明らかにしたところによると,フォルモッサ(注15)は,既設のセブ(注18)とイロイロ(注19)の二つの発電所の上積みで,来年,2009年,7億ドルで二つの発電所を造ることを,明らかにした。
MECO(注16)は,金融危機の中で台湾が投資を増やしていることを評価しており,フォルモッサ(注15)が現在発電所現場で12,000人を働かしていること,更に新しい計画で8,000人を雇用することを期待している。フォルモッサ(注15)は現在,メトロ銀行グループ(注20)と合弁で,セブ(注18)のトレド(注21)の石炭火力,更にイロイロ(注19)のラパス(注22)の石炭火力,二つで,450MWを建設中である。
フォルモッサ(注15)は,アジアで石炭火力,14,000MWを所有運転している大企業で,台湾,中国,ベトナムなどで活躍している。また世界的な石油化学企業でもある。また,台湾複合火力公社(注23)は,4億ドルで300MWの石炭火力を,スービック(注24)のレドンド半島(注25)で建設中である。MECO(注16)はは,台湾企業が,フィリッピンを投資の重要な対象としていることに,評価している。
(注) (15) Formosa Heavy Industries Corporation,(16) Manila Economic and Cultural Office,(17) Dita Angara-Mathay, director of commercial affairs of the Manila Economic and Cultural Office,(18) Cebu,(19) Iloilo,(20) Metrobank Group of Companies,(21) Toledo,(22) Lapaz,(23) Taiwan Cogeneration Corporation,(24) Subic Bay Freeport,(25) Redondo Peninsula,(26)
●インド,フランスのアレバがウラニューム供給,300トン
インドの原子力開発に於ける海外からの具体的な支援が出始めた。世界最大規模,フランスの原子力企業アレバ(注26)とインド原子力開発公社NPCIL(注27)は,年間300トンのウラニューム(注28)供給で,協定に署名した。これは,今年,2008年,米印原子力協定が発効してから初めての原子力燃料供給協定である。この量は,1,500MWを運転するに必要な量で,インドの原子力設備の35%分に当たる。
ラメシュ副大臣(注29)は,この燃料供給によって,2009年6月より,NPCIL(注27)の全原子力設備がフル運転に入る,としている。現在の稼働率は45%である。NPCIL(注27)は,現在,6カ所で17機の原子炉を稼働させており,その合計出力は,4,120MWである。インドのウラニューム(注28)の埋蔵量は,10,000MWを稼働するのに十分と見られている。しかし,質の問題や開発困難で,それほど期待されていない。
今回のアレバ(注26)との協定で,インドの原子力供給グループNSG(注30)からの疎外から免れることになる。現在は,国内産を主体にロシアからの供給で発電を続けていた。アレバ(注26)は燃料の他,1700MWの原子炉売り込みに関心を持っており,そうなるとこれは,インド最大規模のユニットとなる。ロシアは,コダンクラム(注31)原子力発電所,4,000MWのうち,1,000MWを供給,2009年9月完成予定である。
この他,原子力局DAE(注32)は,NSG(注30)以外からの燃料供給で,ナンビア(注33),ニジェール(注34)とも交渉中である。ナイジェリアは世界のウランの10%を包蔵している。ウランの不足で,ラジャスタン原子力発電所(注35)の220MW機の運転開始が遅れている。また,第11次五カ年計画(注36)では,3,880MWに抑えているが,第12次五カ年計画(注37)では,新規10,000MWの開発を計画している。
(注) (26) Areva,(27) Nuclear Power Corporation of India,(28) uranium,(29) Minister of state for power and commerce Jairam Ramesh,(30) Nuclear Suppliers’ Group,(31) Koodankulam,(32) department of atomic energy,(33) Namibia,(34) Niger,(35) Rajasthan Atomic Power Station,(36) 11th Plan (2007-12).,(37) 12th five-year Plan,(38)
●中国,寧夏回族自治区,500億元,大規模エネルギー基地
中国,寧夏回族自治区(注1)で,500億元,アジア最大の石炭化学エネルギー基地の建設が始まった。これは中国政府の西部開発の一環で,広さ3500平方kmのニンドン・エネルギー化学基地(注39)と呼ばれているもので,2020年までの投資額は,3,000億元に達する。工事を主導するのは,中国国家電網(注40)と華能国際電力(注41)で,3つの発電所,送電線,石炭化学プラントが含まれる。
中国国家電網(注40)は,104億元をかけて,66万ボルト送電線を,寧夏の石炭火力及び水力発電所と,山東省の青島(注42)を結ぶ。2010年の完成予定で,これが出来ると,汚れた石炭を西部から山東省に運ぶ必要はなくなる。華能国際電力(注41)は,164億元をかけて,三つの石炭火力を造るが,その出力は,4,400MWである。
国家エネルギー監理委員会(注43)のザングオバオ首席(注44)は,金融危機が石炭価格を抑え電力需要を減らして,中国のエネルギー産業を改造するよい機会だ,と述べている。寧夏回族自治区(注1)の石炭包蔵は300億トンであり,そのうち273億トンは,ニンドン・エネルギー化学基地(注39)の近くにある。2020年までに,発電,16,000MW,石炭年間130百万トン,石炭化学製品2,000万トンを得る計画だ。
(注) (38) Ningxia Hui autonomous region,(39) Ningdong Energy-Chemical Base,(40) State Grid Corp of China,(41) Huadian Power International Corp,(42) Qingdao,(43) National Energy Administration,(44) Zhang Guobao, head of the National Energy Administration,(45)
参考資料
電力一般
●081216A Power, smartmeters
世界の金融危機,知的送電網開発へ拍車
Financial crisis could speed up smart grid development
http://www.smartmeters.com/newsdetail.php?id=353
フィリッピン
●081216B Philippines, Manila Bulletin
フィリッピン,台湾企業が15億ドル,石炭火力へ投資
Formosa Heavy plans $ 1.5-B power projects
http://www.mb.com.ph/BSNS20081216143591.html
●081216C Philippines, Manila Bulletin
マニラ配電,大規模ユーザーが,貧困層料金負担
Bigger consumers to shoulder costs of subsidy for Meralco lifeline users
http://www.mb.com.ph/BSNS20081216143596.html
インド
●081216D India, Economic Times
インド,フランスのアレバがウラニューム供給,300トン
Areva inks pact with NPCIL to supply 300 tonnes of uranium
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Areva_inks_pact_with_NPCIL_to_supply_300_tonnes_of_uranium/articleshow/3843067.cms
中国
081216E China, chinadaily
中国,寧夏回族自治区,500億元,大規模エネルギー基地
Ningxia to fuel China power needBy Si Tingting
http://www.chinadaily.com.cn/bizchina/2008-12/16/content_7308067.htm
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