2008年12月1日月曜日

マニラのプール市場に混乱

HPは下記ドメインです。写真地図など見て下さい。
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm

インドとパキスタンの間が緊張している。ムンバイのテロの後,パキスタンのザルダニ大統領は,インドのシン首相に直接電話をして信頼関係を維持しようとしたが,インドがパキスタンの情報関係の司令官をニューデリーに喚問しようとして緊張が走った。パキスタン側は,軍部がこれに抵抗し,司令官でなくて,次席をニューデリーに送ったようだ。パキスタンは,軍を西から東に移動させているという。

エネルギー最前線では,とにかく,インド,ネパール,パキスタンの共同作戦が欠かせない。今日の記事にもあるように,ネパールの静かな革命,王制から共和制に移行し,民主的な政策を進めるマオイスト政権の,経済発展を目指す必死の努力が続けられている。よくここまでコントロールできる,と感心しているが,首領のプラチャンダーが,元々武人でなくて農業の専門家である,このことが大きく役立っているのだろう。

今日は12月1日である。昨日も書いたが,タイの騒乱は12月3日から4日が山だと見ている。12月3日に,最高裁がタクシン派を政治的に不適格とする審判を出して,12月4日にブミポン国王がこれを追認して,総選挙に入るか,或いはすんなりと前回の第2党に政権を譲るのか,とにかく早く落ちついて欲しいが,警察は5人以上の集会を禁ずる命令を出した,これ以上混乱するなよ。

今朝の新聞にオイルサンドの話が出ていたのでメモしておいた。カナダの現在のオイルサンドからの石油生産は日140万バレルに達しているという。因みに日本の日当たり石油使用量は400万バレルである。今のところオイルサンドの埋蔵量は,1.7兆バレル,これとは別に,ベネズエラのオリノコ流域で1兆バレルの可能性,原油埋蔵量は残り1.2379兆バレル。でもオイルサンド生産の公害は,ひどいらしい。

さて今日のフィリッピンの記事。詳しいことはもう少し過去の事情を調べてみなければ分からないが,首都圏マニラの中心的な送電線,23万ボルト,スキャット-アラネタ線(注3)を,クリスマスの週に遮断するよう裁判所が執行令状を発した。どうも,今年,2008年10月4日頃に発生した事故の責任問題の調査のようで,電力セクターが,とんでもない,と反発している。

それは,送電線の突発事故によって生ずるWESM(注1)での,電力取引価格の急騰の問題が,2008年10月25日本HP(注4)で取り上げられ,その中で,WESM(注1)は現在10%の市場規模であるが,今後の増分はすべてWESMを通すことになるので,将来は大きくなる,と解説している。そこで問題になるのは,この前に,サンホセ開閉所(注7)のときに起こった,取引価格の高騰の問題を思い出すわけだ。

送電線事故によるプール市場の取引料金の高騰は,時によれば,記事にもあるように,天文学的な数字になる。我々もカリフォルニアで勉強してきた。アジアの先陣を切るフィリッピンではあるが,プール市場100%を目指すには,とにかくまず需給バランスが必須である。ある確率の元,供給信頼度が必要で,それは当然,電源だけでなく送配電網までも言う。成熟した市場にはプール市場はよいが,フィリッピンには試練が待ち受けている。

(注) (1) Wholesale Electricity Spot Market,(2) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081004A.htm,(3) 29.25-kilometer Sucat-Araneta line stretches from Sucat substation in Paranaque City to the Araneta substation in Sta. Mesa, Quezon City,(4) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081025B.htm,(5) state-run National Power Corporation,(6) Department of Energy,(7) San Jose substation,(8) Quezon,(9) National Transmission Corporation,(10) TransCo vice president for operations Carlito Caludio,(11)

本文

●フィリッピン,スキャットの送電線カット,電力料金高騰を招くか

フィリッピンの電力卸売市場WESM(注1)は,アジアの中でも先進的なプール市場であるが,十分に成熟していない電力需給の世界で,円滑に運ぶかどうか,我々も注目しているところである。今日の記事をたぐってみると,2008年10月4日付本HP(注2)に辿り着く。その他の記事を調べてみると,このころに,今日の記事にある23万ボルト送電線,スキャット-アラネタ線(注3)の事故に問題は発している。

これに関連して,送電線の突発事故によって生ずるWESM(注1)での,電力取引価格の急騰の問題が,2008年10月25日本HP(注4)で取り上げられ,その中で,WESM(注1)は現在10%の市場規模であるが,今後の増分はすべてWESMを通すことになるので,将来は大きくなる,と解説している。そこで問題になるのは,WESM(注1)の運用経費である,として,この問題が論じられている。

今日の記事に行く。電力需要の大きな部分を占める首都マニラの需要家は,クリスマスの休日の間,停電の可能性とそれによるWESM(注1)の取引価格の影響を受ける可能性がある,それは,地方裁判所が,スキャット-アラネタ線(注3)の停電を行うことへの令状を発したからである。ここからよく分からないのだが,最高裁判所が,NPC(注5)の訴えを却下した結果を踏まえての執行令状,と考えられる。

この執行令状に対する影響について,エネルギー省DOE(注6)は,サンホセ開閉所(注7)の事故のために2008年7月~10月の電力料金請求書で起こったような,天文学的な数字が,再びこの電力遮断で起こるのではないか,と予測して懸念している。このスキャット-アラネタ線(注3)を地図上で調べてみると,マニラ南の空港付近からケソン(注8)の中心部までの約30kmで,市内供給の心臓部に当たる。

送電公社Transco(注9)のカルディオ運用担当副社長(注10)は,この遮断を2009年1月31日以降に延期するための最後の手段,上級裁判所への上訴は行き詰まっている,と説明している。送電公社Transco(注9)は,このタイミングは全く間違っている,クリスマスに我々の需要家に迷惑を与えることは最悪だ,我々はそれを望んでいない,としている。

事情はもう少し調べないと分からないことがあるが,2008年10月初めの事故は,建設会社のクレーンが送電線を引っかけたようだ。しかし問題は,電力のプール市場を勇敢に採用してきたフィリッピンの電力セクターが,いろいろ問題に突き当たっていると言うことで,本格的な運用までには,電力需給のバランスを保つことと,これを需要家へ繋ぐ送配電網が,十分に整備していなければならない,と言うことを意味している。

(注) (1) Wholesale Electricity Spot Market,(2) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081004A.htm,(3) 29.25-kilometer Sucat-Araneta line stretches from Sucat substation in Paranaque City to the Araneta substation in Sta. Mesa, Quezon City,(4) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081025B.htm,(5) state-run National Power Corporation,(6) Department of Energy,(7) San Jose substation,(8) Quezon,(9) National Transmission Corporation,(10) TransCo vice president for operations Carlito Caludio,(11)

●ネパールの情報大臣,100日間の成果を,公表

王制を廃して共和制に移行,そうしてマオイストの主導の元に政権を樹立した,まさしく新生のネパールの100日を総括した記事である。エネルギーに関する記事の部分は少ないが,マオイストの旧兵士や軍隊をどう処置するのか,問題のポイントがまだ残っている。ネパールがここまで円滑に新しい政治に入るとは思わなかったが,もう戦闘下のネパールはイヤだという民衆の願望を表しているのだろう。

新政府は,100日経った政権で,70ポイントの達成度について自ら評価し,特に国庫の歳入が35.4%の伸びを示したことに焦点を当てている。マハラ情報通新大臣(注11)は,期待したまでに成果は到達していないが,成功に向かって進んではいる,と謙虚である。特に教育問題については,すべての教育を国で握ろうとは考えていない,と問題の一つを示唆して見せた。

しかし,全体的には民間セクターを重視するが,教育と医療については,国が責任を持つ,と明言している。商業政策は既に明確に示しており,特に情報技術の育成に重点を置いている。特別経済圏の設定についても,法案化を急いでいる。また,2011年を,「ネパール観光年(注12)」と位置づけている。土地改革についても,法案化すべく急いでいる。

水力開発について,政府は,法案や政策の改正を急いでいる。既に,多くの中小規模の水力開発に関するライセンスを,ネパール企業に付与した。大規模水力開発については,この記事では触れられていないが,比較的円滑に,インドを中心とした外国企業への国際入札による委託は進んでいる。一時,国内資源と外国企業の関わり合いの問題は議論になったが,一応の決着を見ている感じである。

(注) (11) Minister for Information and Communications Krishna Bahadur Mahara,(12) 'Nepal Tourism Year',(13)

Reference

Philippines

●081130A Philippines, Manila Bulletin
スキャットの送電線カット,電力料金高騰を招くか
Sucat-Araneta line shutdown may cause power price spikes
http://www.mb.com.ph/BSNS20081130142365.html

Nepal

●081130B Nepal, thehimalayantime
ネパールの情報大臣,100日間の成果を,公表
Mahara Unveils 100-Day Report Card
http://www.thehimalayantimes.com/fullstory.asp?filename=aFanata0vfqzpla4a8a3wa.axamal&folder=aHaoamW&Name=Home&dtSiteDate=20081130

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