2008年12月16日火曜日

メコン委員会も気候変動戦争に参戦

HPは下記ドメインです。写真地図など見て下さい。
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm

先ほどの読売新聞速報は,オバマ次期米大統領が,エネルギー環境分野の4人事を発表した,と報じている。エネルギー長官,ノーベル物理学賞を受賞した中国系の科学者,スティーブン・チュー氏(60)は既に報じられているところだが,新たに,ホワイトハウスに新設するエネルギー気候変動担当調整官にはキャロル・ブラウナー元環境保護局長官(52),環境保護局長官にはニュージャージー州知事補佐官のリサ・ジャクソン氏。

更に,環境問題で大統領顧問役の環境評議会議長にはロサンゼルス副市長のナンシー・サトリー氏を指名。オバマ氏は,COP14が目立った進展なく終わったことに触れて,「米国は交渉のテーブルだけでなく,技術革新を通じて先頭に立つ」,と,再生可能なエネルギーの開発や地球温暖化対策で世界をリードする考えを示した,と報じられている。改めて,地球温暖化抑制に舵を切ることを,明確にしたのか。

2008年11月12日の日経ネット,「飯田哲也のエネルギーフロネシスを求めて」,では,ブッシュ大統領とオバマ氏のエネルギー政策の違いに触れている数少ない記事がある。ブッシュ政権の初頭に,カリフォルニアの料金高騰問題が起こって,このときの仕掛け人が,ブッシュ政権の強力な支持者を構成していたエンロンであったとされ,ブッシュ政権は,電力問題に,今日まで手を拱いているという。

一般に,石油,そうして温暖化への対応をつくろうために,原子力政策に傾いていったブッシュ政権に対して,オバマは全く違った方向で走り出そうとしている。新しい環境重視の政策で,投資の機会を増大して,金融危機を乗り切ろうとするオバマの政策に,誤りはないのか,じっくりと追っかけてゆくことが,世界のエネルギー問題の鍵を握ることになる。

昨夜のテレビで,北海道でニシンがとんでもない豊漁になった,と言う記事で,海水の温度が問題となっていた。あの示されたグラフを見ると,果たして炭酸ガスの影響で地球の温暖化が進んでいるのか,疑問になる傾向で,おそらく数十年の温暖化の周期が回ってきている,という感じがするが,猛烈な勢いで地球温暖化対策に,世界が走り始めた。メコン河委員会も,この戦いに参戦である。

再生可能エネルギーをどのようにして主要電源に押し上げようと言うのか,大いに疑問と関心を持っている。10KWの発電所をどの様に統合して10,000MWにしてゆくのか,そこに知的送電線の問題が出てきて,オバマの陣営でも,知的送電網が一つの重要な要素になっている。これからオバマ陣営のエネルギースタッフの話が出てくるだろう。まだ誰もその具体策には触れていない。

本文

●メコン河委員会,気候変動との戦いに参戦へ

メコン河委員会MRC(注1)については,最近,流域の水力開発について十分の役割を果たしていない,などの批判が相次ぎ,2008年12月4日付本HP(注2)で,MRC(注1)バード事務局長(注3)が,MRC(注1)本来の基本合意書に基づいて,メコン本流開発などの計画が明らかになった段階で,その役割を果たす,と新聞紙上で答えている。内外からMRC(注1)に視線が注がれる中での,START(注4)との提携である。

2008年12月13日,先週,メコン河委員会MRC(注1)は,地球変動に関する分析・研究・研修システムSTART(注4)と,地域の気候変動との戦いで協力関係を樹立することで,覚書MOU(注5)に署名した。MRC(注1)側はバード事務局長(注3),START(注4)側は,スニドボン東南アジア地域局長(注6)である。MOU(注5)は,メコン河委員会MRC(注1)とSTART(注4)が,次の点で協力することになっている。

2つの機関は,気候変動とそれへの適合,メコン河流域の水文調査,知識と情報の共有の3点に関し,調査研究と関連プロジェクトの実施に当たって協力する。これらの項目は,気候変動,緩和対策,と水文のシナリオにおける資料交換,技術書発刊,研究結果の交換,などが含まれる。バード事務局長(注3)は,MRC(注1)のそれらの面での手法や過程を,地域の水資源に導入することで,指導力を発揮する,としている。

更に,MOU(注5)は,国際的な気候変動の議論を,地域のレベルに反映させることを考えている。例えばMRC(注1)は,いろいろな開発のシナリオを描いており,流域で何が進行しているか,水力開発はどの様な工程で進んでいるか,水資源の農業や産業への活用にどの様なオプションがあるか,などを調査研究している,とバード事務局長(注3)は話している。

START(注4)は,国際的な研究ネットワークで,スポンサーは,国際地表生物圏計画IGBP(注7),国際人類環境変動計画IHDP(注8),世界気候研究計画WCRP(注9)で,人間と環境の問題について,多専門分野の連携を促進することを目的としている。また,世界に9つの本部と支局を持ち,今回の部局は,東南アジア研究センター(注10)で,事務所はタイのバンコクにある。

(注) (1) Mekong River Commission,(2) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081204B.htm,(3) Jeremy Bird, Chief Executive Officer of the Mekong River Commission Secretariat,(4) Global Change System for Analysis, Research and Training,(5) Memorandum of Understanding,(6) Dr. Anond Snidvong, Director of the Southeast Asia Regional Centre for START,(7) International Geosphere Biosphere Programme,(8) International Human Dimension Programme on Global Environment Change,(9) World Climate Research Programme,(10) regional research centre for Southeast Asia,(11) START http://www-cger.nies.go.jp/cger-j/db/info/prg/start.htm,(12)

●インド,電力大臣,2012年までに,全家庭に電気を

インドの農村電化計画である。政府は,現在までに,53,000の村落の電化を完了し,2012年までにはすべての村落を電化する,とシンディ電力大臣(注12)は,日曜日,記者会見で発表した。電力省(注13)は,120,000の村落の電化を,現在の第11次五カ年計画(2007~2012年)に組み入れている。その計画名は,RGGVY(注14)で,2005年に,全国の村落電化を目的にスタートした。

この地方電化計画RGGVY(注14)では,政府が,配電インフラの90%を補助し,農村の全家庭の100%の電化を補助する。政府は既に,貧困層ラインBPL(注15),この年度計画対象500万世帯のうち,180万世帯の電化を終わっている。インフラに対する補助金総額は,3,300億ルピーである。RGGVY(注14)を担当する部局は,地方電化公社REC(注16)である。

地方電化公社REC(注16)のシャンカール総裁(注17)は,第11次五カ年計画で配分されている補助金予算は2,800億ルピーで,前回の五カ年計画では500億ルピーであった,我々は,この第11次五カ年計画で,12万村落の電化を計画している,と語っている。インドは,まだ相当のみ電化村落が残されており,それも厳しい山岳地帯が多いので,大事業である。

(注) (12) Power Minister Sushilkumar Shinde,(13) Ministry of Power,(14) Rajiv Gandhi Grameen Vidyutikaran Yojana,(15) Below Poverty Line,(16) Rural Electrification Corporation,(17) Chairman and Managing Director REC P Uma Shankar,(18)

参考資料

ラオス

●081215A Mekong, bernama
メコン河委員会,気候変動との戦いに参戦へ
MRC To Cooperate With Start On Combating Climate Change
http://www.bernama.com/bernama/v5/newsworld.php?id=378338

インド

●081215B India, Economic Times
電力大臣,2012年までに,全家庭に電気を
Electricity for all by 2012 Power Minister
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Electricity_for_all_by_2012_Power_Minister/articleshow/3836381.cms

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