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昨日,2008年12月22日分本HP(注36)では,インドのKG流域深海の天然ガス生産開始とカタールからのLNG輸入問題で,ガスの価格を論じたが,今出てきたロイター電で,「ロシア主催のガス生産国会議,国際機関発足で合意」,と出た。殆どが石油輸出国機構(OPEC)の加盟国で,インドネシアが含まれているかどうか,確認できていないが,インドネシアは重要なLNG輸出国だから,参加したのだろう。
このロシア主宰になる,「ガス輸出国フォーラム(GECF)」,では,ロシアの思惑とは別に,OPEC諸国は,ロシアが原油生産削減に実際には協力していない,と攻撃の矛先がロシアに向いたことと,天然ガス市場は構造的に価格調整に向いていないとし,価格調整を否定していることである。原油は原価に比べてロイヤリティがかなり高いので,調整が可能だったのだが,天然ガスはそうはいかないようだ。
インドネシアは,原油の枯渇に懸念が広がっているが,天然ガスでは,探査も生産もこれからであり,中国経済にとっても捨ててはおけぬ相手国である。昨年,インドネシアのカラ副大統領は中国に招かれて,大満足の体で,中国の政治経済体制は世界一だ,と中国を賞賛して,帰国したが,今日の報道は一重に,カラ副大統領の功績といえるだろう。
今日の報道は,久しぶりのカラ副大統領の出番である。インドネシアと中国は,この月曜日,2008年12月22日,総額35兆ルピア,約31.3億ドル相当の8つのエネルギー及び鉱山部門のプロジェクトの協力協定に署名した。署名は,インドネシア側,カラ副大統領(注14)と中国側,リケキアン副首相(注15)が出席した第3次中国インドネシアエネルギーフォーラムICEF(注16)の席上で行われた。
カラ副大統領(注14)は挨拶で,今回の案件は両国の利益のためである,インドネシアは中国の製品を使用し,中国の経済を活性化する,それは同時にインドネシアにも影響を与える,と語った。また,現時点のエネルギーへの投資は低廉であり,今投資することによって,経済が回復したときに,我々には準備態勢が出来上がっていることになる,としている。
インドネシアも,単なる資金供与を受けるだけでなく,中国がインドネシアのLNGの獲得に向かって,日本などと競い合っていることを頭の中に入れた上での演説である。一方の中国の副首相も,署名は紙の上だけだ,実際に行動に移すのはインドネシアだ,と言わんばかりに,確実な実行を迫っている。ジャカルタのフォーラムで,両国の火花が散っている。日本の企業,民間の活躍が期待されるところだが,金融危機はそう影響するか。
(注) (14) Vice President Jusuf Kalla,(15) Deputy Prime Minister Li Keqiang.,(16) third Indonesia-China Energy forum (ICEF),(17) China's CNOOC,(18) Canada's Husky,(19) Madura Strait, East Java,(20) Upstream oil and gas regulator BPMigas,(21) state power company PT PLN,(22) Exim Bank of China,(23) Pelabuhan Ratu, West Java,(24) Pacitan, East Java,(25) PLN president director Fahmi Mochtar,(26) China National Technical Import and Export (CNTIE),(27) Shanghai Electric Group Company Ltd,(28) Adipala, Cilacap, Central Java ,(29) PT GH EMM Indonesia, a subsidiary of a China-based power producer,(30) Simpang Belimbing, Muara Enim, South Sumatra,(31) PT Tambang Batubara Bukit Asam,(32) China's Huadian Corporation,(33) Jambi,(34) Purnomo,(36) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081222.htm
(35) 1. Oil and gas contract extension in Madura Strait (BP Migas, CNOOC and Husky Madura Ltd),US$642 million2. Power plant financing in Pelabuhan Ratu (The Exim Bank of China and PT PLN),US$481.94 million 3. Power plant financing in Pacitan (The Exim Bank of China and PT PLN),US$293.23 million 4. Power plant construction in Cilacap,US$605.29 million (PLN, CNTIE and Shanghai Electric),Rp 2.45 trillion 5. Power purchase agreement for Muara Enim (PT PLN and PT GH EMM Indonesia),US$330 million 6. Coal mining joint venture in Muara Enim (Bukit Asam and Huadian Corp),US$14.40 million 7. Biodiesel development in Jambi and South Sumatra (PT Kurnia Selaras and China Development Bank),US$255 million 8. Coal mining cooperation in East Kalimantan (PT Budi Dharma Kencana and Lark Guangdong Power Resources Inc) ,US$350 million Sources: The third Indonesia-China energy forum 2008
本文
●ベトナム,105MW,アブン水力,試運転開始
アブン水力(注1)については,2008年11月15日付本HP(注2)で取り上げている。現地企業電力機械(注3)と住友商事が,EVN(注4)からターンキーで建設を請け負った,105MW,アボン水力(注1)の第1号機を完成して運転に入った。第2号機は2009年1月完成の予定である。アボン水力(注1)地点は,クワンナム県(注4)に位置し,2003年に着工し,完成が近づいている。年間発生電力量は815GWhである,としている。
今日の記事,ベトナム中部のクワンナム県(注4)に位置するアボン水力(注1)の,105MW,第2グループのタービンが,先週金曜日,無水試運転に入って中央グリッドに投入する準備に入った。第2グループのタービンは,2008年10月11日に運転開始した第1グループと同じ出力で,既に,140百万KWhを発電した。総工事費は235百万ドルで,第1,第2併せて210MW,年間815百万KWhの電力を発生する。
ホアンチュンハイ副首相(注5)は,発電所の職員達を前に,効果的で安定した運転に心がけ,8億トンの貯水池を絶対安全を目標に,維持管理に当たれ,と訓示した。このハイさんは,EVNの総裁をしていたハイさんですね。当時,ハイ総裁と会見するときに,職員から,あの人は首相になる人だからそのつもりで会ってくれ,と言われた。工業大臣を経て副大臣か。ベトナムって,そうやって首相が決まるのですかね。
(注) (1) A Vuong hydropower plant,(2) http://my.reset.jp/adachihayao/index081115A.htm,(2) Power Machines,(3) Electricity of Viet Nam (EVN),(4) Quang Nam province,(5) Deputy Prime Minister Hoang Trung Hai,(6)
●フィリッピン,規制委員会,NPCの電気料金値上げ申請を却下
情報によると,消費者心理を考えて,電力規制委員会ERC(注6)は,国家電力公社NPC(注7)の,KWh当たり0.3685ペソの料金値上げ申請を,NPC(注7)が根拠を説明できていない,として却下した。逆に,NPC(注7)のルソン系統における発電料金調整方式GRAM(注8)と増分為替レート調整ICERA(注9)で,KWh0.56ペソの削減を,この12月の請求書に適用すべく,承認した。
しかしながら,NPC(注7)の時間制料金TOU(注10)の暫定低減分,KWh当たり0.7431ペソが今月で期限切れとなるので,消費者への直接の影響は,KWh当たり0.1831ペソと,増えることになる。2008年12月26日~2009年1月25日までの請求書では,過去6ヶ月間の暫定NPC発電料金低減分,KWh当たり0.74ペソが無効となり,その発電料金は,KWh当たり3.89ペソ,約8.16セント相当に帰ることになる。
調整で,KWh当たり0.56ペソの低減にもかかわらず,最終消費者に行くNPC発電料金は,現在の,KWh当たり3.17セントから平均KWh当たり3.33ペソ,約6.98セント相当になる。ERC(注6)のジュアン局長(注11)は,NPC(注7)が値上げを説明できなかった,としている。ERC(注6)のドウカット会長(注12)は,自動調整,GRAM(注8)とICERA(注9)適用がない場合,71センタボの値上げになるところだ,と言っている。
ERC(注6)のジュアン局長(注11)は,投資企業の申し入れでNPC(注7)の眞の価格を,と言うことは理解しているが,数字の根拠は説明できていない,と言っている。ERC(注6)の基本は,自動調整にあると。見直しは来年に持ち越されると。投資企業は,NPC(注7)の発電コスト部分と常に衝突してきた,それは,彼等の暫定供給契約TSC(注13)がNPC(注7)の時間制料金TOU(注10)に,連動されているからである。
ここは大事なところだが,自動調整,GRAM(注8)とICERA(注9)は,燃料,電力供給,為替変動と遅れが生ずる。料金は大きく揺れるが,特に,NPC(注7)の資産売却に伴う引き取り手である投資企業にとっては,大きな損失となる可能性がある。結局,IPPが確実にNPCに引き取られるとしても,コスト面では,必ずしも理屈にあった待遇が受けられない可能性,これが問題のようだ。
(注) (6) Energy Regulatory Commission (ERC),(7) National Power Corporation (NPC),(8) Generation Rate Adjustment Mechanism (GRAM),(9) Incremental Currency Exchange Rate Adjustment (ICERA),(10) NPC’s time-of-use (TOU) rates,(11) ERC executive director Francis Saturnino Juan,(12) ERC chairperson Zenaida G. Cruz-Ducut,(13) transition supply contracts (TSCs) ,(14)
●インドネシアと中国,約30億ドルのエネルギーなど支援
久しぶりのカラ副大統領の出番である。インドネシアと中国は,この月曜日,2008年12月22日,総額35兆ルピア,約31.3億ドル相当の8つのエネルギー及び工業部門のプロジェクトの協力協定に署名した。署名は,インドネシア側,カラ副大統領(注14)と中国側,リケキアン副首相(注15)が出席した第3次中国インドネシアエネルギーフォーラムICEF(注16)の席上で行われた。
カラ副大統領(注14)は挨拶で,今回の案件は両国の利益のためである,インドネシアは中国の製品を使用し,中国の経済を活性化する,それは同時にインドネシアにも影響を与える,と語った。また,現時点のエネルギーへの投資は低廉であり,今投資することによって,経済が回復したときに,我々には準備態勢が出来上がっていることになる,としている。
8案件に含まれるのは,一つの原油ガスプロジェクト,一つのバイオディーゼル開発プロジェクト,二つの石炭プロジェクト,四つの発電所プロジェクトである。原油ガスプロジェクトは,東ジャワのマドウラ海峡(注19)で中国企業CNOOC(注17)とカナダ企業ハスキ(注18)が運用しているもので,上流原油ガス公社BPミガス(注20)が2社と協定を交わし,2012年に終わる契約を,更に20年延長するものである。
協定に含まれる4つの発電所について,そのうち二つは,PLN(注21)が計画し中国輸出入銀行(注22)が融資する石炭火力である。これらは,西ジャワのパラブハンラト(注23)と東部ジャワのパチタン(注24)に位置する。パラブハンラト(注23)は,1,050MWで,パチタン(注24)は,630MW,いずれも,モクタールPLN総裁(注25)によると,2010年までに運転開始することになっている。
また,PLN(注21)は,中国企業CNTIE(注26)と上海重電(注27)と,発電プロジェクトで署名した。この二つの中国企業は,地元企業とも協力して,中部ジャワのチラチャップ(注28)に,660MWの石炭火力を建設する。このプロジェクトについては,モクタールPLN総裁(注25)は,追加資金が必要としている。また,3つの発電プロジェクトは,PLN(注21)が進める10,000MW石炭火力計画クラッシュプログラムの一環である,と。
更にPLN(注21)は,中国企業子会社GHEMM(注29)が進めるIPPプロジェクト,南スマトラ,シンパンベリンビン(注30)の石炭火力,227MWについても,第4の発電プロジェクトとして,買電協定を結んだ。中国リケキアン副首相(注15)は,挨拶の中で,これらが単なる紙の上の署名だけでなく,実現し具体的に実施されるよう,強く望む,と発言した。
石炭鉱山開発の協力についても,ブキットアサム石炭公社(注31)と中国のフアディアン公司(注32)が協定に署名した。また,ジャンビ州(注33)と南スマトラのバイオディーゼルも署名された。プルノモ大臣(注34)は,これらの8つのプロジェクトは多年度に亘るもので,そのかいはつペースに応じて支出され,32,000人の雇用を創出する,と述べた。内訳は注35に記録する。
(注) (14) Vice President Jusuf Kalla,(15) Deputy Prime Minister Li Keqiang.,(16) third Indonesia-China Energy forum (ICEF),(17) China's CNOOC,(18) Canada's Husky,(19) Madura Strait, East Java,(20) Upstream oil and gas regulator BPMigas,(21) state power company PT PLN,(22) Exim Bank of China,(23) Pelabuhan Ratu, West Java,(24) Pacitan, East Java,(25) PLN president director Fahmi Mochtar,(26) China National Technical Import and Export (CNTIE),(27) Shanghai Electric Group Company Ltd,(28) Adipala, Cilacap, Central Java ,(29) PT GH EMM Indonesia, a subsidiary of a China-based power producer,(30) Simpang Belimbing, Muara Enim, South Sumatra,(31) PT Tambang Batubara Bukit Asam,(32) China's Huadian Corporation,(33) Jambi,(34) Purnomo,
(35)
1. Oil and gas contract extension in Madura Strait (BP Migas, CNOOC and Husky Madura Ltd),US$642 million
2. Power plant financing in Pelabuhan Ratu (The Exim Bank of China and PT PLN),US$481.94 million
3. Power plant financing in Pacitan (The Exim Bank of China and PT PLN),US$293.23 million
4. Power plant construction in Cilacap,US$605.29 million (PLN, CNTIE and Shanghai Electric),Rp 2.45 trillion
5. Power purchase agreement for Muara Enim (PT PLN and PT GH EMM Indonesia),US$330 million
6. Coal mining joint venture in Muara Enim (Bukit Asam and Huadian Corp),US$14.40 million
7. Biodiesel development in Jambi and South Sumatra (PT Kurnia Selaras and China Development Bank),US$255 million
8. Coal mining cooperation in East Kalimantan (PT Budi Dharma Kencana and Lark Guangdong Power Resources Inc) ,US$350 million
Sources: The third Indonesia-China energy forum 2008
参考資料
ベトナム
●081223A Vietnam, vietnamnews.vnagency
ベトナム,105MW,アブン水力,試運転開始
A Vuong power plant tests turbines
http://vietnamnews.vnagency.com.vn/showarticle.php?num=05ECO221208
フィリッピン
●081223B Philippines, Manila Bulletin
フィリッピン,規制委員会,NPCの電気料金値上げ申請を却下
ERC rejects NPC rate increase petition
http://www.mb.com.ph/BSNS20081223144000.html
インドネシア
●081223C Indonesia, The Jakarta Post
インドネシアと中国,約30億ドルのエネルギーなど支援
RI, China sign Rp 35t deals on energy, mining
http://www.thejakartapost.com/news/2008/12/23/ri-china-sign-rp-35t-deals-energy-mining.html
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