HPは下記ドメインです。写真地図など見て下さい。
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
トヨタが赤字転落,と言うニュースは,日本人にとっても自信を失わせるような事件である。金融危機の影響もあるが,それはほんの切っ掛けであって,実は自動車産業というものが緩やかに斜陽になって行く姿を,直視していなかったのだろう。常に構造改革を強いられる企業の厳しい運命を感ずる。次は何をやるべきなのか,と一つの企業の中で考える人が,必ず居るべきなのだろう,普段は相手にされないが。
数ヶ月前にトヨタの人に,トヨタは次は何をやるべきなのか,と聞いたら,やはりトヨタがやるとしたらロボットだろう,と言っていた。トヨタの中にもその様に言っていた人は多くいたに違いない。でも1兆円を超える利益が出ているとき,ロボットに変えましょう,とは誰も言えない。自動車のロボット化と言う発想から抜け出せなかったのだろう。燃料を変えれば,自動車で永遠に行けると思ったわけではなかろうけれど。
インドも燃料で揺れている。インドは元々石炭で経済を動かしてきたのだが,西部沖合のKG流域で2002年にガスが発見されてから,それが商業化するまで長い道のりを歩んだ。今日の記事では,来年,2009年早々にも,生産を開始するところまでこぎ着けた,と書かれている。今のところ,KG流域のガス包蔵は,14兆立方フィートだから,バングラデシュと余り変わらない程度で,ミャンマーの60兆のガスに関心を持っている。
KG流域のガスを握っているにはリライアンスだが,一時リライアンスは,百万Btu当たり10ドルの値段を口にして,どうも政府から叩かれたようで,今日の記事ではこの数字は出ていない。今,国内天然ガスの4分の一を,カタールのLNGに頼っているが,2009年1月で長期契約が切れ,カタールからは,35%に上る値上げを突きつけられている。
今日の記事から見てみると,来年,2009年1月よりの国内LNGよりのガス販売は,長期契約,スポットをプールして,百万Btu当たり8ドル,と言って良く,これに対して,既に国家ガスONGCの販売価格は,2.4ドル,と言っているから,相当の開きがある。また,KG流域より来年早々生産を開始するリライアンスの値段は,4.2ドル,と言っている。
本日の原油価格は,アジアの需要減の見通しで,バレル33.87ドルである。発電燃料に直すと,カタールのLNGからの半分程度まで落ち込んでいる。LNGの価格は非常に分かりにくい。私は原油と連動しているのかと思っていたが,そうではなく,その生産原価がかなり支配的で,場所によって相当の開きがあるという。LNGのアジアのスポット価格は,20ドルまで上がっている,という報道もある。
(注) (1) http://my.reset.jp/adachihayao/index081003B.htm,(2) Reliance Industries (RIL) ,(3) petroleum ministry,(4) Krishna-Godavari (KG) basin,(5) RIL chairman Mukesh Ambani,(6) Petroleum minister Murli Deora,(7) Haryana,(8) Rajasthan,(9) Uttar Pradesh,(10) Gujarat,(11) Maharastra,(12) Delhi,(13) Karnataka,(14) Andhra Pradesh,(15) million standard cubic meter per day (MMSCMD),(16) Gail India,(17) Reliance Gas Transportation Infrastructure (RGTIL),(18) Dadri-Bawana-Nangal,(19) Chainsa-Gurgaon-Jhajjar-Hissar,(20) Jagdishpur-Haldia,(21) Dabhol-Bangalore,(22) Kochi-Kanjirkkod-Bangalore/Mangalore,(23) Kakinada-Basudebpur-Howrah,(24) Vijaywada-Nallore-Chennai,(25) Chennai-Tutikorin,(26) Chennai-Bangalore-Mangalore,(27) Kakinada-Hyderabad-Uran-Ahmedabad,(28) Ratnagiri Gas & Power,(29) Dhabol,(30)
(注) (30) ,(31) http://my.reset.jp/adachihayao/index081217C.htm,(32) liquefied natural gas,(33) naphtha,(34) million British thermal units (mmBtu),(35) Qatar,(36) Dabhol,(37) state- promoted Petronet LNG Ltd,(38) Reliance Industries,(39) Japanese Crude Cocktail (JCC),(40) RasGas of Qatar,(41) pre-shipping cost (or fob price) ,(42) shipping cost,(43) import duty,(44) re-gasification charges,(45) pipeline tariff,(46) marketing margin,(47) sales tax,(48) ONGC,(49) Panna Mukta Tapti fields in Mumbai Offshore,(50)
本文
●リライアンス,KG流域のガス生産,2009年2月にも開始
インド,KG流域(注4)のガス田について,2008年10月3日付本HP(注1)などで取り上げているが,「2002年にリライアンスは,インド東海岸沖合のクリシュナ・ゴバダリ(KG)盆地で推定埋蔵量14兆立方フィート(2002年度における世界最大の天然ガス発見)の天然ガスを保有することとなった。」,のが切っ掛けであるが,その後,インドらしく,その優先権の取り合いで裁判沙汰にもなっていた。
石油省(注3)の高官によると,リライアンスRIL(注2)は,KG流域(注4)の天然ガス生産を,2009年2月までに開始すると期待されている。政府のガス利用方針によって,まず20の肥料プラントに供給される。2008年9月,リライアンスRIL(注2)のアンバニ会長(注5)は,KG流域(注4)のD6ブロックから商業運転を始めるが,その時期は,2009年1月~3月,と語っていた。
先週,デオラ石油相(注6)は国会で,生産開始は2009年初頭,と説明している。KGガスの深海からの生産は,リグの不足や悪天候で,2008年半ばの生産開始予定が,2009年初頭に遅れ込んでいた。リライアンスRIL(注2)は,最初から2009年初めの予定で,懸命に努力して予定通り生産に入る,この事業は世界的なプロジェクトであり,全員一丸となっている,と言っている。
石油省(注3)は最近,パイプラインの視察を行った。2カ所を除いて20カ所の肥料プラントが,KGガスの恩恵を受ける,と語っている。30の既設発電所も,このパイプラインのネットワークの中にある。そのプラントは,ハリアナ(注7),ラジャスタン(注8),ウッタルプラデッシュ(注9),グジャラート(注10),マハラシュトラ(注11),デリー(注12),カルナタカ(注13),アンデラプラデッシュ(注14)の各州に及ぶ。
これらのプラントのガス必要量は,日36百万立方m(MMSCMD)(注15)である。国家ガスGAIL(注16)とリライアンスインフラRGTIL(注17)のパイプラインが完成すれば,更に14の発電所が,KGガスと結ばれる。政府が認可したGAIL(注16)のパイプラインは5区間(注18,19,20,21,22)であり,RGTIL(注17)は4区間(注23,24,25,26)であり,現時点で完成しているのはアームダバードに至るもの(注27)である。
政府は,最優先として,元のダボール(注29),現ラタナギリ発電所(注28)を充足して後,アンデラプラデッシュ(注14)の発電所としている。閣僚会議は,2009年3月の生産予定量,日40百万立方m(MMSCMD)(注15)のうち,18MMSCMDを発電に当てると決定している。RDPPL(注30)の2009年1月~9月の間の必要量は,1.4~8.5MMSCMD(注15)である。
閣僚会議の方針では,優先権は,LPGセクターの3MMSCMD(注15)に続いて,肥料プラントの14MMSCMD(注15)となっている。第3の優先順位が発電で,量は,18MMSCMD(注15)である。残りの,5MMSCMD(注15)が市ガスに当てられる。
(注) (1) http://my.reset.jp/adachihayao/index081003B.htm,(2) Reliance Industries (RIL) ,(3) petroleum ministry,(4) Krishna-Godavari (KG) basin,(5) RIL chairman Mukesh Ambani,(6) Petroleum minister Murli Deora,(7) Haryana,(8) Rajasthan,(9) Uttar Pradesh,(10) Gujarat,(11) Maharastra,(12) Delhi,(13) Karnataka,(14) Andhra Pradesh,(15) million standard cubic meter per day (MMSCMD),(16) Gail India,(17) Reliance Gas Transportation Infrastructure (RGTIL),(18) Dadri-Bawana-Nangal,(19) Chainsa-Gurgaon-Jhajjar-Hissar,(20) Jagdishpur-Haldia,(21) Dabhol-Bangalore,(22) Kochi-Kanjirkkod-Bangalore/Mangalore,(23) Kakinada-Basudebpur-Howrah,(24) Vijaywada-Nallore-Chennai,(25) Chennai-Tutikorin,(26) Chennai-Bangalore-Mangalore,(27) Kakinada-Hyderabad-Uran-Ahmedabad,(28) Ratnagiri Gas & Power,(29) Dhabol,(30)
●インド,輸入のLNG,35%値上がりへ
インドのガス燃料について,2008年12月22日付本HP(注30)で,リライアンスRIL(注2)が,KG流域(注4)の天然ガス生産を,2009年2月までに開始すると期待されている,と報じられた。また,2008年12月17日付本HP(注31)で,インドのバイヤーが,LNG(注33)のアジアのスポット市場から,原油価格に連動して急落したナフタ(注34)に切り替えている,と報じられた。
インドにとって,LNG(注32)は大変難しい燃料である。インドのガス価格は来年高騰の兆しであり,LNG基地は,より長期の契約を望んで,スポット市場から退却している。今日の記事は,2009年1月からの,インド市場でのLNGの値上がりを詳しく報じている。基本的には,35%の値上がりで,百万Btu当たり(注34)6.7ドルとなる,としている。
即ち,2009年からのカタール(注35)に於けるLNG供給が値上がりの見込みなので,インドの輸入のLNG,肥料プラントやダボール(注36)に供給されるLNGが,値上がりする見込みである。国内で消費する天然ガスの4分の一は,ペトロネット(注37)によって輸入されるLNGに依存しているが,その価格は,現時点で百万Btu当たり(注34)4.98ドルである。これが,2008年1月より,百万Btu当たり(注34)6.3~6.7ドルとなる。
この価格は,売上税,パイプライン経費,市場利益が含まれていないので,百万Btu当たり(注34)7.2~7.8ドルになるだろう,と言われている。この輸入LNGは,国内で最も高いガスになるはずで,もっとも安いのは,リライアンス(注38)のD6ブロックからのガスで,百万Btu当たり(注34)4.2ドルである。カタール(注35)からのLNG契約は,もっとも安い長期契約と,短期のスポット価格がある。これをプールして国内販売している。
現在では,長期契約が,船出前で,百万Btu当たり(注34)2.53ドル,短期契約が,8.5ドル,この二つをプールして,4.98ドルとなっている。2009年1月からは,長期が,3.12ドル,短期が,12ドルとなる,と言われている。短期契約分LNGで100万トンは,2009年9月までの契約で,日本原油混合JCC(注39)に固定されており,バレル60~70ドルである。この見通しを受けて政府は,ダボール(注36)にはD6ガスを割り当てる。
ペトロネット(注37)は現在,カタールのラスガス(注40)から,FOB価格(注41),百万Btu当たり(注34)2.53ドルで輸入している。JCC(注39)に連動する5年契約が,2009年1月に終了する。2009年1月からは,FOB価格(注41)で,3.12ドルとなる。これに,船コスト(注42),輸入税(注43),再ガス化(注44),パイプライン料(注45),市場利益(注46),売上税(注47)を加えて,5.5188ドルとなる。
将来,カタールからのLNGのFOB価格は,JCC(注39)の移動平均に連動して,2010年1月で百万Btu当たり(注34)4.25ドル,2011年で5.59ドル,2012年で6.91ドル,2013年で8.24ドル,2013年12月で8.73ドル,と変わってくる。2009年1月のペトロネット(注37)のガス価格は,国内生産ガスの4倍近くになる。
ONGC(注48)のガスは,現在百万Btu当たり(注34)1.9ドルが,政府が値上げを認めれば,2.4ドルとなる。また,リライアンスRIL(注2)のKG流域(注4)の天然ガスは,少なくとも4.20ドルとなるはずで,ムンバイの沖合,パンナタピガス田(注49)の価格は,5.70ドルである。2006~2007年で36%の伸びを見せたインドのLNG購買は,台湾を抜いたが,今年の輸入は落ち気味であった。
(注) (30) ,(31) http://my.reset.jp/adachihayao/index081217C.htm,(32) liquefied natural gas,(33) naphtha,(34) million British thermal units (mmBtu),(35) Qatar,(36) Dabhol,(37) state- promoted Petronet LNG Ltd,(38) Reliance Industries,(39) Japanese Crude Cocktail (JCC),(40) RasGas of Qatar,(41) pre-shipping cost (or fob price) ,(42) shipping cost,(43) import duty,(44) re-gasification charges,(45) pipeline tariff,(46) marketing margin,(47) sales tax,(48) ONGC,(49) Panna Mukta Tapti fields in Mumbai Offshore,(50)
参考資料
インド
●081222A India, Economic Times
リライアンス,KG流域のガス生産,2009年2月にも開始
RIL may begin production at KG basin by Feb 2009
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/RIL_may_begin_production_at_KG_basin_by_Feb_2009/articleshow/3871442.cms
●081222B India, Economic Times
インド,輸入のLNG,35%値上がりへ
LNG to cost up to 35 pc more at USD 6.7 per mmBtu from Jan
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/Power/LNG_to_cost_up_to_35_pc_more_at_USD_67_per_mmBtu_from_Jan/articleshow/3862090.cms
0 件のコメント:
コメントを投稿