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フィリッピン商工会議所PCCI(注1)の電気料金に対する圧力は,ますます激しくなってくる。フィリッピンがKWh当たり14セントとして,タイやベトナム,インドネシアでは,5~7セントぐらいで推移しているから,半導体などの業種は,フィリッピンから逃げ出すのではないか,と懸念されている。一方でアロヨ政権は,なぜフィリッピンだけ電気料金が高いのか,と国民や国会から迫められ続けている。
その上,最近見てきたとおり,国産再生可能エネルギーの重視で,電気料金はますます高くなる可能性を孕んでいる。電気料金の問題と国産再生可能エネルギーとは全く矛盾する話なのである。2008年半ばには,原油が高かったから,再生可能エネルギー開発の制度の問題に拍車がかかったが,今となれば,全く矛盾した話になってきてしまった。原油が将来どうなるか,は勿論分からないが,今日安いと言うのは現実の問題だ。
今日のフィリッピン商工会議所PCCI(注1)のトップ,アレジャンドロ副総裁(注2)の発言も,競争市場の導入で,投資は増え,電気料金は安くなる,と言う前提で,民営化の加速を要請している。アレジャンドロ副総裁(注2)が本当にそう信じているのかどうか,よく分からないが,とにかくNPC(注3)の資産売却の促進を求めていることは事実である。
民営化は,民間セクターの投資と競争を促し,電気料金を真の値に近づけるまで,安くすることが出来る,と。「我々は,投資家達が来て投資を実際に行うような市場環境を造らなければならない。もしそうすることが出来るなら,早期に金融危機を克服できるだろう。」,と。アレジャンドロ副総裁(注2)は,今の原油価格下落に甘えるべきでない,米国経済が回復すれば,原油は再び上がってくるだろう,と考えている。
私は,フィリッピンの電気料金を下げることは,電力改革によっては成功しないと思っている。元々フィリッピンには資源がなかったのだから,電気料金は高くならざるを得なかったのだと思う。先日も思いを述べたが,中国,タイ,インドネシア,ベトナム,インド,など,発展するその最盛期に,石炭資源を国内に抱えていたことが,それが有利に働いた。日本の経済が立ち上がったときは,原油が安かった,と言うことだ。
今日のアレジャンドロ副総裁(注2)の発言の中で,少し興味をそそるのは,フィリッピンが100年かかって行ったボーリングの量を,インドネシアは1年で実施している,何とか海外資本を激励して,ここに来て掘らせる必要がある,と言っている言葉だ。発展すれば何処でもガスが出てくる,と言う現実は疑いもない。フィリッピンもマランパヤでガスが出たから,もっと掘ればもっと出る,と言うことになる。
ただ,原油がバレル150ドルもすれば,皆掘ろうとするが,30ドルでは誰も堀りに来ない,と言う現実がある。国産エネルギーに重点を置くのか,再生可能エネルギーに重点を置くのか,がここで問題になってくる。経済の動きにゆられ続けるフィリッピンの問題は,やはり持たざる国の悩みなのか。例えば,インドネシアは迷わず安い石炭火力に集中して開発している,安い電気料金を維持せざるを得ないから,と言っていいだろう。
(注) (1) Philppine Chamber of Commerce and Industry,(2) PCCI vice president for energy Jose S. Alejandro,(3) National Power Corp,(4) Independent Power Producer,(5) Independent Power Producer (IPP) Administrator,(6)
本文
●フィリッピン,商工会議所,NPCの民営化を急げと
フィリッピン商工会議所PCCI(注1)のトップは,次のように信じている,政府の有する電源資産の民営化は,10億~20億ドルの投資を呼び込み,フィリッピンはこの世界金融危機を乗り切りことができると。PCCI(注1)のアレジャンドロ副総裁(注2)は,政府は予定されている国家発電公社NPC(注3)の資産売却予定100%年内のスピードを上げる必要がある,と主張している。
また,この民営化は,民間セクターの投資と競争を促し,電気料金を真の値に近づけるまで,安くすることが出来る,と。「我々は,投資家達が来て投資を実際に行うような市場環境を造らなければならない。もしそうすることが出来るなら,早期に金融危機を克服できるだろう。」,と。アレジャンドロ副総裁(注2)は,今の原油価格下落に甘えるべきでない,米国経済が回復すれば,原油は再び上がってくるだろう,と考えている。
フィリッピンの電気料金は,アジアで日本に次いで高く,電気料金を下げようとしている他の国に比べて,まだまだ競争が足りない。アレジャンドロ副総裁(注2)は,電気料金が高くまだ下げなければならない,と。また,国産のガスと原油のロイヤリティを下げて,この先6ヶ月を目指して,IPP(注4)の経営者(注5)の参入を急がせなければならない。IPP(注4)の経営者(注5)は,燃料コストを下げ,効果的な民間運営を持ち込む。
エネルギーの自給率を高めるために,アレジャンドロ副総裁(注2)は,政府が原油探査を,海外資本に解放しなければならないと考えている。彼が言うには,フィリッピンが100年かかって行ったボーリングを,インドネシアは1年で実施している,何とか海外資本を激励して,ここに来て掘らせる必要がある,と。この視点は,フィリッピンでは初めて聞くせりふだ。
(注) (1) Philppine Chamber of Commerce and Industry,(2) PCCI vice president for energy Jose S. Alejandro,(3) National Power Corp,(4) Independent Power Producer,(5) Independent Power Producer (IPP) Administrator,(6)
●インド,電力で,100%外国資本のプロジェクトを認める
ラメッシュ副大臣(注6)が,電力全般について,その政策を話している。産業情報資源社(注7)がまとめたものである。最近,インド政府は,発電,送電,配電一貫での電力事業について,100%外国資本による投資を認めることにした。しかし,原子力開発にはこの方針は適用されない。しかし金融危機の折り,その目標は定めていないが,ラメッシュ副大臣(注6)は,政府として出来る限りの刺激策は採っている,と。
インドは,ブータン政府(注8)と,2020年までに,5000MWの電力輸入について文書で合意している。インド自身が,輸入するために,開発の参加する計画である。2006年に,水力プロジェクトと関連送電線の推進に,インドとブータンは合意している。また,公益事業ばかりでなく民間事業の参入も合意している。ブータン政府は,100MWを越す水力プロジェクトについて,外国資本の100%参入も認めている。
インド企業は,ブータンからの電力輸入が出来る唯一の国だから,ブータンが電力セクターの民営化への努力を,資本の面から支援しようとしている。2008年7月,タタ電力(注9)は,ブータン政府と,114MW,ダガチュー川(注10)の流れ込み式水力(注11)の開発で,連携することになっている。タタ電力(注9)は,開発主体のダガチュー水力会社(注12)の株式26%を分担している。地元企業,龍緑発電会社(注13)が主体。
発電した電力は,タラ送電線(注14)によってインドの東地域に入り,タタ電力(注9)の有するタタ電力取引会社(注15)によって引き取られる。また,エッサール電力(注16)は,840百万ドルの500MW水力プロジェクトを準備することを発表している。このプロジェクトは,BOOT方式(注17)か,ブータン政府との合弁か,どちらかの方式となる。発電した大部分は,インドに輸入される。
また,ラメッシュ副大臣(注6)は,4,000MW,大規模火力開発計画UMPP(注18)について,その開発に際し,その推進のために電力省は,料金競争入札方式(注19)を採用する,と。火力発電所は,超臨界圧技術(注20)を採用し,立地は炭坑近辺か海岸地域か,その水源,用地,道路や鉄道の利便さ,などを考慮して決める,と言っている。
(注) (6) Jairam Ramesh, Minister of Power,(7) Industrial Info Resources,(8) Royal Government of Bhutan,(9) Tata Power Company Limited (Mumbai),(10) Dagachhu River,(11) run-of-the-river hydropower project,(12) Dagachhu Hydro Power Corporation Limited,(13) Druk Green Power Corporation Limited (Thimphu, Bhutan),(14) Tala Transmission Link,(15) Tata Power Trading Company Limited (Mumbai),(16) Essar Power Limited (Mumbai),(17) build-own-operate-transfer,(18) Ultra Mega Power Projects,(19) tariff-based competitive bidding route,(20) supercritical technology,(21)
●南部スマトラ,インドなどが発電所など,40億ドル投資へ
インド籍アルミ企業NALCO(注21)とUAE(注22)のミネラル企業RMMI(注23)は,40億ドルを投じて,南スマトラのタンジュンアピアピ(注24)に,発電所を含めたアルミナからアルミニューム(注25)への精錬所を建設することで,MOUに署名した。署名後,NALCO(注21)のバルガ財務担当重役(注26)は,工事にはまもなく着手し,精錬所の運転開始は,2013年と考えている,と話した。
バルガ財務担当重役(注26)によると,20億ドルが精錬所の建設費で,15億ドルが発電所,港湾,鉄道の建設に当てられる。インドのアルミナ生産は年210万トンで,このうち100万トンを南スマトラに運び,年間50万トンのアルミニュームを製造する。インドネシアの良質な石炭により発電所を利用することがより効率的,と判断したようだ。
自家用となる石炭火力発電所の出力は,1,250MWで,年間500万トンの石炭を必要としている。NALCO(注21)とRMMI(注23)は現在,地元の石炭業者と話を進めている。40億ドルのうち3分の2がローンで,資本は,RMMI(注23)が24%,NALCO(注21)が76%の模様。NALCO(注21)は一部,地元鉱業企業の参加を考えており,Antam(注27)などと話を進めている。また,ジャカルタ証券市場(注28)上場も考慮中。
インドネシア政府のシハブ中東担当大統領顧問(注29)は,このMOUは,インドネシアがまだ魅力的な投資市場であることを示しているが,多くのMOUが棚上げされているので,その実現のための関係者の努力を要請する,と。バルガ財務担当重役(注26)は,世界金融危機は好ましくないが,この精錬プロジェクトが完成する2,3年後には,経済が好転しているものと考えて,推進している,と語っている。
(注) (21) National Aluminium Company Ltd (NALCO),(22) United Arab Emirates,(23) Ras Al Khaimah Minerals and Metals Investment FZ LLC,(24) Tanjung Api-api,(25) alumina into aluminum,(26) NALCO’s finance director B.L. Bagra,(27) PT Aneka Tambang,(28) Jakarta stock exchange,(29) Alwi Shihab, President Susilo Bambang Yudhoyono’s special envoy to the Middle East,(30)
参考資料
フィリッピン
●081220A Philippines, Manila Bulletin
フィリッピン,商工会議所,NPCの民営化を急げと
PCCI urges speedier Napocor privatization
http://www.mb.com.ph/BSNS20081220143748.html
インド
●081220B India, pump-zone
インド,電力で,100%外国資本のプロジェクトを認める
India Approves 100 Percent Foreign Investment in Power Sector
http://www.pump-zone.com/global-news/global-news/india-approves-100-percent-foreign-investment-in-power-sector-plans-to-import-power-from-bhutan.html
インドネシア
●081220C Indonesia, The Jakarta Post
南部スマトラ,インドなどが発電所など,40億ドル投資へ
India, UAE firms to build $4b smelter
http://www.thejakartapost.com/news/2008/12/20/india-uae-firms-build-4b-smelter.html
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