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http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
ムンバイのテロの後,一本の電話がパキスタンのザルダニ大統領執務室にかかってきた。相手は,インドのムケルジェ外相だと名乗り,インド軍はパキスタンへの攻撃態勢に移った,と通告した。ザルダニ大統領は,直ちにパキスタン訪問から帰途の途中にあるライス国務長官を呼び出した。ライス国務長官は,慌ててムケルジェ外相に電話して,偽電話と判明した。発信箇所は明らかにインド外務省内の建物だったという。
一時ザルダニ大統領は,西のアフガン国境にある軍隊を東に移す態勢を取りかけた,と言うのはこのことらしい。今日の記事を読むと,この記事の前に,何かテロリストの側から予告の電話があったようだ。よく分からないが,インドの国家ガス公社ONGCが,北東地域のハイドロカーボンに,最高度の警戒警報をかけた,これを受けて,電力省が,NTPCなど参加の公共事業体を集めて,最高警戒レベルを指令した。
テロというのは,やはり命をかけてやるから,おそらく目の前に成果が見えなければ実行する勇気がないのではないか。無人の発電所や変電所に自爆攻撃をかけても,多くの犠牲が出るのは,停電して混乱してからだから。電力設備は脆弱だと思うが,小説以外は余りテロ攻撃を聞かない。推測だが,今回のテロ予告は,ハイドロカーボンの油田を焼き払うような,壮大な警告だったのではなかろうか。
今日の最初の記事の,インドの電力問題の将来に亘る展開に関するもの,なかなか常識的なわかりやすく総括して書いてある。最後に,インドの損失電力に言及し,オーストラリアの送電網を例にとって,インドは学ぶべき,と言っている。具体的には分からないが,おそらく広大なオーストラリアで,長距離送電の成功を言っているのか。また,ハイドロカーボンにある期待を寄せているところに,関心を持った。
インドネシアの記事で,西ジャワのチタルム河が,世界で一番汚れた川,と書かれた。私たちが,青春,ではなく壮年の情熱を燃やした川をその様に言うのはけしからん。でも,上流にバンドンという100万都市を抱えての下流のダムなので,まずバンドンの下水とゴミ処理場を完備せねばならなかったのだろう。今では手順が逆で,まず上流環境の工事から始める羽目になる。
上流の水源地帯に大都市がある川,幾つかあるであろうが,アジアではそんなに多くない,寧ろ珍しい。チタルム河はその典型とも言えるが,私の気になるのは,上流に中国雲南省の昆明を持つ,ベトナム北部の紅河である。ただ,規模は全く違うけれども,我々は昭和30年代の大阪中之島の水を今でも覚えている。人間の努力によって,このように変わるのだ,と言う経験をしている。
ニューヨーク原油が,バレル40.81ドル,40ドルを割るのは目前という。30ドル台というのは随分懐かしい気がするが,2004年12月というから,案外そんなに昔ではないのだ。と言うことは,3年半ほどで,今年の夏には150ドル,5倍も高騰していたのか。その高騰の波に乗った中東景気は,これからどうなるのだろう。かえってまた車が増えたりして。
(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081129B.htm,(2) HSBC,(3) International Energy Outlook 2008,(4) Nuclear Suppliers Group,(5) Indo-US civil nuclear deal,(6) Nuclear Non-Proliferation Treaty,(7) Foreign Minister Stephen Smith,(8) Oil and Natural Gas Commission,(9) Reliance group,(10) first-of-its-kind hydrocarbons,(11) Krishna-Godavari basin in the Bay of Bengal,(12)
(注) (1) Oil and Natural Gas Corp. Ltd,(2) Ashok Kumar Balyan, director of human resources, ONGC,(3) Gujarat,(4) Assam,(5) Tripura,(6) NTPC Ltd,(7) NHPC Ltd,(8) Power Grid Corp. of India Ltd,(9) North Eastern Electric Power Corp. Ltd,(10) Satluj Jal Vidyut Nigam Ltd (11) Damodar Valley Corp.,(12) Bhakra Beas Management Board,(13) PGCIL chairman and managing director S.K. Chaturvedi,(14) Central Industrial Security Force,(15)
本文
●インドの電源開発,もう引っ返す道なし
インドの電源開発は,もう待ったなしである。2008年11月29日付本HP(注1)では,香港の銀行系のHSBC(注2)が,インドの石炭のクリーンかが,今後の投資の目玉である,と言う記事を載せていたが,インドの石炭をどうするのか,このことが,インド経済を占う大きな要素であることは間違いない。今日の記事は,全体的な視点から,インドのエネルギーを見ている貴重なものだ。週末の読み物,と銘打っている。
インドの電源開発はもう引っ返せない。7%の経済成長を続けて行くためには,次の20年間で電源を今の6倍にする必要がある。即ち,現在の143,000MWを少なくとも800,000MWにすると言うことである。まるで脱力感を煽るような数字である。問題はそれだけではないのだ。世界の6%が内蔵しているインドの石炭は,環境を阻害する硫黄分と灰分を高い濃度で含んでいるのである。
環境に破壊的な損害をもたらさないためには,どうしても,原子力,バイオ燃料,風力,太陽光を,より大きな規模で開発するような,クリーン技術を強化せざるを得ない。現在のインドのエネルギー消費は,IE報告書2008(注3)によると,一次エネルギーとしての石炭が53%,石油が31%,天然ガスが8%,水力,風力,太陽光など再生可能が6.8%,原子力が1.2%であり,これは将来基本的に見直す必要がある。
インド政府の期待は,再生可能エネルギーの開発速度を上げて,2008~2012年に20%にすべく,新規70,000MWを再生可能で開発することである。グリーンな代替案として現実に技術が完成しているのは原子力で,世界で既に370,000MWの設備が存在する。太陽光は,確かに汚染がなく資源は無尽蔵である。しかし,全土で130000MW必要なときに,僅かに1,700MWである。
インドは太陽光に恵まれており,殆ど年中,殆ど全土で,可能である。もし,大規模発電が可能なら,大成功だろう。原油価格が下がってきている現在,太陽光や風力への大規模な投資は,経済的に不適当だ。勿論,原油価格が低く止まっていることはないが,その原油価格に比べて,太陽光や風力がそれほど安価になって,経済的になるとは思えない。
原子力は,二酸化炭素排出量が最も少ない。原子力供給国NSG(注4)の合意と,米印原子力協定(注5)の成立によって,近い将来,原子力開発のブームが来ることは間違いない。最近のこの3年間で,安全基準が改善し,危険が少なくなった。インドは,現在の原子力設備5,000MWを,2030年には20,000MWに増強する予定である。しかしそこに,問題が横たわる。
インドのウラニューム自然埋蔵量は,多く見積もっても,70,000トンである。大まかに見ても,この量は既設及び計画中の原子力発電所を動かすのに,十分とは言えない。インドはウラニュームを世界中で探し回っているが,最大の資源を持つオーストラリアは,労働党の政策,NNPT(注6)非加盟国には輸出しない,があり,悲観的である。
しかし,注目すべきは,最近インドを訪問したスミス外相(注7)は,記者会見で,インドから特別の要請があれば,平和及び軍事の二つの目的を有する場合でも,自分は考えてみたい,と述べている。インドの見通せる未来について,原子力や再生可能エネルギー開発が,大きく前進することはありえるが,石炭,石油,ガスへの依存を捨て去る可能性は考えられない。
公共部門の石油ガス委員会(注8)は,原油ガスの探査は終焉と考えているが,幸運にも,私企業のリライアンス(注9)が,活動領域を拡大しつつある。深海のハイドロカーボン(注10)で,リライアンス(注9)のベンガル湾のKG流域(注11)は,18ヶ月内に,国産ハイドロカーボンの40%を生産する見込みである。リライアンス(注9)は,これによって,外貨流出を200億ドル抑えることが出来る,と言っている。
インドは,経済成長によって,一人当たりの電力消費が年間400KWh,世界平均は2400KWh,と極めて低いが,今後急激に増えるだろう。巨大な電力不足が,インドの成長を妨げる。更にエネルギーの多様化を急ぐ必要があるが,送配電網からの莫大な損失を見逃すことは,賢明な方法とは言えない。オーストラリアに於ける最近の高圧送電網の経験は,インドを大いに勇気づけるものだ。
インドは,このオーストラリアの送電技術から多くのことを学ぶだろうし,出来るだけ詳しく調べる必要がある。この技術は,資本集中が必要で,労働力を余り必要としない。しかし,如何にクリーンで効率的かをよく検討してみる価値がある。確かに,インドに適しているかどうかには問題があるが,現在のインドの電力損失を考えれば,更に検討している必要がある。
広範ににいろいろなことが書いてあるが,インドの基本的な方向転換を図るような提案はない。ウラニュームの問題をオーストラリアとどの様に話し合うか,これは一つの至近年の大きな問題だろう。ハイドロカーボン(注10)は,環境も考慮して,果たして使い物になるのかどうか,疑問を持つ。最後に出てくるオーストラリアの送電技術は,長距離という面からの視点が高いのだろう。
(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081129B.htm,(2) HSBC,(3) International Energy Outlook 2008,(4) Nuclear Suppliers Group,(5) Indo-US civil nuclear deal,(6) Nuclear Non-Proliferation Treaty,(7) Foreign Minister Stephen Smith,(8) Oil and Natural Gas Commission,(9) Reliance group,(10) first-of-its-kind hydrocarbons,(11) Krishna-Godavari basin in the Bay of Bengal,(12)
●インド,発電所は,テロから自分で守る必要
テロと電力,結びつきそうでなかなか結びつかない。電力を狙ったテロ,というのは,映画にはよく出てくるが,実際にはほとんどない。発電所や変電所は無人みたいなものだから,テロリストも張り合いがない,とも言える。やはり直接的な虐殺が伴うところを狙ってくる。しかし今度のムンバイのテロでは,インドの電力セクターは,随分緊張しているようだ。
ムンバイのテロの後,電力省はすべての発電,送電企業に,自らの保安能力をアップするよう求めている。名前は挙げなかったが,電力省高官は,すべての管轄下にある公共事業体を集めて,ONGC(注1)が実施するような警戒部隊を配置することで,会議を行う,と表明した。北東部の州に位置するONGC(注1)の資産と人員が,脅かされている。
ある州政府は,州保有のハドロカーボン企業に代わり,警戒度を上げている。ONGC(注1)のバリアン労務担当(注2)は,グジャラート(注3),アッサム(注4),トリプーラ(注5)各州政府と覚書を交わして,約1,100人の警戒部隊を動員することになっている,と。電力省の会議に出席する企業は,NTPC(注6),NHPC(注7),PGCIL(注8),NEEPC(注9),SJVN(注10),テリー(注11),ダモダール(注12),バクラ(注13)。
インドの電源全設備は,145,000MW,このうち,原子力は,4,120MW,水力は,35,900MWである。これらの電源と送電線の国境付近は,テロ警戒のリストに入っている。PGCIL(注8)のチャトルベディ会長(注13)は,「我々は既にCISF(注14)の人員に守られている。事業体からでている警戒部隊も,CISF(注14)と一体化して見えるはずだ。」,と言っている。
インドの送電網は,PGCIL(注8)が運用しており,その全長は,61,875kmである。現時点では,南地域を除いて,5地域が連携している。送電網の破壊は,送電事業にとって最悪のシナリオである。もしその様なことが起これば,それから電力を受けている州は,全停電になってしまうであろう。私は,余り書きすぎだと思う。こうなったら,送電網の詳細を公表するのまで危なくなってくる。
(注) (1) Oil and Natural Gas Corp. Ltd,(2) Ashok Kumar Balyan, director of human resources, ONGC,(3) Gujarat,(4) Assam,(5) Tripura,(6) NTPC Ltd,(7) NHPC Ltd,(8) Power Grid Corp. of India Ltd,(9) North Eastern Electric Power Corp. Ltd,(10) Satluj Jal Vidyut Nigam Ltd (11) Damodar Valley Corp.,(12) Bhakra Beas Management Board,(13) PGCIL chairman and managing director S.K. Chaturvedi,(14) Central Industrial Security Force,(15)
●インドネシア,ADB,チタルム河の浄化に,5億ドル支援
インドネシアのチタルム河(注15),私もいつかは新聞記事になるだろう,と心配していた。何と言ってもチタルム河は,我々の,青春とは言わないけれど,壮年の血と涙が混じっている川だ。上流に百万都市を持つ川,それは世界中でも余りない。上流のバンドンの都市下水を処理せずに,下流にダムを造ることは,これからは許されないだろう。中国雲南省昆明の下流になるベトナムの紅川,更に大きな規模だ。
ADB(注16)は,チタルム河(注15)のクリーン化に特定して,5億ドルのローンを供与することを決定した。世界でもっとも汚れた川,と書いてある,恥ずかしい。5億ドルは15年に亘るローン(注17)である。このローンは,インドネシア政府が進める35億ドルの計画の一部を支援するものである。流域2,800万人のために,流域の2,000の工場と百万レベルの家庭からのゴミを処理する問題である。
チタルム河(注15)の流域は,インドネシアのGDPの20%を稼ぎ出しており,首都ジャカルタに住む1200万人に,表流水の80%を供給している。ADBのモリス水資源専門家(注18)は,このチタルム河(注15)の浄化には,総合的な手法が要求される,と言っている。流域の村や町,更には企業を巻き込んだ,総合的な体制を確立する必要がある,と。
また,地元のNGOのダダン氏(注19)は,汚職が心配だし,十分な情報が地元住民に伝えられるかどうか,懸念を示している。どの様な計画が進められるのか,小さい英語のパンフレットが配布されただけで,どの様に人々に説明してよいのかも分からない,と。ADBのモリス水資源専門家(注18)は,多年度ローンで15年の少額なので汚職は抑えられると。ADBと政府で協力して,よい管理を行う,と説明している。
チタルム河(注15)は,西ジャワのバンドン(注20)からジャカルタまで,北東方向に160kmの流路を持つ。私は,地元の人々の考えと同じだが,どの様な方法で浄化するのか,実際に疑問を持つ。何と言っても,バンドン(注20)の下水の完備とゴミ処理の近代化が欠かせない。私も過去に,この難題に挑戦したことがあるが,果たせていない。
(注) (15) Citarum River,(16) Asian Development Bank,(17) multi-tranche loan,(18) ADB senior water resources engineer Christopher Morris,(19) Dadang Sudarjam from the People's Alliance for Citarum, a local non-government organization,(20) Bandung, in West Java,(21)
Reference
India
●081206A India, businessspectator.
インドの電源開発,もう引っ返す道なし
WEEKEND READ: India's big test
http://www.businessspectator.com.au/bs.nsf/Article/Energy-in-India-LXUWR?OpenDocument&src=sph
●081206B India, hindustantimes
発電所は,テロから自分で守る必要
Power plants may get to raise own forces
http://www.hindustantimes.com/StoryPage/StoryPage.aspx?sectionName=BusinessSectionPage&id=889a1731-9fe0-4e01-8821-f9048de699c5&&Headline=Power+plants+may+get+to+raise+own+forces
Indonesia
●081206C Indonesia, The Jakarta Post
ADB,チタルム河の浄化に,5億ドル支援
ADB Gives Indonesia $500 Million to Clean Up World's Dirtiest River
http://www.voanews.com/english/2008-12-05-voa15.cfm
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