2008年12月18日木曜日

フィリッピンが再生可能400万KW開発へ

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http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm

マラカニアン宮殿,国会議員を初め,エネルギー関係閣僚,環境専門家などを一堂に集めて,カタールから帰国したばかりのアロヨ大統領が,重々しく,再生可能エネルギー法案(注7)に署名し,アジアでは初めてとも言える試みに挑戦することになった。アロヨ大統領は,これらの人々の前で,これでフィリッピンはアジアを先導して国産エネルギー開発に邁進できる,地熱では世界第1位になる,と謳い挙げた。

フィリッピンの再生可能エネルギーについては,2008年10月10日付本HP(注1)にて,フィリッピン国会が,再生可能エネルギー報告を了承,アロヨ大統領の署名待ちとなっている,ことを伝え,2008年11月27日付本HP(注2)では,法案を積極的に進めた一人,アンガラ上院議員(注3)の講演内容を伝え,2008年12月13日付本HP(注4)では,ロペス財閥のファーストジェンFGC(注5)が,地熱へ走る状況を伝えた。

今日は各紙が,アロヨ大統領(注6)が再生可能エネルギー法案(注7)に署名をし正式に発効,そのお祭り騒ぎのような署名式の模様を伝えている。基本は,2010年までに国産エネルギーを60%に引き上げることを謳っている。正式名称は,共和国法律9513(注8),法律名は,再生可能エネルギー資源開発利用商業化推進法(注9)で,太陽光,風力,地熱,その他の開発に,租税などの優遇措置を講ずる内容である。

再生可能エネルギー法(注7)の運用は,エネルギー省(注13)が当たり,国家再生可能エネルギー委員会(注14)がこれを支える。現在見込まれている再生可能エネルギーの新規開発量は,4,000MWと見込まれている。エネルギー省のレイエス長官(注14)は,再生可能エネルギー開発が,次の5年間で,最大規模の産業の一つに発展するだろう,と見ている。

ここで重要な問題は,再生可能エネルギー,特に風力などは,高価で出力が断続的,と言う問題があり,世界中で政策担当者の議論が続いているところだ。短期的には,従来の燃料に比べて,再生可能エネルギーが高価であると言うことで,需要家は,クリーンか安価か,と言う選択に立たされることになる。しかしレイエス長官(注14)は,国民への多大な便益,持続的で独立で経済安保で気候変動対応への国民の統合,など強調した。

開発目標の4,000MWのうち,1,200MWが地熱発電で開発されると考えられている。これで米国を押しのけて,地熱では世界第1位になるはずだ。エネルギー省(注13)の見方は,投資企業は既に準備態勢にある,今までは政策不在で,その進捗は遅かったが,変わると考えている。いろいろな見方があるが,まず地熱開発を念頭に置いた立法だ,と考えればよいか。後の2,800MWはどうするのだろう。

(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081010C.htm,(2) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081127A.htm,(3) Sen. Edgardo Angara,(4) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081213A.htm,(5) Lopez-controlled First Gen Corporation,(6) President Arroyo,(7) Renewable Energy Act of 2008,(8) Republic Act 9513,(9) Act Promoting the Development, Utilization and Commercialization of Renewable Energy Resources,(10) Biofuels Act,(11) Renewable Portfolio Standard,(12) feed-in-tariff mechanism,(13) Department of Energy,(14) National Renewable Energy Board,(14) Energy Secretary Angelo Reyes,(15)

本文

●フィリッピン,大統領,再生可能エネルギー法案に署名

フィリッピンのエネルギーへの攻勢が激しい。電気料金が高い,と言う批判の中で,こうすれば安くなるからと,電力改革を進めてきているが,今度は,アジアに先駆けて,再生可能エネルギー法案の成立に全力を挙げた。それは寧ろ,国産エネルギーへの依存度を高める,という趣旨であり,資源の少ない国で,電気料金が本来高かった,と言うこと,地熱資源から,思い切った法案の成立になったのだろう。

フィリッピンの再生可能エネルギーについては,2008年10月10日付本HP(注1)にて,フィリッピン国会が,再生可能エネルギー報告を了承,アロヨ大統領の署名待ちとなっている,ことを伝え,2008年11月27日付本HP(注2)では,法案を積極的に進めた一人,アンガラ上院議員(注3)の講演内容を伝え,2008年12月13日付本HP(注4)では,ロペス財閥のファーストジェンFGC(注5)が,地熱へ走る状況を伝えた。

今日は各紙が,アロヨ大統領(注6)が再生可能エネルギー法案(注7)に署名をし正式に発効,そのお祭り騒ぎのような署名式の模様を伝えている。基本は,2010年までに国産エネルギーを60%に引き上げることを謳っている。正式名称は,共和国法律9513(注8),法律名は,再生可能エネルギー資源開発利用商業化推進法(注9)で,太陽光,風力,地熱,その他の開発に,租税などの優遇措置を講ずる内容である。

アロヨ大統領(注6)は,再生可能エネルギー法案(注7)への署名に当たって,大勢の国会議員やエネルギー関係官僚,環境専門家などを前に,これがフィリッピン共和国の偉大な里程標であるエネルギー独立への大きな希望への一歩だ,とたかだかに謳い挙げた。また,再生可能エネルギー法案(注7)は,2008年1月に発効した,バイオ燃料法(注10)と共に,再生可能エネルギーの枠組みを造るものだ,と説明した。

アロヨ大統領(注6)は続ける,アロヨ政権が発足する前のエネルギー自給率は45%であったが,今日では57%であり,2010年には60%を達成する,と。特に,地熱エネルギー利用については,世界第2位にあり,ポテンシャルでは世界で第1位であること,また太陽光エネルギーでは高い可能性を有し,水力資源とバイオ資源に恵まれていること,を強調した。カタールから帰国したばかりの大統領は,中東資金に期待を寄せている。

エネルギー自給率向上を前面に押し出しているが,気候変動対策の面からも,再生可能エネルギー法案(注7)のタイミングがよいことも強調されている。また,再生可能勘定基準(注11)の概念が含まれて,再生可能エネルギー供給比率の義務化があり,12年間の料金固定の制度,料金供給メカニズム(注12)も盛り込まれている。再生可能エネルギー関連機材の政策や輸入にも,税の優遇がなされる。

再生可能エネルギー法(注7)の運用は,エネルギー省(注13)が当たり,国家再生可能エネルギー委員会(注14)がこれを支える。現在見込まれている再生可能エネルギーの新規開発量は,4,000MWと見込まれている。エネルギー省のレイエス長官(注14)は,再生可能エネルギー開発が,次の5年間で,最大規模の産業の一つに発展するだろう,と見ている。

ここで重要な問題は,再生可能エネルギー,特に風力などは,高価で出力が断続的,と言う問題があり,世界中で政策担当者の議論が続いているところだ。短期的には,従来の燃料に比べて,再生可能エネルギーが高価であると言うことで,需要家は,クリーンか安価か,と言う選択にタタされることになる。しかしレイエス長官(注14)は,国民への多大な便益,持続的で独立で経済安保で気候変動対応への国民の統合,など強調した。

開発目標の4,000MWのうち,1,200MWが地熱発電で開発されると考えられている。これで米国を押しのけて,地熱では世界第1位になるはずだ。エネルギー省(注13)の見方は,投資企業は既に準備態勢にある,今までは政策不在で,その進捗は遅かったが,変わると考えている。いろいろな見方があるが,まず地熱開発を念頭に置いた立法だ,と考えればよいか。

(注) (1) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081010C.htm,(2) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081127A.htm,(3) Sen. Edgardo Angara,(4) http://my.reset.jp/~adachihayao/index081213A.htm,(5) Lopez-controlled First Gen Corporation,(6) President Arroyo,(7) Renewable Energy Act of 2008,(8) Republic Act 9513,(9) Act Promoting the Development, Utilization and Commercialization of Renewable Energy Resources,(10) Biofuels Act,(11) Renewable Portfolio Standard,(12) feed-in-tariff mechanism,(13) Department of Energy,(14) National Renewable Energy Board,(14) Energy Secretary Angelo Reyes,(15)

●フィリッピン,アムラン水力売却,国内企業へ

フィリッピン電力公社NPC(注15)の発電資産70%を売却して,電力自由化を促進させるという,フィリッピンの電力セクター改革の目玉,PSALM(注16)による2008年最後の入札の対象が,この,ネグロスオリエンタル(注17)の,0.8MW,アムラン水力発電所(注18)である。PSALM(注16)の発表では,フィリッピン企業ICS再生可能社(注19)が,PSALM(注16)の予定価格を超えた23万ドルを提示,最優先札となった。

アムラン水力発電所(注18)は,ネグロスオリエンタル(注17)最初のベースロード発電所で,アムラン町のシラブ村シティオパサラン(注20)に位置している。ICS再生可能社(注19)は,代替燃料の製造の他,資産のリースや運転維持など,環境関係の機器などを扱っている会社である。PSALM(注16)は,提出された文書を精査の上,決定する。なお70%売却の対象系統は,ルソン(注21)とビサヤ(注22)系統である。

(注) (15) National Power Corporation,(16) Power Sector Assets and Liabilities Management Corp,(17) Negros Oriental,(18) Amlan Hydroelectric Power Plant,(19) ICS Renewables,(20) Sitio Pasalan, Brgy. Silab in Amlan town,(21) Luzon grid,(22) Visayas grid,(23)

インド

●インド,LNGから転換へ,ナフタがより安価と

シンガポール発の記事である。インドのバイヤーが,LNG(注23)のアジアのスポット市場から,原油価格に連動して急落したナフタ(注24)に切り替えている。インドにとって,LNG(注23)は大変難しい燃料である。インドのガス価格は来年高騰の兆しであり,LNG基地は,より長期の契約を望んで,スポット市場から退却している。

インドの急激な発電需要の伸びを反映して,アジアのLNG(注23)価格は急騰し,今年初めには百万Btu当たり(注25)20ドルを超えた。2006~2007年で36%の伸びを見せたインドのLNG購買は,台湾を抜いたが,コンサルタント(注26)によれば,今年の輸入は落ち気味であった。多のコンサルタント(注27)によれば,ナフタ(注24)の価格急落は突然で劇的であった,これがインドをLNG(注23)から転換させた原因だと。

ナフタ(注24)の価格は,2008年7月の値から4分の3も落ちた。原油とLNG(注23)価格の連動は直接的でなく時間遅れも伴う。インドの発電所は特殊で,燃料をLNG(注23)とナフタ(注24),どちらにでも切り替えられるようになっている。ナフタ(注24)の価格,トン300ドルは,百万Btu当たり(注25)5.80ドルに匹敵し,現在のアジアのナフタ(注24)価格は,前の百万Btu当たり(注25)9.50~10.50ドルの半分である。

インド第2のLNG基地ハジラ(注28)から月1船のLNGを買っていたインド人バイヤーは,ナフタ(注24)が安いので今はLNG(注23)を買わない,と言っている。ペトロネット(注29)のダヘジ基地(注30)もLNG(注23)購入は43%落ちている。ダヘジ基地(注30)は長期契約が主体だが,昨年からスポットでも買っている。シェル(注31)とトータル(注32)が,ハジラ(注28)を運営しているが,ナフタ(注24)に矛先が向いている。

LNG基地ハジラ(注28)のLNGタンクは満杯だが,誰も買い手がない。2008年初めに百万Btu当たり20ドルで買ったものである。果たして,この価格の衝撃的な変動は,どの様に動いていくのだろうか。今日の報道では,OPECが歴史上初めての日量200万トンの減産に踏み切り,会議に一緒に出ていたロシアも同調して,30万トン規模の減産に踏み切るという。

(注) (23) liquefied natural gas,(24) naphtha,(25) million British thermal units (mmBtu),(26) Waterborne consultants,(27) Cecile Jovene, head of the gas team at consultants Facts Global Energy,(28) Hazira,(29) Petronet,(30) LNG Dahej terminal,(31) Royal Dutch Shell,(32) Total,(33)

参考資料

フィリッピン

●081217A Philippines, Manila Bulletin
フィリッピン,大統領,再生可能エネルギー法案に署名
President signs law promoting renewable energy
http://www.mb.com.ph/articles/194288/president-signs-law-promoting-renewable-energy
●081217B Philippines, visayandailystar
フィリッピン,アムラン水力売却,国内企業へ
Amlan hydro to be sold to RP company: PSALM
http://www.visayandailystar.com/2008/December/17/businessnews2.htm

インド

●081217C India, Economic Times
インド,LNGから転換へ,ナフタがより安価と
India curbs LNG buying as naphtha cheap option
http://economictimes.indiatimes.com/News/News_By_Industry/Energy/India_curbs_LNG_buying_as_naphtha_cheap_option/articleshow/3846277.cms

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